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JP4250292B2 - 電子写真感光体、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び電子写真装置 - Google Patents

電子写真感光体、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び電子写真装置 Download PDF

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JP4250292B2
JP4250292B2 JP2000028092A JP2000028092A JP4250292B2 JP 4250292 B2 JP4250292 B2 JP 4250292B2 JP 2000028092 A JP2000028092 A JP 2000028092A JP 2000028092 A JP2000028092 A JP 2000028092A JP 4250292 B2 JP4250292 B2 JP 4250292B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は電子写真感光体、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び電子写真装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、安全性が高い、量産に適している、またコストが安い等の利点から、有機光導電性材料を電子写真感光体に用いる研究が盛んに行われ、数多くの感光体が提案され実用化されている。その中でも、電荷発生材料を含有する電荷発生層と電荷輸送材料を含有する電荷輸送層を有する積層型感光体が、感度や耐久性等の電子写真特性の点で優れているため研究の主流になっている。
【0003】
ところが、上記積層型感光体においても、帯電、露光、現像及び転写等の画像形成プロセスを繰り返すことによって、帯電電位の低下や明部電位の変動が起こり画像にカブリ等の欠陥が生じる等、耐久性が十分とはいえなかった。
【0004】
また、感光体やプロセスカートリッジを交換する際や紙づまり(ジャム)等を取り除く際に、蛍光灯等の光が感光体に当たるとその部分にフォトメモリーが生じ画像むら等の欠陥が起こることがあった。この現象は特に電荷発生材料としてフタロシアニン顔料を用いた感光体に顕著に生じていた。
【0005】
また、近年のレーザービームプリンターやLEDプリンターには除電(前露光)プロセスがなく、像露光部分が次の帯電で十分に電位がのりにくく、ハーフトーン画像等を出力すると感光体の1周前の像露光部分と非像露光部分の履歴が画像上にむらとして現れるゴーストが生じることがあった。このゴーストは、反転現像系では、感光体の1周前の像露光部分が非像露光部分よりも画像濃度が濃くなるポジゴーストとして現れる。
【0006】
感光体の耐久性の向上やメモリーの低減等を達成するために、酸化防止剤やアクセプター性化合物等を感光層に添加することが知られている。
【0007】
例えば、特開昭62−265666号公報、特開昭63−50848号公報、特開昭64−44451号公報、特開平3−170941号公報、特開平4−51248号公報、特開平5−127400号公報、特開平5−127402号公報、特開平8−262755号公報及び特開平9−106085号公報等に記載されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、初期特性、耐久特性、フォトメモリー及びゴースト等の全てをより高いレベルで満足できる感光体が検討されている。
【0009】
なお、アゾ系化合物やペリレン系化合物のような光劣化し易い化合物を含有する層にジチオベンジル錯体を添加することによって光劣化を防ぐことが、特開平5−142809号公報に記載されている。
【0010】
しかしながら、同公報にはフタロシアニン顔料を使用した感光体において特に生じ易いフォトメモリー及びレーザービームプリンターやLEDプリンターのような系で生じ易いゴーストに関する記載や示唆は全くなく、ジチオベンジル錯体がこれらの技術課題に対して効果を示すか否かは全く不明であった。
【0011】
なぜならば、ゴーストは、感光体の一周前の像露光時の履歴の影響によって起こるものであり、それ以前の履歴の影響はほとんど受けないことから,光劣化とは異なり、可逆的なメモリーであるからである。また、フォトメモリーも、帯電−露光プロセスを複数回繰り返すことで良化するものであり、やはり可逆的なメモリーであると考えられる。つまり、これらのゴーストやメモリーは、電荷発生材料としてアゾ顔料やペリレン顔料を用いた感光体で生じる、光やオゾンによる劣化(一重項酸素等が酸化剤となって連鎖反応を起こし、電荷発生材料が劣化して光退色生成物として単離されることによって生じる不可逆的な劣化)とはメカニズムが根本的に異なっているのである。
