JP4250725B2 - 遊星歯車機構におけるキャリアピンの加工方法、遊星歯車機構のキャリアピン - Google Patents
遊星歯車機構におけるキャリアピンの加工方法、遊星歯車機構のキャリアピン Download PDFInfo
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Description
【発明の属する分野】
この発明は、遊星歯車機構におけるキャリアピンの加工方法のほか、遊星歯車機構のキャリアピンに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、一部の産業車両では駆動モータの回転を減速させて車輪に伝達するために遊星歯車機構を用いることがあった(例えば特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
米国特許第6106429号明細書(図2)
【0004】
この種の遊星歯車機構50(従来技術1と称する)は、図5に示されるように、複数のキャリアピン52が設けられたキャリア51、キャリア51に軸支される遊星歯車53、スラストワッシャ54、スナップリング56から主に構成されている。円盤状のキャリア51には3本のキャリアピン52が突設されているが、各キャリアピン52はキャリア51の中心から等距離に配置され、これらのキャリアピン52は遊星歯車53を回転自在に軸支するものとなっている。
【0005】
各キャリアピン52に対応する3個の通孔55を備えたスラストワッシャ54がキャリアピン52に嵌挿されるが、キャリアピン52の先端付近の周面にはスナップリング56用のリング溝57が設けられており、スナップリング56をリング溝57に装着することにより、スラストワッシャ54のキャリアピン52からの抜け止めを図っている。
したがって、遊星歯車53がキャリアピン52に対して回転するとき、スラストワッシャ54が遊星歯車53のキャリアピン52からの抜け止めを図り、スラストワッシャ54はスナップリング56によりその抜け止めが図られる。
この種の遊星歯車機構50によれば、1つのスラストワッシャ54とすることによりスラストワッシャ54の回り止めを図ることができるといった有利性が認められる。
【0006】
一方、図6に示されるように、別の遊星歯車機構60(従来技術2と称する)では、キャリア61の周縁に相対するように、各キャリアピン62の先端からキャリア61へ向けて一定の平坦面を有する切り欠き68が形成され、さらに、キャリアピン62の先端付近にスナップリング66用のリング溝67が設けられている。そして、切り欠き68を含むキャリアピン62の断面形状に対応する通孔65を有するワッシャ64を各キャリアピン62に嵌挿し、スナップリング66をリング溝67に装着し、夫々のワッシャ64の抜け止めを図っている。したがって、遊星歯車63がキャリアピン62に対して回転するとき、キャリアピン62の切り欠き68とワッシャ64の通孔65により、ワッシャ64がキャリアピン62に対して回転することがなく、遊星歯車63のキャリアピン62からの抜け止めを図り、ワッシャ64の抜け止めはスナップリング66により図られる。この種の遊星歯車機構60によれば、材料に対して無駄が少なく材料歩留まりの優れた安価なワッシャ64を用いることができるといった有利性がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した従来技術1における遊星歯車機構50にあっては、1つのスラストワッシャ54で全キャリアピン52に対応する通孔55を備えるため、スラストワッシャ54が比較的大型になるほか、その形状も複雑となりがちであった。
従って、スラストワッシャ54を製造する場合、材料の無駄が発生し易く、材料歩留まりが低くなることが避けられなかった。
その結果、スラストワッシャ54が高価になり、ひいては遊星歯車機構50の製造コストの上昇を招くという問題があった。
【0008】
他方、従来技術2における遊星歯車機構60にあっては、材料歩留まりに優れた安価なワッシャ64を用いることができるものの、各キャリアピン62の先端付近にワッシャ回り止め用の切り欠き68を形成する必要があった。
