JP4256767B2 - ガスエンジンにおける燃焼制御方法及びその装置 - Google Patents
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Description
かかるガスエンジンのうち、燃料の発熱量(カロリー)が低く、かつ該発熱量の変動があるガスを燃料とするエンジンにおいては、常時ノッキングや失火を回避した安定運転をすることが要求される。そのためには、燃料ガスの発熱量等の燃料ガス特性に応じた空燃比制御を行ってエンジンを運転することが必須となる。
かかる技術においては、ガスエンジンの燃料ガス供給系に該燃料ガスの発熱量(カロリー)を計測する発熱量計測装置を設け、該発熱量計測装置によって燃料ガス供給系における燃料ガスの単位体積当たりの発熱量を計測して空燃比制御装置に入力し、該空燃比制御装置において前記発熱量の計測値に基づいて前記ガスエンジンの空燃比を制御する。これにより、燃料ガスの発熱量が都市ガスやLPガスに比べて低くかつ変動する場合であっても、ガスエンジンの安定運転を可能としている。
即ち、かかる従来技術にあっては、発熱量計測装置によって燃料ガス供給系における燃料ガスの発熱量を計測し、該空燃比制御装置において前記発熱量の計測値に基づいてガスエンジンの空燃比を制御しているので、燃料ガスの発熱量計測に際してガスクマトグラフィー等を使用して燃料ガスの組成を分析するのに時間がかかり(ガス組成をすべて分析すると2分〜15分を要する)、燃料ガスの発熱量変動が激しい場合には該発熱量変動に迅速に追従した空燃比制御が出来ず、ガスエンジンの安定運転が阻害される。
また、前記ガスクマトグラフィー等を用いての燃料ガスの発熱量分析は分析作業が煩雑で、多くの工数を要する。
さらに好ましくは、前記過給機の排気バイパス通路に設けられて該過給機の排気バイパス量を変化させる排気バイパス弁を備え、前記コントローラは、前記エンジンへの実空気量と前記水素量の検出値及び前記エンジン出力により算出した前記必要空気量との空気量偏差に基づき、前記排気バイパス弁を操作して該過給機の排気バイパス量を調整することにより前記給気圧力を変化させるように構成する。
そして給気圧力調整手段として好ましくは過給機の排気バイパス通路に設けられて該過給機の排気バイパス量を変化させる排気バイパス弁を用い、前記コントローラは、前記給気圧力の調整値に基づき前記排気バイパス弁を操作して該過給機の排気バイパス量を調整して、実空気量が前記必要空気量になるように給気圧力を変化させる。
従って本発明によれば、水素濃度(水素量)の変化を検出して、エンジン出力毎の必要空気量を設定し、実空気量が前記必要空気量になるように給気圧力を制御するので、燃料ガスの発熱量が一定の場合においても該発熱量が変化する場合においても、燃料ガス中の水素濃度(水素量)の変化に従い空気過剰率をエンジン出力毎の適正値に保持して運転でき、これにより、ノッキングや失火の発生を回避した安定運転が可能となる。
また、水素量検出器で燃料ガス中の水素量を検出するのみで前記のような空燃比制御が可能となるので、従来技術のような、煩雑で多くの工数を要する発熱量分析作業は不要となる。
そしてその装置としては、前記給気通路に給気を冷却する給気冷却器及び該給気冷却器出口の給気温度を一定に制御する給気温度制御手段を設けるとともに、前記給気通路における給気圧力を検出する給気圧力検出器を設け、前記コントローラは、給気温度制御手段で制御された一定給気温度のもとで前記給気圧力検出器からの給気圧力の検出値に基づき前記実空気量を算出するように構成される。
前記着火タイミングは、前記水素量の増加に従い遅らせ、前記水素量の減少に従い早めるように設定する。
前記燃料ガス中の水素量および前記エンジンの出力を検出し、エンジン出力と燃料ガス中の水素量とにより予めマップ状に設定された目標空燃比から、前記水素量の検出値とエンジン出力の検出値とにより目標空燃料比を算出し、前記混合ガスが前記目標空燃比となるように前記燃料ガス量を制御することを特徴とする。
