JP4248646B2 - バン型貨物自動車用アコーディオンドアのズレ止め構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、荷箱側部にアコーディオン式ドアを備えたバン型貨物自動車におけるアコーディオンドア構造の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
図1を参照して、アコーディオンドアを備えたバン型貨物自動車の構成について説明する。一般に、バン型車は、前壁2、左右側壁、屋根3、後壁4及び床部5の6つの面体を組み立てた荷箱を車両に架装している。荷箱は後壁4に観音開き式の扉10を有し、これを開くことで積荷の搬出搬入を行っているが、更に広く間口を設けるために、L型屋根を上下に開閉して荷箱の側部を広く開放することができるウイング車が普及している。ウイング車は、多量の積荷の荷役作業を行い易い点では優れているが、積み卸ろしを頻繁に行う荷箱には、むしろシャッタードアやアコーディオンドアを設けた荷箱の方が便利である。これらの荷箱は、開口枠にシャッタードアやアコーディオンドアを架載し、かかるドアを前後方向に移動させて側面全体を広く開放することができる。
【0003】
しかし、シャッタードアは、ドア自身を収納する空間を荷箱内に画成するため、その分荷室の内法巾が狭く、この点ではアコーディオンドアの方が優れている。図1のバン型車は、側壁開口枠にアコーディオンドア20を備えたものである。その開口14の上側枠材7及び下側枠材8にそれぞれ走行レール11及びガイドレール12が配設されており、走行レール11内には、アコーディオンドアの上端に固着された走行ローラが転動自在に嵌載されると共に、ガイドレール12内には、アコーディオンドアの下端に配設されたガイドローラが嵌挿されて、左右に振れないようになっている。
【0004】
アコーディオンドア20は折り畳み式であるため、図1に示すように、操作パネル21の把手を押し引きすると、開口枠の外側に遊動しながら折り畳まれる。折り畳まれたパネルの厚さだけ開口部は狭くなるが、荷室の内法巾は変わらず、開口部を所望の位置に移動することができるので、荷役の便利がよい。
【0005】
ここで、アコーディオンドアの伸縮構造について、図2及び図3を参照して説明する。図2は、アコーディオンドアの折り畳み状態を示す部分断面図、図3は、後述のアコーディオンドア端部に連結された操作パネルのB−B線に沿った横断面図である。
アコーディオンドア20は、図1から分かるように、それぞれ縦長短冊状のアルミ製押出型材からなり両側端に連結手である連結部を有する幅広パネル22、遊動パネル23及び走行パネル24により、各パネルの隣接する連結部222,223,232,233,242,243を差し込み式に嵌め合わせて各パネルが回動自在な一連の長大な面体を形成するとともに、この面体の前端と後端に、1つの連結部212を有する操作パネル21(図3)を連結し、該操作パネル21を押し引きして前後方向に伸縮しながら移動できるように構成したものであって、開口14の走行レール11に載架されて前後方向に開口部を開成するものである。このアコーディオンドア20を最大限に伸長すると、構成パネルの板状部が面一状態になって開口14が閉塞される一方、パネルを折り畳んで収縮すると、開口部を広く開けて作業することができる。
【0006】
更に詳細にパネル間の伸縮構造について説明する。
ドアの面体は、上記の各パネルを、操作パネル21,幅広パネル22,遊動パネル23,幅広パネル22、走行パネル24、幅広パネル22、遊動パネル23、・・・・、幅広パネル22、走行パネル24、幅広パネル22、遊動パネル23、幅広パネル22,操作パネル21の順に連結して構成されている。操作パネル21は、ドアの面体の前端と後端に配され、幅広パネル22の隣に連結する。幅広パネル22は、板状部221の前後端縁に連結部222、223を備え、遊動パネル23は、板状部231の前後端縁に連結部232、233を備え、走行パネル24は、板状部241の前後端縁に連結部242、243を備え、操作パネル21は、一端縁に連結部212を備えている。
上記アコーディオンドアの操作パネル21及び走行パネル24には、走行ローラ30及びガイドローラ31がそれぞれ取付ブラケット33,34(図9)を介して取り付けられ、パネルの上端に取り付けられた走行ローラ30が走行レール11を転動し、下端に取り付けられたガイドローラ31がガイドレール12を転動する。
【0007】
