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JP4121919B2 - 膨張収縮構造体及び膨張収縮構造体の制御装置 - Google Patents

膨張収縮構造体及び膨張収縮構造体の制御装置 Download PDF

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Description

本発明は、ロボットアーム等の機械構造を駆動する柔軟性を有する直動駆動アクチュエータとして使われる膨張収縮構造体及び膨張収縮構造体の制御装置に関する。
近年、ペットロボットなどの家庭用ロボットの開発が盛んに行われており、将来は家事支援ロボットなどより実用的な家庭用ロボットが実用化されるものと期待されている。家庭用ロボットは、家庭内に入り人間と共生する必要があるため、従来の産業用ロボットなどとは必要とされる仕様が異なる。
産業用ロボットでは、電気モータや減速器が用いられ、高ゲインのフィードバック制御により繰り返し精度0.1mm等といった高い手先位置精度が実現されている。しかしながら、このような電気モータにより駆動される機構は、剛性が高く、柔らかさに欠ける場合が多く、安全性という面で問題が多い。
これに対し、家庭用ロボットでは、繰り返し精度0.1mm等といった高い精度は必ずしも必要とせず、人間との接触時に危害を与えないなど安全性が重視される。したがって、従来の産業用ロボットのように電気モータによる駆動される機構は、家庭用ロボットなど安全性が重視される分野に適しているとは言えず、柔軟で安全な駆動機構が必要とされている。
こうした課題に対し、図14に示すマッキベン型の空気圧アクチュエータが提案されている。マッキベン型の空気圧アクチュエータは、ゴム材料で構成された管状弾性体53の外表面に繊維コードで構成された拘束部材54が配設され、管状弾性体53の両端部を封止部材55でそれぞれ気密封止する構造となっている。管状の流体通過部材56をそれぞれ通じて空気等の圧縮性流体を供給することにより内圧を管状弾性体53の内部空間に与えると、管状弾性体53が主に半径方向に膨張しようとするが、拘束部材54の作用により、管状弾性体53の中心軸方向の運動に変換され、全長が収縮する。このマッキベン型のアクチュエータは主に弾性体で構成されるため、柔軟性があり、安全で軽量なアクチュエータであるという特徴を有する(例えば、特許文献1参照)。
特開昭59−197605号公報
しかしながら、マッキベン型のアクチュエータは、圧縮性流体を管状弾性体53に注入・注出することにより変位を発生させるため、圧縮性流体の注入・注出の時間がかかるため、応答性が悪いという問題を有しており、内部流体圧と変位の関係の線形性が悪かったり、ヒステリシスがある等、非線形性が存在し、高精度駆動が困難であるという問題を有している。
本発明の目的は、上記従来構造の課題を解決し、柔軟性を持ちつつ、大変位が可能で、高速応答可能であり、かつ、高精度に制御可能な膨張収縮構造体を実現する膨張収縮構造体及び膨張収縮構造体の制御装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明は以下のように構成する。
また、本発明によれば、中空弾性体と、
上記中空弾性体の両端部の気密封止を行う封止部材と、
上記中空弾性体と直列に配設されて流体の加圧による変位量が上記中空弾性体とは異なる流体圧駆動シリンダと、
上記流体が通過する流路を有して、上記流体が上記流路を通過することにより、上記中空弾性体及び上記流体駆動シリンダに対する流体の注入あるいは注出が可能となる管状の流体通過部材とを備える膨張収縮構造体を提供する。
また、本発明によれば、直列に配設されて加圧による変位量が互いに異なる複数の駆動部を有する膨張収縮構造体と、
上記膨張収縮構造体のフィードバック制御を行うフィードバック補償器と、
上記フィードバック補償器からの信号を受けて高周波成分を除去したのち、上記膨張収縮構造体の直列に配設された複数の駆動部のうち長さが長い駆動部に信号を出力するローパスフィルタと、
上記フィードバック補償器からの信号を受けて低周波成分を除去したのち、上記膨張収縮構造体の直列に配設された複数の駆動部のうち長さが短い駆動部に信号を出力するハイパスフィルタとを備える膨張収縮構造体の制御装置を提供する。
また、本発明によれば、直列に配設されて加圧による変位量が互いに異なる複数の駆動部を有する膨張収縮構造体と、
上記膨張収縮構造体の直列に配設された複数の駆動部のうち長さが長い駆動部のフィードフォワード制御を行うフィードフォワード補償器と、
上記膨張収縮構造体の直列に配設された複数の駆動部のうち長さが短い駆動部のフィードバック制御を行うフィードバック補償器とを備える膨張収縮構造体の制御装置を提供する。
本発明の弾性膨張収縮構造体によれば、上記中空弾性体と流体圧駆動シリンダとを直列に配設することにより、柔軟かつ大変位が可能で、さらに高速応答可能なアクチュエータが実現でき、高精度な位置決めや軌道追従が可能な柔軟で安全なロボットが実現可能となる。
また、本発明の弾性膨張収縮構造体の制御装置によれば、ローバスフィルタ及びハイパスフィルタが配設されていることにより、制御信号の不要な高周波成分あるいは低周波成分が除去されるため、管状弾性構造体の動作の応答遅れや飽和が抑制され高精度な制御か可能となる。
また、本発明の弾性膨張収縮構造体の制御装置によれば、フィードフォワード補償器によるフィードフォワード制御及びフィードバック補償器によるフィードバック制御を行うことで、全長が長い方の管状弾性体はフィードフォワード補償器により、位置誤差に関係なく大まかに目標軌道に追従すよう動作し、短い方の管状弾性体はフィードバック制御により応答良く目標軌道に追従するよう動作すため、全長が長い方の管状弾性体の大まかな動きを短い方の管状弾性体が補償するよう動作し、全体として高精度な制御が可能となる。
以下に、本発明にかかる実施の形態を詳細に説明する前に、本発明の種々の態様についして説明する。
本発明の第1態様によれば、直列に配設されて加圧による変位量が互いに異なる複数の中空弾性体と、
上記直列に配設された複数の中空弾性体を互いに連結し、かつ、連結部分での気密封止を行う連結封止部材と、
上記直列に配設された複数の中空弾性体の両端部を封止する1組の封止部材と、
流体が通過する流路を有して、上記流体が上記流路を通過することにより、上記直列に配設された複数の中空弾性体のそれぞれの中空内部に対する上記流体の注入あるいは注出が可能となる管状の流体通過部材とを備える膨張収縮構造体を提供する。
本発明の第2態様によれば、上記直列に配設された中空弾性体のうち少なくとも1つは管状であり、かつ、その管状中空弾性体の外周部に、半径方向の伸びて軸方向に縮む一方、半径方向の収縮して軸方向に伸びるように軸方向の変形を規制する変形方向規制部材が備えられている第1の態様に記載の膨張収縮構造体を提供する。
本発明の第3態様によれば、上記直列に配設された複数の中空弾性体のうち少なくとも1つは蛇腹状中空弾性体である第1の態様に記載の膨張収縮構造体を提供する。
本発明の第4態様によれば、中空弾性体と、
上記中空弾性体の内部空間を異なる容積の2つ以上の空間に分断する隔壁と、
上記中空構造体の両端を封止する一組の封止部材と、
流体が通過する流路を有して、上記流体が上記流路を通過することにより、上記隔壁により分断された上記中空構造体の上記2つ以上の空間のそれぞれに対する流体の注入あるいは注出が可能となる管状の流体通過部材とを備える膨張収縮構造体を提供する。
本発明の第5態様によれば、上記中空弾性体は、上記隔壁により分断される部分のうち少なくとも1つは管状であり、かつ、変形方向を規制する変形方向規制部材が配設されている第4の態様に記載の膨張収縮構造体を提供する。
本発明の第6態様によれば、上記中空弾性体は、上記隔壁により分断される部分のうち少なくとも1つは蛇腹状である第4の態様に記載の膨張収縮構造体を提供する。
本発明の第7態様によれば、中空弾性体と、
上記中空弾性体の両端部の気密封止を行う封止部材と、
