JP4240835B2 - 内燃機関の燃料噴射装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の燃料噴射装置に係り、特にV型又は水平対向エンジンのように燃料供給系統の構成が複雑になる多気筒内燃機関において、高圧燃料ポンプの吐出圧の脈動によって燃料供給系統に発生する共振による燃圧の変動を可及的に低く抑え得るように構成された燃料噴射装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
エンジン(内燃機関)のシリンダ内へガソリンのような燃料を直接に噴射する筒内直接噴射式の燃料噴射装置においては、高圧燃料噴射ポンプ(高圧燃料ポンプ、或いは単に高圧ポンプともいう)を小型化してエンジンへの搭載を容易にするために、また、コストが比較的に高い多気筒型の高圧ポンプの代わりに使用してコストを低減するために、単に1本のプランジャを備えている単気筒の高圧ポンプが使用されることが多い。一般に、燃料タンク内の燃料を燃料噴射弁まで供給する高圧燃料配管と、この配管の途中に設けられて燃料の圧力(燃圧)を燃料噴射弁において必要とする高圧の噴射圧力まで昇圧させる高圧ポンプと、高圧ポンプによって昇圧された燃料を各シリンダ毎に設けられた複数個の燃料噴射弁へ分配するデリバリパイプ(コモンレールともいう)と、デリバリパイプから供給された高圧の燃料を各シリンダ内へ噴射する前記噴射弁とからなる燃料噴射装置は周知である。
【0003】
しかしながら、この種の高圧ポンプは、1個のプランジャが吸入行程と吐出行程とを繰り返す運動をするために高圧ポンプの吐出圧は脈動しているから、デリバリパイプ内の燃圧は高圧ポンプの吐出脈動に応じて変動する。従って、燃料噴射弁からシリンダ内へ噴射される燃料の噴射量は、デリバリパイプ内の燃圧が高い時に多くなり、燃圧が低い時に少なくなる。このようにシリンダ内へ噴射される燃料の噴射量が燃圧の変動に応じて変化すると、エンジンの出力も変動するという問題が生じることになる。
【0004】
特に、V型8気筒のような多気筒内燃機関において、左右のバンクに対応して1本づつ設けられた2本のデリバリパイプにそれぞれ高圧ポンプを設けて、それら2つの高圧ポンプによって燃料を各デリバリパイプへ供給するようにした燃料噴射装置においては、特開平11−44276号公報に記載されているように、2つの高圧ポンプの吐出タイミングをずらして、それら2つの高圧ポンプが発生する吐出脈動が相互に打ち消し合うように構成することによって、燃圧の変動を低減させることができる。しかしながら、この従来技術に示されているような構成では、配管系に固有の共振周波数と、高圧ポンプの吐出脈動の周波数やその高次成分の周波数とが一致した時には共振が発生してデリバリパイプ内の燃圧の変動が増大し、それによって燃料の噴射量が変動して、やはりエンジンの出力変動を招くという問題がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来技術における前述のような問題に対処して、新規な手段によってそれらの問題を解消することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記の課題を解決するための手段として、特許請求の範囲の各請求項に記載された燃料噴射装置を提供する。
【0007】
