JP4138596B2 - コンバインドプラントの自動停止方法及び自動停止制御装置及びこの自動停止制御装置を備えたコンバインドプラント - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガスタービンに異常が検知されたときに自動停止動作を行うコンバインドプラントとその自動停止方法及び自動停止制御装置とに関するもので、特に、蒸気タービンとガスタービンとが同軸に構成される一軸コンバインドプラントとその自動停止方法及び自動停止制御装置とに関する。
【0002】
【従来の技術】
ガスタービンは、燃料ガス圧力やブレードパス温度などに異常が発生したとき、その異常状態に対して下記のような順を追って動作することで、保護される。燃料ガス圧力やブレードパス温度などのプロセス値のいずれかが危険度が低い警報値を超えたとき、運転員などに報知するために警報を発信する。又、プロセス値が警報値の次に危険度が高いランバックリミット値を超えたとき、プロセス値がランバックリミット値以下となるように、負荷を下げるようにガスタービンの動作制御を行う。又、プロセス値がランバックリミット値の次に危険度が高い自動停止リミット値を超えたとき、ガスタービンを自動停止させる。更に、プロセス値が自動停止リミット値の次に危険度が高いトリップ値を超えたとき、ガスタービンを強制停止させる。
【0003】
尚、自動停止とは、ガスタービンなどに与える機械的負荷などの影響が抑制された最適な状態でできるだけ早く停止させる場合の動作であり、又、強制停止とは、ガスタービンなどに与える機械的負荷などの影響を考慮せずに強制的に停止させる場合の動作である。
【0004】
このように燃料ガス圧力やブレードパス温度などのプロセス値を監視することによって、プロセス値より確認される危険度に応じて動作状態が設定されるガスタービンと、このガスタービンからの排ガスを利用して蒸気を発生する排ガスボイラと、排ガスボイラで発生した蒸気により回転する蒸気タービンと、を備えたコンバインドプラントが従来より使用されている。このようなコンバインドプラントにおいて、ガスタービンと蒸気タービンとが別軸となる多軸コンバインドプラントと、ガスタービンと蒸気タービンとが同軸となる一軸コンバインドプラントとがある。
【0005】
従来の技術として、複数のガスタービンと蒸気タービンとを備えた多軸コンバインドプラントにおける運転装置で、ガスタービン及び蒸気タービンの現在の運転状態に応じて、目標とする負荷を得るためにガスタービン及び蒸気タービンの最適な動作制御を行う運転装置が提供されている(特許文献1参照)。この運転装置を備えた多軸コンバインドプラントでは、現在の運転状態と目標とする負荷との関係より、最も早く目標となる負荷に到達する最終的な運転状態を確認し、この最終的な運転状態まで、最適な状態でガスタービン及び蒸気タービンの動作制御を行う。
【0006】
このとき、緊急時以外の通常運転において停止動作を行うとき、2つのガスタービンと1つの蒸気タービンとによる複合運転が行われている場合は、まず、一方のガスタービンと1つの蒸気タービンとによる複合運転とするとともに他方のガスタービンを単独運転させる。そして、単独運転中のガスタービンを停止させるか、又は、蒸気タービンを停止させた後に、1つのガスタービンのみが運転する状態とし、最後に、残りの運転しているガスタービンを停止させ、全てのタービンの動作を停止させる。このように、緊急時でない場合は、各タービンを同時に停止させることなく、段階毎に各タービンを停止させて、プラント全体を停止させる。
【0007】
又、同軸となるガスタービンと蒸気タービンとを備えた一軸コンバインドプラントでは、自動停止が行われるとき、図4に示すように、まず、軸全体による負荷を通常運転時の半分となるまで、ガスタービンに供給する燃料流量を下げる(期間Ta)。この一軸コンバインドプラントが発電機を備えるとき、この発電機からの出力(軸全体による負荷に相当)によりガスタービンに供給する燃料流量を制御するALR(Automatic Load dispatching Regulator)制御が行われるため、ALR制御による設定値を低くすることにより、燃料流量が下げられる。そして、発電機からの実出力をALR制御の設定値とするようにALR制御をトラッキングしてガスタービンへの燃料流量を制御することで、ガスタービンによる負荷が一定に保持される状態とする(期間Tb)。この期間Tbにおいて、蒸気タービンに蒸気を供給する蒸気加減弁を徐々に閉じることで、蒸気タービンの負荷を徐々に下げて、最終的に蒸気加減弁を全閉とする。
【0008】
このように蒸気タービンの負荷を0とすると、再び、この発電機出力(プラント全体の負荷)の目標値をALR制御の設定値とするようにしてガスタービンへの燃料流量を制御する。そして、発電機出力の目標値であるALRの設定値を下げてガスタービンに供給する燃料流量を絞る制御動作を行うことで、ガスタービンの負荷を最低値とするとともに、発電機出力を最低値とする(期間Tc)。このように、発電機出力を最低値とすると、解列する。そして、ガスタービンの冷却運転を実施した後、ガスタービンへの燃料を遮断して、ガスタービンを停止する(期間Td)。
【0009】
又、従来の技術として、本出願人は、ガスタービンと蒸気タービンとを備えた一軸コンバインドプラントにおける蒸気タービンの熱応力の低減を図るための運転方法を提案している(特許文献2参照)。この運転方法は、発電機の負荷急減や緊急停止となると、負荷低減信号が入力され、ガスタービンの負荷を下げるとともに、高圧加減弁を及び低圧蒸気加減弁を閉め始める。このようにすることで、高圧加減弁を全閉とするとともに低圧蒸気加減弁を微開としたときに、高圧蒸気温度の定格温度からの低下量を小さくすることができる。よって、蒸気タービンの負荷を最低値としたときに発生する熱応力を低減することができる。
【0010】
【特許文献1】
特開平5−321609号公報(図9)
【特許文献2】
特開平8−296405号公報(図1、【0014】、【0015】)
