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JP4252875B2 - 難着雪テープ及びこの難着雪テープを装着した難着雪架空線 - Google Patents

難着雪テープ及びこの難着雪テープを装着した難着雪架空線 Download PDF

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JP4252875B2 JP2003351454A JP2003351454A JP4252875B2 JP 4252875 B2 JP4252875 B2 JP 4252875B2 JP 2003351454 A JP2003351454 A JP 2003351454A JP 2003351454 A JP2003351454 A JP 2003351454A JP 4252875 B2 JP4252875 B2 JP 4252875B2
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Description

本発明は、裸電線や平滑電線等の架空線に巻き付け、あるいは貼着して難着雪化を図る難着雪テープを装着した難着雪架空線に関するものである。
例えば架空送電線は一般的に絶縁被覆を有していない、いわゆる裸の撚り線からなり、具体的には、例えばACSR(鋼芯アルミ撚り線)がよく知られている。
雪国や雪山のように、電線への着雪が生じ易いルートに建設されているこの種の架空送電線では、架空送電線上に付着した雪片は、架空送電線の最外層の撚りに沿って移動し、これが表面張力によって落下せずに増大し、やがて筒雪となり架空送電線を損傷させる。このような電線着氷雪による事故防止のためこれまで様々な対策が講じられている。
具体的には、架空送電線の着氷雪事故を防止するものとして、雪が滑り易い撥水性材料、例えばテフロン(登録商標)樹脂やシリコーン樹脂などから製作されたテープの片面に接着層を設けた難着雪テープを用意し、該難着雪テープを架空送電線内に沁み込んだりあるいは架空送電線表面に付着した雨水が排水できるように、架空送電線表面に所定の隙間を設けてギャップ巻きしたものが知られている(特許文献1)。
そしてこの難着雪テープにより架空送電線上に付着する雪片を架空送電線から容易に滑り落とし、雪片の架空送電線上での成長を防止している。
また電線外周に撥水性テープをらせん状に巻き付け、これを適宜間隔でプレフォームロッドで固定した難着雪架空線も知られている(特許文献2)。
ここで使用される難着雪テープの場合も、雪の滑り易い撥水性材料からなる難着雪テープの作用により、架空送電線表面に付着した雪片を架空送電線から滑り落とすことにより架空送電線上での雪片の成長を防止している。
実開平04−076213号公報 実開平03−060710号公報
ところで前述した各特許文献1、2に記載の難着雪テープは、各特許文献1及び2に添付された図からも判るように、架空送電線にラップ巻きあるいはギャップ巻きして使用される。そしてギャップ巻きの場合でもそのギャップ幅は高々数mm程度であると推測される。それ故、ラップ巻きの場合はもちろんのこと、ギャップ巻きであるとしても実質的に難着雪テープが架空送電線表面の大部分を覆ってしまう。加えてこれら各難着雪テープ自身は透明か半透明であって、充分に低明度化されていない。そのためこれら各難着雪テープは熱放散率が悪い。
その結果、この難着雪テープが巻回された架空送電線の熱放散が阻害され、例えば最大定格電流を通電したような場合には、架空送電線が過熱してしまい、架空送電線が長手方向に延び、設計値以上に弛度が増大して基準離隔距離を確保するのが困難になる、といった問題があった。
そこで本発明の目的は、放射率に優れ、例えば架空送電線上に巻回しても架空送電線の熱放散を阻害し難い難着雪テープを巻回した難着雪架空線を提供することにある。
