JP4263390B2 - 同色発色性紫外線蛍光発光再帰反射シート - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、道路標識、工事標識等の標識類、自動車、オートバイ等の車輌のナンバープレート類、衣服、救命具等の安全用資材類、又は、看板、車両等のマーキング等において有用な再帰反射シートに関し、詳しくは、再帰反射領域と紫外線蛍光発光領域とを併せ持つ紫外線蛍光発光再帰反射シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、光を光源方向に向けて再帰反射させる再帰反射性能と紫外線照射により蛍光発光する紫外線蛍光発光機能とを併せ持つ紫外線蛍光発光再帰反射シートはいくつか知られており、悪天候時や夜間時等の悪条件下においてもその優れた視認性が発揮されることを利用して、該シートは、上記のごとき利用分野で使用されている。
【0003】
例えば、PCT公開WO96/18920号公報には、再帰反射要素を配置した再帰反射領域と、紫外線蛍光発光着色剤を含有する紫外線蛍光発光領域とを組み合わせた紫外線蛍光発光性再帰反射シートが提案されている。
【0004】
また例えば、特開平10−333619号公報には、再帰反射機能を有する紫外線蛍光発光性シートを用いたサイン装置が提案されている。
【0005】
しかしながら、これらの提案においては、紫外線蛍光発光性再帰反射シートの色相については全く考慮されていない。
【0006】
一般に、標識やナンバープレート等の各種表示物においては、文字、数字、記号等の形状により情報を視認者に伝達する表示と共に、表示や表示の背景と なる背景部分の色相は重要な意味を持つ。
【0007】
すなわち、案内標識、規制標識、警戒標識、各種車両のナンバープレート等は表示の形状により表示される情報を視認者に伝達すると同時に、表示の色、背景の色を用いて表示の情報をより判りやすく、より視覚的に視認者に伝達するのである。例えば、「止まれ」の標識は、止まれという表示により表示される文字の意味を視認者に伝達すると同時に表示、即ち、背景の色相(一般に良く目立つ赤色が用いられる)と文字の色相(一般に視認性を向上させるために白色が用いられる)とにより、より視覚的に視認者に情報を伝達するのである。
【0008】
従って、案内標識、規制標識、警戒標識、各種車両のナンバープレート等は、通常、国家レベルで文字と背景の色相が統一されおり、色相を用いてより遠くから、また、より判りやすく情報が視認者に伝達されるように設計されている(通常、標識の形状も統一されている)。このため、表示されている文字が読めないような遠くからでも情報がより伝達されやすくなっているのである。
【0009】
このように、標識等において、色相が重要な情報伝達の要素となっているにもかかわらず、従来の技術においては紫外線蛍光発光性再帰反射シートの色相についての考慮が全くなされていないのである。
【0010】
実際、現在一般的に使用されている紫外線蛍光発光再帰反射シートは、可視光線下では灰色に見える再帰反射部分と白色に見える紫外線蛍光発色部分を有するもので、全体として可視光線下白色に見え紫外線照射下発光して有彩色となり、また、再帰反射光下白色に見える全く色相的に統一性のないものである。
【0011】
一般に、紫外線蛍光発光着色剤は白色をしているため、紫外線照射の下で発光する色相と太陽光や白色蛍光灯の下で発色する色相は異なる。また、再帰反射シートにおいても、夜間再帰反射条件下で見える色相と、夜間紫外線照射下で見える色相と、さらには、昼間太陽光下見える色相とは異なる場合が多い。
【0012】
紫外線蛍光発光再帰反射シートを、案内標識、規制標識、警戒標識、各種車両のナンバープレート等の文字部分や背景部分に用いるためには、上記の如き様々な光学的環境を考慮して、再帰反射部分の色相、紫外線蛍光発光部分の色相、さらには両部分が組合わさった紫外線蛍光発光再帰反射シートとしての色相を調整する必要があるのである。
