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JP4139801B2 - 情報記録媒体再生装置、及び情報記録媒体再生方法 - Google Patents

情報記録媒体再生装置、及び情報記録媒体再生方法 Download PDF

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Description

本発明は、光ディスクなどの情報記録媒体に記録されている情報を再生するための情報記録媒体再生装置、及び情報記録媒体再生方法に関するものである。
近年、画像情報や音声情報をはじめとする各種の情報がデジタル化されるにつれて、デジタル情報の量が飛躍的に増大してきた。これに伴い、大容量化・高密度化に適した光ディスク装置の開発が進められている。
一方、画像情報や音声情報の中には著作権によって保護されているものが多くあるため、不法コピーからこれらの著作物を保護するための仕組みが必要となる。こうした著作権保護のために、暗号鍵などの著作権保護のための付加情報を光ディスクなどに記録する技術が開発されてきている。
その一手法として、画像情報等の主情報を記録するピットの微小変位により付加情報を重畳して記録する技術が、例えば特許文献1及び2に開示されている。ここでは、特許文献1に開示されている技術について説明する。
図12に、特許文献1の技術によって光ディスク上に形成されるピットの状態を示す。この技術では、各ピット長及び各ピット間の間隔によって、暗号化されたオーディオデータが記録される。また、この技術では、各ピットPがトラックセンターTCに対して内外周方向に微少に変位して形成されており、この微少な変位によって、上記オーディオデータの暗号化を解除するキーデータが記録される。
図13に、上記のようにしてオーディオデータ及びキーデータが記録された光ディスクを再生する光ディスク装置130のブロック図を示す。
この光ディスク装置130において、スピンドルモータ132は、サーボ回路133の制御によって線速度一定の条件により光ディスク131を回転駆動する。
光ピックアップ134は、光ディスク131にレーザービームを照射するとともに、その戻り光を所定の受光素子により受光し、この受光素子の受光面における戻り光の光強度に応じて信号レベルが変化する高周波信号RFを出力する。この高周波信号RFは、光ディスク131に記録されたピットに対応して信号レベルが変化することになる。
さらに光ピックアップ134は、この戻り光の受光結果をいわゆるプッシュプル法により処理することより、光ディスク131の内外周方向について、レーザービーム照射位置に対するピットの位置に応じて信号レベルが変化するプッシュプル信号PPを生成する。また光ピックアップ134は、フォーカスエラー量に応じて信号レベルが変化するフォーカスエラー信号を生成して出力する。
サーボ回路133においては、このプッシュプル信号PPを帯域制限することにより、トラックセンターに対するレーザービーム照射位置のデトラック量に応じて信号レベルが変化するトラッキングエラー信号を生成し、このトラッキングエラー信号により光ピックアップ134をトラッキング制御する。またサーボ回路133は、フォーカスエラー信号により光ピックアップ34をフォーカス制御する。
ハイパスフィルタ(HPF)135は、プッシュプル信号PPの低周波数成分を抑圧することにより、このレーザービーム照射位置に対するピットの位置に応じて信号レベルが変化するプッシュプル信号PPより、トラックセンターに対するレーザービーム照射位置のデトラック量成分を除去し、これによりトラックセンターに対するピットの位置に応じて信号レベルが変化する変位検出信号HPPを検出する。
2値化回路136は、高周波信号RFを所定の基準レベルにより2値化し、2値化信号BDを作成する。
PLL回路137は、この2値化信号BDを基準にして動作することにより、高周波信号RFのチャンネルクロックCCKを再生する。
EFM復調回路138は、チャンネルクロックCCKを基準にして2値化信号BDを順次ラッチすることにより、EFM変調信号S2に対応する再生データを再生する。さらにEFM復調回路138は、この再生データをEFM復調した後、フレームシンクを基準にしてこの復調データを8ビット単位で区切り、生成した8ビット単位の信号をデインターリーブしてECC(Error Correcting Code)回路139に出力する。
ECC回路139は、このEFM復調回路138の出力データに付加された誤り訂正符号に基づいて、この出力データを誤り訂正処理し、これにより暗号化されてなるオーディオデータを再生して出力する。
暗号処理回路140は、鍵検出回路142で検出したキーデータKYによりこのオーディオデータの暗号化を解除して出力する。
ディジタルアナログ変換回路(D/A)141は、この暗号処理回路140より出力されるオーディオデータD1をディジタルアナログ変換処理し、アナログ信号でなるオーディオ信号S4を出力する。
鍵検出回路142は、チャンネルクロックCCK、2値化信号BDを基準にして変位検出信号HPPを処理することにより、キーデータKYを再生して暗号処理回路140に出力する。
ここで、1つ1つのピットより得られる変位検出信号HPPにおいては、ピットの変位が微小なことから、SN比が著しく劣化したものとなってしまう。
そこで、鍵検出回路142では、変位検出信号HPPを1フレーム分累積して2値識別している。これにより、高いSN比により2値識別してキーデータKYを再生することができる。その結果、発見困難に記録したキーデータKYを確実に再生することができる。
特開2000−195049号公報(公開日2000年7月14日) 特開2002−203374号公報(公開日2002年7月19日)
上記特許文献1の技術においては、光ディスク装置130による光ディスク131の再生の際、光ピックアップ134のフォーカス点のずれや、光ディスク131のチルト等の外乱により、プッシュプル信号PP及び変位検出信号HPPの信号品質は変化する。
外乱が大きい場合には、信号品質が低下するので、変位検出信号HPPにおいて十分なSN比を得るために、累積処理において長時間の累積が必要となる。一方、外乱が小さい場合には、信号品質は良好となるので、比較的短時間の累積でも十分なSN比の変位検出信号HPPを得ることができる。
ここで、オーディオデータの暗号化を解除にはキーデータKYが必須であるため、どのような状況においても常に正しいキーデータKYを得る必要がある。
そこで、上記特許文献1の技術では、通常の再生において考え得る最悪の信号品質の状態を想定し、この状態においても正しいキーデータKYを得ることができるように、累積処理において1フレーム分という十分長い時間の累積を行うように設定しているものと考えられる。
ところが、このように設定した場合、実際の信号品質が良好なときには、必要以上に長時間の累積を行うことになってしまう。累積処理の時間の長さは、再生処理を開始してから実際に音声等が出力されるまでのタイムラグの長さなどと相関があるため、可能な限り短い方が好ましい。したがって、累積処理に要する時間を、正しいキーデータKYを得るために必要最小限の時間に短縮することが望まれる。
そのためには、まず、検出した情報の確度と、処理時間とを調整することができる必要がある。さらに、再生信号の信号品質に応じて、より短い時間で、所定の確度をもった情報の検出を行うことができることが望ましい。本発明は、このような目的を実現できる情報記録媒体再生装置及び情報記録媒体再生方法を提供する。
本発明に係る情報記録媒体再生装置は、情報記録媒体に記録されている記録情報を再生する情報記録媒体再生装置において、前記情報記録媒体を読み取ることにより、前記記録情報に応じて変調された再生信号を検出する信号検出手段を備え、前記再生信号は、前記記録情報に付加されている同一内容の複数の付加情報の繰り返しに応じて変調されたものであり、前記再生信号における前記付加情報に対応する1又は複数の特定部分を用いて、前記記録情報の検出結果としての検出情報を生成するとともに、その検出情報の生成のために用いる前記特定部分の再生信号の変調量の積分時間が長くなるほど、前記検出情報の確度が高くなる情報検出手段と、前記情報検出手段において有効な検出情報を生成するために用いる前記特定部分の再生信号の変調量の積分時間を、前記記録情報が再生されている場合に決定する制御手段とを備えることを特徴としている。
本発明に係る情報記録媒体再生装置は、上記の情報記録媒体再生装置において、前記再生信号の信号品質を評価する信号品質評価手段をさらに備え、前記制御手段は、前記信号品質評価手段の評価結果に基づいて、前記制御を行うことが望ましい。
本発明に係る情報記録媒体再生装置は、上記の情報記録媒体再生装置において、前記信号品質評価手段は、前記検出情報に対する誤り訂正処理の結果に基づいて、前記評価を行うものであってもよい。
本発明に係る情報記録媒体再生装置は、上記の情報記録媒体再生装置において、前記積分時間が予め定めた値以上であり、かつ、前記信号品質評価手段の評価結果が予め定めた品質未満である場合に、適正な再生が不能である旨を報知する報知手段を備えることが望ましい。
本発明に係る情報記録媒体再生装置は、上記の情報記録媒体再生装置において、前記再生信号は、同一ビットパターンからなる複数の情報単位の繰り返しに応じて変調されたものであり、前記情報検出手段は、前記複数の情報単位の間において互いに対応するビットごとに再生信号の変調量を積分する積分手段と、各ビットに対応する積分結果に基づいて、検出情報の対応するビットを生成する情報生成手段とを備え、前記制御手段は、前記積分手段における積分に用いる情報単位の数によって前記制御を行うものであってもよい。
本発明に係る情報記録媒体再生装置は、上記の情報記録媒体再生装置において、前記検出情報の有効/無効を判定する検出結果判定手段をさらに含み、前記積分に用いる情報単位の数を、所定の上限値まで1つずつ増やしながら、前記情報検出手段による検出情報の生成と前記検出結果判定手段による有効/無効の判定とを繰り返し、前記情報単位の数が前記上限値に達する以前に、前記情報検出手段が生成した検出情報を前記検出結果判定手段が有効と判定した場合に、前記制御手段は、当該検出情報の出力を行うものであってもよい。
本発明に係る情報記録媒体再生装置は、上記の情報記録媒体再生装置において、前記検出結果判定手段は、前記検出情報に対する誤り訂正処理の結果に基づいて、前記判定を行うものであってもよい。
あるいは、本発明に係る情報記録媒体再生装置は、上記の情報記録媒体再生装置において、前記検出結果判定手段は、各ビットに対応する積分結果のばらつきに基づいて、前記判定を行うものであってもよい。
本発明に係る情報記録媒体再生装置は、上記の情報記録媒体再生装置において、前記情報検出手段が検出情報の生成に用いた情報単位の数が予め定めた値以上であり、かつ、前記検出結果判定手段の判定結果が無効である場合に、適正な再生が不能である旨を報知する報知手段を備えることが望ましい。
本発明に係る情報記録媒体再生装置は、上記の情報記録媒体再生装置において、前記再生信号は、情報記録媒体に形成されているピット又はマークの微少変位によって記録された記録情報に応じて変調されたものであってもよい。
また、本発明の情報記録媒体再生方法は、情報記録媒体に記録されている記録情報を再生する情報記録媒体再生方法において、前記情報記録媒体を読み取ることにより、前記記録情報に応じて変調された再生信号を検出する信号検出処理を含んでおり、前記再生信号は、前記記録情報に付加されている同一内容の複数の付加情報の繰り返しに応じて変調されたものであり、前記再生信号における前記付加情報に対応する1又は複数の特定部分を用いて、前記記録情報の検出結果としての検出情報を生成するとともに、その検出情報の生成のために用いる前記特定部分の再生信号の変調量の積分時間が長くなるほど、前記検出情報の確度が高くなる情報検出手段情報検出処理と、前記情報検出処理において有効な検出情報を生成するために用いる前記特定部分の再生信号の変調量の積分時間を、前記記録情報が再生されている場合に決定する制御処理とを含んでいることを特徴としている。
