JP4256116B2 - 光輝性塗膜の形成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、アルミニウム顔料を含有する塗料を塗装してアルミニウム顔料の配向性に優れた光輝性塗膜を形成する方法、アルミニウム顔料を含有するベース塗料とクリヤ塗料によるアルミニウム顔料の配向性に優れた光輝性複層塗膜を形成する方法に関する。
【0002】
【従来の技術及びその課題】
アルミニウム顔料を含有する塗料を塗装した塗膜は、アルミニウム顔料が塗膜表面と平行に配列すると乱反射が少なくなり、光輝性に優れたメタリック効果が得られることが知られている。アルミニウム顔料が平行に配列してメタリック効果が高い場合には、塗膜を垂直方向から見た時の白さとほぼ水平方向から見たときの白さの差が大きくなる。一方、アルミニウム顔料が塗膜表面と平行に配列せず、様々な方向に並ぶと乱反射が多くなり、垂直方向から見た時の白さの程度が低くなり、塗膜を垂直方向から見た時の白さとほぼ水平方向から見たときの白さの差が小さくなり、光輝性が劣ることになる。
【0003】
自動車用塗料分野において、上塗塗料としては、現在、アルミニウム顔料を含有するベース塗料とクリヤ塗料を組み合わせた塗装系が主流となっている。このベース塗料の塗装において、光輝性に優れたメタリック効果を有するベース塗膜を形成できることが重要な機能となっている。
【0004】
塗料におけるアルミニウム顔料の配向方法に関しては、例えば、塗装工学 VOL.13 No.12(1995) p.477-482等の文献において、塗料のレオロジー特性との関係が報告されている。この文献においては、水系塗料の粘弾性について、貯蔵弾性率G’と損失弾性率G”との比(G’/G”)を一定範囲内とすることによって30°光沢値を高くすることができ、アルミフレークの配向性などがよく、仕上り外観を良好にすることができることが記載されている。しかしながら、塗装するに当たって、塗装環境によりアルミフレークの配向性が異なってくることからも、塗料の粘弾性値の規定だけでは充分でない。この方法によるのみでは、いまだ得られる結果は十分満足できるものではない。
【0005】
本発明の目的は、アルミニウム顔料の配向性に優れた光輝性塗膜を形成する方法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明者らは鋭意検討を行った。その結果、下記の知見などを得た。
・被塗物に塗着した塗液の貯蔵弾性率G’が高くなると、アルミニウム顔料の配向が焼付けた後の塗膜にまで反映され易くなり、焼付後の塗膜の光輝性が良好となり易い。
・被塗物に塗着した塗液が焼付け時に熱流動して、塗液中のアルミニウム顔料の配向が乱されると光輝感が低下していく。塗着塗液の最も流動する温度での貯蔵弾性率G’を制御することによって光輝感の低下を抑制できる。塗着塗液の最も流動する温度ピークが認められない場合には、50℃での貯蔵弾性率G’を制御することによって光輝感の低下を抑制できる。
・アルミニウム顔料を含有する水性塗料においては、最終焼付け時でなく、それ以前に塗装直後に行われるプレヒート時の熱流動による塗着塗料中のアルミニウム顔料の配向の影響が大きいこと。
【0007】
これらの知見などに基づいて本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち本発明は、1.アルミニウム顔料を含有する塗料を霧化塗装して被塗物上に塗膜を形成する方法において、霧化塗装直後の塗着塗液における応力0.5Paで且つ周波数0.1Hzの条件での貯蔵弾性率G’を10Pa以上とし、かつ 被塗物上に塗装された塗着塗液を加熱乾燥したときに、該塗着塗液の熱流動性が大きくなる場合には、該塗着塗液の熱流動性が最も大きくなる時点の塗着塗液について、応力0.5Paで且つ周波数0.1Hzの条件で該時点の温度での塗着塗液の貯蔵弾性率G’を100Pa以上とし、被塗物上に塗装された塗着塗液を加熱乾燥したときに、該塗着塗液の熱流動性が大きくならない場合には、該塗着塗液が50℃となる時点の塗着塗液について、応力0.5Paで且つ周波数0.1Hzの条件で50℃での塗着塗液の貯蔵弾性率G’を100Pa以上とすることを特徴とする、IV値が200以上の光輝性塗膜の形成方法(以下、「本発明方法I」と略称することがある)を提供するものである。
【0011】
また、本発明は、2.被塗物上に塗装された塗着塗液を加熱乾燥したときに、塗着塗液の熱流動性が大きくなる場合であって、前記塗着塗液の熱流動性が最も大きくなる時点の塗着塗液について、該時点の温度での塗着塗液の貯蔵弾性率G’と損失弾性率G”との比(G’/G”)を0.3〜3の範囲内とすることを特徴とする上記項1記載の光輝性塗膜の形成方法。
【0012】
さらに、本発明は、3.アルミニウム顔料を含有する塗料が、水性塗料である上記項1又は2に記載の光輝性塗膜の形成方法を提供するものである。
【0013】