上記中空弾性体と直列に配設されて流体の加圧による変位量が上記中空弾性体とは異なる流体圧駆動シリンダと、
上記流体が通過する流路を有して、上記流体が上記流路を通過することにより、上記中空弾性体及び上記流体駆動シリンダに対する流体の注入あるいは注出が可能となる管状の流体通過部材とを備える膨張収縮構造体を提供する。
本発明の第8態様によれば、上記流体は圧縮性流体である第1の態様、第4の態様、あるいは第7の態様に記載の膨張収縮構造体を提供する。
本発明の第9態様によれば、直列に配設されて加圧により変位量が異なる複数の駆動部を有する膨張収縮構造体と、
上記膨張収縮構造体の直列に配設された複数の駆動部のうち長さが長く大変位用の駆動部のフィードバック制御を行う第1フィードバック補償器と、
上記膨張収縮構造体の直列に配設された複数の駆動部のうち長さが短く小変位用の駆動部のフィードバック制御を行う第2フィードバック補償器とを備える膨張収縮構造体の制御装置を提供する。
本発明の第10態様によれば、直列に配設されて加圧による変位量が互いに異なる複数の駆動部を有する膨張収縮構造体と、
上記膨張収縮構造体のフィードバック制御を行うフィードバック補償器と、
上記フィードバック補償器からの信号を受けて高周波成分を除去したのち、上記膨張収縮構造体の直列に配設された複数の駆動部のうち長さが長い駆動部に信号を出力するローパスフィルタと、
上記フィードバック補償器からの信号を受けて低周波成分を除去したのち、上記膨張収縮構造体の直列に配設された複数の駆動部のうち長さが短い駆動部に信号を出力するハイパスフィルタとを備える膨張収縮構造体の制御装置を提供する。
本発明の第11態様によれば、直列に配設されて加圧による変位量が互いに異なる複数の駆動部を有する膨張収縮構造体と、
上記膨張収縮構造体の直列に配設された複数の駆動部のうち長さが長い駆動部のフィードフォワード制御を行うフィードフォワード補償器と、
上記膨張収縮構造体の直列に配設された複数の駆動部のうち長さが短い駆動部のフィードバック制御を行うフィードバック補償器とを備える膨張収縮構造体の制御装置を提供する。
以下に、本発明にかかる実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
(第1実施形態)
図1は本発明の第1実施形態における弾性膨張収縮構造体1の構成を示す図である。図1において、2はゴム材料で構成されて駆動部として機能する第1管状弾性体である。3は材料的には伸びにくい樹脂又は金属の繊維コードを網目状に編んで、第1管状弾性体2の膨張による半径方向の変形が軸方向の長さの収縮に変換される一方、第1管状弾性体2の収縮による半径方向の変形が軸方向の長さの膨張に変換される変形方向規制部材であり、第1管状弾性体2の外表面を覆うように配設されている。4はゴム材料で構成されて駆動部として機能しかつ第1管状弾性体2より軸方向長さが短い第2管状弾性体である。5は材料的には伸びにくい樹脂又は金属の繊維コードを網目状に編んで、第2管状弾性体4の膨張による半径方向の変形が軸方向の長さの収縮に変換される一方、第2管状弾性体4の収縮による半径方向の変形が軸方向の長さの膨張に変換される変形方向規制部材であり、第2管状弾性体4の外表面を覆うように配設されている。6は第1管状弾性体2の一端を封止する第1封止部材であり、2つの部品、すなわち、内部が流体の流路になっている内側封止部品6a及び内側封止部品6aと共働して封止を行う外側封止部品6bにより第1管状弾性体2の端部を挟み込むことにより封止する。7は第2管状弾性体4の一端を封止する第2封止部材であり、2つの部品、すなわち、内部が流体の流路になっている内側封止部品7a及び内側封止部品7aと共働して封止を行う外側封止部品7bにより第2管状弾性体4の端部を挟み込むことにより封止する。8は第1管状弾性体2と第2管状弾性体4を直列に連結し、かつ、第1管状弾性体2と第2管状弾性体4の端部を封止する連結封止部材であり、4つの部品、すなわち、内部が流体の流路になっている内側封止部品8a、内側封止部品8aと共働して封止を行う外側封止部品8b、内側封止部品8dと共働して封止を行う外側封止部品8c、及び内部が流体の流路になっている内側封止部品8dにより構成されており、第1管状弾性体2及び第2管状弾性体4の端部を挟み込むことにより封止する。9a、9bは管状の流体通過部材であり、その内部は流体が通過する流体の流路になっており、上記直列に配設された第1管状弾性体2と第2管状弾性体4のそれぞれの中空内部に対する上記流体の注入あるいは注出が可能となり、第1封止部材6の内側封止部品6a及び第2封止部材7の内側封止部品7aに配設されている。なお、第1管状弾性体2と第2管状弾性体4とは、内側封止部品8aの凹部に内側封止部品8dの凸部が嵌合することにより互いに軸方向に直列的に連結されている。
図2は、本発明の第1実施形態における弾性膨張収縮構造体1を圧縮性流体である空気により駆動するための空気圧供給系の構成を示す図である。なお、他の実施形態においても、弾性膨張収縮構造体に対して同様な空気圧供給系を必要とするが、図2と同様であるため、図示及び説明を省略する。
図2において、10は例えばコンプレッサー等の空気圧源、11は空気圧フィルタ11a、空気圧減圧弁11b、及び空気圧用ルブリケータ11cが1組になった空気圧調整ユニットである。12a及びは12bは例えば電磁石の力でスプール弁などを駆動することで流量を制御する3ポート流量比例電磁弁である。13は例えば一般的なパーソナルコンピュータにより構成された制御コンピュータであり、D/Aボード13aが搭載されており、3ポート流量比例電磁弁12a及び12bに電圧指令値をそれぞれに独立して出力することにより、流体通過部材9a,9bを流れるそれぞれの空気の流量を独立して制御可能とする。もちろん、3ポート流量比例電磁弁12a及び12bに電圧指令値を同期して出力することにより、流体流体通過部材9a,9bを流れるそれぞれの空気の流量を同期して制御することもできる。
次に、図1に示す弾性膨張収縮構造体1の動作について、図2に示す空気圧供給系を構成した場合を例に説明する。空気圧源10により生成された高圧空気は、空気圧調整ユニット11により減圧され、例えば6気圧といった一定圧力に調整され、3ポート流量比例電磁弁12a及び12bに供給される。3ポート流量比例電磁弁12a及び12bのそれぞれの開度は、制御コンピュータ13よりD/Aボード13aを介して出力される電圧指令値に比例して制御される。3ポート流量比例電磁弁12a及び12bのそれぞれにおいて、正の電圧指令値がD/Aボード13aから入力された場合には、空気圧回路記号のAで示した状態になり、空気圧源10側から弾性膨張収縮構造体1側への流路が開通し、電圧指令値の絶対値に比例した流量の空気が弾性膨張収縮構造体1側に供給される。一方、3ポート流量比例電磁弁12a及び12bのそれぞれにおいて、負の電圧指令値がD/Aボード13aから入力された場合には、空気圧回路記号のBで示した状態になり、弾性膨張収縮構造体1側から大気圧側への流路が開通し、電圧指令値の絶対値に比例した流量の空気流が弾性膨張収縮構造体1側から大気中へ排気される。3ポート流量比例電磁弁12a及び12bから弾性膨張収縮構造体1側に供給された空気流は、流体通過部材9により第1封止部材6及び第2封止部材7を通過し、第1管状弾性体2及び第2管状弾性体4の内部に到達し、第1管状弾性体2及び第2管状弾性体4の内圧を発生させる。第1管状弾性体2及び第2管状弾性体4は発生した内圧により膨張するが、変形方向規制部材3及び変形方向規制部材5の網目状に組まれた繊維コードの拘束作用(規制作用)により、膨張による半径方向の変形が規制されて軸方向の長さの収縮に変換され、図3に示すように弾性膨張収縮構造体1の全長が短くなる。一方、3ポート流量比例電磁弁12a及び12bから空気を大気中に排気し、第1管状弾性体2及び第2管状弾性体4の内圧を減ずれば、第1管状弾性体2及び第2管状弾性体4の弾性力により復元して膨張が解消されて、弾性膨張収縮構造体1の全長は伸張する。この結果、図3において、内側封止部品8aと外側封止部品8bとの境界線Rで固定されていると考えると、上記伸縮により、第2管状弾性体4の右端では距離dの差があるのに対して、第1管状弾性体2の左端では距離dより大きく距離dの差がある。
