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JP4259532B2 - 演奏制御装置、およびプログラム - Google Patents

演奏制御装置、およびプログラム Download PDF

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JP4259532B2 JP2006073062A JP2006073062A JP4259532B2 JP 4259532 B2 JP4259532 B2 JP 4259532B2 JP 2006073062 A JP2006073062 A JP 2006073062A JP 2006073062 A JP2006073062 A JP 2006073062A JP 4259532 B2 JP4259532 B2 JP 4259532B2
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Description

この発明は、演奏者の操作に基づいて、演奏曲データを所定時間長シーケンスし、自動演奏を行う演奏制御装置、およびプログラムに関する。
従来より、演奏者の操作に対して楽音を発生する電子楽器が知られている。このような電子楽器は、例えばピアノ等をモデルとしており、自然楽器のピアノと同様の演奏操作を行うものが一般的であった。この様な電子楽器は演奏に熟練を要し、習熟に時間がかかるものである。
しかし、近年は楽器の操作に不慣れな者が容易に演奏することができる楽器を実現することが望まれており、例えば特許文献1のようなものが提案されている。特許文献1の電子楽器は、演奏者が簡易な操作(手で振る操作)を行うと、ある程度の長さの楽音(例えば1/2小節程度)が自動演奏されるものである。特許文献1には、複数の子機と1台の親機とで構成される音楽楽器が記載されている。
この様な電子楽器は、演奏者の演奏操作態様に応じて楽音を発音する。すなわち、演奏者が操作子を用いて演奏操作を行うと、子機から親機に、演奏者の演奏操作の強さの情報(本明細書では拍打ベロシティと言う。)が転送される。親機においては、その子機に割り当てたパートの楽音データを読み出し、上記の拍打ベロシティと、楽音データに予め記載された強さ情報(本明細書では楽音ベロシティと言う。)と、に基づいて楽音の音色等を決定する。また、楽音データに予め記載された音量情報に基づいて発音音量を決定し、この楽音を発音する。なお、一般的な電子楽器は、演奏者が音量を指定するための操作子(ボリュームスライダ等)を備えおり、これにより指定された音量情報も加味した音量で楽音を発音する。
特許文献1の電子楽器は、演奏者が一度演奏操作を行うと、この操作により決定された音色で、ある程度の長さの楽音(例えば1/2小節程度)が自動発音される。発音中の各音の音量は楽音データの記載に基づいて決定される。一旦発音を開始した楽音については(その楽音の発音中においては)演奏者がどのような操作をしても音量変化せず、音を次第に強くする演奏(クレッシェンド)表現、音を次第に弱くする演奏(デクレッシェンド)表現をすることができなかった。
音の強弱の変化を実現するものとして、楽音データの任意の部分にクレッシェンド、デクレッシェンドの演奏表現を付加する自動演奏装置が提案されている(例えば特許文献2参照)。また、演奏操作子の操作によりサブパートデータの音量の指示を可能にした電子楽器が提案されている(例えば特許文献3参照)。
特開2000−276141号公報 特開平10−222163号公報 特開2002−328676号公報
特許文献2の自動演奏装置は、楽音データを編集可能にし、楽音全体の音量変化のカーブに従ってベロシティ(ここでは楽音ベロシティ)を変化させるものである。したがって、演奏者の操作による拍打ベロシティによってリアルタイムに楽音のダイナミクス(音量)を制御することはできなかった。
また、特許文献3の電子楽器は、演奏者の操作によって、サブパートの音量をリアルタイムに変化させるものであるが、例えばメインパートにおいて、一旦発音された長い楽音については、発音中に演奏者が操作してもその音量が変化するものではなかった。したがって、上記の特許文献2と同様に、演奏者の操作による拍打ベロシティによってリアルタイムに楽音のダイナミクスを制御することはできず、クレッシェンド、デクレッシェンドの演奏表現を実現できるものではなかった。
この発明は、発音中の楽音であっても、リアルタイムに演奏者の操作をダイナミクス変化に反映し、クレッシェンド、デクレッシェンドの演奏表現を実現することができる演奏制御装置、およびプログラムを提供することを目的とする。
