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JP4240771B2 - (メタ)アクリル酸エステルの製造方法 - Google Patents

(メタ)アクリル酸エステルの製造方法 Download PDF

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JP4240771B2 JP2000210506A JP2000210506A JP4240771B2 JP 4240771 B2 JP4240771 B2 JP 4240771B2 JP 2000210506 A JP2000210506 A JP 2000210506A JP 2000210506 A JP2000210506 A JP 2000210506A JP 4240771 B2 JP4240771 B2 JP 4240771B2
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広樹 後藤
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  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)
  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はアクリル酸エステル、またはメタクリル酸エステルの製造方法に関し、更に詳述すれば反応蒸留塔を用いて均一系触媒の存在下に副生成物の生成を抑制した状態で、高転化率でアクリル酸エステル、またはメタクリル酸エステルを製造し、かつ反応蒸留塔を安定に運転することができるアクリル酸エステルやメタクリル酸エステル(以下、両者を(メタ)アクリル酸エステルと表す。)の製造方法を提供することにある。
【0002】
【従来の技術】
(メタ)アクリル酸エステルは、塗料、接着剤等の製造原料として産業上重要な化合物である。これら(メタ)アクリル酸エステルの製造方法としては、アクリル酸又はメタクリル酸(以下、両者を(メタ)アクリル酸と表す。)とアルコールとを硫酸や強酸性イオン交換樹脂等のエステル化触媒の存在下に反応させる方法が知られている。
【0003】
エステル化触媒としてイオン交換樹脂を用いる方法は、得られる(メタ)アクリル酸エステルとエステル化触媒との分離が容易なことから反応工程の後処理を簡素化できること、イオン交換樹脂は腐食性が少ないので、製造装置を比較的安価な材質で構成することができ、このため製造装置コストを下げられること等の利点があり、総合的には硫酸をエステル化触媒として用いる方法よりも優れていると考えられている。
【0004】
イオン交換樹脂をエステル化触媒として用いる(メタ)アクリル酸エステルの製造方法としては、従来固定床式反応槽を用いて連続式またはバッチ式で(メタ)アクリル酸とアルコールとを反応させる方法が一般的である。
【0005】
このエステル化反応は平衡反応であるので、エステル化反応で生成する水を除いて平衡を(メタ)アクリル酸エステル側に向けることが行われており、この目的でn−ヘキサン等の共沸脱水剤を反応系に共存させたり、(メタ)アクリル酸に対するアルコールのモル比を大きくすることが従来行われている(特公昭61−4378号)。しかし、これらを合わせても十分な(メタ)アクリル酸の転化率は得られていないし、製造した(メタ)アクリル酸エステルから過剰に添加したアルコールを分離する必要があり、分離回収のために余分な用役が必要になる。
【0006】
反応及び精製の合理化の目的で、特開平6−298702号には、強酸性イオン交換樹脂を充填した反応槽の上下に蒸留部を設けた反応蒸留塔を用いて、メタクリル酸メチルを製造する技術が開示されている。しかし、この方法の場合も、以下に示す問題の解決には至っていない。即ち、反応蒸留塔を使用して(メタ)アクリル酸エステルを製造する場合、反応蒸留塔内では、エステル化反応と各成分の精留工程とが共存しており、運転条件の設定及び維持が複雑で連続運転において製品の純度が変動し易い等の問題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、その目的とするところは、反応蒸留装置を用いてアルコールと(メタ)アクリル酸から(メタ)アクリル酸エステルを製造する際に、副生成物が少なく、転化率が高く、かつ反応蒸留塔を安定に運転することができる(メタ)アクリル酸エステルの製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明は、以下に記載するものである。