【0013】
本発明の目的は、色々な光学的環境下において色鮮やかに発色し、且つ、発色する色相が色差の少ない同系色に調整された紫外線蛍光発光再帰反射シートを開発することにより、案内標識、規制標識、警戒標識、各種車両のナンバープレート等に用いられたとき、様々な光学的環境下においても優れた情報伝達性を有することのできる前述した如き従来技術の欠点を解消した優れた紫外線蛍光発光再帰反射シートを提供することにある。
【0014】
本発明者等は、紫外線蛍光発光再帰反射シートの様々な光学的環境下における視認性について検討した結果、各光学的環境下における色相を好適な範囲に設定することにより、様々な光学的環境下においても優れた情報伝達性を有する優れた同色発色性紫外線蛍光発光再帰反射シートが得られることを見いだした。
【0015】
【課題を解決するための手段】
かくして、本発明によれば、再帰反射性要素を含む再帰反射部分と、紫外線蛍光発光着色剤を含む紫外線蛍光発色部分からなる紫外線蛍光発光再帰反射シートにおいて、再帰反射部分の可視光下におけるLab表色系で測定された色相と紫外線蛍光発光部分の可視光下におけるLab表色系で測定された色相とのΔE ab = ((ΔL * ) 2 +(Δa * ) 2 +(Δb * ) 2 ) 0 . 5 で計算された色差が20以内で、再帰反射部分の可視光下におけるLab表色系で測定された色相と紫外線蛍光発光部分の紫外線光下におけるLab表色系で測定された色相とのΔE ab = ((ΔL * ) 2 +(Δa * ) 2 +(Δb * ) 2 ) 0 . 5 で計算された色差が100以内であることを特徴とする同色発色性紫外線蛍光発光再帰反射シートが提供される。
【0016】
以下、本発明の同色発色性紫外線蛍光発光再帰反射シートについて、さらに詳細に説明する。
【0017】
本発明の同色発色性紫外線蛍光発光再帰反射シートは、再帰反射性要素を含む再帰反射部分と、紫外線蛍光発光着色剤を含む紫外線蛍光発光部分とからなる。
【0018】
本発明の同色発色性紫外線蛍光発光再帰反射シートにおいて、再帰反射性要素を含む再帰反射部分としては、従来より公知である再帰反射構造を用いれば良く、球状レンズと光反射膜とからなるレンズ再帰反射性要素を含むオープンレンズ型再帰反射構造、封入レンズ型再帰反射構造、カプセルレンズ型再帰反射構造、また、キューブコーーナー素子と光反射膜とからなるキューブコーナー型再帰反射性要素を含むメタライズドキューブコーナー型再帰反射構造、カプセルキューブコーナー型再帰反射構造等が用いられる。
【0019】
中でも、光透過性保護フイルムと、ベースフイルムと、両フイルム間に多数のカプセルが形成されるようにして両フイルムを部分的に連結する連結壁よりなり、該カプセル中に多数の再帰反射性要素を包含させたカプセルレンズ型再帰反射構造、カプセルキューブコーナー型再帰反射構造のごときカプセル型再帰反射構造は、その再帰反射性能の高さにより、また、可視光下における色相と再帰反射光下における色相との色差がより少ないことにより好適に用いられる。
【0020】
特に、金属蒸着膜のごとき彩度に悪影響を及ぼす光反射膜を用いず得られる色相の範囲が最も広いカプセルキューブコーナー型再帰反射構造が、再帰反射部分として最も好適に用いられる。
【0021】
再帰反射部分の色相の調整は、再帰反射要素自体に、あるいは通常再帰反射要素の上に位置する樹脂層に、また必要なら再帰反射要素の上に樹脂層を設けて、該樹脂層に所望の着色剤を添加することにより実施される。
【0022】
再帰反射部分の再帰反射性能は、再帰反射要素や再帰反射要素の上に位置する樹脂層の透明性により影響を受けるため、再帰反射要素や樹脂層に添加する着色剤の量はこの点を注意して調整することが必要で、用いる再帰反射要素の再帰反射性能と所望の再帰反射性能とから必要な着色樹脂層の透明性を決定し、決定した透明性と所望の色相により使用する着色剤の種類と量が決定される。