本発明に係る情報記録媒体再生方法は、上記の情報記録媒体再生方法において、前記再生信号は、同一ビットパターンからなる複数の情報単位の繰り返しに応じて変調されたものであり、前記情報検出処理は、前記複数の情報単位の間において互いに対応するビットごとに前記再生信号の変調量を積分し、その積分結果に基づいて検出情報を生成する処理であり、前記制御処理は、前記積分に用いる情報単位の数によって、前記制御を行う処理であることが望ましい。
本発明に係る情報記録媒体再生方法は、上記の情報記録媒体再生方法において、さらに、前記検出情報の有効/無効を判定する検出結果判定処理を含み、前記積分に用いる情報単位の数を、所定の上限値まで1つずつ増やしながら、前記情報検出処理と前記検出結果判定処理とを繰り返し、前記情報単位の数が前記上限値に達する以前に、前記情報検出処理で生成した検出情報を前記検出結果判定処理で有効と判定した場合に、前記制御処理で、当該検出情報の出力処理を行うことが望ましい。
本発明に係る情報記録媒体再生方法は、上記の情報記録媒体再生方法において、情報検出処理と検出結果判定処理とを予め定めた回数繰り返し、検出結果判定処理の判定結果がなおも無効であった場合に、適正な再生が不能である旨の報知を行う報知処理を含むことが望ましい。
本発明に係る情報記録媒体再生装置は、以上のように、情報記録媒体に記録されている記録情報を再生する情報記録媒体再生装置において、前記情報記録媒体を読み取ることにより、前記記録情報に応じて変調された再生信号を検出する信号検出手段を備え、前記再生信号は、前記記録情報に付加されている同一内容の複数の付加情報の繰り返しに応じて変調されたものであり、前記再生信号における前記付加情報に対応する1又は複数の特定部分を用いて、前記記録情報の検出結果としての検出情報を生成するとともに、その検出情報の生成のために用いる前記特定部分の再生信号の変調量の積分時間が長くなるほど、前記検出情報の確度が高くなる情報検出手段と、前記情報検出手段において有効な検出情報を生成するために用いる前記特定部分の再生信号の変調量の積分時間を、前記記録情報が再生されている場合に決定する制御手段とを備えるものである。
それゆえ、本発明に係る情報記録媒体再生装置では、信号検出手段が、情報記録媒体を読み取ることにより、その情報記録媒体に記録されている記録情報に応じて変調された再生信号を検出する。
前記再生信号は、前記記録情報に付加されている同一内容の複数の付加情報の繰り返しに応じて変調されたものである。
そして、情報検出手段が、再生信号における前記付加情報に対応する1又は複数の特定部分を用いて記録情報の検出結果としての検出情報を生成する。再生信号の特定部分とは、時系列の再生信号における時間的な部分を指す。この情報検出手段は、検出情報の生成のために用いる特定部分の再生信号の変調量の積分時間が長くなるほど、検出情報の確度が高く設定なるようになっている。
したがって、検出情報をより正確なものとするには、上記再生信号の変調量の積分時間を長くとればよいことになる。しかし、上記再生信号の変調量の積分時間が長くなると、情報検出手段における処理時間が長くなり、その結果、再生のための処理を開始してから、実際に再生された情報が出力されるまでの時間が長くなってしまう。
そこで、本発明に係る情報記録媒体再生装置では、制御手段が、情報検出手段において有効な検出情報を生成するために用いる特定部分の再生信号の変調量の積分時間を、前記記録情報が再生されている場合に決定するようになっている。有効な検出情報とは、検出情報に基づいて実行されるべき後段の処理において、有効なものとして取り扱われる検出情報を指す。これにより、検出情報の確度と、処理時間とを調整することができるようになり、適切な調整を行うことにより、検出情報について所定の確度を維持しつつ、処理時間の短縮を図ることができる。
また、本発明の情報記録媒体再生方法は、以上のように、情報記録媒体に記録されている記録情報を再生する情報記録媒体再生方法において、前記情報記録媒体を読み取ることにより、前記記録情報に応じて変調された再生信号を検出する信号検出処理を含んでおり、前記再生信号は、前記記録情報に付加されている同一内容の複数の付加情報の繰り返しに応じて変調されたものであり、前記再生信号における前記付加情報に対応する1又は複数の特定部分を用いて、前記記録情報の検出結果としての検出情報を生成するとともに、その検出情報の生成のために用いる前記特定部分の再生信号の変調量の積分時間が長くなるほど、前記検出情報の確度が高くなる情報検出手段情報検出処理と、前記情報検出処理において有効な検出情報を生成するために用いる前記特定部分の再生信号の変調量の積分時間を、前記記録情報が再生されている場合に決定する制御処理とを含んでいる方法である。
それゆえ、本発明の情報記録媒体再生方法によれば、信号検出処理、情報検出処理、および時間幅制御処理のそれぞれにおいて、本発明の信号検出手段、情報検出手段、および制御手段のそれぞれと同一の機能が実現されているので、本発明の情報記録媒体再生装置と同様の作用効果を得ることができる。
本発明に係る情報記録媒体再生装置では、さらに、信号品質評価手段が再生信号の信号品質を評価し、制御手段が、信号品質評価手段の評価結果に基づいて、上記再生信号の変調量の積分時間の制御を行う。
一般に、再生信号の信号品質が低下すると、情報検出手段により生成される検出情報の確度も低下する傾向にあり、信号品質が向上すると、情報検出手段により生成される検出情報の確度も向上する傾向にある。
そこで、上記のように信号品質評価手段の評価結果に基づいて、上記再生信号の変調量の積分時間の制御を行うことにより、信号品質が低い場合には上記再生信号の変調量の積分時間を長くして検出情報の確度を維持し、信号品質が高い場合には上記再生信号の変調量の積分時間を短くして所要時間を短縮する、といった制御が可能になる。これにより、再生信号の信号品質に応じて、より短い時間で、所定の確度をもった検出情報の生成を行うことができるようになる。
本発明に係る情報記録媒体再生装置では、上記信号品質評価手段が、情報検出手段の生成した検出情報に対する誤り訂正処理の結果に基づいて、信号品質の評価を行う。
誤り訂正符号の付された情報が情報記録媒体に記録されておれば、検出情報に対して誤り訂正処理を施すことにより、再生信号の信号品質を評価することができる。すなわち、誤り訂正箇所が多い、あるいは誤り訂正不能であるような場合には信号品質は低く、誤り訂正箇所が少ない場合には信号品質は高いことになる。これにより、容易に信号品質の評価を行うことができる。
本発明に係る情報記録媒体再生装置は、上記の情報記録媒体再生装置において、前記積分時間が予め定めた値以上であり、かつ、前記信号品質評価手段の評価結果が予め定めた品質未満である場合に、適正な再生が不能である旨を報知する報知手段を備えることが望ましい。
本発明に係る情報記録媒体再生装置では、さらに、報知手段が、上記再生信号の変調量の積分時間が予め定めた値以上であり、かつ、信号品質評価手段の評価結果が予め定めた品質未満である場合に、適正な再生が不能である旨を報知する。報知は、例えば、表示や音声などによって行えばよい。
これにより、当該情報記録媒体再生装置の利用者は、情報記録媒体側の問題等により適正な再生が不能であることを認識することができる。したがって、装置異常や操作ミスなどと利用者が誤解するのを防ぐことができる。
本発明に係る情報記録媒体再生装置では、信号検出手段の検出する再生信号は、同一ビットパターンからなる複数の情報単位の繰り返しに応じて変調されたものであり、情報検出手段は、各情報単位における互いに対応するビットごとに再生信号の変調量を積分する積分手段と、各ビットに対応する積分結果に基づいて、検出情報の対応するビットを生成する情報生成手段とを備える。そして、制御手段は、積分手段における積分に用いる情報単位の数によって上記再生信号の変調量の積分時間の制御を行う。
変調量を積分することにより、情報生成手段において検出情報を生成するための基礎となる信号量を増大させることができる。また、変調量を積分することにより、変調量のばらつきを平均化する作用が得られるので、情報生成手段において検出情報を生成するための基礎となる信号のSN比を増加させることができる。
これにより、変調量が微少であっても、比較的確度の高い検出情報の生成が可能になるとともに、検出情報を生成するために用いる特定部分の再生信号の変調量の積分時間、つまり、積分手段における積分に用いる情報単位の数に応じて、検出情報の確度を容易に調整することができる。
本発明に係る情報記録媒体再生装置は、上記の情報記録媒体再生装置において、前記検出情報の有効/無効を判定する検出結果判定手段をさらに含み、前記積分に用いる情報単位の数を、所定の上限値まで1つずつ増やしながら、前記情報検出手段による検出情報の生成と前記検出結果判定手段による有効/無効の判定とを繰り返し、前記情報単位の数が前記上限値に達する以前に、前記情報検出手段が生成した検出情報を前記検出結果判定手段が有効と判定した場合に、前記制御手段は、当該検出情報の出力を行うものであってもよい。
本発明に係る情報記録媒体再生装置では、さらに、検出結果判定手段が、情報検出手段の生成した検出情報の有効/無効を判定する。この検出結果判定手段は、例えば、上述したような再生信号の信号品質を評価することによって、検出情報の有効/無効を判定すればよい。
そして、前記積分に用いる情報単位の数を、所定の上限値まで1つずつ増やしながら、前記情報検出手段による検出情報の生成と前記検出結果判定手段による有効/無効の判定とを繰り返し、前記情報単位の数が前記上限値に達する以前に、前記情報検出手段が生成した検出情報を前記検出結果判定手段が有効と判定した場合に、前記制御手段は、当該検出情報の出力を行う。
これにより、情報検出手段の生成した検出情報が有効となるまで、検出情報の生成のために用いる情報単位の総数を増やしていけばよいことになるため、有効な検出情報をほぼ最短時間で生成することができる。
本発明に係る情報記録媒体再生装置では、上記検出結果判定手段が、検出情報に対する誤り訂正処理の結果に基づいて、上記検出情報の有効/無効の判定を行う。
誤り訂正符号の付された情報が情報記録媒体に記録されておれば、検出情報に対して誤り訂正処理を施すことにより、その検出情報の有効/無効を判定することができる。すなわち、誤り訂正不能な検出情報などは無効なものであり、誤り訂正可能な検出情報などは有効なものとなる。これにより、容易に検出情報の有効/無効を判定することができる。
本発明に係る情報記録媒体再生装置では、上記検出結果判定手段が、各ビットに対応する積分結果のばらつきに基づいて、上記検出情報の有効/無効の判定を行う。
積分結果のばらつくのはノイズの影響であると考えられる。したがって、積分結果のばらつきが大きければ、それに基づいて生成された検出情報もノイズの影響を大きく受けており、確度が低いと考えられる。このような場合には、その検出情報を無効と判定することができる。逆に、積分結果のばらつきが小さければ、それに基づいて生成された検出情報もノイズの影響が小さく、確度は高いと考えられる。このような場合には、その検出情報を有効と判定することができる。これにより、容易に検出情報の有効/無効を判定することができる。
本発明に係る情報記録媒体再生装置では、さらに、上記情報検出手段が検出情報の生成に用いた情報単位の数が予め定めた値以上であり、かつ、検出結果判定手段の判定結果が無効である場合に、報知手段が、適正な再生が不能である旨を報知する。報知は、例えば、表示や音声などによって行えばよい。
