JP4263418B2 - 熱ゲル化人工涙液 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は熱ゲル化人工涙液に関する。さらに詳しくは、ドライアイなどの治療を目的とする熱ゲル化人工涙液に関する。
【0002】
【従来の技術】
涙液は眼球表面上に広がり、眼球表面の水分を保持し、潤滑させる。このような涙液の供給が低下すると目の水分が脱水し、不快となる。この症状をドライアイという。ドライアイ治療を目的とする組成物が市販されているが、これらの組成物は、一般に、涙液を補う水性物質である。
【0003】
ドライアイの最も一般的な治療としては、眼球表面に多量の水分を添加するという人工涙液の局所適用によりドライアイ症状を一時的に緩和することが挙げられる。一般的な人工涙液としては、無機塩類を添加した水性点眼剤が挙げられる。しかしながら、このような水性点眼剤は点眼後速やかに眼球表面から排出されるため、眼球表面の水分を維持するためには頻繁に人工涙液を点眼しなければならず、ドライアイの患者にとっては非常に苦痛であった。
【0004】
このような人工涙液の眼球表面からの排出遅延と、さらに大量の水分を補給することを目的として水溶性ポリマーを配合した人工涙液が市販されている。このような水溶性ポリマーの例としては、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルメチルセルロースまたはカルボキシメチルセルロースが挙げられる。このような水溶性ポリマーの配合により、人工涙液の眼球表面からの排出は若干遅延したが、まだ充分ではなく、さらなる人工涙液の眼球表面上での滞留性が求められている。
【0005】
点眼剤の眼球表面からの排出を遅延させる製剤の一つとしてゲル状点眼剤が考案されている。しかしながら、このようなゲル状点眼剤は粘性が高く投与するのが困難であるばかりか、点眼後不快な感触があり、投与時に苦痛を伴うことが知られている。
【0006】
ゲル状点眼剤のこのような欠点を克服するために、最近ゲル点眼剤の中でも特に眼球表面上のトリガーに応答して、眼球表面上で組成物がゾル状態からゲル状態に相転移する点眼剤がいくつか開示されている。
米国特許第4188373号にはプルロニック(商品名PLURONIC)の水性組成物が熱によってゲル化し、プルロニックの濃度を調整することによって希望のゾル−ゲル転移温度が得られる熱ゲル化水性医薬組成物が開示されている。
【0007】
特公平6−67853号には涙液のイオン強度増加効果をトリガーにしたゾル−ゲル相転移を示す組成物が開示されている。
特許2729859号では、薬理的治療または診断に用いられる有効量の薬剤を含有する可逆性熱ゲル化水性医薬組成物であって、メチルセルロース(メトキシル基の含有率が26〜33%の範囲であるもの)0.2〜2w/v%、クエン酸1.2〜2.3w/v%及びポリエチレングリコール0.5〜13w/v%と組成物のpHを3〜10の範囲に調整するために十分な量の医薬的に容認し得るpH調整剤を含有する組成物について開示している。
【0008】
ところで、眼球表面には水分蒸発を防ぐため、油層が存在する。この油層が何らかの原因で乱れると眼球表面から水分が消失しドライアイの原因となることが知られている。この油層を保護するための技術として、米国特許第4,914,088号の発明では、帯電したリン脂質を目に投与すると、眼球表面に分散し脂質層に相当する膜を形成し、油層を保護することが提案されている。
【0009】
また、特開平7−2647号には、炭化水素油と膜形成蝋をゲル化させることにより形成されたゲル化油を、好ましくは水中油型エマルションの状態で、眼に投与する方法が提案されている。