また、本発明は、4.被塗物上にアルミニウム顔料を含有するベース塗料を霧化塗装し、ついで、被塗物上に塗装された塗着塗液をプレヒートし、さらに、該プレヒートされたベース塗膜上にクリヤ塗料を塗装して複層塗膜を形成する方法であって、該ベース塗料の霧化塗装直後において応力0.5Paで且つ周波数0.1Hzの条件での貯蔵弾性率G’が10Pa以上となり、かつ 被塗物上に塗装された塗着塗液をプレヒートしたときに、該塗着塗液の熱流動性が大きくなる場合には、プレヒートによって該塗着塗液の熱流動性が最も大きくなる時点の塗着塗液について、応力0.5Paで且つ周波数0.1Hzの条件で該時点の温度での塗着塗液の貯蔵弾性率G’が100Pa以上となり、被塗物上に塗装された塗着塗液をプレヒートしたときに、該塗着塗液の熱流動性が大きくならない場合には、該塗着塗液が50℃となる時点の塗着塗液について、応力0.5Paで且つ周波数0.1Hzの条件で50℃での塗着塗液の貯蔵弾性率G’が100Pa以上となる塗着塗液を形成することを特徴とする光輝性複層塗膜の形成方法(以下、「本発明方法II」と略称することがある)を提供するものである。
【0016】
さらに、本発明は、5.アルミニウム顔料を含有する塗料が、水性塗料である上記項4に記載の光輝性塗膜の形成方法を提供するものである。
【0017】
また、本発明は、被塗物上にアルミニウム顔料を含有するベース塗料を霧化塗装し、ついで、塗装された未硬化のベース塗膜上にクリヤ塗料を塗装して複層塗膜を形成する方法であって、該ベース塗料の霧化塗装直後において応力0.5Paで且つ周波数0.1Hzの条件での貯蔵弾性率G’が10Pa以上となり、かつ 被塗物上に塗装されたベース塗料の塗着塗液を加熱乾燥したときに、該塗着塗液の熱流動性が大きくなる場合には、該塗着塗液の熱流動性が最も大きくなる時点の塗着塗液について、応力0.5Paで且つ周波数0.1Hzの条件で該時点の温度での塗着塗液の貯蔵弾性率G’が100Pa以上となり、被塗物上に塗装されたベース塗料の塗着塗液を加熱乾燥したときに、該塗着塗液の熱流動性が大きくならない場合には、該塗着塗液が50℃となる時点の塗着塗液について、応力0.5Paで且つ周波数0.1Hzの条件で50℃での塗着塗液の貯蔵弾性率G’が100Pa以上となる塗着塗液を形成することを特徴とする光輝性複層塗膜の形成方法(以下、「本発明方法III」と略称することがある)を提供するものである。
【0018】
以下、本発明方法について詳細に説明する。
【0019】
【発明の実施の形態】
まず、本発明方法Iについて説明する。
【0020】
本発明方法Iは、光輝材であるアルミニウム顔料を含有する塗料を霧化塗装して被塗物上に塗膜を形成するものであり、霧化塗装直後の塗着塗液における応力0.5Paで且つ周波数0.1Hzの条件での貯蔵弾性率G’を10Pa以上、好ましくは20Pa以上、さらに好ましくは20〜100Paとすることによって乾燥後の塗膜のIV値が200以上、好ましくは300以上である光輝性塗膜を形成する方法である。
【0021】
本発明方法Iにおいては、塗装直後の貯蔵弾性率G’を10Pa以上の高い値とすることによって、その後の加熱乾燥における塗着塗料の流動を抑制して、IV値の高い光輝性に優れた塗膜を得ようとするものである。
【0022】
本明細書において、「IV値」は、Intensity Valueの略であって、明暗度を意味するものであり、光輝材を含有する塗膜において、光輝材の配向性、光輝性メタリック感などの指標として用いられる特性値である。光輝材が塗膜表面に対して平行に凝集なく配向しているもの程、明度が高く、IV値は高い値を示す。IV値は、数値が大きいほど光輝材の配向性が良好で光輝感が高いことを示す。IV値は、例えば、関西ペイント(株)製、「アルコープ」を用いて測定することができる。
【0023】
塗装される被塗物は、特に限定されるものではなく、例えば、鉄、アルミニウム、ステンレス、錫メッキ鋼板、亜鉛メッキ鋼板、亜鉛合金メッキ鋼板(鉄−亜鉛、ニッケル−亜鉛、アルミニウム−亜鉛などの亜鉛合金メッキ)、及びこれらの基材に塗膜が施された塗装基材などを挙げることができる。
【0024】
本発明方法Iにおいて塗装されるアルミニウム顔料を含有する塗料の樹脂種としては、それ自体既知のものを特に制限なく、用いることができる。例えば、代表例としてアクリル樹脂、ポリエステル、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、シリコーンポリエステル樹脂、シリコーンアクリル樹脂、フッ素樹脂、これらの樹脂の変性樹脂を挙げることができ、これらは1種で又は2種以上組み合わせて使用することができる。また、これらの樹脂は、硬化剤と組合せて使用することができ、硬化剤としては、例えば、メラミン樹脂などのアミノ樹脂、ポリエポキシ化合物、ポリアミン化合物、ブロック化されていてもよいポリイソシアネート化合物などを挙げることができる。
【0025】