また、かかる発明において、好ましくは、前記目標空燃比は、前記水素量の増加に従い増加するように設定される。
従って、かかる発明によれば、水素濃度(水素量)の変化を検出して、エンジン出力毎の目標空燃比を設定し、実空燃比が前記目標空燃比になるように燃料ガス流量を制御するので、燃料ガスの発熱量が一定の場合においても該発熱量が変化する場合においても、燃料ガス中の水素濃度(水素量)の変化に従い空燃比をエンジン出力毎の適正値に保持して運転でき、これにより、ノッキングや失火の発生を回避した安定運転が可能となる。
また、水素量検出器で燃料ガス中の水素量を検出するのみで前記のような空燃比制御が可能となるので、煩雑で多くの工数を要する発熱量分析作業は不要となる。
4は前記エンジン1の排気ポートと前記排気タービン3aの排気ガス入口とを接続する排気管である。4aは該排気タービン3aの排気ガス出口からの排気ガスを排出するための排気出口管である。
21は外部から空気が導入される空気管、20はガス燃料を収容する燃料ガスタンク(図示省略)からガス燃料が導入される燃料ガス管で、該燃料ガス管20と空気管21とは前記過給機3のコンプレッサ3b上流側の混合部23aで合流して、該コンプレッサ3bの空気入口に接続されている。20aは前記燃料ガス管20の通路面積即ち燃料ガス流量を制御する燃料ガス流量制御弁である。該燃料ガス流量制御弁20aは、後述するコントローラ13によって開度を制御される。
12は前記燃料ガス管20に取り付けられた水素量検出器で、前記燃料ガス管20を通流する燃料ガス中の水素濃度(水素量)を検出するものである。
13はコントローラ(この実施例の場合は空燃比コントローラ)で、水素量検出器12から入力される水素濃度(水素量)の検出値、前記エンジン出力検出器30から入力されるエンジン出力の検出値、前記給気圧力センサ10から入力される給気圧力の検出値、及び前記給気温度センサ9から入力される給気温度の検出値に基づき、後述するような制御、演算を行い、その結果により排気バイパス弁10の開度を制御するものである。
そして、該エンジン1からの排気ガスは排気管4を通って過給機3の排気タービン3aに供給されて該排気タービン3aを駆動した後、排気出口管4aを通って外部に排出される。
また、前記コントローラ13からの後述するような制御操作信号によって排気バイパス弁6が開かれると、前記排気管4内の排気ガスの一部は前記排気タービン3aをバイパスして排気出口管4aに排出される。
図2において、前記水素量検出器12からの燃料ガス中の水素濃度(水素量)の検出値、及びエンジン出力検出器30からのエンジン出力の検出値は、コントローラ13の必要空気量算出部131に入力される。該必要空気量算出部131においては、図3に示されるように、シミュレーション計算によって算出されたエンジン出力及び水素濃度(水素量)と必要空気量との関係が、水素濃度をパラメータとして予めマップ状に設定されている。
即ち、図3及び図5に示されるように、必要空気量の設定値は、水素濃度(水素量)の増加に従い増加し該水素濃度の減少に従い減少し、かつエンジン出力の上昇に従い増加し該エンジン出力の低下に従い減少するように設定されている。
そして、該必要空気量算出部131においては、前記エンジン出力の検出値及び水素濃度(水素量)の検出値に相当する必要空気量を抽出し、空気量偏差算出部133に入力する。
ここで、図5に示されるように、空気量(必要空気量)は給気圧力と比例関係にあり該給気圧力の増減に従い増減する。しかして、該給気圧力調整値算出部134においては、前記空気量偏差に相当する給気圧力の調整値を算出して排気バイパス弁開度算出部135に入力する。
従って、前記排気バイパス弁開度算出部135においては、前記のような給気圧力と排気バイパス弁6の開度との関係から、前記給気圧力の調整値に相当する排気バイパス弁6の開度の調整量を算出し、この排気バイパス弁開度調整量を該排気バイパス弁6を駆動する排気バイパス弁駆動装置(図示省略)に出力し、該排気バイパス弁6の開度を前記調整量だけ調整する。