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1を含む多軸コンバインドプラントのように、蒸気タービンとガスタービンとを別軸とした場合、ガスタービンを蒸気タービンと独立して動作させることができるため、ガスタービンに異常が発生したとき、ガスタービンのみを緊急停止することができる。しかしながら、一軸コンバインドプラントのように、蒸気タービンとガスタービンとを同軸とした場合、図4又は特許文献2における運転方法のように、ガスタービンと蒸気タービンの両方を停止させる必要がある。
【0012】
このとき、図4のようにして運転状態を遷移させたとき、蒸気タービンを停止する際においてガスタービンの負荷を一定に保持する際に、蒸気タービンの負荷が十分に降下されていないことから、蒸気タービンの停止時における熱応力などをさけるために蒸気タービンの負荷を一定の割合で降下させる必要がある。よって、この蒸気タービンの負荷の降下に時間が余分にかかるため、ガスタービンを停止させるまでの時間がかかるという問題がある。
【0013】
又、特許文献2の運転方法においても、蒸気加減弁を徐々に絞ることにより蒸気タービンの負荷を徐々に低くするとともに、ガスタービンの負荷を徐々に低くすることで、全体の負荷を下げるようにしている。しかしながら、ガスタービンは、発電機出力などのプラント全体の負荷によって燃料流量がALR制御されている。そのため、プラント全体の負荷が下がっていても、蒸気タービンの負荷が下がった分だけ、ガスタービンの負荷を上げるような制御が行われることがあり、結果的に、ガスタービンを停止させるまでの時間がかかるという問題がある。
【0014】
このような問題を鑑みて、本発明は、コンバインドプラントを自動停止させるときALR制御による駆動にかかわらず早い時間でガスタービンを停止状態とすることができる自動停止制御装置及びコンバインドプラントの自動停止方法を提供することを目的とする。又、本発明は、このような自動停止制御装置を備えて自動停止を行うことができるコンバインドプラントを提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載のコンバインドプラントの自動停止方法は、ガスタービンと蒸気タービンとが同軸に設置されたコンバインドプラントに対して、該ガスタービンに異常が検知されたときに該ガスタービン及び前記蒸気タービンの回転を停止させるコンバインドプラントの自動停止方法において、前記ガスタービンに異常が検知されると、前記ガスタービンに燃焼ガスを供給する燃焼器への燃料流量を強制的に減少させる第1ステップと、該第1ステップでの動作を続けている間に、前記コンバインドプラント全体の負荷が第1所定値よりも低くなったことを検出したとき、又は、前記ガスタービンによる負荷が第2所定値よりも低くなったことを検出したとき、前記燃焼器へ供給する燃料流量を一定の値に保持するとともに、前記蒸気タービンへ供給する蒸気流量を急激に減少させる第2ステップと、該第1ステップでの動作を続けている間に、前記蒸気タービンの負荷が最低となったとき、前記燃焼器へ供給する燃料流量の保持を解除して、再び、強制的に減少させて、最終的に前記ガスタービンの回転を停止させる第3ステップと、によって構成されることを特徴とする。
【0016】
このとき、前記第1所定値を、前記蒸気タービンが最低負荷を維持するために必要な前記コンバインドプラント全体の負荷であるものとし、前記第2所定値を、前記蒸気タービンが停止して前記ガスタービン単体で回転しているときであっても逆電力発生を防止するために最低限必要となる負荷であるものとする。又、前記コンバインドプラントが通常動作を行っているとき、前記ガスタービンが前記コンバインドプラント全体の負荷により負荷制御されるものとしても構わない。このとき、更に、前記コンバインドプラントが通常動作を行っているとき、前記ガスタービンが前記ガスタービンの回転速度により周波数制御されるものとしても構わない。
【0017】
又、このようなコンバインドプラントの自動停止方法において、請求項2に記載するように、前記コンバインドプラントが、前記ガスタービンからの排ガスより前記蒸気タービンに供給する蒸気を発生する排ガスボイラを備え、前記第2ステップにおいて、前記排ガスボイラから前記蒸気タービンに供給される蒸気圧を一定に保つように前記蒸気流量を制御することで、前記蒸気流量を減少させるものとすることで、前記第2ステップに移行するときには、前記蒸気タービンによる負荷を減少させることができ、前記第2ステップにかかる時間を短縮することができる。
【0018】
又、請求項3に記載するように、前記ガスタービンの状態を表すプロセス値が第3所定値を超えたとき、前記第1〜第3ステップの動作が行われ、前記プロセス値が前記第3所定値より危険度の低い第4所定値を超えたとき、前記第1ステップの動作のみが行われるものとすることで、前記ガスタービンに発生した異常が危険度が低い場合、前記ガスタービンによる負荷を下げるのみのランバック機能を行うことができる。
【0019】
又、請求項4に記載するように、前記コンバインドプラントが、前記ガスタービン及び前記蒸気タービンによって回転する発電機と、該発電機の解列及び併入を行う主遮断機と、を備え、前記第3ステップでの動作を続けている間に、前記ガスタービンの負荷が前記第2所定値より低い第5所定値となったときに、前記主遮断機が解列する第4ステップを備えるものとしても構わない。このとき、前記発電機からの出力が、前記コンバインドプラント全体の負荷として検出される。
【0020】
