JP4129166B2 - 電解銅箔、電解銅箔付きフィルム及び多層配線基板と、その製造方法 - Google Patents
電解銅箔、電解銅箔付きフィルム及び多層配線基板と、その製造方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、半導体素子収納用パッケージなどの多層配線基板の配線層を形成するのに適した電解銅箔、電解銅箔付きフィルム、及びそれを用いた多層配線基板とその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来技術】
近年、携帯情報端末の発達や、コンピューターを持ち運んで操作するいわゆるモバイルコンピューティングの普及によって、さらに小型、薄型且つ高精細の多層配線基板が求められる傾向にある。また、通信機器に代表されるように、高速動作が求められる電子機器が広く使用され、高い周波数の信号に対し、正確なスイッチングが可能であるなど多種な要求を含んでおり、そのような電子機器に対応するため、高速な動作に適した多層配線基板が求められている。
【0003】
このような高速な動作を行うためには、配線の長さを短くし、電気信号の伝播に要する時間を短縮することが必要である。配線の長さを短縮するために、配線の幅を細くし、配線の間隙を小さくするという、小型、薄型且つ高精細の多層配線基板が求められる傾向にある。
【0004】
そのような高密度配線の要求に対応するため、従来より、ビルドアップ法と呼ばれる製造方法が用いられている。このビルドアップ配線基板の高密度配線を形成する方法としては、アディティブ法と呼ばれるメッキ法により配線を形成する方法や、サブトラクティブ法と呼ばれるエッチング法により配線を形成する方法等がある。
【0005】
具体的には、メッキ法は絶縁基板の表面に感光性レジストを塗布し、非配線回路層を露光、現像した後、配線部分にメッキにより配線回路層を形成する方法である。また、エッチング法は電解銅箔等の表面に感光性のレジストを塗布し、回路パターンを露光、現像した後、非配線部分の銅をエッチングにより除去して配線を形成するものである。
【0006】
後者のエッチングにより配線回路層を形成する方法においては、一般に、電解銅箔が用いられる。電解銅箔は電解電極のドラム面側がシャイニー面、メッキ成長方向に最終的にコブ生成処理を施しマット面を形成する。
【0007】
近年では、微細配線の形成を容易にする、つまり、エッチングによる微細加工性を向上させるために、銅箔における銅の結晶はより微細化され、且つマット面の表面粗さは小さくなりつつある。
【0008】
また、多層配線基板を作成するにあたっては、上記のようにフィルム基材の表面にて電解銅箔をパターン加工して形成された配線回路層を、熱硬化性樹脂を含有する絶縁層の表面に転写形成して配線ユニットを形成し、同様にして作製した複数の配線ユニットを積層し、一括して熱硬化することによって多層配線基板を作製することを本出願人は、特開平10−27959号にて提案した。
【0009】
また、このような転写法による場合、内部配線回路層や表面配線回路層は、絶縁層との密着性が必要であるために、配線回路層の表面を粗面加工することによって絶縁層との密着性を改善することも特開平11−74625号、特開平12−22330号にて提案した。
【0010】
【特許文献1】
特開平10−27959号公報
【特許文献2】
特開平11−74625号公報
【特許文献3】
特開平12−22330号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、微細な結晶からなる上記電解銅箔は、高精細な配線の形成には有利となる反面、樹脂絶縁層との密着強度が低くなったために、はんだ耐熱や温度サイクル等の信頼性試験において、絶縁基板からの有機成分のガス化に伴う基板の変形等によって、銅箔からなる平面状の配線回路層とビア導体との電気接続不良や、最表面の配線回路層での変形などによる外観不良が発生しやすいという問題があった。
【0012】
電解銅箔のマット面はコブ状の結晶が形成されているために、樹脂絶縁層との密着性は良好であるが、シャイニー面はマット面に比較して表面粗さが小さく、樹脂絶縁層の密着性が小さい。
【0013】
このような電解銅箔におけるシャイニー面の樹脂絶縁層との密着性を改善するために、シャイニー面をエッチングによって粗面化することも行われている。しかしながら、このシャイニー面をエッチングによって粗面加工しても、表面粗さを安定して形成するのが難しく、その結果、表面粗さが安定せず、多層配線基板内において、表面粗さの小さい電解銅箔を用いて形成された配線回路層が絶縁層から剥離し、これによって、基板の変形およびビア導体と配線回路層との電気的な接続不良が部分的に発生するという問題があった。
【0014】
また最近では、配線基板の高性能化、高信頼性化のために、絶縁基板を形成する樹脂として、BTレジンやA−PPE等の誘電率、誘電正接や吸水率の低い絶縁樹脂が多用されているが、これらの樹脂は誘電率、誘電正接や吸水率を低くするために水酸基等の極性基が非常に少なくしてあるために、とりわけ銅箔との化学的な相性は非常に悪く、樹脂絶縁層との密着強度が低く、上記の問題がさらに大きくなっていた。
【0015】
本発明は、上記の課題を解決することを目的とするものであり、具体的には、安定した粗面加工が可能であり、多層配線基板における配線回路層を形成した場合においても樹脂絶縁層との密着性に優れ、密着不良による基板の変形の発生を防止し、ビア導体の電気接続不良や外観不良を改善できる電解銅箔、電解銅箔付きフィルム、多層配線基板及びその製造方法を提供するものである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明は、一方の表面がマット処理されたマット面であり、他方の面がマット処理されていないシャイニー面である電解銅箔であって、前記シャイニー面から銅箔全体厚みの1/2深さまでの断面領域におけるEBSD法に基づく結晶粒径(円相当として算出した直径)0.5μm以下の結晶粒子の割合が50面積%以下であることを特徴とするものである。さらに詳細には、前記シャイニー面における表面粗さ(Ra)が0.4μm以下、前記マット面における表面粗さ(Rz)が1.3μm以上であることが望ましい。