これにより、エンジンの実空気量が前記必要空気量になるように給気圧力が変化せしめられ、実空気量は前記必要空気量と一致し、エンジンは前記水素濃度(水素量)の適応した空気過剰率で以って運転される。
従ってかかる実施例によれば、水素量検出器12により水素濃度(水素量)の変化を検出して、コントローラ13に入力し、該コントローラ13において、エンジン出力毎の必要空気量を設定し、実空気量が前記必要空気量になるように給気圧力を制御するように構成したので、燃料ガスの発熱量が一定の場合においても該発熱量が変化する場合においても、燃料ガス中の水素濃度(水素量)の変化に従い空気過剰率をエンジン出力毎の適正値に保持して運転でき、これにより、ノッキングや失火の発生を回避した安定運転が可能となる。
そして、該コントローラ13においては、実際の空燃比が前記目標空燃比になるような燃料ガス流量を算出して前記燃料ガス流量制御弁20aに出力し、該燃料ガス流量制御弁20aの開度を制御する。
従って、かかる第2実施例においては、前記のようにして冷却水量調節弁23で制御された一定給気温度(目標温度)のもとで、前記第1実施例と同様に、前記コントローラ13において、給気圧力センサ10からの給気圧力の検出値に基づき前記実空気量を算出する。
その他の構成は前記第1実施例と同様であり、これと同一の部材は同一の符号で示す。
即ち、図8において、前記水素量検出器12から水素濃度(水素量)の検出値は、前記着火時期コントローラ15の着火タイミング調整量算出部152に入力される。151は着火タイミング設定部で、図9に示されるように、エンジン1の点火タイミング(着火タイミング)を、前記水素濃度(水素量)の増加に従い遅らせ、該水素濃度の減少に従い早めるように設定している。
従って、かかる第3実施例によれば、燃料ガス中の水素濃度(水素量)によって、ガスエンジンの着火タイミング(点火タイミング)が変化することに着目し、水素量検出器12による燃料ガス中の水素量の検出値を着火時期コントローラ15に入力し、該着火時期コントローラ15において水素濃度(水素量)の検出値に対応するエンジン1の着火タイミング(点火タイミング)、つまり水素濃度(水素量)の増加に従い遅らせ水素量の減少に従い早めるような着火タイミングを算出し、該着火タイミングにてエンジン1を運転制御するように構成したので、該エンジン1の全運転域において、水素濃度(水素量)つまり燃料ガスの性状に適応した着火タイミングで該エンジン1を運転できる。
その他の構成は前記第1実施例と同様であり、これと同一の部材は同一の符号で示す。
2 発電機
3 過給機
3a 排気タービン
3b コンプレッサ
4 排気管
5 排気バイパス管
6 排気バイパス弁
7 給気冷却器
8 給気管
9 給気温度センサ
10 給気圧力センサ
12 水素量検出器
13 コントローラ
14 着火装置
15 着火時期コントローラ
20 燃料ガス管
21 空気管
23 冷却水量調整弁
23a 混合部
30 エンジン出力検出器
Claims (12)
- ガス通路を通して供給される燃料ガスと空気とを混合し、この混合ガスまたは前記空気を過給機で加圧し、前記混合ガスからなる給気を給気通路を通してエンジンに導入し着火燃焼するように構成されたガスエンジンにおける燃焼制御方法において、
前記燃料ガス中の水素量および前記エンジンの出力を検出し、エンジン出力と燃料ガス中の水素量とにより予めマップ状に設定された必要空気量設定値から、前記水素量の検出値とエンジン出力の検出値とにより必要空気量を算出し、前記エンジンへの実空気量と前記必要空気量との空気量偏差に基づき給気圧力を変化させて前記実空気量が前記必要空気量になるように制御することを特徴とするガスエンジンにおける燃焼制御方法。 - 前記必要空気量設定値は、前記水素量の増加に従い増加し前記エンジン出力の増大に従い増加するように設定されたことを特徴とする請求項1記載のガスエンジンにおける燃焼制御方法。
- 前記給気通路を流れる給気の温度を所定温度に制御し、前記実空気量を給気温度の検出値を用いることなく算出することを特徴とする請求項1記載のガスエンジンにおける燃焼制御方法。
