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JP4242010B2 - 感光性樹脂組成物及びその硬化物 - Google Patents

感光性樹脂組成物及びその硬化物 Download PDF

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JP4242010B2
JP4242010B2 JP18503699A JP18503699A JP4242010B2 JP 4242010 B2 JP4242010 B2 JP 4242010B2 JP 18503699 A JP18503699 A JP 18503699A JP 18503699 A JP18503699 A JP 18503699A JP 4242010 B2 JP4242010 B2 JP 4242010B2
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epoxy resin
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エネルギー線感応性樹脂及びその組成物並びに硬化物に関し、特にプリント基板製造に有用でアルカリ水溶液での現像が可能な液状ソルダーレジスト組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
プリント基板製造業界においては、プリント基板の永久保護膜として、ソルダーレジストが広く用いられている。ソルダーレジストは、半田付け時の半田ブリッジ防止及び使用時における導体部の腐食防止と電気絶縁性の保持等を目的として使用されている。従来、熱硬化性インキ又は光硬化性インキを用い、スクリーン印刷することによりソルダーレジストを形成する方法が広く用いられてきた。しかし、この方法を用いた場合、印刷時のブリード、滲み、ダレ等の現象により、得られるレジストパターンの精度が減少し、最近のプリント基板の微細化、高密度化、高機能化には対応できなくなってきている。
【0003】
このようなプリント基板に対応するために、多くの光硬化型の液状ソルダーレジストが開発され、現在50%以上導入されている。中でもアルカリ水溶液で現像可能なものが注目されており、アルカリ水溶液に溶解させるためのカルボキシル基及び光硬化性を持たせるためのエチレン性不飽和基を有する樹脂を必須成分とすることを特徴としている。例えば、特開昭64−62375号公報、特開平3−253093号公報、特公平1−54390号公報には、フェノール性又はo−クレゾール性ノボラック型エポキシ樹脂と不飽和一塩基酸を反応させ、更に飽和又は不飽和多塩基酸無水物を反応させて得られた樹脂を用いたレジスト組成物が開示されている。特開平3−289656号公報にはグリシジル(メタ)アクリレート等を構成成分として共重合し、前述の樹脂と同様にエポキシ基を変性した樹脂を用いた組成物が、また、特開平2−97513号公報にはフェノール類とフェノール性水酸基を有する芳香族アルデヒドとの縮合物のエポキシ化合物と(メタ)アクリル酸との反応物を、多塩基性カルボン酸又はその無水物と反応させてなるエチレン性不飽和基含有ポリカルボン酸樹脂を用いた組成物が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの組成物を、例えばソルダーレジスト用樹脂組成物として用いた場合、感度、解像度、耐熱性等には優れているものの、得られた硬化膜の耐薬品性、耐金メッキ性、耐電解腐食性が不十分で、硬化物表面が侵されたり、クラックが発生する等の問題がある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前述の課題を解決するため鋭意研究の結果、高感度で高い解像性を示し、希アルカリ水溶液での現像が可能であり、その硬化膜も半田耐熱性、耐薬品性、耐金メッキ性、耐電解腐食性等に優れ、また硬化物表面が、薬品に侵されず、クラック発生の無いプリント基板用感光性樹脂組成物並びに硬化物を見出した。すなわち本発明は、
(1)ビスフェノール型エポキシ樹脂とエピハロヒドリンとの反応物であってかつエポキシ当量が280〜500g/当量であるエポキシ樹脂(a)と不飽和基含有モノカルボン酸(b)との反応物に多塩基酸無水物(c)を付加してなる不飽和基含有ポリカルボン酸樹脂(A)、エポキシ当量が150〜230g/当量であるエポキシ樹脂(d)と不飽和基含有モノカルボン酸(b)との反応物(E)、光重合開始剤(C)を含有し、任意成分として架橋剤(B)と硬化成分(D)を含有する感光性樹脂組成物、
【0006】
(2)エポキシ当量が150〜230g/当量であるエポキシ樹脂(d)が、フェノール化合物とアルデヒド化合物との縮合物のエポキシ化合物である(1)に記載の感光性樹脂組成物、
(3)エポキシ当量が150〜230g/当量であるエポキシ樹脂(d)が、ノボラック型エポキシ化合物である(1)又は(2)のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物、
(4)不飽和基含有モノカルボン酸(b)が、(メタ)アクリル酸である(1)ないし(3)のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物、
(5)多塩基酸無水物(c)が無水コハク酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸の中から選択された多塩基酸無水物である(1)ないし(4)のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物、