【0017】
また、本発明の電解銅箔付きフィルムは、一方の表面がマット処理されたマット面であり、他方の面がマット処理されていないシャイニー面である電解銅箔の前記マット面側をフィルム基材に接着してなり、前記電解銅箔の前記シャイニー面から銅箔全体厚みの1/2深さまでの断面領域におけるEBSD法に基づく結晶粒径(円相当として算出した直径)0.5μm以下の結晶粒子の割合が50面積%以下であることを特徴とする。
【0018】
また、本発明の他の電解銅箔付きフィルムは、一方の表面がマット処理されたマット面であり、他方の面がマット処理されていないシャイニー面である電解銅箔の前記シャイニー面側をフィルム基材に接着してなる電解銅箔付きフィルムであって、前記電解銅箔の前記シャイニー面から銅箔全体厚みの1/2深さまでの断面領域におけるEBSD法に基づく結晶粒径(円相当として算出した直径)0.5μm以下の結晶粒子の割合が50面積%以下であることを特徴とする。
【0019】
詳細には、前記シャイニー面における表面粗さ(Ra)が0.4μm以下、前記マット面における表面粗さ(Rz)が1.3μm以上であることが望ましい。
【0020】
また、本発明の多層配線基板は、熱硬化性樹脂を含有する絶縁層の表面に、電解銅箔からなる配線回路層を形成してなる配線ユニットを積層した構造体からなり、前記配線ユニットのうち、配線回路層が内部に位置する配線ユニットにおいて、前記配線回路層が絶縁層の表面に埋設形成されているとともに、配線回路層を形成する電解銅箔の埋設された面が、から銅箔全体厚みの1/2深さまでの断面領域におけるEBSD法に基づく結晶粒径(円相当として算出した直径)0.5μm以下の結晶粒子の割合が50面積%以下である面を、粗化処理した面であることを特徴とするものである。
【0021】
さらに詳細には、前記熱硬化性樹脂を含有する絶縁層に埋設された内部の配線回路層の埋設面の表面粗さ(Rz)が1.3μm以上であることが配線回路層と絶縁層との密着性を高める上で望ましい。
【0022】
また、本発明の多層配線基板は、熱硬化性樹脂を含有する絶縁層の表面に、電解銅箔からなる配線回路層を形成してなる配線ユニットを積層した構造体からなり、前記配線ユニットのうち、配線回路層が最表面に位置する配線ユニットにおいて、前記配線回路層が絶縁層の表面に埋設形成され、前記配線回路層が樹脂によりコーティングされているとともに、配線回路層を形成する電解銅箔の最表面が、銅箔全体厚みの1/2深さまでの断面領域におけるEBSD法に基づく結晶粒径(円相当として算出した直径)0.5μm以下の結晶粒子の割合が50面積%以下である面を、粗化処理した面であることを特徴とする。
【0023】
また、詳細には前記熱硬化性樹脂を含有する絶縁層に埋設された最表面の配線回路層の埋設面の表面粗さ(Rz)が1.3μm以上であることが配線回路層と絶縁層との密着性を高める上で望ましい。
【0024】
さらには、本発明によれば、上記の多層配線基板をコア基板とし、その少なくとも一方の表面に、前記コア基板よりも厚みの薄い高密度多層配線層を形成したことを特徴とする。この場合、前記コア基板最表面の配線回路層の高密度多層配線層と接する面およびコア基板における絶縁層に埋設された面の表面粗さ(Rz)がいずれも1.3μm以上であることがコア基板と多層配線層との密着性を高める上で望ましい。
【0025】
また、本発明の多層配線基板の製造方法としては、(a)電解銅箔を接着剤を介してフィルム基材に接着させて電解銅箔付きフィルムを作製する工程と、(b)該電解銅箔付きフィルムにおける電解銅箔をエッチング加工して配線回路層を形成する工程と、(c)熱硬化性樹脂を含有する軟質状態の絶縁シートの表面に、前記電解銅箔付きフィルム表面に形成された配線回路層を転写して、配線ユニットを作製する工程と、(d)上記に従い作製された複数の配線ユニットを積層し、一括して完全硬化する工程と、を具備する多層配線基板の製造方法であって、前記配線ユニットのうち配線回路層が内部に位置する配線ユニットにおける前記配線回路層が前記絶縁シートの表面に埋設形成されているとともに、該配線回路層を形成する電解銅箔の埋設される面が、銅箔全体厚みの1/2深さまでの断面領域におけるEBSD法に基づく結晶粒径(円相当として算出した直径)0.5μm以下の結晶粒子の割合が50面積%以下である面を粗化処理した面であることを特徴とするものである。
【0026】
なお、前記内部に位置する配線ユニットにおける前記電解銅箔の埋設された面の表面粗さ(Rz)が1.3μm以上であることが、配線回路層の絶縁層との密着性を高め、配線回路層の剥離や基板の変形の発生を防止し、ビア導体の電気接続不良や外観不良をより改善できる。
【0027】
また、本発明の第2の多層配線基板の製造方法は、(a)電解銅箔を接着剤を介してフィルム基材に接着させて電解銅箔付きフィルムを作製する工程と、(b)該電解銅箔付きフィルムにおける電解銅箔をエッチング加工して配線回路層を形成する工程と、(c)熱硬化性樹脂を含有する軟質状態の絶縁シートの表面に、前記電解銅箔付きフィルム表面に形成された配線回路層を転写して、配線ユニットを作製する工程と、(d)上記に従い作製された複数の配線ユニットを積層し、一括して完全硬化する工程と、しかる後、前記配線ユニットのうち配線回路層が最表面に位置する配線ユニットにおける前記配線回路層が絶縁層の表面に樹脂によりコーティングする工程と、を具備する多層配線基板の製造方法であって、前記配線ユニットのうち配線回路層が最表面に位置する配線ユニットにおける前記配線回路層が絶縁層の表面に埋設形成されているとともに、配線回路層を形成する電解銅箔の最表面が、該最表面から銅箔全体厚みの1/2深さまでの断面領域におけるEBSD法に基づく結晶粒径(円相当として算出した直径)0.5μm以下の結晶粒子の割合が50面積%以下である面を粗化処理した面であることを特徴とするものである。