請求項5に記載の自動停止制御装置は、ガスタービンと蒸気タービンとが同軸に設置されたコンバインドプラントに対して、該ガスタービンに異常が検知されたときに該ガスタービン及び前記蒸気タービンの回転を停止させる自動停止制御装置において、前記ガスタービンの状態を表すプロセス値が第1所定値を超えたとき、出力がハイとなる自動停止判定部と、該自動停止判定部からの出力がハイとなったとき、又は、前記プロセス値が前記第1所定値より危険度の低い第2所定値を超えたとき、ハイとなる第1制御信号を出力する第1制御部と、前記自動停止判定部からの出力がハイであるとき動作するとともに、前記コンバインドプラント全体の負荷が第3所定値よりも低くなったことを検出したとき、又は、前記ガスタービンによる負荷が4所定値よりも低くなったことを検出したとき、ハイとなる第2制御信号を出力し、前記蒸気タービンによる負荷が最低値となったことを検出したとき、前記第2制御信号をローとして出力する第2制御部と、前記ガスタービンへ燃焼ガスを供給する燃焼器への燃料流量を制御する燃料流量制御部と、前記蒸気タービンへ供給する蒸気流量を制御する蒸気流量制御部と、を備え、前記第1制御部よりハイとなる前記第1制御信号が前記燃料流量制御部へ出力されるとともに前記第2制御部からの前記第2制御信号がローであるとき、前記燃料流量制御部によって前記燃焼器へ供給される燃料流量を減少させるとともに、前記第2制御部よりハイとなる前記第2制御信号が前記燃料流量制御部及び前記蒸気流量制御部へ出力されたとき、前記燃料流量制御部によって前記燃焼器へ供給される燃料流量を一定に保持させるとともに、前記蒸気流量制御部によって前記蒸気タービンへ供給される蒸気流量を急激に減少させることを特徴とする。
【0021】
このとき、前記第3所定値を、前記蒸気タービンが最低負荷を維持するために必要な前記コンバインドプラント全体の負荷であるものとし、前記第4所定値を、前記蒸気タービンが停止して前記ガスタービン単体で回転しているときであっても逆電力発生を防止するために最低限必要となる負荷であるものとする。又、前記コンバインドプラントが通常動作を行っているとき、前記ガスタービンが前記コンバインドプラント全体の負荷により負荷制御されるものとしても構わない。このとき、更に、前記コンバインドプラントが通常動作を行っているとき、前記ガスタービンが前記ガスタービンの回転速度により周波数制御されるものとしても構わない。
【0022】
又、請求項6に記載するように、前記第2制御部からの前記第2制御信号がローであるとき、前記蒸気流量制御部が、前記ガスタービンからの排ガスより前記蒸気タービンに供給する蒸気を発生する排ガスボイラからから前記蒸気タービンに供給される蒸気圧を一定に保つように前記蒸気流量を制御することで、前記第2制御部が前記第2制御信号をハイとしたときには、前記蒸気タービンによる負荷を減少させることができ、前記蒸気タービンの負荷を最低値とするまでにかかる時間を短縮することができる。
【0023】
又、請求項7に記載するように、前記ガスタービン及び前記蒸気タービンによって回転する発電機の解列及び併入を行う主遮断機の動作を制御する主遮断機制御部を備え、前記第1制御部からの前記第1制御信号がハイであるとき、前記ガスタービンの負荷が前記第4所定値より低い第5所定値となったときに、前記主遮断機制御部が前記主遮断機が解列するように制御するものとしても構わない。このとき、前記発電機からの出力により、前記コンバインドプラント全体の負荷を確認する。又、前記主遮断機の解列を確認すると、当該自動停止制御装置による制御動作を停止する。
【0024】
請求項8に記載するコンバインドプラントは、ガスタービンと、該ガスタービンと同軸となる前記蒸気タービンと、請求項5に記載の自動停止制御装置と、を備えることを特徴とする。又、請求項9に記載するコンバインドプラントは、ガスタービンと、該ガスタービンと同軸となる前記蒸気タービンと、前記ガスタービンからの排ガスより前記蒸気タービンに供給する蒸気を発生する排ガスボイラと、請求項6に記載の自動停止制御装置と、を備えることを特徴とする。又、請求項10に記載するコンバインドプラントは、ガスタービンと、該ガスタービンと同軸となる前記蒸気タービンと、前記ガスタービン及び前記蒸気タービンによって回転する発電機と、該発電機の解列及び併入を行う主遮断機と、請求項7に記載の自動停止制御装置と、を備えることを特徴とする。
【0025】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。図1は、本発明のコンバインドプラントの構成を示すブロック図である。図2は、図1のコンバインドプラント内の制御装置の内部構成の一部を示すブロック図である。
【0026】
図1のコンバインドプラントは、外気を圧縮する圧縮機1と、圧縮機1からの圧縮空気により燃料を燃焼して燃焼ガスを供給する燃焼器2と、燃焼器2から供給される燃焼ガスにより回転するガスタービン3と、ガスタービン3からの排ガスにより蒸気を発生する排ガスボイラ(HRSG)4と、HRSG4からの蒸気により回転する蒸気タービン5と、ガスタービン3及び蒸気タービン5とによって回転して発電する発電機6と、電力を外部へ供給する供給路と発電機6との電気的な接続を接離する主遮断機7と、蒸気タービン5から排出される蒸気を回収するとともに回収した蒸気をHRSG4に供給する復水器8と、HRSG4からの排出されるガスタービン3からの排ガスを排出する煙突9と、自動停止制御を含む各ブロックの動作制御を行う制御装置10と、を備える。このコンバインドプラントは、ガスタービン3と蒸気タービン5とが同軸とされる一軸コンバインドプラントである。
【0027】
又、このコンバインドプラントは、燃焼器2に供給する燃料の燃料流量を調整する燃料制御弁2aと、HRSG4で発生された圧力の高い蒸気の蒸気タービン5への供給量を制御する高圧蒸気加減弁(HPCV)5aと、HRSG4で発生された圧力の低い蒸気の蒸気タービン5への供給量を制御する低圧蒸気加減弁(LPCV)5bと、を備える。この燃料制御弁2a及びHPCV5a及びLPCV5bはそれぞれ、制御装置10より信号が与えられて、その開度が制御される。
【0028】
このような構成のコンバインドプラントにおいて、制御装置10の一部が、図2のように構成されることによって、緊急時における自動停止制御を行う。図2の制御装置10は、発電機6をはじめとする各ブロックからの信号に基づいてガスタービン3による負荷を演算するとともに演算して得られたこのガスタービン3の負荷(以下、「演算負荷」と呼ぶ)が所定値X1,X2(X2≦X1)を超えているか否かを確認するガスタービン出力確認部11と、主遮断機7からの信号に基づいて主遮断機7の状態が解列状態であるか併入状態であるかを確認する主遮断機確認部12と、発電機6からの信号に基づいて発電機6の出力(プラント全体の負荷に相当)が所定値Yを超えているか否かを確認する発電機出力確認部13と、各ブロックよりそのプロセス値が自動停止リミット値を超えた異常状態であることを示す複数の信号が入力されるOR回路O1と、各ブロックよりそのプロセス値がランバックリミット値を超えた異常状態であることを示す複数の信号とOR回路O1からの出力とが入力されるOR回路O2と、を備える。