(6)(1)ないし(5)のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物の硬化物、
(7)(6)に記載の硬化物の層を有するプリント基板、
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の感光性樹脂組成物は、ビスフェノール型エポキシ樹脂とエピハロヒドリンとの反応物であってかつエポキシ当量が280〜500g/当量であるエポキシ樹脂(a)と不飽和基含有モノカルボン酸(b)との反応物に多塩基酸無水物(c)を付加してなる不飽和基含有ポリカルボン酸樹脂(A)、エポキシ当量が150〜230g/当量であるエポキシ樹脂(d)と不飽和基含有モノカルボン酸(b)との反応物(E)、光重合開始剤(C)を含有し、任意成分として架橋剤(B)と硬化成分(D)を含有する。ここでいう感光性とは、電子線、紫外線等のエネルギー線の照射により、光重合開始剤(C)の存在下若しくは不存在下に重合硬化する性質のことである。
【0008】
本発明の感光性樹脂組成物は、エポキシ当量が150〜230g/当量のエポキシ樹脂(d)と不飽和基含有モノカルボン酸(b)との反応物(E)を用いることを特徴とする。反応物(E)はその構造中に光硬化性に主に関与する不飽和基と熱硬化性に関与するエポキシ基を両方含むので、これを使用することにより、光照射時に不飽和基含有ポリカルボン酸樹脂(A)及び/又は架橋剤(B)の不飽和基と反応、さらに熱硬化時にエポキシ基と不飽和基含有ポリカルボン酸樹脂(A)中のカルボキシル基とが反応し、光硬化性及び熱硬化性が同時に高められ、感光性樹脂組成物の架橋密度があがり、従来の課題である得られた硬化膜の耐薬品性、耐金メッキ性、耐電解腐食性が改良される。
【0009】
反応物(E)を製造する際、エポキシ樹脂(d)のエポキシ基に対する不飽和基含有モノカルボン酸(b)の付加量を50%当量以上とすると架橋剤として機能する。この場合、特に好ましくは70%当量以上である。また、反応物(E)をとして用いる場合、エポキシ樹脂(d)のエポキシ基に対する不飽和基含有モノカルボン酸(b)の付加量は50%当量以下とすると硬化成分として機能する。この場合、特に好ましくは、反応物(E)のエポキシ当量が、180〜260g/当量となるような計算量を付加させる。なお、硬化成分は、露光、現像後の加熱硬化の際に不飽和基含有ポリカルボン酸樹脂(A)中のカルボキシル基と熱反応し、硬化塗膜に耐アルカリ性、耐溶剤性、耐熱性、電気絶縁性を付与するものである。
【0010】
反応物(E)の使用量は、架橋剤としての機能を重視する場合、本発明の感光性樹脂組成物の全固形分量を100重量%としたとき、1〜40重量%が好ましく、特に好ましくは、5〜30重量%である。また、硬化成分としての機能を重視する場合、その使用量は組成物中、1〜50重量%が好ましく、特に好ましくは3〜45重量%である。
【0011】
反応物(E)の原料となるエポキシ樹脂(d)はエポキシ当量が150〜230g/当量のエポキシ樹脂である。エポキシ樹脂(d)としては、例えばフェノール化合物とアルデヒド化合物の縮合物のエポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール型エポキシ樹脂、ナフタレン骨格含有エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂等があげられるが、フェノール化合物とアルデヒド化合物の縮合物のエポキシ樹脂が好ましく、その中でもノボラック型エポキシ化合物が特に好ましい。ノボラック型エポキシ樹脂としては、例えばフェノールノボラック型エポキシ樹脂及びクレゾール型エポキシ樹脂があげられる。フェノールノボラック型エポキシ樹脂としては、例えばエピクロンN−770(大日本インキ化学工業(株)製)、D.E.N438(ダウ・ケミカル社製)、エピコート154(油化シェルエポキシ(株)製)、RE−306(日本化薬(株)製)等があげられる。クレゾールノボラック型エポキシ樹脂としては、例えばエピクロンN−695(大日本インキ化学工業(株)製)、EOCN−102S、EOCN−103S、EOCN−104S(日本化薬(株)製)、UVR−6650(ユニオンカーバイド社製)、ESCN−195(住友化学工業(株)製)等があげられる。
【0012】
前記反応物(E)を得るために使用する不飽和基含有モノカルボン酸(b)としては、例えば(メタ)アクリル酸、桂皮酸、マレイン酸モノエステル化物等やこれらの化合物とε−カプロラクトンとの反応物等があげられるが、架橋密度を上げ、重合速度の比較的速い(メタ)アクリル酸が特に好ましい。
【0013】
エポキシ当量が150〜230g/当量のエポキシ樹脂(d)と不飽和基含有モノカルボン酸(b)とから反応物(E)を合成する方法としては、エポキシ樹脂に対し、前述の量の不飽和基含有モノカルボン酸を付加反応させることにより得られる。反応の際、反応液の粘度が高い場合には適当な溶媒を用いることができる。溶媒としては例えばエチルメチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼンなどの芳香族炭化水素類、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテルなどのグリコールエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチル、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエステル類、石油エーテル、石油ナフサ、水添石油ナフサ、ソルベントナフサなどの石油系溶剤等γ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン等の有機溶剤類があげられる。
