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JP4120105B2 - 空調装置 - Google Patents

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JP4120105B2
JP4120105B2 JP23079199A JP23079199A JP4120105B2 JP 4120105 B2 JP4120105 B2 JP 4120105B2 JP 23079199 A JP23079199 A JP 23079199A JP 23079199 A JP23079199 A JP 23079199A JP 4120105 B2 JP4120105 B2 JP 4120105B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、暖房時には圧縮機吐出ガス冷媒(ホットガス)を室内熱交換器(蒸発器)に直接導入することにより、室内熱交換器をガス冷媒の放熱器として使用するホットガス暖房機能を発揮する空調装置において、特に、暖房モードの起動時に室内熱交換器で凝縮水が再蒸発して窓ガラスが曇ることを防止するシステムに関するもので、車両用として好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、車両用空調装置では冬期暖房時に温水(エンジン冷却水)を暖房用熱交換器に循環させ、この暖房用熱交換器にて温水を熱源として空調空気を加熱するようにしている。この場合、温水温度が低いときには車室内への吹出空気温度が低下して必要な暖房能力が得られない場合がある。
【0003】
そこで、特開平5−272817号公報においては、ホットガスヒータサイクルにより暖房機能を発揮できる冷凍サイクル装置が提案されている。この従来装置では、エンジン始動時のごとく温水温度が所定温度より低いときには、圧縮機吐出ガス冷媒(ホットガス)を凝縮器をバイパスして蒸発器に導入して、蒸発器でガス冷媒から空調空気に放熱することにより、暖房機能を発揮できるようにしている。すなわち、上記の従来装置おいては、空調ケース内に設置された同一の室内熱交換器である蒸発器を冷房モード時の冷却器および暖房モード時の放熱器として切替使用している。
【0004】
ところで、車両用空調装置では冬期暖房時に汚染外気の導入防止のため内気モードを設定する場合がある。この場合は、窓ガラスの曇り止めのために、蒸発器の冷却、除湿作用を発揮する必要が生じるので、外気温が0°Cに低下するまで、冷凍サイクルを冷房モードで使用することがある。
【0005】
この場合、固定容量型圧縮機を断続制御することにより蒸発器温度を制御する冷凍サイクルでは、圧縮機作動の断続に伴う蒸発器温度の変動が大きいので、一般に、外気温が0°C以下に低下すると、圧縮機を停止したままにする圧縮機停止制御を行う。これに反し、冷凍サイクルの圧縮機として可変容量型を用いる場合は、圧縮機容量によりサイクル低圧圧力(冷媒蒸発圧力)を制御して蒸発器温度を小さい変動幅で安定的に制御できるので、外気温が−10°C程度の氷点下の低温域まで、圧縮機を作動させて、蒸発器の冷却、除湿作用を発揮させる。
【0006】
一方、ホットガスヒータサイクルによる暖房モードは、温水式暖房用熱交換器による主暖房機能に対する補助暖房の機能を果たすものであって、通常は、外気温=+10°C程度以下の低外気温域で使用する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従って、外気温=0°C付近において、窓ガラスの曇り止めのために、冷凍サイクルを冷房モードで使用した直後に、暖房能力の不足から、ホットガスヒータサイクルによる暖房モードに切り替える場合が生じる。
【0008】
しかし、ホットガスヒータサイクルによる暖房モードに切り替えると、今まで、冷房モードで冷却除湿作用を果たしていた蒸発器が一挙にホットガスの放熱器に切り替わり、蒸発器の温度が急上昇するので、冷房モード時に蒸発器表面で凝縮した水分が再蒸発して、車室内へ吹出し、車両窓ガラスを曇らせるという不具合が発生する。
【0009】
また、冷房モード運転により蒸発器で一度発生した凝縮水は冬期の低外気温時では蒸発しにくく、長期間残存することがあるので、冷房モードからの切替直後でなくても(換言すると、冷房モードを暫く使用していなくても)、ホットガスヒータサイクルによる暖房モードの起動により車両窓ガラスの曇りを発生させることもある。
【0010】
本発明は上記点に鑑みてなされたもので、ホットガスヒータサイクルによる暖房モードの運転に伴う、車両窓ガラスの曇り発生を抑制することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明では、室内熱交換器(18)を蒸発器として作動させる通常の冷房用冷凍サイクル(C)と、
圧縮機(10)より吐出された冷媒を、室外熱交換器(14)を迂回させて、第2減圧装置(21a)および室内熱交換器(18)を通して圧縮機(10)に戻すことで、室内熱交換器(18)を放熱器として作動させるホットガスヒータサイクル(H)とを切替可能に構成し、
室内熱交換器(18)を、室内へ向かって空気が流れる空調ケース(22)内に配置し、冷凍サイクル(C)により室内熱交換器(18)で冷却された空気を室内へ吹き出すことにより冷房モードを実行し、また、ホットガスヒータサイクル(H)により室内熱交換器(18)で加熱された空気を室内へ吹き出すことにより暖房モードを実行するようになっており、
更に、暖房モードの運転時の間、常に、室内熱交換器(18)の温度が所定温度以下となるように圧縮機(10)の作動を制御する制御手段(26)を備え、
制御手段(26)は、外気温が0°C以下のときは室内熱交換器(18)の温度が0°Cとなるように圧縮機(10)の作動を制御し、外気温が0°Cより高いときは室内熱交換器(18)の温度が外気温と同等になるように圧縮機(10)の作動を制御することを特徴としている。
【0012】
これによると、暖房モードを起動したときに室内熱交換器(18)表面に凝縮水が残存していても、室内熱交換器(18)の温度を所定温度以下に抑えることにより、凝縮水の再蒸発を抑制して、車両窓ガラスの曇り発生を抑制できる。
具体的には、暖房モードの運転時に外気温が0°C以下のときは室内熱交換器(18)の温度が0°Cとなるように圧縮機(10)の作動を制御し、外気温が0°Cより高いときは室内熱交換器(18)の温度が外気温と同等になるように圧縮機(10)の作動を制御する。
このため、暖房モードを起動したときに外気温が0°C以下のときは室内熱交換器(18)の凝縮水を凍結状態に維持して、凍結凝縮水の溶融を阻止して車両窓ガラスの曇り発生を抑制できる。
また、暖房モードを起動したときに外気温が外気温が0°Cより高いときは室内熱交換器(18)の温度を外気温と同等程度に制御することにより、窓ガラスの曇り発生を抑制できる。つまり、室内熱交換器(18)の温度を外気温と同等程度に制御することにより、室内熱交換器(18)通過空気の飽和温度を外気温と同等程度にすることができる。一方、車両窓ガラスは外気温と同程度かそれより若干高い温度になっているので、室内熱交換器(18)通過空気が窓ガラス周辺に吹き出され、窓ガラス表面に触れて冷却されても飽和状態まで到達せず、結露することがない。従って、窓ガラスの曇り発生を抑制できる。
しかも、寒冷時に、−30°C〜−20°C程度の低温外気を導入して暖房を行う場合に、室内熱交換器(18)の温度を0°Cに制御することにより、低温外気を室内熱交換器(18)において0°Cまで温度上昇させることができ、ホットガスバイパスによる補助暖房効果を発揮できる。
【0013】
請求項2記載の発明では、室内熱交換器(18)を蒸発器として作動させる通常の冷房用冷凍サイクル(C)と、
圧縮機(10)より吐出された冷媒を、室外熱交換器(14)を迂回させて、第2減圧装置(21a)および室内熱交換器(18)を通して圧縮機(10)に戻すことで、室内熱交換器(18)を放熱器として作動させるホットガスヒータサイクル(H)とを切替可能に構成し、
室内熱交換器(18)を、室内へ向かって空気が流れる空調ケース(22)内に配置し、冷凍サイクル(C)により室内熱交換器(18)で冷却された空気を室内へ吹き出すことにより冷房モードを実行し、また、ホットガスヒータサイクル(H)により室内熱交換器(18)で加熱された空気を室内へ吹き出すことにより暖房モードを実行するようになっており、
更に、暖房モードの運転時の間、常に、室内熱交換器(18)の温度が所定温度以下となるように圧縮機(10)の作動を制御する制御手段(26)を備え、
制御手段(26)は、外気温が0°C以下のときは室内熱交換器(18)の温度が0°Cとなるように圧縮機(10)の作動を制御し、外気温が0°Cより高いときは室内熱交換器(18)の温度が外気温より高い温度となるように圧縮機(10)の作動を制御することを特徴としている。
請求項2記載の発明は、外気温が0°Cより高いときに室内熱交換器(18)の温度が外気温より高い温度となるように圧縮機(10)の作動を制御することが請求項1記載の発明と相違している。
これにより、暖房モードの運転時の間、常に、室内熱交換器(18)の温度が所定温度以下となるように圧縮機(10)の作動を制御して窓ガラスの曇りを防止しながら、室内熱交換器(18)にて導入外気の温度を若干量上昇させて補助暖房効果をより有効に発揮できる。
【0014】
請求項3記載の発明では、室内熱交換器(18)を蒸発器として作動させる通常の冷房用冷凍サイクル(C)と、
圧縮機(10)より吐出された冷媒を、室外熱交換器(14)を迂回させて、第2減圧装置(21a)および室内熱交換器(18)を通して圧縮機(10)に戻すことで、室内熱交換器(18)を放熱器として作動させるホットガスヒータサイクル(H)とを切替可能に構成し、
室内熱交換器(18)を、室内へ向かって空気が流れる空調ケース(22)内に配置し、冷凍サイクル(C)により室内熱交換器(18)で冷却された空気を室内へ吹き出すことにより冷房モードを実行し、また、ホットガスヒータサイクル(H)により室内熱交換器(18)で加熱された空気を室内へ吹き出すことにより暖房モードを実行するようになっており、
