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JP4135726B2 - 製造条件設定システム、製造条件設定方法、制御プログラムおよびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体 - Google Patents

製造条件設定システム、製造条件設定方法、制御プログラムおよびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体 Download PDF

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Description

本発明は、製造設備の設定値等の動的条件を推定する製造条件設定システム、製造条件設定方法、制御プログラムおよびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関するものである。
製品品質、生産効率を向上させるためには、製品機種、部品特性等の静的条件の変更時点の最初から、製造設備の設定値等の動的条件を最適化することが重要である。
従来の製造条件設定装置としては、次に示すようなものがある。
特許文献1には、製造条件(素材仕様、加工条件等)と製品仕様の経験則を保持するエキスパートシステムにおいて、製品仕様に適合する素材を選択、素材と製品仕様から加工条件を決定、少量の試作品や抜き取り検査の結果により加工条件を調整、学習する技術が記載されている。
特許文献2には、鋼板等の連続圧延制御において、鋼種、板厚、板幅等により区分されるロットの習熟度をチェックし、低い場合は習熟度の高く、近い種類のロットの学習結果を使用して、制御方法を補正する技術が記載されている。
特許文献3には、熱間加工鋼材において、成分、加熱/加工条件に応じて、変態予測モデルにより冷却後の鋼材の組織を予測する技術が記載されている。
特許文献4には、グループ分けした製品の種類、処理条件ごとの数式モデル(指数平滑法)からの予測値と実績値のオフセット量を保持しておき、時間的な変動分は共通的に補正量を求める技術が記載されている。
特許第3195637号公報(登録日:平成13(2001)年6月1日) 特開2000−263110号公報(公開日:平成12(2000)年9月26日) 特開平6−330164号公報(公開日:平成6(1994)年11月29日) 特開平10−187206号公報(公開日:平成10(1998)年7月14日)
しかしながら、上記のような従来の製造条件設定装置にあっては、以下に示すような問題点がある。
・静的条件の組み合わせの種類が多いと、全ての静的条件の組み合わせに対する動的条件の知識を獲得することが困難になるので、システムを構築して運用開始するための工数が増加する。
・一度システムに構築した知識は過去の経験を集約した結果のみを記憶しているため、後でわかった不具合のために過去の経験の一部を削除したい場合でも、知識を修正することができない。
・未経験の静的条件の組み合わせに対する動的条件を比例配分や予測式から推定するとしても、質的変数の静的条件が存在する場合は、静的条件の順序関係が一意に定まらないので推定不可能となる場合が生じる。
・静的条件の組み合わせの種類が多いと、全ての静的条件の組み合わせに対する動的条件の知識を洗練するために膨大な経験を必要とするので、知識の信頼性を向上させるための期間が長期化する。
・全ての静的条件の組み合わせに対する最適な動的条件の知識を完全に獲得したとしても、静的条件に対する品質の因果関係が明確でないので、最適な動的条件は推定できるが、最適な静的条件の組み合わせは探索できない。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、製造設備の設定値等の動的条件を推定するための知識ベースの構築が容易であり、かつ、推定の精度が高い製造条件設定システム、製造条件設定方法、制御プログラムおよびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を実現することにある。
上記課題を解決するために、本発明に係る製造条件設定システムは、製造設備の設定値等の動的条件の推定を支援する製造条件設定システムにおいて、複数の項目よりなる静的条件および該静的条件に対応する動的条件を取得する製造状態収集手段と、上記静的条件および上記動的条件が一定の状態で製造された製造物の個数が所定の製造個数以上のときに、所定の製造個数以上変化しない時に当該静的条件および当該動的条件を互いに関連付けて経験データベースに蓄積する経験蓄積手段と、を備えたことを特徴としている。
また、本発明に係る製造条件設定方法は、製造設備の設定値等の動的条件の推定を支援する製造条件設定システムにおける製造条件設定方法であって、上記製造条件設定システムの製造状態収集手段が、複数の項目よりなる静的条件および該静的条件に対応する動的条件を取得するステップと、上記製造条件設定システムの経験蓄積手段が、上記静的条件および上記動的条件が一定の状態で製造された製造物の個数が所定の製造個数以上のときに、所定の製造個数以上変化しない時に当該静的条件および当該動的条件を互いに関連付けて経験データベースに蓄積するステップと、を含むことを特徴としている。
ここで、静的条件とは、製品機種、金型種別、部品特性等のロットの製造途中で変更されない条件である。また、動的条件とは、製造設備の設定値、変更量等のロットの製造途中で変更可能な条件である。なお、ロットは複数の製造物よりなる。
上記の構成によれば、静的条件および動的条件が所定の製造個数以上変化しない時に当該静的条件および当該動的条件を互いに関連付けて経験データベースに蓄積する。
よって、通常の製造状態で静的条件に対応する動的条件を獲得して経験データベースを構築することができる。それゆえ、新たなロットの動的条件の製造条件設定を推定するための知識データベースを構築するための特別な作業が発生せず、早期に製造ラインの運用開始が可能となる。
さらに、本発明に係る製造条件設定システムは、1つの静的条件に対して1つの動的条件を関連付けて保持する知識データベースに、上記経験データベースから静的条件および動的条件を登録する知識構築手段をさらに備え、上記知識構築手段が、上記経験データベースに、内容が同一である静的条件に対して、内容が異なる複数の動的条件が関連付けられて蓄積されているとき、上記知識データベースに登録する1つの動的条件を、上記複数の動的条件から選択する、あるいは、該複数の動的条件に基づいて生成するものであることを特徴としている。
上記の構成によれば、さらに、1つの静的条件に対して複数の動的条件が登録されている経験データベースから、1つの静的条件に対して1つの動的条件が登録される知識データベースを構築できる。また、知識とする動的条件を1つ決める際には、複数の経験の動的条件から製造品質(不良率等)に基づいて1つ選択してもよいし、複数の経験の動的条件を平均するなど演算によって求めてもよい。
また、過去の経験を蓄積した経験データベースと動的条件を推定するための知識データベースとを分割して保持することができるので、経験および知識の削除・変更が容易である。例えば、後で製造履歴に不具合が発覚して、経験の一部を削除する場合でも、経験データベースを更新した後、知識データベースを再構築すればよいため、知識構築のための後戻りが発生しない。
さらに、本発明に係る製造条件設定システムは、上記経験蓄積手段は、上記静的条件および上記動的条件を互いに関連付けて経験データベースに蓄積する際、それらを検索するための検索用情報をさらに関連付けて上記経験データベースに蓄積するものであることを特徴としている。
上記の構成によれば、さらに、経験データベースの静的条件および動的条件に検索用情報を付加するので、静的条件および動的条件を検索することが可能となる。検索用情報としては、例えば製造開始/終了の日付/時刻、製造個数等の情報が利用できる。
よって、例えば、経験データベースに蓄積後に製造履歴に不具合が発覚して、経験の一部を削除する必要が生じた場合でも、検索用情報を用いて検索できるため、処理が簡単である。なお、検索用情報の用途は、経験や知識の削除に限られるものではない。
また、本発明に係る製造条件設定システムは、製造設備の設定値等の動的条件の推定を支援する製造条件設定システムにおいて、1つの静的条件に対して1つの動的条件を関連付けて保持する知識データベースに、推定する目的の静的条件に関連付けられた動的条件がないとき、静的条件に含まれる量的変数よりなる項目を1つ選択し、該1つの項目を除いた他の項目からさらに1つの項目を除いたすべての項目の設定が目的の静的条件と同一である静的条件を抽出し、該抽出した静的条件に関連付けられた動的条件に基づいて、目的の静的条件に対応する動的条件を生成する動的条件類推手段を備えることを特徴としている。