【0014】
さらに、反応溶媒としては、反応性希釈剤と呼ばれ、本発明の組成物中、架橋剤(B)としても機能する(メタ)アクリレート系の化合物を用いることもできる。反応性希釈剤としては、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、アクリロイルモノホリン、イソボルニル(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート等のアクリレート類等があげられる。
【0015】
反応においては、反応を促進させるために触媒を使用することが好ましく、該触媒の使用量は、反応原料混合物に対して0.1〜10重量%である。反応中の熱重合を防止するために、熱重合禁止剤を使用することが好ましく、その使用量は、反応原料混合物に対して、好ましくは0.01〜1重量%である。その際の反応温度は60〜150℃であり、また反応時間は、好ましくは5〜60時間である。この反応で使用する触媒としては、例えばトリエチルアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリメチルアンモニウムブロマイド、ベンジルトリメチルアンモニウムアイオダイド、トリフェニルフォスフィン、トリフェニルスチビン、メチルトリフェニルスチビン、オクタン酸クロム、オクタン酸ジルコニウム等があげられる。また、熱重合禁止剤としては、例えばハイドロキノン、メチルハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、カテコール、第三ブチルカテコール、ピロガロール等があげられる。
【0016】
本発明の感光性樹脂組成物に用いられる不飽和基含有ポリカルボン酸樹脂(A)を得るために使用される、ビスフェノール型エポキシ樹脂とエピハロヒドリンとの反応物であって、かつエポキシ当量が280〜500g/当量であるエポキシ樹脂(a)は、ビスフェノール型エポキシ樹脂のアルコール性水酸基を更にエピクロルヒドリン等のエピハロヒドリンでグリシジル化した反応物である。この反応物を得る方法としては例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂のアルコール性ヒドロキシ基とエピクロルヒドリン等のエピハロヒドリンを好ましくはジメチルスルホキシドの存在下に反応させることによって得ることができる。エピハロヒドリンの使用量は、アルコール性ヒドロキシ基1当量に対し、1当量以上使用すれば良い。しかしながら、アルコール性ヒドロキシ基1当量に対し、15当量を超えて使用すると、増量した効果はほとんどなくなる一方容積効率も低下するので好ましくない。
【0017】
ジメチルスルホキシドを用いる場合その使用量は、ビスフェノール型エポキシ樹脂に対して5〜300重量%が好ましい。この量が5重量%未満の場合、ビスフェノール型エポキシ樹脂におけるアルコール性ヒドロキシ基とエピハロヒドリンとの反応が遅くなり長時間の反応が必要となり、一方300重量%を越えると増量した効果はほとんどなくなり、容積効率も低下するので好ましくない。
【0018】
反応を行う際、アルカリ金属水酸化物を使用する。アルカリ金属水酸化物としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が使用できるが水酸化ナトリウムが好ましい。アルカリ金属水酸化物の使用量は、アルコール性ヒドロキシ基全量をエポキシ化したい場合は過剰に使用しても良いが、アルコール性ヒドロキシ基1当量に対して、2当量を超えて使用すると、高分子化が起こる傾向にある。ここで使用するアルカリ金属水酸化物は固形でも水溶液の状態で使用しても差し支えない。反応温度は、30〜100℃が好ましい。反応温度が30℃未満の場合反応が遅くなり長時間の反応が必要となり、一方100℃を越えると副反応が多く起こるので好ましくない。
【0019】
ビスフェノール型エポキシ樹脂としては、例えばエピコート828、エピコート1001(油化シェルエポキシ製)、UVR−6410(ユニオンカーバイド社製)、D.E.R−331(ダウ・ケミカル社製)、YD−8125(東都化成社製)等のビスフェノールA型エポキシ樹脂、UVR−6490(ユニオンカーバイド社製)、YDF−8170(東都化成社製)等のビスフェノールF型エポキシ樹脂等があげられる。
【0020】
本発明の感光性樹脂組成物に用いられる不飽和基含有ポリカルボン酸樹脂(A)を得るために使用される、不飽和基含有モノカルボン酸(b)は前述のものと同じ化合物が使用できる。これらの不飽和基含有モノカルボン酸(b)の付加率は、エポキシ当量が280〜500g/当量のエポキシ樹脂(a)のエポキシ当量に対して80〜120当量%であることが好ましい。付加率が80モル%未満の場合、感光性が不充分であり、逆に120モル%以上の場合未反応不飽和基含有モノカルボン酸(b)により、硬化物の密着性低下等の問題を引き起こす恐れがあるので好ましくない。また反応は、反応物(E)を得る方法と同様に行うことができる。
【0021】
