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JP4129901B2 - エレベータ装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エレベータの昇降かごを昇降するためのエレベータ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
街中などにおいては、敷地面積が限られることが多いため、敷地面積に対して比較的背の高いビルが建築されることがある。このように細長いビルにおいては、高層階に上がるためにエレベータが特に必要であるが、かかるエレベータをどのように設置するかが問題となる。ここで、エレベータの昇降かごが通過する昇降路は、各階を貫くようにして設けなくてはならないが、エレベータの昇降かごを上げ下げするための駆動装置は、ある程度任意の位置に設置できる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
かかる駆動装置を、例えば特開平7−10434号に開示されているように、昇降路の最上部に設置すれば、各階のスペースの有効活用を図ることができる。しかしながら、この従来技術の如く、駆動装置を昇降路の最上部に設けるとすると、その設置作業はしっかりした足場を確保した上で行わなくてはならず、足場確保の手間がかかる。又、作業者は不安定な姿勢で作業を行う必要が生じると共に、その転落防止などの対策を行わねばらず不便である。更に、設置後における駆動装置のメンテナンスにおいても、作業者が昇降かごの天井に載った状態で行わねばならず、不安定な姿勢での作業を余儀なくされる。
【0004】
これに対し、エレベータの駆動装置を地下に設けるという考えもある。しかしながら、大雨や水道管の破裂などにより出水が生じた場合、ビルの地下には水が流れ込みやすく、駆動装置が水に浸かることによって、機能を損なう恐れが生じる。
【0005】
かかる問題に鑑み、本発明は、設置容易性及びメンテナンス容易性を向上させることができると共に、信頼性を高く維持することのできるエレベータ装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的の達成のため、本発明のエレベータ装置は、昇降かごに係合したロープが巻き付けられ、回転することによって前記ロープを移動させるシーブと、前記シーブを回転させる駆動部とを具備する駆動装置を有し、前記駆動装置は薄形であって、昇降かごの昇降路内で昇降かごに隣接し、また昇降路下方において、昇降かごを上下動させるために前記駆動装置により駆動されるロープを取り付けると共に昇降かごのガイドレールを支持してなるフレームに対して、一端を釣り合いおもり用ガイドレールから離して固定し、他端を昇降かごのガイドレールに対して固定したサブフレームに取り付けられてなり、それにより前記駆動装置は最下階の床より高い位置に配置されることを特徴とする。
【0007】
【作用】
本発明のエレベータ装置によれば、昇降かごに係合したロープが巻き付けられ、回転することによって前記ロープを移動させるシーブと、前記シーブを回転させる駆動部とを具備する駆動装置を有し、前記駆動装置は薄形であって、昇降かごの昇降路内で昇降かごに隣接し、また昇降路下方において、昇降かごを上下動させるために前記駆動装置により駆動されるロープを取り付けると共に昇降かごのガイドレールを支持してなるフレームに対して、一端を釣り合いおもり用ガイドレールから離して固定し、他端を昇降かごのガイドレールに対して固定したサブフレームに取り付けられてなり、それにより前記駆動装置は最下階の床より高い位置に配置されるので、設置及びメンテナンス時においても高所で作業を行うことがなくなり、作業性が向上する。又、出水などの際にも、駆動装置が水に浸かる恐れは低くなり、その機能が損なわれることを極力抑止できる。
【0008】
更に、前記駆動装置は、リング状の円筒部を有するロータと、前記ロータのリング状の円筒部外周に対向する部位にステータが配置された電動装置と、前記電動装置によって回転させられる入力軸及び出力回転輪としての前記シーブと、前記入力軸に制動力を付与するブレーキ装置と、を具備し、前記ブレーキ装置を、前記駆動装置のロータのリング状の円筒部と前記入力軸の軸線方向に直角な方向で重なるように配置し、前記電動装置及び前記ブレーキ装置を、前記シーブの側端に配置していれば、駆動装置全体を入力軸方向に薄くかつコンパクトに構成することができるため、前記駆動装置を、昇降路下方で最下階の床より高い位置に配置した場合でも嵩張らず、設置階のスペースの有効活用を図ることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による実施の形態について図面を用いて説明する。図1は本発明の実施の形態を示すエレベータ用駆動装置1の側断面図である。
【0010】
図1に示すように、本エレベータ用駆動装置1は、電動装置10と、電動装置10により回転駆動される入力軸21の回転を減速して伝達する減速機20と、ブレーキ装置30とを備える。