請求項1の燃料噴射装置においては、第1及び第2のデリバリパイプと、それらの一端部に近い部分同士を接続する第1の連結パイプと、他端部に近い部分同士を接続する第2の連結パイプとを備えており、それらが1つの閉じたループを形成することから、第1又は第2の高圧ポンプと1つの燃料噴射弁とを接続する燃料供給経路に大きな容積が介在することになるので、この大きな容積が第1及び第2の高圧ポンプの吐出脈動を吸収する結果、デリバリパイプ内と燃料噴射弁の入口における燃圧変動が減少する。また、第1及び第2の高圧ポンプの吐出タイミングが互いに半周期ずれており、このように第1及び第2の高圧ポンプの吐出脈動が逆位相になるように設定したので、一方のデリバリパイプ内の燃圧変動と他方のデリバリパイプ内の燃圧変動が2本の連結パイプを介して相互に干渉することにより、大きな変動成分が相殺される。それによって、第1及び第2のデリバリパイプ内ではいずれも燃圧変動が小さくなり、燃料噴射弁から噴射される燃料噴射量が安定して、エンジンの出力変動の問題が解消する。
【0008】
請求項2の燃料噴射装置においては、第1及び第2のデリバリパイプの一端部に近い位置を連結パイプによって接続すると共に、デリバリパイプの内径を連結パイプの内径の1.33倍以下とするか、断面積で言えば、デリバリパイプの断面積を連結パイプのそれの1.78倍以下として、デリバリパイプと連結パイプ或いは高圧配管との継ぎ目に大きな内径の差が生じないようにしている。それによって、デリバリパイプの一部が連結パイプや高圧配管と連続したパイプとして作用するようになり、継ぎ目において圧力波の反射が起こらないので、第1及び第2の高圧ポンプの間を結ぶ高圧配管と連結パイプ等からなる管路の長さが最も長い管長になって、それが共振周波数に関して支配的となるので、この長さを可及的に短くすることによって、燃料噴射装置全体の共振周波数を高い方へ移動させて、高圧ポンプの吐出脈動との共振が起こり難くすることができる。また、請求項2においても、第1及び第2の高圧ポンプの吐出タイミングが互いに半周期ずれるようにしており、請求項1と同様の作用効果を奏する。
【0011】
請求項3の燃料噴射装置においては、通常の運転状態では第1及び第2の高圧ポンプの吐出タイミングを1/2周期ずらすことにより、2本のデリバリパイプの間を連結する連結パイプによって燃圧変動を相互に相殺させるが、共振が発生する回転数とその付近においては、第1及び第2の高圧ポンプの吐出タイミングを同位相とするように、2つの高圧ポンプの相対的な吐出タイミングを運転状態に合わせて変更する点に特徴がある。これは、共振が起こる領域においては寧ろ同位相にした方が燃圧変動が低下するという現象を、実験によって見いだした結果に基づくものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
図1に本発明の第1実施例としての燃料噴射装置の構成を示す。この燃料噴射装置は一例としてV型8気筒エンジンに適用するためのものである。第1実施例は本発明の基本的な実施例であるから、第2実施例以下の各実施例との共通部分を多く含んでいる。従って、第2実施例以下の実施例において第1実施例と実質的に同じ構成部分については、同じ参照符号を付して説明を省略することにする。
【0014】
図において1及び2は高圧ポンプ(高圧燃料噴射ポンプ)を示している。これら独立の高圧ポンプ1,2は所謂プランジャポンプに属するものであって、それぞれ1本のプランジャと、それらのプランジャが往復動をするためのポンプシリンダと、各プランジャを往復動させるためにエンジン本体によって回転駆動される楕円形のポンプカム21,22とを備えている。2つの高圧ポンプ1,2は、それらの吸入側が共通の低圧配管3に接続されていて、低圧配管3からそれぞれ低圧の燃料を受け入れて加圧することにより、燃料を例えば15MPa程度の圧力まで昇圧させて、この高圧燃料をそれぞれ高圧配管4,5を介して、V型エンジンの左右のバンクのシリンダヘッドにそれぞれ別に設けられたデリバリパイプ(或いはコモンレール)6,7へ吐出するようになっている。
【0015】