【0009】
〔1〕 塔頂から塔底に向って順次 ( メタ ) アクリル酸及び ( メタ ) アクリル酸ブチルエステルが塔頂から溜出することを防止する ( メタ ) アクリル酸及び ( メタ ) アクリル酸ブチルエステルの濃縮部、反応部、( メタ ) アクリル酸及びブタノールが塔底から抜出されることを防止する ( メタ ) アクリル酸及びブタノールの回収部を形成してなる反応蒸留塔を用いて、前記反応蒸留塔の反応部上端から塔内に(メタ)アクリル酸を供給し、前記反応部下端から塔内にブタノールを供給し、エステル化反応触媒の存在下に反応部でエステル化反応をさせると共に、前記反応により得られる(メタ)アクリル酸ブチルエステルを反応蒸留塔底から、水を反応蒸留塔頂から連続的に取出す(メタ)アクリル酸ブチルエステルの製造方法において、反応部上端温度を塔内圧におけるブタノールの沸点以下に、反応部下端温度を塔内圧におけるブタノールの沸点以上に制御することを特徴とする(メタ)アクリル酸ブチルエステルの製造方法。
【0010】
【作用】
本発明者らは、(メタ)アクリル酸エステル製造用反応蒸留塔の運転において反応部上端と反応部下端との温度を制御することにより反応蒸留塔の運転が安定し、製品の純度が向上することを経験により発見した。そこで、(メタ)アクリル酸エステルをブチルアクリレートで代表させ、その製造時における蒸留塔の還流比を変化させた場合の、蒸留塔内の各段における液組成及び温度分布を、反応速度データ及び気液平衡データを用いて算出した。
【0011】
用いた反応蒸留塔のモデルを図2に示した。反応蒸留塔は理論段が30段で、アクリル酸(AA)の供給段は塔頂から数えて11段目、n−ブタノール(BOH)の供給段は塔頂から数えて20段目である。
【0012】
塔頂に連結した凝縮器で凝縮させた凝縮液を、油水分離器で水と油成分とに分離して油成分を塔頂に還流させると共に、前記分離した水を系外に抜出す。
【0013】
アクリル酸と、n−ブタノールの供給量は各0.4mol/Hrとした。また、反応蒸留塔内圧力を200Torrとした。
【0014】
還流比(R/D)を変化させたときの、各部の温度の計算結果を表1に示した。また、塔底缶出液の組成を表2に示した。なお、表中BAは、アクリル酸ブチルを表す。
【0015】
【表1】
Figure 0004240771
【0016】
【表2】
Figure 0004240771
【0017】
表1において、R/D=30〜9の場合、反応部上端温度(以下t1という)は82.6〜83.4℃であり、殆ど変化が無い。しかし、R/D=7になると、反応上端温度は急激に高くなる(t1=94.7℃)。また、反応部下端温度(以下t2という)は85.3〜86.7℃であり、殆ど変化が無いが、反応部下端温度と反応部中央部との温度差はR/Dが小さくなるにつれて大きくなる。
【0018】
一方、表2に於て、塔底缶出液中のアクリル酸ブチル含有量は、90.4mol%(R/D=30)から96.1mol%(R/D=9)と変化し、R/D=9のときのアクリル酸ブチル含有量が96.1mol%と一番高い。そして、R/D=7になると、急激にアクリル酸ブチル含有量は低下する。
【0019】
本発明者らは、上記検討結果に基づき本発明を完成するに至った。
【0020】
即ち、上記条件において缶出液中のBAの割合が93〜96mol%と高い運転を行うには、表2よりR/D=22〜9が好ましい。
【0021】
水及びBOHを主成分とする塔頂留出液をR/D=22〜9で還流させるには、上記条件においてはt1は82.6〜83.4℃の範囲に維持し、一方t2は85.5〜86.7℃の範囲に維持する必要があり、またこの場合では、反応部中央部の温度をt2以上に維持することが好ましい。
【0022】
塔内気圧が200Torrにおけるn−ブタノールの沸点が84.4℃であること、及び表1中の反応部上端と反応部下端の温度データを考慮すれば、上記各部位の温度は、アルコールの沸点を用いて、以下のように一般化できる。