【0011】
電動装置10は、電動装置10のハウジング11内に、コイル12と、コイル12の間に挟まれたステータ13と、リング状の永久磁石であるロータ14と、ロータ14を外周に取り付けるとともに、その中心部が入力軸21にスプライン結合された回転板15と、入力軸21の回転数を検出するエンコーダ16とを備えている。ハウジング11は、減速機20の支持部材22に取り付けられ固定されている。電動装置10は、不図示の制御部によりコイル12への通電が制御され、それにより所定のトルクを出力するようになっている。
【0012】
また、減速機20は、図1に示すように、支持部材22の中央部(減速機の回転中心部)に軸受け20aを介して回転自在に支持された入力軸21と、支持部材22の外周部に一対の軸受け27aを介して回転自在に支持され、その外周面にロープ29(図2)を巻き掛ける溝28が形成され、その内周に所定数の内歯が設けられた出力回転輪としてのシーブ27と、入力軸21のクランク部21aに軸受け20bを介してその内周が係合し、その外周に所定数の外歯が形成された複数の外歯歯車60と、支持部材22にその両端24b、24cで軸受け24aを介して支持され、そのクランク部24dで複数の外歯歯車60を軸受け24eを介して支持した複数の支持軸24と、を備えている。
【0013】
シーブ27の内歯は、シーブ27に固定された複数のピン26と該複数のピン26に挿入された複数の円筒体25から構成されている。支持部材22は、外歯歯車60に遊挿された複数の柱部22aを有する一方の円盤体と、他方の円盤体22bからなり、その両円盤体はボルト22cで結合されている。
【0014】
シーブ27は、入力軸21の回転が減速されて伝達されることにより、入力軸21に対し同心円的に回転する。後述する態様で、ロープ29は、エレベータの昇降かご52(図2)と釣り合いおもり56(図2)とにそれぞれ連結され、昇降かご52を上下動させるようになっている。
【0015】
ブレーキ装置30は、外周に軸線方向溝31aを設け、入力軸21の外周にスプライン結合する円筒状の中間部材31と、軸線方向溝31aに係合することにより、中間部材31に対して軸線方向には相対移動可能だが一体的に回転する一対の制動プレート32、33と、制動プレート32,33の軸線方向両側に配置され、ハウジング11に対して固定状態に維持された固定壁34,35と、制動プレート32,33間に配置され、固定壁34,35に対して近接又は離隔可能になっているアーマチュア36,37と、制動プレート32,33を隣接する固定壁34,35に対してそれぞれ付勢するためのスプリング38,39と、アーマチュア36,37間に固定配置された電磁石40とを備えている。中間部材31にはエンコーダ16の回転部が結合され、ハウジング11の内壁には、エンコーダ16の固定部が固定されている。
【0016】
図2は、図1の駆動装置1を、建物に配置した状態を示す図である。建物50は一部を省略した形で示されている。建物50内に、鉄骨により、略ボックス状にエレベータフレーム51が形成されている。エレベータフレーム51内に形成された昇降路に沿って、昇降かご52が、エレベータフレーム51に設けられたガイドレール101,102に案内されて上下に移動自在になっている。
【0017】
エレベータフレーム51の最上部に設けられた取り付け部51aには、ロープ29の一端が取り付けられている。取り付け部51bから下方に向かうロープ29は、昇降かご52の下面に設けられたプーリ52a、52bに巻掛けられた後上方に向かい、更にエレベータフレーム51の最上部のプーリ53に巻掛けられて下方に向かい、駆動装置1のシーブ27に巻掛けられて上方に向かい、更にエレベータフレーム51の最上部の別なプーリ54に巻掛けられて下方に向かい、釣り合いおもり56を支持するプーリ55に巻掛けられて上方に向かい、エレベータフレーム51の最上部に設けられた取り付け部51bに、その末端を取り付けている。釣り合いおもり56は、ガイドレール103,104に案内されて上下に移動自在になっている。
【0018】
図2において明らかなように、駆動装置1は、建物50の1階58と2階59との間の空間における、昇降路のすき間において、エレベータフレーム51に固定されたサブフレーム51cに取り付けられるよう薄形となっており、昇降路下方に設けられている。
【0019】
次に、本実施の形態による駆動装置1によるエレベータ用昇降かご52の駆動制御について説明する。まず、不図示の制御部からの信号により、図1の電動装置10が作動し、ロータ14と共に入力軸21が回転すると、入力軸21のクランク部21aによって外歯歯車60が偏心揺動運動をし、その外歯と噛み合う内歯を有するシーブ27が減速回転する。かかる減速作用は公知である。このシーブ27の回転により、その外周面の溝28内に巻き掛けられたロープ29が駆動されることによって、エレベータの昇降かご52が上下動する。なお、入力軸21の回転は減速機20により所定比で減速されて伝達され、シーブ27が一定の回転速度で回転する。
【0020】