【0028】
なお、最表面に位置する配線ユニットにおける前記電解銅箔の埋設された面の表面粗さ(Rz)が1.3μm以上であることが、配線回路層の絶縁シートとの密着性を高める上で望ましい。
【0029】
さらに、第3の多層配線基板の製造方法においては、前記第2の製造方法によって作製された多層配線基板をコア基板として、該基板の少なくとも一方の表面に、前記コア基板よりも厚みの薄い高密度多層配線層を形成する工程と、を具備することを特徴とする。この場合、前記コア基板の最表面の配線回路層において前記最表面に位置する配線ユニットの前記絶縁層に埋設された最表面の配線回路層の前記高密度多層配線層と接する面の表面粗さ、および前記絶縁層に埋設された面の表面粗さ(Rz)をいずれも1.3μm以上とすることによって、コア基板と高密度多層配線層との密着性および電気的接続信頼性を改善できる。
【0030】
【発明の実施の形態】
(電解銅箔)
本発明の電解銅箔を図1の概略断面図をもとに詳細に説明する。
本発明の電解銅箔10は、一方の表面がマット面11、他方の面がシャイニー面12によって形成されている。本発明によれば、かかる電解銅箔10において、シャイニー面12から銅箔全体厚みの1/2深さまでの断面領域13におけるEBSD(Electron Backscattered Diffraction)法に基づく0.5μm以下の結晶粒子の割合が50面積%以下、望ましくは40面積%以下であることが重要である。
【0031】
この(Electron Backscattered Diffraction)法とは、試料の傾斜面に対して電子線を照射して発生したEBSP(Electron Backscattered Diffraction Pattern)をCCDカメラを具備する方位解析装置で結晶方位を検出するもので、本発明では、結晶方位が5degree以上相違するものを異なる結晶とみなし、銅結晶の粒径は、結晶粒子を円相当として算出した直径を示している。
【0032】
0.5μm以下の結晶粒子の割合を上記のように限定したのは、粒径0.5μm以下の結晶粒子の割合が50面積%より多くなると、このシャイニー面を粗化処理しても表面粗さが小さく且つ安定せず、樹脂絶縁層との密着不良やビア導体との接続不良を来し、はんだ耐熱や温度サイクル等の信頼性試験において基板の変形が発生するからである。
【0033】
このような電解銅箔10を形成するには、通常の方法によって電解電極表面に銅を電着させ、初期には電着性を高めるために、微細な銅結晶を析出させた後に、比較的大きな銅結晶を成長させる。本発明によれば、このようにして作製された電解銅箔10における電解電極表面側をマット面11とし、成長面をシャイニー面12とする。
【0034】
なお、本発明の電解銅箔10によれば、シャイニー面12における表面粗さ(Ra)は0.4μm以下、望ましくは0.3μm以下であることがよい。これによって、シャイニー面12側を樹脂フィルムなどのフィルム基材と接着した場合において、接着性が高まり、フィルム基材表面でのエッチング加工時に銅箔剥がれや液浸による配線回路層表面の外観不良が起きることを防止することができる。また、マット面11における表面粗さ(Rz)は1.3μm以上、望ましくは1.5μm以上であるのがよい。これによって、樹脂絶縁層との密着不良の発生、およびこの面での基板の変形を効果的に防止することができる。
【0035】
本発明の電解銅箔10の厚みは、3〜50μm、望ましくは5〜35μmの範囲にあるのが好ましい。これによって電解銅箔10から形成される配線回路層の抵抗を小さくするとともに、後述する多層配線基板を製造する際の積層時における配線回路層の厚みに基づく絶縁基板或いは絶縁層の変形を防止することができる。また電解銅箔10から形成される配線回路層を絶縁層に転写させる際に配線回路層の絶縁層への埋め込みを容易とし、絶縁層の歪みの発生を防止し、樹脂硬化時の変形をも防止できる。また、電解銅箔10をエッチングして配線回路層を形成する際の精度の高い微細な配線を得ることができる。
(電解銅箔付きフィルム)
次に、本発明によれば、上述した電解銅箔10を所定のフィルム基材15の表面に接着形成して用いることが望ましい。その場合、図2に示すように、(a)電解銅箔10のマット面11側を、接着剤14を介してフィルム基材15に接着するものと、(b)電解銅箔10のシャイニー面12側を接着剤14を介してフィルム基材15と接着するものがある。
【0036】
図2(a)の電解銅箔付きフィルムは、多層配線基板を形成する場合における主に内部の配線回路層を形成するのに好適に用いられる。
【0037】
また、図2(b)の電解銅箔付きフィルムは、多層配線基板を形成する場合における最表面の配線回路層を形成するのに好適に用いる。
【0038】
この場合、電解銅箔付きフィルムの電解銅箔のシャイニー面12における表面粗さ(Ra)が0.4μm以下、特に0.3μm以下が望ましい。これによりシャイニー面12側をフィルム基材15と接着した時の接着性を改善し、この後のエッチング工程での銅箔剥がれや液浸による配線回路層表面の外観不良を防止する。また、マット面11における表面粗さ(Rz)が1.3μm以上、特に1.5μm以上であることが望ましい。これにより、この電解銅箔を用いて形成された配線回路層を樹脂絶縁層の表面や内部に形成した場合のはんだ耐熱や温度サイクル等の信頼性試験において基板の変形の発生を抑制できる。
【0039】