【0012】
従って、本発明の目的は、優れた電子写真特性及び優れた耐久性を有する電子写真感光体を提供することにある。
【0013】
また、本発明の目的は、フォトメモリーが小さく、ゴーストが生じにくい画像安定性に優れた電子写真感光体を提供することにある。
【0014】
また、本発明の目的は、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び電子写真装置を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明は、支持体上に電荷発生層及び電荷輸送層をこの順に有する電子写真感光体において、該電荷発生層がフタロシアニン顔料及び下記式(1)
【0016】
【化2】
Figure 0004250292
(式中、R1 、R2 、R3 及びR4 は同一または異なって、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のアラルキル基またはシアノ基を示す。Mは、Ni、Pt、Pd、Co、Cu、Fe、Zn、Cr、Rh、Sn、Zr、Ti、Ru、Os、Re、Mo、WまたはVを示す。)
で示されるジチオベンジル化合物を含有することを特徴とする電子写真感光体である。
【0017】
また、本発明は上記電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び電子写真装置である。
【0018】
本発明の顕著な効果が得られる理由は定かではないが、式(1)で示されるジチオベンジル化合物が一重項酸素を消失させ、電荷発生物質が連鎖反応的に劣化されるのを防止するために得られているのではなく、分子構造の変化や劣化を伴わずに短時間内に起こる可逆的な電気的特性(過剰発生キャリアの滞留等)が式(1)で示されるジチオベンジル化合物が存在することにより変化することで得られているものと考えられる。
【0019】
【発明の実施の形態】
上記式(1)中、アルキル基としては、メチル、エチル、プロピル及びブチル等の基が挙げられる。アリール基としては、フェニル、ナフチル及びピレニル等の基が挙げられる。アラルキル基としては、ベンジル及びフェネチル等の基が挙げられる。
【0020】
これらの基が有してもよい置換基としては、メチル、エチル、プロピル及びブチル等のアルキル基、メトキシ及びエトキシ等のアルコキシ基、フェニル等のアリール基、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジフェニルアミノ等のアミノ基、ニトロ基、シアノ基等が挙げられる。
【0021】
本発明においては、MがPd、Fe、Zn、Cr、Rh、Sn、Zr、Ti、Ru、Os、Re、Mo、WまたはVであることが好ましく、R1 、R2 、R3 及びR4 がアリール基であることが好ましい。
【0022】
本発明のジチオベンジル化合物は、公知の方法で、例えばJournal of American Chemical Society、87、1483(1965)に記載の方法等で合成することができる。
【0023】
以下に、式(1)で示されるジチオベンジル化合物の好ましい例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0024】
【化3】
Figure 0004250292
【0025】
【化4】
Figure 0004250292
【0026】
【化5】
Figure 0004250292
【0027】
【化6】
Figure 0004250292
【0028】
【化7】
Figure 0004250292
【0029】
【化8】
Figure 0004250292
【0030】
【化9】
Figure 0004250292
【0031】
【化10】
Figure 0004250292
【0032】
【化11】
Figure 0004250292
【0033】
フタロシアニン顔料としては、無金属フタロシアニンやオキシチタニウムフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニン、銅フタロシアニン、アルミクロロフタロシアニン、クロロインジウムフタロシアニン、オキシバナジウムフタロシアニン、マグネシウムフタロシアニン及びコバルトフタロシアニン等の金属フタロシアニンが挙げられる。
【0034】
これらのフタロシアニン顔料の結晶形は、いかなる結晶形でもよいが、例えば無金属フタロシアニンでは、α型、β型、γ型、δ型、ε型、τ型及びχ型等が挙げられる。
【0035】
また、銅フタロシアニンではα型、β型、γ型、δ型、ε型及びχ型等が挙げられる。
【0036】
本発明では、上記フタロシアニン顔料の中で、金属フタロシアニンが好ましく、オキシチタニウムフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン及びクロロガリウムフタロシアニンがより好ましい。