したがって、本第1実施形態における弾性膨張収縮構造体1は、空気圧を供給制御することにより直動変位のアクチュエータとして機能させることが可能である。伸張・短縮量は弾性膨張収縮構造体1の内圧に概ね比例するので、図2のように制御コンピュータ13で3ポート流量比例電磁弁12a及び12bを制御して弾性膨張収縮構造体1に供給される空気流量を制御すれば、弾性膨張収縮構造体1の全長を制御できることになる。
ここで、本発明にかかる第1実施形態における弾性膨張収縮構造体1の特徴は、第1管状弾性体2及び第2管状弾性体4の複数の管状弾性体が直列に配設されている点にある。第1管状弾性体2のように全長が長い場合、その内容積が大きいことから流体の注入出に時間がかかるため応答性が悪く、全長が長いことから、それだけ非線形性が大きいという欠点を有するが、大きな変位を得ることができ、内容積が大きいことから空気の圧縮効果が大きく外力に対する柔軟性が大きいという利点を有する。一方、第2管状弾性体4のように全長が短い場合、変位は小さく、柔軟性も低いが、内容積が小さいことから流体の注入出に時間がかからず応答性が良く、高速駆動が可能であり、非線形性も小さく、高精度駆動可能であるという利点を有する。したがって、第1管状弾性体2及び第2管状弾性体4の複数の管状弾性構造体が直列に配設された、本発明にかかる第1実施形態における弾性膨張収縮構造体1は、それぞれの利点が生かされ、大変位で、柔軟性が高く、応答性も良く、かつ、高精度であるという特性を有することになる。例えば、高い応答性が要求される場合には、第2管状弾性体4内に空気を供給して素早く変位を行わせる一方、大きな変位が要求される場合には、第1管状弾性体2内に空気を供給して大きく変位させることが可能となる。
図4は本発明にかかる第1実施形態における弾性膨張収縮構造体を1自由度のロボットアームの駆動に応用した場合の構成を示す図である。図4において、15は一端部である固定端部が固定された第1リンクであり、16は第1リンクの固定端部とは反対側の自由端部にその一端部が連結された第2リンクである。第1リンク15の自由端部と第2リンク16の一端部は関節部17において回転ベアリングで回動自在に接続されており、相対的な回転が可能となっている。関節部17には、回転角度センサであるエンコーダ18が配設されており、回転角θが計測可能となっている。19及び20は弾性膨張収縮構造体1と同様な構造をそれぞれ有して同様な作用効果をそれぞれ行う第1弾性膨張収縮構造体及び第2弾性膨張収縮構造体である。第1弾性膨張収縮構造体19及び第2弾性膨張収縮構造体20は、球面ジョイント21a〜21dにより、第1リンク15の固定端部に両側に張り出して直交して固定された棒状支持体22a及び22bと、第2リンク16の一端部に中央部が回動自在に直交して固定された棒状支持体22cとの間にそれぞれ固定されている。第1弾性膨張収縮構造体19及び第2弾性膨張収縮構造体20には、図2の3ポート流量比例電磁弁12a及び12bとそれぞれ同様な、第1及び第2流量比例電磁弁24a及び24b、並びに、第3及び第4流量比例電磁弁24c及び24dが接続されており、第1弾性膨張収縮構造体19及び第2弾性膨張収縮構造体20への高圧空気の供給・排気を行う。すなわち、第1弾性膨張収縮構造体19のうちの長い方でかつ駆動部として機能する管状弾性体19aには第1流量比例電磁弁24aが接続され、第1弾性膨張収縮構造体19のうちの短い方でかつ駆動部として機能する管状弾性体19bには第2流量比例電磁弁24bが接続されるとともに、第2弾性膨張収縮構造体20のうちの長い方でかつ駆動部として機能する管状弾性体20aには第3流量比例電磁弁24cが接続され、第2弾性膨張収縮構造体20のうちの短い方でかつ駆動部として機能する管状弾性体20bには第4流量比例電磁弁24dが接続されて、それぞれの収縮伸張動作が制御される。図4の構造は、第1〜第4流量比例電磁弁24a、24b、24c、及び24dの作用により、第1弾性膨張収縮構造体19あるいは第2弾性膨張収縮構造体20のどちらか一方が収縮し他方が伸張すると、支持体22cを介して力が作用して関節部17が回転する拮抗型駆動構造となっている。例えば、図4では、第1弾性膨張収縮構造体19側が伸張し2弾性膨張収縮構造体20側が収縮することにより、第1弾性膨張収縮構造体19と球面ジョイント21aで連結される支持体22cの上端部側が関節部17に対して右方向に移動する一方、2弾性膨張収縮構造体20と球面ジョイント21cで連結される支持体22cの下端部側が関節部17に対して左方向に移動する結果、支持体22cが関節部17回りに反時計方向に回転し、支持体22cに固定された第2リンク16が、第1リンク15の軸方向沿いの原点位置に対して、左下向きに位置するように移動する。逆に、第1弾性膨張収縮構造体19側が収縮し2弾性膨張収縮構造体20側が伸張すれば、第1弾性膨張収縮構造体19と球面ジョイント21aで連結される支持体22cの上端部側が関節部17に対して左方向に移動する一方、2弾性膨張収縮構造体20と球面ジョイント21cで連結される支持体22cの下端部側が関節部17に対して右方向に移動する結果、支持体22cが関節部17回りに時計方向に回転し、支持体22cに固定された第2リンク16が、第1リンク15の軸方向沿いの原点位置に対して、左上向きに位置するように移動する。
図5は、図4の拮抗型駆動構造の動きを制御する制御系のブロック線図である。26は上記制御コンピュータ13に対応する制御コンピュータであり、この制御コンピュータ26により実現される機能を示している。制御コンピュータ26により、目標軌道生成手段125から得られた関節角の目標値θdと、エンコーダ18による関節角の測定値θとの差をとることにより関節角誤差θeが得られ、関節角誤差θeは、PD補償器25a及び25bに入力され、PD補償器25a及び25bからは制御出力が第1〜第4流量比例電磁弁24a〜24dに出力されるというフィードバック制御系を構成している。PD補償器25aからの制御出力は、制御コンピュータ26のD/A出力により電圧指令値として、第1弾性膨張収縮構造体19の長い方の管状弾性体19a用の第1流量比例電磁弁24aに印加され、符号を反転した電圧指令値が、第2弾性膨張収縮構造体20の長い方の管状弾性体20a用の第3流量比例電磁弁24cに印加される。また、PD補償器25bからの制御出力は、制御コンピュータ26のD/A出力により電圧指令値として、第1弾性膨張収縮構造体19の短い方の管状弾性体19b用の第2流量比例電磁弁24bに印加され、符号を反転した電圧指令値が、第2弾性膨張収縮構造体20の短い方の管状弾性体20b用の第4流量比例電磁弁24dに印加される。このようにPD補償器25a,25bからの制御出力の符号を反転させて、他の弾性膨張収縮構造体である第2弾性膨張収縮構造体20を駆動する第3及び第4流量比例電磁弁24c,24dに入力することにより、第1弾性膨張収縮構造体19及び第2弾性膨張収縮構造体20の収縮・伸張は逆になり、拮抗駆動が実現する。
目標軌道生成手段125において実行されるθdの生成の仕方としては、メモリに予め記憶させておく方法がある。上記メモリに予め記憶させておく方法としては、数値で座標値を与えておく方法や、動作のティーチングにより記録する方法などがある。また、記憶させるデータは、すべてのθdを記憶する方法や、すべてのθdを記憶するのではなく、不連続的に記憶し、その間は補間計算により生成する方法などがある。
また、目標軌道生成手段125において実行されるθdの生成の別の仕方としては、メモリに記憶せずに、自律ロボット等において、センサ等により外部環境の状態を認識し、その結果に応じて、自ら動作軌道θdを生成する方法がある。メモリに記憶させておく場合は、計画通りの動きしかできないが、この方法では状況に応じた柔軟な動きが可能となる。