【0023】
従って、着色の自由度を高めるためには再帰反射要素の持つ再帰反射性能が出来るだけ高い方が好ましく、再帰反射特性に優れるカプセルレンズ型再帰反射構造やカプセルキューブコーナー型再帰反射構造が、特に、再帰反射性能に最もすぐれるカプセルキューブコーナー型再帰反射構造がこの点からも、再帰反射部分として最も好適に用いられる。
【0024】
用いられる着色剤としては、有機顔料、有機染料、無機顔料等の汎用着色剤やパール顔料、蛍光顔料、蛍光染料等の特殊着色剤等が所望に応じて単独で、あるいは組み合わせて用いられるが、着色樹脂層の透明性ができるだけ失われないよう、有機顔料、有機染料、蛍光染料等の透明性に優れる着色剤を使用することが好適である。
【0025】
再帰反射部分に、再帰反射性能に加えて紫外線蛍光発光機能を付与する目的で紫外線蛍光発光着色剤を添加しても良いが、着色樹脂層の透明性が著しく阻害されないよう添加量を制限する等の考慮が必要である。
【0026】
本発明の同色発色性紫外線蛍光発光再帰反射シートにおいて、紫外線蛍光発光部分は、可視光下における色相と紫外線光下における色相との色差が100以内、好ましくは70以内、さらに好ましくは50以内となるように設計される。
【0027】
紫外線蛍光発光部分の可視光下における色相と紫外線光下における色相との色差が100を超えると昼間見える色と、夜間、紫外線ランプにより照射された時見える色とが著しく異なることとなり色相の統一性が取れなくなる。
【0028】
本発明の同色発色性紫外線蛍光発光再帰反射シートにおいて、紫外線蛍光発光部分には紫外線蛍光発光機能を持たすことを目的に紫外線発光着色剤が添加される。
【0029】
紫外線蛍光発光機能により雨、雪、霧等の悪天候下でも優れた視認性を発揮する紫外線蛍光発光再帰反射シートが得られる。
【0030】
用いられる紫外線蛍光発光着色剤としては、特に限定されるものではなく、PCT公開WO96/18920号公報等に記載される紫外線蛍光発光着色剤等が用いられる。
【0031】
紫外線蛍光発光着色剤は、通常、可視光下においては白色で、紫外線照射下において有彩色の蛍光を発光するものが多い。このため、特に、有彩色の紫外線蛍光発光部分を設ける場合においては、紫外線蛍光発光部分の可視光下における色相と紫外線光下における色相とを近似させるために、紫外線蛍光発光部分に紫外線蛍光発光着色剤に加えて、一般的な可視光発色着色剤を加える必要がある。
【0032】
紫外線蛍光発光部分に添加される一般的な可視光発色着色剤としては、有機顔料、有機染料、無機顔料等の汎用着色剤やパール顔料、蛍光顔料、蛍光染料等の特殊着色剤等が所望に応じて用いられるが、照射される紫外線や、紫外線蛍光発光着色剤の蛍光発光を極力阻害しないよう透明性に優れる着色剤を用いることが好ましく、有機顔料、有機染料、蛍光顔料、蛍光染料の中から選ばれる1種以上の着色剤を主成分として用いるのがよい。
【0033】
紫外線蛍光発光部分を、発光する蛍光色をより鮮やかにする目的で、紫外線蛍光発光着色剤を含む層と、該紫外線蛍光発光着色剤を含む層の背面に設けられた白色層を含む多層構造とすることも好適な方法である。
【0034】
紫外線蛍光発光部分の色相の調整は、用いる紫外線蛍光発光着色剤による紫外線光下の発光色を確認した上で、同系色の上記の如き着色剤を添加し、可視光下における色相を紫外線光下における色相と近似させるようにすることにより調整できる。この際、着色剤の添加により紫外線蛍光発光強度が低下することを考慮して調整することが必要である。
【0035】
本発明の同色発色性紫外線蛍光発光再帰反射シートにおいて、再帰反射部分と紫外線蛍光発光部分は一体となって一つの色相を形成する。このため、再帰反射部分と紫外線蛍光発光部分の色相が様々な光学的環境下においてできるだけ近似していることが好ましい。
【0036】