この発明の演奏制御装置は、使用者の演奏操作により、自動演奏の演奏タイミングの指示情報、および演奏操作の強さを演奏強度情報として発生する演奏操作子と、各楽音の音量、強さを含む音符情報のシーケンスデータからなる演奏曲データを記憶する記憶手段と、前記演奏タイミングの指示情報に基づくテンポで、前記演奏曲データを前記記憶手段から読み出し、各楽音の強さ情報、および音量情報が含まれる発音指示データを生成する演奏制御手段と、を備え、前記演奏制御手段は、前記演奏タイミングが、前記各楽音の音符情報を読み出すタイミングと一致するとき、その演奏タイミングにおける演奏強度情報、および読み出した音符情報に含まれる楽音の音量、強さに基づいて、その楽音の発音指示データの音量情報、強さ情報を決定し、前記演奏タイミングが、先に読み出した音符情報による楽音の発音中であるとき、その演奏タイミングにおける演奏強度情報、および先に読み出した音符情報に含まれる楽音の音量、強さに基づいて、その楽音の発音指示データの音量情報、強さ情報を再決定することを特徴とする。
この発明では、演奏操作子を用いて演奏者が演奏操作(例えば打鍵)を行うと、この演奏操作の強さに応じた操作信号が生成される。ここで、演奏操作の強さとは、拍打ベロシティ(すなわち打鍵の強さ)を表す。演奏者の打鍵は、演奏タイミング毎に行われる。この演奏タイミングは、1拍毎、2拍毎、1/2拍毎等、一定間隔毎に、例えばガイド役であるファシリテータの指揮で示される。演奏装置は、拍打ベロシティと演奏曲データ(例えばMIDIデータ)に基づいて、各楽音の音量、強さ(主として音質に関する項目)等を決定する。演奏装置は、演奏端末から送信されてくる拍打ベロシティ、および演奏曲データに含まれる楽音ベロシティに基づいて音色を決定し、また、拍打ベロシティ、および演奏曲データに含まれる音量情報に基づいて音量を決定する。ここで、演奏タイミングが1拍毎である場合において、発音した楽音が2拍にまたがる楽音であった場合、2拍目の打鍵時に入力される拍打ベロシティに基づいて発音指示データの音量を更新する。これにより、一音が長い楽音(2分音符など)を発音中であっても、演奏者が打鍵を強くしてダイナミクス変化をつけた場合に、これを反映した音量がリアルタイムに決定されるのでクレッシェンドの演奏表現が実現される。
この発明は、さらに、使用者による音量指定操作を音量指定情報として発生する音量指定子を備え、前記演奏制御手段は、各楽音の音符情報を読み出すとき、前記演奏タイミングと一致しない場合は、前記音量指定情報、および読み出した音符情報に含まれる楽音の音量、強さに基づいて、その楽音の発音指示データの音量情報、強さ情報を決定することを特徴とする。
この発明では、音量指定子(ボリュームペダルなど)を用いて演奏者が音量指定操作を行うと、この音量指定値に応じた音量指定情報が生成される。ここで、演奏タイミングが1拍毎である場合において、演奏タイミングと演奏タイミングの間に楽音を発音する場合(例えば8分音符を2つ発音する場合)、既に入力されている拍打ベロシティ、その時の音量指定情報、および演奏曲データに含まれる音量情報に基づいて、その楽音の音量を決定する。
この発明の演奏制御装置は、使用者の演奏操作により、自動演奏の演奏タイミングの指示情報、および演奏操作の強さを演奏強度情報として発生する演奏操作子と、使用者による音量指定操作を音量指定情報として発生する音量指定子と、各楽音の音量、強さを含む音符情報のシーケンスデータからなる演奏曲データを記憶する記憶手段と、前記演奏タイミングの指示情報に基づくテンポで、前記演奏曲データを前記記憶手段から読み出し、各楽音の強さ情報、および音量情報が含まれる発音指示データを生成する演奏制御手段と、を備え、前記演奏制御手段は、前記演奏タイミングが、前記各楽音の音符情報を読み出すタイミングと一致するとき、その演奏タイミングにおける演奏強度情報、前記音量指定情報、および読み出した音符情報に含まれる楽音の音量、強さに基づいて、その楽音の発音指示データの音量情報、強さ情報を決定し、各楽音の音符情報を読み出すとき、前記演奏タイミングと一致しない場合は、前記音量指定情報、および読み出した音符情報に含まれる楽音の音量、強さに基づいて、その楽音の発音指示データの音量情報、強さ情報を決定することを特徴とする。