本発明の不飽和基含有ポリカルボン酸樹脂(A)を合成する際に使用される多塩基酸無水物(c)としては、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸の中から選択してなる1種または2種以上の多塩基酸無水物があげられる。これらの多塩基酸無水物(c)は一種または二種以上混合して使用することができる。多塩基酸無水物(c)は、ビスフェノール型エポキシ樹脂とエピハロヒドリンとの反応物であって、かつエポキシ当量が280〜500g/当量であるエポキシ樹脂(a)と不飽和基含有モノカルボン酸(b)との反応により生成もしくは導入されたヒドロキシ基に付加することにより半エステル化され、カルボン酸を生成する。この生成したカルボン酸は、アルカリ水溶液現像性を持たせるため必要不可欠なものであり、本発明の不飽和基含有ポリカルボン酸樹脂(A)の固形分酸価が、50〜150mg・KOH/gとなるようにすることが好ましい。固形分酸価が50mg・KOH/g未満の場合は、後述する樹脂組成物のアルカリ水溶液現像性が著しく低下し、最悪の場合現像できなくなるので好ましくない。一方固形分酸価が150mg・KOH/gを超える場合、アルカリ水溶液現像性が高すぎ、現像密着性が低下したり、最悪の場合パターンが得られなくなる恐れがある。
【0022】
多塩基酸無水物(c)を反応させる方法としては、多塩基酸無水物(c)をエポキシ樹脂と不飽和基含有モノカルボン酸との反応物に前述の固形分酸価となるよう仕込み、60〜150℃の反応温度で、5〜60時間反応させることにより得ることができる。反応中の熱重合を防止するために、熱重合禁止剤を使用することが好ましく、その使用量は、反応原料混合物に対して、好ましくは0.01〜1重量%である。熱重合禁止剤としては、前述のものが使用できる。
【0023】
本発明の感光性樹脂組成物に使用される不飽和基含有ポリカルボン酸樹脂(A)の量としては、感光性樹脂組成物の全固形分量を100重量%とした場合、10〜80重量%が好ましく、特に好ましくは、15〜70重量%である。
【0024】
任意成分として本発明の感光性樹脂組成物に使用される架橋剤(B)は、通常反応物(E)が架橋剤として機能しない場合に使用されるが、反応物(E)が架橋剤として機能する場合に使用してもよい。架橋剤(B)としては、感度及び転写パターンの解像度を高め、現像密着性を良好にする化合物が好ましく、例えば(メタ)アクリレート化合物、アジド化合物、ジアゾ化合物、ニトロ化合物等があげられるが、後述する光重合開始剤(C)によりラジカル重合可能であり、不飽和基含有ポリカルボン酸樹脂(A)や反応物(E)と容易に架橋反応可能な、(メタ)アクリレート化合物が特に好ましい。
【0025】
(メタ)アクリレート化合物としては、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、アクリロイルモノホリン、イソボルニル(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート等のアクリレート類等を挙げることができる。これらは、単独あるいは混合して使用することができる。
【0026】
本発明の感光性樹脂組成物に架橋剤(B)を使用する場合、その使用量は、感光性樹脂組成物の全固形分量を100重量%とした場合、1〜40重量%が好ましく、特に好ましくは、5〜30重量%である。
【0027】
本発明の感光性樹脂組成物に使用される光重合開始剤(C)としては、例えばアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、p−ジメチルアミノプロピオフェノン、ジクロロアセトフェノン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノ−プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1等のアセトフェノン類、ベンゾフェノン、p−クロロベンゾフェノン、p,p−ビスジメチルアミノベンゾフェノン、p,p−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4′−メチル−ジフェニルサルファイド等のベンゾフェノン類、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾインエーテル類、ベンジルジメチルケタール等のケタール類、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン等のチオキサントン類、アントラキノン、2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等があげられる。これらの光重合開始剤(B)は、単独でまた2種以上を組み合わせて使用することができる。その使用量は組成物中、1〜30重量%が好ましく、特に好ましくは、2〜20重量%である。
【0028】
これらの光重合開始剤(C)は、N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、N,N−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、N,N−ジメチルアミノ安息香酸ペンチルエステル、4,4’−ビス(N,N−ジメチルアミノ)−ベンゾフェノン、4,4’−ビス(N,N−ジメチルアミノ)−ベンゾフェノンの様な増感剤と組み合わせて使用することができる。増感剤の使用量としては、光重合開始剤(C)に対して50重量%以下が好ましい。