平坦面を有する切り欠き68の加工は、工具によりキャリアピン62毎に加工するしかなく、キャリアピン62の数に応じて切り欠き68の加工時間が長くなる等、結局、遊星歯車機構60の製造コストを増大させるといった問題があった。
【0009】
さらに、個別にキャリアピン62の切り欠き68を加工するから、切り欠き68の加工時における工具との切削抵抗もバランスが良いとは言えず、互いのキャリアピン62の切り欠き68の加工精度が安定せず、ひいては遊星歯車機構60の品質が安定しないという問題があった。
このように、これらの従来技術では、上記した諸問題が遊星歯車機構の製造コストの低減や品質の安定に対する大きな隘路となっていた。
【0010】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたもので、キャリアピン毎に用いる安価なワッシャを利用するとともに、各キャリアピンに必要なワッシャ回り止めの切り欠きを工具により軌跡円でキャリアピンを切削加工する加工工程により形成し、製造コストの低減と安定した品質を実現する遊星歯車機構におけるキャリアピンの加工方法のほか、遊星歯車機構のキャリアピンの提供にある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を達成するため、請求項1に記載の発明は、複数のキャリアピンを備えた遊星歯車機構におけるキャリアピンの加工方法であって、工具により軌跡円でキャリアピンを切削加工する加工工程により各キャリアピンにワッシャ回り止め用の切り欠きを形成することを特徴とする。
【0012】
請求項1記載の発明では、工具により軌跡円でキャリアピンを切削加工する加工工程により各キャリアピンにワッシャ回り止め用の切り欠きを形成することができるから、個別にキャリアピンのワッシャ回り止め用の切り欠きを加工する必要がなく、加工時間が大幅に短縮されるほか、互いのキャリアピンの回り止め用の切り欠きの品質を安定させることが容易となる。このため、遊星歯車機構の製造コストを低減することができるほか、遊星歯車機構の品質を安定させることが容易となる。
【0013】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のキャリアピンの加工方法において、複数のキャリアピンを備えたキャリアにおける太陽歯車の軸心に工具の軸心を一致させ、工具と複数のキャリアピンを互いに干渉させることを特徴とする。
【0014】
請求項2に記載の発明では、キャリアにおける太陽歯車の軸心と工具の軸心が一致した状態で、工具と複数のキャリアピンが互いに干渉されるから、各キャリアピンに形成されるワッシャ回り止め用の切り欠きは同一形状となる。従って、キャリアピンに嵌挿するワッシャを1種類とすることができ、ワッシャの製造コストを低減することができ、ひいては遊星歯車機構の製造コストをさらに低減することができる。その上、切り欠きの加工時における工具との切削抵抗もバランスが良くなるから、キャリアピンの加工精度が向上し、遊星歯車機構の品質を安定させることができる。
【0015】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の遊星歯車機構におけるキャリアピンの加工方法において、キャリアにおける太陽歯車の軸心から各キャリアピンの軸心までの距離をd、工具の半径をR、キャリアピンの半径をrとするとき、
R−r<d<R+r
とする条件を満たすことを特徴とする。請求項3に記載の発明では、キャリアにおける太陽歯車の軸心から各キャリアピンの軸心までの距離dおよびキャリアピンの半径rに基づいて、ワッシャ回り止め用の切り欠きの形成に適した半径Rの工具が特定される。従って、半径Rの工具により各キャリアピンにワッシャ回り止め用の切り欠きを確実に形成することができる。
【0016】
請求項4に記載の発明は、請求項2又は3に記載の遊星歯車機構におけるキャリアピンの加工方法において、複数のキャリアピンを備えたキャリアにおける太陽歯車の軸心に相対するようにワッシャ回り止め用の切り欠きがキャリアピンに形成されることを特徴とする。請求項4に記載の発明では、切り欠きが形成されたキャリアピンの断面はキャリアピンの軸心へ向けて窪む円弧を備えるから、切り欠きが形成されたキャリアピンの断面に対応する通孔を備えたワッシャを用いた場合、円弧によりワッシャの回り止めの機能が強化される。また、切り欠きが形成されたキャリアピンの断面に対応する通孔を備えたワッシャ以外に、例えば、従来技術2で説明したワッシャを利用することができる。