この発明では、演奏操作子を用いて演奏者が演奏操作を行うと、この演奏操作の強さに応じた操作信号が生成される。また、音量指定子を用いて演奏者が音量指定操作を行うと、この音量指定値に応じた音量指定情報が生成される。ここで、演奏操作の強さとは、拍打ベロシティを表す。演奏者の打鍵は、演奏タイミング毎に行われる。この演奏タイミングは、1拍毎、2拍毎、1/2拍毎等、一定間隔毎に、例えばガイド役であるファシリテータの指揮で示される。演奏装置は、拍打ベロシティ、音量指定情報、および演奏曲データ(例えばMIDIデータ)に基づいて、各楽音の音量、強さ(主として音質に関する項目)等を決定する。ここで、演奏タイミングが1拍毎である場合において、演奏タイミングと演奏タイミングの間に楽音を発音する場合(例えば8分音符を2つ発音する場合)、既に入力されている拍打ベロシティ、その時の音量指定情報、および演奏曲データに含まれる音量情報に基づいて、その楽音の音量を決定する。
この発明のプログラムは、使用者の演奏操作により、自動演奏の演奏タイミングの指示情報、および演奏操作の強さを演奏強度情報として発生する演奏操作子と、各楽音の音量、強さを含む音符情報のシーケンスデータからなる演奏曲データを記憶する記憶手段と、を備えた演奏制御装置に、前記演奏タイミングの指示情報に基づくテンポで、前記演奏曲データを前記記憶手段から読み出し、各楽音の強さ情報、および音量情報が含まれる発音指示データを生成する演奏制御処理と、前記演奏タイミングが、前記各楽音の音符情報を読み出すタイミングと一致するとき、その演奏タイミングにおける演奏強度情報、および読み出した音符情報に含まれる楽音の音量、強さに基づいて、その楽音の発音指示データの音量情報、強さ情報を決定する決定処理と、前記演奏タイミングが、先に読み出した音符情報による楽音の発音中であるとき、その演奏タイミングにおける演奏強度情報、および先に読み出した音符情報に含まれる楽音の音量、強さに基づいて、その楽音の発音指示データの音量情報、強さ情報を再決定する再決定処理と、を実行させることを特徴とする。
この発明は、さらに、使用者による音量指定操作を音量指定情報として発生する音量指定子をさらに備えた前記演奏制御装置に、各楽音の音符情報を読み出すとき、前記演奏タイミングと一致しない場合は、前記音量指定情報、および読み出した音符情報に含まれる楽音の音量、強さに基づいて、その楽音の発音指示データの音量情報、強さ情報を決定する読み出し時決定処理、を実行させることを特徴とする。
この発明によれば、発音中の楽音であっても、リアルタイムに演奏者の操作によるダイナミクス変化を反映し、クレッシェンド、デクレッシェンドの演奏表現を実現することができる。
図面を参照して、本発明の実施形態に係る合奏システムについて説明する。図1は、本実施形態に係る合奏システムの構成を示すブロック図である。この合奏システムは、コントローラ1と、コントローラ1にMIDIインタフェースボックス3を介して接続される複数(同図においては6台)の演奏端末2(2A〜2F)と、を備えている。この実施形態では、MIDIインタフェースボックス3を介することで、コントローラ1に各演奏端末2が別々のMIDI系統で接続されている。なお、MIDIインタフェースボックス3はコントローラ1とUSBで接続されている。
本実施形態に係る合奏システムでは、コントローラ1が各演奏端末2A〜2Fで異なった演奏パートの自動演奏を行うように各演奏端末2の演奏を制御し、これによって合奏が行われる。演奏パートとは、同一の合奏曲を構成する各旋律等である。演奏パートは、例えば、1または複数のメロディパート、リズムパート、異なった楽器による複数の伴奏パート等がある。
本合奏システムでは、各演奏端末2が完全に自動演奏を行うのではなく、各演奏パートの所定時間長のデータ毎(例えば1/2小節の区分データ毎)に各演奏端末2の演奏者による演奏操作によって音量、強さ、タイミング、及びテンポの指示等が行われる。本合奏システムでは、各演奏者が特定の操作タイミングで演奏操作を行った場合に、好適な演奏タイミングで合奏が行われるようになっている。
この操作タイミングは各演奏端末2で共通にしてもよく、例えばガイド役であるファシリテータ(例えば演奏端末2Aの演奏者)の演奏操作、或いは手等を用いた指揮によって操作タイミングを各演奏者に示すようにしてもよい。示された操作タイミングに従って各演奏者が演奏操作を行うことができた場合に、好適な合奏が行われる。
演奏端末2は、例えば電子ピアノ等の電子鍵盤楽器により構成される。演奏端末2は、演奏者の演奏操作(例えば鍵盤におけるいずれか1つの鍵を押下する操作)を受け付ける。また、演奏端末2は、ボリュームペダル等の音量指定操作子を備えており、演奏者の音量指定操作を受け付ける。演奏端末2は、コントローラ1との通信機能を備え、演奏操作、および音量指定操作を示す操作信号をコントローラ1に送信する。この操作信号は、打鍵の強さ(拍打ベロシティ)、音量指定等の情報が含まれる。