ここで、図5に示す制御系は、PD補償器25aの制御出力に基づき、第1流量比例電磁弁24aにより第1弾性膨張収縮構造体19のうちの長い方の管状弾性体19aが制御されるとともに、第3流量比例電磁弁24cにより第2弾性膨張収縮構造体20のうちの長い方の管状弾性体20aが制御される一方、PD補償器25bの制御出力に基づき、第3流量比例電磁弁24cにより第1弾性膨張収縮構造体19の短い管状弾性体19bが制御されるとともに、第4流量比例電磁弁24dにより第2弾性膨張収縮構造体20の短い管状弾性体20bが制御されることが特徴である。このように、長い管状弾性体19a及び20a用のPD補償器25a及び短い管状弾性体19b及び20b用のPD補償器25bを配設し、長い管状弾性体19a及び20aと短い管状弾性体19b及び20bとを独立してそれぞれ制御できる構造とすることにより、長い管状弾性体19a及び20aと短い管状弾性体19b及び20bのそれぞれの特性を生かした制御が可能となる。PD補償器25a及びPD補償器25bのゲイン値を適切に決定すれば、関節部17回りの第1リンク16の第2リンク15の軸方向に対する屈曲角度θの大きな動きに対しては、管状弾性体19,20の長い部分19a及び20aの大変位が可能という特性が効果を発揮し、角度目標値θdへの大まかな追従を実現し、残りの角度誤差θeの補償は、管状弾性体19,20の短い部分19b及び20bの高速応答、高精度という特性が効果を発揮し、より細かく精度の良い追従を実現する。
以上示した図4の拮抗駆動構造を複数直列に接続し、図5の制御系を複数の拮抗駆動に対応できるようにすることで、多自由度のロボットアームも実現することができる。図15は4自由度のロボットアームとした例である。なお、弾性膨張収縮構造体105及び106、弾性膨張収縮構造体107及び108、弾性膨張収縮構造体109及び110、弾性膨張収縮構造体111及び112のそれぞれは、弾性膨張収縮構造体19及び20に対応している。
上記4自由度のロボットアームは、固定壁301に対して、上下方向軸沿いに横方向沿いの平面内で正逆回転する第1関節101と、上下方向沿いの平面内で正逆回転する第2関節102と、第2腕308と第1腕311との間で相互に正逆回転とする第3関節103と、第1腕311と手313との間で相互に正逆回転とする第4関節104とより構成されている。
第1関節101では、上下端部が軸受け304と305で回転自在にかつ上下方向沿いに支持された回転軸303の両側に円形支持体302,302が回転自在に連結され、かつ、弾性膨張収縮構造体105及び106(ただし、弾性膨張収縮構造体106は弾性膨張収縮構造体105の背後に配設されるため図示せず。)の各一端部が固定壁301に連結されるとともに各他端部が上記各円形支持体302の支持軸314に連結されている。よって、弾性膨張収縮構造体105及び106の拮抗駆動により、第1関節101の回転軸303の上下軸X回りに横方向沿いの平面内でロボットアームの第1腕311と第2腕308と手313とを一体的に正逆回転運動させることができる。なお、上側の軸受け305は支持棒306で固定壁301に支持されている。
第2関節102では、回転軸303の両側に固定された2つの円形支持体302,302に、第2腕用リンク308の一端が固定されている。第2腕用リンク308の円形支持体302側には、支持体22a,22bに相当する支持体309,309が直交して固定されるとともに、第2腕用リンク308の先端側には、第1腕用リンク311の一端には、支持体22cに相当する支持体310が直交して固定されている。第2腕用リンク308の支持体309,309と、第1腕用リンク311の一端に固定された支持体310との間には、弾性膨張収縮構造体107及び108が連結されて、弾性膨張収縮構造体107及び108の拮抗駆動により、第2関節102の支持軸314の横軸回りに上下方向沿い面内でロボットアームの第1腕311と第2腕308と手313とを一体的に正逆回転させる。
第3関節103では、第2腕308沿いの支持体310と支持体309,309との間には、弾性膨張収縮構造体109及び110が連結されて、弾性膨張収縮構造体109及び110の拮抗駆動により、第3関節103の支持軸315の横軸回りに上下方向沿い面内で第1腕311と手313とを一体的に正逆回転させる。
第4関節104では、第1腕311沿いの支持体310と、手313の一端に固定された支持体312との間には、弾性膨張収縮構造体111及び112が連結されて、弾性膨張収縮構造体111及び112の拮抗駆動により、第3関節103の支持軸315の横軸回りに上下方向沿い面内で手313を正逆回転させる。
弾性膨張収縮構造体105及び106、弾性膨張収縮構造体107及び108、弾性膨張収縮構造体109及び110、弾性膨張収縮構造体111及び112のそれぞれには、先の実施形態と同様に、第1〜第4流量比例電磁弁24a〜24cが接続され、4組の第1〜第4流量比例電磁弁24a〜24cは制御コンピュータ26に接続されて、制御コンピュータ26の制御により、4組の第1〜第4流量比例電磁弁24a〜24cを介して、弾性膨張収縮構造体105及び106、弾性膨張収縮構造体107及び108、弾性膨張収縮構造体109及び110、弾性膨張収縮構造体111及び112のそれぞれの収縮・伸張動作を制御する。
以上のような構造とすれば、多自由度を生かし、物体の把持・運搬など、ロボットアームとして基本的な機能を実現することができる。
次に、本発明にかかる第1実施形態における弾性膨張収縮構造体の性能上の有効性を示すため、動作シミュレーションを行う。第1管状弾性体あるいは第2管状弾性体の個々の特性は近似的に式の2次応答の伝達関数で表すことができる((香川、藤田、山中、「人工筋アクチュエータを用いたパワーアシスト回路」、日本機械学会論文集(C編),59−564(1993−8)、2376−2382)。すなわち、管状弾性体の内部圧力Pを入力、管状弾性体の収縮率εを出力としたときの伝達関数G(s)は、
G(s)={f/ML}/{s+2ζωs+ω} ....(1)
ただし、
=(δF/δP)ε0 ....(2)
ε=(δF/δε)ε0 ....(3)
ω=√(fε/ML) ....(4)
ζ=(C/2ω) ....(5)

であり、Fは管状弾性体の収縮力、Mは負荷荷重、Lは管状弾性体の初期長、Cは粘性摩擦係数である。s はラプラス演算子である。上記(2)、(3)式の右下の添え字ε0は、収縮率εが0、すなわち、収縮膨張体が自然長の時における(2)、(3)式のかっこ内の偏微分値(「収縮率ε=0の時の偏微分値」)である。ωは(4)式で表される値である。
上記式を使用すれば、図16に示すブロック線図により弾性膨張収縮構造体の動作特性のシミュレーションが可能となる。図16は、図1の弾性膨張収縮構造体1を図2の制御系構成で長さを制御する場合をシミュレートするブロック線図である。図16において、201及び202はフィードバック補償器であり、203及び204は圧力変換ゲイン、205は弾性膨張収縮構造体のうちの長い方の管状弾性構造体Aの伝達関数、206は弾性膨張収縮構造体のうちの短い方の管状弾性構造体Bの伝達関数である。207及び208は管状弾性構造体A及び管状弾性構造体Bの収縮率ε及びεから管状弾性構造体A及び管状弾性構造体Bの全長への変換ブロックであり、変換ブロック207の出力と変換ブロック208の出力を加算した値Lが弾性膨張収縮構造体の全長となる。ただし、第1封止部材6、第2封止部材7及び連結封止部材8は長さが変化しないため無視して考える。
図17は、図16のブロック線図を使ったシミュレーションの結果である。図17のシミュレーションにおいて、測定値よりf=5.0×10−4[N/Pa]、fε=1000[N]、C=45[Ns/m]とした。また、M=1[kg]、弾性膨張収縮構造体の初期長L=0.5[m]とした。