これにより、当該情報記録媒体再生装置の利用者は、情報記録媒体側の問題等により適正な再生が不能であることを認識することができる。したがって、装置異常や操作ミスなどと利用者が誤解するのを防ぐことができる。
本発明に係る情報記録媒体再生装置では、信号検出手段の検出する再生信号は、情報記録媒体に形成されているピット又はマークの微少変位によって記録された記録情報に応じて変調されたものである。この場合、一般に、変調量は微少となるが、情報検出手段において、検出情報の生成のために用いる特定部分の再生信号の変調量の積分時間を調節することにより、確度の高い検出情報の生成が可能になる。
本発明に係る情報記録媒体再生方法は、上記の情報記録媒体再生方法において、前記再生信号は、同一ビットパターンからなる複数の情報単位の繰り返しに応じて変調されたものであり、前記情報検出処理は、前記複数の情報単位の間において互いに対応するビットごとに前記再生信号の変調量を積分し、その積分結果に基づいて検出情報を生成する処理であり、前記制御処理は、前記積分に用いる情報単位の数によって、前記制御を行う処理であることが望ましい。
本発明に係る情報記録媒体再生方法では、再生信号は、情報記録媒体から読み取った、同一ビットパターンからなる複数の情報単位の繰り返しに応じて変調されたものである。
そして、情報検出処理では、再生信号における各情報単位を用い、各情報単位における互いに対応するビットごとに再生信号の変調量を積分し、その積分結果に基づいて各ビットに対応する検出情報を生成する。このように変調量を積分することにより、検出情報を生成するための基礎となる信号量を増大させることができる。また、変調量を積分することにより、変調量のばらつきを平均化する作用が得られるので、検出情報を生成するための基礎となる信号のSN比を増加させることができる。
本発明に係る情報記録媒体再生方法は、上記の情報記録媒体再生方法において、さらに、前記検出情報の有効/無効を判定する検出結果判定処理を含み、前記積分に用いる情報単位の数を、所定の上限値まで1つずつ増やしながら、前記情報検出処理と前記検出結果判定処理とを繰り返し、前記情報単位の数が前記上限値に達する以前に、前記情報検出処理で生成した検出情報を前記検出結果判定処理で有効と判定した場合に、前記制御処理で、当該検出情報の出力処理を行うことが望ましい。
また、検出結果判定処理では、情報検出処理において生成した検出情報の有効/無効を判定する。この検出結果判定処理では、例えば、上述したような再生信号の信号品質を評価することによって、検出情報の有効/無効を判定すればよい。
そして、前記積分に用いる情報単位の数を、所定の上限値まで1つずつ増やしながら、前記情報検出処理と前記検出結果判定処理とを繰り返し、前記情報単位の数が前記上限値に達する以前に、前記情報検出処理で生成した検出情報を前記検出結果判定処理で有効と判定した場合に、前記制御処理で、当該検出情報の出力処理を行う。
これにより、情報検出処理において生成した検出情報が有効となるまで、検出情報の生成のために用いる情報単位の総数を増やしていけばよいことになるため、有効な検出情報をほぼ最短時間で生成することができる。
本発明に係る情報記録媒体再生方法では、さらに、情報検出処理と検出結果判定処理とを予め定めた回数繰り返し、検出結果判定処理の判定結果がなおも無効であった場合に、適正な再生が不能である旨の報知を行う報知処理を含む。報知は、例えば、表示や音声などによって行えばよい。
これにより、当該情報記録媒体再生方法を実行する利用者に対して、適正な再生が不能であることを認識させることができる。したがって、装置異常や操作ミスなどと利用者が誤解するのを防ぐことができる。
本発明の実施の一形態について図1から図11に基づいて説明すると以下の通りである。
まず、光ディスク上に形成したピットの微少変位による情報の記録・再生について図8から図11に基づいて説明する。この光ディスクは、例えば、CDやDVD、高精細デジタルビデオディスク等であり、特に、暗号鍵を用いた、信頼性の高い著作権保護が可能なものを想定する。
なお、ピットの微小変位の方向としては、光ディスクのトラックに沿った方向(タンジェンシャル方向)と、トラックに垂直な方向(ラジアル方向)とが考えられるが、ここでは、ラジアル方向の変位を想定して説明する。
本実施形態の光ディスクには、情報を記録するための多数のピットが形成される。記録される情報としては、各ピットの長さ及び各ピット間の間隔の長さによって記録される主情報と、各ピットのトラックセンターに対するラジアル方向の微少変位によって記録される付加情報とがある。ここでは、主情報が、暗号化された音声情報や画像情報などの情報であり、付加情報が主情報を復号するための暗号鍵情報であるものとする。なお、主情報及び付加情報は、誤り訂正回路によって誤り訂正が可能となるように、誤り訂正符号により符号化された情報であるものとする。
図8に、光ディスク上でのデータフォーマットを示す。光ディスクに記録される主情報は、それぞれが主情報の誤り訂正処理単位である(N+1)個のECCブロック(BLOCK)に分割されている。1ECCブロック(ECC: Error Control Code(エラー訂正符号))は、(Ns+1)個のセクタ(SECTOR)からなっている。1セクタは、(Nf+1)個のフレーム(FRAME)からなっている。さらに、1フレームは、(Nm+1)個の主情報ビット(BIT)からなっている。この1フレームに含まれる主情報の情報量は、記録密度によって異なるが、例えば、数万ビット程度となる。
一方、付加情報は、主情報よりも低密度に記録されている。つまり、付加情報の1ビットは、主情報の1ビットよりも、光ディスク上において長い部分に記録されている。付加情報は、(Nb+1)個の付加情報ビット(BIT)からなる情報であり、この(Nb+1)個のビットが付加情報の1フレームを構成しているとともに、付加情報の誤り訂正単位となっている。よって、1または複数のフレーム(特定部分)毎に、付加情報が検出される。また、この場合、付加情報検出のための情報単位はフレームである。
また、ここでは、主情報の1フレームの長さと、付加情報の1フレームの長さとが一致しているものとする。
付加情報の情報量は、記録すべき暗号鍵の情報量によって定まる。主情報の暗号化方式としては、例えば、DES(Data Encryption Standard)、Triple DES、AES(Advanced Encryption Standard)などの一般的なものを用いることができる。これらの暗号化方式における暗号鍵の情報量は、DESでは56ビット、Triple DESでは168ビット、AESでは128から256ビットとなっている。これらに誤り訂正用の冗長ビットとして数十ビットが付加されて付加情報が構成されるので、付加情報の情報量は数十ビットから数百ビット程度となる。
主情報と付加情報を比較すると、例えば、主情報の1フレーム当たりの情報量(Nm+1)=8000ビット、付加情報の1フレーム当たりの情報量(Nb+1)=80ビットの場合を想定すると、主情報は付加情報の100倍の密度で記録されていることになり、光ディスク上における主情報の100ビット分が付加情報の1ビット分に対応することになる。
なお、以下では、主に付加情報に注目して説明する。そのため、特に断らずに「フレーム」又は「ビット」と記した場合には、それぞれ付加情報のフレーム及びビットを意味するものとする。
付加情報は、それを構成するビット「0」又は「1」が、そのままラジアル方向の微少変位に対応付けられて記録されるのではなく、変調処理されて記録される。変調処理せずに記録すると、例えば、付加情報の各ビットが全て「0」又は「1」の場合、全てのピットがトラックセンターに対して同じ側に変位して形成されることになる結果、読み取りの際にはトラックセンターの位置が不明確になり、ピットがトラックセンターに対してどちら側に変位して形成されているのかを検出することが困難になる。このような不都合を避けるために、付加情報は変調処理されて記録される。
したがって、変調処理では、全てのピットが同じ側に変位して形成されることがないようにする必要がある。これは、付加情報を記録する際の信号に直流成分をもたせないように変調を加えることに相当する。このように直流成分をもたせないような変調方式としては、種々のものが知られており、その一例を示すと、FM、MFM、PE(Phase Encoding)、EFM、(1,7)RLL、(2,7)RLLなどがある。
ここでは、復調処理が簡単なPE方式(位相コード化方式)によって付加情報が変調処理されて記録されているものとする。PE方式では、付加情報のビット「0」を、2チャネルビット(Channel bit)"10"に置き換え、付加情報のビット「1」を、2チャネルビット"01"に置き換える。そして、チャネルビット"0"及び"1"は、光ディスク上において、トラックセンターに対するラジアル方向の微少変位によって記録される。例えば、チャネルビット"0"は光ディスクの内周側へのピットの変位に対応し、チャネルビット"1"は外周側へのピットの変位に対応する。
図9にピットの配置を模式的に示す。1チャネルビットは複数のピットP…により構成される。図9では、チャネルビット"1"を構成するピットP…は、トラックセンターTCに対しピットの中心PCが、ΔXだけ外周側(図9中上側)へ変位しており、チャネルビット"0"を構成するピットP…は、ΔXだけ内周側(図9中下側)へ変位している。変位量ΔXの大きさとしては、通常の顕微鏡等で観察しても、変位が観測されない程度に十分小さい値、例えば、5〜10nm程度に設定される。
次に、図10のブロック図に基づき、上記のように主情報及び付加情報が記録された光ディスク14を再生する再生装置30の構成及びその信号処理について説明する。なお、図10に示す再生装置30は、本発明に係る再生装置20(後述する図1参照)の前提となるものである。
再生装置30は、ピックアップ2、検出回路3、主情報処理回路4、復号回路5、伸張回路6、制御回路11、積分回路12、及び誤り訂正回路13を備えている。
光ディスク14は、図示しないスピンドルモータにより回転される。ピックアップ2は、光ディスク14に光ビームを照射し、その反射光を光電変換して再生信号として検出回路3に対して出力する。検出回路3は、この再生信号から種々の信号を検出する。検出回路3は、検出した信号のうち、高周波信号RFを主情報処理回路4に出力し、プッシュプル信号PPを積分回路12に出力する。
主情報処理回路4は、高周波信号RFを処理することにより、暗号化された音声情報や画像情報である主情報DTを検出し、復号回路5に対して出力する。同時に、主情報処理回路4は、高周波信号RFに基づいてECCブロック、セクタ、フレームの先頭位置を検出し、この先頭位置を示す先頭位置信号SCを生成し、制御回路11に対して出力する。
検出回路3の検出したプッシュプル信号PPは、トラッキングサーボにも利用される信号であるが、ピットのラジアル方向の変位を、信号の変調量として検出可能なので、付加情報の検出にも用いられる。なお、図10では、サーボ信号処理のブロックは省略しており、プッシュプル信号PPを処理するブロックとしては付加情報の処理に関連する部分のみを記載している。
積分回路12は、プッシュプル信号PPを積分処理する。この積分処理は、付加情報のビットごとに行われる。そして、積分回路12は、各ビットの積分処理の結果をそれぞれ2値化することにより「0」又は「1」の2値化データを生成し、この2値化データを誤り訂正回路13に出力する。
なお、積分回路12では、プッシュプル信号PPをA/D変換して処理する。したがって、積分回路12における積分処理は、A/D変換器によりプッシュプル信号PPをサンプリングすることによって得られたデジタルデータ(プッシュプルデータ)を積算(累積)していくことを意味する。