しかしながら、既存の人工涙液では涙液油層を保護する作用がなく、また既存の涙液油層を保護する技術では水分補給作用がないなど、未だ改良の余地が多く残されているのが現状である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記現状に鑑み、眼球表面に水分を補給し、かつ、角膜表面上にある涙液油層を保護することができる熱ゲル化人工涙液を提供することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは眼球表面に水分を補給し、かつ、涙液油層を保護する人工涙液の開発に向けて鋭意検討した。その結果、メチルセルロースを含有する人工涙液は、熱によってゲルを形成し、このゲルは涙液油層を保護する作用があることが分かった。また、メチルセルロースを含有する人工涙液にタウリンを配合すると、上記人工涙液のゲル化温度が低下することも見いだした。タウリンは、目の乾きや疲れ目に効く有効成分として知られているが、熱ゲル化製剤のゲル化温度を低下させ得ることは今まで全く知られていない。本発明はこれら知見によって完成されたものである。
【0012】
すなわち、本発明の熱ゲル化人工涙液は、メチルセルロース及びタウリンを含有するものである。本発明の熱ゲル化人工涙液は、点眼によって眼球表面でゲル化し、点眼後15分以上にわたって眼球表面に水分を補給し、かつ、涙液油層を保護することができる。
本発明の熱ゲル化人工涙液を点眼すると、人工涙液が眼球表面の熱に反応し、眼球表面にゲルを形成する。本発明の熱ゲル化人工涙液によって形成されるゲルは、涙液油層を破壊することなく、涙液油層の形態を維持し、かつ、長時間にわたって眼球表面で滞留し水分を補給することができる。
【0013】
また、本発明の熱ゲル化人工涙液は、メチルセルロースとタウリンの配合によって人工涙液の熱ゲル化温度を眼球表面の温度に調整することが可能である。これにより、点眼によって眼球表面でゲルを形成しやすくなり、水分の補給と涙液油層の保護効果を高めることができる。
また、本発明の熱ゲル化人工涙液は点眼時には液体状態であるため、初めからゲル状製剤を投与する場合に比較して、投与しやすく点眼時の不快感も大幅に減少させることが可能である。
以下に本発明を詳述する。
【0014】
本発明の熱ゲル化人工涙液は、ドライアイなどの治療を目的としたものであり、メチルセルロース及びタウリンを含有する。
本発明の熱ゲル化人工涙液に配合されるメチルセルロース(以下、MCと略称する)としては特に限定されず、いずれのMCでも単独または混合して使用することができる。良好に熱ゲル化するという観点から、2w/v%水溶液とした時の20℃における粘度が3〜12000ミリパスカル・秒の範囲のものが好ましい。メトキシル基の含有率は水に対する溶解性の観点から26〜33%の範囲が好ましい。さらにMCはその水溶液の粘度により区別され、例えば、市販品の品種には表示粘度4、15、25、100、400、1500、8000(数字は2w/v%水溶液の20℃粘度のミリパスカル・秒)のものがあり、容易に入手可能である。好ましくは表示粘度4のMCが、眼球表面で良好にゲル化し、かつ、調製した人工涙液の粘度が小さく、使用しやすいため好ましい。
MCの概要、規格、用途、使用量及び商品名などについては医薬品添加物事典(日本医薬品添加物協会編集、薬事日報社発行)に詳細に記載されている。
【0015】
本発明の熱ゲル化人工涙液は、メチルセルロースとタウリンのほか、ポリエチレングリコール、クエン酸、及び、クエン酸の薬学的に許容される塩からなる群より選択される少なくとも1種を含有することが好ましい。特に、ポリエチレングリコール、並びに、クエン酸及び/又はクエン酸の薬学的に許容される塩を配合することが好ましい。
【0016】
本発明の熱ゲル化人工涙液に配合されるポリエチレングリコール(以下、PEGと略称する)としては特に限定されないが、重量平均分子量が300〜50000のものが好ましく、1000〜20000のものが特に好ましい。重量平均分子量が300以上の場合には眼球表面の温度による液体−ゲル相転移を起こしやすく、重量平均分子量が50000以下の場合には液体状態での粘度が高くなりすぎないため好ましい。また、2種以上のPEGを混合して重量平均分子量を上記の至適範囲内に調整することも可能である。
【0017】
具体的には、PEG−200、−300、−600、−1000、−1540、−2000、−4000、−6000、−20000、−50000、−500000、−2000000及び−4000000の商品名で和光純薬工業(株)から、マクロゴール−200、−300、−400、−600、−1000、−1540、−4000、−6000、−20000の商品名で日本油脂(株)から販売されているものを使用することができる。