デリバリパイプ6,7には、V型8気筒エンジンの左右の各バンクに属する4個のシリンダに対応して燃料噴射弁8がそれぞれ4個設けられており、図示しない電子式制御装置から燃料噴射信号を受けた時に独立に開弁し、デリバリパイプ6又は7内の燃料をそれぞれのシリンダ内へ噴射して燃焼させる。高圧配管4,5の途中には断面積が急に縮小する絞り部9,10が設けられていて、高圧ポンプ1,2の吐出脈動を低減させながら高圧の燃料をデリバリパイプ6,7へ供給するようになっている。
【0016】
図1に示す第1実施例の燃料噴射装置の構成上の特徴は、第1及び第2のデリバリパイプ6,7の前端に近い部分同士と、後端に近い部分同士をそれぞれ接続するように、2本の連結パイプ11及び12が設けられていることである。それによって、第1及び第2のデリバリパイプ6,7とその前後の連結パイプ11及び12が閉じたループ状或いは環状の形状を呈している。このような構成は、高圧ポンプ1又は2から燃料噴射弁8のいずれか1つまでの燃料供給経路に介在する、2本のデリバリパイプ6,7や、前後の連結パイプ11及び12、更に高圧配管4,5等の容積の合計からなる大きな容積をもたらす。
【0017】
第1実施例においては、ポンプカム21,22がいずれも2山の楕円形のカムであるから、例えば常用回転数域の最高回転数が7000rpmであるエンジンにおいて、前述のように、配管系に固有の共振周波数と、高圧ポンプ1,2の吐出脈動周波数或いはその高次成分とが同期した時に生じる共振によって、デリバリパイプ6,7内の燃圧脈動が増大するのを防止するために、非常に高次のものは共振による実害が少ないために除外して、高圧ポンプ1,2の吐出脈動の周波数と、その次数3以下の高次成分(つまり2次及び3次の高次成分)だけを考慮の対象にすると共に、管路の共鳴による共振周波数fが管路の長さをLとして
f=890〔ms〕/(2*L)〔m〕
であるとすれば、クリアすべき目標周波数は3次の高次成分の周波数と同じであって350Hz ということになる。
【0018】
本発明の第1実施例においては、図1に示したように、2本のデリバリパイプ6,7の前端部に近い部分同士を連結パイプ11によって連結すると共に、後端部に近い部分同士を連結パイプ12によって連結しているので、閉じたループ状の2本のデリバリパイプ6,7と前後の連結パイプ11及び12等が大きな容積を形成する結果、高圧ポンプ1及び2の吐出脈動の周波数、或いはその2倍或いは3倍の高次成分との共振が生じるのを防止することができる。それによって、高圧ポンプ1及び2の吐出脈動の周波数の大小に関係なく、共振による燃圧変動の増大を抑制することができる。この場合、連結パイプ11,12の内径や長さとか、デリバリパイプ6,7の内径や長さのような管路の形状に関する数値は、各燃料噴射弁8の入口における燃圧変動の大きさを決定する重要なファクターとなる。一般的には、デリバリパイプ6,7等の容積が大きくなると燃圧変動は小さくなる。
【0019】
言うまでもなく、第1実施例の燃料噴射装置においては、第1及び第2の高圧ポンプ1,2のポンプカム21及び22の間の相対的な位相差を設定する際に、高圧ポンプ1,2の吐出脈動が逆位相となるようにしたときは、2本のデリバリパイプ6,7が前後の連結パイプ11及び12によって連結されているので、それらの吐出脈動が相互に干渉して相殺することにより、デリバリパイプ6,7内の燃圧変動が減少する。
【0020】
図2の(a)に本発明の第2実施例としての燃料噴射装置の構成を示す。図1に示す前述の第1実施例と異なる第2実施例の外見的な特徴は、第1及び第2のデリバリパイプ6,7のそれぞれの一部分が1本の連結パイプ23によって連結されていることである。連結パイプ23と、デリバリパイプ6,7の各一部と、それらの前端部に接続している高圧配管4,5とを一連のパイプと見做して、その長さの合計をL1 とすると、デリバリパイプ6,7に対して連結パイプ23の両端を取り付ける位置を変化させることによって、最も長い管長L1 が任意の長さとなるように変化する。
【0021】