【0029】
任意成分として、本発明で用いる硬化成分(D)は、露光、現像後の加熱硬化の際に不飽和基含有ポリカルボン酸樹脂(A)中のカルボキシル基と熱反応し、硬化塗膜に耐アルカリ性、耐溶剤性、耐熱性、電気絶縁性を付与するものである。この硬化成分(D)は、反応物(E)が硬化成分として機能しない場合に使用される。硬化成分(D)としては、転写パターンの解像度を高め、現像密着性を良好にしかつ硬化膜の金メッキ耐性高めることが可能なエポキシ樹脂が好ましい。このようなエポキシ樹脂としては、例えばフェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン骨格含有エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂等を挙げることができる。
【0030】
フェノールノボラック型エポキシ樹脂としては、例えばエピクロンN−770(大日本インキ化学工業(株)製)、D.E.N438(ダウ・ケミカル社製)、エピコート154(油化シェルエポキシ(株)製)、RE−306(日本化薬(株)製)等があげられる。クレゾールノボラック型エポキシ樹脂としては、例えばエピクロンN−695(大日本インキ化学工業(株)製)、EOCN−102S、EOCN−103S、EOCN−104S(日本化薬(株)製)、UVR−6650(ユニオンカーバイド社製)、ESCN−195(住友化学工業(株)製)等があげられる。
【0031】
トリスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂としては、例えばTACTICX−742(ダウ・ケミカル社製)、エピコートE1032H60(油化シェルエポキシ(株)製)等があげられる。ジシクロペンタジエンフェノール型エポキシ樹脂としては、例えばエピクロンEXA−7200(大日本インキ化学工業(株)製)、TACTIX−556(ダウ・ケミカル社製)等があげられる。
【0032】
ビスフェノール型エポキシ樹脂としては、例えばエピコート828、エピコート1001(油化シェルエポキシ製)、UVR−6410(ユニオンカーバイド社製)、D.E.R−331(ダウ・ケミカル社製)、YD−8125(東都化成社製)等のビスフェノールA型エポキシ樹脂、UVR−6490(ユニオンカーバイド社製)、YDF−8170(東都化成社製)等のビスフェノールF型エポキシ樹脂等があげられる。
【0033】
ビフェノール型エポキシ樹脂としては、例えばYX−4000(油化シェルエポキシ(株)製)のビキシレノール型エポキシ樹脂やYL−6121(油化シェルエポキシ(株)製)等があげられる。ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂としては、例えばエピクロンN−880(大日本インキ化学工業(株)製)、エピコートE157S75(油化シェルエポキシ(株)製)等があげられる。
【0034】
ナフタレン骨格含有エポキシ樹脂としては、例えばNC−7000(日本化薬社製)、EXA−4750(大日本インキ化学工業(株)製)等があげられる。脂環式エポキシ樹脂としては、例えばEHPE−3150(ダイセル化学工業(株)製)等があげられる。複素環式エポキシ樹脂としては、例えばTEPIC、TEPIC−L、TEPIC−H、TEPIC−S(いずれも日産化学工業(株)製)等が挙げられる。
【0035】
硬化成分(D)を使用する場合、単独または2種以上の混合物として用いられる。また、その使用量は、組成物の固形分を100重量%としたとき、1〜50重量%が好ましく、特に好ましくは3〜45重量%である。
【0036】
また更に、本発明の組成物には、密着性、耐薬品性、耐熱性等の特性により一層向上するためにエポキシ樹脂硬化(促進)剤を添加することが特に好ましい。エポキシ樹脂硬化(促進)剤の使用量は、前記エポキシ化合物100重量%に対して、0.01〜25重量%が好ましく、特に好ましくは0.1〜15重量%である。市販品としては例えば、C11Z、2PHZ、2MZ−AZINE、2E4MZ−AZINE、2E4MZ−CN,2MA−OK(いずれも四国化成工業(株)製)等のイミダゾール及びその誘導体、ヘキサ(N−メチル)メラミン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノ)フェノール等の3級アミン類、ベンゾグアナミン、アセトグアナミン、メラミン等のトリアジン化合物類、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロ−3−フラニル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物等の酸無水物類、ジシアンジアミド等のポリアミン類、トリフェニルホスフィン等の有機ホスフィン類などがあげられる。これらの中でも好ましいのはメラミン、ジシアンジアミドである。
【0037】
本発明の感光性樹脂組成物には、更に、密着性、硬度などの特性を向上する目的で必要に応じて、硫酸バリウム、チタン酸バリウム、酸化ケイ素粉、微粉状酸化ケイ素、無定形シリカ、タルク、クレー、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、雲母粉等の無機充填剤が使用できる。その使用量は、本発明の組成物中の60重量%以下が好ましく、特に好ましくは5〜40重量%である。
【0038】