さらに本願請求項記載の難着雪架空線は、架空線と撥水性の樹脂製耐熱性テープと該樹脂製耐熱性テープの一方の面に設けられ暗色系の着色顔料またはカーボンが添加され、明度が5.5以下(マンセル値)、かつ放射率が0.7以上である接着層を有し、前記樹脂製耐熱性テープと前記接着層の間に中実芯材を介在させ、略中央長手方向に突起部を有した難着雪テープとを有した難着雪架空線であって、前記架空線上に前記難着雪テープをらせん状に巻回したことを特徴とする。
このようにしてなる本願請求項記載の難着雪テープにより、架空送電線の難着雪化を向上せしめるだけでなく、この難着雪テープは熱放散性も優れているため、仮に架空送電線に最大定格電流を通電したとしても、その際に架空送電線が過熱してその弛度が設計値以上に増大する、といった問題が起こり難くなる。
以上のように本願発明によれば、架空送電線上に巻回しても、架空送電線の熱放散を阻害し難い難着雪テープを提供することができる。加えてこの難着雪テープを巻回した難着性に優れ、放熱性にも優れた難着雪架空線を提供することができる。
以下本願発明を図1〜図7を用いて詳細に説明する。
図1 は本願発明に用いる難着雪テープの構造を示す一部斜視図である。
図1 において符号1 は低明度化処理された難着雪テープで、この難着雪テープ1 の表面側である樹脂製耐熱性テープ2 は、例えばP T F E 樹脂( 四フッ化エチレン樹脂) やシリコーン樹脂等の撥水性材料からなるテープ、あるいはポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートその他のプラスチックからなる樹脂製耐熱性テープ表面にオルガノポリシロキサン系樹脂やフッ素系樹脂等の撥水性材料をコーテイングしたテープであって、かつこのテープは灰黒色あるいは茶褐色化して低明度化( マンセル値5.5以下) すると共に熱の放射率が0.7以上となるように処理されている。
またこの樹脂製耐熱性テープ2の裏面には接着層3が形成されている。この接着層3を構成する接着剤としては、例えばゴム系接着剤、シリコーン系接着剤あるいはこれ以外の各種接着剤を使用することができる。
ところで本願発明における低明度化処理とは、その明度が5.5(マンセル値)以下、好ましくは3.5以下になるように、例えば前記樹脂製耐熱性テープ2を灰黒色化または茶褐色化させて、放射率が0・7以上となるようにする処理をいうものとする。
また放射率は、例えば測定装置として、日本電子製JIR−5500形フーリエ変換赤外分光光度計及び放射測定ユニットIRR−200を使用し、試料を試料載置板上に置いて前記装置で試料及び黒体の分光放射強度を測定し、試料の分光放射強度を黒体の分光放射強度で除して分光放射率を求め、これをもとに求めた値である。
因みに、分解能は16cm−1、積算回数は200回、測定温度は約150℃、波長範囲は4.5μm〜15.4μmである。
ところで樹脂製耐熱性テープ2が透明または半透明である従来の難着雪テープを架空送電線11の表面に、例えばらせん状に比較的短いピッチでギャップ巻きすると、樹脂製耐熱性テープ2の表面の熱放散が悪くて、架空送電線11に例えば最大定格電流が流れたような場合には、架空送電線11が過熱して延びてしまい、その結果電線弛度が増加して規定の離隔距離を確保できなくなるが、前述したように低明度化処理した本願発明の難着雪テープ1を使用すると、樹脂製耐熱性テープ2からの熱放散が大きいため架空送電線11の過熱が防止され、架空送電線11の延びが抑制される。その結果電線弛度が増加する、という問題が防止できる。また過熱を防止できることから架空送電線11の送電容量を低下させることもない。
尚、樹脂製耐熱性テープ2を低明度化するに際しては、上記した処理方法に加えて、接着層3に暗色系の着色顔料あるいはカーボンなどを混入すると、難着雪テープ1をより一層確実に低明度化でき、放射率をより高くすることができるので好ましい。
