JP4260651B2 - スパッタリングターゲット及び光情報記録媒体 - Google Patents
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しかし、今日Blue-Rayに代表される書き換え型DVDは、さらに書き換え回数の増加、大容量化、高速記録化が強く求められている。
また、大容量化、高速記録化のため高反射率で高熱伝導特性を有する純AgまたはAg合金が反射層材に使用されるようになったが、このような反射層も保護層材であるZnS−SiO2と接するように配置されている。
したがって、この場合も同様に、ZnS−SiO2からの硫黄成分の拡散により、純AgまたはAg合金反射層材も腐食劣化して、光情報記録媒体の反射率等の特性劣化を引き起こす要因となっていた。
上記のような問題を解決するため、保護層材に硫化物を含まない酸化物のみの材料へと置き換え、ZnS−SiO2と同等以上の光学特性、非晶質安定性を有する材料系を見出すことが急務となっていた。
しかし、特許文献1〜3は、光学特性及び非晶質性が劣る領域を含む問題があった。
また、本材料系を使用することにより、光情報記録媒体の特性改善が可能となるという優れた効果を有する。
ガラス形成酸化物5mol%未満の添加では、非晶質安定化の十分な効果が得られず、また50mol%を超える添加では、光学特性(屈折率、透過率)が不適となって、良好な特性が得ることができない。したがって、ガラス形成酸化物を5〜50mol%の範囲の添加とするのが望ましい。
本材料は、上記の通り非晶質性が安定し、透過率を向上させることが出来るため、書換え速度の速い相変化記録媒体や青色レーザー系の相変化記録媒体用保護層材に適する。
上記に述べるスパッタリングターゲットを使用して、少なくとも薄膜として光情報記録媒体構造の一部を形成する光情報記録媒体を提供することができる。さらに、上記スパッタリングターゲットを使用して、少なくとも薄膜として光情報記録媒体の構造の一部を形成し、且つ記録層又は反射層と隣接して配置されている光情報記録媒体を作製することができる。
また、大容量化、高速記録化のため、高反射率で高熱伝導特性を有する純AgまたはAg合金が反射層材に使用されるようになったが、この隣接する反射層への硫黄成分の拡散も無くなり、同様に反射層材が腐食劣化して、光情報記録媒体の反射率等の特性劣化を引き起こす原因が一掃されるという優れた効果を有する。
本発明のスパッタリングターゲットの密度向上は、空孔を減少させ結晶粒を微細化し、ターゲットのスパッタ面を均一かつ平滑にすることができるので、スパッタリング時のパーティクルやノジュールを低減させ、さらにターゲットライフも長くすることができるという著しい効果を有し、品質のばらつきが少なく量産性を向上させることができる。
4N相当で5μm以下のSiO2粉粉及び4N相当で平均粒径5μm以下のY2O3粉を準備し、表1に示す組成となるように調合して、湿式混合し、乾燥後、1100°Cで仮焼した。
さらに、この仮焼粉を平均粒径1μm相当まで湿式微粉砕した後、バインダーを添加してスプレードライヤーで造粒した。この造粒粉を冷間で加圧成形し、酸素雰囲気、1400°Cで常圧焼結し、この焼結材を機械加工でターゲット形状に仕上げた。このターゲットの成分組成を表1に示す。
成膜サンプルの透過率(波長405nm)%、屈折率(波長405nm)、非晶質性(成膜サンプルのアニール処理(600°C×30min、Ar雰囲気)を施した、XRD(Cu−Kα、40kV、30mA)による測定における2θ=20−60°の範囲の未成膜ガラス基板に対する最大ピーク強度で表した)の測定した結果等を、まとめて表1に示す。
スパッタ膜の透過率は、95〜96%(405nm)に達し、屈折率は1.7〜1.9であり、また特定の結晶ピークは見られず、安定した非晶質性(1.0〜1.1)を有していた。
本実施例のターゲットは、ZnSを使用していないので、硫黄の拡散・汚染による光情報記録媒体の特性劣化は生じない。また、後述する比較例に比べて、成膜サンプルの透過率、屈折率、非晶質の安定性が、いずれも良好な値を示した。
表1に示すように、本願発明の条件とは異なる原料粉の成分及び組成比の材料、特に比較例3においてはZnS原料粉を準備し、これを実施例と同様の条件で、ターゲットを作製し、かつこのターゲットを用いてスパッタ膜を形成した。
この結果を、同様に表1に示す。
比較例2はSi酸化物量が多いために、屈折率が基準よりも低下した。
また、特に比較例3はZnSが多く含有されており、硫黄による汚染の危険のある材料であった。
さらに、非晶質性が安定化するとともにターゲットに導電性が付与され、相対密度を90%以上の高密度化によって、安定したRFスパッタ成膜を可能とする。そして、スパッタの制御性を容易にし、スパッタリング効率を向上させることができるという著しい効果がある。さらにまた、成膜の際にスパッタ時に発生するパーティクル(発塵)やノジュールを低減し、品質のばらつきが少なく量産性を向上させることができ、光ディスク保護膜をもつ光記録媒体を低コストで安定して製造できるという著しい効果がある。
Claims (5)
- Y2O3を主成分とし、ガラス形成酸化物を5〜50mol%添加した材料から成ることを特徴とするスパッタリングターゲット。
- ガラス形成酸化物として、SiO2を添加したことを特徴とする請求項1記載のスパッタリングターゲット。
- 相対密度が90%以上であることを特徴とする請求項1又は2記載のスパッタリングターゲット。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のスパッタリングターゲットを使用して、少なくとも薄膜として光情報記録媒体構造の一部が形成されていることを特徴とする光情報記録媒体。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のスパッタリングターゲットを使用して、少なくとも薄膜として光情報記録媒体の構造の一部を形成し、且つ記録層又は反射層と隣接して配置されていることを特徴とする光情報記録媒体。
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