アルミニウム顔料としては、塗料分野において、光輝性を付与するために用いられるアルミニウム顔料であれば特に制限なく使用することができる。アルミニウム顔料としては、通常、粒子径が5〜60μmのものを好適に使用することができる。
【0026】
上記塗料は、アルミニウム顔料以外に着色顔料及び/又はマイカ等の他の光輝性顔料などを含有してもよく、また塗料の形態は、有機溶剤型であっても水性塗料であってもよい。
【0027】
本発明方法Iにおいては、塗装方法は、エアスプレー塗装、エアレス塗装、ベル塗装等の塗液を微粒化(霧化)させて被塗物に塗着させる霧化塗装方法に限定される。これらの塗装は静電印加されたものであってもよい。膜厚は、特に限定されるものではないが、通常、5〜50μm、好ましくは10〜40μmの範囲内にあることが好適である。
【0028】
霧化された塗料が被塗物に衝突すると、衝突により塗液に変形(シェア)が加わり被塗物に対して並行方向に比重の大きいアルミ顔料の配向が起きる。この時、垂直の被塗物に塗装された場合、被塗物に付着した塗液には、重力が加わり、それによる流動によりアルミニウム顔料の配向を乱そうとする力が働く。この時点の塗液の貯蔵弾性率G’が大きければ、重力に対する抵抗力として働き、アルミニウム顔料の配向が乱されないことになる。
【0029】
本発明方法Iにおいては、塗装後、加熱乾燥が行われる。加熱乾燥によって、塗着塗液の温度が上がり、通常、溶剤の蒸発による粘度上昇作用と、温度上昇による粘度降下作用と、樹脂の硬化反応による粘度上昇作用が起こり、これらの作用の強さによって、(1)乾燥開始後、粘度が低下して塗着塗液の熱流動性が大きくなり、ついで、さらに温度が上昇すると樹脂同志の絡み合いにより粘度が上昇する場合、(2)乾燥開始後、開始初期に樹脂同志の絡み合いが生じ、粘度が低下せず塗着塗液の熱流動性が大きくならず、さらに温度が上昇すると樹脂同志の絡み合いにより粘度が上昇する場合がある。(1)の場合には、加熱乾燥において、塗着塗液の最も流動性が大きくなる時点が存在する。一方、(2)の場合には、加熱乾燥において、塗着塗液の最も流動性が大きくなる時点は存在しない。いずれにしても、この加熱乾燥時に熱の対流などによってアルミニウム顔料の配向を乱そうとする力が働く。
【0030】
加熱乾燥時において、アルミニウム顔料の配向を乱そうとする力を抑制するために、上記(1)の場合には、塗着塗液の熱流動性が最も大きくなる時点の塗着塗液について、応力0.5Paで且つ周波数0.1Hzの条件で、該時点の温度において、貯蔵弾性率G’が100Pa以上、好ましくは200Pa以上、さらに好ましくは400〜1200Paの範囲内にあることが好適である。また、上記(2)の場合には、加熱乾燥において、塗着塗液が50℃となる時点の塗着塗液について、応力0.5Paで且つ周波数0.1Hzの条件で、50℃の温度において、貯蔵弾性率G’が100Pa以上、好ましくは200Pa以上、さらに好ましくは400〜1200Paの範囲内にあることが好適である。
【0031】
熱流動性が最も大きくなる温度の近傍の温度で、貯蔵弾性率G’の値が、上記範囲内にあることによっても、アルミニウム顔料の配向の乱れの抑制の目安とすることができる。その近傍の温度とは、塗着塗液の熱流動性が最も大きくなる温度から、通常、−8℃〜+8℃、好ましくは−5℃〜+5℃の範囲内である。
【0032】
アルミニウム顔料を含有する塗料において、上記(1)場合、塗着塗液の熱流動性が最も大きくなる温度は、通常35〜90℃の範囲内にある。
【0033】
塗着塗液の熱流動性が最も大きくなる温度の把握は、温度センサーを取り付けた塗装板を乾燥機に投入後、乾燥過程の各温度において、塗膜液を素早く掻き取り密閉容器に移した後、コーンアンドプレート型粘度計を用い、各塗着塗液の掻き取り時の温度にて粘弾性を測定することにより行うことができる
被塗物上に塗装された乾燥過程における塗料膜の上記G’の測定は、コーンアンドプレート型粘度計を用いて、乾燥過程中の塗膜を掻き取って得た塗料を測定することにより行うことができる。例えば、コーンアンドプレート粘度計としては、HAAKE社製の粘弾性測定器「レオストレスRS150」が例示され、これによって焼付け過程中の塗料膜について、塗着した塗液にかかる重量に相当する応力0.5Pa及び安定した結果が得られ、かつ遅い速度に対応する低周波数である0.1HzにおけるG’を容易に測定できる。
【0034】
被塗物上に塗装された塗着塗液の貯蔵弾性率G’及び乾燥過程における塗着塗液の粘弾性を調整するためには、例えば、塗料を調整する方法、及び塗装方法、塗装条件を変更する方法、乾燥条件を調整する方法がある。
【0035】
塗料を調整する方法としては、流動性調整剤の添加、溶剤の添加、樹脂の分子量調整、樹脂の親和性調整、顔料濃度の調整などを挙げることができ、上記の処方の1種の処方で又は2種以上の処方を組み合わせて調整することができる。なかでも、流動性調整剤の添加、溶剤の添加による調整が、簡便、且つ効果的に行うことができる点から好適である。