また、本発明に係る製造条件設定方法は、製造設備の設定値等の動的条件の推定を支援する製造条件設定システムにおける製造条件設定方法であって、上記製造条件設定システムの動的条件類推手段が、1つの静的条件に対して1つの動的条件を関連付けて保持する知識データベースに、推定する目的の静的条件に関連付けられた動的条件がないとき、静的条件に含まれる量的変数よりなる項目を1つ選択し、該1つの項目を除いた他の項目からさらに1つの項目を除いたすべての項目の設定が目的の静的条件と同一である静的条件を抽出し、該抽出した静的条件に関連付けられた動的条件に基づいて、目的の静的条件に対応する動的条件を生成するステップを含むことを特徴としている。
上記の構成によれば、1つの静的条件に対して1つの動的条件が登録された知識データベースを用いて、動的条件が登録されていない新たな静的条件(未経験の静的条件)に対応する動的条件を推定する場合、類似の静的条件に関連づけられた動的条件に基づいて、目的の静的条件に対応する動的条件を生成する。具体的には、静的条件に含まれる量的変数よりなる項目を1つ選択し、該1つの項目を除いた他の項目からさらに1つの項目を除いたすべての項目の設定が目的の静的条件と同一である静的条件を抽出し、該抽出した静的条件に関連付けられた動的条件に基づいて、目的の静的条件に対応する動的条件を生成する。
そして、上記のような手順で動的条件を生成することにより、静的条件に順序関係が一意に定まらない質的変数が含まれる場合でも、動的条件を生成できる。したがって、静的条件の制約がなくなり、最適な動的条件を推定することが可能となる。
また、本発明に係る製造条件設定システムは、製造設備の設定値等の動的条件の推定を支援する製造条件設定システムにおいて、1つの静的条件に対して1つの動的条件を関連付けて保持する知識データベースに対して、1つの項目のみの設定が異なる複数の静的条件に関連付けられた複数の動的条件の内容が略同一であるとき、当該複数の静的条件および動的条件を1つに統合するとともに、当該項目を静的条件から削除する静的条件修正手段を備えることを特徴としている。
また、本発明に係る製造条件設定方法は、製造設備の設定値等の動的条件の推定を支援する製造条件設定システムにおける製造条件設定方法であって、上記製造条件設定システムの静的条件修正手段が、1つの静的条件に対して1つの動的条件を関連付けて保持する知識データベースに対して、1つの項目のみの設定が異なる複数の静的条件に関連付けられた複数の動的条件の内容が略同一であるとき、当該複数の静的条件および動的条件を1つに統合するとともに、当該項目を静的条件から削除するステップを含むことを特徴としている。
上記の構成によれば、動的条件に影響を与えない静的条件の項目を削除し、動的条件が一致する複数の静的条件を同一知識として統合する。
よって、静的条件の組み合わせを減らして、知識を洗練することができる。それゆえ、少ない経験でも知識の信頼性を向上させることができる。特に、静的条件の組み合わせの種類が多い場合、すべての静的条件の組み合わせに対する動的条件の知識を獲得することが困難になるので、上記のように静的条件の項目を絞り込むことは、製造条件設定システムによる動的条件の推定を早期に運用開始するために有効である。
また、本発明に係る製造条件設定システムは、製造設備の設定値等の動的条件の推定を支援する製造条件設定システムにおいて、1つの静的条件に対して1つの動的条件を関連付けて保持する知識データベースに対して、1つの項目のみの設定が異なる複数の静的条件に関連付けられた複数の動的条件のなかに内容が略同一であるものが複数あるとき、当該内容が略同一である複数の動的条件および該動的条件に関連付けられた複数の静的条件を1つに統合するとともに、当該複数の静的条件の上記項目の設定の設定を1つに統合する静的条件修正手段を備えることを特徴としている。
また、本発明に係る製造条件設定方法は、製造設備の設定値等の動的条件の推定を支援する製造条件設定システムにおける製造条件設定方法であって、上記製造条件設定システムの静的条件修正手段が、1つの静的条件に対して1つの動的条件を関連付けて保持する知識データベースに対して、1つの項目のみの設定が異なる複数の静的条件に関連付けられた複数の動的条件のなかに内容が略同一であるものが複数あるとき、当該内容が略同一である複数の動的条件および該動的条件に関連付けられた複数の静的条件を1つに統合するとともに、当該複数の静的条件の上記項目の設定の設定を1つに統合するステップを含むことを特徴としている。
静的条件の同一項目に設定可能な複数の設定値の中には、他の設定値と区別しても動的条件に影響を与えないものがある場合がある。そこで、上記の構成によれば、上記のような区別しても意味のない設定値をもつ知識を同一知識として統合する。
よって、静的条件の組み合わせを減らして、知識を洗練することができる。それゆえ、少ない経験でも知識の信頼性を向上させることができる。特に、静的条件の組み合わせの種類が多い場合、すべての静的条件の組み合わせに対する動的条件の知識を獲得することが困難になるので、上記のように静的条件の項目を絞り込むことは、製造条件設定システムによる動的条件の推定を早期に運用開始するために有効である。
また、本発明に係る製造条件設定システムは、製造設備の設定値等の複数の項目を含む条件を、当該条件によって過去に製造された製造物の品質と関連付けて保持するデータベースから、条件および品質を読み出し、条件同士を比較して、条件に含まれる変更可能な項目の設定が同一である条件が複数ある場合、該複数の条件を1つに統合するとともに、該複数の条件に関連付けられた複数の品質を1つに統合した後、統合後の条件、および他の条件とは変更可能な項目の設定が同一でなかった条件から、最も優れた品質が関連付けられた条件を抽出する条件推論手段を備えることを特徴としている。
また、本発明に係る製造条件設定方法は、製造設備の設定値等の条件の推定を支援する製造条件設定システムにおける製造条件設定方法であって、上記製造条件設定システムの条件推論手段が、製造設備の設定値等の複数の項目を含む条件を、当該条件によって過去に製造された製造物の品質と関連付けて保持するデータベースから、条件および品質を読み出し、条件同士を比較して、条件に含まれる変更可能な項目の設定が同一である条件が複数ある場合、該複数の条件を1つに統合するとともに、該複数の条件に関連付けられた複数の品質を1つに統合した後、統合後の条件、および他の条件とは変更可能な項目の設定が同一でなかった条件から、最も優れた品質が関連付けられた条件を抽出するステップを含むことを特徴としている。
上記の構成によれば、条件および品質を保持したデータベース対して、変更可能な項目が同一であるものを1つに統合した上で、製品品質の評価値(例えば、不良率)をキーとしてソートすることにより、変更可能な条件の中で最上位の条件を最適な組み合わせとして決定できる。すなわち、変更可能な条件に着目して、製造装置に最適な条件を得ることができる。したがって、製造装置に最適な条件を設定して、根本的な製品品質の向上を図ることが可能となる。
なお、「複数の条件を1つに統合する」とは、データベース上で複数の条件を1つの条件に置換することである。置換後の条件では、変更可能な項目には、置換前の該当項目の値と同一の値が設定される。また、統合後の条件には、統合前の複数の条件に関連づけられていた品質の平均値や所定の基準で選択した代表値(最も品質の悪い値等)を設定する。
なお、上記製造条件設定システムは、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを上記各手段として動作させることにより上記製造条件設定システムをコンピュータにて実現させる製造条件設定システムの制御プログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
以上のように、本発明に係る製造条件設定システムは、複数の項目よりなる静的条件および該静的条件に対応する動的条件を取得する製造状態収集手段と、上記静的条件および上記動的条件が一定の状態で製造された製造物の個数が所定の製造個数以上のときに、所定の製造個数以上変化しない時に当該静的条件および当該動的条件を互いに関連付けて経験データベースに蓄積する経験蓄積手段と、を備えた構成である。
また、本発明に係る製造条件設定方法は、製造条件設定システムの製造状態収集手段が、複数の項目よりなる静的条件および該静的条件に対応する動的条件を取得するステップと、上記製造条件設定システムの経験蓄積手段が、上記静的条件および上記動的条件が一定の状態で製造された製造物の個数が所定の製造個数以上のときに、所定の製造個数以上変化しない時に当該静的条件および当該動的条件を互いに関連付けて経験データベースに蓄積するステップと、を含む方法である。