【0029】
尚、所定値X1は、ガスタービン3が単独で運転した場合においても発電機6から逆電力が発生することを防止するために最低限必要なガスタービン3の負荷に相当する値である。又、所定値Yは、蒸気タービン5をモータリングなどから保護するための最低負荷を蒸気タービン5が維持するために必要な発電機6の出力に相当する値である。更に、ガスタービン出力確認部11より、蒸気タービン5からの負荷が最低となり、発電機6の出力がガスタービン3の負荷のみによるものであるか否かを示す信号が出力される。
【0030】
又、図2の制御装置10は、ガスタービン出力確認部11からの信号を反転するインバータI1と、主遮断機確認部12からの信号を反転するインバータI2と、ガスタービン出力確認部11及び発電機出力確認部13からの出力が入力されるNAND回路Na1と、OR回路O2からの出力とインバータI1からの出力とが入力されるAND回路A1と、OR回路O2からの出力とインバータI2からの出力とが入力されるAND回路A2と、ガスタービン出力確認部11からの出力と後述する蒸気タービントリップ制御部14からの信号とが入力されるNAND回路Na2と、OR回路O1からの出力とNAND回路Na1,Na2からの出力とが入力されるAND回路A3と、を備える。
【0031】
このとき、OR回路O2からの出力がランバック指令信号として、AND回路A1からの出力が主遮断機解列指令信号として、AND回路A2からの出力がランバック自動停止指令信号として、AND回路A3からの出力が蒸気タービントリップ指令信号及びガスタービン負荷ホールド指令信号として、それぞれ後段の回路に出力される。
【0032】
又、図2の制御装置10は、運転員などによって設定される発電機6の目標出力(プラント全体の目標負荷に相当)が与えられるとともにその変化率を制限するレートリミッタL1と、レートリミッタL1からの出力と発電機6からの実際の出力の測定値の差分を求める減算回路D1と、減算回路D1からの出力が所定値x1以上となったときに信号を出力するリミッタL2aと、減算回路D1からの出力が所定値x2以下となったときに信号を出力するリミッタL2bと、ランバック指令信号を反転するインバータI3と、リミッタL2aの出力とインバータI3で反転されたランバック指令信号とが入力されるAND回路A4と、リミッタL2bの出力とランバック指令信号とが入力されるOR回路O3と、AND回路A4及びOR回路O3からの出力に基づいてガスタービン3の回転速度の目標値に相当する値SPSETを出力するアナログメモリM1と、アナログメモリM1から出力される値SPSETとガスタービン3の実際の回転速度の測定値との差分値を求める減算回路D2と、減算回路D2からの信号を増幅するアンプKと、を備える。
【0033】
又、図2の制御装置10は、アナログメモリM2の出力とレートリミッタL1からの出力との差分値を求める減算回路D3と、減算回路D3からの出力が所定値y1以上となったときに信号を出力するリミッタL3aと、減算回路D3からの出力が所定値y2以下となったときに信号を出力するリミッタL3bと、ランバック指令信号を反転するインバータI4と、リミッタL3aの出力とインバータI4で反転されたランバック指令信号とが入力されるAND回路A5と、リミッタL3bの出力とランバック指令信号とが入力されるOR回路O4と、AND回路A5及びOR回路O4からの出力に基づいて発電機6の負荷の目標値に相当する値LDSETを出力するアナログメモリM2と、アナログメモリM2からの値LDSETと発電機6の実際の出力の測定値とから選択して出力する選択回路S2と、選択回路S2で選択された値と発電機6の実際の出力の測定値との差分値を求める減算回路D4と、減算回路D4からの信号に積分成分を負荷するPI制御回路PIと、を備える。
【0034】
更に、図2の制御装置10は、アナログメモリM1で値SPSETを変化させる変化率Δsを格納した変化率メモリM3aと、アナログメモリM1で値SPSETを変化させる変化率として0を格納した変化率メモリM3bと、変化率メモリM3a,M3bそれぞれから出力される値を選択してアナログメモリM1に与える選択回路S1と、アンプKからの出力とPI制御回路PIからの出力とを加算して燃料流量指令信号(CSO)を出力する加算回路A6と、HPCV5a及びLPCV5bの開度を微開とする制御信号を出力する蒸気タービントリップ制御部14と、HRSG4からの蒸気圧力を一定に保持するようにHPCV5a及びLPCV5bの開度を制御するための信号を出力する圧力制御部15と、蒸気タービントリップ制御部14からの信号と圧力制御部15からの信号とを選択してHPCV5a及びLPCV5bの制御信号として出力する選択回路S3と、を備える。
【0035】
このように制御装置10が構成するとき、通常運転時においては、選択回路S1,S2に入力されるガスタービン負荷ホールド指令信号がローであるため、選択回路S1が変化率メモリM3aからの変化率Δsを選択するとともに、選択回路S2がアナログメモリM2から出力される値LDSETを選択する。又、インバータI3,I4及びOR回路O3,O4に入力されるランバック指令信号がローである。よって、AND回路A4,A5にはインバータI3,I4からハイとなる信号が入力され、リミッタL2a,L3aそれぞれからの出力がアナログメモリM1,M2に入力される。又、OR回路O3,O4それぞれからは、リミッタL2b,L3bからの出力のみがアナログメモリM1,M2に出力される。
【0036】
よって、レートリミッタL1で変化率が制限された目標出力となる値が、減算回路D1,D3に入力されると、この目標出力となる値から、減算回路D1では発電機6の出力の測定値が減算されるとともに、減算回路D3では、アナログメモリM2から出力される値LDSETが減算される。そして、減算回路D1からの出力がリミッタL2a,L2bに入力されると、リミッタL2a,L2bにおいて所定値x1,x2と比較される。又、減算回路D3からの出力がリミッタL3a,L3bに入力されると、リミッタL3a,L3bにおいて所定値y1,y2と比較される。