可視光下における再帰反射部分と紫外線蛍光発光部分との色相を調整すれば、再帰反射部分と紫外線蛍光発光部分はそれぞれ、可視光下と紫外線照射下での色相が調整されているため、同色発色性紫外線蛍光発光再帰反射シート全体としての色相は、概ね、様々な光学的環境下において近似した色相となる。
【0037】
通常、紫外線蛍光発光部分は再帰反射機能を有していないため、再帰反射光下において暗い色となる。また、再帰反射部分は、通常、紫外線蛍光発光機能を有していないため、紫外線照射下においては暗い色となる。
【0038】
同色発色性紫外線蛍光発光再帰反射シート全体としての色相を、再帰反射条件下において、また、紫外線照射下において、可視光下の色相に近似させるため、及び十分な再帰反射輝度と紫外線蛍光発光輝度を得るためには、再帰反射部分と紫外線蛍光発光部分が占有する面積割合が調整される。ただし、再帰反射部分と紫外線蛍光発光部分の面積割合を調整すると、紫外線照射下、可視光下のいずれの条件下における色相が変化すると同時に、再帰反射輝度及び紫外線蛍光発光輝度も変化する。このため、再帰反射部分と紫外線蛍光発光部分の面積割合を決定する時には紫外線照射下での色相、可視光下での色相、再帰反射輝度、紫外線蛍光発光輝度が所望の値となっているかを確認することが好ましい。
【0039】
同色発色性紫外線蛍光発光再帰反射シートの表面において、再帰反射部分と紫外線蛍光発光部分が占有する面積割合は、再帰反射条件下の色相を優先するか、紫外線照射下の色相を優先するか、また、再帰反射性能をどの程度に設定するか、紫外線蛍光発光輝度をどの程度に設定するか等により、所望に応じて決定すれば良いが、通常、紫外線蛍光発光部分が占有する面積が、同色発色性紫外線蛍光発光再帰反射シートの表面の20%〜80%、好ましくは40%〜80%、さらに好ましくは50%〜70%となるように調整される。
【0040】
本発明の同色発色性紫外線蛍光発光再帰反射シートにおいて、紫外線蛍光発光部分を半透明とし下層の再帰反射部分の色を表面に透過させる、また、再帰 反射部分に紫外線蛍光発光着色剤を加え紫外線照射下において再帰反射部分でも蛍光発光させる等の手段により、再帰反射条件下や紫外線照射下での再帰反射部分と紫外線蛍光発光部分との色相を近似させ、且つ、シート全体の輝度を高めることも好適な方法である。
【0041】
本発明の同色発色性紫外線蛍光発光再帰反射シートは、様々な光学的環境下において近似の色相を呈することにより優れた視覚的情報伝達性を有すると共に、再帰反射機能を持ち外照灯、内照灯等の照明の有無に関わらず自動車のヘッドライト等による再帰反射条件下における優れた情報伝達性を有し、また、紫外線蛍光発光機能を持ち蛍光発光による雪、霧、雨、夜間等の悪条件下における優れた情報伝達性を有する。
【0042】
本発明の同色発色性紫外線蛍光発光再帰反射シートは、再帰反射性要素を含む再帰反射部分と、紫外線蛍光発光着色剤を含む紫外線蛍光発光部分とからなる。
【0043】
再帰反射部分と紫外線蛍光発光部分は、一つの層の中にそれぞれが部分的に位置するように設けられても良いが、製造の難易度を考慮すれば、再帰反射要 素を有する層と紫外線蛍光発光着色剤を有する層を別々に設け両層を積層するようにして一つのシート中に再帰反射部分と紫外線蛍光発光部分を設ける方法が好適である。
【0044】
また、再帰反射要素の加工性の悪さや再帰反射要素が不連続的な小片となったときの耐候性の悪さ等を考慮すれば、再帰反射要素はできるだけ連続した層の中に設けるのが良く、最も好適には、まず、再帰反射部分を含む再帰反射シートを設け、該再帰反射シートの表面上に該表面の一部を覆うようにして紫外線蛍光発光着色剤を含む紫外線蛍光発光部分を部分的に設けるのがよい。
【0045】