また前記実施例1では撥水性の樹脂製耐熱性テープ2に低明度化処理を施して樹脂製耐熱性テープ2の明度を5.5(マンセル値)以下にしているが、樹脂製耐熱性テープ2を低明度化すると共に、前記接着層3には暗色系の着色顔料あるいはカーボンなどを混入することにより、あるいは樹脂製耐熱性テープ2と接着層3の両方に低明度化処理を施す等して難着雪テープ1全体として明度を5.5(マンセル値)以下、かつ放射率を0.7以上にしてもよい。このようにしても前記実施例1と同様の効果を得ることができる。
因みに、難着雪テープ1の明度を5.5(マンセル値)以下、かつ放射率を0.7以上にした理由は、明度が5.5以上では放射率を0.7以上にするのが困難で、架空送電線11の過熱を確実に防止できないからである。ところで明度を3.5(マンセル値)以下にすると、より確実に放射率を0.7以上にでき、熱放散効果を向上させることができ好ましい。
以上のようにしてなる実施例1の難着雪テープ1を、例えば架空送電線11にギャップ巻きすれば、架空送電線上に付着した雪片をその表面側の撥水性の樹脂製耐熱性テープ2の作用により効率良く滑り落とすことができ、付着した雪片の成長を防止できる。
加えて、この難着雪テープ1は低明度化され、その明度が5.5以下(マンセル値)、放射率0.7以上にされているため、架空送電線11の熱放散が妨げられ難く、そのため過熱が防止されて架空送電線11の延びが抑制され、その結果電線弛度が増加する、という問題も解決できる。
尚、難着雪テープ1は図示しない巻付け装置により架空送電線11に巻き付けられる関係上、通常の架空送電線11等の1径間長分の長さ以上を必要とするものである。
図2は図1に示す難着雪テープ1を、その接着層3を架空送電線11側にして、架空送電線11に接着させながら所定のピッチでギャップ巻きして巻回した状態を示す一部側面図である。
ここで、本願発明者等は、本願発明の難着雪テープ1として幅が50mmと100mmの2種類のテープを用いて、同一条件でこの難着雪テープ1を架空送電線11に巻き付け、そのピッチを種々変えて着雪防止効果比較試験を行った。
その結果、架空送電線11の最外層の撚りピッチをP、前記難着雪テープ1の前記架空送電線11への巻き付けピッチをPtとしたとき、0.1Pc≦Pt≦0.5Pcとなるように前記難着雪テープ1を架空送電線11にらせん状に巻き付ければ、難着雪性が十分保持できることを確認した。また同時に幅広の難着雪テープ1の方が幅の狭いテープより若干難着雪効果が優れることをも見出した。
因みに従来にあっては、前記特許文献1や特許文献2についての説明で既に述べたように、難着雪テープを架空送電線11へらせん状に巻回する場合には、ラップ巻きか間隙が高々数mmの狭いギャップ巻きを行っていた。そのため、架空送電線11の表面の放熱特性を劣化せしめると共に、架空送電線11への巻き付け時間が長く掛かるため工事費が高くなり、また難着雪テープを必要以上に長く必要とするため、難着雪テープの資材費の高騰を招いていた。
それに対して前述したように架空送電線11の最外層の撚りピッチをPc、前記難着雪テープ1の前記架空送電線11への巻き付けピッチをPtとしたとき、0.1Pc≦Pt≦0.5Pcとなるように、前記難着雪テープ1を架空送電線11にらせん状に巻き付けた場合、架空送電線11の難着雪性を保持しながら、しかも難着雪テープ1の架空送電線11へのらせん巻きピッチPtを大きくとれるため、テープ巻き付け作業時間を短縮でき、その結果工事費用も削減できる。またピッチPtを比較的大きく取れる、ということは難着雪テープ1の必要長さも短尺化できることを意味するので、難着雪テープ1の資材費用も低減できる。従来方法に比較して数分の1とすることができ、極めて安価に難着雪架空送電線を得ることができる。
ここで0.1Pc≦Pt≦0.5Pcとした理由を詳しく述べておくと、0.1Pc>Ptでは架空送電線11の難着雪効果は問題ないが、巻き付けピッチが小さ過ぎて巻き付ける難着雪テープ1の長さが必要以上に長くなり資材コストが高くなり過ぎるからである。また巻き付け時間も長く掛かり、巻き付け工事費用も高くなる。