【0037】
オキシチタニウムフタロシアニンとしては、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角(2θ±0.2°)として、以下の(A)乃至(D)のいずれかの位置に特徴的なピークを有するものが特に好ましい。
【0038】
(A)9.0°、14.2°、23.9°及び27.1°
(B)9.5°、9.7°、15.0°、24.1°及び27.3°
(C)9.3°、10.6°、13.2°、15.1°及び26.3°
(D)7.6°、10.2°、22.5°、25.3°及び28.6°
【0039】
(A)の位置に特徴的なピークを有するオキシチタニウムフタロシアニン(図2)は特開平3−128973号公報に、(B)の位置に特徴的なピークを有するオキシチタニウムフタロシアニン(図3)は特開平1−17066号公報に、(C)の位置に特徴的なピークを有するオキシチタニウムフタロシアニン(図4)は特開昭62−67094号公報に、(D)の位置に特徴的なピークを有するオキシチタニウムフタロシアニン(図5)は特開昭61−239248号公報にそれぞれ記載されている。
【0040】
ヒドロキシガリウムフタロシアニンとしては、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角(2θ±0.2°)として、以下の(E)の位置に特徴的なピークを有するものが好ましい。
【0041】
(E)7.4°及び28.2°
(E)の位置に特徴的なピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン(図6)は特開平5−263007号公報に記載されている。
【0042】
クロロガリウムフタロシアニンとしては、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角(2θ±0.2°)として、以下の(F)の位置に特徴的なピークを有するものが好ましい。
【0043】
(F)8.7〜9.2°、17.5°、24.0°、27.4°及び28.7°
(F)の位置に特徴的なピークを有するクロロガリウムフタロシアニン(図7)は特開平5−98181号公報に記載されている。
【0044】
本発明の電子写真感光体は、支持体上に電荷発生材料としてのフタロシアニン顔料と式(1)で示されるジチオベンジル化合物を含有する電荷発生層と電荷輸送材料を含有する電荷輸送層をこの順に有する機能分離された積層型である。
【0045】
本発明における電荷発生層は、電荷発生材料としてのフタロシアニン顔料及び式(1)で示されるジチオベンジル化合物と結着樹脂を適当な溶媒に分散及び溶解した液を塗布し、乾燥することにより形成することができる。
【0046】
フタロシアニン顔料とジチオベンジル化合物の混合比は、フタロシアニン顔料100質量部に対し、ジチオベンジル化合物が0.03〜50質量部であることが好ましく、特には0.1〜20質量部であることが好ましい。
【0047】
ジチオベンジル化合物の添加は、電荷発生材料の分散前に添加(前添加)あるいは電荷発生材料の分散後に添加(後添加)のいずれの方法でもよいが、前添加の方が好ましい。
【0048】
電荷発生層に用いる結着樹脂としては、広範な樹脂から選択でき、例えば、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコール、ポリアリレート、ポリアミド、アクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリウレタン及びセルロース等の樹脂が挙げられる。
【0049】
電荷発生層中に含有する樹脂は、電荷発生層全質量に対して80質量%以下であることが好ましく、特には50質量%以下であることが好ましい。
【0050】
電荷発生層の膜厚は、5μm以下であることが好ましく、特には0.05〜2μmであることが好ましい。
【0051】
本発明における電荷輸送層は、電荷輸送材料及び結着樹脂を適当な溶剤に溶解した液を塗布し、乾燥することにより形成することができる。
【0052】
本発明に用いられる電荷輸送材料は、公知のいかなるものでもよい。例えば、各種のトリアリールアミン系化合物、ヒドラゾン系化合物、スチルベン系化合物、ピラゾリン系化合物、オキサゾール系化合物、チアゾール系化合物及びトリアリールメタン系化合物等が挙げられる。
【0053】
以下に、好ましい電荷輸送材料の化合物例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0054】
【化12】
Figure 0004250292
【0055】
【化13】
Figure 0004250292
【0056】
【化14】
Figure 0004250292
【0057】
【化15】
Figure 0004250292
【0058】
【化16】
Figure 0004250292
【0059】
【化17】
Figure 0004250292
【0060】
【化18】