この積分処理により、図9に示したピットP…の変位量ΔXが微小な値であっても、付加情報を検出するための信号量を増大させることができる。また、この積分処理は、各ピットP…の変位量ΔXのばらつきを平均化する作用があるので、付加情報を検出するための信号のSN比を増加させることができる。
誤り訂正回路13は、積分回路12から順次出力される1フレーム分の上記2値化データの並び(ビット列)に対して所定の誤り訂正処理を施し、付加情報としての暗号鍵情報KYを生成し、復号回路5に対して出力する。
制御回路11は、主情報処理回路4からの先頭位置信号SCに基づいて、積分回路12における積分処理の制御を行う。
復号回路5は、誤り訂正回路13から出力される暗号鍵情報KYを用いて、主情報処理回路4から出力される主情報DTの復号処理を行う。復号回路5によって復号された情報は、伸張回路6に送られて伸張処理が施され、もとの音声情報や画像情報となる。
図11(a)〜(e)に基づいて、制御回路11の制御のもとに積分回路12において行われる積分処理、及びその結果に基づいて行われるその後の処理について説明する。
再生すべき付加情報の各ビットが図11(a)に示す値であるとする。すなわち、ビット0(BIT 0)が「0」、ビット1(BIT 1)が「1」、ビット2(BIT 2)が「1」、ビットNb(BIT Nb)が「0」であるものとする。このビット0からビットNbによって1フレームが構成されている。
再生装置20が再生処理を開始すると、制御回路11は、主情報処理回路4から得られる先頭位置信号SCに基づいて、1フレームを分周することによって、各ビットの先頭位置、及び各ビットにおける2つのチャネルビットの境界位置に相当するタイミングを求め、このタイミングに基づいて図11(b)に示す周期信号を積分回路12に対して出力する。この周期信号は、積分回路12における積算の符号を指示するものであり、各ビットを構成する2つのチャネルビットのうち、前半のチャネルビットに対応する期間は正(加算)の指示を示し、後半のチャネルビットに対応する期間は負(減算)の指示を示す。図11(b)では、加算する期間を「+」で示し、減算する期間を「−」で示している。
積分回路12では、制御回路11からの周期信号を受け、各ビットの先頭位置に相当するタイミングにおいて、積算結果を0にリセットした上で、積分処理を開始する。
このように前半のチャネルビットに対応する期間は加算し、後半のチャネルビットに対応する期間は減算するのは、次の理由による。上述したように、付加情報はPE方式で変調処理して記録されているため、プッシュプル信号PPは図11(c)に示すように、前半と後半との境界において符号が必ず反転する。そこで、上記のように、前半のチャネルビットに対応する期間はプッシュプル信号PPを加算し、後半のチャネルビットに対応する期間は減算していくことにより、図11(d)に示すように、各ビットに相当する期間において、積算結果は時間の経過とともに単調増加又は単調減少させることができる。その結果、ビット0の後端に相当する時点では積算結果がV0(>0)となり、ビット1の後端に相当する時点では積算結果がV1(<0)となり、ビット2の後端に相当する時点では積算結果がV2(<0)となり、ビットNbの後端に相当する時点では積算結果がVNb(>0)となる。そして、この積算結果を、0を閾値として2値化することにより、図11(e)に示すように、変調前の付加情報、すなわち、ビット0(BIT 0)が「0」、ビット1(BIT 1)が「1」、ビット2(BIT 2)が「1」、ビットNb(BIT Nb)が「0」を生成することができる。
なお、図11(c)に示したプッシュプル信号PPの振幅は、実際には微少であるため、プッシュプル信号PPから直接図11(e)の2値化データを得るのは困難であるが、図11(c)では、プッシュプル信号PPの振幅を分かりやすいように誇張して図示している。
ここで、光ディスク14では、各ビットが十分長く形成されている。これにより、光ディスク14を再生する再生装置30では、各ビットについて上記の積分処理の期間を十分長くとることができ、積分結果において十分なSN比を得ることができる。このときの積分処理の期間は、例えば、200ms程度である。その結果、プッシュプル信号PPの信号品質が最悪の場合でも、正しい暗号鍵情報KYを得ることができる。
一般に、再生装置においては、光ディスク14の再生の際、ピックアップのフォーカス点のずれや、光ディスクのチルト等の外乱により、プッシュプル信号の信号品質は変化する。そして、外乱が大きい場合には、信号品質が低下してしまう。そこで、付加情報を検出するための信号において十分なSN比を得るために、積分処理の時間を長くする必要がある。
そのために、再生装置30では、通常の再生において考え得る最悪の信号品質の状態を想定し、この状態においても正しい暗号鍵情報KYを得ることができるように、積分処理の時間を十分長く設定している。換言すると、再生装置30によって再生される光ディスク14では、上記のように十分長い時間、積分処理ができるように、各ビットが光ディスク14上において十分長く形成されている。
ところが、この再生装置30では、プッシュプル信号PPの信号品質が良好なときには、必要以上に長時間の積分処理を行うことになってしまう。そこで、積分処理に要する時間を、正しい暗号鍵情報KYを得るためのほぼ必要最小限の時間に短縮することができる構成及び処理について、次に説明する。
図1のブロック図に基づき、光ディスク1を再生する再生装置20の構成及びその信号処理について説明する。
再生装置20は、ピックアップ2、検出回路3、主情報処理回路4、復号回路5、伸張回路6、積分回路7、誤り訂正回路8、制御回路9、及び表示部10を備えている。なお、ピックアップ2、検出回路3、主情報処理回路4、復号回路5、及び伸張回路6の各部材は、図10に基づいて説明した再生装置30のそれぞれ対応する部材と同様の構成及び機能を有する部材であるため、ここではそれらの説明を省略する。
光ディスク1は、光ディスク14と同様、図8に示したデータフォーマットを有している。ただし、光ディスク14と光ディスク1とでは、図2に示すように、次の点が異なる。
第1の相違点は、光ディスク上での各ビットの長さにある。光ディスク14では、プッシュプル信号PPの信号品質が最悪の場合でも、正しい暗号鍵情報KYを得ることができるように、各ビットが光ディスク14上において十分長く形成されている。これに対し、光ディスク1では、プッシュプル信号PPの信号品質が最良の場合において、正しい暗号鍵情報KYを得るためにほぼ必要最小限の長さで各ビットが形成されている。あるいは、上記必要最小限の長さよりも短く形成されていてもよい。
なお、説明の便宜上、光ディスク1においても、付加情報の1フレームの長さは、主情報の1フレームの長さと一致しているものとする。
第2の相違点は、光ディスク1においては、同一内容の付加情報が繰り返し記録されている点にある。より具体的には、光ディスク1上で連続する複数のフレームに、同一内容の付加情報が繰り返し記録されている。これは、後述するように、再生装置20では、プッシュプル信号PPの信号品質によっては、複数のフレームを用いて積分処理をする場合があるからである。上記の繰り返しは、主情報の複数のセクタ、さらには主情報の複数のECCブロックにまたがっていてもよい。光ディスク14では、必ずしも上記のように繰り返し記録されていなくてもよい点において、光ディスク1と異なっている。
積分回路7は、積分回路12と同様、プッシュプル信号PPを積分処理する。そして、この積分処理により、図9に示したピットP…の変位量ΔXが微小な値であっても、付加情報を検出するための信号量を増大させることができる。また、この積分処理は、各ピットP…の変位量ΔXのばらつきを平均化する作用があるので、付加情報を検出するための信号のSN比を増加させることができる。
ここで、図3のブロック図に基づいて、積分回路7についてより具体的に説明する。積分回路7は、A/D変換器71、加算器72、タイミング回路73、レジスタ74、及び2値化回路75を備えている。
A/D変換器71は、アナログ信号であるプッシュプル信号PPをサンプリングすることによって得られるデジタルデータ(プッシュプルデータ)を生成し、加算器72に対して出力する。このサンプリングの際のサンプリングレートは、各チャネルビットを読み出す周波数よりも十分高い値に設定されている。これにより、各チャネルビットを読み出している期間に、多数回のサンプリングが行われる。
加算器72は、A/D変換器71から周期的に出力される各プッシュプルデータを順次積算し、積算結果をレジスタ74及び2値化回路75に対して出力する。加算器72における積算の開始/終了タイミング、積算の初期値などは、タイミング回路73によって設定される。
レジスタ74…は、1フレームに含まれる(Nb+1)個のビットそれぞれに対応して(Nb+1)個設けられており、各ビットについての加算結果を個別に記憶する。ただし、図3では、図の簡略化のために1つのレジスタ74のみを図示している。各レジスタ74には、対応するビットの加算結果が加算器72から出力される度に、その加算結果によって記憶内容が更新される。したがって、1フレーム分の処理が終了した時点では、(Nb+1)個の全てのビットについての積算結果がレジスタ74…に記憶されることになる。このレジスタ74…は、後述する制御回路9からのリセット信号RSによって初期化される。
2値化回路75は、制御回路9からの実行信号EXに基づき、各ビットについて積算が終了した時点での積算結果を2値化して「0」又は「1」の2値化データを生成し、その2値化データを誤り訂正回路8に対して出力する。2値化の閾値は0に設定されており、積算結果が0未満のときは「1」と判定し、0以上のときは「0」と判定する。
タイミング回路73は、制御回路9からの周期信号CCを受け、各ビットの先頭位置に相当するタイミングにおいて、そのビットに対応するレジスタ74に記憶されている積算結果を積算の初期値として加算器72に対して出力し、積算を開始させる。また、タイミング回路73は、周期信号CCが示す符号が「正」の期間には、所定のサンプリングレートでA/D変換器71から出力されるプッシュプルデータを、加算器72において加算させ、「負」の期間には、上記プッシュプルデータを加算器72において減算させる。なお、周期信号CCについては後述する。
次に、誤り訂正回路8は、誤り訂正回路13と同様、積分回路7から出力される1フレーム分のビット列に対して所定の誤り訂正処理を施し、付加情報としての暗号鍵情報KYを生成し、復号回路5に対して出力する。さらに、誤り訂正回路8は、誤り訂正の可能/不能を示すエラー信号ERを制御回路9に対して出力する。
誤り訂正理論については、既知の技術であり、例えば「符号理論」(株式会社昭晃堂 発行)等に詳しく記載されている。誤り訂正符号としては、ハミング符号、BCH符号、リードソロモン符号などがあり、必要な訂正能力、符号長、ハードウェア規模などから適宜選択される。例えば、ガロア体GF(24)上のリードソロモン符号では、1シンボルは4ビットであり、符号長は15シンボルなので、最大で4ビット×15=60ビットの情報を格納できる。また、符号長nシンボル、暗号鍵情報kシンボルとすると、最大訂正能力は(n−k)/2と与えられる。
ここで、図4のブロック図に基づいて、誤り訂正回路8についてより具体的に説明する。なお、ここでは、リードソロモン符号を用いた誤り訂正を行う誤り訂正回路8を想定する。誤り訂正回路8は、シンドローム演算器81、誤り位置/大きさ演算器82、誤り訂正演算器83、及び訂正不能判定演算器84を備えている。
シンドローム演算器81は、積分回路7から出力されたビット列に基づいて、誤り情報としてのシンドロームを計算する。
誤り位置/大きさ演算器82は、シンドローム演算器81にて計算したシンドロームから誤り訂正に必要な情報として、誤りの位置及び大きさを算出する。