更に、窓ガラスが曇る状態であるか否かを判定する窓曇り判定手段(S300、S11)、及び暖房モードの運転時であって、かつ、窓曇り判定手段(S300、S11)により窓ガラスが曇ると判定されたときに、室内熱交換器(18)の温度が所定温度以下となるように圧縮機(10)の作動を制御する制御手段(26)を備え、
制御手段(26)は、外気温が0°C以下のときは室内熱交換器(18)の温度が0°Cとなるように圧縮機(10)の作動を制御し、外気温が0°Cより高いときは室内熱交換器(18)の温度が外気温と同等になるように圧縮機(10)の作動を制御し、
窓曇り判定手段(S300、S11)により窓ガラスが曇ると判定されないときは、制御手段(26)による室内熱交換器(18)の温度制御を禁止することを特徴としている。
これによると、窓ガラスが曇ると判定されたときだけ、制御手段(26)により室内熱交換器(18)の温度を所定温度以下とする制御を行って、凝縮水の再蒸発を抑制して、車両窓ガラスの曇り発生を抑制できる。
なお、請求項3記載の発明による「室内熱交換器(18)の温度を所定温度以下とする制御」は請求項1と同様の制御である。
一方、窓ガラスが曇る状態でないときは、制御手段(26)による室内熱交換器(18)の温度制御を禁止するから、ホットガスヒータサイクル(H)による暖房能力を最大限発揮することができる。
次に、請求項4記載の発明では、室内熱交換器(18)を蒸発器として作動させる通常の冷房用冷凍サイクル(C)と、
圧縮機(10)より吐出された冷媒を、室外熱交換器(14)を迂回させて、第2減圧装置(21a)および室内熱交換器(18)を通して圧縮機(10)に戻すことで、室内熱交換器(18)を放熱器として作動させるホットガスヒータサイクル(H)とを切替可能に構成し、
室内熱交換器(18)を、室内へ向かって空気が流れる空調ケース(22)内に配置し、冷凍サイクル(C)により室内熱交換器(18)で冷却された空気を室内へ吹き出すことにより冷房モードを実行し、また、ホットガスヒータサイクル(H)により室内熱交換器(18)で加熱された空気を室内へ吹き出すことにより暖房モードを実行するようになっており、
更に、窓ガラスが曇る状態であるか否かを判定する窓曇り判定手段(S300、S11)、及び暖房モードの運転時であって、かつ、窓曇り判定手段(S300、S11)により窓ガラスが曇ると判定されたときに、室内熱交換器(18)の温度が所定温度以下となるように圧縮機(10)の作動を制御する制御手段(26)を備え、
制御手段(26)は、外気温が0°C以下のときは室内熱交換器(18)の温度が0°Cとなるように圧縮機(10)の作動を制御し、外気温が0°Cより高いときは室内熱交換器(18)の温度が外気温より高い温度となるように圧縮機(10)の作動を制御し、
窓曇り判定手段(S300、S11)により窓ガラスが曇ると判定されないときは、制御手段(26)による室内熱交換器(18)の温度制御を禁止することを特徴としている
請求項4記載の発明においても、請求項3記載の発明と同様に、窓ガラスが曇ると判定されたときだけ、制御手段(26)により室内熱交換器(18)の温度を所定温度以下とする制御を行って、凝縮水の再蒸発を抑制して、車両窓ガラスの曇り発生を抑制できる。
なお、請求項4記載の発明による「室内熱交換器(18)の温度を所定温度以下とする制御」は請求項2と同様の制御である。
一方、窓ガラスが曇る状態でないときは、請求項4記載の発明においても、制御手段(26)による室内熱交換器(18)の温度制御を禁止するから、ホットガスヒータサイクル(H)による暖房能力を最大限発揮することができる。
【0015】
請求項3記載の発明及び請求項4記載の発明による窓曇り判定手段(S300、S11)は請求項ないし記載のように種々な手段にて実施できる。
【0016】
すなわち、請求項記載の発明のように、窓曇り判定手段(S300、S11)は、窓ガラスの温度に関連する物理量に基づいて窓ガラスが曇る状態であるか否かを判定することができる。ここで、窓ガラスの温度に関連する物理量とは、窓ガラスの温度自身の他に、これと相関のある室内への吹出温度、外気温等の物理量を包含している。
【0017】
また、請求項記載の発明のように、窓曇り判定手段(S300、S11)は、室内熱交換器(18)を蒸発器として作動させる冷房モードの作動履歴に基づいて窓ガラスが曇る状態であるか否かを判定することができる。
ここで、冷房モードの作動履歴に基づく窓ガラスの曇り判定は、例えば、冷房モード停止後の経過時間と外気温とにより判定することができる。また、車両用空調装置であれば、エンジン起動後に、一度でも冷房モードを運転したかどうかに基づいて窓ガラスの曇り判定を行ってもよい。
【0018】
また、請求項記載の発明では、空調ケース(22)の下流側から窓ガラスに向けて空気を吹き出すデフロスタモードが設定可能になっており、窓曇り判定手段(S300、S11)は、空調ケース(22)からの吹出モードがデフロスタモードであるときに窓ガラスが曇る状態であると判定することを特徴としている。
このように、吹出モードがデフロスタモードであるか否かに基づいて窓ガラスの曇り判定を行ってもよい。
【0019】
また、請求項記載の発明のように、窓曇り判定手段(S300、S11)は、窓ガラス付近の室内空気湿度に関連する物理量に基づいて窓ガラスが曇る状態であるか否かを判定することができる。
【0028】
また、請求項記載の発明のように、制御手段(26)により圧縮機(10)の作動を断続することにより室内熱交換器(18)の温度を制御することができる。
【0033】
また、請求項10記載の発明では、圧縮機(10)は、クラッチ手段(11)を介してエンジン(12)により駆動される固定容量型圧縮機であり、制御手段(26)は、暖房モードの運転時に、圧縮機(10)の吐出圧力が所定範囲となるようにクラッチ手段(11)を断続させて圧縮機(10)を断続制御することを特徴としている。
【0034】
これによると、暖房モード時に圧縮機(10)の断続制御により、圧縮機(10)の吐出圧力を制御して、ホットガスヒータサイクルによる暖房能力を制御できるとともに、吐出圧力の異常上昇も防止できる。
【0035】
また、請求項11記載の発明では、圧縮機(10)は、吐出容量を可変する容量可変機構(10a)を備える可変容量型圧縮機であり、暖房モードの運転時に、圧縮機(10)の吐出圧力が所定範囲となるように容量可変機構(10a)により圧縮機(10)の吐出容量を調整することを特徴としている。
【0036】
これによると、暖房モード時に圧縮機(10)の吐出容量の調整により、圧縮機(10)の吐出圧力を制御して、ホットガスバイパスによる暖房能力を制御できるとともに、吐出圧力の異常上昇も防止できる。
【0039】
そして、請求項12に記載のように、本発明は、圧縮機(10)が車両エンジン(12)により駆動され、空調ケース(22)内において、室内熱交換器(18)の下流側に車両エンジン(12)からの温水を熱源として空気を加熱する温水式熱交換器(24)を配置する車両用の空調装置において好適に実施できる。
【0040】
なお、上記各手段に付した括弧内の符号は、後述する実施形態記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【0041】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図に基づいて説明する。
【0042】
(第1実施形態)
図1は車両用空調装置における冷凍サイクル装置に本発明を適用した第1実施形態を示している。圧縮機10は、電磁クラッチ11を介して水冷式の車両エンジン12により駆動されるもので、例えば、固定容量型の斜板型圧縮機から構成される。
【0043】
圧縮機10の吐出側は冷房用第1電磁弁13を介して凝縮器14に接続され、この凝縮器14の出口側は冷媒の気液を分離して液冷媒を溜める受液器15に接続される。凝縮器14は圧縮機10等とともに車両エンジンルームに配置され、電動式の冷却ファン14aにより送風される外気(冷却空気)と熱交換する室外熱交換器である。
【0044】
そして、受液器15の出口側は温度式膨張弁(第1減圧装置)16に接続されている。この温度式膨張弁16の出口側は逆止弁17を介して蒸発器18に接続されている。蒸発器18の出口側はアキュームレータ19を介して圧縮機10の吸入側に接続されている。
【0045】
上記した圧縮機10の吐出側から第1電磁弁13→凝縮器14→受液器15→温度式膨張弁16→逆止弁17→蒸発器18→アキュームレータ19を経て圧縮機10の吸入側に戻る閉回路により通常の冷房用冷凍サイクルCが構成される。
【0046】
温度式膨張弁16は周知のごとく通常の冷凍サイクル運転時(冷房モード時)に蒸発器18出口冷媒の過熱度が所定値に維持されるように弁開度(冷媒流量)を調整するものである。アキュームレータ19は冷媒の気液を分離して液冷媒を溜め、ガス冷媒および底部付近の少量の液冷媒(オイルが溶け込んでいる)を圧縮機10側へ吸入させる。
【0047】
一方、圧縮機10の吐出側と蒸発器18の入口側との間に、凝縮器14等をバイパスするホットガスバイパス通路20が設けてあり、このバイパス通路20には暖房用第2電磁弁21および絞り(第2減圧装置)21aが直列に設けてある。この絞り21aはオリフィス、キャピラリチューブ等の固定絞りで構成することができる。圧縮機10の吐出側から第2電磁弁21→絞り(第2減圧装置)21a→蒸発器18→アキュームレータ19を経て圧縮機10の吸入側に戻る閉回路により暖房用のホットガスヒータサイクルHが構成される。
【0048】
車両用空調装置の空調ケース22は車室内へ向かって空気が流れる空気通路を構成するもので、この空調ケース22内を電動式の空調用送風機23により空気(車室内空気または外気)が送風される。蒸発器18はこの空調ケース22内に設置される室内熱交換器であって、冷房モード時には冷凍サイクルCにより冷媒が循環して、蒸発器18での冷媒蒸発(吸熱)により電動式の空調用送風機23の送風空気が冷却される。また、暖房モード時には、蒸発器18はホットガスバイパス通路20からの高温冷媒ガス(ホットガス)が流入して空気を加熱するので、放熱器としての役割を果たす。
【0049】