図17の弾性膨張収縮構造体(a)は、管状弾性構造体Aの初期長L0A=0.48[m]、管状弾性構造体Bの初期長L0B=0.02[m]の場合のステップ応答であり、フィードバックゲインはKLA=900、KvA=7、KLB=1000、KvB=3とした。図17の弾性膨張収縮構造体(b)は、管状弾性構造体Aの初期長L0A=0.45[m]、管状弾性構造体Bの初期長L0B=0.05[m]の場合のステップ応答であり、フィードバックゲインはKLA=520、KvA=7、KLB=1000、KvB=4とした。図17の弾性膨張収縮構造体(c)は、管状弾性構造体Aの初期長L0A=0.35[m]、管状弾性構造体Bの初期長L0B=0.15[m]の場合のステップ応答であり、フィードバックゲインはKLA=1000、KvA=9.5、KLB=1000、KvB=9.5とした。図17の弾性膨張収縮構造体(d)は、管状弾性構造体Aの初期長L0A=0.25[m]、管状弾性構造体Bの初期長L0B=0.25[m]の場合のステップ応答であり、フィードバックゲインはKLA=1000、KvA=9、KLB=1000、KvB=9とした。また、図17の膨張収縮構造体(e)は、図14の従来例の場合のステップ応答であり、フィードバックゲインはKLA=1000、KvA=6.5とした。ただし、フィードバック補償器202、圧力変換ゲイン204、圧力変換ゲイン206、変換ブロック208のブロックは使用していない。
図17のシミュレーション結果から分かるように、本発明の第1実施形態による弾性膨張収縮構造体(a)〜(d)によれば、従来例の膨張収縮構造体(e)に比べて、立ち上がり時間が短く、応答性に優れる。また、管状弾性構造体Aと管状弾性構造体Bの長さの比率はL0A=0.45[m]、L0B=0.05[m]の場合の弾性膨張収縮構造体(b)が最も応答性に優れる。例えば、0.015[s]の時の位置決め精度は弾性膨張収縮構造体(b)と従来の膨張収縮構造体(e)の場合で約2mmの差がある。図4の構造で考えれば、支点長rが50mmであるとして角度θの誤差に換算すると、約2°程度となる。角度誤差が約2°であるとすると、図15の4自由度ロボットアームの場合、第1腕311のリンク長Laと第2腕308のリンク長Lbがともに300mmであるとすると、手先の位置決め誤差に換算すると2cmのレベルになり、本発明の第1実施形態による弾性膨張収縮構造体(a)〜(d)と、従来例の膨張収縮構造体(e)との差は大きい。
以上のように、本発明の第1実施形態にかかる弾性膨張収縮構造体1によれば、全長が長い第1管状弾性体2及び全長が短い第2管状弾性体4の複数の管状弾性構造体を直列に配設することにより、第1管状弾性体2により、応答性が悪いが、大きな変位を得て外力に対する柔軟性を大きくする一方、第2管状弾性体4により、変位は小さく柔軟性も低いが、応答性が良く高速駆動が可能であり、非線形性も小さく、高精度駆動可能とすることができる。この結果、弾性膨張収縮構造体全体として、柔軟かつ大変位が可能で、さらに高速応答可能で高精度駆動可能なアクチュエータが実現でき、高精度な位置決めや軌道追従が可能な柔軟で安全なロボットが実現可能となる。
また、上記弾性膨張収縮構造体の制御装置によれば、長さが長く大変位用の駆動部の制御を行うPD補償器25aと、長さが短く小変位用の駆動部の制御を行うPD補償器25bとを配設し、独立して制御できる構造とすることにより、長い管状弾性体19a及び20aと短い管状弾性体19b及び20bのそれぞれの特性を生かした制御が可能となり、PD補償器25a及びPD補償器25bのゲイン値を適切に決定すれば、角度θの大きな動きに対しては、管状弾性体の長い部分19a及び20aの大変位可能という特性が効果を発揮し、角度目標値θdへの大まかな追従を実現し、残りの角度誤差θeの補償は、管状弾性体の短い部分19b及び20bの高速応答、高精度という特性が効果を発揮し、より細かく精度の良い追従を実現する。
(第2実施形態)
図6は本発明の第2実施形態における弾性膨張収縮構造体の動作を制御する制御系のブロック線図である。第2実施形態では、弾性膨張収縮構造体として図1に示す構成を、その応用例として図4に示す1自由度ロボットアームに適用する場合において、弾性膨張収縮構造体の動作を制御する他の制御系の構成について示す。
図6において、25は1個のPD補償器であり、27はローパスフィルタ(LPF)であり、第1弾性膨張収縮構造体19及び第2弾性膨張収縮構造体20のうちの全長が長い方の管状弾性体19a及び20aをそれぞれ駆動する第1流量比例電磁弁24a及び第3流量比例電磁弁24cに接続されている。28はハイパスフィルタ(HPF)であり、第1弾性膨張収縮構造体19及び第2弾性膨張収縮構造体20のうちの全長が短い方の管状弾性構造体19b及び20bをそれぞれ駆動する第2流量比例電磁弁24b及び第4流量比例電磁弁24dに接続されている。この第2実施形態における制御系の構成は、PD補償器25が1つである点、ローバスフィルタ27及びハイパスフィルタ28が配設されている点を除くと、すでに説明した図5に示す第1実施形態の制御系と同じであるので、図6においては第1実施形態と同じ機能の部材には、図5と同じ符号を付して、その説明を省略する。
図6に示す制御系において、ローバスフィルタ27は、制御出力信号の高周波成分を除去し、応答性に劣る全長が長い方の管状弾性構造体19a及び20aが十分に応答できる低周波成分のみを通過させるように設定されている。一方、ハイパスフィルタ28は、全長が短い方の管状弾性構造体19b及び20bの伸縮運動が飽和してしまうような制御出力信号の低周波成分を除去し、高周波成分のみを通過させるよう設定されている。したがって、以上の構成の制御系では、管状弾性構造体の動作の応答遅れや飽和が抑制され高精度な制御が可能となる。
以上のように、第2実施形態の制御系によれば、ローバスフィルタ27及びハイパスフィルタ28を配設することにより、制御信号の不要な高周波成分あるいは低周波成分が除去されるため、管状弾性構造体の動作の応答遅れや飽和が抑制されて、高精度な弾性膨張収縮構造体の制御が実現し、高精度な位置決めや軌道追従が可能な柔軟で安全なロボットが実現可能となる。
(第3実施形態)
図7は、本発明の第3実施形態における弾性膨張収縮構造体の動作を制御する制御系のブロック線図である。第3実施形態では、弾性膨張収縮構造体として図1に示す構成を、その応用例として図4に示す1自由度ロボットアームに適用する場合において、弾性膨張収縮構造体の動作を制御する他の制御系の構成について示す。
図7において、29はフィードフォワード補償器であり、第1弾性膨張収縮構造体19及び第2弾性膨張収縮構造体20のうちの全長が長い方の管状弾性構造体19a及び20aを駆動する第1流量比例電磁弁24a及び第3流量比例電磁弁24cに接続されている。また、30はフィードバック補償器であるPD補償器であり、第1弾性膨張収縮構造体19及び第2弾性膨張収縮構造体20のうちの全長が短い方の管状弾性体19b及び20bを駆動する第2流量比例電磁弁24b及び第4流量比例電磁弁24dに接続されており、フィードバック制御系を構成している。この第3実施形態における制御系では、その他の構成はすでに説明した図5に示す第1実施形態の制御系と同じであるので、図7においては第1実施形態と同じ機能の部材には、図5と同じ符号を付して、その説明を省略する。
図6に示す制御系では、大変位可能であるが応答性に劣る全長が長い方の管状弾性体19a及び20aはフィードフォワード補償器29によりフィードフォワード制御されるため、位置誤差に関係なく大まかに目標軌道に追従するように動作する。一方、応答性に優れて全長が短い方の管状弾性体19b及び20bはフィードバック制御により、応答良く目標軌道に追従するように動作する。したがって、全長が長い方の管状弾性体19a及び20aの大まかな動きを、短い方の管状弾性体19b及び20bが補償することにより、全体として高精度な制御が可能となる。
次に、図7に示す制御系の性能上の有効性を示すため、動作シミュレーションを行う。
図18は、図1の弾性膨張収縮構造体1を図2の制御系構成で長さを制御する場合をシミュレートするブロック線図である。図18において、209はフィードフォワード補償器であり、その他の構成は図16の場合と同様であるので説明は省略する。