Figure 0004250292
【0061】
電荷輸送層に用いる結着樹脂としては、従来用いられている電荷輸送層用の樹脂を用いることができ、例えば、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリアミド、アクリル樹脂、ポリエステル、ポリ酢酸ビニル、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリスルホン及びポリウレタン等の樹脂が挙げられる。
【0062】
これら結着樹脂と電荷輸送材料の混合比は、結着樹脂100質量部に対し、電荷輸送材料が40〜500質量部であることが好ましい。
【0063】
電荷輸送層の膜厚は、5〜40μmであることが好ましく、特には10〜30μmであることが好ましい。
【0064】
本発明における支持体としては導電性を有するものであればよく、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス及び銅等の金属が挙げられる。また、ガラス、樹脂及び紙等の非導電性支持体上や前記金属上にアルミニウム、パラジウム、ロジウム、金及び白金等の金属を蒸着したもの、あるいは導電性高分子、酸化スズ及び酸化インジウム等の導電性化合物を蒸着あるいは塗布することにより形成したもの、あるいはアルミニウム金属の表面を陽極酸化処理して酸化アルミニウム層を形成したもの等が挙げられる。
【0065】
支持体の形状としては、ドラム状、シート状及びベルト状等が挙げられるが、適用される電子写真装置に適した形状であることが好ましい。
【0066】
また、本発明においては、支持体と感光層との間に下引き層を設けてもよい。下引き層は、感光層との界面で電荷注入を制御するバリヤー層や接着層として機能する。
【0067】
下引き層を形成する樹脂としては、広範な樹脂から選択でき、例えばポリビニルブチラール、ポリビニルアルコール、ポリアリレート、ポリアミド、アクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリウレタン及びセルロース等の樹脂が挙げられる。
【0068】
下引き層の膜厚は、0.05〜7μmであることが好ましく、特には0.1〜2μmであることが好ましい。
【0069】
下引き層、電荷発生層及び電荷輸送層を形成する際は、それぞれ適当な有機溶媒を用い、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピナーコーティング法、ローラーコーティング法、マイヤーバーコーティング法及びブレードコーティング法等の方法で行うことができる。
【0070】
本発明の電子写真感光体は、レーザービームプリンター、LEDプリンター及びCRTプリンター等のプリンターや電子写真複写機、あるいは他の電子写真応用分野に適用することができる。
【0071】
図1に本発明の電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを有する電子写真装置の概略構成例を示す。
【0072】
図において1はドラム型感光体であり、矢印方向に所定の周速度で回転駆動される。
【0073】
感光体1は回転過程で帯電手段2により、表面に正または負の所定電位が帯電され、次に露光部3で不図示の像露光手段により像露光(スリット露光、レーザービーム走査露光等)が照射され、感光体表面に露光像に対応した静電潜像が形成される。
【0074】
次に、この静電潜像が現像手段4でトナーにより現像され、このトナー現像像が転写手段5により不図示の給紙部から感光体1と転写手段5との間に給送された転写材Pに転写される。転写材Pは像定着手段6へ導入されて像定着されて複写物(コピー)として機外へプリントアウトされる。
【0075】
像転写後の感光体1の表面はクリーニング手段7で転写残りトナーが除去され、上述のプロセスを繰り返して使用される。
【0076】
感光体1の帯電手段2としては、コロナ帯電装置やローラー帯電装置等が一般に広く用いられている。本例はローラー帯電装置である。
【0077】
上記感光体、現像手段及びクリーニング手段等を一体にした装置ユニット(プロセスカートリッジ)8としてレール9等の案内手段を用いて装置本体に脱着自在な構成にしてもよい。
【0078】
光像露光は、電子写真装置を複写機やプリンターとして使用する場合には、原稿からの反射光や透過光、あるいは原稿を読み取り信号化し、この信号によりレーザービームの走査及びLEDアレイの駆動等により行われる。
【0079】
【実施例】
以下、実施例により、本発明を更に詳細に説明する。なお、実施例中、「部」は質量部を示す。
【0080】
[実施例1]
10%酸化アンチモンを含有する酸化スズで被覆した酸化チタン粉体50部、レゾール型フェノール樹脂25部、メチルセルソルブ30部、メタノール30部及びシリコーンオイル(ポリジメチルシロキサンポリオキシアルキレン共重合体、重量平均分子量3000)0.002部を1mmφガラスビーズを用いたサンドミル装置で2時間分散して導電層用の塗料を調製し、この塗料を30mmφのアルミニウムシリンダー上に浸漬コーティング法で塗布し、140℃で30分乾燥させ、膜厚20μmの導電層を形成した。