電動装置10が駆動されている間、ブレーキ装置30の電磁石40に電力が供給されるため、かかる電磁石40がアーマチュア36,37を吸引する。アーマチュア36,37が吸引され、互いに近接する方向に移動すると、それによりスプリング38,39が押されて収縮し、制動プレート32,33がスプリング38,39の付勢力から解放され、固定壁34,35から離脱するため、中間部材31は回転自在となって、入力軸21に制動力の付与されない状態が維持される。
【0021】
一方、不図示の制御装置からの電力供給が停止した場合(停電時を含む)、電磁石40がアーマチュア36,37を吸引できなくなるので、制動プレート32,33は、スプリング38,39の強い付勢力でアーマチュア36,37を介して固定壁34,35に押しつけられることとなる。かかる場合、固定壁34,35と制動プレート32,33との間には、大きな摩擦力が作用するため、かかる摩擦力に基づいて、中間部材31を介して入力軸21に制動力を付与することができる。それによりシーブ27の回転が停止することとなる。
【0022】
減速機20の出力回転輪そのものを、ロープ29を巻き掛けるシーブ27とすると共に、電動装置10及びブレーキ装置30を入力軸21と直角な同一平面上に設けているので、従来の駆動装置に比べて入力軸21の軸方向に薄く構成できる。このように、駆動装置1を薄くできるため、建物50の1階58と2階59との間の、昇降路内で昇降かごに近接して配置することができる。従って、駆動装置1の設置及びそのメンテナンス時においても、設置場所へのアクセスが容易であり、また高所で作業を行うこともなくなって作業性が向上する。又、出水などの際にも、最下階の床より高い位置に設けられていれば、駆動装置1が水に浸かる恐れは低くなり、その機能が損なわれることを極力抑止することができる。
【0023】
以上のように本発明を実施の形態により説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で各種の変形が可能である。例えば、駆動装置は、昇降かごの移動を妨げない限り、昇降路内に配置するようにしても良い。又、本実施の形態に示す構成は、駆動装置の一例であり、昇降路下方で最下階の床より高い位置に設置できる限り、実施の形態に示す構成に限られない。
【0024】
【発明の効果】
本発明のエレベータ装置によれば、昇降かごに係合したロープが巻き付けられ、回転することによって前記ロープを移動させるシーブと、前記シーブを回転させる駆動部とを具備する駆動装置を有し、前記駆動装置は薄形であって、昇降かごの昇降路内で昇降かごに隣接し、また昇降路下方において、昇降かごを上下動させるために前記駆動装置により駆動されるロープを取り付けると共に昇降かごのガイドレールを支持してなるフレームに対して、一端を釣り合いおもり用ガイドレールから離して固定し、他端を昇降かごのガイドレールに対して固定したサブフレームに取り付けられてなり、それにより前記駆動装置は最下階の床より高い位置に配置されるので、設置及びメンテナンス時においても高所で作業を行うことがなくなり、作業性が向上する。又、出水などの際にも、駆動装置が水に浸かる恐れは低くなり、その機能が損なわれることを極力抑止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示すエレベータ用駆動装置の側断面図である。
【図2】図1の駆動装置1を、建物に配置した状態を示す図である。
【符号の説明】
10 電動装置
20 減速機
21 入力軸
22 支持部材
25 円筒体
27 シーブ
29 ロープ
30 ブレーキ装置
50 建物
51 エレベータフレーム
52 昇降かご
56 釣り合いおもり

Claims (2)

  1. 昇降かごに係合したロープが巻き付けられ、回転することによって前記ロープを移動させるシーブと、前記シーブを回転させる駆動部とを具備する駆動装置を有し、
    前記駆動装置は薄形であって、昇降かごの昇降路内で昇降かごに隣接し、また昇降路下方において、昇降かごを上下動させるために前記駆動装置により駆動されるロープを取り付けると共に昇降かごのガイドレールを支持してなるフレームに対して、一端を釣り合いおもり用ガイドレールから離して固定し、他端を昇降かごのガイドレールに対して固定したサブフレームに取り付けられてなり、それにより前記駆動装置は最下階の床より高い位置に配置されることを特徴とするエレベータ装置。
  2. 前記駆動装置は、リング状の円筒部を有するロータと、前記ロータのリング状の円筒部外周に対向する部位にステータが配置された電動装置と、前記電動装置によって回転させられる入力軸及び出力回転輪としての前記シーブと、前記入力軸に制動力を付与するブレーキ装置と、を具備し、前記ブレーキ装置を、前記駆動装置のロータのリング状の円筒部と前記入力軸の軸線方向に直角な方向で重なるように配置し、前記電動装置及び前記ブレーキ装置を、前記シーブの側端に配置したことを特徴とする請求項1に記載のエレべータ装置。
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