PEGの概要、規格、用途、使用量及び商品名などについては医薬品添加物事典(日本医薬品添加物協会編集、薬事日報社発行)に詳細に記載されている。
【0018】
本発明の熱ゲル化人工涙液に配合されるクエン酸の薬学的に許容し得る塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩などが挙げられる。
【0019】
本発明の熱ゲル化人工涙液は、メチルセルロースを0.2〜9.0w/v%含有することが好ましい。MCの濃度が0.2w/v%以上の場合、眼球表面の温度でゲル化しやすいので好ましく、MCの濃度が9.0w/v%以下の場合、人工涙液の粘度が取り扱いやすい範囲に調整できるため好ましい。より好ましくは0.5w/v%以上、さらに好ましくは1.0w/v%以上である。また、より好ましくは8.0w/v%以下、さらに好ましくは7.0w/v%以下である。特に、本発明の熱ゲル化人工涙液がメチルセルロースとタウリンのほか、ポリエチレングリコール、並びに、クエン酸及び/又はその薬学的に許容される塩を含有する場合、メチルセルロースの配合量は、1.0w/v%以上が好ましく、5.0w/v%以下が好ましい。さらに4.0w/v%以下が好ましい。
【0020】
本発明の熱ゲル化人工涙液は、タウリンを0.01〜10w/v%含有することが好ましい。タウリンの濃度が0.01〜10w/v%の範囲内では、人工涙液のゲル化温度を眼球表面の温度付近に調整することが容易になるため好ましい。より好ましくは0.1w/v%以上、さらに好ましくは0.3w/v%以上である。また、より好ましくは2.0w/v%以下、さらに好ましくは1.0w/v%以下である。特に、本発明の熱ゲル化人工涙液がメチルセルロースとタウリンのほか、ポリエチレングリコール、並びに、クエン酸及び/又はその薬学的に許容される塩を含有する場合、タウリンの配合量は、0.1w/v%以上が好ましく、1.0w/v%以下が好ましい。
【0021】
本発明の熱ゲル化人工涙液にポリエチレングリコールを配合する場合、ポリエチレングリコールの濃度は0.1〜13.0w/v%であることが好ましい。ポリエチレングリコールの濃度が13w/v%以下の場合は人工涙液の粘度が取り扱いやすい範囲にあるので好ましく、0.1w/v%以上の場合は眼球表面の温度による液体−ゲル相転移を起こしやすいので好ましい。より好ましくは1.0w/v%以上、さらに好ましくは2.0w/v%以上である。また、より好ましくは10.0w/v%以下、さらに好ましくは7.0w/v%以下であり、特に好ましくは5.0w/v%以下である。
【0022】
本発明の熱ゲル化人工涙液にクエン酸及び/又はその薬学的に許容される塩を配合する場合、その濃度は0.1〜4.0w/v%であることが好ましい。クエン酸及びその薬学的に許容される塩の濃度が4.0w/v%以下の場合、眼刺激が小さいので好ましい。また0.1w/v%以上の場合、眼球表面による液体−ゲル相転移を起こしやすいので好ましい。より好ましくは1.0w/v%以上である。また、より好ましくは2.3w/v%以下である。
【0023】
本発明の熱ゲル化人工涙液は、室温又はそれ以下では液体であり、ヒト等の哺乳類の眼球表面でゲル化することが所望されることから、本発明の熱ゲル化人工涙液のゲル化温度(液体−ゲル相転移を起こす温度)は、16〜40℃であることが好ましい。より好ましくは20℃以上であり、さらに好ましくは25℃以上である。また、より好ましくは36℃以下であり、さらに好ましくは34℃以下である。
【0024】
本発明の熱ゲル化人工涙液にはドライアイに対する有効成分として、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、リン酸2水素ナトリウム、リン酸2水素カリウム等の無機塩類の他に、ブドウ糖などの糖類、L−アスパラギン酸等のアミノ酸類又はその薬学的に許容される塩、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチルセルロース等の高分子化合物を配合しても良い。これら有効成分の配合量は期待される薬効が得られる濃度であれば特に制限はない。