またPt>0.5Pcでは架空送電線11への巻き付けピッチが長くなり過ぎて架空送電線11の難着雪効果を十分確保できなくなるからである。
また、難着雪テープ1のテープ幅については、前述したようにテープ幅が狭いものより広いものの方が難着雪性には優れているが、幅の広いテープでは資材費の高騰をより招き易く、しかもテープ幅を広くしても架空送電線11への巻き付け作業性も飛躍的に向上する訳ではない。それ故、基本的には巻き付ける架空線、例えば架空送電線の外径に応じて難着雪テープ1の幅を選択すればよい。因みに発明者等の経験によれば難着雪テープ1の幅は50〜100mmの範囲で選択するのが適切である。もちろん架空送電線11の外径によってさらに幅の狭いテープや幅の広いテープが使用できることはいうまでもない。
このように実施例2に記載の難着雪架空送電線によれば、難着雪性に優れ、しかも架空送電線11の過熱も防止でき、加えてこの架空送電線11への本願発明の難着雪テープ1の巻き付け工事費用や難着雪テープ1の資材費用をも低減できる、という優れた効果を得ることができる。
図3(a)〜(c) は本願発明に用いる難着雪テープ1の別の実施例を示す横断面図を示している。すなわち実施例3においては、撥水性の樹脂製耐熱性テープ2と接着層3との間に単数または複数の断面円形(線材)あるいは断面矩形(条あるいはテープ)の中実芯材5、6及び7のいずれかを介在させて難着雪テープ1の略中央部長手方向に突起部8を膨出形成したものである。ここで前記樹脂製耐熱性テープ2 には前述した低明度化処理が施されて、その明度が5.5以下( マンセル値)、かつ放射率が0.7以上になっている。
ここで中実芯材5 、6及び7は半導電性または導電性のポリプロピレン樹脂やシリコーン樹脂及びその他の耐熱性樹脂など、あるいはアルミ等の金属材料から選定される。また図示した形状の中実芯材5、6及び7の代わりに、半導電性または導電性の中空のパイプ材あるいはスポンジ状に発泡させた軽量な樹脂や金属材料等も用いることもできる。
一例として突起部8の幅Bと厚さまたは高さt及び介在位置は、難着雪テープ1の幅Wが30〜60mmの場合、以下の値が採用される。
すなわち、突起部8の幅Bは、0.02W≦W≦0.5W の範囲、突起部8の厚さまたは高さtは、t≦0.5〜2mmの範囲であることが好ましく、一般的には1.5mm程度が望ましい。そして芯材の介在位置は、テープのほぼ中央である。
図4は図3(a)の突起付きの難着雪テープ1を架空送電線11にらせん状に巻回した状態を示す一部側面図である。本実施形態では突起部8のピッチPpは概略、Pp=W+Gである。ここでWは前述したように突起付きの難着雪テープ1の幅、Gはギャップ巻きのギャップ幅を示している。
このように突起付きの難着雪テープ1を架空送電線11にらせん状に巻回した場合、撥水性の難着雪テープ1による雪片の滑り易さによる難着雪効果及び低明度化した難着雪テープ1の過熱防止効果に加えて、この突起付きの難着雪テープ1の突起部8のらせん状巻き付けピッチPpにより、架空送電線11上に付着した雪片の回転方向を規制できるようにもなる。それ故、ピッチPpを比較的小さく、例えば5〜10cm程度にすれば、あたかも架空送電線11に多数の難着雪リングを狭間隔で取り付けたものと同様な作用を発揮する。すなわち、雪片が適当な大きさになると撥水性の本願難着雪テープ1の滑り易さと相俟って、雪片の自然落下が促進される。その結果筒雪のような過大な着雪に発達しなくなり雪害事故を未然に、かつ確実に防止することができる。
本願発明の第5実施例を図5(a)、(b)に示す。
図5(a)は、前述した図3(c)に示したような突起付きの難着雪テープ1を、接着層3を内側にして、表面が比較的平滑な電線であって通称平滑電線と呼ばれているタイプの架空送電線11へ取り付けた状態を示す一部斜視図、図5(b)はこの架空送電線11からの落雪状況を示す模式図を各々示している。