【0017】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の遊星歯車機構におけるキャリアピンの加工方法において、複数のキャリアピンを備えたキャリアの周縁に相対するように、ワッシャ回り止め用の切り欠きがキャリアピンに形成されることを特徴とする。請求項5に記載の発明によれば、切り欠きが形成されたキャリアピンの断面はキャリアピンの周縁に向けて膨出する円弧を備えるから、太陽歯車の軸心に相対するように、キャリアピンに切り欠きを形成させることができない場合でも、キャリアピンにワッシャ回り止め用の切り欠きを設けることができる。
【0018】
請求項6記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載の遊星歯車機構におけるキャリアピンの加工方法により加工されることを特徴とする遊星歯車機構のキャリアピンである。請求項7に記載の発明によれば、各キャリアピンの切り欠きは太陽歯車の軸心を中心とする円周上に位置し、互いに同じ形状である。従って、キャリアピンに用いるワッシャは1種類とすることができ、ワッシャの製造コストを低減することができ、ひいては遊星歯車機構の製造コストをさらに低減することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態に係る遊星歯車機構を図1〜図3に基づいて説明する。
本実施形態の遊星歯車機構は、産業車両としてのバッテリー式フォークリフトの減速機に適用したものである。
図1に示されるように、遊星歯車機構10は円盤状のキャリア11、キャリア11に突設されたキャリアピン12、遊星歯車13、ワッシャ14、スナップリング15等から構成されている。
【0022】
まず、キャリア11及びキャリアピン12について説明する。
この実施形態におけるキャリア11は円盤状であり、キャリア11の中心Aは太陽歯車(図示せず)の軸心Mと一致している。
このキャリア11の表面にはキャリアピン12が突設されているが、この実施形態における遊星歯車機構10ではキャリアピン12を3本としている。
また、この実施形態では、キャリア11の裏面には図示しない出力軸が備えられており、出力軸の軸心は太陽歯車の軸心Mと一致している。
各キャリアピン12はキャリア11と一体に設けられているが、具体的には鍛造により得られた鍛造品の切削加工により、キャリア11からキャリアピン12が突設された形状を呈するものとなっている。
【0023】
キャリア11に対する各キャリアピン12の位置について説明すると、キャリア11から突設された各キャリアピン12の軸心は、キャリア11の中心から互いに等距離を保っているほか、キャリア11に配置された互いのキャリアピン12の位相も120度の角度を保っている。
これらのキャリアピン12の先端からキャリア11側へ向けて一定の切り欠き16が夫々設けられている。
この切り欠き16は、キャリアピン12に嵌挿されるワッシャ14の回り止めのためのものである。
【0024】
この実施形態の各キャリアピン12の切り欠き16は、太陽歯車の軸心Mでもあるキャリア11の中心Aに相対するように設けられており、詳細は後述するが回転式の工具20の切削加工により形成されている。
従って、切り欠き16を含むキャリアピン12の断面は、キャリアピン12の外周を形成する円弧21aと、工具20の回転により得られる軌跡円Sと一致する円弧21bから形成されたものとなっているが、言い換えれば、円弧21bは、太陽歯車の軸心Mを中心とする円とキャリアピン12の外周との相交により形成されるものである。
また、キャリアピン12の先端付近の周面には、スナップリング15を装着するためのリング溝17が刻設されている。
【0025】
次に、遊星歯車13について説明する。
遊星歯車13は太陽歯車と噛み合う歯面を供えており、遊星歯車13の中心には挿通孔18が備えられ、これらの遊星歯車13はキャリアピン12に対して回転自在に嵌挿され、キャリアピン12に軸支されるものとなっている。
【0026】
ここで、キャリアピン12に嵌挿されるワッシャ14について説明する。