更に、必要に応じて、フタロシアニン・ブルー、フタロシアニン・グリーン、アイオジン・グリーン、ジスアゾイエロー、クリスタルバイオレット、酸化チタン、カーボンブラック、ナフタレンブラックなどの着色剤、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル等の重合禁止剤、アスベスト、ベントン、モンモリロナイト等の増粘剤、シリコーン系、フッ素高分子系等の消泡剤および/または、レベリング剤、イミダゾール系、チアゾール系、トリアゾール系、シランカップリング剤等の密着性付与剤のような添加剤類を用いることができる。
【0039】
本発明の感光性樹脂組成物は、(A)、(E)、及び(C)成分、必要に応じて(B)、(D)成分、また所望により無機充填剤、その他前記の配合成分を、好ましくは前記の割合で配合し、ロールミル等で均一に混合、溶解、分散等することにより得られる。また、主に粘度調整のため、所望により溶剤を併用しても良い。この溶剤は配合成分製造時の溶剤でも良い。溶剤としては、例えばエチルメチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼンなどの芳香族炭化水素類、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテルなどのグリコールエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチル、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエステル類、石油エーテル、石油ナフサ、水添石油ナフサ、ソルベントナフサなどの石油系溶剤等γ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン等の有機溶剤類があげられる。
【0040】
なお、前記のような硬化成分としての反応物(E)及び/または硬化成分(D)と硬化促進剤とを予めソルダーレジスト組成物に混合して一液型とした場合、回路板ブランクへの塗布前に増粘し易いので、前記不飽和基含有ポリカルボン酸樹脂(A)を主体とし、これに硬化促進剤等を配合した主剤溶液と、前記硬化成分としての反応物(E)及び/または硬化成分(D)を主体とした硬化剤溶液の二液型に組成し((B)、(C)成分は両者のどちらかもしくは双方に添加)、使用に際してこれらを混合して用いることが好ましい。
【0041】
本発明の感光性樹脂組成物は、液状でレジストインキ、特にプリント基板用のレジストインキとして有用である他、塗料、コーティング剤、接着剤等としても使用できる。
【0042】
本発明の硬化物は、紫外線等のエネルギー線照射により上記の本発明の感光性樹脂組成物を光硬化させたもの及びこの光硬化させた硬化膜を更に熱硬化させたものである。紫外線等のエネルギー線照射による硬化は常法により行うことができる。紫外線を照射する場合、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノン灯、紫外線発光レーザー(例えばエキシマーレーザー)等の紫外線発生機を用いればよい。本発明の樹脂組成物の硬化物は、例えば永久レジストとしてスルホールを有するプリント基板のような電気・電子部品に利用される。
【0043】
本発明のプリント基板は、上記の樹脂組成物の硬化物層を有する。この硬化物層の膜厚は5〜160μm程度で、10〜60μm程度が好ましい。プリント基板は、例えば次のようにして得ることができる。即ち、液状の樹脂組成物を使用する場合、プリント配線用基板に、スクリーン印刷法、スプレー法、ロールコート法、静電塗装法、カーテンコート法等の方法により5〜160μmの膜厚で本発明の組成物を塗布し、塗膜を60〜110℃で乾燥後、ネガフィルムを塗膜に直接に接触させ(又は接触しない状態で塗膜の上に置く)、紫外線を照射し、未露光部分を後述する希アルカリ水溶液を用いて、例えばスプレー、揺動浸漬、ブラッシング、スクラッビング等により現像する。その後、必要に応じて紫外線を照射し、次いで100〜200℃で加熱処理をすることにより諸特性を満足する永久保護膜を有するプリント基板が得られる。
【0044】
現像液としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム,炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、メタケイ酸ナトリウム、メタケイ酸カリウムのようなアルカリ性無機塩の水溶液や、トリメチルアミン、トリエチルアミン、モノメタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンのような有機アミン水溶液,テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラエチルアンモニウムハイドロオキサイドのようなアンモニウムハイドロオキサイド等があげられる。これらは、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。また、その温度は、15〜45℃の間で任意に調節することができる。この現像液中に界面活性剤、消泡剤などを少量混入させてもよい。
【0045】
【実施例】
以下、本発明の実施例により更に具体的に説明するが、これらに限定されるものではない。
【0046】
合成例1(反応物(E):架橋剤の合成)