電解銅箔付きフィルムにおいて用いられるフィルム基材15としては、適度な柔軟性を有している公知の樹脂フィルムを使用することができ、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリイミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリエチレンナフタレート等の群から選ばれる少なくとも1種から成るフィルムが使用される。このフィルム基材15として、10〜500μm、望ましくは20〜300μmのものを用いることによって、電解銅箔を配線回路層状に加工した時に、フィルム基材15の変形や折れ曲がりによる配線回路層の断線の発生を防止するとともに、フィルム基材15表面に形成された配線回路層を絶縁層に転写する場合のフィルム基材15の引き剥がしを容易に行うことができる。
【0040】
このフィルム基材15と電解銅箔10とを接着する接着剤としては、アクリル系、ゴム系、シリコン系、エポキシ系等公知の接着剤が使用できる。また、接着剤の厚みは、接着力とも関係するが、1〜20μmが適当である。金属箔との接着力は、50〜700g/25mm(約0.5〜7.0N/25mm)の範囲にあることによって、エッチング時の電解銅箔の剥がれを防止するとともに、絶縁層への配線回路層の転写後のフィルムの剥離を容易にすることができる。尚、接着剤の接着力はフィルム基材と引き剥がす時の180°ピール強度(JIS Z0237)により測定することができる。
(多層配線基板)
本発明の多層配線基板について図3、図4、図5の概略断面図をもとに説明する。
【0041】
図3の多層配線基板によれば、絶縁層21a〜cが積層された絶縁基板21の表面に配線回路層22が形成され、また、絶縁基板21の内部に内部配線回路層23や配線回路層22間を接続するため、絶縁層21a〜cを貫通するビア導体24が形成されている。
【0042】
本発明の多層配線基板の各絶縁層21a〜cは、熱硬化性樹脂と無機フィラーから構成されることが望ましい。絶縁層21a〜cを構成する熱硬化性樹脂は吸水率が0.5%以下、望ましくは0.3%以下であることがよい。吸水率を0.5%以下とすることにより、水分の影響を受けてビア導体24の抵抗が上昇するのを防止することができる。また、本発明の多層配線基板に半導体チップを実装した時にはチップの誤動作を防止することもできる。
【0043】
具体的には、絶縁層21を構成する熱硬化性樹脂としては、A−PPE(アリル化ポリフェニレンエーテル)、BTレジン(ビスマレイミドトリアジン)、ポリイミド樹脂、ポリアミドビスマレイミド、エポキシ等の樹脂が望ましい。また、絶縁層21の無機フィラーは、SiO2、Al2O3、AlN等が好適であり、フィラーの形状は平均粒径が20μm以下、特に10μm以下、最適には7μm以下の略球形状の粉末が用いられる。また、多層配線基板の強度を持たせるためには繊維質の織布や不織布を含む絶縁層を少なくとも1層は含むことが多層配線基板の強度を持たすという点で望ましい。この無機質フィラーは、有機樹脂:無機質フィラーの体積比率で15:85〜95:5の比率範囲で混合される。高密度配線基板を作製するためにビアピッチを小さくするためには繊維質のフィラーよりも、球状のフィラーを用いるほうがよい。
【0044】
本発明の多層配線基板における内部配線回路層23の要部拡大図を図3(b)に示す。前記内部配線回路層23は、図1の電解銅箔10から構成されており、絶縁層21b〜cの上面側に埋設形成される。
【0045】
本発明によれば、この内部配線回路層23を形成する電解銅箔の絶縁層21b〜cに埋設された面から銅箔全体の厚みの1/2深さまでの断面領域13におけるEBSD法に基づく0.5μm以下の結晶粒径(円相当として算出した直径)の割合が50面積%以下であることが重要であり、特に結晶粒径の割合が40面積%以下であることが望ましい。埋設面は、密着性を高めるために粗化処理を行うが、0.5μm以下の粒径の結晶が50面積%より多くなると、粗化処理をしても、小さい結晶が大量に存在するために表面粗さが大きくなりにくく安定しない。その結果、0.5μm以下の粒径の結晶が50面積%より多くなると配線回路層の絶縁層への密着強度が低下し、はんだ耐熱や温度サイクル等の信頼性試験において基板の変形が発生する。
【0046】
本発明によれば、上記の内部配線回路層23を上記の組織の電解銅箔によって形成することによって絶縁層への埋設面の表面粗さを大きく且つ安定した粗さに加工することができる。特に、内部配線回路層23の両面の表面粗さ(Rz)が1.3μm以上、特に1.5μm以上、さらには1.8μm以上であることが、より配線回路層の密着強度を高め、はんだ耐熱や温度サイクル等の信頼性試験において基板の変形の発生を効果的に防止することができる。
【0047】
本発明の多層配線基板の表面配線回路層22の要部拡大図を図3(c)に示す。前記表面配線回路層22は、前述の電解銅箔10から構成されており、絶縁層21aの上面側、または絶縁層21cの下面側に埋設形成される。
【0048】
本発明によれば、表面配線回路層22を形成する電解銅箔の最表面(露出側)から銅箔全体厚みの1/2深さまでの断面領域13におけるEBSD法に基づく結晶粒径(円相当として算出した直径)の割合が50面積%以下であることが重要である、特に結晶粒径の割合が40面積%以下であることが望ましい。0.5μm以下の粒径の結晶が50面積%より多くなると、多層配線基板表面にソルダーレジスト等の樹脂をコーティングした時に、粗化処理した後の表面粗さが小さく安定しないため、配線回路層22の密着強度が低下する。また、はんだ耐熱や温度サイクル等の信頼性試験においてソルダーレジストの変形が発生する。
【0049】
表面配線回路層22の表面側22xの表面粗さ(Rz)を1.3μm以上、特に1.5μm以上とすることによって、表面絶縁層と絶縁層とのはんだ耐熱や温度サイクル等の信頼性試験において材料の熱膨張差に伴うクラックの発生を防止することができる。
【0050】