この実施例5では、突起付きの難着雪テープ1を架空送電線11の長手方向に縦添えし、かつ接着層3を介して貼着し、突起部8が架空送電線11の略上部側長手方向に位置するようにしたものである。
この架空送電線11の下方に形成される難着雪テープ1によるギャップ幅Gsは、長手方向に連続して現れる。本実施例5の場合の突起付きの難着雪テープ1の幅Wは、架空送電線11の外径をDとした場合、0.5πD<W≦0.95πDの範囲であることが好ましい。
このような範囲が好ましい理由は、0.5πD≧Wでは経時的にこの難着雪テープ1が架空送電線11から剥がれる危険性が高くなるためであり、W>0.95πDにすると難着雪テープ1で覆われない架空送電線11の外周露出部分の周長、すなわちギャップ幅Gs(Gs=πD―W)が狭くなり過ぎて、架空送電線11内に沁みこんだり、難着雪テープ1と架空送電線11との間に入った雨水等の水分が外部に排水され難くなって電線腐食の恐れが出てきたり、難着雪テープ1の資材費が高くなったりするからである。
尚、突起付きの難着雪テープ1を、例えば一般の架空送電線11のように数百m程度の長区間にわたって連続して貼着施工すると、架空送電線11が比較的小サイズの平滑電線である場合には、施工者の重量などで電線が捩れる可能性が高い。その結果、架空送電線11に宙乗りして突起部8の位置を架空送電線11の略上部に位置決めさせることは極めて困難になる。そこで若干の位置ずれは許容することにして、例えばこの突起付きの難着雪テープ1を数十m毎に分割して、突起部8の位置ずれを矯正しながら架空送電線11に取り付けるようにする方法もある。また、架空送電線(平滑電線)11の捩れを抑制するカウンターウエイトを数十mの間隔で取り付けたり、リングなどで必要箇所を適宜固定して突起部8を電線略上部に位置決めするようにしてもよい。
以上に説明した前記実施例5においては、突起部8は架空送電線11上で長手方向に略直線状の突起となって現れる。このような直線状の突起部8を架空送電線11の上部表面上に形成することにより、従来雪害防止対策が困難であった例えば通称平滑電線と呼ばれるような架空送電線11に対しても、極めて効果的な雪害対策を行うことができる。
すなわち、直線状の突起部8が架空送電線11の長手方向上部に形成される結果、架空送電線11上に付着した雪片Stは図5(b)に示すように、直線状の突起部8により架空送電線11の外周上部で左右に分割される。さらには表面が撥水性に優れる難着雪テープ1の効果と相俟って、雪片Stと架空送電線11との間の付着力が弱められるため落雪が促進されるので、架空送電線11が平滑電線であっても過大な筒雪に成長するのを確実に防止することができる。
また、本実施例5に示したように、0.5πD<Wとすることで難着雪テープ1の内面の接着層3側に雨水などが回り込み難くなる。その結果接着層3の剥離などが発生し難くなる。したがって突起付きの難着雪テープ1の作用効果を長期にわたって期待できる。
尚、通常の裸の架空送電線で行われるように、適当な間隔で平滑電線であるこの架空送電線11上に、着雪による電線自身の回転捩れを防止する、いわゆる「捩れダンパ」等を併用すると、難着雪効果を一層高めることができる。
図6は本願発明の第6実施例を示す一部側面図で、半導電性または導電性の耐熱樹脂あるいはアルミ線材等からなる線材あるいは条材9(以下単に線材9という)を架空送電線11の上部の長手方向に予め添設し、これを例えば前述した図1に示すような難着雪テープ1でらせん状にピッチPtで巻回固着した状態を示している。尚、図6では線材9を架空送電線11の上部に縦添えしたものを示しているが、架空送電線11の下部に線材9を縦添えしたものでもよい。
具体的に図6に示す難着雪架空送電線を形成する場合には、例えば線材9を巻き付けたリールを有する線材敷設装置(図示せず)を、架空送電線11上を走行させて線材9を添設(縦添え)し、その後難着雪テープ1をらせん状に巻回して架空送電線11と線材9とを一体化する方法がある。このように簡単な方法で架空送電線11に線材9を添設できる。