ワッシャ14はキャリアピン12に嵌挿された遊星歯車13がキャリアピン12から抜けないようにするためのものであり、ワッシャ14には切り欠き16を含むキャリアピン12の断面に対応する通孔19が設けられている。
ワッシャ14の通孔19は、切り欠き16を含むキャリアピン12の断面に完全に一致するように対応すれば、ワッシャ14の回り止めの機能の点から好ましいと言えるが、キャリアピン12とワッシャ14の通孔19との間に僅かなクリアランスを設定しておく方が遊星歯車機構10の組立の作業性を向上させることができる。
【0027】
従って、切り欠き16を含むキャリアピン12の断面に対応するワッシャ14の通孔19とは、切り欠き16を含むキャリアピン12の断面に対して一致する通孔から相似形あるいは類似形といった通孔を包含する。
なお、ワッシャ14は金属板を材料とするプレスの打ち抜き等により安価に製作できるものとなっている。
【0028】
次に、スナップリング15について説明する。
この実施形態のスナップリング15は、先に説明したキャリアピン12のリング溝17に装着されるもので、ワッシャ14の抜け止めを図るものである。
従って、スナップリング15がキャリアピン12のリング溝17に装着されたときに、ワッシャ14がスナップリング15を通り抜けないようにすればよく、スナップリング15は公知のものでもよい。
このように構成された遊星歯車機構10は、キャリアピン12に対して遊星歯車13、ワッシャ14、スナップリング15の順で組み立てられ、別に設けられる太陽歯車がこれらの各遊星歯車13と噛み合うように配置される。
【0029】
次に、この実施形態の遊星歯車機構10におけるキャリアピン12の加工方法について説明する。
この実施形態では、図2に示されるように、キャリア11を固定しておき、回転式の工具20の軸心をキャリア11における太陽歯車の軸心Mと一致させ、工具20をキャリアピン12へ向けて移動することにより、各キャリアピン12にワッシャ回り止め用の切り欠き16を形成させるようにしている。
【0030】
そして、図3に示されるように、キャリア11における太陽歯車の軸心Mから各キャリアピン12の軸心までの距離をd、キャリアピン12の半径をr、回転式の工具20の半径をRとしたとき、
R−r<d<R+r
とする条件を満たすような回転式の工具20を選択する。
上記の条件を満たすことにより工具20が各キャリアピン12に対して必ず干渉し、キャリアピン12に切り欠き16が形成されるほか、各キャリアピン12に形成される切り欠き16は互いに同一の形状となる。
この実施形態における工具20の具体例としては、フライス盤で使用するカッターとしているが、マシニングセンタに備えられた工具等が利用できることは言うまでもない。
【0031】
次に、回転式の工具20の軸心を太陽歯車の軸心Mに一致させ、工具20を回転させる。
そして、工具20の軸心を太陽歯車の軸心Mに一致させた状態を保ちつつ、回転する工具20をキャリアピン12へ向けて移動させる。
工具20はやがてキャリアピン12に接触し、さらに工具20が移動することによりキャリアピン12の切り欠き16の切削加工が行われる。
このとき、回転する工具20の軌跡円Sはキャリアピン12の外周と相交するから、キャリアピン12の軸心へ向けて窪む円弧21bが形成される。
【0032】
つまり、切り欠き16の含むキャリアピン12の断面は、キャリアピン12の外周の円弧21aと工具20の加工により形成された円弧21bとから構成されている。
なお、キャリアピン12の軸方向への切り欠き16の長さは、ワッシャ14の厚さにスナップリング15の厚さを加算した値よりも大きく設定すればよい。
そして、一定の距離まで移動された工具20を、キャリアピン12から離れるように移動させ、原位置へ復帰させる。
【0033】
このように、この実施形態の加工方法によれば、回転する工具20のキャリアピン12へ向かう移動とキャリアピン12から離れて原位置へ復帰する移動とからなる1回の加工工程により、全てのキャリアピン12にワッシャ回り止め用の切り欠き16を形成することができる。
従って、キャリアピン12の加工時間は従来と比較して大幅に短縮化でき、遊星歯車機構10の製造コストの低減を図ることができる。
なお、この実施形態に係るキャリアピン12の加工方法は、キャリアピン12が2本以上の場合に適用でき、キャリアピン12の数が増加するとともに加工時間の短縮化といった効果はより顕著となる。