空調ケース22内において、蒸発器18の空気下流側には車両エンジン12からの温水(エンジン冷却水)を熱源として送風空気を加熱する温水式の暖房用熱交換器24が設置されており、この暖房用熱交換器24の下流側に設けられた吹出口(図示せず)から車室内へ空調空気を吹き出すようになっている。暖房用熱交換器24への温水回路には温水流れを制御する温水弁25が備えられている。
【0050】
空調用電子制御装置(以下ECUという)26は、マイクロコンピュータとその周辺回路から構成され、予め設定されたプログラムに従って入力信号に対する演算処理を行って、第1、第2電磁弁13、21の開閉およびその他の電気機器(11、14a、23、25等)の作動を制御する。すなわち、ECU26は本発明の制御手段を構成している。
【0051】
ECU26には、車両エンジン12の水温センサ27a、外気温センサ27b、蒸発器18の温度検出手段をなす蒸発器吹出温度センサ27c、圧縮機吐出圧力の圧力センサ27d等のセンサ群から検出信号が入力される。
【0052】
また、車室内計器盤付近に設置される空調操作パネル28の操作スイッチ群29からの操作信号が入力される。この操作スイッチ群29としては、冷凍サイクルの圧縮機10の起動または停止を指令するエアコンスイッチ29a、ホットガスヒータサイクルによる暖房モードを設定する暖房スイッチ29b等が備えられている。エアコンスイッチ29aは冷房モードを設定する冷房スイッチの役割を果たす。
【0053】
次に、上記構成において本実施形態の作動を説明する。まず、最初に、冷凍サイクル部分の作動を説明すると、冷房モード時には、ECU26により第1電磁弁13が開状態とされ、第2電磁弁21が閉状態とされる。従って、電磁クラッチ11が接続状態となり、圧縮機10が車両エンジン12にて駆動されると、圧縮機10の吐出ガス冷媒は開状態の第1電磁弁13を通過して凝縮器14に流入する。
【0054】
凝縮器14では、冷却ファン14aにより送風される外気にて冷媒が冷却されて凝縮する。そして、凝縮器14通過後の冷媒は受液器15で気液分離され、液冷媒のみが温度式膨張弁16で減圧されて、低温低圧の気液2相状態となる。
【0055】
次に、この低圧冷媒は逆止弁17を通過して蒸発器18内に流入して送風機23の送風する空調空気から吸熱して蒸発する。蒸発器18で冷却された空調空気は車室内へ吹き出して車室内を冷房する。蒸発器18で蒸発したガス冷媒はアキュームレータ19を介して圧縮機10に吸入され、圧縮される。
【0056】
冬期の暖房モード時には、ECU26により第1電磁弁13が閉状態とされ、第2電磁弁21が開状態とされ、ホットガスバイパス通路20が開通する。このため、圧縮機10の高温吐出ガス冷媒(過熱ガス冷媒)が開状態の第2電磁弁21を通って絞り21aで減圧された後、蒸発器18に流入する。
【0057】
このとき、逆止弁17はホットガスバイパス通路20からのガス冷媒が温度式膨張弁16側へ流れるのを防止する。従って、冷凍サイクルは、圧縮機10の吐出側→第2電磁弁21→絞り21a→蒸発器18→アキュームレータ19→圧縮機10の吸入側に戻る閉回路(ホットガスヒータサイクルH)にて運転される。
【0058】
そして、絞り21aで減圧された後の過熱ガス冷媒が蒸発器18にて送風空気に放熱して、送風空気を加熱する。ここで、蒸発器18にてガス冷媒から放出される熱量は、圧縮機10の圧縮仕事量に相当するものである。このとき、エンジン12の温水温度がある程度上昇しておれば、温水式の暖房用熱交換器24に温水弁25を介して温水を流すことにより、送風空気を熱交換器24においてさらに加熱することができ、車室内へ温風を吹き出すことができる。蒸発器18で放熱したガス冷媒はアキュームレータ19を介して圧縮機10に吸入され、圧縮される。
【0059】
次に、冬期の低外気温時における冷房モードと暖房モードとの切替に起因する窓ガラスの曇り止めのための蒸発器温度制御を図2により詳述する。図2の制御ルーチンは、例えば、車両エンジン12のイグニッションスイッチ(図示せず)が投入され、かつ、空調側の操作スイッチ群29の暖房スイッチ29bの投入によりスタートし、ステップS100にてフラグI=0等の初期化を行う。次に、ステップS110にて各センサ27a〜27dおよび空調操作パネル28の操作スイッチ群29からの信号を読み込む。
【0060】
次に、ステップS120にて外気温が第1所定値(例えば、10°C)以下であるか判定する。外気温が第1所定値以下のときは、ステップS130にてエンジン水温が所定値(例えば、80°C)以下であるか判定する。
【0061】
エンジン水温が所定値以下のときは、次に、ステップS140にて冷房用第1電磁弁13を閉、暖房用第2電磁弁21を開の状態(暖房モードの状態)にする。次に、ステップS150にてフラグI=0か判定する。暖房スイッチ29bの投入後の最初(1回目)の判定であれば、フラグI=0であるので、ステップS160に進み、圧縮機10の吐出圧Pdが第1所定値(例えば、20kg/cm2 G)以下であるか判定する。
【0062】
吐出圧Pdが第1所定値以下であれば、ステップS170に進み、外気温が第2所定値(例えば、0°C)以上であるか判定する。外気温が第2所定値以上であるときは、ステップS180にて蒸発器温度(具体的には蒸発器吹出温度)Teが第1所定値より低いか判定する。ここで、第1所定値は、本例では、外気温+5°Cに設定している。
【0063】
そして、蒸発器温度Teが第1所定値より低いときはステップS190に進み、電磁クラッチ11をONし、圧縮機10を作動させる。これに対し、蒸発器温度Teが第1所定値より高いときはステップS200に進み、電磁クラッチ11をOFFし、圧縮機10を停止させる。これと同時に、フラグI=1にする。
【0064】
また、上記のステップS170にて外気温が第2所定値より低いときはステップS210に進み、蒸発器温度Teが第2所定値より低いか判定する。ここで、第2所定値は、本例では、0°Cに設定している。そして、蒸発器温度Teが第2所定値より低いときはステップS220に進み、電磁クラッチ11をONし、圧縮機10を作動させる。これに対し、蒸発器温度Teが第2所定値より高いときはステップS230に進み、電磁クラッチ11をOFFし、圧縮機10を停止させる。
【0065】
一方、上記ステップS160において圧縮機10の吐出圧Pdが第1所定値より高いときはステップS200に進み、電磁クラッチ11をOFFして、圧縮機10を停止するとともに、フラグI=1にする。
【0066】
ここで、本例においては、圧縮機10の吐出圧Pdに基づいて圧縮機10の作動を断続することにより、ホットガスヒータサイクルによる暖房モードの能力を制御するようになっている。そこで、圧縮機10の吐出圧Pdが第1所定値を越えると暖房能力の制限およびサイクル高圧の異常上昇防止のために圧縮機10を停止する。
【0067】
そして、ステップS200にてフラグI=1になっているので、次回のステップS150における判定がNOとなって、ステップS240に進み、圧縮機10の吐出圧Pdが第2所定値(例えば、2kg/cm2 G)以下であるか判定する。圧縮機10の吐出圧Pdが第2所定値以下に低下するまでは、ステップS240からステップS250に進み、電磁クラッチ11のOFF(圧縮機10の停止)状態を保持する。
【0068】
そして、圧縮機10の停止により吐出圧Pdが第2所定値以下に低下すると、ステップS240からステップS260に進み、電磁クラッチ11をONして圧縮機10を作動状態に復帰させるとともに、フラグI=0にする。これにより、ステップS150からステップS160に進み、吐出圧Pdが第1所定値を越えるまで、圧縮機10の作動状態を保持する。
【0069】
なお、ステップS120の判定で外気温が10°Cを上回るとき、およびステップS120でエンジン水温が80°Cを上回るときは、ホットガスヒータサイクルによる暖房モードの必要がないときであるので、ステップS270に進み、冷房用第1電磁弁13および暖房用第2電磁弁21をともに閉の状態にし、ステップS250にて電磁クラッチ11をOFFして、圧縮機10を停止する。
【0070】
また、ホットガスヒータサイクルによる暖房モード時には外気温が10°C以下の低温域にあるため、圧縮機10の停止により吐出圧Pdが急速に低下するので、吐出圧Pdに対する圧縮機停止用の第1所定値(例えば、20kg/cm2 G)と、圧縮機作動復帰用の第2所定値(例えば、2kg/cm2 G)との間に大きな圧力差(ヒステリシス)を設定して、圧縮機10の頻繁な断続(ハンチング)を抑えるようにしている。
【0071】
以上のようにして、暖房モード時に圧縮機10の作動が断続制御されて蒸発器温度が制御されるのであるが、これをまとめると次のようになる。
【0072】
▲1▼0°C≦外気温≦10°Cであるとき
このときは、ステップS180、S190、S200により、蒸発器温度が外気温+5°Cとなるように圧縮機10の作動を断続制御している。これにより、以下の理由から車両窓ガラスでの曇り発生を良好に防止できる。
【0073】
すなわち、冬期暖房時には、窓ガラスの曇り止めのために、通常、外気が空調ケース22内に導入され、外気が蒸発器18を通過するのであるが、蒸発器18の温度を外気温より少し高めの温度(外気温+5°C)以下に制御することにより、導入外気は蒸発器18にて若干量(+5°C)の温度だけ上昇することになり、従って、導入外気の相対湿度低下は僅少である。そのため、蒸発器18にて凝縮水が再蒸発するのを抑制できる。
【0074】
そして、車両窓ガラスは外気に直接接しているので、その温度は外気温と同等ないしは若干高めの温度になっている。従って、蒸発器19の温度を外気温より少し高めの温度(外気温+5°C)に制御すれば、暖房用熱交換器24の下流側に設けられたデフロスタ吹出口(図示せず)から車両窓ガラスに向かって吹き出した空気が車両窓ガラスに接触して車両窓ガラスと同程度の温度まで冷却されても飽和状態に到達せず、車両窓ガラスの表面で結露することはない。
【0075】
また、空調ケース22内に外気を導入して暖房モードを実行する場合に、外気温が0°C以上に上昇することに伴って、蒸発器19の温度を外気温+5°Cに制御することにより、この+5°Cの温度上昇分だけ、暖房用熱交換器24の暖房負荷を低減でき、車室内暖房効果を向上できる。