1リットル1リットルフラスコに反応溶媒としてカルビトールアセテートを160.0g、エポキシ当量が150〜230g/当量であるエポキシ樹脂(d)として、EPPN−201(日本化薬製エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂 エポキシ当量:192g/当量)を465.3g、不飽和基含有モノカルボン酸(b)としてアクリル酸を174.7g(付加量100%)、熱重合禁止剤として2−メチルハイドロキノンを0.40g、反応触媒としてトリフェニルホスフィンを2.40g仕込み、98℃の温度で24時間反応させ樹脂溶液を得た(この樹脂溶液をB−1とする)。樹脂溶液の濃度は約80%であった。
【0047】
合成例2(反応物(E):硬化成分の合成)
1リットルフラスコに反応溶媒としてカルビトールアセテートを153.8g、エポキシ当量が150〜230g/当量であるエポキシ樹脂(d)として、EPPN−201(日本化薬製エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂 エポキシ当量:192g/当量)を576.0g、不飽和基含有モノカルボン酸(b)としてアクリル酸を39.3g、熱重合禁止剤として2−メチルハイドロキノンを0.38g、反応触媒としてトリフェニルホスフィンを2.31g仕込み、98℃の温度で24時間反応させ樹脂溶液を得た(この樹脂溶液をD−1とする)。樹脂溶液の濃度は約80%であり、固形分のエポキシ当量は約250g/当量であった。
【0048】
合成例3(不飽和基含有ポリカルボン酸樹脂(A)の合成)
2リットルフラスコに反応溶媒としてカルビトールアセテートを118.44g、分子中に2個以上のエポキシ基を有し、かつエポキシ当量が280〜500g/当量のエポキシ樹脂(a)として、NER−7403(日本化薬製エポキシ樹脂、ビスフェノール−F型エポキシ樹脂とエピクロルヒドリンの反応物 エポキシ当量:297.8g/当量)を381.44g、不飽和基含有モノカルボン酸(b)としてアクリル酸を92.30g、熱重合禁止剤として2−メチルハイドロキノンを0.30g、反応触媒としてトリフェニルホスフィンを1.78g仕込み、98℃の温度で24時間反応させた。反応完了後、この溶液にカルビトールアセテートを231.56g、多塩基酸無水物(c)としてテトラヒドロ無水フタル酸を176.26g、熱重合禁止剤として2−メチルハイドロキノンを0.38g仕込み95℃の温度で4時間反応させ不飽和基含有ポリカルボン酸樹脂溶液(A−1とする)を得た。樹脂溶液の濃度は約65%であり、固形分酸価は100mg・KOH/gであった。
【0049】
実施例1、2、3、比較例1
表1示す配合組成(数値は重量%である)に従って各成分を配合し、3本ロールミルで混練し、本発明の感光性樹脂組成物を調製した。これをスクリーン印刷法により、100メッシュのスクリーンを用いて15〜25μmの厚さになるようにパターン形成されている銅張ガラスエポキシ基板(厚さ約0.5mm)に全面塗布し、塗膜を80℃の熱風乾燥器で30分乾燥させる。次いで、レジストパターンを有するネガフイルムを塗膜に密着させ紫外線露光装置((株)オーク製作所、型式HMW−680GW)を用いて、紫外線を照射した(露光量200mJ/cm2 )。次に1%の炭酸ナトリウム水溶液で60秒間、2.0kg/cm2 のスプレー圧で現像し、未露光部分を溶解除去した。得られたものについて、後述のとおり現像性、解像性、光感度、表面光沢の評価を行った。その後、150℃の熱風乾燥器で60分加熱硬化を行ない、得られた硬化膜を有する試験片について、後述のとおり基板そり、密着性、鉛筆硬度、耐溶剤性、耐酸性、耐熱性、耐金メッキ性の試験を行なった。それらの結果を表2に示す。なお、試験方法及び評価方法は次のとおりである。
【0050】
(現像性)下記の評価基準を使用した。
○・・・・現像時、完全にインキが除去され、現像できた。
×・・・・現像時、現像されない部分がある。
【0051】
(解像性)乾燥後の塗膜に、50μmのネガパターンを密着させ積算光量200mJ/cm2 の紫外線を照射露光する。次に1%の炭酸ナトリウム水溶液で60秒間、2.0kg/cm2 のスプレー圧で現像し、転写パターンを顕微鏡にて観察する。下記の基準を使用した。
○・・・・パターンエッジが直線で、解像されている。
×・・・・剥離もしくはパターンエッジがぎざぎざである。
【0052】
(光感度)乾燥後の塗膜に、ステップタブレット21段(コダック社製)を密着させ積算光量500mJ/cm2 の紫外線を照射露光する。次に1%の炭酸ナトリウム水溶液で60秒間、2.0kg/cm2 のスプレー圧で現像し、現像されずに残った塗膜の段数を確認する。下記の基準を使用した。
○・・・・8段以上
×・・・・7段以下
【0053】
(表面光沢)乾燥後の塗膜に、200mJ/cm2 の紫外線を照射露光する。次に1%の炭酸ナトリウム水溶液で60秒間、2.0kg/cm2 のスプレー圧で現像し、乾燥後の硬化膜を観察する。下記の基準を使用した。
○・・・・曇りが全く見られない
×・・・・若干の曇りが見られる
【0054】
(基板そり)下記の基準を使用した。
○・・・・基板にそりは見られない
×・・・・基板のそりが見られる
【0055】
(密着性)JIS K5400に準じて、試験片に1mmのごばん目を100個作りセロテープによりピーリング試験を行った。ごばん目の剥離状態を観察し、次の基準で評価した。
○・・・・剥れのないもの
×・・・・剥離するもの
【0056】
(鉛筆硬度)JIS K5400に準じて評価を行った。
【0057】