本発明の同色発色性紫外線蛍光発光再帰反射シートを製造する方法としては、色相を調整することを除いては、特に限定されるものではなく、再帰反射構造と紫外線蛍光発光層を、それぞれ、特公昭61−13561号公報、PCT公開WO97/104940号公報、実開平7−19776号公報等で公知の方法により製造し、両者を部分的に貼り合わせる等の手段により製造することができ、例えば、色相が調整された再帰反射シートの上に、別途色相や面積被覆割合が調整された紫外線蛍光発色部分を貼り合わせたり、印刷やコーティング等の手段により所望の面積被覆割合で紫外線蛍光発光層を部分的に設ける等の方法により製造することが出来る。
【0046】
また、PCT公開WO96/18920号公報等に記載されるような方法により、再帰反射構造と紫外線蛍光発光層を一体として製造することもできる。
【0047】
本発明の同色発色性紫外線蛍光発光再帰反射シートは、案内標識、規制標識、警戒標識、ナンバープレート、看板等の標識類に表示として、及び/または背景として用いられる。
【0048】
同色発色性紫外線蛍光発光再帰反射シートを用いて標識類を加工するに当たっては、特に限定されるものではないが、例えば、背景として同色発色性紫外線蛍光発光再帰反射シートをアルミニウム板等の基材の上に接着剤層を介して貼り付けその上に色の異なる同色発色性紫外線蛍光発光再帰反射シートを所定の形状に且つトして表示として貼り付ける、あるいは、背景として一般の再帰反射シートや紫外線蛍光発光シートを貼り付けその上に色の異なる同色発色性紫外線蛍光発光再帰反射シートを表示として貼り付ける、また、あるいは、背景として同色発色性紫外線蛍光発光再帰反射シートを貼り付け、その上に一般の再帰反射シートや紫外線蛍光発光シートを表示として貼り付ける等の方法が用いられる。
【0049】
図1は本発明の同色発色性紫外線蛍光発光再帰反射シートの一態様であるカプセルキューブコーナー型再帰反射構造を用いた同色発色性紫外線蛍光発光再帰反射シートの断面構成を模式的に示したものである。図1において、同色発色性紫外線蛍光発光再帰反射シートは、再帰反射部分1と紫外線蛍光発光部分2からなっており、再帰反射部分は、紫外線蛍光発光部分の下層に位置する再帰反射シート8の紫外線蛍光発光部分により覆われていない部分となっている。再帰反射シートは、光透過性保護フイルム3とベースフイルム4と両フイルム間に多数のカプセル5が形成されるようにして両フイルムを部分的に連結する連結壁6からなりカプセル中にはキューブコーナー型再帰反射素子7が連続的に並んでいる。
【0050】
図2は本発明の同色発色性紫外線蛍光発光再帰反射シートの一態様であるカプセルキューブコーナー型再帰反射構造を用いた同色発色性紫外線蛍光発 光再帰反射シートの平面構成を模式的に示したものである。
【0051】
図3は本発明の同色発色性紫外線蛍光発光再帰反射シートを用いた標識の断面構成を模式的に示したものである。図3において、基板となる被着体9の上には接着剤層10により背景となる同色発色性紫外線蛍光発光再帰反射シート11が貼り付けられている。背景となる同色発色性紫外線蛍光発光再帰反射シートの上には接着剤層により表示となる同色発色性紫外線蛍光発光再帰反射シート12が貼り付けられている。
【0052】
本発明の同色発色性紫外線蛍光発光再帰反射シートは、それ自体として様々な光学的環境下において優れた視認性、情報伝達性を有しているため、標識類の一部もしくは全部に同色発色性紫外線蛍光発光再帰反射シートを貼り付けることにより、簡単に優れた視認性、情報伝達性を有する標識類を得ることが出来るのである。
【0053】
【実施例】
以下実施例、比較例により本発明を具体的に説明する。
【0054】
実施例1
樹脂100重量部に対してフタロシアニン系着色剤4重量部を含み、緑色に着色された再帰反射性能を有する一層に並ぶキューブコーナー型素子の連続層の上に、厚さ50μmの光透過性保護フイルムを積層した。次に、得られた積層フイルムのキューブコーナー型素子の連続層側に厚さ60μmの白色ポリエステルフィルムを重ねて置き、加熱エンボス成形により両フイルム部分的に連結して再帰反射シートを造った。