【0036】
上記塗料の調整に用いることができる流動調整剤は、特に限定されるものではなく、例えば、シリカ系微粉末、硫酸バリウム微粉末、有機樹脂微粒子、ベントナイトなどの粘土系流動調整剤、ポリアミド系流動調整剤、ウレア系流動調整剤、ポリエーテル変性ウレタン化合物などのウレタン系流動調整剤、高酸価アクリルエマルション系流動調整剤、ポリカルボン酸塩系流動調整剤及びセルロース系流動調整剤などを挙げることができる。
【0037】
上記有機樹脂微粒子は、平均粒子系1nm〜1μm、好ましくは50〜500nmを有するものであって、有機樹脂微粒子の樹脂種としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ四弗化エチレン、シリコンゴム、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂などを挙げることができる。
【0038】
前記塗料の調整に用いることができる有機溶剤としては、従来塗料に使用されるそれ自体既知の有機溶剤、水を挙げることができる。揮発速度の速い溶剤の添加又は揮発速度の速い溶剤に溶剤組成を置き換えることによって、塗着時の塗液の貯蔵弾性率G’の値を増大させることができる。また、揮発速度の遅い溶剤の添加又は揮発速度の遅い溶剤に溶剤組成を置き換えることによって、乾燥過程中の塗液の貯蔵弾性率G’が低下する。
【0039】
前記塗料調整法の一つである樹脂の分子量の調整は、塗料中の樹脂成分(例えば、代表例としてアクリル樹脂、ポリエステル、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド、シリコーンポリエステル樹脂、シリコーンアクリル樹脂、フッ素樹脂、これらの樹脂の変性樹脂、硬化剤として用いられるメラミン樹脂などのアミノ樹脂、エポキシ化合物、ポリアミン化合物、ブロック化されていてもよいポリイソシアネート化合物など)の分子量を調整することにより塗着した塗液及び乾燥時の塗液の貯蔵弾性率G’を調整できる。上記樹脂の分子量を増加させることにより塗液のG’の値を増大させることができる。
【0040】
また、水性塗料の場合、親水性樹脂と疎水性樹脂を組み合わせることにより、塗着時の貯蔵弾性率G’を増加させることが出来るし、架橋エマルションを多く添加すると、溶剤の蒸発などによる少しの固形分変化によって粒子間の相互作用が増大し、乾燥時の貯蔵弾性率G’の低下を抑制することが出来る。
【0041】
前記塗料調整法の一つである塗料中の顔料濃度の調整は、塗料中に当該塗料の顔料組成の顔料ペースト等の量を調整することによって行うことができる。顔料ペーストなどを添加して樹脂分に対する顔料濃度を増大させることによって塗着塗液の貯蔵弾性率G’を増加させることが出来る。
【0042】
塗装条件により調整する方法としては、塗装による溶剤の揮発を大きくする、つまり、塗料を微粒化するときの粒子の粒径を小さくする及びブースの風量の増加、温度の増加により溶剤の揮発量を大きくすることにより塗着塗液の貯蔵弾性率G'を増加させることが出来る。特に水性塗料においては、風量・温度ととも湿度が大きな要因となるので、湿度の調整も重要な要因となる。
【0043】
本発明方法に於いて、塗料の乾燥方法としては、ボックス型熱風乾燥機、コンベア式熱風乾燥機、ホットエアブローなど、従来、塗料の乾燥に使用されるそれ自体既知の乾燥方法が挙げられる。乾燥条件は、各塗料種に応じて適宜決定することができるが、通常、100〜180℃で5〜40分間程度の範囲内にあることが好適である。
【0044】
以上の手法等によりG’を調整することができる。G’を所定範囲内とすることによりアルミニウムの配向性に優れ、光輝感に優れた塗膜を形成することができる。
【0045】
また、塗装後、塗着塗液の熱流動性が最も大きくなる温度での貯蔵弾性率G’と損失弾性率G”との比G’/G”の値を0.3〜1.0の範囲内とすることによって、平滑性に優れた塗面を得ることができる。乾燥条件を変更する場合、例えば、熱風量を大きくすると、溶剤、水などの揮発が促進されるので、G’/G”の値を増大させることができる。
【0046】
本明細書において、塗面の平滑性は、評価手法の1つであるウェーブスキャンのロングウェーブ値とショートウェーブ値により評価した。これらの値は、BYK Gardner社(ビーワイケイ ガードナー社)製、WaveScan Plus(ウェーブスキャン プラス)にて測定することができる。
【0047】
WaveScanによる測定値は、塗膜表面の凹凸の荒さを示しており、測定値が小さいほど平滑であることを示し、ロングウェーブ値は100μm以上で600μm未満程度の表面の凹凸波長、ショートウェーブ値は600〜1000μm程度の表面の凹凸波長を示す。
【0048】
つぎに、本発明方法IIについて説明する。
【0049】