誤り訂正演算器83は、誤り位置/大きさ演算器82にて算出した誤り位置及び大きさに基づいて誤りを訂正する。そして、誤り訂正演算器83は、訂正した結果を、暗号鍵情報KYとして復号回路5に対して出力する。
訂正不能判定演算器84は、誤り位置/大きさ演算器82にて算出した誤り位置及び大きさに基づいて、誤りが発生したシンボルの位置とその大きさを認識し、誤り訂正演算器83における最大訂正能力を超えた誤りがあった場合に、訂正不能な誤りがあることを示すため、制御回路9に対して出力するエラー信号ERを「1」に設定する。誤りが最大訂正能力以下であれば、エラー信号ERを「0」に設定する。
次に、制御回路9は、制御回路11と同様、主情報処理回路4からの先頭位置信号SCに基づいて、積分回路12における積分処理の制御を行う。さらに、制御回路11は、誤り訂正回路8からのエラー信号ERにも基づくことにより、積分処理の開始から暗号鍵情報KYを出力するまでの次のような処理を行う。
図5のフローチャートに基づいて、積分処理の開始から暗号鍵情報KYを出力するまでの流れについて説明する。なお、積分処理や誤り訂正処理に関する各種信号等の経時変化を、図6(a)〜(f)のタイミングチャートに示す。
再生すべき付加情報の各ビットが図6(a)に示す値であるとする。すなわち、ビット0(BIT 0)が「0」、ビット1(BIT 1)が「1」、ビット2(BIT 2)が「1」、ビットNb(BIT Nb)が「0」であるものとする。このビット0からビットNbによって1フレームが構成されており、各フレームには同一の付加情報が記録されている。
再生装置20が再生処理を開始すると、制御回路9は、まず、積分処理を開始するために、積分回路7のレジスタ74…を初期化して各レジスタ74の初期値を「0」に設定するためのリセット信号RSを積分回路7に対して出力する。また、制御回路9は、制御回路9内に備える、積分処理を行ったフレーム数(積分フレーム数)をカウントするカウンタを0に初期化する(ステップS1)。
次に、制御回路9は、カウンタのカウント値、つまり、積分処理を行ったフレーム数が所定値を越えたか否かを判定するが(ステップS2)、積分処理を開始した時点ではカウント値は0であるので(ステップS2,No)、ステップS3に移行する。
ステップS3では、積分回路7において積分処理を行う。このとき、制御回路9は、主情報処理回路4から得られる先頭位置信号SCに基づいて、1フレームを分周することによって、各ビットの先頭位置、及び各ビットにおける2つのチャネルビットの境界位置に相当するタイミングを求め、このタイミングに基づいて図6(b)に示す周期信号CCを積分回路7に対して出力する。この周期信号CCは、積分回路7における積算の符号を指示するものであり、各ビットを構成する2つのチャネルビットのうち、前半のチャネルビットに対応する期間は正(加算)の指示を示し、後半のチャネルビットに対応する期間は負(減算)の指示を示す。図6(b)では、加算する期間を「+」で示し、減算する期間を「−」で示している。
積分回路7では、制御回路9からの周期信号CCをタイミング回路73が受ける。周期信号CCを受けたタイミング回路73は、各ビットの先頭位置に相当するタイミングにおいて、そのビットに対応するレジスタ74に記憶されている積算結果を、積算の初期値として加算器72に対して出力し、積算を開始させる。
積分処理を開始する時点において、各レジスタ74は制御回路9によって初期化され、それぞれ初期値「0」を記憶している。このため、積分処理を開始した最初のフレーム0(FRAME 0)については、積算の初期値を「0」として積算を開始することになる。そして、次のフレーム1(FRAME 1)については、フレーム0において各レジスタ74に記憶された積算結果を初期値として積算を開始することになる。
タイミング回路73は、周期信号CCが示す符号が「正」の期間には、所定のサンプリングレートでA/D変換器71から出力されるプッシュプルデータを、加算器72において加算させ、「負」の期間には、上記プッシュプルデータを加算器72において減算させる。
このように前半のチャネルビットに対応する期間は加算し、後半のチャネルビットに対応する期間は減算するのは、次の理由による。上述したように、付加情報はPE方式で変調処理して記録されているため、プッシュプル信号PPは図6(c)に示すように、前半と後半との境界において符号が必ず反転する。そこで、上記のように、前半のチャネルビットに対応する期間はプッシュプルデータを加算し、後半のチャネルビットに対応する期間は減算していくことにより、図6(d)に示すように、各ビットに相当する期間において、積算結果は時間の経過とともに単調増加又は単調減少させることができる。しかも、この積算結果を、0を閾値として2値化することにより、図6(e)に示すように、変調前の付加情報を生成することができる。
ここで、図6(c)は、ピットの変位方向に応じて変化するプッシュプル信号PPを示している。そして、プッシュプル信号PPの正の値が、外周側へのピットの変位に対応し、負の値が内周側へのピットの変位に対応している。例えば、ビット0における前半のチャネルビットに相当する期間では、外周側へのピットの変位に対応してプッシュプル信号PPは正の値となり、後半のチャネルビットに相当する期間では、内周側へのピットの変位に対応してプッシュプル信号PPは負の値となっている。
なお、図6(c)は、理想的なプッシュプル信号PPの波形を示したものであるが、実際のプッシュプル信号PPでは、鈍った波形になるとともに、外乱によって正負が逆転してしまう場合もある。また、図6(c)に示したプッシュプル信号PPの振幅は、実際には微少であるため、プッシュプル信号PPから直接図6(e)の2値化データを得るのは困難であるが、図6(c)では、プッシュプル信号PPの振幅を分かりやすいように誇張して図示している。
図6(d)は、各ビットに対応するレジスタ74に記憶されている積算結果の経時変化を示している。ビット0における前半のチャネルビットに相当する期間では、プッシュプルデータが正の値であり、これを加算していくため、積分結果は徐々に増加していく。また、ビット0における後半のチャネルビットに相当する期間では、プッシュプルデータが負の値であり、これを減算していくため、積算結果はこの期間も増加していく。その結果、ビット0の後端に相当する時点では、積算結果はV0(>0)となる。同様に、ビット1における前半のチャネルビットに相当する期間では、積分結果は徐々に減少していき、後半のチャネルビットに相当する期間でも減少していく結果、ビット1の後端に相当する時点では、積算結果はV1(<0)となる。ビット2については、本来、V2(<0)となるべきところ、光ディスク1におけるフレーム0のビット2に対応する部分において不良箇所が存在し、プッシュプル信号PPが乱れた結果、V2(>0)となってしまった状態を示している。
各ビットの後端に相当する時点がくると、制御回路9は、積分回路7の2値化回路75に対して、2値化の処理を実行させるための実行信号EXを出力する。そうすると、2値化回路75は、その時点における加算器72の出力、つまり、積算結果を2値化し、図6(e)に示す「0」又は「1」の2値化データを生成して、誤り訂正回路8に対して出力する(ステップS4)。2値化の閾値は0に設定されており、V1のように積算結果が0未満のときは「1」と判定し、V0,V2,VNbのように積算結果が0以上のときは「0」と判定する。ここでは、ビット2に対応する2値化データが「0」となり、本来のビット2の「1」とは異なった値となっている。
なお、図5のフローチャートでは、積分処理(ステップS3)と2値化処理(ステップS4)とを一連の処理として図示しているが、実際には、各ビットに対してこれらの処理を繰り返し行うことになる。
また、積分回路7のレジスタ74…の記憶内容は、それぞれに対応するビットの積算結果によって順次更新されていく。その結果、フレーム0(FRAME 0)を終了する時点では、上記のようにして得られた積算結果V0,V1,V2,…,VNbが、それぞれビット0,1,2,…,VNbに対応するレジスタ74…に記憶されていることになる。
フレーム0に関する積分処理及び2値化処理が終了すると、その結果として2値化回路75から出力されたビット列に基づいて、誤り訂正回路8が誤り訂正処理を行う(ステップS5)。このとき、誤り訂正回路8の訂正不能判定演算器84は、誤り訂正の可能/不能を示すエラー信号ERを制御回路9に対して出力する。
エラー信号ERは、図6(f)に示す信号であり、初期値が「0」、誤り訂正可能な場合に「0」、誤り訂正不能な場合に「1」となる。図6(f)の場合、フレーム0における誤り訂正が不能であったため、フレーム0からフレーム1への変化の時点において、エラー信号ERの値が「0」から「1」に変化している。なお、フレーム0では、ビット2以外にも、多数のビットにおいて誤った2値化データが出力された結果、誤り訂正が不能となったものとする。
誤り訂正が不能であった場合には(ステップS6,No)、誤り訂正回路8は、暗号鍵情報KYを出力しない。また、制御回路9は、誤り訂正不能を示すエラー信号ERを受け、積分フレーム数をカウントするカウンタをインクリメントした後(ステップS8)、ステップS2からの処理に移行する。
フレーム0において誤り訂正が不能となり、フレーム1において再度ステップS3からの処理を繰り返す場合について説明する。
ステップS3では、積分回路7において積分処理を再度行う。このとき、制御回路9は、図6(b)に示す周期信号CCを積分回路7に対して継続して出力する。積分回路7では、周期信号CCを受けたタイミング回路73が、各ビットの先頭位置に相当するタイミングにおいて、そのビットに対応するレジスタ74に記憶されているフレーム0の積算結果を、積算の初期値として加算器72に対して出力し、積算を開始させる。
つまり、ビット0,1,2,…,VNbに対応するレジスタ74…にそれぞれ記憶されている積算結果V0,V1,V2,…,VNbを初期値として、各ビットの積算を開始させる。したがって、ビット0については、初期値をV0として積算結果が徐々に増加する。同様に、ビット1については、初期値をV1として積算結果が徐々に減少していく。フレーム0においては、外乱の影響によって正しい値が検出できなかったビット2については、フレーム1では外乱の影響を受けずに、プッシュプルデータが正しい値となった結果、初期値V2から積算結果が徐々に減少し、負の値をとるに至る。その結果、フレーム1では、ビット2において2値化処理(ステップS4)の結果得られる2値化データ(図6(e))が正しい値となる。
その後、ビットVNbまで積分処理及び2値化処理を行い、続いて、誤り訂正処理(ステップS5)を行った結果、今度は誤り訂正可能となったものとする。誤り訂正が可能となった場合には(ステップS6,Yes)、誤り訂正回路8は、誤り訂正した結果を暗号鍵情報KYとして復号回路5に対して出力する。このとき、制御回路9は、誤り訂正可能を示すエラー信号ERを受け、周期信号CCの出力を停止し、積分処理を終了させて付加情報の再生処理が終了する。
再生している光ディスク1が不法コピーされたものであり、付加情報が正しく記録されていない場合、つまり、ピットに対して適正な微少変位が付与されていない場合について説明する。この場合、誤り訂正不能な状態が続き、カウンタの値が大きくなる。
ここで、ステップS2において用いる所定値としては、不法コピーされていない、正規の光ディスク1において、外乱が最大の場合にも十分なSN比を確保できる積分フレーム数を基準に、余裕をもってそれよりも少し大きな値としておくのがよい。例えば、外乱が最大のときに、2000フレーム分の積分処理をすれば十分なSN比を確保できる場合、所定値を「3000」程度に設定しておく。このようにしておけば、正規の光ディスク1を誤って、不法コピーディスクと判断してしまうことがない。