図19は図18のブロック線図を使ったシミュレーションの結果である。図19のシミュレーションにおいて、測定値よりf=5.0×10−4[N/Pa]、fε=1000[N]、C=45[Ns/m]とした。また、M=1[kg]、弾性膨張収縮構造体の初期長L=0.5[m]とした。
図19の弾性膨張収縮構造体(a)は、全長が長い方の管状弾性構造体Aの初期長L0A=0.48[m]、全長が短い方の管状弾性構造体Bの初期長L0B=0.02[m]の場合のステップ応答であり、ゲインはKFF=0.07、KLB=950、KvB=3.2とした。また、図19の弾性膨張収縮構造体(b)は図14の従来例の場合のステップ応答であり、図17の膨張収縮構造体(e)と同じ結果である。
図19のシミュレーション結果から分かるように、本発明の第3実施形態による弾性膨張収縮構造体(a)によれば、従来例の膨張収縮構造体(e)に比べて、立ち上がり時間が短く、応答性に優れる。
また、本発明の弾性膨張収縮構造体の制御装置によれば、フィードフォワード補償器29によるフィードフォワード制御及びPD補償器30によるフィードバック制御を行うことで、全長が長い方の管状弾性体19a,20aはフィードフォワード補償器29により、位置誤差に関係なく大まかに目標軌道に追従すよう動作し、短い方の管状弾性体19b,20bはフィードバック制御により応答良く目標軌道に追従するよう動作すため、全長が長い方の管状弾性体19a,20aの大まかな動きを短い方の管状弾性体19b,20bが補償するよう動作し、全体として高精度な制御が可能となる。よって、第3実施形態の制御系によれば、フィードフォワード制御とフィードバック制御の効果により、高精度な弾性膨張収縮構造体の制御が実現し、高精度な位置決めや軌道追従が可能な柔軟で安全なロボットが実現可能となる。
(第4実施形態)
図8は本発明の第4実施形態における弾性膨張収縮構造体の構成を示す図である。図8において、31はゴム材料で構成された管状弾性体である。管状弾性体31の内部には隔壁32が配設されており、内部空間は2つの空間すなわち2つの部分33a及び33bに分割されている。34は繊維コードを網目状に編んだ変形方向規制部材であり、管状弾性体31の外表面の全体又はほぼ全体を覆うように配設されている。35、36は第1実施形態の弾性膨張収縮構造体1の第1封止部材6と第2封止部材7に相当し、管状弾性体31の端部を封止する封止部材であり、2つの部品35aと35b、すなわち、内部が流体が通過する流体の流路になっている内側封止部品35a及び内側封止部品35aと共働して封止を行う外側封止部品35b、及び、すなわち、内部が流体が通過する流体の流路になっている内側封止部品36a及び内側封止部品36aと共働して封止を行う外側封止部品36bにより管状弾性体31のそれぞれの端部を挟み込むことにより封止する。37a、37bは第1実施形態の弾性膨張収縮構造体1の流体流体通過部材9a、9bに相当する流体通過部材であり、その内部は流体が通過する流体の流路になっており、封止部材35の内側封止部品35a及び封止部材36の内側封止部品36aに配設されている。上記中空の管状弾性体31の上記隔壁38により分断される2つの部分33a及び33bの外側は、第1実施形態の弾性膨張収縮構造体1の変形方向規制部材3又は5に相当する変形を規制する変形方向規制部材、言い換えれば、材料的には伸びにくい樹脂又は金属の繊維コードを網目状に編んで、管状弾性体31の膨張による半径方向の変形が軸方向の長さの収縮に変換される一方、管状弾性体31の収縮による半径方向の変形が軸方向の長さの膨張に変換される変形方向規制部材が配置されている。上記2つの部分33a及び33bは、例えば、弾性膨張収縮構造体1のうちの長い方の管状弾性体2と短い方の管状弾性体4、又は、第1弾性膨張収縮構造体19のうちの長い方の管状弾性体19aと短い方の管状弾性体19b、又は、第2弾性膨張収縮構造体20のうちの長い方の管状弾性体20aと短い方の管状弾性体20bに相当する。
本発明の第4実施形態における弾性膨張収縮構造体によれば、管状弾性体31の内部に隔壁32が配設されることにより内部空間が2つの部分33a及び33bに分割されるため、上記第1実施形態における弾性膨張収縮構造体1;19;20と同様に、複数の管状弾性体2,4;19a,19b;20a,20bが直列に配設された場合と同様な効果を発揮することができる。また、第4実施形態における弾性膨張収縮構造体では、管状弾性体31と隔壁32を一体で形成できるため、部品点数が少なく、製造も容易であるという利点も有する。
(第5実施形態)
図9は本発明の第5実施形態における弾性膨張収縮構造体の構成を示す図である。図9において、38はゴム材料で構成された蛇腹状弾性体である。この第3実施形態における弾性膨張収縮構造体の構造は、第1実施形態の上記弾性膨張収縮構造体1の複数の中空弾性体2,4のうちの一方の中空弾性体4の代わりに、蛇腹状である蛇腹状弾性構造体38が配設されている点を除くと、すでに説明した図1に示す第1実施形態の弾性膨張収縮構造体1の構造と同じであるので、図9においては第1実施形態と同じ機能の部材には、図1と同じ符号を付して、その説明を省略する。
上記蛇腹状弾性構造体38は、内部が流体が通過する流体の流路になっている内側封止部品7a及び内側封止部品7aと共働して封止を行う外側封止部品7bにより蛇腹状弾性構造体38の右端部を挟み込むことにより封止するとともに、内部が流体が通過する流体の流路になっている内側封止部品8d及び内側封止部品8dと共働して封止を行う外側封止部品8cにより蛇腹状弾性構造体38の左端部を挟み込むことにより封止されており、流体通過部材9bを介して空気流が蛇腹状弾性構造体38内に注入されて蛇腹状弾性構造体38の内圧が上昇すると、図10に示すように膨張作用により伸張する。また、蛇腹状弾性構造体38は、流体通過部材9bを介して空気流が排出されてその内圧が減少した場合には、蛇腹状弾性構造体38の弾性力による復元作用により収縮する。この結果、図10において、内側封止部品8aと外側封止部品8bとの境界線Rで固定されていると考えると、上記伸縮により、蛇腹状弾性構造体38の右端では距離dの差があるのに対して、第1管状弾性体2の左端では距離dより大きく距離dの差がある。
上記したように、蛇腹状弾性構造体38の内圧を高めると伸張する点が、第1実施形態の弾性膨張収縮構造体1の管状弾性体2,4と変形方向規制部材3,5による構造とは異なり、その動作が逆である。したがって、図4と同様の1自由度のロボットアームへ応用する場合、第1弾性膨張収縮構造体19のうちの短い方の管状弾性体19b
及び第2弾性膨張収縮構造体20のうちの短い方の管状弾性体20bの代わりに蛇腹状弾性構造体38,38を配置し、第2流量比例電磁弁24b’及び第4流量比例電磁弁24d’より蛇腹状弾性体38に空気圧を供給するとすれば、図11に示すように、PD補償器39bからの出力は第1実施形態の場合の図5と異なり、反転したものとする。
すなわち、図11は、上記図4と同様の1自由度のロボットアームへ応用する場合の拮抗型駆動構造の動きを制御する制御系のブロック線図である。26’は上記制御コンピュータ13,26に対応する制御コンピュータであり、この制御コンピュータ26’により実現される機能を示している。制御コンピュータ26’により、先と同様に目標軌道生成手段125から得られた関節角の目標値θdと、エンコーダ18による関節角の測定値θとの差をとることにより関節角誤差θeが得られ、関節角誤差θeは、PD補償器39a及び39bに入力され、PD補償器39a及び39bからは制御出力が第1〜第4流量比例電磁弁24a,24b’,24c’,24d’に出力されるというフィードバック制御系を構成している。PD補償器39aからの制御出力は、制御コンピュータ26’のD/A出力により電圧指令値として、第1弾性膨張収縮構造体19の長い方の管状弾性体19a用の第1流量比例電磁弁24aに印加され、符号を反転した電圧指令値が、第2弾性膨張収縮構造体20の長い方の管状弾性体20a用の第3流量比例電磁弁24c’に印加される。また、PD補償器39bからの制御出力は、制御コンピュータ26’のD/A出力により電圧指令値として、第2弾性膨張収縮構造体20の蛇腹状弾性体38用の第4流量比例電磁弁24d’に印加され、符号を反転した電圧指令値が、第1弾性膨張収縮構造体19の蛇腹状弾性体38用の第2流量比例電磁弁24b’に印加される。このようにPD補償器39a,39bからの制御出力の符号を反転させて、各弾性膨張収縮構造体19,20の蛇腹状弾性体38を駆動する第2及び第3流量比例電磁弁24b’,24c’に入力することにより、第1弾性膨張収縮構造体19の長い方の管状弾性体19a及び第2弾性膨張収縮構造体20の長い方の管状弾性体20aと、第1弾性膨張収縮構造体19の蛇腹状弾性体38及び第2弾性膨張収縮構造体20の蛇腹状弾性体38の収縮・伸張は逆になり、拮抗駆動が実現する。