演奏端末2は電子鍵盤楽器で構成されているため複数の鍵(操作子)を備えている。操作信号は打鍵の強さ等を示す情報だけでなく音高を示す情報が含まれているが、本実施形態のコントローラ1は、音高を示す情報は無視することで、操作信号を打鍵の強さを示すもの、および演奏操作のタイミングを示すものとして用いる。このため、何れの鍵が押鍵されても同じ強さで押下された場合には同一の操作信号がコントローラ1に送信される。これによって、演奏者は何れか1の鍵を押下するだけで演奏を行うことができ、鍵盤楽器の演奏に不慣れな演奏者であっても演奏を行うことが可能になっている。
コントローラ1は、例えばパーソナルコンピュータにより構成され、このパーソナルコンピュータに搭載されたソフトウェアによって各演奏端末2の演奏動作の制御を行う。具体的には、コントローラ1は複数の演奏パートからなる演奏曲データを記憶している。演奏曲データには、発音すべき各楽音の音量、強さ(楽音ベロシティ)、音長等が記載されている。コントローラ1は、各演奏パート(または複数の演奏パート)を合奏前に予め各演奏端末2A〜2Fに割り当てる。
コントローラ1は各演奏端末2との通信機能を備え、演奏端末2から演奏操作を示す操作信号が入力されたときに、この操作信号の出力元の演奏端末2に割り当てられた演奏パートの所定時間長の演奏曲データをシーケンスし、発音指示データとして演奏端末2に送信する。発音指示データには、発音すべきタイミング、音長、音量、音色、効果、音高変化(ピッチベンド)や、テンポ等が含まれる。
各演奏端末2では、内蔵音源を用いて、発音指示データに従って演奏パートの自動演奏が行われる。これによって、各演奏者が演奏操作によって指示した強さで、かつコントローラ1によって割り当てられた演奏パートで各演奏端末2によって演奏が行われ、この結果として合奏が行われる。なお、演奏端末2は電子ピアノに限らず、電子ギター等他の形態の電子楽器であってもよい。無論、外観上は自然楽器に限らず単にボタン等の操作子を備えた端末であってもよい。
なお、演奏端末2が音源を内蔵する必要はなく、独立した音源をコントローラ1に接続してもよい。この場合、コントローラ1に接続する音源の数は1つであってもよいし、演奏端末2と同じ数であってもよい。演奏端末2と同じ数の音源を接続する場合、コントローラ1はそれぞれの音源と演奏端末2を対応付けて演奏曲データの各パートを割り当てるようにすればよい。
次に、コントローラ1と演奏端末2の構成について詳細に説明する。
図2は、コントローラ1の構成を示すブロック図である。同図に示すように、コントローラ1は、通信部11、制御部12、HDD13、RAM14、操作部15、および表示部16を備えている。制御部12には通信部11、HDD13、RAM14、操作部15、および表示部16が接続されている。
通信部11は、演奏端末2と通信を行う回路部であり、USBインタフェースを有している。このUSBインタフェースには、MIDIインタフェースボックス3が接続され、通信部11はこのMIDIインタフェースボックス3及びMIDIケーブルを介して6台の演奏端末2と通信する。HDD13は、コントローラ1の動作用プログラムや、複数パートからなる演奏曲データを記憶している。
制御部12は、HDD13に記憶されている動作用プログラムを読み出してワークメモリであるRAM14に展開し、パート割り当て部50、シーケンス部51、および発音指示部52等の機能部を実現する。パート割り当て部50は、演奏曲データの各演奏パートを複数の演奏端末2に割り当てる。シーケンス部51は、各演奏端末2から受信した操作信号に応じて演奏曲データの各演奏パートをシーケンス(各音の音量、音色等を決定)する。発音指示部52は、シーケンス部51で決定した各音の音量、音色等を発音指示データとして演奏端末2に送信する。
操作部15は、演奏者(主にファシリテータ)がこの演奏システムの動作指示を行うためのものである。ファシリテータは、操作部15を操作し、例えば演奏する演奏曲データを指定したり、各演奏端末2の演奏パートを割り当てたりする。表示部16は、所謂ディスプレイ(モニタ)であり、ファシリテータや各演奏者はこの表示部16を見ながら演奏操作を行う。表示部16には合奏を行うための演奏タイミング等が表示される。
図3は、演奏端末2の構成を示すブロック図である。同図に示すように、演奏端末2は、通信部21、制御部22、演奏操作子である鍵盤23、音源24、スピーカ25、およびボリュームペダル26を備えている。制御部22には通信部21、鍵盤23、音源24、およびボリュームペダル26が接続されている。また、音源24にはスピーカ25が接続されている。
通信部21は、MIDIインタフェースであり、MIDIケーブルを介してコントローラ1と通信する。制御部22は、演奏端末2を統括的に制御する。