第2実施例の燃料噴射装置のもう一つの特徴は、第1及び第2のデリバリパイプ6,7の内径を連結パイプ11の内径の1.33倍以下の大きさに限定したことである。デリバリパイプ6,7の内部の断面積を、連結パイプ23の内部の断面積の1.78倍以下とすることによって、即ち、直径の比において1.33倍以下にすることによって、デリバリパイプ6,7だけが格段に大きな容積を有する空間として認識されないで、連結パイプ23や高圧配管4,5と連続したパイプと見做されるために、継ぎ目において高圧ポンプの吐出脈動の圧力波の反射が起こらなくなり、最も長い管長L1による共振周波数が支配的となるので、この長さL1 に応じた共振周波数を燃料噴射装置全体の共振周波数として取り扱うことが可能になる。
【0022】
第2実施例に関する具体的な数値例を示すと、連結パイプ23の内径を6mmとすると共に、デリバリパイプ6,7の内径を8mmとした場合、最も低い周波数の振動をもたらす最も長い配管の長さL1 の影響が大きいことから、最も長い管長L1 が最も短くなるデリバリパイプ6,7上の位置に連結パイプ23を接続することにより、共振周波数が目標周波数(350Hz )よりも高くなるように設定する。一例として、高圧ポンプ1,2からデリバリパイプ6,7までの高圧配管4,5の長さを約0.4mとすると共に、デリバリパイプ6,7の長さをそれぞれ0.4mとし、連結パイプ23の長さを約0.25mとした場合に、高圧ポンプ1から高圧ポンプ2までの長さL1 を最も短くするために、連結パイプ23をデリバリパイプ6,7の前端(上流側端部)に最も近い位置に接続すると、最も長い管長L1 が1.05mとなり、その共振周波数が424Hz となって、目標周波数の350Hz よりも十分に高い共振周波数を設定することができる。
【0023】
図2の(b)として示した線図は、横軸にデリバリパイプ6,7の断面積と、連結パイプ23の断面積との断面積比をとって、この断面積比を変化させた時に共振周波数がどのように変化するかということを実験によって調べた結果を示したものである。この線図はデリバリパイプ6,7と連結パイプ23との関係を示すものと言うことができる。また、図2の(c)として示した線図は、横軸に前述の最も長い管長L1 をとって、この管長L1 を変化させた時に共振周波数がどのように変化するかということを実験によって調べた結果を示したものである。この線図は、最も長い管長L1 が共振周波数に及ぼす影響の大きさを示すものと言うことができる。
【0024】
図3の(a)に本発明の第3実施例としての燃料噴射装置の構成を示す。第3実施例の構成上の特徴は、高圧配管4,5の間にボリューム部13を設けたことである。ボリューム部13というのは高圧配管4,5の単位長さの容積よりも十分に大きい容積を有する空間を有する室のことである。高圧配管4,5はそれぞれ2分して4’4”,5’,5”とし、それらの一端を高圧ポンプ1,2或いはデリバリパイプ6,7の一つの前端部分に接続すると共に、他端を集中的にボリューム部13に接続している。それによって、高圧配管4,5がボリューム部13を介して相互に連通するので、高圧ポンプ1,2において発生した吐出脈動がボリューム部13の大きな容積によって吸収され、或いは高圧ポンプ1,2のそれぞれによって発生した吐出脈動が逆位相であれば、それらがボリューム部13内で相互に干渉し合って相殺されることになる。
【0025】
第3実施例においては、十分に大きい容積を有するボリューム部13を介して高圧配管4,5を接続しているので、図3に示したように2山カムである楕円形のポンプカム21,22を使用して位相を半周期ずらした場合には、ポンプカム21,22の突出部の数2の2倍の4山のカムを有する高圧ポンプを使用して、直列4気筒のエンジンのデリバリパイプへ燃料を供給するのと実質的に同じことになる。従って、配管に発生する共振の最も低い周波数を、図3の(b)に示したように、デリバリパイプ6,7の長さL2 に応じた共振の周波数にすることができる。一例として、デリバリパイプ6,7の長さを0.4mとすると、共振周波数は1.1KHz となるので、共振周波数を目標周波数の350Hz よりも十分に高い値に設定することができる。