本発明方法IIは、被塗物上にアルミニウム顔料を含有するベース塗料を霧化塗装し、ついで、被塗物上に塗装された塗着塗液をプレヒートし、さらに、該プレヒートされたベース塗膜上にクリヤ塗料を塗装し、乾燥して光輝性複層塗膜を形成する方法である。該ベース塗料の霧化塗装直後において、本発明方法Iの場合と同様に、ベース塗料の塗着塗液は、応力0.5Paで且つ周波数0.1Hzの条件での貯蔵弾性率G’が、10Pa以上、好ましくは20Pa以上、さらに好ましくは20〜100Paの範囲内にある。
【0050】
本発明方法IIにおいては、クリヤ塗料を塗装する前にベース塗料の塗着塗液をプレヒートする。ベース塗料の形態は特に制限されるものではないが、水性塗料である場合、プレヒートによる乾燥は特に効果的である。プレヒートは、通常、60〜100℃程度の温度で、1〜10分間程度行う。プレヒートによって、この上にクリヤ塗料が塗装されたときの、クリヤ塗料とベース塗膜との混層によるアルミニウムの配向の乱れを抑制できる。
【0051】
プレヒートによって、塗着塗液の固形分比率の増大による粘度上昇の力が起きるとともに、温度上昇による粘度低下の力が起きる。(1)粘度上昇の力よりも粘度低下の力のほうが大きいと塗液の流動性が向上し、更に、温度が上昇すると、塗液構成樹脂の絡み合いによる粘度上昇を起こし、流動性が低下するため、流動性が最も大きくなる温度が現れることとなる。(2)ベース塗料種によっては、昇温初期に塗着塗液の樹脂同士の絡み合いを生じることにより熱流動性が低下し、熱流動が最も大きくなる点を発現しない場合もある。
【0052】
プレヒート時において、熱の対流などによってアルミニウム顔料の配向を乱そうとする力が働くがそれを抑制するために、上記(1)の場合には、塗着塗液の熱流動性が最も大きくなる時点の塗着塗液について、応力0.5Paで且つ周波数0.1Hzの条件で、該時点の温度において、貯蔵弾性率G’が100Pa以上、好ましくは200Pa以上、さらに好ましくは400〜1200Paの範囲内にあることが好適である。また、上記(2)の場合には、プレヒートにおいて、塗着塗液が50℃となる時点の塗着塗液について、応力0.5Paで且つ周波数0.1Hzの条件で、50℃の温度において、貯蔵弾性率G’が100Pa以上、好ましくは200Pa以上、さらに好ましくは400〜1200Paの範囲内にあることが好適である。
【0053】
前記本発明方法Iの場合と同様に熱流動性が最も大きくなる温度の近傍の温度で、貯蔵弾性率G’の値が、上記範囲内にあることによっても、アルミニウム顔料の配向の乱れの抑制の目安とすることができる。
【0054】
塗着塗液の熱流動性が最も大きくなる温度を把握する方法、及び塗着塗液の貯蔵弾性率G’及び乾燥過程における塗着塗液の粘弾性を調整する方法も前記本発明方法Iの場合と同様の方法を用いることができる。
【0055】
本発明方法IIにおいて、プレヒート後にクリヤ塗料が塗装され、加熱乾燥される。クリヤ塗料としては、塗料分野でそれ自体既知の熱硬化型クリヤ塗料であればよく、特に制限なく使用することができる。
【0056】
つぎに、本発明方法IIIについて説明する。
【0057】
本発明方法IIIは、本発明方法IIにおいて、プレヒート工程がない以外は本発明方法IIと同様の工程である。プレヒートに代えてセッティングを行ってもよい。
【0058】
本発明方法IIIは、ベース塗膜とクリヤ塗膜の複層を形成するにあたり、ベース塗料の塗着塗液にプレヒートを行わないでクリヤ塗料を塗装しても、ベース塗料膜とクリヤ塗料膜との混層によるアルミニウム顔料の配向の乱れが起こらない塗装系に適用される。通常、ベース塗料としては、有機溶剤系塗料が好適に使用される。
【0059】
本発明方法IIIにおいては、ベース塗料の霧化塗装直後において、本発明方法Iの場合と同様に、塗着塗液は、応力0.5Paで且つ周波数0.1Hzの条件での貯蔵弾性率G’が、10Pa以上、好ましくは20Pa以上、さらに好ましくは20〜100Paの範囲内にある。ベース塗料を塗装後、必要に応じてセッティングが行われ、ついで未硬化のベース塗膜上にクリヤ塗料が塗装され、加熱乾燥することによって光輝性複層塗膜を形成することができる。
【0060】
クリヤ塗料塗装後の加熱によって、熱の対流などによる、ベース塗膜中のアルミニウム顔料の配向を乱そうとする力が働くが、それを抑制するためには、使用するベース塗料単独における加熱乾燥による粘弾性を制御すればよい。
【0061】
すなわち、ベース塗料の塗着塗液を加熱すると固形分比率の増大による粘度上昇作用が起きるとともに、温度上昇による粘度低下作用が起きる。前記したと同様に(1)粘度上昇作用よりも粘度低下作用のほうが大きいと塗液の流動性が向上し、更に、温度が上昇すると、塗液構成樹脂の絡み合いによる粘度上昇を起こし、流動性が低下するため、流動性が最も大きくなる温度が現れることとなる。(2)ベース塗料種によっては、昇温初期に塗着塗液の樹脂同士の絡み合いを生じることにより熱流動性が低下し、熱流動が最も大きくなる点を発現しない場合もある。