【0081】
次に、6−66−610−12四元素系ポリアミド共重合体5部を、メタノール70部とブタノール25部の混合溶媒に溶解した溶液を上記導電層上に浸漬コーティング法で塗布し、乾燥して膜厚1μmの下引き層を形成した。
【0082】
次に、電荷発生材料として(A)の位置に特徴的なピークを有するオキシチタニウムフタロシアニン10部を用い、ジチオベンジル化合物S−4を0.3部及びポリビニルブチラール(商品名:エスレックBX−1、積水化学(株)製)10部をシクロヘキサノン400部に溶解した液と共に、1mmφガラスビーズ400部を用いてサンドミル装置で5時間分散した後、酢酸エチル400部を加えて電荷発生層用の塗布液を調製した。
【0083】
この塗布液を上記下引き層上に浸漬コーティング法で塗布し、80℃で10分間乾燥して、膜厚0.2μmの電荷発生層を形成した。
【0084】
次に、電荷輸送材料としてCT−1を10部及びポリカーボネート(重量平均分子量46000)10部と共にジクロロメタン20部とモノクロロベンゼン50部の混合溶媒に溶解し、この液を上記電荷発生層上に浸漬コーティング法で塗布し、110℃で60分乾燥し、膜厚20μmの電荷輸送層を形成し、電子写真感光体を作成した。
【0085】
このようにして作成した電子写真感光体を、反転現像手段を有するレーザービームプリンター(商品名:LBP−EX、キヤノン(株)製)の改造機に取り付け、暗部電位(Vd)が−700Vになるように帯電し、これに波長780nmのレーザー光を照射して明部電位(Vl)が−150Vになるのに必要な光量を測定し感度とした。
【0086】
更に、繰り返し画像出し耐久試験を5000枚行った後の、暗部電位及び明部電位の初期との変動量ΔVd及びΔVlを測定した。
【0087】
また、感光体の1周目(周長約94.2mm)に、ベタ白(Vd)部とベタ黒(Vl)部がある画像を出力し、感光体の2周目にハーフトーン画像を出力して、ハーフトーン画像上におけるポジゴーストの有無を目視で評価した。初期及び5000枚耐久後について評価した。
【0088】
また、感光体の一部を遮光し、遮光してない部分に1500ルックスの蛍光灯光を10分間照射した後、上記レーザービームプリンターに取り付け明部電位での非遮光部分と遮光部分との電位差をフォトメモリー(PM)として評価した。
【0089】
PM=|非遮光部分|−|遮光部分|
これらの結果を表1に示す。
【0090】
なお、変動量の値が負であることは、電位の絶対値が減少したことを示す。
【0091】
また、ポジゴースト有無は、目視で〇=なし、△=若干あり、×=ありの3段階で評価した。
【0092】
[実施例2〜47]
ジチオベンジル化合物S−4に代えて、表1に示すジチオベンジル化合物を用いた他は、実施例1と同様にして感光体を作成し、評価を行った。
【0093】
結果を表1に示す。
【0094】
[実施例48]
ジチオベンジル化合物S−4を電荷発生層用の塗布液を調製した後に添加した他は、実施例1と同様にして感光体を作成し、評価を行った。
【0095】
結果を表1に示す。
【0096】
[比較例1]
ジチオベンジル化合物S−4を用いなかった他は、実施例1と同様にして感光体を作成し、評価を行った。
【0097】
結果を表1に示す。
【0098】
[比較例2]
ジチオベンジル化合物S−4に代えて、下記構造式で示されるヒンダードフェノール化合物(特開昭64−44451号公報に記載)を0.3部用いた他は、実施例1と同様にして感光体を作成し、評価を行った。
【0099】
結果を表1に示す。
【0100】
【化19】
Figure 0004250292
【0101】
[比較例3]
ジチオベンジル化合物S−4に代えて、2,4,7−トリニトロフルオレノン(特開平5−127400号公報に記載)を0.3部用いた他は、実施例1と同様にして感光体を作成し、評価を行った。
【0102】
結果を表1に示す。
【0103】
【表1】
Figure 0004250292
【0104】
【表2】
Figure 0004250292
【0105】
【表3】
Figure 0004250292
【0106】
[実施例49〜52]
ジチオベンジル化合物S−4の添加量を、0.01部、0.1部、1部及び2部に代えた他は、実施例1と同様にして感光体を作成し、評価を行った。
【0107】
結果を表2に示す。
【0108】
[比較例4及び5]
ヒンダードフェノール化合物の添加量を、0.01部及び2部に代えた他は、比較例2と同様にして感光体を作成し、評価を行った。
【0109】
結果を表2に示す。
【0110】
【表4】
Figure 0004250292
【0111】
[実施例53]
実施例1と同様に、導電層及び下引き層を形成した。
【0112】