【0026】
図4に本発明の第4実施例としての燃料噴射装置の構成を示す。第4実施例の特徴は、設計上の理由等から燃料噴射装置の共振周波数を変更することができない場合に、高圧ポンプを駆動するポンプカムの山数を適当に選定することによって高圧ポンプの吐出脈動の周波数を低下させて、共振周波数よりも低くすることにより、共振周波数と同期することを避けるように設定する点にある。このようなシステムにおいては、高圧ポンプの吐出脈動の周波数〔Hz 〕をエンジンの回転数〔rpm〕によって除した値をtとし、共振周波数〔Hz 〕をf、低減させたい高圧ポンプの吐出脈動の周波数の高次成分の次数をJ(例えば、吐出脈動の周波数の3次以下の高次成分を低減させる場合にはJ=4)とすると共に、エンジンの常用回転数域の最高回転数〔rpm〕をRとした場合に、次の条件式を満たすように諸元を設定すればよい。
t≦60*f/(R*J)
【0027】
図4に示す第4実施例においては、2本のデリバリパイプ6,7のうちの一方であるデリバリパイプ7に関連する部分のみを示しているが、もう1本のデリバリパイプ6に関連する部分は、前述の各実施例に示したものと同様であるから図示していない。また、2本のデリバリパイプ6,7を接続する連結パイプ等は設けなくてもよい。第4実施例では具体的に、高圧ポンプ22のポンプカム14を実質的に正三角形の形状を有する3山のものとしている。ポンプカム14はカムシャフト15と、被駆動側のプーリ16と、ベルト17と、駆動側のプーリ18とを介して、エンジンのクランクシャフト19によって回転駆動される。この場合は、クランクシャフト19の2回転に対してカムシャフト15が1回転するのと、ポンプカム14が3山のものであることから、前述の条件式における比の値tは1.5となる。
【0028】
図5の(a)に本発明の第5実施例としての燃料噴射装置の構成を示す。第5実施例の構成上の特徴の1つは、図2に示した第2実施例と同様に2本のデリバリパイプ6,7そのものを相互に接続する連結パイプ23を設けたことである。しかしながら第2実施例とは異なって、デリバリパイプ6,7上において連結パイプ23の端部を取り付ける位置を前端に近い位置というように限定しないで、最適位置を自由に選択することができる。第5実施例のいま1つの特徴は2つのポンプカム21及び22の相対的な位相が、運転中に同位相から逆位相までの範囲で変更可能になっていることである。これは、ポンプカム21,22の少なくとも一方のカム本体とカムシャフトとの間に、それ自体はエンジンにおいて周知のバルブタイミング調整機構のようなものを設けることによって可能になる。
【0029】
通常の運転状態においてはポンプカム21と22は互いに逆位相とされる。この場合の高圧ポンプ1,2とデリバリパイプ6,7の燃圧変動を図5の(b)に示している。デリバリパイプ6及び7は連結パイプ23によって相互に連結されているからそれらの内部の燃圧変動は略同期しており、高圧ポンプ1,2の発生する相互に逆位相の2つの脈動が干渉し合って相殺されることによって、デリバリパイプ6及び7のいずれにおいても燃圧変動の振幅が小さくなっている。つまり脈動が低く抑えられている。
【0030】