(耐溶剤性)試験片をイソプロピルアルコールに室温で30分間浸漬する。外観に異常がないか確認した後、セロテープによるピーリング試験を行い、次の基準で評価した。
○・・・・曇りが全く見られない
×・・・・若干の曇りが見られる
【0058】
(耐酸性)試験片を10%塩酸水溶液に室温で30分浸漬する。外観に異常がないか確認した後、セロテープによるピーリング試験を行い、次の基準で評価した。
○・・・・塗膜外観に異常がなく、フクレや剥離のないもの
×・・・・塗膜にフクレや剥離があるもの
【0059】
(耐熱性)試験片にロジン系プラックスを塗布し260℃の半田槽に5秒間浸漬した。これを1サイクルとし、3サイクル繰り返した。室温まで放冷した後、セロテープによるピーリング試験を行い、次の基準で評価した。
〇・・・・塗膜外観に異常がなく、フクレや剥離のないもの
×・・・・塗膜にフクレや剥離のあるもの
【0060】
(耐金メッキ性)試験基板を、30℃の酸性脱脂液(日本マクダーミット製、Metex L−5Bの20vol%水溶液)に3分間浸漬した後、水洗し、次いで、14.4wt%過硫酸アンモン水溶液に室温で3分間浸漬した後、水洗し、更に10vol%硫酸水溶液に室温で試験基板を1分間浸漬した後水洗した。次に、この基板を30℃の触媒液(メルテックス製、メタルプレートアクチベーター350の10vol%水溶液)に7分間浸漬し、水洗し、85℃のニッケルメッキ液(メルテックス製、メルプレートNi−865Mの20vol%水溶液、pH4.6)に20分間浸漬し、ニッケルメッキを行った後、10vol%硫酸水溶液に室温で1分間浸漬し、水洗した。次いで、試験基板を95℃の金メッキ液(メルテックス製、オウロレクトロレスUP15vol%とシアン化金カリウム3vol%の水溶液、pH6)に10分間浸漬し、無電解金メッキを行った後、水洗し、更に60℃の温水で3分間浸漬し、水洗し、乾燥した。得られた無電解金メッキ評価基板にセロハン粘着テープを付着し、剥離したときの状態を観察した。
○:全く異常が無いもの。
×:若干剥がれが観られたもの。
【0061】
Figure 0004242010
【0062】

*1 日本化薬製 :ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
*2 チバガイギー製:2−メチル−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルホリノ−1−プロパン
*3 日本化薬製 :2,4−ジエチルチオキサントン
*4 日本化薬製 :フェノールノボラック型エポキシ樹脂
*5 ビックケミー製:レベリング剤
*6 ビックケミー製:消泡剤
【0063】
Figure 0004242010
【0064】
表2の結果から明らかなように、本発明の感光性樹脂組成物は高感度で高い解像性を示し、希アルカリ水溶液での現像が可能であり、その硬化膜も半田耐熱性、耐薬品性、耐金メッキ性等に優れ、また硬化物表面にクラックが発生せず、薄膜化された基板を用いた場合でも基板にそりの無いプリント基板用感光性樹脂組成物であることは明らかである。
【0065】
【発明の効果】
本発明の感光性樹脂組成物は、パターンを形成したフイルムを通した選択的に紫外線により露光し、未露光部分を現像することによるソルダーレジストパターンの形成において、現像性、光感度に優れ、得られた硬化物は、密着性、鉛筆硬度、耐溶剤性、耐酸性、耐熱性、耐金メッキ性等も十分に満足するものであり、特に、プリント配線板用液状ソルダーレジストインキ組成物に適している。

Claims (7)

  1. ビスフェノール型エポキシ樹脂とエピハロヒドリンとの反応物であってかつエポキシ当量が280〜500g/当量であるエポキシ樹脂(a)と不飽和基含有モノカルボン酸(b)との反応物に多塩基酸無水物(c)を付加してなる不飽和基含有ポリカルボン酸樹脂(A)、エポキシ当量が150〜230g/当量であるエポキシ樹脂(d)と不飽和基含有モノカルボン酸(b)との反応物(E)、光重合開始剤(C)、架橋剤(B)及び硬化成分(D)を含有する感光性ソルダーレジストインキ樹脂組成物。
  2. エポキシ当量が150〜230g/当量であるエポキシ樹脂(d)が、フェノール化合物とアルデヒド化合物との縮合物のエポキシ化合物である請求項1に記載の感光性ソルダーレジストインキ樹脂組成物。
  3. エポキシ当量が150〜230g/当量であるエポキシ樹脂(d)が、ノボラック型エポキシ化合物である請求項1又は請求項2のいずれか一項に記載の感光性ソルダーレジストインキ樹脂組成物。
  4. 不飽和基含有モノカルボン酸(b)が、(メタ)アクリル酸である請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の感光性ソルダーレジストインキ樹脂組成物。
  5. 多塩基酸無水物(c)が無水コハク酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸の中から選択された多塩基酸無水物である請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の感光性ソルダーレジストインキ樹脂組成物。
  6. 請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の感光性ソルダーレジストインキ樹脂組成物の硬化物。
  7. 請求項6に記載の硬化物の層を有するプリント基板。
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