また、表面配線回路層22の絶縁層21a、21dに埋設された面22yの表面粗さ(Rz)を1.3μm以上、特に1.5μm以上とすることによって、配線回路層22の絶縁層21aへの密着強度を高め、よりはんだ耐熱や温度サイクル等の信頼性試験において基板の変形をより防止することができる。
【0051】
本発明の図3の多層配線基板のビア導体24は、金属粉末を含有する導電性ペーストを充填して形成する方法や、メッキにより形成する方法で作製することができる。絶縁層の吸水や環境への負荷やコストを考慮すると前者の導電性ペーストを充填するほうが望ましい。上記ビア導体24は、少なくとも金、銀、銅、アルミニウムから選ばれる低抵抗金属および有機樹脂を含有し、特に導体成分として、錫、ビスマス、インジウムから選ばれる低融点金属を含有することによってビア導体24の高温放置やPCT等の信頼性試験において電気抵抗の劣化が防止できる。
【0052】
また、本発明によれば、図4(a)の概略断面図に示すように、図3の多層配線基板をコア基板Aとして、その少なくとも一方の表面に、ビルドアップ法等に従って、薄型の絶縁層31や配線回路層32やビア導体33を具備する高密度多層配線層Bを形成することができる。
【0053】
この場合、コア基板Aの最表面の配線回路層22の多層配線層B側の表面粗さ(Rz)が1.3μm以上、特に1.5μm以上であることが望ましく、これにより配線回路層22の多層配線層Bの絶縁層31との密着強度を高め、はんだ耐熱や温度サイクル等の信頼性試験において基板の変形を防止できる。
【0054】
多層配線層Bにおける絶縁層31は、熱硬化性樹脂を含有するもので、A−PPE(アリル化ポリフェニレンエーテル)、BTレジン(ビスマレイミドトリアジン)、ポリイミド樹脂、ポリアミドビスマレイミド、エポキシ樹脂の群から選ばれる少なくとも1種の樹脂が望ましい。また、絶縁層31の熱膨張係数を小さくさせるために、SiO2、Al2O3、AlNなどの無機質フィラーを混合するのが望ましい。この無機質フィラーは、有機樹脂:無機質フィラーの体積比率で15:85〜95:5の比率範囲で混合される。高密度配線基板を作製するためにビアピッチを小さくするためには繊維質のフィラーよりも、球状のフィラーを用いるほうがよい。
【0055】
多層配線層Bにおける配線回路層32やビア導体33は、少なくとも銅等の低抵抗金属を含有するものであり、絶縁層31、配線回路層32、ビア導体33は必要に応じて何層でも作製することができる。
【0056】
上述の図3、図4の多層配線基板は、高密度な配線を形成できるとともに配線回路層と絶縁層との密着強度を高めることができ、はんだ耐熱や温度サイクル等の信頼性試験においても基板の変形がなく電気接続性も良好である。
【0057】
次に、本発明の多層配線基板の製造方法を図5、6をもとに説明する。
【0058】
図5は図3の多層配線基板の製造方法を示すための工程図である。図6は図4の多層配線基板における高密度多層配線層の製造方法を示すための工程図である。
【0059】
図5の多層配線基板の製造方法によれば、フィルム基材52の表面に接着剤を介して電解銅箔51を接着する(a)。
【0060】
この時、最表面の配線回路層を形成するのに電解銅箔のシャイニー面とフィルム基材と接着した図2(b)の電解銅箔付きフィルムを使用し、内部の配線回路層を形成するのに、電解銅箔のマット面をフィルム基材に接着した図2(a)の電解銅箔付きフィルムを使用する。
【0061】
そして、各電解銅箔51の表面にさらにフォトレジスト53を貼付する(b)。フォトレジスト53を露光、現像することにより、配線回路層部分にフォトレジスト54を残す(c)。フォトレジスト54はネガ型を用いる方が、その後の配線回路層55を粗化するときに処理が行いやすい。その後、電解銅箔51をエッチングし(d)、フォトレジスト54を剥離することにより配線回路層55を形成する(e)。この時、フィルム基材52表面に形成した配線回路層55の断面は台形型に形成するのが良い。台形の形成角は(θ)は45°〜80°であるのが良く、望ましくは50°〜75°が良い。台形の形成角を45°以上とすることによって、この後多層配線基板を作製した時に配線回路層55のピール強度を高めることができる。また台形の形成角を80°以下とすることで、配線回路層55側面の長さが長くなるため水分がビア導体58へ到達しにくくなる。なお、台形の形成角(θ)を45°〜80°にするには、エッチング速度を制御することで調整でき、特に2〜50μm/minでエッチングするのが良い。
【0062】
なお、フィルム基材52上に形成した内部配線回路層55においては、前述した通り、シャイニー面、つまり絶縁層への埋設面から銅箔全体の厚みの1/2深さまでの断面領域13におけるEBSD法に基づく結晶粒径(円相当として算出した直径)0.5μm以下の結晶粒子の割合が50面積%以下であり、これにより、このシャイニー面の表面粗さ(Rz)を1.3μm以上に粗化処理することができる。粗化処理は、特に1.5μm以上、さらに1.8μm以上に粗化処理することが望ましい。
【0063】
この粗化処理は電解銅箔の結晶粒界を選択的にエッチングする薬品がよく、蟻酸、NaClO2、NaOH、Na2PO4あるいはこれらの混合液等を用いることができる。特に、蟻酸を吹き付けるのが表面粗さを細かく制御できる点で望ましい。
【0064】
一方、絶縁層56を準備し、レーザー光を照射してビアホール57の加工を行う(f)。ビアホール57加工はCO2、YAGレーザー、エキシマレーザー、フェムト秒レーザー等が使用できる。その後、金、銀、銅、アルミニウム等から選ばれる少なくとも1種を含む金属粉末に有機成分を添加し、導体ペーストを作製する。ビア導体58と配線回路層55の接続信頼性を保つためには、錫、ビスマス、インジウムから選ばれる少なくとも1種の低融点金属を含むのが望ましい。そして、ビアホール57に導体ペーストを充填し、ビア導体58を形成する(g)。導体ペースト中の有機成分は不揮発で絶縁樹脂と反応するものを用いるのが望ましい。また、導体ペーストの充填方法として常圧の印刷機等も使用できるが、真空印刷機を用いることもできる。