ところで線材9の架空送電線11からの突起高さまたは厚さtを1〜3mmとすると、難着雪テープ1による難着雪効果や過熱防止効果に加えて風騒音防止効果も期待できる。
また、突起高さtが架空送電線11の外径Dに対して5%未満の高さであると、架空送電線11上に付着した雪片を分断する力が不十分となり、着雪防止効果があまり期待できなくなるので、突起高さtは架空送電線11の外径Dに対して5%以上になるようにすることが好ましい。
さらにまた、図6に示す実施例6のものを、図5で示す実施例5で説明した、いわゆる架空送電線11が平滑電線である場合の難着雪対策の一つとしても用いることができる。
尚、本実施例6では線材9が円形断面の場合を示しているが、他の形状の線材あるいは条材であっても使用できることはいうまでもない。さらに線材9は1本である必要はなく、複数本を並列して添設してもよい。
以上のように実施例6に示す架空送電線11にあっては、難着雪テープ1の効果により架空送電線11の難着雪化、過熱防止化が図れるだけでなく、比較的簡単な方法で電線長手方向に連続する突起部を形成できるので、この突起部により更に難着雪効果が高まり、さらには風騒音防止効果も期待できる。
因みに、難着雪テープ1に代えて特許文献1に記載の従来難着雪テープを使用するだけでも難着雪効果や風騒音防止効果は期待できる。但し、架空送電線11の過熱防止効果は期待できないことはいうまでもない。
図7は本願発明の第7実施例を示すもので、図7(a)は架空送電線11にらせん状に巻いた線材10、10からなる2組の線材上にさらに本願発明の、具体的には図1に示す難着雪テープ1をらせん状に巻回した状態を示す一部側面図であり、図7(b)はその正面図である。
本実施例は、本願発明の難着雪テープ1を使用することにより架空送電線11に期待される難着雪効果や過熱防止効果に加え、線材10、10をらせん巻きしたことによりコロナ特性を改善し、かつ風騒音の低減効果をも高め得る架空送電線11を提供するものである。
具体的には、半導電性または導電性の耐熱樹脂あるいはアルミ線材等からなる外径1〜3mm程度の線材10、10を、例えば2本を密着して1組とした2組の線材を対向するようにして所定のピッチP1(例えば20〜100cm程度の範囲)でらせん状に架空送電線11に巻き付けて電線表面にらせん状の突起を少なくとも1箇所以上形成し、さらにこれら線材10を難着雪テープ1で架空送電線11に巻回一体化したものである。ここで難着雪テープ1のらせん巻きピッチはPtである。
尚、単に難着雪効果やコロナ対策のみに注目するなら、本願発明の難着雪テープ1の代わりに特許文献1に記載の従来の難着雪テープ等も使用できるが、この場合には架空送電線11の過熱防止効果は期待できない。
ところで前述した図5や図6に記載の実施例5及び実施例6では、突起部8または線材9を架空送電線11の長手方向の上部または下部方向にほぼ直線状に配置形成したため、見かけ外径が増加し、低い卓越風騒音が生じる懸念が若干あったが、本実施例7によれば、線材あるいは条材10、10(以下単に線材10という)が電線外周にらせん状に巻回固着されるので、電線外径は架空送電線11の長手方向に対して周期的に変化するためカルマン渦が形成され難くなる。その結果卓越周波数も形成され難くなって風騒音が低減できる。
一方、コロナ騒音に対しても線材10を密着させて所定のピッチでらせん状に架空送電線11に巻き付け、電線表面にらせん状の突起を少なくとも1箇所以上形成した上に、線材10、10の突起形状が単独設置の場合に比して平滑化されて電線表面の突起部分の電位傾度が緩和される。その結果コロナ騒音レベルが低減される。
さらにまた密着した線材10、10を一対として、これを2組図7(b)のように、突起が電線の任意断面上で対向した位置に現れるように巻き付けることにより、架空送電線11の表面電位傾度を一層低いものにすることができる。ここで2組の線材間の間隔P2は前述したP1のほぼ半分の長さにしてある。