【0037】
よって、減算回路D1からの値がx1以上のとき、リミッタL2aからハイの信号がAND回路A4を通じてアナログメモリM1に与えられて、アナログメモリM1から出力される値SPSETが増加する。又、減算回路D1からの値がx2以下のとき、リミッタL2bからハイの信号がOR回路O3を通じてアナログメモリM1に与えられて、アナログメモリM1から出力される値SPSETが減少する。又、減算回路D1からの値がx2より大きくx1より小さいとき、リミッタL2a,L2bそれぞれからローの信号がAND回路A4及びOR回路O3を通じてアナログメモリM1に与えられて、アナログメモリM1から出力される値SPSETが保持される。
【0038】
又、減算回路D3からの値がy1以上のとき、リミッタL3aからハイの信号がAND回路A5を通じてアナログメモリM2に与えられて、アナログメモリM2から出力される値LDSETが増加する。又、減算回路D3からの値がy2以下のとき、リミッタL3bからハイの信号がOR回路O4を通じてアナログメモリM2に与えられて、アナログメモリM2から出力される値LDSETが減少する。又、減算回路D3からの値がy2より大きくy1より小さいとき、リミッタL3a,L3bそれぞれからローの信号がAND回路A5及びOR回路O4を通じてアナログメモリM2に与えられて、アナログメモリM2から出力される値LDSETが保持される。
【0039】
そして、このようにアナログメモリM1から出力される値SPSETが減算回路D2に与えられると、ガスタービン3の回転速度の計測値が減算されて、アンプKに与えられる。このアンプKで増幅された値が、周波数制御を行うための信号GVCSOとして加算回路A6に与えられる。又、アナログメモリM2から出力される値LDSETが減算回路D4に与えられると、発電機6の出力の計測値が減算されて、PI制御回路PIに与えられる。このPI制御回路PIで積分成分が付加された値が、負荷制御を行うための信号LDCSOとして加算回路A6に与えられる。そして、加算回路A6において、信号GVCSOと信号LDCSOを加算して、CSOを生成して燃料制御弁2aに与えて燃料制御弁2aの開度を制御し、燃焼器2へ供給する燃料流量を制御する。
【0040】
又、OR回路O1,O2からの出力はローであるため、AND回路A1からの主遮断機解列指令信号がローであり、又、AND回路A2からのランバック自動停止指令信号がローである。又、AND回路A3からの蒸気タービントリップ指令信号がローであるため、選択回路S3が圧力制御部15からの信号を選択して、HRSG4からの蒸気圧力を一定に保持するようにHPCV5a及びLPCV5bの開度を制御する。
【0041】
このように信号を出力する制御装置10を備えたコンバインドプラントにおいて、ガスタービン3に異常が発生したときの動作について、以下に説明する。まず、ガスタービン3におけるプロセス値の一つがランバックリミット値を超えてOR回路O2に入力される信号の一つがハイとなったときの動作について説明する。このとき、OR回路O2の出力がハイとなるため、ランバック指令信号がハイとなる。又、いずれのプロセス値も自動停止リミット値を超えていないため、OR回路O1の出力はローである。よって、ガスタービン負荷ホールド指令信号がローであるため、選択回路S1が変化率メモリM3a内の変化率を選択し、又、選択回路S2がアナログメモリM2から出力される値LDSETを選択する。更に、蒸気タービントリップ指令信号がローであるため、選択回路S3が圧力制御部15からの信号を選択する。
【0042】
尚、ガスタービン3の演算負荷が所定値X1より大きいため、ガスタービン出力確認部11からの所定値X1,X2との比較を表す出力がハイである。又、主遮断機7が併入しているため、主遮断機確認部12からの出力がハイである。又、発電機6の出力が所定値Yより大きいため、発電機出力確認部13からの所定値Yとの比較を表す出力がハイである。又、発電機6の出力とガスタービン3の負荷とが一致していないので、ガスタービン出力確認部11からNAND回路Na2への出力がローである。又、蒸気タービントリップ指令信号がローであることより蒸気タービントリップ制御部14が動作していない。よって、AND回路A1,A2それぞれから出力されるランバック主遮断機解列指令信号及びランバック自動停止指令信号がローであるとともに、NAND回路Na2の出力がハイとなる。
【0043】
そして、ランバック指令信号がハイであるため、インバータI3,I4の出力がローとなり、AND回路A4,A5の出力がローとなり、リミッタL2a,L3aからの出力のアナログメモリM1,M2への入力を禁止する。又、ハイとなるランバック指令信号がOR回路O3,O4を通じてアナログメモリM1,M2に入力されるため、アナログメモリM1,M2から出力される値SPSET,LDSETそれぞれが減少する。このように一定の割合で減少する値SPSET,LDSETが減算回路D2,D4に与えられるため、加算回路A6より出力されるCSOの値が低くなる。
【0044】
このようにして、その値が減少するCSOが燃料制御弁2aに与えられるため、燃料制御弁2aが徐々に閉められて燃焼器2への燃料流量が減少し、ガスタービン3の負荷を下降させる。このとき、ガスタービン3からの排ガスによる熱量が減少するため、HRSG4における蒸気発生量も減少して、その蒸気圧力が下降する。そして、この蒸気圧力の測定値が圧力制御部15に与えられるため、圧力制御部15では、HRSG4からの蒸気圧力を一定に保つように、HPCV5a及びLPCV5bを徐々に閉じる制御信号を発生し、選択回路S3を通じてHPCV5a及びLPCV5bに与える。よって、HPCV5a及びLPCV5bが徐々に閉じるため、蒸気タービン5へ流入される蒸気流量が減少し、蒸気タービン5の負荷が下降する。
【0045】