【0055】
アクリル樹脂100重量部に対し、紫外線蛍光発光着色剤100重量部、フタロシアニン系着色剤、0.7重量部を含み、緑色に着色された厚さ75μmの紫外線蛍光発光フイルムを作製し、背面に感圧接着剤層(日本カーバイド工業製KP−1656を使用して製造)を積層して紫外線蛍光発光フイルムの接着シートを造った。
【0056】
得られた紫外線蛍光発光フィルムの接着シートを、3mm幅の短冊状に切断した。その後、先に作った再帰反射シートの表面に2mmの間隔で平行に貼りつけた。これにより、表面積において再帰反射部分が40%、紫外線蛍光発光部分が60%となる同色発色性紫外線蛍光発光再帰反射シートを作製した。
【0057】
得られたシートは表1、表2に示す通り様々な光学的環境下において近似した色相を示し、且つ、表3に示すとおり標識として用いた時、様々な光学的環境下において優れた視認性を示すものであった。
【0058】
実施例2
紫外線蛍光発光フィルムの切断する幅を1mmとし、4mmの間隔で再帰反射シートに貼り付けることにより表面積において再帰反射部分が80%、紫外線蛍光発光部分が20%とした以外は全て実施例と同様にして同色発色性紫外線蛍光発光再帰反射シートを作製した。
【0059】
得られたシートは表1、表2に示す通り様々な光学的環境下において近似した色相を示し、且つ、表3に示すとおり標識として用いた時、様々な光学的環境下において優れた視認性を示すものであった。
【0060】
実施例3
再帰反射要素としてキューブコーナー型素子の連続層の代わりに、屈折率1.9の球状ガラスビーズレンズの半球面をアルミニウム蒸着膜で覆ったレンズ型素子を白色樹脂フイルム上の全面にわたって一層に並べたレンズ型素子の連続層を有するフイルムを用い、該フイルムと樹脂100重量部に対してフタロシアニン系着色剤4重量部を含み緑色に着色された厚さ75μmの透明着色フイルムとを重ねて加熱エンボスして両フイルムを部分的に連結して再帰反射シートを作った以外は全て実施例1と同様にして同色発色性紫外線蛍光発光再帰反射シートを作った。
【0061】
得られたシートは表1、表2に示す通り様々な光学的環境下において近似した色相を示し、且つ、表3に示すとおり標識として用いた時、様々な光学的環境下において優れた視認性を示すものであった。
【0062】
比較例1
市販されている紫外線蛍光発光再帰反射シート(日本カーバイド工業株式会社製、商品名ムーンボウライトMB−860)の性能を評価した。
【0063】
市販の紫外線蛍光発光再帰反射シートは表1、表2に示す通り可視光線下における色相、紫外線光下における色相とが異なり、表3に示すとおり標識として用いた時、可視光線下と再帰反射光下において視認性が劣るものであった。
【0064】
なお、表1、表2に記載した各項目の測定は以下の方法により実施した。
【0065】
(1)可視光下の色相
各単体シートから、5cmX5cmの試験片を切り取り、日本電色工業(株)SE−2000をもちいて測定した。
【0066】
(2)紫外線光下の色相
各単体シートから、5cmX5cmの試験片を切り取り、(株)村上色彩技術研究所 高速分光光度計、色差計CMS−1200を用いて測定した。
【0067】
(3)色差
ΔEab=((ΔL*)2+(Δa*)2 +(Δb*)2)0 . 5
により表した。
【0068】
(4)紫外線蛍光発光部分の面積割合
紫外線蛍光発光部分の面積割合は、紫外線蛍光発光シートに空けられた穴の面積により表され、1−(穴面積/全面積)で算出される。もしくは、短冊状に紫外線蛍光発光シートを切断した物を間隔をあけて再帰反射シートに貼りつけることにより作成した紫外線蛍光発光再帰反射シートにおいては、紫外線蛍光発光部分の面積割合は(紫外線蛍光発光シートの短冊幅/(紫外線蛍光発光シートの短冊幅+間隔幅))で表される。
【0069】
【表1】
【0070】
【表2】
【0071】
【表3】
【0072】