【0076】
▲2▼外気温≦0°Cであるとき
このときは、ステップS210、S220、S230により、蒸発器温度が0°Cとなるように圧縮機10の作動を断続制御している。従って、蒸発器18で凍結した凝縮水が融解し、蒸発するのを防止できるので、凝縮水の蒸発による車両窓ガラスの曇り発生を防止できる。
【0077】
また、寒冷地では外気温度=−30°C〜−20°C程度の極低温時に暖房モードが使用されるので、このような場合には、ホットガスヒータサイクルによる暖房モードの実行により、空調ケース22内への導入外気を−30°C〜−20°Cから蒸発器18におけるガス冷媒の放熱により0°Cまで温度上昇するので、この温度上昇分だけ、車室内暖房効果を向上できる。
【0078】
(第2実施形態)
上記第1実施形態では、圧縮機10として固定容量型のものを用いて、図2のステップS160、S240での判定結果に基づいて圧縮機10の作動を断続制御することにより、圧縮機10の吐出圧Pdを所定範囲に制御して暖房能力を制御する方式としているが、第2実施形態では、図3〜図5に示すように、圧縮機10として、吐出容量が変化する可変容量機構10aを備える可変容量型のものを用いて、圧縮機10の吐出容量の制御により圧縮機10の吐出圧Pdを所定範囲に制御して暖房能力を制御する方式としている。
【0079】
図4は第2実施形態における可変容量型圧縮機10の具体的構造の一例を示すもので、その概要を説明すると、圧縮機10はワッブルタイプのものであって、その回転軸30には電磁クラッチ11を介して車両エンジン12の動力が伝達され、回転軸30が回転する。この回転軸30には斜板31が一体に回転可能に連結され、この斜板31が回転することによりピストン32が軸方向に往復動する。
【0080】
さらに、斜板31の傾斜角の変化によりピストン32のストロークを変化させて、圧縮機10の容量(吐出容量)を可変するようになっている。このため、斜板31は回転軸30に対して揺動可能に連結され、具体的には、球面状支持部33にて斜板31が揺動可能に支持されている。斜板31の傾斜角は、ピストン32の前後に作用する圧力、すなわち、ピストン32の背面に作用するクランク室34内の圧力、すなわち制御圧Pcと、ピストン32が往復動するシリンダ35内の圧力(吐出圧Pdおよび吸入圧Ps)との釣り合いにより変化する。従って、クランク室34内の制御圧Pcを調整することにより、斜板32の傾斜角を変化させることができる。
【0081】
圧縮機10のシリンダ35で圧縮されたガス冷媒は吐出室36に吐出され、ここから吐出口(図示せず)を経て図3の電磁弁13、21の上流側にガス冷媒が吐出される。また、圧縮機10のシリンダ35には吸入室37を通して冷媒が吸入される。この吸入室37は、吸入口37aを介して図3のアキュームレータ19の出口側に通じている。
【0082】
そして、上記したクランク室34の圧力(制御圧力)Pcは、吐出室36の冷媒吐出圧Pdと吸入室37の冷媒吸入圧Psを利用して、冷房モード用の電磁式圧力制御装置38および暖房モード用の圧力制御装置52(図5)により変化させるようになっている。
【0083】
冷房モード用の電磁式圧力制御装置38には、吐出室36に連通している吐出圧力室39と、吸入室37に連通している吸入圧力室40と、クランク室34に連通する制御圧力室41が備えられている。そして、吐出圧力室39は制御圧力室41に、弁体42により開度が調整される可変絞り43を介して連通している。本例では、弁体42と可変絞り43とにより可変絞り機構を構成している。また、吸入圧力室40は固定絞り44を介して制御圧力室41に連通している。
【0084】
また、吸入圧力室40の内部には伸縮可能な材料からなるベローズ(圧力応動機構)45が配設されており、このベローズ45内には予め所定圧の内圧Pb1 が設定されており、この内圧Pb1 に対する吸入圧Psの変化により、ベローズ45は伸縮する。このベローズ45の伸縮によりロッド46を介して弁体42が変位するようになっている。このベローズ45および弁体42には電磁機構の電磁力も作用するようになっている。
【0085】
すなわち、本例の電磁機構は、電磁コイル47と、固定磁極部材48と、電磁コイル47の電磁力により固定磁極部材48の方向(ベローズ45が伸びる方向)に吸引される可動磁極部材(プランジャ)49と、可動磁極部材49にバネ力を作用するコイルスプリング50とから構成されている。可動磁極部材49の中心部にはロッド51が連結され、このロッド51と弁体42とロッド46は一体に連結され、一体に変位する。
【0086】
上記電磁機構の電磁コイル47には、ECU26から制御電流が加えられ、この制御電流の増減により可動磁極部材49に加わる電磁力が増減し、これにより吸入圧の設定圧が増減するようになっている。つまり、制御電流の増加により吸入圧の設定圧が上昇するようになっている。
【0087】
そして、冷房モード時に冷房負荷の増大により吸入圧Psが上昇すると制御圧力室41内の制御圧Pcを低下させ、この制御圧Pcの低下によりクランク室34の圧力が低下して、ピストン32の背圧が低下するので、斜板31が傾いて、斜板31の傾斜角θが増大する。その結果、ピストン32のストロークが増大して圧縮機10の容量が増大する。これにより、サイクル循環冷媒流量が増加して、冷房能力が増大するので、吸入圧Psが次第に低下する。
【0088】
逆に、吸入圧Psが低下すると、制御圧力室41の制御圧Pcを上昇させ、この制御圧Pcの上昇によりクランク室34の圧力が上昇するので、斜板31が立って、斜板31の傾斜角θが減少するので、ピストン32のストロークが減少して圧縮機10の容量が減少する。これにより、サイクル循環冷媒流量が減少して、冷房能力が減少するので、吸入圧Psが次第に上昇する。
【0089】
このようにして、圧縮機10の容量制御により吸入圧Psを制御して蒸発器18の温度(吹出空気温度)を制御することができる。図6(a)は冷房モード時における圧縮機10の容量制御と吸入圧Psとの関係を示す。
【0090】
また、電磁コイル47の制御電流の調整により、吸入圧Psの設定圧を調整すれば、蒸発器吹出空気温度を調整できる。
【0091】
次に、図5において、53は電磁切替弁で、冷房モード用の電磁式圧力制御装置38および暖房モード用の圧力制御装置52への吐出圧Pdの供給を切り替えるものである。図5の状態は電磁切替弁53の冷房モード時の状態であり、電磁コイル54への通電遮断により弁体55がばね56の力により図示右側へ押圧されて、一方の連通路57を閉塞するとともに、他方の連通路58を開放する。
【0092】
これにより、吐出圧Pdの導入通路59が連通路58を介して冷房モード用の電磁式圧力制御装置38の吐出圧力室39に連通し、吐出圧力室39に吐出圧Pdが加えられるので、上述した冷房モード時における圧縮機容量の制御を行うことができる。
【0093】
これに対し、暖房モード時には、ECU26から電磁切替弁53の電磁コイル54に通電されるので、電磁コイル54の電磁力により弁体55がばね56の力に抗して図示左側へ移動して、一方の連通路57を開放するとともに、他方の連通路58を閉塞する。
【0094】
これにより、吐出圧Pdの導入通路59が連通路57を介して暖房モード用の圧力制御装置52の吐出圧力室59に連通し、吐出圧力室59に吐出圧Pdが加えられる。この吐出圧力室59内には、伸縮可能な材料からなるベローズ(圧力応動機構)60が配設されており、このベローズ60内には予め所定圧の内圧Pb2 が設定されており、この内圧Pb2 に対する吐出圧Pdの変化により、ベローズ60は伸縮する。
【0095】
このベローズ60の伸縮によりロッド61を介して弁体62が変位するようになっている。この弁体62にはばね63の力も作用するようになっている。このばね63は、ベローズ60および弁体62の初期位置を決める戻しばねである。
【0096】
弁体62の変位により絞り部64の開度が変化して、この絞り部64下流の制御圧力室65の制御圧力Pcを調整する。制御圧力室65は、冷房モード用の電磁式圧力制御装置38における制御圧力室41と同様にクランク室34に連通しているとともに、固定絞り44を介して吸入圧力室40にも連通している。
【0097】
次に、暖房モード用の圧力制御装置52の作動を具体的に説明すると、吐出圧力室59に加えられる吐出圧Pdが第1所定値(例えば、20kg/cm2 G)より低下すると、ベローズ60が伸長して、弁体62が絞り部64を閉塞する。これにより、制御圧力室65の制御圧力Pcが低下して、吸入圧Psと等しくなるので、クランク室34の圧力が吸入圧Psと等しくなって、圧縮機の容量は最大(100%)となる。
【0098】
これに対し、吐出圧Pdが第2所定値(例えば、22kg/cm2 G)より高くなると、ベローズ60が収縮して、弁体62が絞り部64を最大開度で開口する。これにより、制御圧力室65の制御圧力Pcが上昇して、吐出圧Pdと等しくなるので、クランク室34の圧力が吐出圧Pdと等しくなって、圧縮機の容量は最小(5%)となる。
【0099】
そして、吐出圧Pdが上記の第1所定値と第2所定値との間にあるときは、吐出圧Pdの上昇に応じて絞り部64の開度を弁体62の変位により連続的に増大させることにより、圧縮機10の容量が連続的に減少するように調整される。図6(b)は暖房モード時における圧縮機10の容量制御と吐出圧Pdとの関係を示す。
【0100】
なお、図3の容量可変機構10aは、以上の説明から理解されるように、本例では斜板31、冷房モード用の電磁式圧力制御装置38、暖房モード用の圧力制御装置52および電磁切替弁53の組み合わせにより構成されている。
【0101】
次に、図7は図2に対応するフローチャートで、上記のごとき可変容量型圧縮機10を備えた冷凍サイクルにおける暖房モード時の蒸発器温度の制御例を示す。上述したように、第2実施形態では圧縮機10の容量制御により暖房モード時の吐出圧Pdを制御できるから、図2のステップS160、S200、S240、S260による吐出圧Pdに応じた電磁クラッチ11(圧縮機10)の断続制御が不要となる。
【0102】