【0025】
本発明の熱ゲル化人工涙液は通常pH3〜10に調整され、特に眼刺激の点よりpH5〜8で調整されることが好ましい。本発明の人工涙液のpHを調整するために、通常添加される種々のpH調整剤を使用してもよい。例えば、酸類、塩基類、アミノ酸類等が挙げられる。酸類としては、例えば、アスコルビン酸、塩酸、グルコン酸、酢酸、乳酸、ホウ酸、リン酸、硫酸、クエン酸などが挙げられる。塩基類としては、例えば、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化ナトリウム、水酸化マグネシウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどが挙げられる。アミノ酸類としては、グリシン、ヒスチジン、イプシロンアミノカプロン酸などが挙げられる。
【0026】
本発明の熱ゲル化人工涙液は、必要に応じて、薬学的に許容し得る等張化剤、可溶化剤、保存剤及び防腐剤などを含有してもよい。
等張化剤としてはキシリトール、マンニトール、ブドウ糖等の糖類、プロピレングリコール、グリセリン、塩化ナトリウム、塩化カリウムなどが挙げられる。
可溶化剤としては、ポリソルベート80、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油及びシクロデキストリンが挙げられる。
【0027】
保存剤としては塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム及びグルコン酸クロルヘキシジンなどの逆性石鹸類、パラヒドロキシ安息香酸メチル、パラヒドロキシ安息香酸プロピル、パラヒドロキシ安息香酸ブチル等のパラベン類、クロロブタノール、フェニルエチルアルコール及びベンジルアルコールなどのアルコール類、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸及びソルビン酸カリウムなどの有機酸及びその塩類が使用できる。
【0028】
また、その他の添加剤としてヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコールもしくはポリアクリル酸ナトリウム等の増粘剤、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)及びそれらの薬学的に許容される塩、トコフェロール及びその誘導体、亜硫酸ナトリウムなどの安定化剤が挙げられる。
【0029】
本発明の熱ゲル化人工涙液の製法としては特に限定されず、例えば、メチルセルロースと、必要に応じてポリエチレングリコールを70℃以上の熱水に分散させ、氷冷する。ここに、タウリンと、必要に応じてクエン酸及び/又はその薬学的に許容される塩、無機塩類、その他の有効成分、添加剤などを添加溶解し良く混合する。得られた溶液のpHを必要に応じてpH調整剤で調整し、滅菌精製水でメスアップし本発明の熱ゲル化人工涙液を調製する。調製した本発明の熱ゲル化人工涙液をメンブランフィルターによるろ過滅菌後、プラスチック製点眼ボトルに充填する。
本発明の熱ゲル化人工涙液は、哺乳類、特にヒトの目に適用する点眼剤として用いられる。
【0030】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【0031】
実施例1〜3及び比較例1〜3
メチルセルロース(信越化学工業(株)製、メトローズ(登録商標)SM−4)及びポリエチレングリコール(マクロゴール4000、日本油脂(株)製)を所定量混合し、ここに85℃に加熱した滅菌精製水を添加し、攪拌することで分散させた。均一に分散したことを確認後、攪拌しながら氷冷した。全体が澄明になったことを確認し、クエン酸ナトリウム、タウリン、さらに20w/v%グルコン酸クロルヘキシジン水溶液を所定量徐々に添加し、溶解後均一に混合した。さらに、1NのNaOH又は1NのHClでpHを7.4に調整後、滅菌精製水で所定の容量にし、本発明の熱ゲル化人工涙液を調製した(実施例1〜3)。
比較例として、タウリンを添加しない熱ゲル化人工涙液を、本発明の人工涙液と同様な方法で調製し、比較用人工涙液とした(比較例1〜3)。