【0023】
反応部上端温度≦アルコールの沸点
反応部下端温度≧アルコールの沸点
本発明者らは、上記結論をブチルアクリレート以外のメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート及びプロピル(メタ)アクリレート等の一般的な(メタ)アクリル酸エステル製造用の反応蒸留塔の運転条件にまで拡張し、本発明を完成したものである。
【0024】
特に、ブチルアクリレートの製造の場合は、上記要件に加えて、反応部中央部の温度が、反応部下端温度t2以上であることが好ましい。
【0025】
以下、図面を参照しながら本発明を詳細に説明する。
【0026】
【発明の実施の形態】
図1は、(メタ)アクリル酸エステルの製造に使用する反応蒸留塔の一例を示す概略構成図である。
【0027】
図1中、2は反応蒸留塔で、塔頂4から塔底6に向って順次、濃縮部8、反応部10、回収部12を形成している。前記濃縮部8と反応部10との間には原料のアルコール又は(メタ)アクリル酸のうち沸点の高い方及び均一系触媒を供給する上部供給部14が形成してあり、また前記反応部10と回収部12の間には原料のアルコール又は(メタ)アクリル酸のうち沸点の低い方を供給する下部供給部16が形成してある。なお、T1は上部供給部14に取付けられた上部温度センサー、T2は下部供給部16に取付けられた下部温度センサー、T3は反応部中央部15に取付けられた中央部温度センサーである。
【0028】
前記濃縮部8、反応部10、回収部12は通常用いられる蒸留塔と同一構造のもので、棚段塔構造、充填塔構造のいずれの構造も採用できる。具体的には、棚段塔の棚段としては、泡鐘トレイ、多孔板トレイ、バルブトレイ、バッフルトレイ等が例示できる。また、充填塔の充填物としては、スルーザパック(商標)等の規則充填物や、ラシヒリング、カスケードミニリング(商標)等の不規則充填物が例示できる。
【0029】
前記塔頂4には凝縮器18が連結してあり、ここで凝縮した凝縮液を油水分離器20に送り、ここで水を油成分から分離して油成分22を塔頂に還流させると共に、前記分離した水24を外部に放出させる。
【0030】
26は、塔底6に連結したリボイラーで塔底流出液を加熱し、塔底6に返送する。
【0031】
上記濃縮部、反応部、回収部の必要理論段数は目的とする製品の純度、反応時間等を勘案して決定するものであるが、通常濃縮部の理論段数は5〜20、反応部の理論段数は5〜20、回収部の理論段数は5〜20とすることが好ましい。
【0032】
反応蒸留塔の運転条件としては、反応部の液保有量が反応部内容積に対して容積比で0.01〜0.5とすることが好ましい。容積比が0.01未満の場合は、塔容積に対して十分な処理量とはいえず、処理効率が悪い。また、容積比が0.5を超える場合は、塔内において上昇する蒸気の通りが悪くなって、塔内圧力が上昇し、これによりリボイラーの温度が上昇したり、運転が不安定になる。
【0033】
塔底の液保有量は、平均滞留時間が60分間以下となるように制御することが好ましい。このように制御することにより、ミカエル反応付加物の生成を十分抑制することができる。
【0034】
本発明においては、反応部上端温度は、その操作圧力における原料(メタ)アクリル酸又はアルコールのうち低沸点の原料の沸点以下にするもので、特に低沸点原料の沸点よりも0.1〜10℃低い温度にすることが好ましい。また、反応部の下端温度は、その操作圧力におけるアルコールの沸点以上にするもので、特にアルコールの沸点よりも0.1〜10℃高い温度にすることが好ましい。このような温度になるようにリボイラーを加熱し、還流比を調節することにより、高転化率かつ安定に反応蒸留塔を運転することができる。
【0035】
上記反応蒸留塔2に供給する原料は、(メタ)アクリル酸、及びアルコールである。アルコールとしては、メタノール、エタノール、n−ブタノール、iso−ブタノール等の直鎖状、分岐状、または環状アルコールが好ましい。
【0036】
原料(メタ)アクリル酸と、アルコールとの供給割合は、モル比で0.8〜1.2が好ましく、より好ましくは0.9〜1.1、特に好ましくは1である。供給割合をこの範囲内に制御することにより、得られる製品の精製に要するエネルギーを削減でき、副生成物の生成を抑制できる。