このように、ガスタービン3及び蒸気タービン5それぞれの負荷が下降するため、発電機6からの出力も下降する。そして、ガスタービン出力確認部11において確認されるガスタービン3の演算負荷が所定値X1を超えたままであり、且つ、発電機出力確認部1において確認される発電機6の出力が所定値Yを超えたままであるときに、プロセス値がランバックリミット値を下回ってガスタービン3が正常な動作状態となると、OR回路O2からの出力がローとなる。よって、通常の動作状態に戻って、AND回路A4,A5を通じてリミッタL2a,L3aからの出力がアナログメモリM1,M2に入力されるとともに、OR回路O3,O4を通じてリミッタL2b,L3bからの出力がアナログメモリM1,M2に入力されるようになる。
【0046】
次に、ガスタービン3におけるプロセス値の一つが自動停止リミット値を超えてOR回路O1に入力される信号の一つがハイとなったときの動作について説明する。尚、このときの動作状態の変遷を、ガスタービン3及び蒸気タービン5による負荷と発電機6の出力とを示した図3のグラフによって表す。このとき、OR回路O1の出力がハイとなるため、OR回路O1の出力が入力されるOR回路O2の出力であるランバック指令信号もハイとなる。
【0047】
尚、ガスタービン3の演算負荷が所定値X1より大きいため、ガスタービン出力確認部11からの所定値X1,X2との比較を表す出力がハイである。又、主遮断機7が併入しているため、主遮断機確認部12からの出力がハイである。又、発電機6の出力が所定値Yより大きいため、発電機出力確認部13からの所定値Yとの比較を表す出力がハイである。よって、AND回路A1〜A3それぞれから出力されるランバック主遮断機解列指令信号及びランバック自動停止指令信号及び蒸気タービントリップ指令信号及びガスタービン負荷ホールド指令信号がローである。
【0048】
又、発電機6の出力とガスタービン3の負荷とが一致していないので、ガスタービン出力確認部11からNAND回路Na2への出力がローである。又、蒸気タービントリップ指令信号がローであり、蒸気タービントリップ制御部14が動作していないので、蒸気タービントリップ制御部14からNAND回路Na2への出力がローである。よって、NAND回路Na2の出力がハイとなる。
【0049】
即ち、ガスタービン3におけるプロセス値の1つがランバックリミット値を超えた場合と同様、AND回路A4,A5によって、リミッタL2a,L3aからの出力がアナログメモリM1,M2に入力されることが禁止されるとともに、OR回路O3,O4を通じてハイとなるランバック指令信号がアナログメモリM1,M2に入力される。そのため、アナログメモリM1,M2から出力される値SPSET,LDSETがそれぞれ、一定の割合で徐々に減少し、加算回路A6より出力されるCSOの値が徐々に減少する。
【0050】
よって、燃料制御弁2aが徐々に閉められて燃焼器2への燃料流量が減少し、図3の期間T1のように、ガスタービン3の負荷が下降する。このとき、HRSG4からの蒸気圧力が下降するため、圧力制御部15では、HRSG4からの蒸気圧力を一定に保つように、HPCV5a及びLPCV5bを徐々に閉じる制御信号を発生し、選択回路S3を通じてHPCV5a及びLPCV5bに与える。よって、HPCV5a及びLPCV5bが徐々に閉じるため、図3の期間T1のように、蒸気タービン5へ流入される蒸気流量が減少し、蒸気タービン5の負荷が下降する。よって、図3の期間T1では、ガスタービン3及び蒸気タービン5の負荷が徐々に下降するとともに、発電機1の出力も徐々に下降する。
【0051】
この期間T1における発電機6の出力の降下レートが小さく、発電機6の出力がゆっくりと降下する場合は、HRSG4から発生する蒸気が少なくなっているため、ガスタービン3単独で動作している状態とほぼ等しくなる。よって、ガスタービン3の演算負荷が所定値X1より低くなり、ガスタービン出力確認部11からの所定値X1との比較を表す出力がローとなるため、NAND回路Na1からの出力がハイとなり、AND回路A3から出力される蒸気タービントリップ指令信号及びガスタービン負荷ホールド指令信号がハイとなる。
【0052】
又、期間T1における発電機6の出力の降下レートが大きく、発電機6の出力が早く降下する場合は、HRSG4からは十分な蒸気が発生しているため、ガスタービン3及び蒸気タービン5の両方が動作している状態である。よって、発電機6の出力が所定値Yより低くなり、発電機出力確認部13からの所定値Yとの比較を表す出力がローとなるため、NAND回路Na1からの出力がハイとなり、AND回路A3から出力される蒸気タービントリップ指令信号及びガスタービン負荷ホールド指令信号がハイとなる。尚、図3では、期間T1における発電機6の出力の降下レートが大きい場合の動作状態を示す。
【0053】
このようにすることで、図3の時刻t1においてハイとなるガスタービン負荷ホールド指令信号が選択回路S1,S2に入力されるとともに、ハイとなる蒸気タービントリップ指令信号が蒸気タービントリップ制御部14と選択回路S3に入力される。よって、選択回路S1が変化率メモリM3bからの0となる変化率を選択し、選択回路S2が発電機6の出力の測定値を選択し、蒸気タービントリップ制御部14が駆動するとともに選択回路S3が蒸気タービントリップ制御部14からの信号を選択する。又、蒸気タービントリップ制御部14が駆動するため、蒸気タービントリップ制御部14からNAND回路Na2への出力がハイとなる。この蒸気タービントリップ制御部14からNAND回路Na2への出力がハイとなると、ランバック自動停止指令信号がハイとなるまでハイのままである。
【0054】
よって、アナログメモリM1での変化率が0となるため、アナログメモリM1から出力される値SPSETは、時刻t1における値に保持される。又、選択回路S2から減算回路D4に発電機6の出力の測定値が入力されるため、減算回路D4から出力される値が0となる。又、蒸気タービントリップ制御部14からの制御信号がHPCV5a及びLPCV5bに与えられるため、HPCV5a及びLPCV5bが微開となるまで開度が急激に閉じられる。
【0055】