次に、調製した本発明の熱ゲル化人工涙液及び比較用人工涙液の温度と粘度の関係を検討し、各人工涙液のゲル化温度を求めた。結果を表1に示す。なお、表中、各成分の配合量はすべてw/v%で表す。
【0032】
【表1】
【0033】
タウリンを添加した本発明の熱ゲル化人工涙液は、ゲル化温度が低く、眼球表面温度でゲル化しうることが示された。
【0034】
試験例1(熱ゲル化人工涙液の薬効薬理試験)
1)試験方法
▲1▼試料溶液の調製
実施例1の調製法に準じ、表2の処方の熱ゲル化人工涙液を調製した(表中、各成分の配合量はすべてw/v%で表す)。この人工涙液のゲル化温度は32℃であった。比較用人工涙液として、市販のマイティア(登録商標)(千寿製薬社製)を使用した。マイティア(登録商標)及び表2の処方の熱ゲル化人工涙液に、有効成分の指標としてフルオレセインナトリウム(和光純薬工業株式会社製)を0.5%となるように加えた溶液を調製し試料溶液とした。
【0035】
【表2】
【0036】
▲2▼使用動物及び点眼液量
白色家兎(7羽、体重2kg前後)を用いて行った。点眼液量は50μLとした。
▲3▼涙液量の測定
涙液量の測定は、点眼前、点眼後5分、15分、30分及び60分に行った。涙液量は結膜嚢内にシルマー試験紙を1分間挿入し、フルオレセインにより染色された部分の長さを測定し求めた。
▲4▼フルオレセイン量の測定
フルオレセイン量の測定は点眼後5分、15分、30分及び60分に行った。各時点のフルオレセイン量はシルマー試験紙に染み込んだフルオレセインを抽出、アンテリアフルオロメーター FL−500(興和株式会社製)にて測定し、FL−500内に内蔵された検量線によってフルオレセイン量を算出した。
【0037】
2)試験結果
▲1▼涙液量
マイティア(登録商標)及び表2の処方の熱ゲル化人工涙液点眼前の涙液量に差は認められなかった。点眼後5から60分まで表2の処方の熱ゲル化人工涙液点眼群は人工涙液マイティア(登録商標)点眼群に比し結膜嚢内における涙液量の増加が認められ、特に15分および60分では有意な増加であった(図1)。従って本発明の熱ゲル化人工涙液は人工涙液マイティア(登録商標)と比較して、涙液の保持能力が高いことが明らかとなった。
【0038】
▲2▼結膜嚢内フルオレセイン量
点眼後60分まで表2の処方の熱ゲル化人工涙液点眼群は人工涙液マイティア(登録商標)点眼群に比し結膜嚢内におけるフルオレセイン量の増加が認められ、特に60分では有意な増加であった(図2)。従って本発明の熱ゲル化人工涙液は人工涙液マイティア(登録商標)と比較して、涙液中における有効成分の保持能力が高いことが明らかとなった。
【0039】
【発明の効果】
本発明は、上述の構成よりなるので、点眼によって眼球表面でゲル化できる熱ゲル化人工涙液であって、長時間にわたり眼球表面に水分を補給し、かつ、涙液油層を保護する熱ゲル化人工涙液を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 表2の処方の熱ゲル化人工涙液又は人工涙液マイティア(登録商標)を白色家兎に点眼した後の、涙液量の経時変化を示したグラフ
【図2】 フルオレセイン0.5%を配合した表2の処方の熱ゲル化人工涙液又は人工涙液マイティア(登録商標)を白色家兎に点眼した後の、涙液中のフルオレセイン量の経時変化を示したグラフ
Claims (4)
- メチルセルロース及びタウリンを含有することを特徴とする熱ゲル化人工涙液。
- さらに、ポリエチレングリコール、クエン酸及びその薬学的に許容される塩からなる群より選ばれる少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項1に記載の熱ゲル化人工涙液。
- 点眼によって眼球表面でゲル化し、点眼後15分以上にわたって眼球表面に水分を補給し、かつ、涙液油層を保護することを特徴とする請求項1又は2記載の熱ゲル化人工涙液。
- タウリンの配合によってゲル化温度が低下したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱ゲル化人工涙液。
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