しかし、光ディスク1が不法コピーされたものである場合には、やがてカウンタの値が「3000」を越えることになる(ステップS2,Yes)。そうすると、制御回路9は、再生装置20の各部の動作を停止させることにより再生処理を停止し(ステップS9)、表示部10において暗号鍵情報が見つからない旨の表示をさせる(ステップS10)。このとき、表示部10に表示する内容としては、「ディスクの暗号鍵情報が見つかりません」や「ディスクのコピープロテクションを解除できません」といった内容とする。このように、再生できない理由を再生装置20の利用者に対して表示することにより、操作不良や装置の異常により再生できないのではなく、暗号鍵が見つからないために再生できないことが、利用者に対して明確に伝わる。暗号鍵が見つからないことを利用者が認識することにより、こうした不法コピーされた光ディスクを利用者が繰り返し購入することを防止する効果も期待できる。
なお、ステップS2においてカウンタの値が所定値を越えた場合、光ディスク1のキズ等によって付加情報が読み出せない可能性もあるので、光ディスク1の異なる半径位置において再度、付加情報の再生を行い、それでも誤り訂正不能である場合に、ステップS9に移行するようにしてもよい。
また、ここでは、積分フレーム数を所定値である「3000」と比較するものとしたが、積分するフレームの総時間幅(合計時間幅)を所定の時間幅と比較してもよい。フレームの総時間幅は、フレーム数に1フレームの再生時間を乗じることにより容易に計算できる。
以上説明したように、再生装置20では、光ディスク1の各ピットの変位量が微小であっても、微少変位に比例するプッシュプル信号PPを積分処理することにより、付加情報を検出するための信号のSN比を増加させることができるので、付加情報を正しく再生することができる。また、再生装置20では、誤り訂正回路8において訂正可能となった時点において付加情報としての暗号鍵情報KYを出力するので、付加情報を誤りなく、かつ、最短時間で再生することが可能になる。
次に、再生装置20の一変形例について説明する。上記の再生装置20では、誤り訂正回路8における誤り訂正の可能/不能に基づいて、積分処理をさらに要するか否かを判定した。この判定は、プッシュプル信号PPの信号品質が反映されたパラメータ等に基づいて行えばよく、誤り訂正の可能/不能に基づく判定に限られるものではない。
積分結果におけるノイズレベルは、積分結果のばらつきとなって現れる。よって、各ビットの積分結果である、V0,V1,V2,…,VNb(図6(d)参照)のばらつきに基づいて上記の判定を行うこともできる。
この場合、上記のばらつきを検出するためのばらつき検出回路を付加し、ばらつき検出回路において検出されたばらつきが所定値以下になったときに、積分処理を終了し、誤り訂正回路8の出力である暗号鍵情報KYを復号回路5に出力するようにすればよい。
ここで説明する変形例は、図1に示した再生装置20の誤り訂正回路8及び制御回路9を、図7に示す誤り訂正回路13及びばらつき検出回路15に置き換えたものである。
ここで、誤り訂正回路13は、エラー信号ERを出力する必要がないので、図10に示した再生装置30の誤り訂正回路13と同様、通常の誤り訂正回路であり、図4の誤り訂正回路8から訂正不能判定演算器84を省略したような構成である。
また、ばらつき検出回路15は、絶対値演算器51、σ,μ演算器52、判定器53、及びスイッチ54を備えている。
この構成においては、積分回路7の2値化回路75(図3参照)から出力される2値化データは、誤り訂正のために誤り訂正回路13に入力され、各ビットの後端に相当する時点において積分回路7のレジスタ74から出力される積分結果、つまり、図6(d)のV0,V1,V2,…,VNbは、信号品質に基づく判定を行うためにばらつき検出回路15に入力される。また、誤り訂正回路13からの出力は、ばらつき検出回路15のスイッチ54を経て復号回路5に入力される。
絶対値演算器51は、積分回路7からの積分結果V0,V1,V2,…,VNbそれぞれの絶対値|V0|,|V1|,|V2|,…,|VNb|をとり、σ,μ演算器52に出力する。積分結果は、図6(d)に示すように、正の値をとるものと、負の値をとるものとがある。ばらつきを評価する場合、正の値のばらつきと、負の値のばらつきとを個々に評価してもよいが、ここでは、絶対値演算器51にて絶対値をとることにより、全ての積分結果を正の値として処理する。こうすることにより、σ,μ演算器52を1つにすることができ、装置の簡素化を図ることができる。
σ,μ演算器52は、積分結果の絶対値|V0|,|V1|,|V2|,…,|VNb|について、標準偏差σと平均値μとを求め、判定器53に対して出力する。
判定器53は、標準偏差σと平均値μとに基づいて、信号品質の良否を判定する。判定方法としては、種々のものが考えられるが、例えば、σ/μの値を用いることができる。信号品質が良い場合は、積分結果自体のばらつきが小さいので、標準偏差σは小さくなり、また、プッシュプル信号PPの振幅レベルは大きくなるので、平均値μは大きくなる。すなわち、信号品質が良いとσ/μは小さくなる。逆に、信号品質が悪いとσ/μは大きくなる。よって、σ/μが予め決められた閾値を下回る場合には、信号品質良と判定し、エラー信号ERを「0」とし、そうでない場合には、エラー信号ERを「1」とする。良否判定の閾値としては、誤り訂正不能エラーが発生しないσ/μの範囲を実験的に求めておき、その値を用いるようにすればよい。
スイッチ54は、判定器53からのエラー信号ERを受け、エラー信号ERが「0」の場合、つまり、信号品質が良と判定された場合に、誤り訂正回路13から得られる暗号鍵情報KYを出力し、それ以外の場合には、暗号鍵情報KYを出力しない。
なお、この変形例では、付加情報に誤り訂正符号が付されていることを前提としているが、ばらつき検出回路15を用いれば、誤り訂正符号が付されていない付加情報を再生する再生装置を構成することもできる。この場合、図7の誤り訂正回路13に代えて、2値化データを一時的に記憶しておくバッファなどを設けておけばよい。
以上では、本発明について、本発明に係る情報記録媒体再生装置の実施の一形態である再生装置20及びその一変形例について具体的に説明したが、本発明はこれらに限らず、様々な応用が可能である。以下では、応用の一例について説明する。
本実施形態では、情報記録媒体として、CDやDVD、高精細デジタルビデオディスク等の光ディスク1を想定したが、これに限らず、ピット、あるいはピットに代わる記録マーク(マーク)が記録された磁気ディスクや光磁気ディスクを用いることもできる。さらに、情報記録媒体は、ディスク体に限らず、他の形体を有するものであってもよい。
本実施形態では、光ディスク1におけるピットのラジアル方向の微少変位によって付加情報が記録されている場合を想定して説明したが、他の方法によって付加情報が記録されていてもよい。例えば、ピットのタンジェンシャル方向の微少変位によって付加情報が記録されていてもよい。この場合、例えば、図1に示した高周波信号RFと、各ピットのタンジェンシャル方向の本来の基準位置に対応する基準クロックとの差分を積分回路7に入力して積分するようにすればよい。
本実施形態では、主情報のフレームの位置と、付加情報のフレームの位置とが光ディスク1上において一致している場合を想定して説明したが、これらは、主情報処理回路4からの先頭位置信号SCを用いて付加情報のフレームの位置を認識していたためである。したがって、他の方法によって付加情報のフレームの位置を認識することができるのであれば、主情報のフレームの位置と、付加情報のフレームの位置とが光ディスク1上において一致していなくてもよい。
本実施形態では、再生装置20の検出回路3、主情報処理回路4、復号回路5、伸張回路6、積分回路7、誤り訂正回路8、制御回路9、誤り訂正回路13、ばらつき検出回路15等の各部を回路部材によって構成しているが、これらの一部又は全部を、マイクロコンピュータ等のコンピュータ上で所定のプログラムを実行することによって実現してもよい。
以上のように、本発明に係る情報記録媒体再生装置としての再生装置20は、情報記録媒体としての光ディスク1に記録されている記録情報としての付加情報を再生する情報記録媒体再生装置であって、次のような構成を有している。
すなわち、再生装置20は、光ディスク1を読み取ることにより、その光ディスク1に記録されている付加情報に応じて変調された再生信号としてのプッシュプル信号PP(図6(c)参照)を検出する、信号検出手段としてのピックアップ2及び検出回路3と、プッシュプル信号PPにおける1又は複数の特定部分としてのフレーム(図6(a)参照)を用いて、検出情報としての2値化データ(図6(e)参照)を生成する、情報検出手段としての積分回路7を備えている。この積分回路7は、2値化データの生成のために用いるフレームの総時間幅(合計時間幅)が長くなるほど、生成された2値化データの確度が高くなる。そして、再生装置20は、積分回路7において有効な2値化データを生成するために、積分回路7において用いるフレームの総時間幅を制御する、制御手段としての制御回路9をさらに備えている。
積分回路7の生成する2値化データは、その生成に用いるフレームの総時間幅が長くなるほど、確度が高くなる。したがって、生成された2値化データをより正確なものとするには、フレームの総時間幅を長くとればよいことになる。しかし、フレームの総時間幅が長くなると、積分回路7における積分処理に要する時間が長くなり、その結果、再生のための処理を開始してから、実際に再生された暗号鍵情報KYが出力される、あるいはそれに基づく画像情報や音声情報が出力されるまでの時間が長くなってしまう。
そこで、再生装置20では、制御回路9が、積分回路7において有効な2値化データを生成するために、積分回路7において用いるフレームの総時間幅を制御するようになっている。有効な2値化データとは、生成された2値化データに基づいて実行されるべき誤り訂正回路8や復号回路5などの後段の処理において、有効なものとして取り扱われる2値化データを指す。
これにより、検出した付加情報の確度と、処理時間とを調整することができるようになり、適切な調整を行うことにより、付加情報について所定の確度を維持しつつ、処理時間の短縮を図ることができる。
また、再生装置20は、プッシュプル信号PPの信号品質を評価する信号品質評価手段としての誤り訂正回路8又はばらつき検出回路15をさらに備え、制御回路9は、誤り訂正回路8又はばらつき検出回路15の出力する、評価結果としてのエラー信号ERに基づいて、上記フレームの総時間幅の制御を行う。
一般に、プッシュプル信号PPの信号品質が低下すると、積分回路7により生成される2値化データの確度も低下する傾向にあり、プッシュプル信号PPが向上すると、積分回路7により生成される2値化データの確度も向上する傾向にある。
そこで、上記のようにエラー信号に基づいて、フレームの総時間幅の制御を行うことにより、信号品質が低い場合には総時間幅を長くして2値化データの確度を維持し、信号品質が高い場合には上記総時間幅を短くして所要時間を短縮する、といった制御が可能になる。これにより、プッシュプル信号PPの信号品質に応じて、より短い時間で、所定の確度をもった2値化データの生成を行うことができるようになる。
また、再生装置20は、フレームの総時間幅が予め定めた値以上であり、かつ、エラー信号ERがエラーを示す場合に、適正な再生が不能である旨を報知する報知手段としての表示部10を備えている。本実施形態では、報知手段として、表示により報知する表示部10を設けるものとしたが、これ以外にも、例えば、音声などによって報知する部材を設けてもよい。
これにより、再生装置20の利用者は、光ディスク1側の問題等により適正な再生が不能であることを認識することができる。したがって、装置異常や操作ミスなどと利用者が誤解するのを防ぐことができる。