このように制御装置10が動作することで、HPCV5a及びLPCV5bを微開として蒸気タービン5へ供給する蒸気流量を急激に微量とするため、図3の期間T2のように、蒸気タービン5による推進トルクを失って、その負荷が最低値まで急降下するとともに、発電機6の出力も急降下する。又、この期間T2では、アナログメモリM1から出力される値SPSETを変化させないようにするとともに減算回路D3からの出力を0とすることによって、CSOの値が負荷制御されないようにする。このようにして、燃焼器2へ供給される燃料流量が変化しないようにして燃焼器2を保護する。尚、この期間T2において、HPCV5aを全閉とするようにしても構わない。
【0056】
そして、時刻t2において、蒸気タービン5の負荷が最低となり、発電機6の出力とガスタービン3の負荷とが一致するため、ガスタービン出力確認部11からNAND回路Na2への出力がハイとなり、NAND回路Na2からの出力がローとなる。よって、AND回路A3から出力される蒸気タービントリップ指令信号及びガスタービン負荷ホールド指令信号がローとなる。又、このとき、ガスタービン3の負荷は変化しないので、発電機6の出力とガスタービン3による負荷とが等しくなる。
【0057】
このようにしてローとなるガスタービン負荷ホールド指令信号が選択回路S1,S2に入力されるとともに、ローとなる蒸気タービントリップ指令信号が選択回路S3に入力される。よって、選択回路S1が変化率メモリM3aからのΔsとなる変化率を選択し、選択回路S2がアナログメモリM2から出力される値LDSETを選択し、選択回路S3が圧力制御部15からの信号を選択する。このとき、ローとなる蒸気タービントリップ指令信号が入力される蒸気タービントリップ制御部14の駆動が停止するが、蒸気タービントリップ制御部14からNAND回路Na2への出力がハイのままであるため、NAND回路Na2からの出力はローのままとなる。
【0058】
このようにして、図3の期間T1と同様、ランバック指令信号による制御動作が行われる。即ち、燃料制御弁2aが徐々に閉められて燃焼器2への燃料流量が減少し、図3の期間T3のように、ガスタービン3の負荷が下降する。又、このガスタービン3の負荷が発電機6の出力に反映されるため、発電機6の出力がガスタービン3の負荷と同様に下降する。
【0059】
そして、時刻t3において、ガスタービン3の演算負荷が所定値X2より低くなり、ガスタービン出力確認部11からの所定値X2との比較を表す出力がローとなるため、インバータI1からの出力がハイとなり、AND回路A1からの出力がハイとなる。よって、AND回路A1から出力される主遮断機解列指令信号がハイとなるため、ハイとなる主遮断機解列指令信号が主遮断機7に与えられ、主遮断機7が解列する。その後、主遮断機7が解列したことを主遮断機確認部12が確認すると、主遮断機確認部12からの出力がローとなる。
【0060】
よって、インバータI2からの出力がハイとなり、AND回路A2から出力されるランバック自動停止指令信号がハイとなるため、図3の期間T4において、ガスタービン3の冷却運転を開始する。そして、この期間T4におけるガスタービン3の冷却運転が行われると、時刻t4において、燃料制御弁2aを閉じて、燃焼器2へ供給する燃料を遮断することで、ガスタービン3を停止させる。又、ランバック自動停止指令信号がハイとなることより、蒸気タービントリップ制御部14からNAND回路Na2への出力がローとなる。
【0061】
尚、本実施形態において、ハイとなるランバック指令信号がOR回路O2より出力されると、リミッタL2a,L3aからの出力がアナログメモリM1,M2に入力されることがAND回路A4,A5によって禁止されるものとしたが、発電機6の出力の測定値がトラッキングされるようにしても構わない。即ち、例えば、リミッタL1からの出力と発電機6の出力の測定値とから選択して減算回路D1に入力する選択回路を設け、ハイとなるランバック指令信号がOR回路O2より出力されると、この選択回路が発電機6の出力の測定値を選択して、減算回路D1からの出力が0となる。よって、OR回路O3を介してアナログメモリM1に入力されるランバック指令信号により、SPSETの値が減少する。このように、SPSET及びLDSETの値がそれぞれ、アナログメモリM1,M2に入力されるランバック指令信号により減少するようにする構成であれば、他の構成としても構わない。
【0062】
更に、本実施形態では、図2のような構成の制御装置10としたが、このような構成に限ることなく、例えば、この制御装置10における動作を行うようなプログラムを記録したメモリを備えるとともに、このプログラムに応じて動作する制御部を備えるような構成の制御装置であっても構わない。
【0063】
【発明の効果】
本発明によると、ガスタービン及び蒸気タービンが同軸に設置された一軸のコンバインドプラントにおいても、ガスタービンに異常が発生して自動停止を行う必要がある場合、ガスタービンの負荷を一定に保持したまま蒸気タービンの負荷を下降させるため、従来のように、蒸気タービンの負荷を強制的に下降させたときにガスタービンの負荷が上昇することを防ぐことができ、自動停止にかかる時間を短くすることができる。
【0064】
又、本発明によると、自動停止を開始したときに、ガスタービンの負荷を下降させるとともに、ガスタービンの負荷の下降とともに蒸気タービンに供給する蒸気流量を減少させて蒸気タービンの負荷を下降させることができる。そのため、ガスタービンの負荷を一定にして蒸気タービンの負荷の下降を開始するときの蒸気タービンの負荷を低くすることができる。よって、ガスタービンの負荷を一定に保持したまま蒸気タービンの負荷を下降させるときにかかる時間を短くして、自動停止にかかる時間を短縮することができる。又、コンバインドプラント全体の負荷が所定値となり蒸気タービンの負荷の強制的な下降を開始するとき、従来と比べて十分に蒸気タービンの負荷を低くすることができる。よって、蒸気タービンの負荷を急激に下降させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のコンバインドプラントの構成を示すブロック図。
【図2】 図1のコンバインドプラント内の制御装置の内部構成の一部を示すブロック図。
【図3】 図1のコンバインドプラントの自動停止動作時における動作状態の変遷を示す図。