また、工具20により各キャリアピン12に設けられた切り欠き16は、太陽歯車の軸心Mを中心とする円周上に位置し、これらの切り欠き16の互いに同じ形状である。
【0034】
さらに、切り欠き16の加工時には、バランスの良い切削抵抗となり、切り欠き16の加工精度が良好となるから、キャリアピン12の品質は互いに一定となり、ひいては遊星歯車機構10の品質を安定させることができる。
そして、各キャリアピン12に用いるワッシャ14を1種類とすることができ、材料に対し無駄の少ない材料歩留まりが高いワッシャ14であることから、ワッシャ14の製造コストを低減することができ、ひいては遊星歯車機構10の製造コストをさらに低減することができる。
しかも、このワッシャ14を用いることにより、キャリアピン12に対するワッシャ14の回り止めの機能を強化することができる。
その上、これらのキャリアピン12は、上記のワッシャ14のほか、従来技術2において説明したワッシャ64を使用することもできるなど、ワッシャに対する自由度が高い。
【0035】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。
この実施形態は、第1の実施形態にて詳述した遊星歯車機構10におけるキャリアピン12の加工方法を一部変更したものある。
従って、この実施形態では、説明の便宜上、先に説明した第1の実施形態で用いた符号を一部共通して用い、共通する構成についてはその説明を省略し、第1の実施形態の説明を援用する。
この実施形態に係る遊星歯車機構の基本構造は第1の実施形態で説明した遊星歯車機構10と同じであるが、キャリアピン12に対する切り欠き31の位置および形状が異なっているほか、キャリアピンに嵌挿するワッシャ33の通孔35の形状が異なっている。
【0036】
この実施形態における各キャリアピン12の切り欠き31は、キャリア11の周縁に相対するようにキャリアピン12に形成されているが、以下、この実施形態のキャリアピン12の加工方法について説明する。
図4に示されるように、まず、キャリア11における太陽歯車の軸心Mを中心とし、キャリア11を回転させ、回転するキャリア11の側方からキャリアピン12へ向けて工具32を移動させる。
そして、工具32はやがてキャリアピン12に接触し、さらに工具32が移動することによりキャリアピン12の切り欠き31の切削加工が行われる。
このとき、工具20の切削により形成される切り欠き31は、キャリアピン12の断面からみて、キャリア11の周縁に相対するように形成され、キャリア11の周縁へ向けて僅かに膨出する円弧34bが形成される。
【0037】
つまり、切り欠き31を含むキャリアピン12の断面は、キャリアピン12の外周の円弧34aと工具32の加工により形成された軌跡円Sの円弧34bとから構成され、言い換えると、円弧34bは、太陽歯車の軸心Mを中心とする円とキャリアピン12の外周との相交により形成されるものである。
なお、この実施形態における工具32の具体例としては、旋盤で使用するバイトとしている。
【0038】
この実施形態に係るキャリアピン12の加工方法によれば、第1の実施形態のように、キャリアピン12に太陽歯車の軸心Mに相対する切り欠き16を形成させることができない場合でも、工具32の1回の加工工程によりキャリアピン12にワッシャ回り止め用の切り欠き31を設けることができる。
また、この実施形態に係るキャリアピン12の加工方法は、キャリアピン12が2本以上の場合に適用でき、キャリアピン12の数が増加するとともに加工時間の短縮化といった効果は顕著となる。
そして、この実施形態では、図4に示されるように、切り欠き31が加工されたキャリアピン12に対応する通孔35をワッシャ33を用いればよい。
この実施形態ではキャリアピン12の加工時間の短縮化、キャリアピン12および遊星歯車機構の品質の安定化、ワッシャ33の製造コストの低減、遊星歯車機構の製造コストの低減といった点で、第1の実施形態と同様の効果を奏するは言うまでもない。
【0048】