上記のように、全てのパネルが、隣接する連結部に対し差し込み式に連結されているので、パネルは、図4に示すように、操作パネル21、走行パネル24及び遊動パネル23の各連結部の上端と下端に抜止板35を取付け、パネルが抜け落ちないように連結部を覆蓋している。なお、走行パネル24の上端と下端には前記ローラ用の取付ブラケット33,34を設けるため、抜止板35を各取付ブラケットに固着して一体に設けることができる。
【0008】
操作パネル21の平坦な把手取付面213(図3)には、アコーディオンドアを開閉する際に一連のパネルを引き押しするための把手214が設けられている。この把手を握ってドアを開けるとき、つまりパネルを折り畳むときは、図2から分かるように、遊動パネル23は、レール軌跡から外側に脱出すると同時に前後に隣接する幅広パネル22を折り畳みながら外側に集合する一方、走行パネル24は、レール軌跡内に保持されたまま、幅広パネル22が折り重ねられることによって軌道上に集合する。このように遊動パネル23の連結部とこれを挟む幅広パネル22の連結部は、幅広パネル22の内面を対向して畳むことができる構造となっている。一方、走行パネル24の連結部とこれを挟む幅広パネル22の連結部は、これとは逆に幅広パネル22の外面を対向して畳むことができる構造となっている。操作パネル21は、連結された幅広パネル22が外側に脱出するような構造になっている。
【0009】
ところで、上記アコーディオンドア20の上端の走行ローラ30は移動時に荷重抵抗を受けるが、下端のガイドローラ31は嵌遊していて動きやすく、操作パネル21の把手214を操作してアコーディオンドア20を開閉すると、図4に示すように、操作パネル21の上端と下端で前後にズレを生じて傾斜し易い。特に、アコーディオンドアの各パネルには、折り畳み易いように連結部にクリアランスを設けているため、位相のずれが生じ易く、隣接する一連のパネルは上下方向にスライドして傾斜することとなる。このため、前記抜止板35による覆蓋にも係わらず、一連のパネルの傾斜に伴って更に抵抗が生じてローラが回転し難くなり、スムーズに開閉できない。また、ズレに対して強引に操作すると、ドアを損傷することとなる。抜止板35は、パネルの抜け落ち防止の機能を有するが、このような操作に伴うズレに対しては十分な効果を奏しない。
【0010】
また、図4の操作パネル21の上端に2つの走行ローラ30を出来るだけ間隔を広く開けて取付けることにより、走行レール11に嵌合した2つの走行ローラ30が水平を保持しようとして操作パネル21の傾きを止めることができるが、効果的に止めるためには間隔を広く開けねばならず、それに伴って操作パネル21の横幅を広くしなければならない。そうすると開口部がその分だけ狭くなるという不都合がある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はかかる問題を解消するためになされたもので、バン型貨物自動車に載架されたアコーディオンドアを、操作パネルを引き押して開閉する際に、一連のパネルをスムーズに折り畳みながら前後方向に移動させ、安全に開閉操作を行うことができると共に、荷物の積み卸し開口部を広く開成して行うことができるアコーディオンドアのズレ止め構造を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本発明のバン型貨物自動車用アコーディオンドアのズレ止め構造は、短冊状アルミ押出形材からなる多数のパネルを縦方向に側端部で連結して折り畳み自在に構成した一連のパネルの上端に走行ローラ(30)を取り付け、下端にガイドローラ(31)を取り付けて、バン型貨物自動車の側面開口(14)の上側枠材(7)に固着された走行レール(11)に前記走行ローラ(30)を転動可能に載架すると共に、前記ガイドローラ(31)は前記開口(14)の下側枠材(8)に固着されたガイドレール(12)内を転動させ、該一連のパネルの端部に位置する操作パネル(21)を引き押しして前記開口(14)を開閉することができるアコーディオンドア(20)において、前記走行レール(11)の下方にこれと平行にスライダレール(13)を固着すると共に、前記操作パネル(21)のスライダ取付面(211)に、前記スライダレール(13)に沿って移動可能なスライダ(40)の移動方向一端部を固着し、該スライダ(40)の移動方向一端部と他端部との間に互いに間隔をあけて軸着した複数のスライダローラ(32)を前記スライダレール(13)に転動自在に載架して、前記操作パネル(21)を常に垂直に保持するように構成したことを特徴とする。