なお、本第5実施形態では、蛇腹状弾性体38の収縮は弾性力によるとしたが、エジェクタ(真空発生器)等を併用し吸引を行えば、より高速な駆動が可能となる。
なお、上記第4実施形態の上記弾性膨張収縮構造体の隔壁により分断される2つの部分のうち少なくとも1つを上記した蛇腹状である蛇腹状弾性構造体38が配設されるようにしてもよい。
以上のように、本発明の第5実施形態にかかる弾性膨張収縮構造体によれば、全長が長い第1管状弾性体及び全長が短い蛇腹状弾性体の複数の管状弾性構造体を直列に配設することにより、第1管状弾性体により、応答性が悪いが、大きな変位を得て外力に対する柔軟性を大きくする一方、蛇腹状弾性体により、変位は小さく柔軟性も低いが、応答性が良く高速駆動が可能であり、非線形性も小さく、高精度駆動可能とすることができる。この結果、弾性膨張収縮構造体全体として、柔軟かつ大変位が可能で、さらに高速応答可能で高精度駆動可能なアクチュエータが実現でき、高精度な位置決めや軌道追従が可能な柔軟で安全なロボットが実現可能となる。
(第6実施形態)
図12は本発明の第6実施形態における弾性膨張収縮構造体の構成を示す図である。図12において、40は金属円筒により構成されたシリンダチューブ、41a及び41bはシリンダチューブ40の両端を覆うように配置された封止部材、42は封止部材41aに固定されてシリンダチューブ40内への流体の供給・排気を行うために流体が通過する流体の流路に内部が構成されている流体通過部材、43はシリンダチューブ40内を摺動するピストン、44aは封止部材41aに配置されてシリンダチューブ40の一端の外周面と封止部材41aとの間で流体の封止を行うOリング、44bはピストン43に配置されてシリンダチューブ40の内周面とピストン43との間で流体の封止を行うOリング、44cは封止部材41bに配置されてシリンダチューブ40の他端の外周面と封止部材41bとの間で流体の封止を行うOリング、46は一端がピストン43に固定されて封止部材41bを進退可能に貫通するピストンロッド、45はシリンダチューブ40内でピストン43と封止部材41bとの間でかつピストンロッド46の外部に配置された弾性バネ、44dは封止部材41bに配置されてピストンロッド46の外周面と封止部材41bとの間で流体の封止を行うOリングである。47はゴム材料で構成された管状弾性体、48材料的には伸びにくい樹脂又は金属の繊維コードを網目状に編んで、管状弾性体47の膨張による半径方向の変形が軸方向の長さの収縮に変換される一方、管状弾性体47の収縮による半径方向の変形が軸方向の長さの膨張に変換される変形方向規制部材であり、管状弾性体47の外表面を覆うように配設されている。7’は管状弾性体47の一端を封止する第1封止部材であり、2つの部品、すなわち、内部が流体が通過する流体の流路になっているとともにピストンロッド46の他端が固定されている内側封止部品7d及び内側封止部品7dと共働して封止を行う外側封止部品7cにより管状弾性体47の端部を挟み込むことにより封止する。49は管状弾性体47の他端を封止する第2封止部材であり、2つの部品、すなわち、内部が流体が通過する流体の流路になっている内側封止部品49a及び内側封止部品49aと共働して封止を行う外側封止部品49bにより管状弾性体47の端部を挟み込むことにより封止する。50bは流体通過部材であり、その内部は流体が通過する流体の流路になっており、第2封止部材49の内側封止部品49aに配設されている。シリンダチューブ40とピストンロッド46と管状弾性体47とは同軸に配置されている。この第6実施形態における管状弾性体47の弾性膨張収縮構造体の構造は、すでに説明した図1に示す第1実施形態の弾性膨張収縮構造体1の管状弾性体の構造と同じであり、図12における管状弾性体47、変形方向規制部材48、第1封止部材7’、内側封止部品7d、外側封止部品7c、第2封止部材49、内側封止部品49a、外側封止部品49b、流体通過部材50bは、第1実施形態の第2管状弾性体4、変形方向規制部材5、封止部材8、内側封止部品8d、外側封止部品8c、第2封止部材7、内側封止部品7a、外側封止部品7b、流体通過部材9bとそれぞれ同じ機能の部材であり、その説明を省略する。
図12に示した上記部材40〜46で構成される駆動部は、単動式の空気圧シリンダと同様の構成の駆動シリンダ340となっており、上記中空弾性体47と直列に配設されて流体の加圧による変位量が上記中空弾性体47とは異なるものである。そして、駆動シリンダ340のシリンダチューブ40内を流体注入により加圧すると、ピストン43が押され、ピストンロッド46が外部へと伸張する。一方、流体注出によりシリンダチューブ40内を減圧すると、弾性バネ45の力が打ち勝ち、ピストン43は押し戻され、ピストンロッド46は内部へと収縮する。
以上示した第6実施形態における弾性膨張収縮構造体の構成によれば、空気圧シリンダと同様の構成による大変位という効果と、全長の短い管状弾性体47と変形方向規制部材48による高速応答という効果により、大変位かつ高速応答可能なアクチュエータを実現できる。
なお、本第6実施形態では、単動式の空気圧シリンダと同様の構成としたが、複動型のシリンダ等、他のシリンダ構造でも同様の効果を発揮する。
(第7実施形態)
図13は本発明の第7実施形態における弾性膨張収縮構造体の構成を示す図である。図1の第1実施形態における弾性膨張収縮構造体1の短い方の第2管状弾性体4の代わりに
電磁石で構成される駆動部としてものである。
図13において、347は電磁石であり、348は電磁石347を内部に格納する電磁石ハウジング、349は電磁石ハウジング348内で電磁石347の内側に配置されかつ内側封止部品8aに連結された磁性材料で構成された固定鉄心である。350は電磁石ハウジング348内で電磁石347の内側に配置されかつ磁性材料で構成された可動鉄心であり、その中心軸は固定鉄心349の中心軸と同一軸上に配設され、中心軸方向に可動となっている。351は弾性バネであり、固定鉄心349と可動鉄心350間の間隙に配設されている。352は電磁石ハウジング348の一端に固定されて可動鉄心350が電磁石ハウジング348より離脱しないよう規制するストッパである。
この第7実施形態における弾性膨張収縮構造体のその他の構造は、すでに説明した図1に示す第1実施形態の弾性膨張収縮構造体の構造と同じであるので、図13においては第1実施形態と同じ機能の部材には、図1と同じ符号を付して、その説明を省略する。
次に、図13に示した上記部材347〜352で構成される駆動部の動作について説明する。制御コンピュータ13の制御により電磁石347に電流が流れると、電磁石347によって発生した磁気により磁性材料である固定鉄心349が磁化し、磁性材料である可動鉄心350は吸引される。したがって、制御コンピュータ13の制御により電磁石347に流れる電流量が大きくなると、吸引力が弾性バネ351に打ち勝ち、部材347〜352で構成される駆動部の全長は収縮する(言い換えれば、図13の右端を決定している可動鉄心350が図13の左方向に吸引により移動するため、可動鉄心350の右端が左方向に移動する結果として、駆動部の全長は収縮する)。一方、制御コンピュータ13の制御により電磁石347に流れる電流量が小さくなると、弾性バネ351の復元力により、部材347〜352で構成される駆動部の全長は伸張する(言い換えれば、図13の右端を決定している可動鉄心350が弾性バネ351の復元力により図13の右方向に移動するため、可動鉄心350の右端が右方向に移動する結果として、駆動部の全長は伸張する)。