【0037】
反応蒸留塔2には上記(メタ)アクリル酸、及びアルコール以外に、反応触媒として均一系触媒を供給する。均一系触媒は、反応蒸留塔内において原料の(メタ)アクリル酸及びアルコールに均一に溶解し、エステル化反応を促進させる酸性触媒である。均一系触媒としては、硫酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等が例示できる。
【0038】
均一系触媒の供給量は、原料(メタ)アクリル酸、アルコールの合計質量に対し、0.001〜30質量%が好ましく、0.001〜10質量%がより好ましい。均一系触媒の供給量が0.001質量%未満の場合、反応が円滑に進行し難くなり、また30質量%を超える場合は供給する触媒量に比例して反応速度が増大せず、不経済であるだけでなく、製品から触媒を回収するのに余分の労力を必要とするようになる。
【0039】
なお、上記均一系触媒に代えて本発明においては、イオン交換樹脂等の不均一系触媒を反応部内に充填した反応蒸留塔を使用することもできる。
【0040】
上記原料及び触媒の供給箇所に関しては、上部供給部14には、(メタ)アクリル酸及びアルコールのうち、沸点のより高い原料を供給する。均一系触媒は、沸点が高いので上部供給部14に供給することが好ましい。下部供給部16には(メタ)アクリル酸及びアルコールのうち、沸点のより低い原料を供給する。
【0041】
更に、上記供給する原料及び触媒以外に、エステル化反応により生成する水を系外に抜出すことを補助する目的で、水と共沸を起す脱水溶剤を反応蒸留塔に供給してもよい。脱水溶剤としては、n−ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、イソプロピルエーテル、メチル−tert−ブチルエーテル、ベンゼン、トルエン等が例示できる。
【0042】
次に、上記反応蒸留塔を用いてアクリル酸ブチルを製造する場合につき、説明する。
【0043】
上部供給部14には、原料のうち沸点がより高いアクリル酸を供給する。均一系触媒は沸点が高いので、上部供給部14に供給することが好ましい。下部供給部16には原料のうち、沸点がより低いn−ブタノールを供給する。
【0044】
反応部10内では、アクリル酸及びn−ブタノールの沸点の違いに基づき、アクリル酸は反応部10内を下方に移動し、またn−ブタノールは反応部10内を上方に移動する。これにより、両原料は、反応部10内において向流接触し、更に均一系触媒の作用を受けてアクリル酸ブチル及び水が合成される。
【0045】
生成したアクリル酸ブチルは、沸点が高いので、塔底6に向って回収部12内を移動する。この回収部12を設けることにより、アクリル酸、n−ブタノールが塔底6から抜出されることを防止する。
【0046】
塔底に至ったアクリル酸ブチルの一部は、取出し管28を通って取出され、残りはリボイラー26により加熱されてガス化し、塔底6に返送される。
【0047】
取出されるアクリル酸ブチルには、均一系触媒が含まれているが、この均一系触媒は水で抽出したり、蒸留操作により濃縮することにより、回収、再利用できる。回収された均一系触媒は反応部に返送され、再利用されることが好ましい。
【0048】
生成した水は、ブタノールとの共沸により濃縮部8を上昇して塔頂4に至る。更に、凝縮器18に到達し、ここで冷却されて凝縮後、油水分離器20で水24と油成分(n−ブタノール)22とに分離される。
【0049】
水24は系外に排出される。n−ブタノール(油成分22)は還流液として塔頂4に送られる。この濃縮部8を設けることにより、高沸点のアクリル酸、アクリル酸ブチルが塔頂から溜出する事を防止する。
【0050】
上記説明においては、アクリル酸ブチルの製造を例に用いて説明したが、同様にしてメタクリル酸ブチル等が製造できる。
【0051】
更に、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチルも同様にして製造できる。ただし、この場合は反応蒸留塔上部から、水、アルコール、アクリル酸エステルの混合物として抜出した後、蒸留操作によりアクリル酸エステル、アルコールを分離する。
【0052】