【0013】
上記バン型貨物自動車用アコーディオンドアのズレ止め構造においては、前記スライダ(40)の移動方向他端部と操作パネル(21)のスライダ取付面(211)の下部との間に支持ブラケット(41)を傾斜状に配置して、その両端部を接合することが好ましい。
【0014】
【作用】
本発明によれば、操作パネル(21)に固着されたスライダ(40)に軸着したスライダローラ(32)が、スライダレール(13)に転動自在に載架されているため、常にスライダレール(13)に沿って水平状態を保つこととなり、操作パネル(21)は垂直を保持し、傾斜することはない。アコーディオンドアを開閉する際に、操作パネル(21)の把手を引いても、スライダ(40)により剛性が付与されているので、入力点となる把手の位置に関わらず、操作パネル(21)が傾斜することはなく、アコーディオンドアの一連のパネルが傾斜するという問題が解消される。
【0015】
【実施例】
以下、本発明の実施例について説明する。実施例において、従来のものと共通の部品あるいは部材等には同じ符号を使用する。
【0016】
図5に示すように、走行レール11は開口の上側枠材7の上端部に配設され、スライダレール13は、これと間隔を開けて平行に上側枠材7の下端部に配設される。ガイドレール12は、下側枠材8の上面に突設されている。スライダレール13の取付構造を除くと、従来のアコーディオンドアのレール配置をそのまま使用することができる。
【0017】
アコーディオンドアが折り畳まれた状態では、両端に位置する操作パネル21の間に、多数の走行パネル24の中空部244がパネルの折り目を空けて隣接し、面一に並んでいる。図7に示すように、スライダ40は、その基端側(移動方向一端部)を、前端と後端の操作パネル21のスライダ取付面211に対して直角に、上端でボルトにより固着されるとともに、先端側(移動方向他端部)は、同じスライダ取付面211の下方位置でボルトにより固着された支持ブラケット41の先端側に接合されて補強されている。この支持ブラケット41も、その中央部を、水平に設けた短尺の支持ブラケット42により補強されている。アコーディオンドアの上端では、走行パネル24の上端部に取付けた走行ローラ30が走行レール11に嵌載されており、下端では、操作パネル21及び走行パネル24の下端に取付けたガイドローラ31がガイドレール12内に嵌挿されている。
【0018】
図6は、アコーディオンドアの取付構造を示す。断面形状C字型の走行レール11は、上側枠材7の上端側に固着され、走行ローラ30は、ローラ外周部のV字溝が走行レール11のC字状両端に嵌合された状態で転動することとなり、脱輪する虞はない。スライダレール13も断面C字形状をなし、同様にスライダローラ32を嵌合している。下側枠材8の段差部に沿ってL型チャネル材が配設され、段差部65にU字溝62が形成されている。ガイドローラ31は、このU字溝62内に嵌挿されて摺接しながら垂直軸を中心に回転し、走行パネル24の幅方向のズレを規制するが、前後上下方向にはズレが規制されていない。
【0019】
なお、上部閉塞部材15は、荷箱の屋根端部に枢着され、アコーディオンドアの上端部と上側枠材7との間の隙間を覆って雨水の侵入を防止し、下部閉塞部材16は、アコーディオンドアの下端部と下側枠材8との間の隙間を覆って雨水の浸入を防止する。
【0020】
スライダ40の細部について、図7及び図8により更に詳細に説明する。図7は、本発明に係るスライダ40のアコーディオンドア内面への取付構造を示す。スライダ40は、3つのスライダローラ32を平坦部43の中央に水平に一列に軸着し、図8(断面図)に示すように、スライダ40の外周縁部を囲い且つ平坦部43を3つに区画するように外周壁44を立設して、スライダ40の反りに対する強度を付与している。支持ブラケット42の基端側は、操作パネル21のスライダ取付面211(図3参照)に固定され、先端側で支持ブラケット41を介して補強されている。
アコーディオンドア20を折り畳むと、ドア内面は走行パネル24の中空部244が、間隔を開けて隣接して内壁を形成するので、中空部244に干渉しないようにスライダ40および支持ブラケット41、42の基端側と取付面211との間にスペーサを挟んでスライダ40を嵩上げするか或いは基端側を外方に折り曲げて段差を設けると、走行パネル24の折り畳みを妨げることはない。以上の構造により、把手214を介して操作しても、スライダ40は水平方向にスムーズに移動し、常に操作パネル21を直角に保持することができる。