以上の結果、風騒音及びコロナ騒音レベルをより一層低減できる。
また、密着した線材10、10が形成する突起を前記図7(b)に示すように、電線の任意断面で対向して形成することにより、見かけの電線外径が増加して雨滴等により最大電位傾度が発生し易い電線下面方向の電位傾度を緩和できるので、超高圧送電線に適用しても何ら問題を生じない。
加えて、架空送電線11の外周にらせん状に巻回された線材10がきつく締まるように、線材10の巻回方向と同一方向で難着雪テープ1により巻回一体化されるので、前記線材10が振動等でずれたり緩んだりすることもなく安定して架空送電線11上に一体化され、長期に亘り安定した効果を発揮することができる。
なお、難着雪テープ1の巻き付けピッチPtと線材10の巻き付けピッチP1との関係はPt<P1である。このようにすると難着雪テープ1の巻回が容易になる。
なお、以上の実施形態では電線の表面電位傾度が高い場合の取り付け方法を示したが、電位傾度が低い場合には、線材10は2条密着して巻き付ける必要はなく、1条単独でらせん状に巻き付けて、その外側を難着雪テープ1で巻回して架空送電線11と線材10とを一体化するようにしてもよい。このようにすればより経済的な難着雪対策を行うこともできる。
また風騒音防止装置として知られるスパイラルロッドのように、スパイラル状に形成する必要もなくラッシングマシン等により線材10、10を架空送電線11に容易かつ迅速に装着することができるので、巻き付け工事費の大幅なコストダウンが可能である。
さらに線材10、10は架空送電線11にらせん状に巻回して装着されるため、仮に難着雪テープ1が部分的に破損しても線材10、10が垂れ下がるようなことはなく電気的な安全性が高い。
なお、線材10、10を樹脂などで製作する場合には両者を密着一体化して、例えば断面形状が瓢箪型になるように押出成形するなどして成形すれば、架空送電線11に巻回する時に両者が遊離せず外観美麗に均一な施工ができ、安定した特性が得られるので都合がよい。
以上に述べた本願発明の各実施例では、本願発明の難着雪テープ1を装着する対象として架空送電線11の例のみで説明しているが、本願発明は架空送電線11の着雪対策ばかりでなく、放送塔の空中アンテナ線や斜張橋及び長大橋のケーブルの着雪対策、レインバイブレーション対策、風騒音対策としても使用できる等、極めて応用範囲が広い。すなわち本願明細書中で架空線という場合には、架空送電線の他に空中アンテナや斜張橋及び長大橋のケーブルも含むものである。
本願発明の難着雪テープの一実施例を示す一部斜視図である。 本願発明の難着雪架空線の一実施例を示す一部側面図である。 図3(a)、(b)、(c)はそれぞれ本願発明の難着雪テープの他の例を示す横断面図である。 本願発明の難着雪架空線の他の実施例を示す一部側面図である。 図5(a)は本願発明の難着雪架空線の別の実施例を示す一部斜視図、図5(b)は図5(a)の難着雪架空線上に付着した雪片の落下する状態を示す模式図である。 本願発明の難着雪架空線の他の実施例を示す一部側面図である。 図7(a)は本願発明の難着雪架空線の別の実施例を示す一部側面図、図7(b)はその正面図である。
符号の説明
1 難着雪テープ
2 樹脂製耐熱性テープ
3 接着層
5、6、7 芯材
8 突起部
9 線材
10 線材
11 架空送電線

Claims (1)

  1. 架空線と
    撥水性の樹脂製耐熱性テープと該樹脂製耐熱性テープの一方の面に設けられ暗色系の着色顔料またはカーボンが添加され、明度が5.5 以下(マンセル値) 、かつ放射率が0.7 以上である接着層を有し、前記樹脂製耐熱性テープと前記接着層の間に中実芯材を介在させ、略中央長手方向に突起部を有した難着雪テープと
    を有した難着雪架空線であって、
    前記架空線上に前記難着雪テープをらせん状に巻回したことを特徴とする難着雪架空線。
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