この場合も、上端反応部の温度をアルコール又は(メタ)アクリル酸の沸点のうち低い方の沸点を基準に、下端反応部の温度を、アルコールの沸点を基準に、上述のようにして決定する。
【0053】
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明する。
【0054】
【実施例】
実施例1
図1に示す反応蒸留塔を用いて、アクリル酸ブチルを連続的に製造した。
【0055】
反応蒸留塔は、ラシヒリングを用いた充填塔で、塔径4cmであった。濃縮部の理論段数は6段、反応部の理論段数は6段、回収部の理論段数は6段であった。また反応部容積は800mlであった。
【0056】
供給原料を表3に示した。
【0057】
【表3】
Figure 0004240771
【0058】
反応部圧力を100Torr、反応部上端温度を69℃、反応部下端温度を72℃、反応部中央部温度を74℃に保つように還流比(R/D)を調節した。なお、n−ブタノールの100Torrにおける沸点は69.7℃である。R/Dは、ほぼ10であった。
【0059】
結果を表4に示した。なお、表4中BBPは3−ブトキシ−プロピオン酸ブチル、BAPは3−アクリロキシ−プロピオン酸ブチルを表す。
【0060】
【表4】
Figure 0004240771
【0061】
比較例1
内容積2000mlの水分除去用の単蒸留が可能な撹拌器付反応缶を用いて、アクリル酸ブチルを製造した。
【0062】
原料は、実施例1と同じ量を供給し、反応缶内の液容量が800mlとなるように反応液を抜出した。反応缶中の圧力は70Torrとした(缶内の温度が実施例1の反応温度と同じ69〜72℃になるように圧力を調節した。)。得られた結果を表5に示した。
【0063】
【表5】
Figure 0004240771
【0064】
実施例1及び比較例1から明らかなように、本発明方法によればアクリル酸ブチルの収率が高く、しかもBBP及びBAPの副生が少ない。
【0065】
【発明の効果】
本発明方法によれば、(メタ)アクリル酸とアルコールとを反応蒸留塔内で向流接触させて(メタ)アクリル酸エステルを製造するに際し、反応部上端温度、及び反応部下端温度を供給原料の沸点を基準として決定し、これに基づき反応蒸留塔の運転をするようにしたので、転化率が高い状態で安定に運転ができ、外的条件の変動等により運転条件が乱れた場合も簡単に安定運転に復帰できる。更に、転化率が高く、副生成物の生成量が低いので、未反応原料の回収や製品中の不純物の精製工程が簡素化される。特に、アクリル酸ブチルを製造する場合は、反応部中央部温度を反応部下端温度以上にすることにより更に円滑な安定運転をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施に使用する反応蒸留塔の構成の一例を示す概略構成図である。
【図2】蒸留計算に用いた反応蒸留塔を示す概略構成図である。
【符号の説明】
2 反応蒸留塔
4 塔頂
6 塔底
8 濃縮部
10 反応部
12 回収部
14 上部供給部
15 反応部中央部
16 下部供給部
18 凝縮器
20 油水分離器
22 油成分
24 水
26 リボイラー
28 取出し管

Claims (1)

  1. 塔頂から塔底に向って順次 ( メタ ) アクリル酸及び ( メタ ) アクリル酸ブチルエステルが塔頂から溜出することを防止する ( メタ ) アクリル酸及び ( メタ ) アクリル酸ブチルエステルの濃縮部、反応部、( メタ ) アクリル酸及びブタノールが塔底から抜出されることを防止する ( メタ ) アクリル酸及びブタノールの回収部を形成してなる反応蒸留塔を用いて、前記反応蒸留塔の反応部上端から塔内に(メタ)アクリル酸を供給し、前記反応部下端から塔内にブタノールを供給し、エステル化反応触媒の存在下に反応部でエステル化反応をさせると共に、前記反応により得られる(メタ)アクリル酸ブチルエステルを反応蒸留塔底から、水を反応蒸留塔頂から連続的に取出す(メタ)アクリル酸ブチルエステルの製造方法において、反応部上端温度を塔内圧におけるブタノールの沸点以下に、反応部下端温度を塔内圧におけるブタノールの沸点以上に制御することを特徴とする(メタ)アクリル酸ブチルエステルの製造方法。
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