以上示した第7実施形態における弾性膨張収縮構造体の構成によれば、部材347〜352で構成される図13の右側の駆動部は電磁石347による駆動であるため、流体圧で駆動される部材すなわち第1管状弾性体2及び変形方向規制部材3等で構成される図13の左側の駆動部に比べて高速な応答が可能であり、非線形性も少ない。したがって、全長の長い管状弾性体と変形方向規制部材による大変位という効果と、電磁石駆動による高速応答と高い線形性という効果により、大変位可能で、かつ、高速応答、高精度駆動可能なアクチュエータを実現できる。
なお、本第7実施形態では、電磁石駆動としたが、これに限られるわけではなく、ピエゾ素子を利用した駆動法など、その他の電気による駆動方式でも同様の効果を発揮する。
なお、上記第1〜第6実施形態では圧縮性流体として空気圧を例に採り、説明を行ったが、これに限られるわけではなく、例えば窒素など他の圧縮性流体でも同様の効果を発揮する。
また、上記第1〜第6実施形態では2つの管状弾性体の組み合わせや管状弾性体及び蛇腹状弾性体等、2つの駆動部からなる構成としたが、これに限られるわけではなく、3以上の駆動部からなる構成でも同様の効果が発揮される。
また、本発明にかかる弾性膨張収縮構造体の応用は、ロボットアームに限られるわけではなく、その他の可動機械構造の駆動や力の緩衝機構としても応用可能である。
なお、上記実施形態において、直列に配設されて加圧により変位量が異なる複数の駆動部としての複数の中空弾性体は、内外径が同一(又は内径が同一)で全長が異なるものに限らず、図20に示される中空弾性体2と4’とのように、全長は同一であるが内径が異なることにより容積が異なり、変位量が異なるようにしてもよい。
なお、上記様々な実施形態のうちの任意の実施形態を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。
本発明にかかる膨張収縮構造体及び膨張収縮構造体の制御装置は、第1管状弾性体及び第2管状弾性体の複数の管状弾性構造体を直列に配設することにより、柔軟かつ大変位が可能で、さらに高速応答可能なアクチュエータが実現でき、高精度な位置決めや軌道追従が可能な柔軟で安全なロボットが実現可能となり、ロボットアーム等の機械構造を駆動する柔軟性を有する直動駆動アクチュエータ等として有用である。
本発明の第1実施形態における弾性膨張収縮構造体の構造を示す断面図である。 本発明の第1実施形態における空気圧供給系の構成を示す一部断面図である。 本発明の第1実施形態における弾性膨張収縮構造体の動作を示す側面図である。 本発明の第1実施形態における弾性膨張収縮構造体の応用例を示す側面図である。 本発明の第1実施形態における弾性膨張収縮構造体の動作を制御する制御系のブロック線図である。 本発明の第2実施形態における弾性膨張収縮構造体の動作を制御する制御系のブロック線図である。 本発明の第3実施形態における弾性膨張収縮構造体の動作を制御する制御系のブロック線図である。 本発明の第4実施形態における弾性膨張収縮構造体の構造を示す断面図である。 本発明の第5実施形態における弾性膨張収縮構造体の構造を示す断面図である。 本発明の第5実施形態における弾性膨張収縮構造体の動作を示す側面図である。 本発明の第5実施形態における弾性膨張収縮構造体の動作を制御する制御系のブロック線図である。 本発明の第6実施形態における弾性膨張収縮構造体の構造を示す断面図である。 本発明の第7実施形態における弾性膨張収縮構造体の構造を示す一部断面図である。 従来の弾性膨張収縮構造体の構造を示す断面図である。 4自由度のロボットアームとした例を示す構成図である。 図1の弾性膨張収縮構造体を図2の制御系構成で長さを制御する場合をシミュレートするブロック線図である。 図16のブロック線図を使ったシミュレーションの結果を示すグラフである。 図1の弾性膨張収縮構造体を図2の制御系構成で長さを制御する場合をシミュレートするブロック線図である。 図18のブロック線図を使ったシミュレーションの結果を示すグラフである。 上記実施形態の変形例にかかる断面図である。
符号の説明
1 弾性膨張収縮構造体
2 第1管状弾性体
3 第1変形方向規制部材
4 第2管状弾性体
5 第2変形方向規制部材
6 第1封止部材
6a 内側封止部品
6b 外側封止部品
7,7’ 第2封止部材
7a 内側封止部品
7b 外側封止部品
8 連結封止部材
8a 内側封止部品
8b 外側封止部品
8c 外側封止部品
8d 内側封止部品
9a,9b 流体通過部材
10 空気圧源
11 空気圧調整ユニット
12 3ポート流量比例電磁弁
13 制御コンピュータ
14 D/Aボード
15 第1リンク
16 第2リンク
17 関節部
18 エンコーダ
19,19’ 第1弾性膨張収縮構造体
19a 全長が長い方の管状弾性体
19b 全長が短い方の管状弾性体
20,20’ 第2弾性膨張収縮構造体
20a 全長が長い方の管状弾性体
20b 全長が短い方の管状弾性体
21a〜21d 球面ジョイント
22 支持体
23 支持体
24a,24b,24c,24d;24a,24b’,24c’,24d’ 第1〜第4流量比例電磁弁
25,25a,25b PD補償器
26,26’ 制御コンピュータ
27 ローパスフィルタ
28 ハイパスフィルタ
29 フィードフォワード補償器
30 PD補償器
31 管状弾性構造体
32 隔壁
33 内部空間
34 変形方向規制部材
35 封止部材
36 封止部材
37 流体通過部材
38 蛇腹状弾性構造体
39a,39b PD補償器
40 シリンダチューブ
41a,41b 封止部材
42 流体通過部材
43 ピストン
44a,44b,44c,44d Oリング
45 弾性バネ
46 ピストンロッド
47 管状弾性体
48 変形方向規制部材
49 第2封止部材
49a 内側封止部品
49b 外側封止部品
50b 流体通過部材
347 電磁石
348 電磁石ハウジング
349 固定鉄心
350 可動鉄心
351 弾性バネ
352 ストッパ
53 管状弾性体
54 拘束部材
55 封止部材
56 流体通過部材

Claims (3)

  1. 中空弾性体と、
    上記中空弾性体の両端部の気密封止を行う封止部材と、
    上記中空弾性体と直列に配設されて流体の加圧による変位量が上記中空弾性体とは異なる流体圧駆動シリンダと、
    上記流体が通過する流路を有して、上記流体が上記流路を通過することにより、上記中空弾性体及び上記流体駆動シリンダに対する流体の注入あるいは注出が可能となる管状の流体通過部材とを備える膨張収縮構造体。
  2. 直列に配設されて加圧による変位量が互いに異なる複数の駆動部を有する膨張収縮構造体と、
    上記膨張収縮構造体のフィードバック制御を行うフィードバック補償器と、
    上記フィードバック補償器からの信号を受けて高周波成分を除去したのち、上記膨張収縮構造体の直列に配設された複数の駆動部のうち長さが長い駆動部に信号を出力するローパスフィルタと、
    上記フィードバック補償器からの信号を受けて低周波成分を除去したのち、上記膨張収縮構造体の直列に配設された複数の駆動部のうち長さが短い駆動部に信号を出力するハイパスフィルタとを備える膨張収縮構造体の制御装置。
  3. 直列に配設されて加圧による変位量が互いに異なる複数の駆動部を有する膨張収縮構造体と、
    上記膨張収縮構造体の直列に配設された複数の駆動部のうち長さが長い駆動部のフィードフォワード制御を行うフィードフォワード補償器と、
    上記膨張収縮構造体の直列に配設された複数の駆動部のうち長さが短い駆動部のフィードバック制御を行うフィードバック補償器とを備える膨張収縮構造体の制御装置。
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