【0062】
このベース塗料の塗着塗液の加熱時において、アルミニウム顔料の配向を乱そうとする力を抑制するために、上記(1)の場合には、塗着塗液の熱流動性が最も大きくなる時点の塗着塗液について、応力0.5Paで且つ周波数0.1Hzの条件で、該時点の温度において、貯蔵弾性率G’が100Pa以上、好ましくは200Pa以上、さらに好ましくは400〜1200Paの範囲内にあることが好適である。また、上記(2)の場合には、塗着塗液が50℃となる時点の塗着塗液について、応力0.5Paで且つ周波数0.1Hzの条件で、50℃の温度において、貯蔵弾性率G’が100Pa以上、好ましくは200Pa以上、さらに好ましくは400〜1200Paの範囲内にあることが好適である。
【0063】
前記本発明方法Iの場合と同様に熱流動性が最も大きくなる温度の近傍の温度で、貯蔵弾性率G’の値が、上記範囲内にあることによっても、アルミニウム顔料の配向の乱れの抑制の目安とすることができる。
【0064】
塗着塗液の熱流動性が最も大きくなる温度を把握する方法、及び塗着塗液の貯蔵弾性率G’及び乾燥過程における塗着塗液の粘弾性を調整する方法も前記本発明方法Iの場合と同様の方法を用いることができる。
【0065】
本発明方法IIにおいて、プレヒート後にクリヤ塗料が塗装され、加熱乾燥される。クリヤ塗料としては、塗料分野でそれ自体既知の熱硬化型クリヤ塗料であればよく、特に制限なく使用することができる。
【0066】
【実施例】
以下、製造例、実施例などを挙げて本発明をさらに具体的に説明する。「部」及び「%」は、いずれも重量基準によるものとする。
【0067】
製造例1 アクリル樹脂水分散液の製造
反応容器内に、脱イオン水140部、30%「Newcol707SF」(界面活性剤、日本乳化剤(株)製)2.5部及び下記の単量体混合物(1)1部を加え、窒素気流中で撹拌混合し、60℃で3%過硫酸アンモニウム3部を加えた。次いで、80℃に温度を上昇せしめた後、下記の単量体混合物(1)79部、30%「Newcol707SF」2.5部、3%過硫酸アンモニウム4部及び脱イオン水42部からなる単量体乳化物を4時間かけて定量ポンプを用いて反応容器に加える。添加終了後1時間熟成を行った。
更に、80℃で下記の単量体混合物(2)20.5部と3%過硫酸アンモニウム水溶液4部を同時に1.5時間かけて反応容器に並列滴下した。添加終了後1時間熟成し、脱イオン水30部で希釈し、30℃で200メッシュのナイロンクロスでろ過した。
このものに、更に脱イオン水を加え次メチルアミノエタノールでpH7.5に調整し、平均粒径0.1μm、不揮発分20%のアクリル樹脂水分散液を得た。
【0068】
単量体混合物(1)
メタクリル酸メチル 55部
スチレン 10部
アクリル酸n-ブチル 9部
アクリル酸2-ヒドロキシエチル 5部
メタクリル酸 1部
単量体混合物(2)
メタクリル酸メチル 5部
アクリル酸n-ブチル 7部
アクリル酸2-エチルヘキシル 5部
メタクリル酸 3部
30%「Newcol707SF」 0.5部。
【0069】
製造例2 アクリル樹脂水溶液の製造
反応容器にブチルセロソルブ60部及びイソブチルアルコール15部を加え窒素気流中で115℃に加温した。115℃に達した時点でアクリル酸n-ブチル26部、メタクリル酸メチル47部、スチレン10部、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル10部、アクリル酸6部及びアゾビスイソブチロニトリル1部の混合物を3時間かけて加えた。添加終了後115℃で30分間熟成し、アゾビスイソブチロニトリル1部とエチレングリコールモノブチルエーテル115部の混合物を1時間に亙って加え、30分間熟成後50℃で200メッシュのナイロンクロスでろ過して樹脂溶液を得た。得られた樹脂溶液の不揮発分55%、粘度はZ(25℃/ガードナー泡粘度計)であった。得られた樹脂(固形分)の酸価は48であった。この樹脂溶液をN,N−ジメチルアミノエタノールで当量中和し、更に脱イオン水を加えて不揮発分50%のアクリル樹脂水溶液を得た。
【0070】
製造例3 架橋剤水分散液の製造
疎水性メラミン樹脂「スーパーベッカミンL-127-75b」(大日本インキ化学工業(株)製、不揮発分75%、重量平均分子量約1600)を固形分が25部になるように撹拌容器に採り、製造例2で得た50%アクリル樹脂水溶液を20部加え、回転数約1200回転/分のディスパーで撹拌しながら脱イオン水80部を徐々に加えた後、更に30分間撹拌を続けて、平均粒径0.11μmの架橋剤水分散液を得た。
【0071】
製造例4 アルミニウム顔料濃厚液の製造
撹拌混合容器にアルミニウムペースト(金属含有量65%)23部とエチレングリコールモノブチルエーテル25部を添加し、1時間撹拌してアルミニウム顔料濃厚液を得た。
【0072】
実施例1
下記の成分を順次攪拌下に添加し、更に1時間攪拌した。