図7において、図2と異なる制御はステップS180a(図2のステップS180に対応)、およびステップS210a(図2のステップS210に対応)による電磁クラッチ11(圧縮機10)の断続制御の部分であるので、以下この部分の制御について説明すると、ステップS170にて外気温が0°C以上であるときは、ステップS180aにて実際の蒸発器温度(蒸発器吹出温度)と外気温に基づいて設定された第1、第2設定温度T1 、T2 との大小を比較する。
【0103】
ここで、具体的には、第1設定温度T1 =外気温+3°Cで、また、第2設定温度T2 =外気温+5°Cであり、第1、第2設定温度T1 、T2 は外気温に微小の所定温度を加えた関係にある。
【0104】
そして、実際の蒸発器温度が第2設定温度T2 より高くなると、ステップS180aではOFFと判定し、ステップS200に進み、電磁クラッチ11をOFFし、圧縮機10を停止させる。
【0105】
この圧縮機10停止により蒸発器温度が低下して第1設定温度T1 より低下すると、ステップS180aではONと判定し、ステップS190に進み、電磁クラッチ11をONし、圧縮機10を作動させる。
【0106】
このように、圧縮機10の作動を断続することにより、蒸発器温度を上記第1、第2設定温度T1 、T2 の間に維持できる。
【0107】
また、ステップS170にて外気温が0°Cより低いときは、ステップS210aに進み、実際の蒸発器温度(蒸発器吹出温度)と外気温に基づいて設定された第3、第4設定温度T3 、T4 との大小を比較する。
【0108】
ここで、具体的には、第3設定温度T3 =−2°Cで、また、第4設定温度T4 =0°Cであり、第3、第4設定温度T3 、T4 はともに0°C以下の値である。
【0109】
そして、実際の蒸発器温度が第4設定温度T4 より高くなると、ステップS210aではOFFと判定し、ステップS230に進み、電磁クラッチ11をOFFし、圧縮機10を停止させる。
【0110】
この圧縮機10停止により蒸発器温度が低下して第3設定温度T3 より低下すると、ステップS210aではONと判定し、ステップS220に進み、電磁クラッチ11をONし、圧縮機10を作動させる。
【0111】
このように、圧縮機10の作動を断続することにより、蒸発器温度を0°C以下の第3、第4設定温度T3 、T4 の間に維持できる。以上のごとく暖房モード時の蒸発器温度を制御することにより、第2実施形態においても、第1実施形態と同様に窓ガラスの曇り発生を防止できる。
【0112】
なお、上記第1、第2設定温度T1 、T2 の間の温度差および第3、第4設定温度T3 、T4 の間の温度差は、圧縮機10の頻繁な断続を防止するためのヒステリシスである。ここで、このようなヒステリシスを設ける代わりに、例えば、電磁クラッチ11のON信号、あるいはOFF信号が出たら、タイマーにより所定時間は電磁クラッチ11のON状態あるいはOFF状態を保持し、その後に、電磁クラッチ11をOFF状態あるいはON状態に復帰させるようにしてもよい。
【0113】
また、第2実施形態では可変容量型圧縮機10を用いているので、ステップS140にてホットガスヒータサイクルによる暖房モードを設定するときに、電磁切替弁53をON状態にして暖房モード用圧力制御装置52により圧縮機10の容量制御を行う状態にする。一方、ステップS270にてホットガスヒータサイクルによる暖房モードを停止するときは、電磁切替弁53をOFF状態にして冷房モード用圧力制御装置38により圧縮機10の容量制御を行う状態にする。
【0114】
(第3実施形態)
上記した第1、第2実施形態では、ホットガスヒータサイクルによる暖房モードの運転時には、常に、蒸発器18の温度が所定温度以下となるように圧縮機10の作動を制御することにより、窓ガラスの曇り発生を防止しているが、その反面、蒸発器温度の制御を常に行うので、窓ガラスの曇りが発生しない条件の下でもホットガス暖房運転を制限することになり、ホットガス暖房の最大性能を発揮できないという不具合がある。
【0115】
すなわち、蒸発器18には常に凝縮水が付着している訳ではなく、冷房運転を長期間行っていない場合には蒸発器18に凝縮水が付着していない。また、蒸発器18に凝縮水が付着していても、窓ガラス温度が高いとき等には窓ガラスの曇りが発生しない。このように、窓ガラスの曇りが発生しない条件にあるときには、ホットガス暖房運転の制限を行わない方が暖房性能向上のために好ましい。
【0116】
第3実施形態は上記点に鑑みて、ホットガス暖房運転時に窓ガラスが曇るかどうかを判定する曇り判定手段を設けて、窓ガラスが曇ると判定されたときだけ、蒸発器18の温度が所定温度以下となるように蒸発器温度の制御を行い、これに対し、窓ガラスが曇らないと判定されたときは、蒸発器温度の制御(ホットガス暖房運転の制限)を行わないようにしている。
【0117】
図8は第3実施形態による固定容量型の圧縮機10を用いた場合の制御例を示すフローチャートであり、図2に対応しており、同一のステップには同一符号を付して説明を省略する。図8において、ホットガス暖房運転を実行するステップS140の次に曇り判定手段を構成するステップS300を設けている。
【0118】
窓ガラスの温度が低くなる程、車室内空気が窓ガラスに触れたときに露点温度に達する絶対湿度が小さくなり、曇りやすくなる。このことから、窓ガラスの温度の高低に基づいて窓ガラスが曇るかどうかを判定することができる。
【0119】
車両用空調装置では、温水式熱交換器24に導入されるエンジン水温により車室内への吹出空気温度(デフロスタ吹出空気温度)が変動するので、エンジン水温と窓ガラスの温度との間には相関関係がある。ここで、窓ガラスの温度は外気温の影響も受けるので、本例では、エンジン水温TWと外気温TAMとの差(TW−TAM)に基づいて窓ガラスの温度を推定するようにしている。
【0120】
具体的には、ステップS300において、TW−TAMが所定値(本例では、40℃)以下であるか判定し、所定値以下のときは窓ガラスの温度が低いため、窓ガラスが曇ると判定する。逆に、TW−TAMが所定値より大きいときは窓ガラスの温度が高いため、窓ガラスが曇らないと判定する。
【0121】
ステップS300の判定がYESのとき(窓ガラスが曇ると判定されたとき)は、ステップS150に進み、以後、図2と同様に、蒸発器18の温度が所定温度以下となるように蒸発器温度の制御を行う。
【0122】
これに対し、ステップS300の判定がNOのとき(窓ガラスが曇らないと判定されたとき)は、ステップS310〜S370による圧縮機吐出圧Pdの制御を行うだけで、蒸発器温度の制御(ホットガス暖房運転の制限)を行わない。
【0123】
従って、ホットガス暖房を最大性能で運転することができ、車室内暖房効果の立ち上がりを早めることができる。なお、ステップS310〜S370による圧縮機吐出圧Pdの制御は、ステップS160、S240の判定結果に基づく圧縮機断続制御と同様であるので、具体的説明は省略する。
【0124】
(第4実施形態)
上記した第3実施形態では、エンジン水温TWと外気温TAMとの差(TW−TAM)に基づいて窓ガラスの温度を推定して、窓ガラスが曇るかどうか判定するようにしているが、エンジン水温TWだけでも多少精度が低下するものの、窓ガラスの温度を推定できる。
【0125】
そこで、第4実施形態では、図9に示すように、ステップS300において、エンジン水温TWが所定値(本例では、40℃)以下であるか判定することにより、窓ガラスが曇るかどうか判定している。
【0126】
さらに、第4実施形態の変形として、外気温TAMだけに基づいて窓ガラスの温度を推定して、窓ガラスが曇るかどうか判定してもよい。すなわち、ステップS300において、外気温TAMが所定値以下であるか判定することにより、窓ガラスが曇るかどうか判定してもよい。
【0127】
(第5実施形態)
図10は第5実施形態であり、第5実施形態は図4に示すような可変容量型圧縮機10を用いた場合の制御に関する。そのため、図10の制御例では圧縮機吐出圧Pdの制御のための電磁クラッチ11のオンオフ制御(圧縮機断続制御)が不要となる。
【0128】
すなわち、ステップS300の判定がNOのとき(窓ガラスが曇らないと判定されたとき)は、ステップS260に進み、電磁クラッチ11をオンして、圧縮機10を作動状態のままにする。図8のステップS310〜S370による圧縮機吐出圧Pdの制御、および蒸発器温度の制御(ホットガス暖房運転の制限)を行わない。
【0129】
一方、ステップS300の判定がYESのとき(窓ガラスが曇ると判定されたとき)は、ステップS170に進み、以後、図2と同様に、蒸発器18の温度が所定温度以下となるように蒸発器温度の制御を行う。
【0130】
なお、第5実施形態は可変容量型圧縮機10を用いているため、ステップS140、S270では図7と同様に電磁切替弁53のON,OFFを行う。
【0131】
(第6実施形態)
図11は第6実施形態であり、上記した各実施形態ではホットガス暖房運転の制限を行うときに、蒸発器18の制御温度を外気温だけに基づいて決定しているが、第6実施形態では図11に示すように、外気温とエンジン水温TWの両方に基づいて決定するようにしている。
【0132】
前述したように、エンジン水温TWが高くなれば、車室内への吹出空気温度が高くなって、窓ガラスの温度も高くなり、窓ガラスが曇りにくくなる。そこで、図11の制御特性(マップ)では、外気温の上昇だけでなく、エンジン水温TWの上昇によっても、蒸発器18の制御温度を高めることにより、ホットガス暖房性能を向上させるようにしている。
【0133】
なお、図11の制御例では、エンジン水温TWが50℃を越えると、蒸発器温度の制御(ホットガス暖房運転の制限)を行わないようにしている。
【0134】
(第7実施形態)
図12〜図14は第7実施形態であり、図12は第7実施形態の全体システムを示しており、図1、3と同等部分には同一符号を付して、その説明を省略する。図12では逆止弁17を温度式膨張弁16の上流側に配置している。
【0135】
第7実施形態による車両用空調装置も、暖房用主熱源であるエンジン(内燃機関)12を搭載する自動車の車室内を空調する空調ユニット1における各空調手段(アクチュエータ)をECU26によって制御するように構成されている。
【0136】