【0065】
その後、フィルム基材52上に作製した鏡像の配線回路層55を、ビア導体58を形成した絶縁層56の表面に熱圧着する(h)。そして、この鏡像の配線回路層55のパターンを有するフィルム基材52をBステージ状の絶縁層56の表面に積層して100〜150℃、3kg/cm2以上の圧力を印加した後、フィルム基材52を剥離する(i)ことにより、絶縁層56の表面に配線回路層55を転写するとともに、配線回路層55を絶縁層56の表面に埋設し、1つの配線ユニットを得ることができる(j)。
【0066】
次に、以上のようにして作製された配線ユニット59−1〜3を複数枚位置合せして重ねて積層、一括硬化することにより、図3の本発明の多層配線基板を作製することができる(k)。
【0067】
なお、後述するソルダーレジスト層及びビルドアップ法による多層配線層の形成にあたり、コア基板の最表面の配線回路層は、最表面がシャイニー面によって構成されるが、このシャイニー面から銅箔全体の厚みの1/2深さまでの断面領域におけるEBSD法に基づく結晶粒径(円相当として算出した直径)0.5μm以下の結晶粒子の割合が50面積%以下であり、これにより、このシャイニー面の表面粗さ(Rz)を1.3μm以上に粗化処理することができる。粗化処理は、特に1.5μm以上、さらに1.8μm以上に粗化処理することが望ましい。この時の粗化処理も、前記と同様に、電解銅箔の結晶粒界を選択的にエッチングする薬品がよく、蟻酸、NaClO2、NaOH、Na2PO4あるいはこれらの混合液等を用いることができる。特に、蟻酸を吹き付けるのが表面粗さを細かく制御できる点で望ましい。
【0068】
次に、コア基板Aの表裏の多層配線層Bの形成について図6をもとに説明する。まず、上記のようにして作製したコア基板Aの最表面に配線回路層60が形成されたコア基板Aを準備し、そのコア基板Aの表面に絶縁層61を熱圧着する(b)。次に、コア基板A表面に熱圧着された絶縁層61にブラインドビアホール62をレーザーにより加工する。ブラインドビアホール62の加工は、YAGレーザー、エキシマレーザー、フェムト秒レーザー等が使用できる。
【0069】
次に、ブラインドビアホール62にメッキまたは導体ペーストを用いてビア導体63を形成する。基板の高密度化の点からはビアホールを充填するのが望ましい。
【0070】
その後、絶縁層61上に配線回路層64を形成するが、この配線回路層64は、メッキ法あるいは前記電解銅箔付きフィルムを用いた転写法により形成することができる。その後、再度絶縁層61を熱圧着して上記と同じビア導体形成、配線回路層形成工程を繰り返すことにより、任意の層数の高密度多層配線層Bを形成することができる。
【0071】
なお、上記の高密度多層配線層Bにおいても、コア基板A製造と同様に、内部配線回路層形成には、図2(a)の電解銅箔付きフィルムを、最表面の配線回路層形成には、図2(b)の電解銅箔付きフィルムを用いて形成すればよい。
【0072】
上記の製造方法において、本発明によれば、多層配線基板及びコア基板の製造方法において、転写法を用いることにより配線回路層の加工と、絶縁層の加工と並行して行うことができるため、また、コア基板上に微細は配線層を形成できるため、短い製造工程で高密度かつ信頼性の高い多層配線基板を作製することができる。
【0073】
【実施例】
多層配線基板及びコア基板の絶縁層として、アリル化ポリフェニレンエーテル(A−PPE)樹脂を無機質フィラーとしてガラス布に含浸させ、厚み100μmのプリプレグを作製し第1の絶縁シートとした。この第1の絶縁層にCO2レーザーで100μmφのビアホール加工を行い、次いで銅の表面を銀でコーティングした低抵抗金属粉末と錫とビスマスを含む低融点金属粉末を有機成分のトリアリルイソシアヌレート(TAIC)を混合し、導体ペーストをビアホールに充填してビア導体を形成した。
【0074】
一方、電解銅箔として、電解電極表面側にマット面を形成し、成長面をシャイニー面とした種々の電解銅箔と、成長面側にマット面を形成した種々の電解銅箔について、シャイニー面から銅箔全体厚みの1/2深さまでの断面領域におけるEBSD法に基づく結晶粒径(円相当として算出した直径に面積比を乗じた値の和)0.5μm以下の結晶粒子の割合が表1の値を有する種々の電解銅箔を用いて、その電解銅箔のシャイニー面を10%の蟻酸により粗化処理を施した後の表面粗さを測定した。なお、各試料について10個の粗化処理したサンプルを作製し、表面粗さのバラツキ範囲を表1に示した。
【0075】
EBSD法に基づく結晶粒径の測定では、鉛直方向に対して20度傾斜した試料面に対してSEMによって鉛直方向からイオンビームを照射し、照射部分に対して水平位置に設けた方位解析装置によってEBSP(Electron BackscatteredDiffraction Pattern)を検出し、結晶方位が5degree以上相違するものを異なる結晶とみなした。なお、銅結晶の粒径は、結晶粒子を円相当として算出した直径を示している。
【0076】
なお、電解銅箔の厚みは、12μmと18μmのものを準備し、マット面の表面粗さ(Rz)はすべて2.0μmとした。
【0077】
そして、内部配線回路層を形成するために50μmのPETフィルムと、上記の電解銅箔のマット面を樹脂フィルムと貼りあわせた。また、表面配線回路層を形成するために50μmのPETフィルムと上記18μmの厚さの電解銅箔のシャイニー面をPETフィルムと貼りあわせた。
【0078】
電解銅箔表面にドライフィルムレジストを貼付し、露光、炭酸ナトリウムによる現像、塩化第二鉄によるエッチングを行い、その後、水酸化ナトリウムによるレジストの剥離を行い、PETフィルム上に台形の60°の形成角を持つ配線回路層を形成した。
【0079】