また、再生装置20では、プッシュプル信号PPが、同一ビットパターンからなる複数の情報単位(フレーム)の繰り返しに応じて変調されたものを想定している。この場合、積分回路7は、各フレームにおける互いに対応するビットごとにプッシュプル信号PPの変調量を積分する、積分手段としての加算器72、タイミング回路73及びレジスタ74と、各ビットに対応する積分結果に基づいて、2値化データの対応するビットを生成する2値化回路75とを備えて構成することができる。また、制御回路9は、上記の積分に用いるフレームの数によってフレームの総時間幅の制御を行うことができる。
プッシュプル信号PPの変調量を積分することにより、2値化回路75において2値化データを生成するための基礎となる信号量、つまり、積分結果を増大させることができる。また、プッシュプル信号PPの変調量を積分することにより、変調量のばらつきを平均化する作用が得られるので、2値化回路75において2値化データを生成するための基礎となる信号(図6(d)参照)のSN比を増加させることができる。
これにより、変調量が微少であっても、比較的確度の高い2値化データの生成が可能になるとともに、2値化データを生成するための積分処理に用いるフレームの数に応じて、2値化データの確度を容易に調整することができる。
また、再生装置20は、2値化データの有効/無効を判定する、検出結果判定手段としての誤り訂正回路8又はばらつき検出回路15をさらに備え、制御回路9は、積分回路7がi個(iは自然数)のフレームを用いて生成した2値化データを、誤り訂正回路8又はばらつき検出回路15が無効と判定した場合、つまり、エラー信号がエラーを示した場合に、(i+1)個のフレームを用いての2値化データの生成を積分回路7に実行させる。
これにより、積分回路7の生成した2値化データが有効となるまで、2値化データの生成のために用いるフレームの総数を増やしていけばよいことになるため、有効な2値化データ、ひいては暗号鍵情報KYをほぼ最短時間で生成することができる。
また、本発明に係る情報記録媒体再生方法は、光ディスク1から読み取った、同一ビットパターンからなる複数のフレームの繰り返しに応じて変調されたプッシュプル信号PPに基づき、各フレームにおける互いに対応するビットごとにプッシュプル信号PPの変調量を積分する積分処理(図5のS3)と、その積分結果に基づいて2値化データを生成する2値化処理(図5のS4)とを含む情報検出処理と、2値化データの有効/無効を判定する検出結果判定処理と(図5のS6)を含み、i番目(iは自然数)のフレームを用いて情報検出処理を行った結果、検出結果判定処理の判定結果が無効(誤り訂正不能)であった場合に、(i+1)番目の情報単位を用い、前回の積分結果を積分の初期値として情報検出処理を実行する方法である。
これにより、情報検出処理において生成した検出情報が有効となるまで、2値化データの生成のために用いるフレームの総数を増やしていけばよいことになるため、有効な2値化データをほぼ最短時間で生成することができる。
さらに、情報検出処理と検出結果判定処理とを予め定めた回数繰り返し、検出結果判定処理の判定結果がなおも無効であった場合に、適正な再生が不能である旨の報知を行う報知処理(図5のS10)を含んでいてもよい。
これにより、利用者に対して、適正な再生が不能であることを認識させることができる。したがって、装置異常や操作ミスなどと利用者が誤解するのを防ぐことができる。
あるいは、本発明の情報記録媒体再生装置の特徴点は、次の点にあるともいえる。すなわち、情報記録媒体再生装置は、情報記録媒体上の微細構造の微小な変位により記録情報が記録されている情報記録媒体を再生する装置であって、微小変位量を積分処理する積分手段と、積分手段の出力信号品質を評価する信号品質評価手段と、積分手段の出力信号から記録情報を検出する記録情報検出手段と、信号品質評価手段の評価結果をもとに記録情報検出手段の出力を制御する。
また、情報記録媒体再生装置は、信号品質評価手段が誤り訂正処理の結果により信号品質を評価するものである。
また、情報記録媒体再生装置は、積分手段により所定の期間、積分処理した結果、所定の値以上の信号品質が得られない場合、それを表示する表示手段を有する。
また、本発明の情報記録媒体再生方法の特徴点は、次の点にあるともいえる。すなわち、情報記録媒体再生方法は、情報記録媒体上の微細構造の微小な変位により記録情報が記録されている情報記録媒体を再生する方法であって、微小変位量を積分処理する第1のステップと、積分処理結果として得られる出力の信号品質を評価する第2のステップと、信号品質評価結果をもとに積分処理結果から得られる記録情報の出力を制御する第3のステップとを含む。
また、情報記録媒体再生方法は、所定の期間積分処理した結果、所定の値以上の信号品質が得られない場合、それを表示する第4のステップを含む。
なお、本発明に係る情報記録媒体再生装置では、情報記録媒体に記録されている記録情報を再生する情報記録媒体再生装置において、前記情報記録媒体を読み取ることにより、前記記録情報に応じて変調された再生信号を検出する信号検出手段と、前記再生信号における1又は複数の特定部分を用いて、前記記録情報の検出結果としての検出情報を生成するとともに、その検出情報の生成のために用いる前記特定部分の総時間幅が長くなるほど、前記検出情報の確度が高くなる情報検出手段と、前記情報検出手段において有効な検出情報を生成するために用いる前記特定部分の総時間幅を制御する制御手段とを備えても良い。
上記構成では、本発明に係る情報記録媒体再生装置では、信号検出手段が、情報記録媒体を読み取ることにより、その情報記録媒体に記録されている記録情報に応じて変調された再生信号を検出する。
そして、情報検出手段が、再生信号における1又は複数の特定部分を用いて記録情報の検出結果としての検出情報を生成する。再生信号の特定部分とは、時系列の再生信号における時間的な部分を指す。この情報検出手段は、検出情報の生成のために用いる特定部分の総時間幅が長くなるほど、検出情報の確度が高く設定なるようになっている。
したがって、検出情報をより正確なものとするには、上記総時間幅を長くとればよいことになる。しかし、上記総時間幅が長くなると、情報検出手段における処理時間が長くなり、その結果、再生のための処理を開始してから、実際に再生された情報が出力されるまでの時間が長くなってしまう。
そこで、本発明に係る情報記録媒体再生装置では、制御手段が、情報検出手段において有効な検出情報を生成するために用いる特定部分の総時間幅を制御するようになっている。有効な検出情報とは、検出情報に基づいて実行されるべき後段の処理において、有効なものとして取り扱われる検出情報を指す。これにより、検出情報の確度と、処理時間とを調整することができるようになり、適切な調整を行うことにより、検出情報について所定の確度を維持しつつ、処理時間の短縮を図ることができる。
また、本発明の情報記録媒体再生方法によれば、情報記録媒体に記録されている記録情報を再生する情報記録媒体再生方法において、前記情報記録媒体を読み取ることにより、前記記録情報に応じて変調された再生信号を検出する信号検出処理と、前記再生信号における1又は複数の特定部分を用いて、前記記録情報の検出結果としての検出情報を生成するとともに、その検出情報の生成のために用いる前記特定部分の総時間幅が長くなるほど、前記検出情報の確度が高くなる情報検出処理と、前記情報検出処理において有効な検出情報を生成するために用いる前記特定部分の総時間幅を制御する時間幅制御処理とを含んでいても良い。
上記方法では、信号検出処理、情報検出処理、および時間幅制御処理のそれぞれにおいて、本発明の信号検出手段、情報検出手段、および制御手段のそれぞれと同一の機能が実現されているので、本発明の情報記録媒体再生装置と同様の作用効果を得ることができる。
本発明に係る情報記録媒体再生装置では、さらに、信号品質評価手段が再生信号の信号品質を評価し、制御手段が、信号品質評価手段の評価結果に基づいて、上記総時間幅の制御を行う。
一般に、再生信号の信号品質が低下すると、情報検出手段により生成される検出情報の確度も低下する傾向にあり、信号品質が向上すると、情報検出手段により生成される検出情報の確度も向上する傾向にある。
そこで、上記のように信号品質評価手段の評価結果に基づいて、上記総時間幅の制御を行うことにより、信号品質が低い場合には上記総時間幅を長くして検出情報の確度を維持し、信号品質が高い場合には上記総時間幅を短くして所要時間を短縮する、といった制御が可能になる。これにより、再生信号の信号品質に応じて、より短い時間で、所定の確度をもった検出情報の生成を行うことができるようになる。
また、本発明に係る情報記録媒体再生装置では、前記総時間幅が予め定めた値以上であり、かつ、前記信号品質評価手段の評価結果が予め定めた品質未満である場合に、適正な再生が不能である旨を報知する報知手段を備えても良い。
上記構成では、さらに、報知手段が、上記総時間幅が予め定めた値以上であり、かつ、信号品質評価手段の評価結果が予め定めた品質未満である場合に、適正な再生が不能である旨を報知する。報知は、例えば、表示や音声などによって行えばよい。
これにより、当該情報記録媒体再生装置の利用者は、情報記録媒体側の問題等により適正な再生が不能であることを認識することができる。したがって、装置異常や操作ミスなどと利用者が誤解するのを防ぐことができる。
本発明に係る情報記録媒体再生装置では、信号検出手段の検出する再生信号は、同一ビットパターンからなる複数の情報単位の繰り返しに応じて変調されたものであり、情報検出手段は、各情報単位における互いに対応するビットごとに再生信号の変調量を積分する積分手段と、各ビットに対応する積分結果に基づいて、検出情報の対応するビットを生成する情報生成手段とを備える。そして、制御手段は、積分手段における積分に用いる情報単位の数によって上記総時間幅の制御を行う。
変調量を積分することにより、情報生成手段において検出情報を生成するための基礎となる信号量を増大させることができる。また、変調量を積分することにより、変調量のばらつきを平均化する作用が得られるので、情報生成手段において検出情報を生成するための基礎となる信号のSN比を増加させることができる。
これにより、変調量が微少であっても、比較的確度の高い検出情報の生成が可能になるとともに、検出情報を生成するために用いる特定部分の総時間幅、つまり、積分手段における積分に用いる情報単位の数に応じて、検出情報の確度を容易に調整することができる。
本発明に係る情報記録媒体再生装置では、前記検出情報の有効/無効を判定する検出結果判定手段をさらに含み、前記情報検出手段がi個(iは自然数)の情報単位を用いて生成した検出情報を、前記検出結果判定手段が無効と判定した場合に、前記制御手段は、(i+1)個の情報単位を用いての検出情報の生成を前記情報検出手段に実行させても良い。
上記構成では、さらに、検出結果判定手段が、情報検出手段の生成した検出情報の有効/無効を判定する。この検出結果判定手段は、例えば、上述したような再生信号の信号品質を評価することによって、検出情報の有効/無効を判定すればよい。
そして、情報検出手段がi個(iは自然数)の情報単位を用いて生成した検出情報に対し、検出結果判定手段が無効の判定を下した場合に、制御手段が、(i+1)個の情報単位を用いての検出情報の生成を情報検出手段に実行させる。
これにより、情報検出手段の生成した検出情報が有効となるまで、検出情報の生成のために用いる情報単位の総数を増やしていけばよいことになるため、有効な検出情報をほぼ最短時間で生成することができる。