なお、本発明は、上記した第1、第2の実施形態に限定されるものではなく発明の趣旨の範囲内で種々の変更が可能であり、例えば、次のように変更してもよい。第1の実施形態では、太陽歯車の軸心Mに工具20の軸心を一致させ、回転する工具20をキャリアピン12へ向けて移動させるようにしたが、キャリア11が回転式であって、キャリア11を工具20に向けて移動させることにより、工具と複数のキャリアピン12を互いに干渉させ、キャリアピン12の切り欠き16を形成してもよい。あるいは、工具20が回転式であって、キャリア11と工具20を互いに接近する方向へ移動させることにより、工具20と複数のキャリアピン12を干渉させ、キャリアピン12の切り欠き16を加工してもよい。なお、太陽歯車の軸心Mを中心にキャリア11を回転させ、工具20をキャリアピン12へ向けて移動させることにより、工具20と複数のキャリアピン12を干渉させ、キャリアピン12の切り欠き16を加工してもよい。この場合、工具20は回転させないが、必要な場合には回転させてもよい。このように、切り欠き16を形成することが可能であれば、工具20およびキャリア11の回転と、あるいはこれらの移動との組み合わせは自由である。
【0049】
第2の実施形態では、工具32として旋盤のバイトを使用したが、例えば、第1の実施形態のような回転式の工具を用いてもよく、この場合、キャリア11の外周からキャリアピン12へ臨む工具であって、太陽歯車の軸心Mと工具の軸心を一致させ、工具またはキャリア11の一方、あるいは双方を太陽歯車の軸心M方向へ移動させ、工具とキャリアピン12を干渉させればよい。
【0051】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明によれば、個別にキャリアピンのワッシャ回り止め用の切り欠きを加工する必要がなく、キャリアピンの加工時間が大幅に短縮されるほか、互いのキャリアピンの回り止め用の切り欠きの品質を安定させることが容易となる。
このため、遊星歯車機構の製造コストを低減することができるほか、遊星歯車機構の品質を安定させることが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態に係る遊星歯車機構の要部の構成を示す斜視図。
【図2】第1の実施形態に係るキャリアピンの加工方法を説明する斜視図。
【図3】第1の実施形態に係るキャリアピンの加工方法を説明する正面図。
【図4】第2の実施形態に係るキャリアピンの加工方法を説明する正面図。
【図5】従来技術1の遊星歯車機構を示す斜視図。
【図6】従来技術2の遊星歯車機構を示す斜視図。
【符号の説明】
10 遊星歯車機構
11 キャリア
12 キャリアピン
13 遊星歯車
14 ワッシャ
16 切り欠き
19 通孔
20 工具
31 切り欠き
32 工具
M 太陽歯車の軸心
Claims (6)
- 複数のキャリアピンを備えた遊星歯車機構におけるキャリアピンの加工方法であって、
工具により軌跡円でキャリアピンを切削加工する加工工程により各キャリアピンにワッシャ回り止め用の切り欠きを形成することを特徴とする遊星歯車機構におけるキャリアピンの加工方法。 - 複数のキャリアピンを備えたキャリアにおける太陽歯車の軸心に工具の軸心を一致させ、工具と複数のキャリアピンを互いに干渉させることを特徴とする請求項1に記載の遊星歯車機構におけるキャリアピンの加工方法。
- キャリアにおける太陽歯車の軸心から各キャリアピンの軸心までの距離をd、工具の半径をR、キャリアピンの半径をrとするとき、
R−r<d<R+r
とする条件を満たすことを特徴とする請求項2に記載の遊星歯車機構におけるキャリアピンの加工方法。 - 複数のキャリアピンを備えたキャリアにおける太陽歯車の軸心に相対するように、ワッシャ回り止め用の切り欠きがキャリアピンに形成されることを特徴とする請求項2又は3に記載の遊星歯車機構におけるキャリアピンの加工方法。
- 複数のキャリアピンを備えたキャリアの周縁に相対するように、ワッシャ回り止め用の切り欠きがキャリアピンに形成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の遊星歯車機構におけるキャリアピンの加工方法。
- 請求項1〜5のいずれか一項に記載の遊星歯車機構におけるキャリアピンの加工方法により加工されることを特徴とする遊星歯車機構のキャリアピン。
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