よって、通常の製造状態で静的条件に対応する動的条件を獲得して経験データベースを構築することができる。それゆえ、新たなロットの動的条件の製造条件設定を推定するための知識データベースを構築するための特別な作業が発生せず、早期に製造ラインの運用開始が可能となるという効果を奏する。
また、本発明に係る製造条件設定システムは、1つの静的条件に対して1つの動的条件を関連付けて保持する知識データベースに、推定する目的の静的条件に関連付けられた動的条件がないとき、静的条件に含まれる量的変数よりなる項目を1つ選択し、該1つの項目を除いた他の項目からさらに1つの項目を除いたすべての項目の設定が目的の静的条件と同一である静的条件を抽出し、該抽出した静的条件に関連付けられた動的条件に基づいて、目的の静的条件に対応する動的条件を生成する動的条件類推手段を備える構成である。
また、本発明に係る製造条件設定方法は、製造条件設定システムの動的条件類推手段が、1つの静的条件に対して1つの動的条件を関連付けて保持する知識データベースに、推定する目的の静的条件に関連付けられた動的条件がないとき、静的条件に含まれる量的変数よりなる項目を1つ選択し、該1つの項目を除いた他の項目からさらに1つの項目を除いたすべての項目の設定が目的の静的条件と同一である静的条件を抽出し、該抽出した静的条件に関連付けられた動的条件に基づいて、目的の静的条件に対応する動的条件を生成するステップを含む方法である。
よって、上記のような手順で動的条件を生成することにより、静的条件に順序関係が一意に定まらない質的変数が含まれる場合でも、動的条件を生成できる。したがって、静的条件の制約がなくなり、最適な動的条件を推定することが可能となるという効果を奏する。
また、本発明に係る製造条件設定システムは、1つの静的条件に対して1つの動的条件を関連付けて保持する知識データベースに対して、1つの項目のみの設定が異なる複数の静的条件に関連付けられた複数の動的条件の内容が略同一であるとき、当該複数の静的条件および動的条件を1つに統合するとともに、当該項目を静的条件から削除する静的条件修正手段を備える構成である。
また、本発明に係る製造条件設定方法は、上記製造条件設定システムの静的条件修正手段が、1つの静的条件に対して1つの動的条件を関連付けて保持する知識データベースに対して、1つの項目のみの設定が異なる複数の静的条件に関連付けられた複数の動的条件の内容が略同一であるとき、当該複数の静的条件および動的条件を1つに統合するとともに、当該項目を静的条件から削除するステップを含む方法である。
よって、静的条件の組み合わせを減らして、知識を洗練することができる。それゆえ、少ない経験でも知識の信頼性を向上させることができるという効果を奏する。
また、本発明に係る製造条件設定システムは、1つの静的条件に対して1つの動的条件を関連付けて保持する知識データベースに対して、1つの項目のみの設定が異なる複数の静的条件に関連付けられた複数の動的条件のなかに内容が略同一であるものが複数あるとき、当該内容が略同一である複数の動的条件および該動的条件に関連付けられた複数の静的条件を1つに統合するとともに、当該複数の静的条件の上記項目の設定の設定を1つに統合する静的条件修正手段を備える構成である。
また、本発明に係る製造条件設定方法は、製造条件設定システムの静的条件修正手段が、1つの静的条件に対して1つの動的条件を関連付けて保持する知識データベースに対して、1つの項目のみの設定が異なる複数の静的条件に関連付けられた複数の動的条件のなかに内容が略同一であるものが複数あるとき、当該内容が略同一である複数の動的条件および該動的条件に関連付けられた複数の静的条件を1つに統合するとともに、当該複数の静的条件の上記項目の設定の設定を1つに統合するステップを含む方法である。
よって、静的条件の組み合わせを減らして、知識を洗練することができる。それゆえ、少ない経験でも知識の信頼性を向上させることができる。
また、本発明に係る製造条件設定システムは、製造設備の設定値等の複数の項目を含む条件を、当該条件によって過去に製造された製造物の品質と関連付けて保持するデータベースから、条件および品質を読み出し、条件同士を比較して、条件に含まれる変更可能な項目の設定が同一である条件が複数ある場合、該複数の条件を1つに統合するとともに、該複数の条件に関連付けられた複数の品質を1つに統合した後、統合後の条件、および他の条件とは変更可能な項目の設定が同一でなかった条件から、最も優れた品質が関連付けられた条件を抽出する条件推論手段を備える構成である。
また、本発明に係る製造条件設定方法は、製造条件設定システムの条件推論手段が、製造設備の設定値等の複数の項目を含む条件を、当該条件によって過去に製造された製造物の品質と関連付けて保持するデータベースから、条件および品質を読み出し、条件同士を比較して、条件に含まれる変更可能な項目の設定が同一である条件が複数ある場合、該複数の条件を1つに統合するとともに、該複数の条件に関連付けられた複数の品質を1つに統合した後、統合後の条件、および他の条件とは変更可能な項目の設定が同一でなかった条件から、最も優れた品質が関連付けられた条件を抽出するステップを含む方法である。
よって、変更可能な条件に着目して、製造装置に最適な条件を得ることができる。したがって、製造装置に最適な条件を設定して、根本的な製品品質の向上を図ることが可能となるという効果を奏する。
本発明の一実施の形態について図1から図9に基づいて説明すれば、以下のとおりである。
図1は、本実施の形態に係る製造条件設定システム1の構成の概略を示す機能ブロック図である。
製造条件設定システム1は、製造現場の製造条件設定を支援するために、製品機種、部品特性等の静的条件の変更時点の最初から、製造設備の設定値等の動的条件を最適化するものである。具体的には、製造条件設定システム1は、製造条件設定の静的条件と動的条件の対応関係を製造品質により関連づけて、最適な静的/動的条件の組み合わせの検索、未経験の静的条件に対する最適な動的条件の類推、不要/同一な知識の整理を行う。
本明細書中では、ロットは複数の製造物よりなる。なお、以下の各実施の形態では、製造物は個体として数えることができるものとして説明する。しかし、本発明は、線材等の連続体、液体、気体など、個体ではない物の製造にも適用することができる。その場合、各実施の形態の“製造個数”、“不良個数”を、“生産量”、“不良率”と読み替えるものとする。
上記製造物を製造する製造設備には静的条件および動的条件が設定される。静的条件は、ロットを通じてほとんど変化せず、基本的に与件事項となっている条件である。静的条件には、変更不可能なもの(例えば、製品型式)が多いが、部品の製造方法の変更等によって変更可能なもの(例えば、成形金型、平均厚さ)も存在する。以下では説明の簡単のため、静的条件はロットに固有のものであり、ロットの製造中に変更されないものとする。これに対して、動的条件は、製品品質の向上のために、基本的に常時変更可能な製造設備の設定条件である。動的条件は、ロットの製造開始時に初期値が設定され、ロットの製造中にも随時変更される。
静的条件および動的条件は、1または複数の項目を含む。各項目には、設定値同士に順序関係がある量的変数または順序関係がない質的変数が設定される。なお、設定値には、数値や機種名等の1つの値、あるいは複数の値、さらに、モデル式などを設定することができる。
製造条件設定システム1は、ロットの静的条件に最適な動的条件を求める作業を支援するものである。よって、製造条件設定システム1は、新しいロットの製造開始時に、そのロットの静的条件に最適な動的条件の初期設定を求める作業に好適である。この場合、製造条件設定システム1が提示するのは製造条件の初期設定であり、製造現場では必要に応じて動的条件が製造条件の初期設定から変更される。そして、製造条件設定システム1は、製造現場で変更された動的条件を、製造履歴として取得し、経験として蓄積する。なお、以下では、新しいロットの初期設定を推定する場合について説明するが、本発明の製造条件設定システムがロットの途中で製造条件を変更する場合にも利用できることは言うまでもない。
また、製造条件設定システム1は、動的条件ごとに、製造の開始日時および終了日時、製造個数を取得する。また、製造条件設定システム1は、動的条件ごとに、検査工程で得られた不良率等の製品品質の評価値を取得する。そして、製造条件設定システム1は、動的条件ごとの製造の開始日時および終了日時、製造個数、製品品質の評価値を、静的条件および動的条件に関連づけて蓄積する。
なお、静的条件、動的条件、製品品質、検索用条件としてどのような項目を採用するかは、製造物や製造設備等に応じて適宜選択可能である。
製造条件設定システム1は、経験から、動的条件を推定するために用いる知識を構築する。経験からの知識の構築は、経験を変更・削除した時や静的条件を絞り込んだ時などの所定のタイミングで行ってもよいし、作業者の指示に応じて行ってもよい。