本発明に係る情報記録媒体再生装置では、信号検出手段の検出する再生信号は、情報記録媒体に形成されているピット又はマークの微少変位によって記録された記録情報に応じて変調されたものである。この場合、一般に、変調量は微少となるが、情報検出手段において、検出情報の生成のために用いる特定部分の総時間幅を調節することにより、確度の高い検出情報の生成が可能になる。
また、本発明に係る情報記録媒体再生方法では、前記再生信号は、同一ビットパターンからなる複数の情報単位の繰り返しに応じて変調されたものであり、前記情報検出処理は、前記複数の情報単位の間において互いに対応するビットごとに前記再生信号の変調量を積分し、その積分結果に基づいて検出情報を生成する処理であり、前記時間幅制御処理は、前記積分に用いる情報単位の数によって、前記制御を行う処理であっても良い。
上記方法では、再生信号は、情報記録媒体から読み取った、同一ビットパターンからなる複数の情報単位の繰り返しに応じて変調されたものである。
そして、情報検出処理では、再生信号における各情報単位を用い、各情報単位における互いに対応するビットごとに再生信号の変調量を積分し、その積分結果に基づいて各ビットに対応する検出情報を生成する。このように変調量を積分することにより、検出情報を生成するための基礎となる信号量を増大させることができる。また、変調量を積分することにより、変調量のばらつきを平均化する作用が得られるので、検出情報を生成するための基礎となる信号のSN比を増加させることができる。
また、本発明の情報記録媒体再生方法では、さらに、前記検出情報の有効/無効を判定する検出結果判定処理を含み、i番目(iは自然数)の情報単位を用いて情報検出処理を行った結果、前記検出結果判定処理の判定結果が無効であった場合に、(i+1)番目の情報単位を用い、前回の積分結果を積分の初期値として前記情報検出処理を実行しても良い
上記方法では、検出結果判定処理では、情報検出処理において生成した検出情報の有効/無効を判定する。この検出結果判定処理では、例えば、上述したような再生信号の信号品質を評価することによって、検出情報の有効/無効を判定すればよい。
そして、i番目(iは自然数)の情報単位を用いて情報検出処理を行い、検出結果判定処理の判定結果が無効であった場合に、(i+1)番目の情報単位を用い、前回の積分結果を積分の初期値として情報検出処理を実行する。
これにより、情報検出処理において生成した検出情報が有効となるまで、検出情報の生成のために用いる情報単位の総数を増やしていけばよいことになるため、有効な検出情報をほぼ最短時間で生成することができる。
本発明に係る情報記録媒体再生装置及び情報記録媒体再生方法は、情報記録媒体に記録されている記録情報を再生する装置及び方法に広く用いることができ、特に、高密度に情報が記録された情報記録媒体や、信頼性の高い著作権保護が要求される情報記録媒体を再生する装置及び方法に好適に用いることができる。
本発明の実施の一形態における再生装置の構成を示すブロック図である。 図1の再生装置において再生する光ディスクと、他の光ディスクとを比較するために、それぞれのフレーム及びビットの配置を示す図面である。 図1の再生装置における積分回路の構成を示すブロック図である。 図1の再生装置における誤り訂正回路の構成を示すブロック図である。 図1の再生装置における処理の流れを示すフローチャートである。 (a)は、図1の再生装置において再生する光ディスクにおけるビット及びフレームの再生順序を示すタイミングチャートであり、(b)は、図1の再生装置において制御回路が積分回路に対して出力する周期信号のタイミングチャートであり、(c)は、図1の再生装置において検出回路が積分回路に対して出力するプッシュプル信号のタイミングチャートであり、(d)は、(c)のプッシュプル信号の積分結果を示すタイミングチャートであり、(e)は、(d)の積分結果を2値化して得られる2値化データを示すタイミングチャートであり、(f)は、(e)の2値化データに基づく誤り訂正の可能/不能を示すエラー信号のタイミングチャートである。 図1の再生装置の一変形例において、図1の誤り訂正回路及び制御回路の代わりに設ける誤り訂正回路及びばらつき検出回路の構成を示すブロック図である。 光ディスクにおけるデータフォーマットを示す図面である。 光ディスクにおけるピットの配置を示す平面図である。 図1の再生装置の前提となる再生装置の構成を示すブロック図である。 (a)は、図10の再生装置において再生する光ディスクにおけるビット及びフレームの再生順序を示すタイミングチャートであり、(b)は、図10の再生装置において制御回路が積分回路に対して出力する周期信号のタイミングチャートであり、(c)は、図10の再生装置において検出回路が積分回路に対して出力するプッシュプル信号のタイミングチャートであり、(d)は、(c)のプッシュプル信号の積分結果を示すタイミングチャートであり、(e)は、(d)の積分結果を2値化して得られる2値化データを示すタイミングチャートである。 従来の光ディスクにおけるピットの配置を示す平面図である。 従来の光ディスク装置を示すブロック図である。
符号の説明
1 光ディスク(情報記録媒体)
2 ピックアップ(信号検出手段)
3 検出回路(信号検出手段)
4 主情報処理回路
5 復号回路
6 伸張回路
7 積分回路(情報検出手段)
8 誤り訂正回路(信号品質評価手段、検出結果判定手段)
9 制御回路(制御手段)
10 表示部(報知手段)
15 ばらつき検出回路(信号品質評価手段、検出結果判定手段)
20 再生装置(情報記録媒体再生装置)
51 絶対値演算器
52 演算器
53 判定器
54 スイッチ
71 A/D変換器
72 加算器(積分手段)
73 タイミング回路(積分手段)
74 レジスタ(積分手段)
75 2値化回路(情報生成手段)
81 シンドローム演算器
82 演算器
83 誤り訂正演算器
84 訂正不能判定演算器

Claims (14)

  1. 情報記録媒体に記録されている記録情報を再生する情報記録媒体再生装置において、
    前記情報記録媒体を読み取ることにより、前記記録情報に応じて変調された再生信号を検出する信号検出手段を備え、
    前記再生信号は、前記記録情報に付加されている同一内容の複数の付加情報の繰り返しに応じて変調されたものであり、
    前記再生信号における前記付加情報に対応する1又は複数の特定部分を用いて、前記記録情報の検出結果としての検出情報を生成するとともに、その検出情報の生成のために用いる前記特定部分の再生信号の変調量の積分時間が長くなるほど、前記検出情報の確度が高くなる情報検出手段と、
    前記情報検出手段において有効な検出情報を生成するために用いる前記特定部分の再生信号の変調量の積分時間を、前記記録情報が再生されている場合に決定する制御手段とを備えることを特徴とする情報記録媒体再生装置。
  2. 前記再生信号の信号品質を評価する信号品質評価手段をさらに備え、
    前記制御手段は、前記信号品質評価手段の評価結果に基づいて、前記制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の情報記録媒体再生装置。
  3. 前記信号品質評価手段は、前記検出情報に対する誤り訂正処理の結果に基づいて、前記評価を行うことを特徴とする請求項2に記載の情報記録媒体再生装置。
  4. 前記積分時間が予め定めた値以上であり、かつ、前記信号品質評価手段の評価結果が予め定めた品質未満である場合に、適正な再生が不能である旨を報知する報知手段を備えることを特徴とする請求項2に記載の情報記録媒体再生装置。
  5. 前記再生信号は、同一ビットパターンからなる複数の情報単位の繰り返しに応じて変調されたものであり、
    前記情報検出手段は、前記複数の情報単位の間において互いに対応するビットごとに再生信号の変調量を積分する積分手段と、各ビットに対応する積分結果に基づいて、前記検出情報の対応するビットを生成する情報生成手段とを備え、
    前記制御手段は、前記積分手段における積分に用いる情報単位の数によって前記制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の情報記録媒体再生装置。
  6. 前記検出情報の有効/無効を判定する検出結果判定手段をさらに含み、
    前記積分に用いる情報単位の数を、所定の上限値まで1つずつ増やしながら、前記情報検出手段による検出情報の生成と前記検出結果判定手段による有効/無効の判定とを繰り返し、
    前記情報単位の数が前記上限値に達する以前に、前記情報検出手段が生成した検出情報を前記検出結果判定手段が有効と判定した場合に、
    前記制御手段は、当該検出情報の出力を行うことを特徴とする請求項5に記載の情報記録媒体再生方法。
  7. 前記検出結果判定手段は、前記検出情報に対する誤り訂正処理の結果に基づいて、前記判定を行うことを特徴とする請求項6に記載の情報記録媒体再生装置。
  8. 前記検出結果判定手段は、各ビットに対応する積分結果のばらつきに基づいて、前記判定を行うことを特徴とする請求項6に記載の情報記録媒体再生装置。
  9. 前記情報検出手段が検出情報の生成に用いた情報単位の数が予め定めた値以上であり、かつ、検出情報の有効/無効を判定する検出結果判定手段の判定結果が無効である場合に、適正な再生が不能である旨を報知する報知手段を備えることを特徴とする請求項2又は5に記載の情報記録媒体再生装置。
  10. 前記再生信号は、情報記録媒体に形成されているピット又はマークの微少変位によって記録された記録情報に応じて変調されたものであることを特徴とする請求項1に記載の情報記録媒体再生装置。
  11. 情報記録媒体に記録されている記録情報を再生する情報記録媒体再生方法において、
    前記情報記録媒体を読み取ることにより、前記記録情報に応じて変調された再生信号を検出する信号検出処理を含んでおり、
    前記再生信号は、前記記録情報に付加されている同一内容の複数の付加情報の繰り返しに応じて変調されたものであり、
    前記再生信号における前記付加情報に対応する1又は複数の特定部分を用いて、前記記録情報の検出結果としての検出情報を生成するとともに、その検出情報の生成のために用いる前記特定部分の再生信号の変調量の積分時間が長くなるほど、前記検出情報の確度が高くなる情報検出手段情報検出処理と、
    前記情報検出処理において有効な検出情報を生成するために用いる前記特定部分の再生信号の変調量の積分時間を、前記記録情報が再生されている場合に決定する制御処理とを含んでいることを特徴とする情報記録媒体再生方法。
  12. 前記再生信号は、同一ビットパターンからなる複数の情報単位の繰り返しに応じて変調されたものであり、
    前記情報検出処理は、前記複数の情報単位の間において互いに対応するビットごとに前記再生信号の変調量を積分し、その積分結果に基づいて検出情報を生成する処理であり、
    前記制御処理は、前記積分に用いる情報単位の数によって、前記制御を行う処理であることを特徴とする請求項11に記載の情報記録媒体再生方法。
  13. さらに、前記検出情報の有効/無効を判定する検出結果判定処理を含み、
    前記積分に用いる情報単位の数を、所定の上限値まで1つずつ増やしながら、前記情報検出処理と前記検出結果判定処理とを繰り返し、
    前記情報単位の数が前記上限値に達する以前に、前記情報検出処理で生成した検出情報を前記検出結果判定処理で有効と判定した場合に、
    前記制御処理で、当該検出情報の出力処理を行うことを特徴とする請求項12に記載の情報記録媒体再生方法。
  14. 前記情報検出処理と前記検出結果判定処理とを予め定めた回数繰り返し、前記検出結果判定処理の判定結果がなおも無効であった場合に、適正な再生が不能である旨の報知を行う報知処理を含むことを特徴とする請求項13に記載の情報記録媒体再生方法。
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