次に、電荷発生材料として、(B)の位置に特徴的なピークを有するオキシチタニウムフタロシアニン20部を用い、ジチオベンジル化合物S−5を1部及びポリビニルブチラール(商品名:エスレックBX−1、積水化学(株)製)10部をシクロヘキサノン400部に溶解した液と共に、1mmφガラスビーズ400部を用いてサンドミル装置で5時間分散した後、酢酸エチル400部を加えて電荷発生層用の塗布液を調製した。
【0113】
この塗布液を用いた他は、実施例1と同様にして膜厚0.2μmの電荷発生層を形成した。
【0114】
次に、電荷輸送材料としてCT−17を用いた他は、実施例1と同様にして電荷輸送層を形成し、電子写真感光体を作成した。
【0115】
この感光体を実施例1と同様にして評価した。
【0116】
結果を表3に示す。
【0117】
[実施例54〜58]
ジチオベンジル化合物S−5に代えて、表3に示すジチオベンジル化合物を用いた他は、実施例53と同様にして感光体を作成し、評価を行った。
【0118】
結果を表3に示す。
【0119】
[比較例6]
ジチオベンジル化合物S−5を用いなかった他は、実施例53と同様にして感光体を作成し、評価を行った。
【0120】
結果を表3に示す。
【0121】
[実施例59〜75]
(B)の位置に特徴的なピークを有するオキシチタニウムフタロシアニンに代えて、表3に示すフタロシアニン顔料を用いた他は、実施例53と同様にして感光体を作成し、評価を行った。
【0122】
結果を表3に示す。
【0123】
[比較例7〜23]
ジチオベンジル化合物S−5を用いなかった他は、実施例59〜75と同様にして感光体を作成し、評価を行った。
【0124】
結果を表3に示す。
【0125】
なお、表3中、TiOPcはオキシチタニウムフタロシアニンを示し、HOGaPcはヒドロキシガリウムフタロシアニン示し、ClGaPcはクロロガリウムフタロシアニンを示し、H2 Pcは無金属フタロシアニンを示し、CuPcは銅フタロシアニンを示す。
【0126】
【表5】
Figure 0004250292
【0127】
【表6】
Figure 0004250292
【0128】
【表7】
Figure 0004250292
【0129】
[実施例76]
実施例1と同様にして、導電層及び下引き層を形成した。
【0130】
次に、電荷発生材料として(E)の位置に特徴的なピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン15部を用い、ジチオベンジル化合物S−18を0.1部及びポリビニルブチラール(商品名:エスレックBX−1、積水化学(株)製)10部をシクロヘキサノン200部に溶解した液と共に、1mmφガラスビーズ400部を用いてサンドミル装置で8時間分散した後、酢酸エチル600部を加えて電荷発生層用の塗布液を調製した。
【0131】
この塗布液を上記下引き層上に浸漬コーティング法で塗布し、80℃で10分間乾燥して、膜厚0.15μmの電荷発生層を形成した。
【0132】
次に、電荷輸送材料としてCT−13を8部及びポリアリレート(重量平均分子量40000)10部と共にジクロロメタン20部とモノクロロベンゼン50部の混合溶媒に溶解し、この液を上記電荷発生層上に浸漬コーティング法で塗布し、110℃で60分乾燥し、膜厚22μmの電荷輸送層を形成し、電子写真感光体を作成した。
【0133】
このようにして作成した感光体を実施例1と同様にして評価した。
【0134】
結果を表4に示す。
【0135】
[実施例77〜79]
ジチオベンジル化合物S−18の添加量0.1部を、0.01部、0.5部、1部に代えた他は、実施例76と同様にして感光体を作成し、評価を行った。
【0136】
結果を表4に示す。
【0137】
[比較例24]
ジチオベンジル化合物S−18を用いなかった他は、実施例76と同様にして感光体を作成し、評価を行った。
【0138】
結果を表4に示す。
【0139】
[比較例25及び26]
ジチオベンジル化合物S−18に代えて、下記構造式で示されるヒンダードフェノール化合物(特開昭64−44451号公報に記載)を0.01部及び1部用いた他は、実施例76と同様にして感光体を作成し、評価を行った。
【0140】
【化20】
Figure 0004250292
【0141】
結果を表4に示す。
【0142】
【表8】
Figure 0004250292
【0143】
[実施例80〜97]
CT−13に代えて、表5に示す電荷輸送材料を用いた他は、実施例76と同様にして感光体を作成し、評価を行った。
【0144】
結果を表5に示す。
【0145】
[比較例27〜44]
ジチオベンジル化合物S−18を用いなかった他は、実施例80〜97と同様にして感光体を作成し、評価を行った。
【0146】
結果を表5に示す。
【0147】
【表9】
Figure 0004250292
【0148】
【表10】
Figure 0004250292