また、新しいロットの製造開始時に、そのロットの静的条件に最適な動的条件を、過去の製造履歴より構築された知識ベースに従って決めることを「推定」と記す。また、新しいロットの静的条件と同一の静的条件を有する製造履歴(経験)が知識ベースにある場合、その製造履歴の動的条件を新しいロットの動的条件として決めることを「推論」と記す。一方、新しいロットの静的条件と同一の静的条件を有する製造履歴(経験)が知識ベースにない場合、類似の静的条件を有する製造履歴(経験)を探索し、得られた製造条件に基づいて新しいロットの動的条件を求めることを「類推」と記す。すなわち、推定には、静的条件が経験済である推論と、静的条件が未経験である類推とがある。
ここで、製造条件設定システム1で用いる製造条件設定推論K/B(Knowledge Database)14およびそのデータ構造について説明する。図2は、経験D/B14aの一例を示す説明図である。図3は、知識D/B14bの一例を示す説明図である。
製造条件設定推論K/B14は、製造現場の静的条件41(製品機種、金型種別、部品特性等)および動的条件42(製造設備の設定値、変更量等)を、製造品質43(不良率、誤差総和等)および検索用情報44(製造開始/終了の日付/時刻、製造個数)と関連付けて記憶した知識ベースである。
製造条件設定推論K/B14は、過去に経験した製造状態から自動的に構成される。具体的には、製造条件設定推論K/B14は、動的条件修正部13および静的条件修正部18によって、自動的にデータが設定、修正される。また、製造条件設定推論K/B14は、動的条件推論部15、動的条件類推部16、静的条件推論部19から参照される。
製造条件設定推論K/B14は、経験D/B(経験データベース)14a、知識D/B(知識データベース)14bを含む。
経験D/B14aおよび知識D/B14bは、上記の静的条件41および動的条件42が、製造品質43および検索用情報44と関連付けられて登録されていることは共通である。異なるのは、経験D/B14aでは静的条件の組み合わせが同一である製造履歴も、異なる経験として、重複して登録するのに対して、知識D/B14bでは1つの静的条件の組み合わせに対して動的条件が1つだけ登録されることである。なお、同一の静的条件の組み合わせを有する経験が複数ある場合、例えば不良率が最低のものを最適条件としてこれを知識とする。
つぎに、図1および図4を参照しながら、製造条件設定システム1の各ブロックについて詳細に説明する。図4は、製造条件設定システム1の動作の概略を示すフローチャートである。
図1に示すように、製造条件設定システム1は、製造条件設定入力部(製造条件設定入力手段)11、製造状態収集部(製造状態収集手段)12、動的条件修正部(経験蓄積手段、知識構築手段、動的条件修正手段)13、製造条件設定推論K/B(製造条件設定推論知識ベース)14、動的条件推論部(動的条件推論手段)15、動的条件類推部(動的条件類推手段)16、製造条件設定出力部(製造条件設定出力手段)17、静的条件修正部(静的条件修正手段)18、静的条件推論部(条件推論手段)19を備えて構成されている。
製造条件設定入力部11は、製造条件設定システム1に必要なデータを外部から入力する装置である。データを供給するものとしては、製造ラインの管理装置、外部のデータベース、製造条件設定システム1の操作者などが挙げられる。そして、製造ラインの管理装置、外部のデータベースなどからデータを入力する場合には、製造条件設定入力部11は通信インターフェイスである。また、操作者がデータを入力する場合には、製造条件設定入力部11は操作入力装置である。なお、製造条件設定入力部11は、製造条件設定出力部17とともに、製造条件設定システム1のユーザインターフェイスを提供する。
具体的には、製造条件設定入力部11は、動的条件推論部15または動的条件類推部16が最適な動的条件を推定する場合、次のロットの静的条件の組み合わせを入力する(S11でYes)。
また、製造条件設定入力部11は、通常の製造状態として静的条件および動的条件、不良個数、製造個数、寸法誤差等のデータを収集して、製造状態収集部12へ常に出力する(S11でNo)。また、製造条件設定入力部11は、動的条件修正部13が過去の経験を推論知識から削除する場合、その時の検索用情報44を指定して製造状態修正部13に設定する(S11でNo、S18)。
また、製造条件設定入力部11は、静的条件推論部15が最適な静的条件を推定する場合、変更可能な静的条件の項目を指定する(S14)。
製造状態収集部12は、まず、製造条件設定入力部11から入力された製造状態を監視して、所定の製造個数(閾値)以上だけ静的条件および動的条件が変動しない期間が存在すれば、製品品質を算出して動的条件修正部13に出力して過去の経験の追加を指示する(S18)。ここで、製造個数の閾値は静的条件および動的条件の観測の最低限の信頼性を確保するために設定する値(最適性の総合指標)である。この閾値には、製品品質は製造個数に対する不良個数の比率である不良率、寸法誤差を総和した誤差総和等が利用できる。
また、製造状態収集部12は、製造条件設定入力部11から検索用情報44(削除条件)を含む削除指示を取得した場合、そのまま動的条件修正部13に出力して検索用情報44に対応する過去の経験の削除を指示する(S18)。ここで、過去の経験を削除する理由としては、製造条件設定推論K/B14に経験を登録した後で、過去の設備不具合が発覚してその時の経験が使い物にならないことがわかった場合や、知識が充実してきたために使用する製造状態の製造個数の閾値を上げて信頼性を向上したい場合等が挙げられる。ただし、製造個数の閾値を変更する場合は、製造状態収集部12の設定も同時に変更する。
動的条件修正部13は、製造状態収集部12から一定製造個数以上の静的/動的条件、製品品質、あるいは、検索用情報44が入力された場合に起動する。
動的条件修正部13は、過去の経験を追加する場合、製造状態収集部12から入力された静的条件、動的条件、製品品質、検索用情報を、経験済の製造履歴として製造条件設定推論K/B14に反映する。
ここで、入力された静的条件が未経験である場合には、その時の動的条件、製品品質、検索用情報をそのまま設定するが、入力された静的条件が経験済である場合には、既存の製品品質より向上する時に限り動的条件、製品品質を上書きする。ただし、既存の動的条件とほぼ一致している場合、動的条件の違いが誤差要因によるものであることが考えられるので、平均値を算出して上書きしても良い。
また、動的条件修正部13は、過去の経験を削除する場合には、削除指示に含まれる検索用情報44に対応する経験を経験D/B14aから削除した後、更新された経験D/B14aから知識D/B14bを再構築する。
また、動的条件修正部13は、全ての静的条件の組み合わせの中で経験済のものが一定比率以上になったことを確認したら、動的条件類推部16による知識D/B14bを用いた製造条件設定の類推が可能であることを操作者に通知するようにしてもよい。
動的条件推論部15は、製造条件設定入力部11から入力された次のロットの静的条件の組み合わせが経験済である場合に起動する(S15でYes)。このとき、動的条件推論部15は、製造条件設定推論K/B14を参照して入力された性的条件の組み合わせが経験済であれば、その組み合わせに対する最適な動的条件とその製品品質を製造条件設定出力部17へ出力する(S16)。一方、入力された静的条件の組み合わせが未経験であれば、それを動的条件類推部16に出力して、動作を終了する。
動的条件類推部16は、動的条件推論部15に入力された静的条件の組み合わせが未経験である場合に起動し(S15でNo)、推定した動的条件を製造条件設定出力部17へ出力する(S17)。
ここで、動的条件の推定方法としては、入力された未経験の静的条件の組み合わせの中で1項目だけ異なる条件を知識D/B14bの中から探索し、検索に失敗したら経験済の静的条件の全組み合わせの平均を算出する。また、複数の経験済の静的条件の検索に成功したら、その中から類似事例を絞り込んでから未経験の静的条件の所定推定方法で算出する。このとき、異なる条件が量的変数であるか、質的変数であるかにより、条件の順序関係の情報が使えるかどうかが異なるので、処理内容も異なる。なお、未経験の静的条件の類推方法の詳細については後述する。
静的条件修正部18は、知識D/B14bを参照して、全ての静的条件の組み合わせの中で経験済のものが一定比率(閾値)以上になった場合に起動する(S13でYes)。ここで、一定比率の閾値は、静的条件を集約するために必要な情報がそろっているかの判断基準で、経験済の比率が小さい時は実行しないようにするために設定される。