車室内に空調風を導く空気通路をなす空調ケース(空調ダクト)22において、その最も空気上流側には、車室外空気(以下外気と呼ぶ)を吸い込むための外気吸込口70、車室内空気(以下内気と呼ぶ)を吸い込むための内気吸込口71、および内外気切替ドア72が設けられている。
【0137】
なお、内外気切替ドア72は、図示しないリンク機構を介してサーボモータ等のアクチュエータにより駆動されて、少なくとも外気吸込口70から外気を吸い込む外気導入(FRS)モードと内気吸込口71から内気を吸い込む内気循環(REC)モードとを切り替える内外気切替手段を構成する。
【0138】
一方、空調ケース22の最も空気下流側には、車両フロント窓ガラスの内面に向けて空調風(主に温風)を吹き出すためのデフロスタ(DEF)吹出口73、車両乗員の頭胸部(身体)に向けて空調風(主に冷風)を吹き出すためのフェイス(FACE)吹出口74、車両乗員の足元部(身体)に向けて空調風(主に温風)を吹き出すためのフット(FOOT)吹出口75、およびこれらの各吹出口を選択的に開閉する複数個のモード切替ドア76〜78が回動可能に設けられている。
【0139】
なお、このモード切替ドア76〜78は、図示しないリンク機構を介してサーボモータ等のアクチュエータにより駆動される吹出口切替手段を構成する。このモード切替ドア76〜78により、FACE吹出口74のみを開放するフェイス(FACE)モードと、FACE吹出口74とFOOT吹出口75の両方を開放するバイレベル(B/L)モードと、FOOT吹出口75のみを開放するフット(FOOT)モードと、FOOT吹出口75とDEF吹出口73を両方とも開放するフットデフ(F/D)モードと、DEF吹出口73のみを開放するデフロスタ(DEF)モードとを切り替えることができる。
【0140】
内外気切替ドア72よりも空気下流側位置する送風機23は、図示の簡略化のために軸流式で示しているが、実際は、遠心式ファンを持つ送風機であり、この遠心式送風機23はブロワ駆動回路により制御されるブロワモータ23aにより回転駆動される。なお、本実施形態の遠心式送風機23の送風量は、ブロワモータ23aに印加するブロワ制御電圧を調整することにより、0段階(OFF)から32段階まで連続的または段階的に切り替え可能になっている。
【0141】
次に、蒸発器18を通過した空気を再加熱する温水式熱交換器24および温水弁25は、エンジン12により駆動されるウォータポンプ(図示せず)により温水(冷却水)が循環する冷却水循環回路79の途中に設置され、これらのエンジン12、温水式熱交換器24、冷却水循環回路79および温水弁25によって温水式暖房装置(主暖房装置)80が構成される。
【0142】
温水弁25は冷房モードの最大冷房時には閉弁するが、それ以外の時には温水弁25は常に開弁する。そして、温水弁25の開度の調整により温水式熱交換器24への温水流量を調整して車室内へに吹出温度を調整できる。
【0143】
次に、冷凍サイクルにおいて、通常の冷房用の冷凍サイクルCと、暖房用のホットガスヒータサイクルHとを第1、第2電磁弁(冷媒循環回路切替手段)13、21により切替可能になっているのは図1、3と同じである。
【0144】
空調ユニット1における各空調手段を制御するエアコンECU26には、車室内前面に設けられた空調操作パネル28上の各種操作スイッチからのスイッチ操作信号が入力される。なお、空調操作パネル28には、冷凍サイクルの圧縮機10の起動または停止を指令するエアコンスイッチ29aが設置されており、このエアコンスイッチ29aは冷房モードを設定する冷房スイッチの役割を果たす。
【0145】
更に、空調操作パネル28には、ホットガスヒータサイクルによる暖房モードを設定するホットガス暖房スイッチ29b、空調の吹出モードを切り替える吹出モード切替スイッチ29c、車室内の温度を所望の温度に設定する温度設定スイッチ(温度設定手段)29d、送風機23のオン、オフおよび風量切替を指令するブロワスイッチ29e、外気導入(FRS)モードと内気循環(REC)モードの切替を指令する内外気切替スイッチ29f等が設置されている。
【0146】
また、エアコンECU26の内部には、CPU、ROM、RAM等からなる周知のマイクロコンピュータが設けられ、各センサからの各センサ信号が図示しない入力回路によってA/D変換された後に、マイクロコンピュータへ入力されるように構成されている。なお、エアコンECU26は、自動車のエンジン12の始動および停止を司るイグニッションスイッチ(キースイッチ)が投入(IG・ON)されたときに、自動車に搭載された車載電源であるバッテリ(図示せず)から直流電源が供給されると制御処理を開始するように構成されている。
【0147】
そして、エアコンECU26には、温水式熱交換器24に流入する冷却水温度を検出する冷却水温度センサ(冷却水温度検出手段)27a、外気温度センサ(外気温度検出手段)27b、蒸発器18を通過した直後の空気温度を検出する蒸発器吹出温度センサ27c、冷凍サイクルの高圧圧力(吐出圧力:Pd)を検出する冷媒圧力センサ(高圧圧力検出手段)27d、車室内の空気温度(以下内気温度と言う)を検出する内気温度センサ(内気温度検出手段)27e、車室内に入射する日射量を検出する日射センサ(日射量検出手段)27f等からセンサ信号が入力される。
【0148】
なお、上記の各センサは、自動車の車室内を空調するのに必要な空調環境因子を検出するもので、上記の各温度センサ27a〜27c,27eにはサーミスタが使用されている。
【0149】
次に、第7実施形態の作動を図14により説明する。図14はエアコンECU26による制御方法を示したフローチャートである。イグニッションスイッチが投入(IG・ON)されてエンジン12が始動されると共に、エアコンECU26に直流電源が供給されて、図14のルーチンが起動される(ステップS1)。先ず、フラグI=0等の初期設定を行う(ステップS2)。
【0150】
次に、空調操作パネル28上の各スイッチから各スイッチ信号を読み込む(ステップS3)。具体的には、エアコンスイッチ29a、ホットガス暖房スイッチ29bのON信号またはOFF信号等を読み込む。次に、冷却水温度センサ27aにて検出される冷却水温度(TW)等の各種センサ信号を読み込む(ステップS4)。
【0151】
次に、冷凍サイクルが冷房モードであるか否かを判定する。すなわち、エアコンスイッチ29aにより冷房モードが設定されているか否かを判定する(冷房モード判定手段:ステップS5)。この判定結果がYESの場合、つまり冷凍サイクルが冷房モードである場合には、電磁クラッチ11を通電(ON)して圧縮機10を起動し、第1電磁弁13を開弁し、第2電磁弁21を閉弁して、通常の冷房用冷凍サイクルCにより冷房モードを実行(ON)する(冷房モード制御手段:ステップS6)。次に、冷房運転フラグを立てる(I=1)(ステップS7)。その後に、ステップS3の制御処理に戻る。
【0152】
また、ステップS5の判定結果がNOの場合、つまり、冷凍サイクルが冷房モード状態に設定されていないときは、次に、ホットガス暖房モードに設定されているか否かを判定する(ステップS8)。具体的には、ホットガススイッチ29bが投入(ON)されているか否かを判定する。この判定結果がNOの場合には、ホットガスヒータサイクルHによる暖房運転を停止(OFF)する。すなわち、電磁クラッチ11への通電を停止(OFF)して圧縮機10を自動停止させ、第1電磁弁13および第2電磁弁21を閉弁する(暖房モード制御手段:ステップS9)。その後に、ステップS3の制御処理に戻る。
【0153】
また、ホットガススイッチ29bが投入(ON)されている場合は、ステップS8の判定結果がYESとなり、温水式暖房装置80の温水式熱交換器24による車室内の暖房能力が不足しているか否かを判定する。具体的には、エンジン12の冷却水温度(TW)が所定温度(例えば80℃)以下であるか否かを判定する(冷却水温度判定手段:ステップ10)。この判定結果がNOの場合には、車室内の暖房能力が不足していないので、ステップS9の制御処理に進む。
【0154】
また、ステップS10の判定結果がYESの場合には、フロント(サイド)窓ガラスの内面が曇る状態であるか否かを判断する。具体的には、イグニッションスイッチが投入(IG・ON)されてから1度も冷房モードを行っていないか否かを判定する。すなわち、冷房モードフラグが倒れている(I=0)か否かを判定する(窓曇り判定手段:ステップS11)。
【0155】
この判定結果がNOの場合、すなわち、フラグI=1であるときは、イグニッションスイッチ投入後(エンジン始動後)に冷房モードが既に行われているので、凝縮水の蒸発によりフロント(サイド)窓ガラスの内面が曇ると判断して、ステップS9の制御処理に進み、ホットガスヒータサイクルHの作動を停止(または制限)させる。
【0156】
また、ステップS11の判定結果がYESの場合には、イグニッションスイッチ投入後(エンジン始動後)に冷房モードが一度も行われていないので、フロント(サイド)窓ガラスの内面が曇らない状態であると判定して、ステップS12に進み、電磁クラッチ11を通電(ON)して圧縮機10を起動し、第1電磁弁13を閉弁し、第2電磁弁21を開弁することにより、ホットガスヒータサイクルHによる暖房モードを実行(ON)する。すなわち、ステップS12は、暖房モード制御手段を構成する。その後に、ステップS3の制御処理に戻る。
【0157】
次に、第7実施形態の作用効果を説明する。
【0158】
(A)冷房モードの時
冷凍サイクルの運転モードが冷房モードである時には、電磁クラッチ11がONされ、第1電磁弁13が開弁し、第2電磁弁21が閉弁する。したがって、圧縮機10より吐出された高温、高圧のガス冷媒は、通常の冷房用冷凍サイクルCを還流して蒸発器18内に流入する。これにより、蒸発器18が冷房用の冷却器として作動する。このため、空調ケース22内に吸い込まれた空気が、蒸発器18で低温、低圧の冷媒と熱交換して冷却されて冷風となり、車室内に吹き出される。これにより、車室内が冷房される。
【0159】
(B)暖房モードの時
冷凍サイクルの運転モードがホットガス暖房モードである時には、ホットガススイッチ99がONされ、冷却水温度(TW)が所定温度(例えば80℃)以下で温水式暖房装置80の暖房能力が不足しており、更に、窓ガラスの内面が曇らない状態である場合に、電磁クラッチ11がONされ、第1電磁弁13が閉弁し、第2電磁弁21が開弁する。