鍵盤23は、例えば61鍵や88鍵の鍵数を有し、5〜7オクターブの音域の演奏が可能であるが、この合奏システムでは鍵を区別せずにノートオン/ノートオフメッセージ、打鍵強さ(拍打ベロシティ)のデータを用いる。すなわち各鍵は、オン/オフを検出するセンサと打鍵強さを検出するセンサが内蔵されており、鍵盤23は各鍵の操作態様(どの鍵がどのような強さで打鍵されたか等)に応じて操作信号を制御部22に出力する。制御部22は、入力された操作信号に基づき、通信部21を介してコントローラ1にノートオンメッセージやノートオフメッセージを送信する。
ボリュームペダル26は、演奏者が音量指定を行うための操作子であり、演奏者の踏み込み量(すなわち音量指定値)に応じた音量指定信号を制御部22に出力する。なお、音量指定操作子はペダルに限らず、ホイール、スライダ等、その他の形式であってもよい。制御部22は、入力された音量指定信号に基づき、通信部21を介してコントローラ1に音量指定情報を送信する。
音源24は、制御部22の制御(すなわち発音指示データ)に応じて楽音波形を生成し、音声信号としてスピーカ25に出力するものである。スピーカ25は、音源24から入力された音声信号を再生し、楽音を発音する。なお、上述したように、音源とスピーカは演奏端末2に内蔵していなくともよい。音源とスピーカをコントローラ1に接続し、演奏端末2と異なる場所から楽音が発音されるようにしてもよい。各演奏端末2と同じ数の音源をコントローラ1に接続してもよいが、単一の音源を用いてもよい。
上記の動作では、鍵盤23を打鍵したとき、制御部22はノートオン/ノートオフメッセージをコントローラ1に送信し、鍵盤23によるノートメッセージではなく、コントローラ1からの指示に応じて楽音を発音(ローカルオフ)するが、上記の様な動作とは別に、一般的な電子楽器として使用することも無論可能である。鍵盤23を打鍵したとき、制御部22は当該ノートメッセージに基づいて音源24に楽音を発音(ローカルオン)するように指示することも可能である。ローカルオン、ローカルオフは使用者がコントローラ1の操作部15を用いて切替えてもよいし、演奏端末2の端末操作部(図示せず)で切替えてもよい。また、一部の鍵盤のみローカルオフし、他の鍵盤はローカルオンとなるように設定することも可能である。
従来、コントローラ1は、演奏端末2から送信されてくる拍打ベロシティと、演奏曲データに含まれる楽音ベロシティと、に基づいて総合ベロシティ値を決定し、演奏端末2から送信されてくる音量指定情報と、演奏曲データに含まれるボリューム値と、に基づいて総合ボリューム値を決定していた。その結果、発音指示データの音色、音量を決定していた。これに対し、本実施形態では、演奏端末2から送信されてくる拍打ベロシティ、音量指定情報、および演奏曲データに含まれる楽音ベロシティ、3つの情報に基づいて総合ベロシティ値を決定し、また、演奏端末2から送信されてくる拍打ベロシティ、音量指定情報、および演奏曲データに含まれるボリューム値、3つの情報に基づいて総合ボリューム値を決定する。これにより発音指示データの音色、音量を決定することが特徴であり、各音の発音中(例えば2分音符の様な長い音を発音中)であっても演奏端末3から拍打ベロシティ、または音量指定情報を受信した場合に、これらを発音指示データに反映させることが特徴である。
以下、本実施形態における発音指示データの決定動作について説明する。図4、および図5は、演奏曲データ、演奏者の拍打ベロシティ、ボリューム指定値の関係を示す図である。この例は、各演奏者がファシリテータの指示に応じて1拍毎に鍵盤23の1つの鍵を押下する例である。演奏者が鍵を押下すると、演奏者の操作信号がコントローラ1に送信され、これにより1拍分の発音指示データが決定され、楽音が発音される。
図4は、1拍毎の打鍵に応じて2分音符(すなわち2拍分)の楽音を発音する例について示したものである。まず、演奏者が打鍵すると、拍打ベロシティを含んだ操作信号がコントローラ1に送信される。ベロシティ値は0〜127の整数で示され、この例においてはベロシティ値70の情報が送信される。また、コントローラ1には、その時の演奏者のボリュームペダルの踏み込み量に応じた音量指定情報が送信されている。この音量指定情報も0〜127の整数で示され、この例においてはボリューム値80の音量指定情報が送信される。この音量指定情報は、ボリュームペダルの踏み込み量が変化したとき、演奏タイミング(打鍵)とは独立に送信されている。コントローラ1は、操作信号を受信すると、演奏曲データに記載されている楽音ベロシティ(data_velo)、拍打ベロシティ(beat_velo)、および音量指定情報(pedal_vol)から総合ベロシティ値(total_velo)を決定する。総合ベロシティ値は、以下の数式によって決定される。
Figure 0004259532