そして、静的条件修正部18は、製造条件設定推論K/B14の静的条件の項目あるいは各項目の設定値の数を減らすように整理する。具体的には、静的条件修正部18は、まず、動的条件、製品品質がほとんど変化しない特定の静的条件の項目を検索し、検索に成功したら不要な項目としてその特定の静的条件の項目を削除する。また、動的条件、製品品質がほとんど一致する複数の設定値を含む静的条件の項目を検索し、検索に成功したら一つに統合できる静的条件の項目としてその複数の設定値を統合する。なお、静的条件の絞込み方法の詳細については後述する。
そして、静的条件修正部18が静的条件を絞り込んだ場合、動的条件修正部13はそれにあわせて経験D/B14aを更新するとともに、更新した経験D/B14aから知識D/B14bを再構築する。
この処理により、製造条件設定推論K/B14の静的条件の項目が減少するので、組み合わせの数も減少し、少ない経験で推論知識を洗練することができるようになる。
静的条件推論部19は、製造条件設定入力部11から変更可能な静的条件の項目が入力された場合に起動する(S14でYes)。このとき、静的条件推論部19は、変更不可能な静的条件の組み合わせごとに知識D/B14bを分割してから製品品質で降順にソートし、最上位の変更可能な静的条件とその製品品質を製造条件設定出力部17に表示する。ここで、この製品品質は変更不可能な静的条件の組み合わせを固定した時の上限の製品品質であるので、変更可能な静的条件を選択して最適な動的条件を設定すれば、動的条件だけを調整するよりも製品品質を向上できる。
製造条件設定出力部17は、製造条件設定システム1における処理結果を出力する装置である。データの出力先としては、製造ラインの管理装置、外部のデータベース、製造条件設定システム1の操作者などが挙げられる。そして、製造ラインの管理装置、外部のデータベースなどへデータを出力する場合には、製造条件設定出力部17は通信インターフェイスである。また、操作者にデータを提示する場合には、製造条件設定出力部17は表示装置や印刷装置である。なお、製造条件設定出力部17は、製造条件設定入力部11とともに、製造条件設定システム1のユーザインターフェイスを提供する。
具体的には、製造条件設定出力部17は、動的条件推論部15または動的条件類推部16が最適な動的条件を推定した場合、推論結果の動的条件と、可能であればその製品品質を操作者に表示する。あるいは、推論結果の動的条件を、動的条件の変更対象となる各製造設備へ自動的にそれぞれ設定する(S16,S17)。
また、製造条件設定出力部17は、静的条件推論部19が最適な静的条件を推定した場合、推論結果の静的条件の組み合わせを出力する(S20)。
上述したように、製造条件設定システム1は、主要な4つの機能(〔A〕推論知識の構築、〔B〕動的条件の類推、〔C〕静的条件の絞込み、〔D〕最適な静的条件の検索)を備えている。以下、この4つの機能について詳細に説明する。なお、製造条件設定システム1は、すべての機能すなわち図1に示したすべての機能ブロックを1つの装置に設ける必要はなく、複数の装置で分散処理するように構成することも可能である。また、4つの機能〔A〕〜〔D〕の一部のみを備えた装置を構成することも可能である。
〔A〕推論知識の構築
製造条件設定システム1は、推論知識を構築するために、特に以下のように構成されている。
製造状態収集部(製造状態収集手段)12が複数の項目よりなる静的条件および該静的条件に対応する動的条件を製造条件設定入力部11から取得し、動的条件修正部(経験蓄積手段)13が静的条件および動的条件が一定の状態で製造された製造物の個数が所定の製造個数以上のとき、すなわち、所定の製造個数以上変化しないときに、当該静的条件および当該動的条件を互いに関連付けて経験D/B14aに蓄積する。
また、1つの静的条件に対して1つの動的条件を関連付けて保持する知識D/B14bに、経験D/B14aから静的条件および動的条件を登録する動的条件修正部(知識構築手段)13が、経験D/B14aに、内容が同一である静的条件に対して、内容が異なる複数の動的条件が関連付けられて蓄積されているとき、知識D/B14bに登録する1つの動的条件を、上記複数の動的条件から選択する、あるいは、該複数の動的条件に基づいて生成する。ここで、動的条件修正部13は、知識とする動的条件を1つ決める際には、複数の経験の動的条件から製造品質(不良率等)に基づいて1つ選択してもよいし、複数の経験の動的条件を平均するなど演算によって求めてもよい。
また、動的条件修正部(経験蓄積手段)13は、静的条件および動的条件を互いに関連付けて経験D/B14aに蓄積する際、それらを検索するための検索用情報をさらに関連付けて経験D/B14aに蓄積する。
また、動的条件修正部13は、記憶している推論知識を修正する時に、記憶済の静的条件の組み合わせの比率が一定以上になったら、運用開始可能であると製造条件設定出力部17を介して操作者に報知する。
図2に示すように、動的条件修正部13は、静的条件および動的条件が所定の製造個数(例えば1000個)以上変化しない時に、製造状態収集部12から入力された経験済の静的条件41、動的条件42、不良率43(製品品質)、検索用情報44を、重複も含めて単純に経験D/B14aに蓄積する。このとき、動的条件修正部13は、検索用情報44として製造開始/終了日時、製造個数を関連づけることにより、後から過去の経験を容易に取捨選択することができる。
また、図3に示すように、動的条件修正部13は、経験D/B14aに登録されている動的条件42を不良率43で評価し、不良率43が最小のものを最適条件として、静的条件等の情報とともに知識D/B14bに登録する。すなわち、動的条件修正部13は、1つの静的条件の組み合わせに対して複数の経験がある場合は、最高の製品品質の経験のものをそのまま設定している。しかし、これに限定されず、応答曲面法等を利用して入力が動的条件、出力が製品品質の関数に近似してから、最高の製品品質の動的条件の推定結果を設定しても良い。
ここで、図5は、知識D/B14bの構造を模式的に示した説明図である。なお、図5では、静的条件が3項目あるので3次元表になるが、説明しにくいので一部平面(成形金型#2、平均厚さ20mm以下)を抜粋して示している。ただし、この平面は説明のためのものであって、この形態でデータを管理する必要はない。
図2の例を全ての静的条件の組み合わせに分解すれば、図5のようになる。図5の立方体状のセルが静的条件の組み合わせに対応し、1つの動的条件が登録される。セルに動的条件が登録されていればその静的条件の組み合わせは経験済、登録されていなければ未経験を意味する。
なお、表にまとめる関係上、静的条件に量的変数がある場合は離散化してから条件分割しているが、応答曲面法等を利用して入力が動的条件と量的変数の静的条件、出力が製品品質の関数に近似したままの形で記憶しておき、静的条件が固定されてから推論時に動的に最適化するようにしても良い。
以上のように、製造条件設定システム1は、まず、通常の製造状態で静的/動的条件が所定の製造個数以上変化しない時の、静的/動的条件と製品品質を取得し、製造品質を比較、動的条件の値や予測式を修正して最適な動的条件の推論知識を知識D/B14bに蓄積する。なお、ある程度推論知識が蓄積できたら、推論知識に基づく製造条件設定の運用が開始できる。
そして、もしも、過去に取得した製造状態の一部を削除したい場合は、経験を保存しておいた経験D/B14aの中から該当する製造履歴(静的条件、動的条件、製品品質、検索用情報の組み合わせ)を検索用情報44により検索し、これを削除した後、最初から動的条件の推論知識(知識D/B14b)を再構築する。
これにより、通常の製造状態で静的条件の組み合わせに対する動的条件の知識を獲得することができるので、製造ラインに応じた推論知識を構築するための特別な作業が発生せず、早期に製造ラインの運用開始が可能となる。
また、過去の経験と動的条件の知識を分割して保持しているので、後で不具合が発覚しても知識から過去の経験の一部を容易に削除することができ、推論知識構築の後戻りが発生しない。
〔B〕動的条件の類推
製造条件設定システム1は、動的条件を類推するために、特に以下のように構成されている。
動的条件類推部(動的条件類推手段)16は、1つの静的条件に対して1つの動的条件を関連付けて保持する知識D/B14aに、推定する目的の静的条件に関連付けられた動的条件がないとき、静的条件に含まれる量的変数よりなる項目を1つ選択し、該1つの項目を除いた他の項目からさらに1つの項目を除いたすべての項目の設定が目的の静的条件と同一である静的条件を抽出し、該抽出した静的条件に関連付けられた動的条件に基づいて、目的の静的条件に対応する動的条件を生成する。
また、動的条件類推部16は、未経験の静的条件の類似事例を検索する時に、静的条件の属性として量的変数と質的変数で算出方法を変更してもよい。また、動的条件類推部16は、未経験の静的条件の類似事例を検索する時に、静的条件の属性として質的変数よりも量的変数の類似事例を優先させてもよい。