【0160】
したがって、圧縮機10より吐出された高温、高圧のガス冷媒は、ホットガスヒータサイクルHを還流して蒸発器18内に流入する。これにより、蒸発器18が放熱器として作動する。また、エンジン12の排熱を吸収した冷却水は、冷却水循環回路79を還流して温水式熱交換器24内に流入する。このため、空調ケース22内に吸い込まれた空気が、蒸発器18で高温のガス冷媒と熱交換して加熱され、更に温水式熱交換器24で高温の冷却水と熱交換して更に加熱されて温風となり、車室内に吹き出される。これにより、車室内が暖房される。
【0161】
なお、イグニッションスイッチをONしてエンジン12を始動してからエンジン12を停止するまでの間に一度でも冷房モードでの空調が行われた場合には、フロント窓ガラスの内面が曇り易くなる状態であると判断する。ここで、冷房モードでの空調とは、例えばエアコン(A/C)スイッチ29aをONして所定時間(例えば1分間)以上圧縮機10が作動した場合を言う。
【0162】
ここで、例えば0℃以下の低外気温時であっても、車室内を除湿する目的で蒸発器18を冷却器として作動させる冷房モードを一度行ってから、蒸発器18を放熱器として作動させるヒータモードへ切り替える場合、すなわち、冷凍サイクルを、通常の冷房用冷凍サイクルCからホットガスヒータサイクルHに切り替える場合が考えられる。
【0163】
このような場合に、冷却器としての作動時に蒸発器18の表面に付着した水分が再蒸発し、大量に水分を含んだ空気が車室内に吹き出されることにより、フロント(サイド)窓ガラスの内面を曇らせる恐れがある。また、一度、蒸発器18の表面に付着した水分は、0℃以下の低外気温時に蒸発し難く、長期間蒸発器18の表面に残留するため、蒸発器18を冷房モードから暖房モードへ切り替えると、フロント窓ガラスの内面が曇る可能性がある。
【0164】
そこで、本実施形態では、エンジン12を始動(ON)してからエンジン12を停止(OFF)するまでの間に一度でも通常の冷凍サイクル21による冷房(除湿)運転を行ったら、ホットガススイッチ29bにより暖房モードが設定されても、ホットガスヒータサイクルHによる暖房モード運転(補助暖房運転)を起動しない。
【0165】
それによって、蒸発器18の表面に長期間残留する凝縮水の蒸発による水分を含んだ空気が大量に車室内に吹き出されることを防止することができ、フロント(サイド)窓ガラスの内面の防曇性能を高めることができる。
【0166】
なお、ホットガスヒータサイクルHによる暖房モード運転の停止により、車室内は温水式暖房装置80の温水式熱交換器24による暖房能力のみで暖房されることになる。
【0167】
次に、窓ガラスが曇る状態の判定手段およびホットガスヒータサイクルHによる暖房モード運転の制限手段の他の例について説明する。
【0168】
1)車室内へ吹き出される空調風の吹出温度(Ta)を検出する吹出温度センサを設置し、車室内に吹き出す空調風(温風)の吹出温度が所定温度以上に上昇するまでは、DEF吹出口73から窓ガラスの内面に向けて吹き出される空調風の吹出温度も低く、窓ガラスの温度が低いので、エアコンECU26にて窓ガラスの内面が曇ると判断する。
【0169】
ここで、車室内に吹き出す空調風(温風)の吹出温度は、冷却水温度センサ27aにより検出される冷却水温度TWと相関関係があるので、冷却水温度が所定温度以上に上昇するまで窓ガラスの内面が曇ると判断してもよい。このような考えに基づく具体的制御例を以下に説明する。
【0170】
▲1▼例えば、図15の特性図に示すように、DEF吹出口73からフロント窓ガラスの内面に向けて吹き出される空調風の吹出温度Taと外気温度TAMとの温度差が所定値(例えば、30℃〜40℃)よりも小さい場合、あるいは冷却水温度TWと外気温度TAMとの温度差が所定値(例えば、50℃〜60℃)よりも小さい場合にはフロント窓ガラスの内面が曇ると判断して、FOOT吹出口75のみを開放し、DEF吹出口73を閉塞するFOOTモードを選択する。
【0171】
すなわち、DEF吹出口73のみを開放するDEFモード、およびFOOT吹出口75とDEF吹出口73を両方とも開放するF/Dモードを選択しないことにより、ホットガス暖房モード運転の制限を行う。
【0172】
なお、空調風の吹出温度Taと外気温度TAMとの温度差(あるいは冷却水温度TWと外気温度TAMとの温度差)が所定値以上になったら、吹出口切替ドア76〜78を制御してF/Dモードに切り替えることで、ホットガス暖房モード運転の制限を解除する。
【0173】
ここで、窓ガラスが曇る状態の判定のために、DEF吹出口73から吹き出される空調風の吹出温度Ta(あるいは冷却水温度TW)と外気温度TAMとの温度差を利用したが、吹出温度Taあるいは冷却水温度TWはそれぞれ窓ガラス温度と相関があるから、吹出温度Taあるいは冷却水温度TWのみに基づいて窓ガラスが曇る状態を判定してもよい。また、外気温度TAMのみに基づいて窓ガラスが曇る状態を判定してもよい。
【0174】
また、FOOTモードの時にDEF吹出口73から少量の空調風を吹き出させるようにする場合には、FACEモードやB/Lモードを選択することで、ホットガス暖房モード運転の制限を行ってもよい。
【0175】
▲2▼次に、他の例として、図16の特性図に示すように、冷却水温度TWと外気温度TAMとの温度差が所定値(例えば50℃〜60℃)よりも小さい場合には、フロント窓ガラスが曇ると判断して、内外気切替ドア72を制御して吸込口モードを内気循環(REC)モードに切り替え、かつ、ブロワモータ23aをOFFして送風機23の作動を停止することで、ホットガス暖房モード運転を制限する。
【0176】
このような制御により、車両が走行しても、走行動圧による風が蒸発器18を通過せず、窓ガラスの曇りを防止できる。
【0177】
そして、冷却水温度TWと外気温度TAMとの温度差が所定値以上になったら、吸込口モードを外気導入(FRS)モードに設定し、ブロワモータ23aをONして送風機23を起動させることで、ホットガス暖房モード運転の制限を解除する。
【0178】
ここで、窓ガラスが曇る状態の判定のために、冷却水温度TWと外気温度TAMとの温度差を利用したが、この場合も、冷却水温度TWのみ、外気温度TAMのみ、吹出温度Taのみに基づいて窓ガラスが曇る状態を判定しても良い。
【0179】
▲3▼次に、図17の特性図に示すように、車室内へ吹き出される空調風(DEF吹出口73からフロント窓ガラスの内面に向けて吹き出される空調風)の吹出温度Ta(冷却水温度TWでも可)と外気温度TAMとの温度差が所定値(例えば30℃〜40℃)よりも小さい場合には、フロント窓ガラスの内面が曇ると判断して、圧縮機10をOFFすることで、ホットガス暖房モード運転を停止(OFF)する。
【0180】
なお、空調風の吹出温度Ta(冷却水温度TWでも可)と外気温度TAMとの温度差が所定値以上になったら、圧縮機10をONすることで、ホットガス暖房モード運転を実施(ON)する。
【0181】
ここで、窓ガラスが曇る状態の判定のために、車室内へ吹き出される空調風の吹出温度Ta(冷却水温度TWでも可)と外気温度TAMとの温度差を利用したが、吹出温度Taのみ、冷却水温度TWのみ、外気温度TAMのみに基づいて窓ガラスが曇る状態を判定しても良い。
【0182】
2)前述の図14のフローチャートでは、エンジン12を始動してからエンジン12を停止するまでの間に一度でも通常の冷房用冷凍サイクルCによる冷房(除湿)モード運転、つまり蒸発器18を冷却器として作動させた場合に、エアコンECU26はフロント窓ガラスの内面が曇ると判断し、そのときの具体的制御例として、エンジン12をOFF(イグニッションスイッチをOFF)するまで、ホットガス暖房モード運転を停止するようにしているが、暖房モード運転の制限の手段として、上記1)における▲1▼、▲2▼の手段を採用してもよい。
【0183】
3)図18は、窓ガラスが曇る状態を判定する別の手段を示す特性図(制御マップ)であり、図18の横軸は冷房モードの作動が停止してからのエンジン作動時間tである。この時間tは冷房モード停止後の経過時間であって、冷房モードの作動履歴を示すものである。
【0184】
エアコンECU26は外気温度TAMと冷房モード停止後のエンジン作動時間(経過時間)tとから、窓ガラスが曇る状態を判定する。すなわち、外気温度TAMが高いほど冷房モード時に凝縮水の発生量が増加するので、冷房モード停止後に暖房モードを起動すると、外気温度TAMが高いほど水分の蒸発量が増加して窓ガラスが曇りやすくなる。
【0185】
その結果、図18に示すように、外気温度TAMが高くなるほど、窓ガラスの曇り推定領域Xの範囲が冷房モード停止後のエンジン作動時間tに対して広がる特性となる。そして、図18の例では、エアコンECU26は外気温度TAMと冷房モード停止後のエンジン作動時間tとにより、冷房モード停止後の状態が図18の窓ガラスの曇り推定領域Xの範囲内に入るか否かを判定し、領域Xの範囲内に入る時は圧縮機10を起動せず、ホットガスヒータサイクルHを停止(OFF)したままとする。
【0186】
これに対し、冷房モード停止後の状態が図18の曇り推定領域Xの範囲外、すなわち、領域Y内に入る時は、圧縮機10を起動し、電磁弁13を閉弁、電磁弁21を開弁して、ホットガスヒータサイクルHを作動(ON)させる。
【0187】
このように、外気温度TAMと冷房モード停止後のエンジン作動時間tにより決定される曇り推定領域Xに基づいて、ホットガスヒータサイクルHの作動(ON)、停止(OFF)を制御することができる。
【0188】
なお、冷房モード時における凝縮水の発生量は、最後(前回)の冷房モードの運転時間が短いほど減少するので、冷房モードの運転時間が短いほど図18の曇り推定領域Xの境界線を、冷房モード停止後のエンジン作動時間tに対して、短時間の方へ補正してもよい。
【0189】
なお、図18の例では、曇り推定領域Xに基づいて、ホットガスヒータサイクルHの作動(ON)、停止(OFF)を制御しているが、ホットガスヒータサイクルHの作動停止の代わりに、暖房モード運転の制限の手段として、前述の1)における▲1▼、▲2▼の手段を採用してもよいことはもちろんである。
【0190】