ここで、x1、y1、z1は各値の総合ベロシティ値に対するウェイトを表し、任意の値である。ただし、拍打ベロシティに比較して音量指定情報の総合ベロシティ値に対するウェイトは低いものとする。総合ベロシティ値に対する拍打ベロシティのウェイトを高くすることで、自然なダイナミクス変化を実現できる。
また、演奏曲データに記載されているボリューム値(data_vol)、拍打ベロシティ(beat_velo)、および音量指定情報(pedal_vol)から総合ボリューム値(total_vol)を決定する。総合ボリューム値は、以下の数式によって決定される。
Figure 0004259532
ここで、x2、y2、z2は各値の総合ボリューム値に対するウェイトを表し、任意の値である。ただし、音量指定情報に比較して拍打ベロシティの総合ボリューム値に対するウェイトは低いものとする。総合ボリューム値に対する音量指定情報のウェイトを高くすることで、自然なダイナミクス変化を実現できる。この総合ボリューム値は、演奏タイミングとは非同期で送信されている音量指定情報に変化が有れば、都度更新される。すなわち、打鍵時であっても、打鍵時でなくても総合ボリューム値は更新される。例えば同図に示すように、楽音を発音してから半拍後にボリューム値(ボリュームペダルの音量指定情報)が70に変更されたとすると、このボリューム値を総合ボリューム値に反映させる。なお、演奏曲データに記載されているボリューム値に変更が有った場合においても総合ボリューム値を変更するものである。
演奏タイミングにおいて、決定した総合ベロシティ値と総合ボリューム値とから、その拍分の楽音の音色、音量を決定する。コントローラ1は、決定した発音指示データを演奏端末2に返信し、これによりまず1拍分の楽音が演奏端末2において発音される。なお、この例においては2分音符の発音指示データが送信されるため、演奏端末2においては、次の拍に対応する発音指示データを受信するまで発音が終了しない(すなわち拍子が進まない)。
次に演奏者が打鍵すると、上記と同様に拍打ベロシティを含んだ操作信号がコントローラ1に送信される。この例においては2拍目にベロシティ値90の情報が送信される。コントローラ1は、操作信号を受信すると、この新たに入力された拍打ベロシティ、音量指定情報、および、先ほどの拍で既に読み出していた演奏曲データに記載されているボリューム値、に基づいて総合ボリューム値を更新する。また、総合ベロシティ値は、上記数式1によって更新される。
これによりコントローラ1は、発音指示データに含まれる楽音の音量を更新し、この発音指示データを再度演奏端末に送信する。演奏端末2は、受信した発音指示データに基づいて、発音中である2分音符の楽音の音量を変更する。コントローラ1は、1拍目に2分音符の発音指示データを送信しているので、演奏端末2において発音される楽音の音高等は変更されないが、音量が変更される。このため、演奏者は、クレッシェンド、デクレッシェンドの演奏表現を実現することができる。
次に、図5は、1拍毎の打鍵に応じて8分音符(すなわち1/2拍分)の楽音を発音する例について示したものである。まず、演奏者が打鍵すると、拍打ベロシティを含んだ操作信号がコントローラ1に送信される。この例においてはベロシティ値70の情報が送信される。また、コントローラ1には、その時の演奏者のボリュームペダルの踏み込み量に応じた音量指定情報が送信される。この例においてはボリューム値80の情報が送信される。コントローラ1は、操作信号を受信すると、演奏曲データに記載されている楽音ベロシティ、拍打ベロシティ、および音量指定情報から総合ベロシティ値を決定する。この例においては、演奏曲データに1拍中に8分音符を2つ発音する旨が記載されているため、それぞれの発音について総合ベロシティ値を決定する。総合ベロシティ値は、上記数式1によって決定される。
また、演奏曲データに記載されているボリューム値、拍打ベロシティ、および音量指定情報から総合ボリューム値を決定する。総合ボリューム値は、上記数式2によって決定される。図5の例においては、演奏曲データに1拍中に8分音符を2つ発音する旨が記載されているため、それぞれの発音について総合ボリューム値を決定する。そして、決定した総合ベロシティ値と総合ボリューム値とから、その拍分の各8分音符に対応する楽音の音色、音量を決定する。コントローラ1は、決定した発音指示データを演奏端末2に返信し、これによりまず1拍分の楽音のうち最初の8分音符が演奏端末2において発音され、その後2音目の8分音符が発音される。