図6〜図9を参照しながら、動的条件の類推方法を、静的条件が量的変数である場合と質的変数である場合とについてそれぞれ説明する。
(1)量的変数
図6は、動的条件類推部16における動的条件の類推方法であって、静的条件が量的変数である場合の例を示す説明図である。図7(a)(b)は、図6に示した例の詳細な説明図である。
量的変数の静的条件の項目が1つだけ異なる経験済の組み合わせが存在する場合は、順序関係が明確であることを利用して項目順序が最近傍の組み合わせを類似事例として選択し、比例配分で最適な動的条件とその製品品質を算出する(図7(a))。ここでは、前後両側に経験済の静的条件の組み合わせが存在する場合は、内挿演算をそのまま使用する。
一方、外挿演算は一般的に内挿演算よりも推定精度が悪いため、片側にしか経験済の静的条件の組み合わせが存在しない場合は、最近傍の値をそのまま使用する(図7(b))。
(2)質的変数
図8は、動的条件類推部16における動的条件の類推方法であって、静的条件が質的変数である場合の例を示す説明図である。図9は、図8に示した例の詳細な説明図である。
質的変数の静的条件の項目が1つだけ異なる経験済の組み合わせしか存在しない場合は、順序関係が不明確であるので量的変数のように項目順序が最近傍の組み合わせを類似事例として選択することはできない。
そこでまず、図8のβ1のように、異なる経験済の静的条件が矩形状に存在している場合は、傾きが小さい3組の組み合わせを類似事例として選択し、変化量から相対的に最適な動的条件を算出する(図9)。なお、各動的条件ごとに別々に類推する必要があるため、最適な動的条件の製品品質は算出できないので出力しない。
これに対して、図8のβ2のように、異なる経験済の静的条件が矩形になるように存在していない場合は、1つだけ異なる静的条件全てを類似事例として選択し、その平均値を最適な動的条件とその製品品質として算出する。なお、(E、#1)が経験済であった場合、この値も加えてβ2の計算をすることになる。
ただし、質的変数よりも量的変数の方が順序関係がはっきりしている分だけ推定精度が高いことが予想されるので、類似事例の選択は量的変数を優先させる方が良い。
以上のように、製造条件設定システム1は、推論知識に基づく製造条件設定を行う際に未経験の静的条件の組み合わせが発生したとき、量的変数の場合は比例配分から、質的変数の場合は傾き等から類似事例を検索して、類似事例との変化量等から最適な動的条件を推定する。
これにより、順序関係が一意に定まらない質的変数を含む未経験の静的条件が存在していても最適な動的条件を推定できるので、静的条件の制約がなくなり、より最適な動的条件を出力できる。
〔C〕静的条件の絞込み
製造条件設定システム1は、静的条件を絞り込むために、特に以下のように構成されている。
静的条件修正部(静的条件修正手段)18は、1つの静的条件に対して1つの動的条件を関連付けて保持する知識データベースに対して、1つの項目のみの設定が異なる複数の静的条件に関連付けられた複数の動的条件の内容が略同一であるとき、当該複数の静的条件および動的条件を1つに統合するとともに、当該項目を静的条件から削除する。すなわち、静的条件修正部18は、動的条件、製品品質がほとんど変化しない静的条件を不要知識として削除する。具体的には、図3において、「平均厚さ」を静的条件から削除する場合である。
また、静的条件修正部(静的条件修正手段)18は、1つの静的条件に対して1つの動的条件を関連付けて保持する知識データベースに対して、1つの項目のみの設定が異なる複数の静的条件に関連付けられた複数の動的条件のなかに内容が略同一であるものが複数あるとき、当該内容が略同一である複数の動的条件および該動的条件に関連付けられた複数の静的条件を1つに統合するとともに、当該複数の静的条件の上記項目の設定の設定を1つに統合する。すなわち、静的条件修正部18は、動的条件がほとんど一致する複数の静的条件を同一知識として統合する。具体的には、図6において、「平均厚さ」の「21〜22mm」と「20mm以下」を「22mm以下」にまとめる場合である。
なお、動的条件に加えて、製品品質がほとんど変化しないことを知識を削除する条件としてもよい。また、静的条件の全ての組み合わせに対する経験済の比率が所定値以上であることを条件とすることが望ましい。信頼性を確保するためである。
また、静的条件修正部18が静的変数を絞り込んだ後、動的条件修正部13が経験D/B14aを修正するとともに、修正後の経験D/B14aから知識D/B14bを再構築する。
以上の構成によれば、知識が充実したら、動的条件が変化しない静的条件を不要知識として削除し、動的条件が一致する複数の静的条件を同一知識として統合することにより、静的条件の組み合わせを減らして知識を洗練する。
これにより、不要知識を削除し、同一知識を統合して知識を洗練することができるので、静的条件の組み合わせが減少し、少ない経験でも知識の信頼性を短期間で向上させることができる。
〔D〕最適な静的条件の検索
製造条件設定システム1は、最適な静的条件を検索するために、特に以下のように構成されている。
静的条件推論部(条件推論手段)19は、知識D/B(データベース)14bから、最も優れた製品品質に関連づけられた静的条件を検索する。このとき、静的条件推論部19は、動的条件を考慮しない。具体的には、図3の場合、不良率が最も小さい静的条件(TypeA、#1、18mm)が抽出される。
さらに、静的条件推論部19は、知識D/B14bから、静的条件41および製品品質43を読み出し、静的条件41同士を比較して、静的条件41に含まれる変更可能な項目の設定が同一である静的条件41が複数ある場合、該複数の静的条件41を1つに統合するとともに、該複数の静的条件41に関連付けられた複数の製品品質43を1つに統合した後、統合後の静的条件、および他の静的条件41とは変更可能な項目の設定が同一でなかった条件から、最も優れた製品品質43が関連付けられた静的条件を抽出する。
ここで、「複数の静的条件を1つに統合する」とは、複数の知識を1つの知識に置換することである。置換後の知識では、変更可能な静的条件の項目(例えば、成形金型、平均厚さ)には、置換前の知識と同一の値を設定する。また、変更不可能な静的条件の項目には、例えば、置換前の複数の知識でそれぞれ設定されていた値をすべてを列挙しておいてもよい。また、製品品質には、置換前の複数の知識で設定されていた値の平均値や所定の基準で選択した代表値(最も品質の悪い値等)を設定する。
なお、この処理では、動的条件を使わないため、知識D/B14b(図3)から、動的条件42を除いたあらたなデータベースを生成し、このデータベースに対して編集を行うことが好ましい。
なお、静的条件の項目が変更可能であるか否かは、静的条件推論部19または知識D/B14bに項目ごとに設定されていてもよいし、上記の処理を行う際、操作者が製造条件設定入力部11を介して入力してもよい。
また、静的条件推論部19は、変更可能な静的条件の組み合わせの内の製品品質を統合した後、製品品質をキーにして優れたもの順(不良率であれば小さいもの順)にソート処理したリスト(静的条件リスト)を表示してもよい。ここで、「変更可能な静的条件の組み合わせの内の製品品質を統合して」とは、具体的には、例えば、変更可能である静的条件の組み合わせ内の、変更可能でない静的条件の各製品品質は平均するという意味である。
以上の構成によれば、静的条件の組み合わせに対する最適な動的条件の知識を十分な数だけ獲得できたら、静的条件の製品品質の評価値(例えば、不良率)をキーとしてソートすることにより、変更可能な静的条件の中で最上位の静的条件を最適な組み合わせとして決定できる。すなわち、変更可能な静的条件に着目して、製造装置に最適な静的条件を得ることができる。それゆえ、動的条件ばかりでなく変更可能な静的条件も製造装置に最適な条件を選択して、根本的な製品品質の向上を図ることが可能となる。
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。本発明は、例えば、以下のように構成することができる。
本発明の製造条件設定システムは、現在の静的条件の組み合わせが経験済である場合、該当する最適な動的条件を推定、出力する動的条件推論部と、通常の製造状態で静的/動的条件が一定製造個数以上変化しない時の、静的/動的条件と製品品質を取得する、あるいは、後で過去の製造状態の一部を所定条件で削除する条件を入力する製造状態収集部と、製造状態収集部から入力した情報を使用して、必要ならば動的条件推論部で記憶した推論知識を修正する動的条件修正部と、を備えて構成されていてもよい。
さらに、本発明の製造条件設定システムは、上記の構成において、最適な動的条件を推定するための知識を保持する製造条件設定推論K/Bを備え、該製造条件設定推論K/Bは、過去の製造状態の履歴を記憶する部分と最適な動的条件を記憶する推論部分とを分割して保持するように構成されていてもよい。