【0021】
図9は、走行ローラとガイドローラを取り付けたパネルを示す。操作パネル21の下端に2個のガイドローラ31を、取付ブラケット34を介して取り付けるとともに、走行パネル24の下端にも1個のガイドローラ31を同様に取付ける。一方、操作パネル21の上端側には、2点鎖線で示したスライダ40が取付けられ、スライダローラ32を介してスライダレール13内に嵌合しているので、従来取付けていた走行ローラを操作パネル21の上端側に取付ける必要はなく、走行パネル24の上端だけに順次取付ける。
【0022】
以上、本発明を実施の形態により説明したが、本発明の範囲内で種々の変形や応用が可能であり、これらの変形や応用を本発明の範囲から排除するものではない。
【0023】
【発明の効果】
本発明は、上記のようなスライダによるズレ止め構造を設けたので、アコーディオンドアを開閉操作する際に、操作パネルの移動が円滑に行われることとなり、一連のパネルも操作中に前後方向に傾斜することがなくなる。したがって、把手を介して操作パネルを押し引きしても、各パネルが上下方向にスライドしなくなり、アコーディオンドアをスムーズに開閉することができ、開口部を広く開けて荷物の積み卸しすることが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 アコーディオンドアを備えたバン型車両の全体斜視図。
【図2】 アコーディオンドアの折り畳み状態を示す部分横断面図。
【図3】 図7のB−B線に沿った操作パネルの横断面図。
【図4】 従来のアコーディオンドアの不具合を示す図。
【図5】 荷箱側壁の開口の周囲の構成を示す図。
【図6】 アコーディオンドアの取付構造を示す縦断面図。
【図7】 スライダの取付構造を示す図。
【図8】 図7のA−A線に沿ったスライダの断面図。
【図9】 走行ローラとガイドローラを取り付けたパネルを示す図。
【符号の説明】
1…運転室、2…前壁、3…屋根、4…後壁、5…床部、6…前側柱、7…上側枠材、8…下側枠材、9…後側側柱、10…観音扉、11…走行レール、12…ガイドレール、13…スライダレール、14…開口、15…上部開閉部材、16…下部開閉部材、20…アコーディオンドア、21…操作パネル、22…幅広パネル、23…遊動パネル、24…走行パネル、30…走行ローラ、31…ガイドローラ、32…スライダローラ、33,34…取付ブラケット、35…抜止板、40…スライダ、41,42…支持ブラケット、43…平坦部、44…外周壁、62…U字溝、63…床枠材、64…横根太、65…段差部,131…取付具、211…スライダ取付面、212…連結部、213…把手取付面、214…把手、221…板状部、222,223…連結部、231…板状部、232…連結部、233…連結部、241…板状部、242,243…連結部、244…中空部。
Claims (2)
- 短冊状アルミ押出形材からなる多数のパネルを縦方向に側端部で連結して折り畳み自在に構成した一連のパネルの上端に走行ローラ(30)を取り付け、下端にガイドローラ(31)を取り付けて、バン型貨物自動車の側面開口(14)の上側枠材(7)に固着された走行レール(11)に前記走行ローラ(30)を転動可能に載架すると共に、前記ガイドローラ(31)は、前記開口(14)の下側枠材(8)に固着されたガイドレール(12)内を転動させ、該一連のパネルの端部に位置する操作パネル(21)を引き押しして前記開口(14)を開閉するアコーディオンドア(20)において、
前記走行レール(11)の下方にこれと平行にスライダレール(13)を固着すると共に、前記操作パネル(21)のスライダ取付面(211)に、前記スライダレール(13)に沿って移動可能なスライダ(40)の移動方向一端部を固着し、該スライダ(40)の移動方向一端部と他端部との間に互いに間隔をあけて軸着した複数のスライダローラ(32)を、前記スライダレール(13)に転動自在に載架して、前記操作パネル(21)を常に垂直に保持するように構成したことを特徴とするバン型貨物自動車用アコーディオンドアのズレ止め構造。 - 前記スライダ(40)の移動方向他端部と前記操作パネル(21)のスライダ取付面(211)の下部との間に支持ブラケット(41)を傾斜状に配置して、その両端部を接合したことを特徴とする請求項1記載のバン型貨物自動車用アコーディオンドアのズレ止め構造。
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