ここで、打鍵時でなくとも、新たな楽音発音時であり、ボリューム値が変更された場合は、総合ベロシティ値も変更する。例えば同図に示すように、楽音を発音してから半拍後にボリューム値が70に変更されたとすると、このボリューム値を総合ボリューム値に反映させる。この総合ボリューム値も上記数式2により更新される。これと同時に、コントローラ1は、このボリューム値、演奏曲データに記載されている楽音ベロシティ、および先ほどの打鍵時で既に入力されていた拍打ベロシティから総合ベロシティ値を更新する。この総合ベロシティ値も上記数式1により更新される。コントローラ1は、この更新した総合ボリューム値、総合ベロシティ値に基づいて2音目の8分音符の発音指示データを変更する。これにより、演奏者の音量指定操作に応じた音色、音量に変更される。
次に、演奏者が打鍵すると、上記と同様に拍打ベロシティを含んだ操作信号がコントローラ1に送信される。この例においては2拍目にベロシティ値90の情報が送信される。コントローラ1は、操作信号を受信すると、この新たに入力された拍打ベロシティ、音量指定情報、および、演奏曲データに記載されている楽音ベロシティ、に基づいて総合ベロシティ値を新たに決定する。図4においては2分音符の発音中であったため、総合ボリューム値を更新するようにしたが、この例では、新たな8分音の楽音を発音するため、総合ベロシティ値を新たに決定する。総合ベロシティ値は、上記数式1によって新たに決定される。
また、新たに入力された拍打ベロシティ、音量指定情報、および、演奏曲データに記載されているボリューム値、に基づいて総合ボリューム値を新たに決定する。総合ボリューム値は、上記数式2によって新たに決定される。そして、決定した総合ベロシティ値と総合ボリューム値とから、その拍分の8分音符に対応する楽音の音色、音量を決定する。コントローラ1は、決定した発音指示データを演奏端末2に返信し、これにより1拍分の楽音のうち8分音符が演奏端末2において発音される。
以上のようにして、本実施形態に係る合奏システムは、楽音を発音中であっても、演奏端末2から送信されてくる拍打ベロシティ、音量指定情報、に基づいて総合ボリューム値を更新するため、クレッシェンド、デクレッシェンドの演奏表現を実現することができる。また、演奏タイミングでなくとも、新たな楽音を発音するタイミングである場合は、演奏端末2から送信されてくる音量指定情報、既に入力された拍打ベロシティ、に基づいて総合ベロシティ値を更新するため、この場合においてもクレッシェンド、デクレッシェンドの演奏表現を実現することができる。
なお、上記例においては、1拍毎に打鍵する例について説明したが、演奏タイミングは、1拍に限定するものではない。例えば2拍毎であってもよいし、1/2拍毎であってもよい。いずれにしても、一定間隔毎であればよい。
なお、発音指示データに含まれるテンポについて、ノートオンからノートオフまでの時間(ゲートタイムとする)に基づいて決定してもよいが、以下のようにして決定してもよい。すなわち、複数回(直近から数回前)の打鍵について、ゲートタイムの移動平均を算出し、これに時間による重み付けを行う。直近の打鍵について最も重み付けを大きくし、過去の打鍵になるほど重み付けを小さくする。このようにしてテンポを決定することで、ある打鍵の時のみゲートタイムが大きく変化したとしても突然にテンポが変化せず、曲の流れに応じて違和感無くテンポ変化を行うことができる。
なお、ノートオフメッセージが入力されるまでは、小節内で最初に発音した楽音がそのまま発生するよう指示されるため、演奏端末2(音源24)はユーザが鍵盤から指を戻すまでは同一楽音を鳴らし続けることとなり、この合奏システムにおいては、音を延ばす演奏表現(フェルマータ)を実現することができる。
また、上記のようにしてGateTimeの移動平均によりテンポを決定することで、以下のような演奏表現を実現することもできる。例えば、コントローラ1の制御部12(シーケンス部51)は、ある打鍵の時のみ短くポンと押された場合、その拍分の各音の音長を短く決定し、一方でゆったりと押された場合その拍分の各音の音長を長く決定する。これにより、演奏端末2によって、テンポは大きく変化しないが各音の歯切れをよくする演奏表現(スタッカート)を実現したり、テンポを大きく変化させずに音の長さを保つ演奏表現(テヌート)を実現したりすることができる。
なお、この実施形態においてはいずれの鍵が打鍵されたとしても同じノートオンメッセージ、ノートオフメッセージがコントローラ1に送信されるが、上記のようにスタッカートやテヌートが効く鍵と効かない鍵とが鍵盤23において分けられてもよい。コントローラ1は、特定の鍵(例えばE3)からのノートオンメッセージ、ノートオフメッセージが入力された場合のみ、テンポを保ちながら音長を変化させるようにすればよい。