製造例4で得たアルミニウム顔料濃厚液 48部
製造例3で得た架橋剤水分散液 131.3部
製造例1で得たアクリル樹脂水分散液 325部
上記攪拌混合物504.3部に、「アクリゾールASE-60」(ロームアンドハース社製、増粘剤)とN,N−ジメチルアミノエタノールをそれぞれ、0.5部と0.047部、1.0部と0.094部、2.0部と0.188部、3部と0.282部の割合で添加し、ブルックフィールド型粘度計、60rpm回転時の粘度が500mPa・s(ミリパスカル・秒)になるように脱イオン水で希釈し、4種の各メタリックベースコート組成物を得た。
【0073】
調整した各メタリックベースコート組成物を、20℃の温度で、相対湿度65%の塗装環境で、40cm×50cmのブリキ板複数枚にエアスプレー塗装して、塗装直後および5分間セッティングした後の各塗装板の塗膜液をすばやくかき取り、密閉容器に移した。更に塗装後5分間セッティングした塗装板に温度センサーを取り付け、80℃のボックス型熱風乾燥機に塗装板を投入しプレヒート条件にて加熱した。温度が約15℃上昇する度に、乾燥過程の塗膜液を素早く掻き取り密閉容器に移した。採取した各掻き取り塗膜液をHAAKE社製の粘弾性測定器「レオストレスRS150」を用い、各掻き取り時の塗膜液の温度に保持して、応力0.5Pa、周波数0.1Hzの条件にて各掻き取り塗膜液の貯蔵弾性率G’を測定した。約15℃間隔でサンプリングした乾燥過程の塗料膜の粘弾性を、温度に対してプロットすることにより、塗装直後から乾燥過程における貯蔵弾性率G’の推移を得た。
【0074】
また、同一の塗装設備、乾燥設備を用い、40cm×50cmのブリキ板数枚に塗装し、塗装直後および5分間セッティングした後に、それぞれの塗装板のIV値をメタリック感測定装置「アルコープ LMR−200」(関西ペイント社製)で測定した。また、塗装後5分間セッティングした塗装板に温度センサーを取り付け、80℃の熱風乾燥機に塗装板を投入し、温度が15℃上昇する毎にIV値を同様の装置を用いて測定した。IV値は、光輝剤を含有する塗料において、一般に光輝剤が塗膜表面に対して平行に凝集なく配向しているもの程、明度が高く、IV値は高い値を示す。測定した各IV値、光輝性、G’値は、後記表1のとおりであった。
【0075】
【表1】
【0076】
【表2】
【0077】
上記表1ならびに後記表2及び表3において、光輝性は目視にて、下記基準により評価したものである。
◎:光輝感が非常に良好である(塗膜のIV値が220以上)
○:光輝感が良好である(塗膜のIV値が200以上で220未満)
△:光輝感がやや不良である(塗膜のIV値が170以上で200未満)
×:光輝感が不良である(塗膜のIV値が170未満)。
【0078】
上記表1においては、いずれの塗料においても、塗膜温度が上昇するに従って、G’値が増大しており、昇温初期に塗着塗液の樹脂同士の絡み合いを生じて熱流動性が低下して、熱流動が最も大きくなる点を発現しないものと考えられる。
【0079】
表1から明らかなように、増粘剤「アクリゾールASE-60」の配合量を増加し、塗着時の貯蔵弾性率G’を大きくする事により、塗装直後及び塗装後5分間セッティング後のIV値、また80℃での加熱乾燥時のIV値を高くすることができ、光輝性を向上させることができた。塗装直後の塗液の貯蔵弾性率G’が10Paに満たないものは、塗着後、乾燥後のIV値が低く、満足な光輝性が得られなかった。
【0080】
実施例2
製造例4で得たアルミニウム顔料濃厚液48部に、製造例3で得た架橋剤水分散液131.3部を添加して得た混合物179.3部に、製造例1で得たアクリル樹脂水分散液と製造例2で得たアクリル樹脂水溶液のそれぞれを25部と120部、125部と80部、225部と40部、325部と0部、の割合で添加し1時間撹拌して各組成物を得た。得られた組成物のそれぞれに、「アクリゾールASE-60」(ロームアンドハース社製、増粘剤)3.0部とN,N−ジメチルアミノエタノール0.28部を加え、ブルックフィールド型粘度計で、60rpm回転時の粘度が500mPa・s(ミリパスカル・秒)となるように脱イオン水で希釈し、メタリックベースコート組成物を得た。実施例1と同様に、塗膜のIV値と粘弾性の測定を行った。その結果は、下記表2のとおりであった。
【0081】
【表3】
【0082】
【表4】
【0083】
上記表2から明らかなように、水溶性樹脂に対してアクリル樹脂水分散液の配合比率を増加させることにより、塗装直後及び塗装後5分間セッティング後のIV値、また80℃での加熱乾燥時のIV値を高くすることができ、光輝性を向上させることができた。特に乾燥過程の貯蔵弾性率G’の増加率を大きくすることにより、80℃乾燥後のIV値を高くでき、光輝性を向上させることができた。
【0084】
実施例3