さらに、本発明の製造条件設定システムは、上記の構成において、製造条件設定推論K/Bは、過去の製造状態の履歴に検索用情報(例えば、タイムスタンプ等)を付加することにより後で特定製造状態を検索可能であるように構成されていてもよい。
さらに、本発明の製造条件設定システムは、上記の構成において、最適な動的条件を推定するための知識を構築する動的条件修正部を備え、該動的条件修正部は、過去の製造状態の履歴から最適な動的条件を記憶する推論部分を構築する処理を最初から再実行できるように構成されていてもよい。
さらに、本発明の製造条件設定システムは、上記の構成において、上記動的条件修正部は、記憶している推論知識を修正する時に、記憶済の静的条件の組み合わせの比率が一定以上になったら、運用開始可能であると通知するように構成されていてもよい。
以上の構成によれば、まず、通常の製造状態で静的/動的条件が一定製造個数以上変化しない時の、静的/動的条件と製品品質を取得し、製造品質を比較、動的条件の値や予測式を修正して最適な動的条件の推論知識を蓄積する。ある程度推論知識が蓄積できたら、推論知識に基づく製造条件設定の運用を開始する。
また、もしも、後で過去に取得した製造状態の一部を削除したい場合は、保存しておいた経験リストの中から該当する製造状態を検索用情報により検索、削除して、最初から動的条件の推論知識を再構築する。
これにより、通常の製造状態で静的条件の組み合わせに対する動的条件の知識を獲得することができるので、製造ラインに応じた推論知識を構築するための特別な作業が発生せず、早期に製造ラインの運用開始が可能となる。
また、過去の経験と動的条件の知識を分割して保持しているので、後で不具合が発覚しても知識から過去の経験の一部を容易に削除することができ、推論知識構築の後戻りが発生しない。
本発明の製造条件設定システムは、現在の静的条件の組み合わせが経験済である場合、該当する最適な動的条件を推定、出力する動的条件推論部と、現在の静的条件の組み合わせが未経験である場合、経験済の静的条件の組み合わせからから類似事例を検索してから最適な動的条件を予測する動的条件類推部と、を備えて構成されていてもよい。
さらに、本発明の製造条件設定システムは、上記の構成において、上記動的条件類推部は、未経験の静的条件の類似事例を検索する時に、静的条件の属性として量的変数と質的変数で算出方法を変更するように構成されていてもよい。
さらに、本発明の製造条件設定システムは、上記の構成において、上記動的条件類推部は、未経験の静的条件の類似事例を検索する時に、静的条件の属性として質的変数よりも量的変数の類似事例を優先させるように構成されていてもよい。
以上の構成によれば、推論知識に基づく製造条件設定を行う際、未経験の静的条件の組み合わせが発生した場合は、量的変数の場合は比例配分から、質的変数の場合は傾き等から類似事例を検索してその事例との変化量等から最適な動的条件を推定する。
これにより、順序関係が一位に定まらない質的変数を含む未経験の静的条件が存在していても最適な動的条件を推定できるので、静的条件の制約がなくなり、より最適な動的条件を出力できる。
本発明の製造条件設定システムは、現在の静的条件の組み合わせが経験済である場合、該当する最適な動的条件を推定、出力する動的条件推論部と、可能であれば動的条件推論部に記憶している推論知識の静的条件の組み合わせを減らす静的条件修正部と、を備えて構成されていてもよい。
さらに、本発明の製造条件設定システムは、上記の構成において、上記静的条件修正部は、静的条件の組み合わせを減らす時に、経験済の静的条件の組み合わせの比率が一定以上であることを条件とするように構成されていてもよい。
さらに、本発明の製造条件設定システムは、上記の構成において、上記静的条件修正部は、静的条件の組み合わせを減らす時に、動的条件、製品品質がほとんど変化しない静的条件を不要知識として削除するように構成されていてもよい。
さらに、本発明の製造条件設定システムは、上記の構成において、上記静的条件修正部は、静的条件の組み合わせを減らす時に、動的条件、製品品質がほとんど一致する複数の静的条件を同一知識として統合するように構成されていてもよい。
以上の構成によれば、知識が充実したら、動的条件が変化しない静的条件を不要知識として削除し、動的条件が一致する複数の静的条件を同一知識として統合することにより、静的条件の組み合わせを減らして知識を洗練する。
これにより、不要知識を削除し、同一知識を統合して知識を洗練することができるので、静的条件の組み合わせが減少し、少ない経験でも知識の信頼性を短期間で向上させることができる。
本発明の製造条件設定システムは、現在の静的条件の組み合わせが経験済である場合、該当する最適な動的条件を推定、出力する動的条件推論部と、動的条件を考慮せずに最適な静的条件の組み合わせを検索、出力する静的条件推論部と、を備えて構成されていてもよい。
さらに、本発明の製造条件設定システムは、上記の構成において、上記静的条件推論部は、静的条件の組み合わせを検索する時に、選択可能な静的条件の組み合わせの中で最適な製品品質のものを選択するように構成されていてもよい。
以上の構成によれば、静的条件の組み合わせに対する最適な動的条件の知識を十分な数だけ獲得できたら、静的条件の製品品質をキーとしてソートすることにより、変更可能な静的条件の中で最上位の静的条件を最適な組み合わせとして、今後の静的条件に反映させる。
これにより、静的条件の製品品質の評価値(例えば、不良率)をキーとしてソートして最適な静的条件の組み合わせを検索できるので、動的条件ばかりでなく変更可能な静的条件も選択して、根本的な製品品質の向上が図れる。
最後に、製造条件設定システム1の各ブロック、特に製造状態収集部12、動的条件修正部13、動的条件推論部15、動的条件類推部16、静的条件修正部18、静的条件推論部19は、ハードウェアロジックによって構成してもよいし、次のようにCPUを用いてソフトウェアによって実現してもよい。なお、ソフトウェアによって実現する場合、製造条件設定システム1は、ワークステーションやパーソナルコンピュータ等の汎用のコンピュータをベースに構成できる。
すなわち、製造条件設定システム1は、各機能を実現する制御プログラムの命令を実行するCPU(central processing unit)、上記プログラムを格納したROM(read only memory)、上記プログラムを展開するRAM(random access memory)、上記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアである製造条件設定システム1の制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、上記製造条件設定システム1に供給し、そのコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成可能である。
上記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系などを用いることができる。
また、製造条件設定システム1を通信ネットワークと接続可能に構成し、上記プログラムコードを通信ネットワークを介して供給してもよい。この通信ネットワークとしては、特に限定されず、例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(virtual private network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されず、例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
本発明は、製造設備の設定値等の動的条件を推定する用途に広く適用できるものであり、特に、人の関与が少ない、自動化された製造装置・製造ラインの製造条件設定装置に好適である。
本発明の一実施の形態に係る製造条件設定システムの構成の概略を示す機能ブロック図である。 図1に示した製造条件設定システムの製造条件設定推論K/Bに含まれる経験D/Bの一例を示す説明図である。 図1に示した製造条件設定システムの製造条件設定推論K/Bに含まれる知識D/Bの一例を示す説明図である。 図1に示した製造条件設定システムの動作の概略を示すフローチャートである。 図3に示した知識D/Bの構造を模式的に示した説明図である。 図1に示した製造条件設定システムの動的条件類推部における動的条件の類推方法であって、静的条件が量的変数である場合の例を示す説明図である。 (a)(b)は、図6に示した例の詳細な説明図である。 図1に示した製造条件設定システムの動的条件類推部における動的条件の類推方法であって、静的条件が質的変数である場合の例を示す説明図である。 図8に示した例の詳細な説明図である。