合奏システムの構成を示すブロック図 コントローラ1の構成を示すブロック図 演奏端末2の構成を示すブロック図 (2分音符を発音する場合に)演奏曲データ、演奏者の拍打ベロシティ、ボリューム指定値の関係を示す図 (8分音符を発音する場合に)演奏曲データ、演奏者の拍打ベロシティ、ボリューム指定値の関係を示す図
符号の説明
1−コントローラ
2(2A〜2F)−演奏端末

Claims (5)

  1. 使用者の演奏操作により、自動演奏の演奏タイミングの指示情報、および演奏操作の強さを演奏強度情報として発生する演奏操作子と、
    各楽音の音量、強さを含む音符情報のシーケンスデータからなる演奏曲データを記憶する記憶手段と、
    前記演奏タイミングの指示情報に基づくテンポで、前記演奏曲データを前記記憶手段から読み出し、各楽音の強さ情報、および音量情報が含まれる発音指示データを生成する演奏制御手段と、
    を備え、
    前記演奏制御手段は、前記演奏タイミングが、前記各楽音の音符情報を読み出すタイミングと一致するとき、その演奏タイミングにおける演奏強度情報、および読み出した音符情報に含まれる楽音の音量、強さに基づいて、その楽音の発音指示データの音量情報、強さ情報を決定し、
    前記演奏タイミングが、先に読み出した音符情報による楽音の発音中であるとき、その演奏タイミングにおける演奏強度情報、および先に読み出した音符情報に含まれる楽音の音量、強さに基づいて、その楽音の発音指示データの音量情報、強さ情報を再決定する演奏制御装置。
  2. 使用者による音量指定操作を音量指定情報として発生する音量指定子を備え、
    前記演奏制御手段は、各楽音の音符情報を読み出すとき、前記演奏タイミングと一致しない場合は、前記音量指定情報、および読み出した音符情報に含まれる楽音の音量、強さに基づいて、その楽音の発音指示データの音量情報、強さ情報を決定する請求項1に記載の演奏制御装置。
  3. 使用者の演奏操作により、自動演奏の演奏タイミングの指示情報、および演奏操作の強さを演奏強度情報として発生する演奏操作子と、
    使用者による音量指定操作を音量指定情報として発生する音量指定子と、
    各楽音の音量、強さを含む音符情報のシーケンスデータからなる演奏曲データを記憶する記憶手段と、
    前記演奏タイミングの指示情報に基づくテンポで、前記演奏曲データを前記記憶手段から読み出し、各楽音の強さ情報、および音量情報が含まれる発音指示データを生成する演奏制御手段と、
    を備え、
    前記演奏制御手段は、前記演奏タイミングが、前記各楽音の音符情報を読み出すタイミングと一致するとき、その演奏タイミングにおける演奏強度情報、前記音量指定情報、および読み出した音符情報に含まれる楽音の音量、強さに基づいて、その楽音の発音指示データの音量情報、強さ情報を決定し、
    各楽音の音符情報を読み出すとき、前記演奏タイミングと一致しない場合は、前記音量指定情報、および読み出した音符情報に含まれる楽音の音量、強さに基づいて、その楽音の発音指示データの音量情報、強さ情報を決定する演奏制御装置。
  4. 使用者の演奏操作により、自動演奏の演奏タイミングの指示情報、および演奏操作の強さを演奏強度情報として発生する演奏操作子と、各楽音の音量、強さを含む音符情報のシーケンスデータからなる演奏曲データを記憶する記憶手段と、を備えた演奏制御装置に、
    前記演奏タイミングの指示情報に基づくテンポで、前記演奏曲データを前記記憶手段から読み出し、各楽音の強さ情報、および音量情報が含まれる発音指示データを生成する演奏制御処理と、
    前記演奏タイミングが、前記各楽音の音符情報を読み出すタイミングと一致するとき、その演奏タイミングにおける演奏強度情報、および読み出した音符情報に含まれる楽音の音量、強さに基づいて、その楽音の発音指示データの音量情報、強さ情報を決定する決定処理と、
    前記演奏タイミングが、先に読み出した音符情報による楽音の発音中であるとき、その演奏タイミングにおける演奏強度情報、および先に読み出した音符情報に含まれる楽音の音量、強さに基づいて、その楽音の発音指示データの音量情報、強さ情報を再決定する再決定処理と、
    を実行させるプログラム。
  5. 使用者による音量指定操作を音量指定情報として発生する音量指定子をさらに備えた前記演奏制御装置に、
    各楽音の音符情報を読み出すとき、前記演奏タイミングと一致しない場合は、前記音量指定情報、および読み出した音符情報に含まれる楽音の音量、強さに基づいて、その楽音の発音指示データの音量情報、強さ情報を決定する読み出し時決定処理、
    を実行させる請求項4に記載のプログラム。
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