これに対して、図5の(c)に通常の運転状態においてポンプカム21及び22を同位相とした場合の高圧ポンプ1,2とデリバリパイプ6,7の燃圧変動が示されている。同位相であるために、2つの高圧ポンプ1,2の発生する吐出脈動が重畳してデリバリパイプ6及び7内の燃圧変動の振幅が大きくなっている。従って、図5の(d)に示したように、エンジン回転数が5000rpm以下の領域では同位相の場合に比べて逆位相の方がデリバリパイプ6,7内の燃圧変動は小さくなるが、例えば6000rpm付近において共振が起こった場合には、共振点の前後で逆位相の方が同位相よりも燃圧変動が大きくなる。第5実施例はこの性質に着目したもので、通常の運転状態ではポンプカム21及び22を逆位相とするが、共振点の前後では同位相とするように、ポンプカム21及び22の相対的な位相を運転状態に合わせて変化させる。
【0031】
それによって、第5実施例においてはデリバリパイプ6,7内の燃圧変動を、全ての運転領域において常に低く抑えることが可能になる。なお、この場合に高圧ポンプ1,2とデリバリパイプ6,7をそれぞれ連結する2本の高圧配管4,5の長さが同じであれば、前述のように単に共振点付近においてポンプカム21及び22の相対的な位相を逆位相から同位相へ切り換えることによって所期の効果が得られるが、2本の高圧配管4,5の間に長さの差がある場合には多少補正を加える必要がある。例えば、それらの間に0.1mだけの差があって、圧力波の伝播速度が890m/sである環境条件においては、2本の高圧配管4,5のうちの長い方が接続している高圧ポンプ1又は2の吐出タイミングが、他方のそれよりも0.1/890=0.000112〔s〕だけ早くなるように、2つのポンプカム21及び22の間に位相差を与えるとよい。
【0032】
図6の(a)に本発明の第6実施例としての燃料噴射装置と、そのトータルインピーダンスZを算出するための計算式を示す。第6実施例においても、2本のデリバリパイプ6,7の適所を連結パイプ23によって連結することにより、デリバリパイプ6及び7内の燃圧の脈動が相互に干渉して双方の燃圧変動が減少するように、連結パイプの内径及び長さを最適値に設定する。しかしながら、第6実施例は燃料噴射装置の構成に特徴があるというよりも、寧ろ、2本のデリバリパイプ6,7と、それらを接続するために設けられる連結パイプ23の内径及び長さを決定するための手法に特徴がある。なお、図6(a)においては第1の高圧ポンプ1と絞り部9を省略している。
【0033】
2本のデリバリパイプ6,7を連結パイプ23によって接続すると、それらの間で共振が発生する。これをインピーダンス法を用いて計算することにより、デリバリパイプ6,7の容積と、連結パイプ23の長さ及び内径について、それらが目標周波数以上の共振周波数をもたらすように設定する。図6の(b)には、この計算に使用する個々のインピーダンスを求めるための数式と、各数式に使用されている記号の意味が記載されている。また、図6の(c)には、連結パイプ23の内径〔mm〕と共振周波数〔Hz 〕との関係が線図として示されており、図6の(d)には、デリバリパイプ6,7の容積〔cc〕と共振周波数〔Hz 〕との関係が線図として示されている。
【0034】
一例として、デリバリパイプ6,7の容積がいずれも70ccであって、単一の連結パイプ23の長さが0.25mである燃料噴射装置においては、連結パイプ23の内径を8mmとすることにより、共振周波数を370Hz に設定することができるので、共振周波数を目標周波数の350Hz よりも高くすることができる。また、デリバリパイプ6及び7のそれぞれの容積を50cc以下にすることにより、共振周波数を目標周波数の350Hz よりも高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例のシステム構成図である。
【図2】本発明の第2実施例を示すものであって、(a)はシステム構成図、(b)はパイプの断面積比と共振周波数との関係を示す線図、(c)はパイプの長さと共振周波数との関係を示す線図である。
【図3】本発明の第3実施例を示すものであって、(a)はシステム構成図、(b)はパイプの長さと共振周波数との関係を示す線図である。