【図4】 従来のコンバインドプラントの自動停止動作時における動作状態の変遷を示す図。
【符号の説明】
1 圧縮機
2 燃焼器
3 ガスタービン
4 排ガスボイラ
5 蒸気タービン
6 発電機
7 主遮断機
8 復水器
9 煙突
10 制御装置
Claims (10)
- ガスタービンと蒸気タービンとが同軸に設置されたコンバインドプラントに対して、該ガスタービンに異常が検知されたときに該ガスタービン及び前記蒸気タービンの回転を停止させるコンバインドプラントの自動停止方法において、
前記ガスタービンに異常が検知されると、前記ガスタービンに燃焼ガスを供給する燃焼器への燃料流量を強制的に減少させる第1ステップと、
該第1ステップでの動作を続けている間に、前記コンバインドプラント全体の負荷が第1所定値よりも低くなったことを検出したとき、又は、前記ガスタービンによる負荷が第2所定値よりも低くなったことを検出したとき、前記燃焼器へ供給する燃料流量を一定の値に保持するとともに、前記蒸気タービンへ供給する蒸気流量を急激に減少させる第2ステップと、
該第1ステップでの動作を続けている間に、前記蒸気タービンの負荷が最低となったとき、前記燃焼器へ供給する燃料流量の保持を解除して、再び、強制的に減少させて、最終的に前記ガスタービンの回転を停止させる第3ステップと、
によって構成されることを特徴とするコンバインドプラントの自動停止方法。 - 前記コンバインドプラントが、前記ガスタービンからの排ガスより前記蒸気タービンに供給する蒸気を発生する排ガスボイラを備え、
前記第2ステップにおいて、前記排ガスボイラから前記蒸気タービンに供給される蒸気圧を一定に保つように前記蒸気流量を制御することで、前記蒸気流量を減少させることを特徴とする請求項1に記載のコンバインドプラントの自動停止方法。 - 前記ガスタービンの状態を表すプロセス値が第3所定値を超えたとき、前記第1〜第3ステップの動作が行われ、
前記プロセス値が前記第3所定値より危険度の低い第4所定値を超えたとき、前記第1ステップの動作のみが行われることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のコンバインドプラントの自動停止方法。 - 前記コンバインドプラントが、前記ガスタービン及び前記蒸気タービンによって回転する発電機と、該発電機の解列及び併入を行う主遮断機と、を備え、
前記第3ステップでの動作を続けている間に、前記ガスタービンの負荷が前記第2所定値より低い第5所定値となったときに、前記主遮断機が解列する第4ステップを備えることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載のコンバインドプラントの自動停止方法。 - ガスタービンと蒸気タービンとが同軸に設置されたコンバインドプラントに対して、該ガスタービンに異常が検知されたときに該ガスタービン及び前記蒸気タービンの回転を停止させる自動停止制御装置において、
前記ガスタービンの状態を表すプロセス値が第1所定値を超えたとき、出力がハイとなる自動停止判定部と、
該自動停止判定部からの出力がハイとなったとき、又は、前記プロセス値が前記第1所定値より危険度の低い第2所定値を超えたとき、ハイとなる第1制御信号を出力する第1制御部と、
前記自動停止判定部からの出力がハイであるとき動作するとともに、前記コンバインドプラント全体の負荷が第3所定値よりも低くなったことを検出したとき、又は、前記ガスタービンによる負荷が第4所定値よりも低くなったことを検出したとき、ハイとなる第2制御信号を出力し、前記蒸気タービンによる負荷が最低値となったことを検出したとき、前記第2制御信号をローとして出力する第2制御部と、
前記ガスタービンへ燃焼ガスを供給する燃焼器への燃料流量を制御する燃料流量制御部と、
前記蒸気タービンへ供給する蒸気流量を制御する蒸気流量制御部と、
を備え、
前記第1制御部よりハイとなる前記第1制御信号が前記燃料流量制御部へ出力されるとともに前記第2制御部からの前記第2制御信号がローであるとき、前記燃料流量制御部によって前記燃焼器へ供給される燃料流量を減少させるとともに、
前記第2制御部よりハイとなる前記第2制御信号が前記燃料流量制御部及び前記蒸気流量制御部へ出力されたとき、前記燃料流量制御部によって前記燃焼器へ供給される燃料流量を一定に保持させるとともに、前記蒸気流量制御部によって前記蒸気タービンへ供給される蒸気流量を急激に減少させることを特徴とする自動停止制御装置。 - 前記第2制御部からの前記第2制御信号がローであるとき、前記蒸気流量制御部が、前記ガスタービンからの排ガスより前記蒸気タービンに供給する蒸気を発生する排ガスボイラからから前記蒸気タービンに供給される蒸気圧を一定に保つように前記蒸気流量を制御することを特徴とする請求項5に記載の自動停止制御装置。
- 前記ガスタービン及び前記蒸気タービンによって回転する発電機の解列及び併入を行う主遮断機の動作を制御する主遮断機制御部を備え、
前記第1制御部からの前記第1制御信号がハイであるとき、前記ガスタービンの負荷が前記第4所定値より低い第5所定値となったときに、前記主遮断機制御部が前記主遮断機が解列するように制御することを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の自動停止制御装置。 - ガスタービンと、該ガスタービンと同軸となる前記蒸気タービンと、請求項5に記載の自動停止制御装置と、を備えることを特徴とするコンバインドプラント。
- ガスタービンと、該ガスタービンと同軸となる前記蒸気タービンと、前記ガスタービンからの排ガスより前記蒸気タービンに供給する蒸気を発生する排ガスボイラと、請求項6に記載の自動停止制御装置と、を備えることを特徴とするコンバインドプラント。
- ガスタービンと、該ガスタービンと同軸となる前記蒸気タービンと、前記ガスタービン及び前記蒸気タービンによって回転する発電機と、該発電機の解列及び併入を行う主遮断機と、請求項7に記載の自動停止制御装置と、を備えることを特徴とするコンバインドプラント。
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