製造例4で得たアルミニウム顔料濃厚液48部に、製造例3で得た架橋剤水分散液131.3部を添加して得た混合物179.3部に、製造例1で得たアクリル樹脂水分散液と製造例2で得たアクリル樹脂水溶液のそれぞれを300部と80部、500部と0部、の割合で添加し1時間撹拌して各組成物を得た。得られた組成物のそれぞれに、「アデカノ−ルUH752」(旭日電化工業社製、増粘剤)3.0部を加え、ブルックフィールド型粘度計で、60rpm回転時の粘度が500mPa・s(ミリパスカル・秒)となるように脱イオン水で希釈し、メタリックベースコート組成物を得た。実施例1と同様に、塗膜のIV値と粘弾性の測定を行った。その結果は、下記表3のとおりであった。
【0085】
【表5】
【0086】
上記表3から明らかなように、水溶性樹脂に対してアクリル樹脂水分散液の配合比率を増加させることにより、塗着塗液の貯蔵弾性率G’を高くすることができ、最も熱流動性が大きくなるときの塗着塗液の貯蔵弾性率G’を100Pa以上とすることによって、80℃乾燥後の塗膜のIV値を高くでき、光輝性を顕著に向上させることができた。
【0087】
【発明の効果】
本発明方法によると、アルミニウム顔料を含有する塗料を霧化塗装して塗膜を形成するにあたり、霧化塗装直後の塗着塗液の貯蔵弾性率G’を10Pa以上とすることによってIV値が200以上の光輝性に優れた塗膜を形成することができる。
Claims (6)
- アルミニウム顔料を含有する塗料を霧化塗装して被塗物上に塗膜を形成する方法において、霧化塗装直後の塗着塗液における応力0.5Paで且つ周波数0.1Hzの条件での貯蔵弾性率G’を10Pa以上とし、かつ 被塗物上に塗装された塗着塗液を加熱乾燥したときに、該塗着塗液の熱流動性が大きくなる場合には、該塗着塗液の熱流動性が最も大きくなる時点の塗着塗液について、応力0.5Paで且つ周波数0.1Hzの条件で該時点の温度での塗着塗液の貯蔵弾性率G’を100Pa以上とし、被塗物上に塗装された塗着塗液を加熱乾燥したときに、該塗着塗液の熱流動性が大きくならない場合には、該塗着塗液が50℃となる時点の塗着塗液について、応力0.5Paで且つ周波数0.1Hzの条件で50℃での塗着塗液の貯蔵弾性率G’を100Pa以上とすることを特徴とする、IV値が200以上の光輝性塗膜の形成方法。
- 被塗物上に塗装された塗着塗液を加熱乾燥したときに、塗着塗液の熱流動性が大きくなる場合であって、前記塗着塗液の熱流動性が最も大きくなる時点の塗着塗液について、該時点の温度での塗着塗液の貯蔵弾性率G’と損失弾性率G”との比(G’/G”)を0.3〜3の範囲内とすることを特徴とする請求項1記載の光輝性塗膜の形成方法。
- アルミニウム顔料を含有する塗料が、水性塗料である請求項1又は2に記載の光輝性塗膜の形成方法。
- 被塗物上にアルミニウム顔料を含有するベース塗料を霧化塗装し、ついで、被塗物上に塗装された塗着塗液をプレヒートし、さらに、該プレヒートされたベース塗膜上にクリヤ塗料を塗装して複層塗膜を形成する方法であって、該ベース塗料の霧化塗装直後において応力0.5Paで且つ周波数0.1Hzの条件での貯蔵弾性率G’が10Pa以上となり、かつ 被塗物上に塗装された塗着塗液をプレヒートしたときに、該塗着塗液の熱流動性が大きくなる場合には、プレヒートによって該塗着塗液の熱流動性が最も大きくなる時点の塗着塗液について、応力0.5Paで且つ周波数0.1Hzの条件で該時点の温度での塗着塗液の貯蔵弾性率G’が100Pa以上となり、被塗物上に塗装された塗着塗液をプレヒートしたときに、該塗着塗液の熱流動性が大きくならない場合には、該塗着塗液が50℃となる時点の塗着塗液について、応力0.5Paで且つ周波数0.1Hzの条件で50℃での塗着塗液の貯蔵弾性率G’が100Pa以上となる塗着塗液を形成することを特徴とする光輝性複層塗膜の形成方法。
- アルミニウム顔料を含有する塗料が、水性塗料である請求項4に記載の光輝性塗膜の形成方法。
- 被塗物上にアルミニウム顔料を含有するベース塗料を霧化塗装し、ついで、塗装された未硬化のベース塗膜上にクリヤ塗料を塗装して複層塗膜を形成する方法であって、該ベース塗料の霧化塗装直後において応力0.5Paで且つ周波数0.1Hzの条件での貯蔵弾性率G’が10Pa以上となり、かつ 被塗物上に塗装されたベース塗料の塗着塗液を加熱乾燥したときに、該塗着塗液の熱流動性が大きくなる場合には、加熱乾燥によって該塗着塗液の熱流動性が最も大きくなる時点の塗着塗液について、応力0.5Paで且つ周波数0.1Hzの条件で該時点の温度での塗着塗液の貯蔵弾性率G’が100Pa以上となり、被塗物上に塗装されたベース塗料の塗着塗液を加熱乾燥したときに、該塗着塗液の熱流動性が大きくならない場合には、該塗着塗液が50℃となる時点の塗着塗液について、応力0.5Paで且つ周波数0.1Hzの条件で50℃での塗着塗液の貯蔵弾性率G’が100Pa以上となる塗着塗液を形成することを特徴とする光輝性複層塗膜の形成方法。
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