【発明の効果】
本発明の同色発色性紫外線蛍光発光再帰反射シートは、再帰反射要素を含む再帰反射部分と紫外線蛍光発光着色剤を含む紫外線蛍光発光部分とからなり、得られたシートは様々な光学的環境下において近似した色相を示し、且つ、標識として用いた時、様々な光学的環境下において優れた視認性を示すものであった。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の同色発色性紫外線蛍光発光再帰反射シートの一態様であるカプセルキューブコーナー型再帰反射構造を用いた同色発色性紫外線蛍光発光再帰反射シートの断面構成を模式的に示したものである。
【図2】図2は本発明の同色発色性紫外線蛍光発光再帰反射シートの一態様であるカプセルキューブコーナー型再帰反射構造を用いた同色発色性紫外線蛍光発光再帰反射シートの平面構成を模式的に示したものである。
【図3】図3は本発明の同色発色性紫外線蛍光発光再帰反射シートを用いた標識の断面構成を模式的に示したものである。
【符号の説明】
1 再帰反射部分
2 紫外線蛍光発光部分
3 光透過性保護フィルム
4 ベースフィルム
5 カプセル
6 連結壁
7 キューブコーナー型反射素子
8 再帰反射シート
9 被着体
10 接着剤層
11 同色発色性紫外線蛍光発光再帰反射シートA
12 同色発色性紫外線蛍光発光再帰反射シートB
Claims (8)
- 再帰反射性要素を含む再帰反射部分と、紫外線蛍光発光着色剤を含む紫外線蛍光発光部分からなる紫外線蛍光発光再帰反射シートにおいて、再帰反射部分の可視光下におけるLab表色系で測定された色相と紫外線蛍光発光部分の可視光下におけるLab表色系で測定された色相とのΔE ab = ((ΔL * ) 2 +(Δa * ) 2 +(Δb * ) 2 ) 0 . 5 で計算された色差が20以内で、再帰反射部分の可視光下におけるLab表色系で測定された色相と紫外線蛍光発光部分の紫外線光下におけるLab表色系で測定された色相とのΔE ab = ((ΔL * ) 2 +(Δa * ) 2 +(Δb * ) 2 ) 0 . 5 で計算された色差が100以内であることを特徴とする同色発色性紫外線蛍光発光再帰反射シート。
- 再帰反射部分と紫外線蛍光発光部分が、再帰反射部分を含む再帰反射シートと、該再帰反射シートの表面上に該表面の一部を覆うようにして設けられた紫外線蛍光発光部分とからなる請求項1の同色発色性紫外線蛍光発光再帰反射シート。
- 再帰反射部分が、光透過性保護フイルムと、ベースフイルムと、両フイルム間に多数のカプセルが形成されるようにして両フイルムを部分的に連結する連結壁よりなり、該カプセル中には多数の再帰反射性要素が含まれているカプセル型再帰反射構造からなる請求項1〜2の同色発色性紫外線蛍光発光再帰反射シート。
- 再帰反射性要素が、高屈折率透明微少球と光反射膜からなるレンズ型再帰反射性要素である請求項3の同色発色性紫外線蛍光発光再帰反射シート。
- 再帰反射性要素が、高屈折率キューブコーナー素子からなるキューブコーナー型再帰反射性要素である請求項3の同色発色性紫外線蛍光発光再帰反射シート。
- 紫外線蛍光発色部分が、少なくとも紫外線蛍光発光着色剤と有機顔料、有機染料、蛍光顔料、蛍光染料の中から選ばれる1種以上の可視光発色着色剤を主成分として着色されている請求項1〜5のいずれかの同色発色性紫外線蛍光発光再帰反射シート。
- 紫外線蛍光発光部分が、少なくとも、紫外線蛍光発光着色剤を含む層と、該紫外線蛍光発光着色剤を含む層の背面に設けられた白色層を含む多層構造層である請求項1〜6のいずれかの同色発色性紫外線蛍光発光再帰反射シート。
- 紫外線蛍光発光部分が占有する面積が、同色発色性紫外線蛍光発光再帰反射シートの表面の20%〜80%である請求項2の同色発色性紫外線蛍光発光再帰反射シート。
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