【0149】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、耐久による電位安定性、ゴーストがない画像安定性及びフォトメモリー特性に優れた電子写真感光体、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び電子写真装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを有する電子写真装置の概略構成の例を示す図である。
【図2】オキシチタニウムフタロシアニンのX線回折図である。
【図3】オキシチタニウムフタロシアニンのX線回折図である。
【図4】オキシチタニウムフタロシアニンのX線回折図である。
【図5】オキシチタニウムフタロシアニンのX線回折図である。
【図6】ヒドロキシガリウムフタロシアニンのX線回折図である。
【図7】クロロガリウムフタロシアニンのX線回折図である。

Claims (15)

  1. 支持体上に電荷発生層及び電荷輸送層をこの順に有する電子写真感光体において、該電荷発生層がフタロシアニン顔料及び下記式(1)
    Figure 0004250292
    (式中、R1 、R2 、R3 及びR4 は同一または異なって、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のアラルキル基またはシアノ基を示す。Mは、Ni、Pt、Pd、Co、Cu、Fe、Zn、Cr、Rh、Sn、Zr、Ti、Ru、Os、Re、Mo、WまたはVを示す。)
    で示されるジチオベンジル化合物を含有することを特徴とする電子写真感光体。
  2. 式(1)中のMがPd、Fe、Zn、Cr、Rh、Sn、Zr、Ti、Ru、Os、Re、Mo、WまたはVである請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. フタロシアニン顔料が無金属フタロシアニンである請求項1または2に記載の電子写真感光体。
  4. フタロシアニン顔料が金属フタロシアニンである請求項1または2に記載の電子写真感光体。
  5. 金属フタロシアニンがオキシチタニウムフタロシアニンである請求項4に記載の電子写真感光体。
  6. 金属フタロシアニンがヒドロキシガリウムフタロシアニンである請求項4に記載の電子写真感光体。
  7. 金属フタロシアニンがクロロガリウムフタロシアニンである請求項4に記載の電子写真感光体。
  8. オキシチタニウムフタロシアニンが、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角(2θ±0.2°)の9.0°、14.2°、23.9°及び27.1°に特徴的なピークを有する結晶形を有する請求項5に記載の電子写真感光体。
  9. オキシチタニウムフタロシアニンが、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角(2θ±0.2°)の9.5°、9.7°、15.0°、24.1°及び27.3°に特徴的なピークを有する結晶形を有する請求項5に記載の電子写真感光体。
  10. オキシチタニウムフタロシアニンが、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角(2θ±0.2°)の9.3°、10.6°、13.2°、15.1°及び26.3°に特徴的なピークを有する結晶形を有する請求項5に記載の電子写真感光体。
  11. オキシチタニウムフタロシアニンが、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角(2θ±0.2°)の7.6°、10.2°、22.5°、25.3°及び28.6°に特徴的なピークを有する結晶形を有する請求項5に記載の電子写真感光体。
  12. ヒドロキシガリウムフタロシアニンが、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角(2θ±0.2°)の7.4°及び28.2°に特徴的なピークを有する結晶形を有する請求項6に記載の電子写真感光体。
  13. クロロガリウムフタロシアニンが、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角(2θ±0.2°)の8.7〜9.2°、17.5°、24.0°、27.4°及び28.7°に特徴的なピークを有する結晶形を有する請求項7に記載の電子写真感光体。
  14. 請求項1乃至13のいずれかに記載の電子写真感光体、及び帯電手段、現像手段及びクリーニング手段からなる群より選択される少なくとも1つの手段を一体に支持し、電子写真装置本体に着脱自在であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
  15. 請求項1乃至13のいずれかに記載の電子写真感光体、及び帯電手段、露光手段、現像手段及び転写手段を有することを特徴とする電子写真装置。
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