【図4】本発明の第4実施例のシステム構成図である。
【図5】本発明の第5実施例を示すものであって、(a)はシステム構成図、(b)は逆位相となる時の2つの高圧ポンプの吐出脈動と、相互に連結された2本のデリバリパイプ内の燃圧変動を示す線図、(c)は同位相となる時の2つの高圧ポンプの吐出脈動と、相互に連結された2本のデリバリパイプ内の燃圧変動を示す線図、(d)はエンジン回転数の変化に応じて変化する燃圧変動の程度を、逆位相と同位相の場合についてそれぞれ調べた結果を示す線図である。
【図6】本発明の第6実施例を示すものであって、(a)はシステム構成図とインピーダンス法による計算式、(b)は燃料噴射装置を構成する個々の部分のインピーダンスの計算式、(c)は連結パイプの内径と共振周波数との関係を示す線図、(d)はデリバリパイプの容積と共振周波数との関係を示す線図である。
【符号の説明】
1…第1の高圧ポンプ
2…第2の高圧ポンプ
4,5…高圧配管
6…第1のデリバリパイプ
7…第2のデリバリパイプ
8…燃料噴射弁
11,12…連結パイプ
13…ボリューム部
14…ポンプカム
21,22…楕円形のポンプカム
23…連結パイプ
Claims (3)
- 第1及び第2の高圧ポンプと、
それぞれ複数個の燃料噴射弁を備える管体として形成され、前記第1及び第2の高圧ポンプから吐出される燃料を前記複数個の燃料噴射弁へ分配して内燃機関内へ噴射させるために設けられた第1及び第2のデリバリパイプと、
前記第1及び第2の高圧ポンプを、それぞれ前記第1及び第2のデリバリパイプの一端部に接続する第1及び第2の高圧配管と、
前記第1及び第2のデリバリパイプの前記一端部に近い部分同士を接続する第1の連結パイプと、
前記第1及び第2のデリバリパイプの他端部に近い部分同士を接続する第2の連結パイプと、を備えていて、
前記第1及び第2の高圧ポンプの吐出タイミングが互いに半周期ずれていることを特徴とする燃料噴射装置。 - 第1及び第2の高圧ポンプと、
それぞれ複数個の燃料噴射弁を備える管体として形成され、前記第1及び第2の高圧ポンプから吐出される燃料を前記複数個の燃料噴射弁へ分配して内燃機関内へ噴射させるために設けられた第1及び第2のデリバリパイプと、
前記第1及び第2の高圧ポンプを、それぞれ前記第1及び第2のデリバリパイプの一端部に接続する第1及び第2の高圧配管と、
前記第1及び第2のデリバリパイプの前記一端部に近い部分同士を接続する連結パイプとを備えていると共に、
前記第1及び第2のデリバリパイプの内径が前記連結パイプの内径の1.33倍以下であるか、或いは、前記第1及び第2のデリバリパイプの断面積が前記連結パイプの断面積の1.78倍以下のいずれかであり、かつ
前記第1及び第2の高圧ポンプの吐出タイミングが互いに半周期ずれていることを特徴とする燃料噴射装置。 - 吐出タイミングを相対的に変更することができる第1及び第2の高圧ポンプと、
それぞれ複数個の燃料噴射弁を備える管体として形成され、前記第1及び第2の高圧ポンプから吐出される燃料を前記複数個の燃料噴射弁へ分配して内燃機関内へ噴射させるために設けられた第1及び第2のデリバリパイプと、
前記第1及び第2の高圧ポンプを、それぞれ前記第1及び第2のデリバリパイプの一端部に接続する第1及び第2の高圧配管と、
前記第1及び第2のデリバリパイプの各一部分同士を接続する連結パイプとを備えていると共に、
通常の運転状態においては前記第1及び第2の高圧ポンプの吐出タイミングを1/2周期ずらすことにより逆位相として相互に吐出脈動を相殺させるが、共振が発生する回転数とその付近においては前記第1及び第2の高圧ポンプの吐出タイミングを同位相とするように構成したことを特徴とする燃料噴射装置。
Priority Applications (1)
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