この後、内部配線回路層に対して、10%の蟻酸により粗化処理を施した。
【0080】
次に、ビア導体を形成したプリプレグとPETフィルム上に作製した配線回路層を位置合わせして貼り合わせ、130℃、50kg/cm2で配線を熱圧着することによりプリプレグに転写した。その後、配線を転写したプリプレグ4層を130℃、50kg/cm2で積層、その後、240℃、20kg/cm2ですべての絶縁層を一括で硬化することにより多層配線基板及びコア基板を作製した。
【0081】
また、コア基板表面のビルドアップ配線層の絶縁シートとして、コア基板と同様A−PPE樹脂に無機質フィラーとして溶融シリカを体積比で50:50となるよう調整し、これに有機溶剤を加えてスラリー状にした。これをドクターブレード法によって厚さ40μmのBステージ状態の第2の絶縁シートを作製した。
【0082】
コア基板の表裏に上記のように作製した第2の絶縁シートを140℃、50kg/cm2で貼り合わせて、YAGレーザーにより50μmφのブラインドビアホールを形成した。この時、YAGレーザーの条件はR.R.=10kHz、ショット繰り返し回数10回で行った。この後、第2の絶縁層を240℃、20kg/cm2で硬化した。この後、ビアホールを銅メッキにより充填し、ビア導体を形成した。また、配線回路層も銅メッキにより形成した。
【0083】
上記工程を繰り返し行い、コア基板の表裏に各2層の多層配線基板を作製した。多層配線基板において、内部配線回路層同士による800個のビア導体直列に接続したデイジーチェーン、または内部配線回路層と表面配線回路層による800個のビア導体直列に接続したデイジーチェーンとを作製し、評価基板を作製した。
(評価)
作製した多層配線基板について、1cm幅の配線回路層を90°の角度で引張り試験を行いピール強度は算出した。
【0084】
また、作製した多層配線基板の信頼性試験としては、260℃、10sec、10回のはんだ耐熱試験、−55℃〜125℃、1000サイクルの温度サイクル試験を行った。上記試験の前後でデイジーチェーンの抵抗変化が10%以内のものを良品、10%を越えるものを不良品としてN数20個の基板について試験した。
【0085】
【表1】
【0086】
表1から明らかなように、電解銅箔のシャイニー面から銅箔全体厚みの1/2深さまでの断面領域におけるEBSD法に基づく結晶粒径(円相当として算出した直径)0.5μm以下の結晶粒子の割合が50面積%以下の電解銅箔を用いることによって、粗化処理によるシャイニー面の表面粗さを大きく且つ安定に形成することができ、これにより、表面配線回路層および内部配線回路層において、樹脂絶縁層との密着性に優れ、基板の変形の発生を防止し、ビア導体の電気接続不良や外観不良を改善した多層配線基板を作製することができた。
【0087】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、電解銅箔として、特にシャイニー面の粗面加工において、表面粗さを大きく且つ安定に形成することができるために、これを用いて転写法によって多層配線基板を製造した場合において、絶縁層と電解銅箔からなる配線回路層との密着性に優れ、密着不良に伴う基板の変形の発生を防止し、またビア導体の電気接続不良や外観不良、はんだ耐熱や温度サイクル等の信頼性試験においても層間の電気接続不良のない信頼性の高い多層配線基板や、高密度多層配線層を具備する多層配線基板を提供することができる。
【0088】
また、本発明の製造方法によれば、従来のプリント配線基板などに比較して絶縁層の加工と配線回路層の加工を並列して行え、絶縁層の樹脂を一括で硬化できるためサイクルタイムを大幅に短縮することができる。また、この多層配線基板をコア基板として高密度多層配線層を形成することもできるため、高密度配線基板を作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電解銅箔を説明するための概略概略図である。
【図2】本発明の電解銅箔付きフィルムを説明するための概略図であり、(a)が内部配線回路層用、(b)が表面配線回路層用を示す。
【図3】本発明の多層配線基板の一例を説明するための(a)概略断面図と、(b)内部配線回路層の概略断面図、(c)表面配線回路層の概略断面図である。
【図4】本発明の多層配線基板の他の例を説明するための(a)概略断面図と、(b)コア基板の表面配線回路層の概略断面図である。
【図5】図3の多層配線基板の製造方法を説明するための工程図である。
【図6】図4の多層配線基板における高密度多層配線層Bの製造方法を説明するための工程図である。
【符号の説明】
(本発明の電解銅箔)
10 電解銅箔
11 マット面
12 シャイニー面
13 シャイニー面から銅箔全体厚みの1/2深さ
21、21a〜d 絶縁層
22 表面配線回路層
23 内部配線回路層
24 ビア導体
Claims (17)
- 一方の表面がマット処理されたマット面であり、他方の面がマット処理されていないシャイニー面である電解銅箔であって、前記シャイニー面から銅箔全体厚みの1/2深さまでの断面領域におけるEBSD法に基づく結晶粒径(円相当として算出した直径)0.5μm以下の結晶粒子の割合が50面積%以下であることを特徴とする電解銅箔。
- 前記シャイニー面における表面粗さ(Ra)が0.4μm以下、前記マット面における表面粗さ(Rz)が1.3μm以上であることを特徴とする請求項1記載の電解銅箔。
- 一方の表面がマット処理されたマット面であり、他方の面がマット処理されていないシャイニー面である電解銅箔の前記マット面側をフィルム基材に接着してなる電解銅箔付きフィルムであって、前記電解銅箔の前記シャイニー面から銅箔全体厚みの1/2深さまでの断面領域におけるEBSD法に基づく結晶粒径(円相当として算出した直径)0.5μm以下の結晶粒子の割合が50面積%以下であることを特徴とする電解銅箔付きフィルム。