- 前記燃料ガス中の水素量を検出して、該水素量の検出値に対応する前記エンジンの着火タイミングを算出し、該着火タイミングにて前記エンジンを運転制御することを特徴とする請求項1記載のガスエンジンにおける燃焼制御方法。
- 前記エンジンの前記着火タイミングは、前記水素量の増加に従い遅らせ、前記水素量の減少に従い早めるように設定してなることを特徴とする請求項4記載のガスエンジンにおける燃焼制御方法。
- ガス通路を通して供給される燃料ガスと空気とを混合し、この混合ガスまたは前記空気を過給機で加圧し、前記混合ガスからなる給気を給気通路を通してエンジンに導入し着火燃焼するように構成されたガスエンジンの燃焼制御装置において、
前記ガス通路に設けられて該ガス通路を通流する燃料ガス中の水素量を検出する水素量検出器と、前記ガスエンジンのエンジン出力を検出するエンジン出力検出器と、エンジン出力と燃料ガス中の水素量とにより予めマップ状に設定された必要空気量設定値から、前記水素量検出器からの水素量の検出値と前記エンジン出力検出器からのエンジン出力の検出値とにより必要空気量を算出し、前記エンジンへの実空気量と前記必要空気量との空気量偏差及び該空気量偏差に相当する給気圧力の調整値を算出して、給気圧力の調整信号を出力するコントローラと、前記コントローラからの給気圧力の調整信号に基づき前記給気圧力を変化せしめる給気圧力調整手段とを備えたことを特徴とするガスエンジンの燃焼制御装置。 - 前記給気通路における給気圧力を検出する給気圧力検出器と、前記給気通路における給気温度を検出する給気温度検出器とを備え、前記コントローラは、該給気圧力検出器からの給気圧力の検出値及び該給気温度検出器からの給気温度の検出値に基づき前記実空気量を算出し、該実空気量と前記必要空気量との空気量偏差を算出するように構成されてなることを特徴とする請求項6記載のガスエンジンの燃焼制御装置。
- 前記過給機の排気バイパス通路に設けられて該過給機の排気バイパス量を変化させる排気バイパス弁を備え、前記コントローラは、前記エンジンへの実空気量と前記水素量の検出値及び前記エンジン出力により算出した前記必要空気量との空気量偏差に基づき、前記排気バイパス弁を操作して該過給機の排気バイパス量を調整することにより前記給気圧力を変化させるように構成されてなることを特徴とする請求項6記載のガスエンジンの燃焼制御装置。
- 前記給気通路に給気を冷却する給気冷却器及び該給気冷却器出口の給気温度を一定に制御する給気温度制御手段を設けるとともに、前記給気通路における給気圧力を検出する給気圧力検出器を設け、前記コントローラは、給気温度制御手段で制御された一定給気温度のもとで前記給気圧力検出器からの給気圧力の検出値に基づき前記実空気量を算出するように構成されてなることを特徴とする請求項6記載のガスエンジンの燃焼制御装置。
- 前記水素量検出器からの水素量の検出値に基づき前記エンジンの着火タイミングを算出し、該着火タイミングを前記水素量の増加に従い遅らせ、水素量の減少に従い早めるように前記エンジンを運転制御する着火時期コントローラとを備えたことを特徴とする請求項6記載のガスエンジンの燃焼制御装置。
- ガス通路を通して供給される燃料ガスと空気とを混合し、この混合ガスまたは前記空気を過給機で加圧し、前記混合ガスからなる給気を給気通路を通してエンジンに導入し着火燃焼するように構成されたガスエンジンにおける燃焼制御方法において、
前記燃料ガス中の水素量および前記エンジンの出力を検出し、エンジン出力と燃料ガス中の水素量とにより予めマップ状に設定された目標空燃比から、前記水素量の検出値とエンジン出力の検出値とにより目標空燃料比を算出し、前記混合ガスが前記目標空燃比となるように前記燃料ガス量を制御することを特徴とするガスエンジンにおける燃焼制御方法。 - 前記目標空燃比は、前記水素量の増加に従い増加するように設定されたことを特徴とする請求項11記載のガスエンジンにおける燃焼制御方法。
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