符号の説明
1 製造条件設定システム
11 製造条件設定入力部(製造条件設定入力手段)
12 製造状態収集部(製造状態収集手段)
13 動的条件修正部(経験蓄積手段、知識構築手段、動的条件修正手段)
14 製造条件設定推論K/B(製造条件設定推論知識ベース)
14a 経験D/B(経験データベース)
14b 知識D/B(知識データベース)
15 動的条件推論部(動的条件推論手段)
16 動的条件類推部(動的条件類推手段)
17 製造条件設定出力部(製造条件設定出力手段)
18 静的条件修正部(静的条件修正手段)
19 静的条件推論部(条件推論手段)
41 静的条件
42 動的条件
43 製品品質
44 検索用情報

Claims (14)

  1. ロットの製造途中で変更可能な条件である動的条件の推定を支援する製造条件設定システムにおいて、
    複数の項目よりなる、ロットの製造途中で変更されない条件である静的条件および該静的条件に対応する動的条件を取得する製造状態収集手段と、
    上記静的条件および上記動的条件が一定の状態で製造された製造物の個数が所定の製造個数以上のときに、当該静的条件および当該動的条件を互いに関連付けて経験データベースに蓄積する経験蓄積手段と、を備えたことを特徴とする製造条件設定システム。
  2. 1つの静的条件に対して1つの動的条件を関連付けて保持する知識データベースに、上記経験データベースから静的条件および動的条件を登録する知識構築手段をさらに備え、
    上記知識構築手段が、上記経験データベースに、内容が同一である静的条件に対して、内容が異なる複数の動的条件が関連付けられて蓄積されているとき、上記知識データベースに登録する1つの動的条件を、上記複数の動的条件から選択する、あるいは、該複数の動的条件に基づいて生成するものであることを特徴とする請求項1に記載の製造条件設定システム。
  3. 上記経験蓄積手段は、上記静的条件および上記動的条件を互いに関連付けて経験データベースに蓄積する際、それらを検索するための検索用情報をさらに関連付けて上記経験データベースに蓄積するものであることを特徴とする請求項1に記載の製造条件設定システム。
  4. ロットの製造途中で変更可能な条件である動的条件の推定を支援する製造条件設定システムにおける製造条件設定方法であって、
    上記製造条件設定システムの製造状態収集手段が、複数の項目よりなる、ロットの製造途中で変更されない条件である静的条件および該静的条件に対応する動的条件を取得するステップと、
    上記製造条件設定システムの経験蓄積手段が、上記静的条件および上記動的条件が一定の状態で製造された製造物の個数が所定の製造個数以上のときに、当該静的条件および当該動的条件を互いに関連付けて経験データベースに蓄積するステップと、を含むことを特徴とする製造条件設定方法。
  5. ロットの製造途中で変更可能な条件である動的条件の推定を支援する製造条件設定システムにおいて、
    ロットの製造途中で変更されない条件である1つの静的条件に対して1つの動的条件を関連付けて保持する知識データベースに、推定する目的の静的条件に関連付けられた動的条件がないとき、静的条件に含まれる量的変数よりなる項目を1つ選択し、該1つの項目を除いた他の項目からさらに1つの項目を除いたすべての項目の設定が目的の静的条件と同一である静的条件を抽出し、該抽出した静的条件に関連付けられた動的条件に基づいて、目的の静的条件に対応する動的条件を生成する動的条件類推手段を備えることを特徴とする製造条件設定システム。
  6. ロットの製造途中で変更可能な条件である動的条件の推定を支援する製造条件設定システムにおける製造条件設定方法であって、
    上記製造条件設定システムの動的条件類推手段が、ロットの製造途中で変更されない条件である1つの静的条件に対して1つの動的条件を関連付けて保持する知識データベースに、推定する目的の静的条件に関連付けられた動的条件がないとき、静的条件に含まれる量的変数よりなる項目を1つ選択し、該1つの項目を除いた他の項目からさらに1つの項目を除いたすべての項目の設定が目的の静的条件と同一である静的条件を抽出し、該抽出した静的条件に関連付けられた動的条件に基づいて、目的の静的条件に対応する動的条件を生成するステップを含むことを特徴とする製造条件設定方法。
  7. ロットの製造途中で変更可能な条件である動的条件の推定を支援する製造条件設定システムにおいて、
    ロットの製造途中で変更されない条件である1つの静的条件に対して1つの動的条件を関連付けて保持する知識データベースに対して、1つの項目のみの設定が異なる複数の静的条件に関連付けられた複数の動的条件の内容が同一であるとき、当該複数の静的条件および動的条件を1つに統合するとともに、当該項目を静的条件から削除する静的条件修正手段を備えることを特徴とする製造条件設定システム。
  8. ロットの製造途中で変更可能な条件である動的条件の推定を支援する製造条件設定システムにおける製造条件設定方法であって、
    上記製造条件設定システムの静的条件修正手段が、ロットの製造途中で変更されない条件である1つの静的条件に対して1つの動的条件を関連付けて保持する知識データベースに対して、1つの項目のみの設定が異なる複数の静的条件に関連付けられた複数の動的条件の内容が同一であるとき、当該複数の静的条件および動的条件を1つに統合するとともに、当該項目を静的条件から削除するステップを含むことを特徴とする製造条件設定方法。
  9. ロットの製造途中で変更可能な条件である動的条件の推定を支援する製造条件設定システムにおいて、
    ロットの製造途中で変更されない条件である1つの静的条件に対して1つの動的条件を関連付けて保持する知識データベースに対して、1つの項目のみの設定が異なる複数の静的条件に関連付けられた複数の動的条件のなかに内容が同一であるものが複数あるとき、当該内容が同一である複数の動的条件および該動的条件に関連付けられた複数の静的条件を1つに統合するとともに、当該複数の静的条件の上記項目の設定の設定を1つに統合する静的条件修正手段を備えることを特徴とする製造条件設定システム。
  10. ロットの製造途中で変更可能な条件である動的条件の推定を支援する製造条件設定システムにおける製造条件設定方法であって、
    上記製造条件設定システムの静的条件修正手段が、ロットの製造途中で変更されない条件である1つの静的条件に対して1つの動的条件を関連付けて保持する知識データベースに対して、1つの項目のみの設定が異なる複数の静的条件に関連付けられた複数の動的条件のなかに内容が同一であるものが複数あるとき、当該内容が同一である複数の動的条件および該動的条件に関連付けられた複数の静的条件を1つに統合するとともに、当該複数の静的条件の上記項目の設定の設定を1つに統合するステップを含むことを特徴とする製造条件設定方法。
  11. ロットの製造途中で変更されない条件である複数の項目を含む条件を、当該条件によって過去に製造された製造物の品質と関連付けて保持するデータベースから、条件および品質を読み出し、条件同士を比較して、条件に含まれる変更可能な項目の設定が同一である条件が複数ある場合、該複数の条件を1つに統合するとともに、該複数の条件に関連付けられた複数の品質を1つに統合した後、統合後の条件、および他の条件とは変更可能な項目の設定が同一でなかった条件から、最も優れた品質が関連付けられた条件を抽出する条件推論手段を備えることを特徴とする製造条件設定システム。
  12. ロットの製造途中で変更されない条件の推定を支援する製造条件設定システムにおける製造条件設定方法であって、
    上記製造条件設定システムの条件推論手段が、ロットの製造途中で変更されない条件である複数の項目を含む条件を、当該条件によって過去に製造された製造物の品質と関連付けて保持するデータベースから、条件および品質を読み出し、条件同士を比較して、条件に含まれる変更可能な項目の設定が同一である条件が複数ある場合、該複数の条件を1つに統合するとともに、該複数の条件に関連付けられた複数の品質を1つに統合した後、統合後の条件、および他の条件とは変更可能な項目の設定が同一でなかった条件から、最も優れた品質が関連付けられた条件を抽出するステップを含むことを特徴とする製造条件設定方法。
  13. 請求項1〜3、5、7、9、11のいずれか1項に記載の製造条件設定システムを動作させる制御プログラムであって、コンピュータを上記の各手段として機能させるための制御プログラム。
  14. 請求項13に記載の制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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