- 一方の表面がマット処理されたマット面であり、他方の面がマット処理されていないシャイニー面である電解銅箔の前記シャイニー面側をフィルム基材に接着してなる電解銅箔付きフィルムであって、前記電解銅箔の前記シャイニー面から銅箔全体厚みの1/2深さまでの断面領域におけるEBSD法に基づく結晶粒径(円相当として算出した直径)が0.5μm以下の結晶粒子の割合が50面積%以下であることを特徴とする電解銅箔付きフィルム。
- 前記シャイニー面における表面粗さ(Ra)が0.4μm以下、前記マット面における表面粗さ(Rz)が1.3μm以上であることを特徴とする請求項3または4記載の電解銅箔付きフィルム。
- 熱硬化性樹脂を含有する絶縁層の表面に、電解銅箔からなる配線回路層を形成してなる配線ユニットを積層した構造体からなる多層配線基板であって、前記配線ユニットのうち、配線回路層が内部に位置する配線ユニットにおいて、前記配線回路層が絶縁層の表面に埋設形成されているとともに、配線回路層を形成する電解銅箔の埋設された面が、銅箔全体厚みの1/2深さまでの断面領域におけるEBSD法に基づく結晶粒径(円相当として算出した直径)0.5μm以下の結晶粒子の割合が50面積%以下である面を、粗化処理した面であることを特徴とする多層配線基板。
- 前記熱硬化性樹脂を含有する絶縁層に埋設された内部の配線回路層の両側の表面粗さ(Rz)が1.3μm以上であることを特徴とする請求項6記載の多層配線基板。
- 熱硬化性樹脂を含有する絶縁層の表面に、電解銅箔からなる配線回路層を形成してなる配線ユニットを積層した構造体からなる多層配線基板であって、前記配線ユニットのうち配線回路層が最表面に位置する配線ユニットにおける前記配線回路層が前記絶縁層の表面に埋設形成され、前記配線回路層が樹脂によりコーティングされているとともに、配線回路層を形成する電解銅箔の最表面が、銅箔全体厚みの1/2深さまでの断面領域におけるEBSD法に基づく結晶粒径(円相当として算出した直径)0.5μm以下の結晶粒子の割合が50面積%以下である面を、粗化処理した面であることを特徴とする多層配線基板。
- 前記最表面に位置する配線ユニットの前記絶縁層に埋設された最表面の配線回路層の埋設面の表面粗さ(Rz)が1.3μm以上であることを特徴とする請求項8記載の多層配線基板。
- 請求項8または請求項9記載の多層配線基板をコア基板とし、該コア基板の少なくとも一方の表面に、前記コア基板よりも厚みの薄い高密度多層配線層を形成したことを特徴とする多層配線基板。
- 前記最表面に位置する配線ユニットの前記絶縁層に埋設された最表面の配線回路層の埋設面と、前記高密度多層配線層と接する面の表面粗さ(Rz)がいずれも1.3μm以上であることを特徴とする請求項10記載の多層配線基板。
- (a)電解銅箔を接着剤を介してフィルム基材に接着させて電解銅箔付きフィルムを作製する工程と、(b)該電解銅箔付きフィルムにおける電解銅箔をエッチング加工して配線回路層を形成する工程と、(c)熱硬化性樹脂を含有する軟質状態の絶縁シートの表面に、前記電解銅箔付きフィルム表面に形成された配線回路層を転写して、配線ユニットを作製する工程と、(d)上記に従い作製された複数の配線ユニットを積層し、一括して完全硬化する工程と、を具備することを特徴とする多層配線基板の製造方法であって、
前記配線ユニットのうち配線回路層が内部に位置する配線ユニットにおける前記配線回路層が前記絶縁シートの表面に埋設形成されているとともに、該配線回路層を形成する電解銅箔の埋設される面が、銅箔全体厚みの1/2深さまでの断面領域におけるEBSD法に基づく結晶粒径(円相当として算出した直径)0.5μm以下の結晶粒子の割合が50面積%以下である面を粗化処理した面であることを特徴とする多層配線基板の製造方法。 - 前記内部に位置する配線ユニットにおける前記電解銅箔の両面の表面粗さ(Rz)が1.3μm以上であることを特徴とする請求項12記載の多層配線基板の製造方法。
- (a)電解銅箔を接着剤を介してフィルム基材に接着させて電解銅箔付きフィルムを作製する工程と、(b)該電解銅箔付きフィルムにおける電解銅箔をエッチング加工して配線回路層を形成する工程と、(c)熱硬化性樹脂を含有する軟質状態の絶縁シートの表面に、前記電解銅箔付きフィルム表面に形成された配線回路層を転写して、配線ユニットを作製する工程と、(d)上記に従い作製された複数の配線ユニットを積層し、一括して完全硬化する工程と、しかる後、前記配線ユニットのうち配線回路層が最表面に位置する配線ユニットにおける前記配線回路層を樹脂によりコーティングする工程と、を具備することを特徴とする多層配線基板の製造方法であって、
前記配線ユニットのうち配線回路層が最表面に位置する配線ユニットにおける前記配線回路層が絶縁層の表面に埋設形成されているとともに、配線回路層を形成する電解銅箔の最表面が、該最表面から銅箔全体厚みの1/2深さまでの断面領域におけるEBSD法に基づく結晶粒径(円相当として算出した直径)0.5μm以下の結晶粒子の割合が50面積%以下である面を粗化処理した面であることを特徴とする多層配線基板の製造方法。 - 最表面に位置する配線ユニットにおける前記電解銅箔の埋設された面の表面粗さ(Rz)が1.3μm以上であることを特徴とする請求項14記載の多層配線基板の製造方法。
- 請求項14または請求項15記載の製造方法によって形成された多層配線基板をコア基板として、該基板の少なくとも一方の表面に、前記コア基板よりも厚みの薄い高密度多層配線層を形成する工程と、を具備することを特徴とする多層配線基板の製造方法。
- 前記最表面に位置する配線ユニットの前記絶縁層に埋設された最表面の配線回路層の埋設面と、前記高密度多層配線層と接する面との表面粗さ(Rz)がいずれも1.3μm以上であることを特徴とする請求項16記載の多層配線基板の製造方法。
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