4)乗員が空調操作パネル28の吹出モード切替スイッチ29cのデフロスタ(DEF)スイッチを押して、吹出口モードをDEFモードに固定する指令信号を出した場合(乗員が窓ガラスの曇りを認識した場合)には、エアコンECU26にてフロント窓ガラスの内面が曇る状態であると判定する。このように判定した場合には、ホットガスヒータサイクルHによる暖房モード運転を直ちに停止(OFF)する。また、ホットガス暖房モード運転の起動前であれば、暖房モード運転を起動しない。
【0191】
5)フロント窓ガラスの内面付近に湿度センサを設置し、フロント窓ガラスの内面付近の湿度が100%近くの値(例えば90%)になった時に、エアコンECU26にてフロント窓ガラスの内面が曇る状態であると判定してもよい。
【0192】
なお、フロント窓ガラスの内面付近の空気の湿度は、蒸発器18の吹出温度TEとフロント窓ガラスの温度とから推定しても良い。ここで、窓ガラスの温度は専用のセンサで検出せずに、外気温度、車両走行条件等から推定することもできる。
【0193】
6)フロント(サイド)窓ガラス付近に温度センサを設置し、フロント窓ガラスの温度(内側表面温度)を検出してフロント窓ガラスの温度が所定温度よりも低い時に、エアコンECU26にてフロント窓ガラスの内面が曇ると判定してもよい。なお、フロント窓ガラスの温度は、外気温度、車両走行条件(車速)、遠心式ファン13の送風量(ブロワモータに印加するブロワ制御電圧)、DEF吹出口73から吹き出される空調風の吹出温度から推定しても良い。
【0194】
なお、上記4)、5)、6)の手段にて窓ガラスが曇る状態を判定した場合も、ホットガスヒータサイクルHによる暖房モード運転の制限は前述した他の例と同様に、ホットガスヒータサイクルHの作動停止、前述の1)における▲1▼、▲2▼の手段等を行えばよいので、その説明は省略する。
【0195】
〔第7実施形態の効果〕
以上のように、第7実施形態の車両用空調装置は、エアコンECU26にて窓ガラスが曇る状態(曇り易い状態)であると判定した場合には、ホットガス暖房スイッチ29bが車両乗員により押されていても、ホットガスヒータサイクルHによる暖房モード運転の実施を制限するようにしている。
【0196】
それによって、エンジン12始動後に一度でも通常の冷房用冷凍サイクルCによる冷房(除湿)モード運転を実施することで蒸発器18の表面に付着した凝縮水が再蒸発することを防止したり、あるいは、大量に水分を含んだ高湿度空気が窓ガラスに向けて吹き出すことを防止できるので、暖房モード運転時に高湿度空気の吹出に起因する、フロント(サイド)窓ガラスの内面の曇りの発生を抑えることができる。
【0197】
(他の実施形態)
▲1▼上記した実施形態における第1、第2の2つの電磁弁13、20を複数通路の切替機能を一体化した1つの弁装置に置換することも可能である。
【0198】
▲2▼上記した実施形態では、暖房スイッチとして、乗員より手動操作される専用スイッチを空調制御パネルに備える場合について説明したが、このような手動操作の専用スイッチを設けずに、他のスイッチ手段に置換することも可能である。例えば、車両エンジン12のアイドルアップを行う暖機用手動スイッチが車両側に備えられている場合は、このエンジン暖機用手動スイッチの投入に連動して、ホットガスヒータサイクルによる暖房モードを起動するようにしてもよい。
【0199】
▲3▼さらに、エンジン用電子制御装置(図示せず)により車両エンジン12の暖機の必要条件を判定して、車両エンジン12の暖機を自動的に行うようになっている車両においては、エンジン用電子制御装置における暖機信号に基づいてホットガスヒータサイクルによる暖房モードを自動的に起動するようにしてもよい。
【0200】
▲4▼上記した実施形態では、本発明を自動車等の車両用空調装置の冷凍サイクル装置に適用したが、本発明を航空機、船舶または鉄道車両等の空調装置の冷凍サイクル装置に適用しても良い。また、本発明を工場、店舗または住宅等の空調装置の冷凍サイクル装置に適用しても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態の全体構成を示すシステム構成図である。
【図2】第1実施形態による暖房モード時の制御を示すフローチャートである。
【図3】第2実施形態の全体構成を示すシステム構成図である。
【図4】第2実施形態で用いる可変容量型圧縮機の縦断面図である。
【図5】図4の可変容量型圧縮機の容量可変機構の主要部の断面図である。
【図6】図4の可変容量型圧縮機の容量可変の特性図である。
【図7】第2実施形態による暖房モード時の制御を示すフローチャートである。
【図8】第3実施形態による暖房モード時の制御を示すフローチャートである。
【図9】第4実施形態による暖房モード時の制御を示すフローチャートである。
【図10】第5実施形態による暖房モード時の制御を示すフローチャートである。
【図11】第6実施形態による暖房モード時の蒸発器制御温度の決定方法を示す特性図である。
【図12】第7実施形態の全体構成を示すシステム構成図である。
【図13】第7実施形態の電気制御のブロック図である。
【図14】第7実施形態による制御を示すフローチャートである。
【図15】第7実施形態による窓ガラス曇り判定とホットガス暖房モード運転の制限の具体例を示す特性図である。
【図16】第7実施形態による窓ガラス曇り判定とホットガス暖房モード運転の制限の他の例を示す特性図である。
【図17】第7実施形態による窓ガラス曇り判定とホットガス暖房モード運転の制限の他の例を示す特性図である。
【図18】第7実施形態による窓ガラス曇り判定とホットガス暖房モード運転の制限の他の例を示す特性図である。
【符号の説明】
10…圧縮機、10a…容量可変機構、
13、21…第1、第2電磁弁(弁手段)、14…凝縮器、
16…温度式膨張弁(第1減圧装置)、18…蒸発器、
20…ホットガスバイパス通路、21a…絞り(第2減圧装置)、
26…空調用電子制御装置(制御手段)。

Claims (12)

  1. 圧縮機(10)より吐出された冷媒を、室外熱交換器(14)、第1減圧装置(16)および室内熱交換器(18)を通して前記圧縮機(10)に戻すことで、前記室内熱交換器(18)を蒸発器として作動させる冷凍サイクル(C)と、
    前記圧縮機(10)より吐出された冷媒を、前記室外熱交換器(14)を迂回させて、第2減圧装置(21a)および前記室内熱交換器(18)を通して前記圧縮機(10)に戻すことで、前記室内熱交換器(18)を放熱器として作動させるホットガスヒータサイクル(H)とを切替可能に構成し、
    前記室内熱交換器(18)を、室内へ向かって空気が流れる空調ケース(22)内に配置し、前記冷凍サイクル(C)により前記室内熱交換器(18)で冷却された空気を室内へ吹き出すことにより冷房モードを実行し、また、前記ホットガスヒータサイクル(H)により前記室内熱交換器(18)で加熱された空気を室内へ吹き出すことにより暖房モードを実行するようになっており、
    更に、前記暖房モードの運転時の間、常に、前記室内熱交換器(18)の温度が所定温度以下となるように圧縮機(10)の作動を制御する制御手段(26)を備え、
    前記制御手段(26)は、外気温が0°C以下のときは前記室内熱交換器(18)の温度が0°Cとなるように前記圧縮機(10)の作動を制御し、外気温が0°Cより高いときは前記室内熱交換器(18)の温度が外気温と同等になるように前記圧縮機(10)の作動を制御することを特徴とする空調装置。
  2. 圧縮機(10)より吐出された冷媒を、室外熱交換器(14)、第1減圧装置(16)および室内熱交換器(18)を通して前記圧縮機(10)に戻すことで、前記室内熱交換器(18)を蒸発器として作動させる冷凍サイクル(C)と、
    前記圧縮機(10)より吐出された冷媒を、前記室外熱交換器(14)を迂回させて、第2減圧装置(21a)および前記室内熱交換器(18)を通して前記圧縮機(10)に戻すことで、前記室内熱交換器(18)を放熱器として作動させるホットガスヒータサイクル(H)とを切替可能に構成し、
    前記室内熱交換器(18)を、室内へ向かって空気が流れる空調ケース(22)内に配置し、前記冷凍サイクル(C)により前記室内熱交換器(18)で冷却された空気を室内へ吹き出すことにより冷房モードを実行し、また、前記ホットガスヒータサイクル(H)により前記室内熱交換器(18)で加熱された空気を室内へ吹き出すことにより暖房モードを実行するようになっており、
    更に、前記暖房モードの運転時の間、常に、前記室内熱交換器(18)の温度が所定温度以下となるように圧縮機(10)の作動を制御する制御手段(26)を備え、
    前記制御手段(26)は、外気温が0°C以下のときは前記室内熱交換器(18)の温度が0°Cとなるように前記圧縮機(10)の作動を制御し、外気温が0°Cより高いときは前記室内熱交換器(18)の温度が外気温より高い温度となるように前記圧縮機(10)の作動を制御することを特徴とする空調装置。
  3. 圧縮機(10)より吐出された冷媒を、室外熱交換器(14)、第1減圧装置(16)および室内熱交換器(18)を通して前記圧縮機(10)に戻すことで、前記室内熱交換器(18)を蒸発器として作動させる冷凍サイクル(C)と、
    前記圧縮機(10)より吐出された冷媒を、前記室外熱交換器(14)を迂回させて、第2減圧装置(21a)および前記室内熱交換器(18)を通して前記圧縮機(10)に戻すことで、前記室内熱交換器(18)を放熱器として作動させるホットガスヒータサイクル(H)とを切替可能に構成し、
    前記室内熱交換器(18)を、室内へ向かって空気が流れる空調ケース(22)内に配置し、前記冷凍サイクル(C)により前記室内熱交換器(18)で冷却された空気を室内へ吹き出すことにより冷房モードを実行し、また、前記ホットガスヒータサイクル(H)により前記室内熱交換器(18)で加熱された空気を室内へ吹き出すことにより暖房モードを実行するようになっており、
    更に、窓ガラスが曇る状態であるか否かを判定する窓曇り判定手段(S300、S11)、及び前記暖房モードの運転時であって、かつ、前記窓曇り判定手段(S300、S11)により前記窓ガラスが曇ると判定されたときに、前記室内熱交換器(18)の温度が所定温度以下となるように圧縮機(10)の作動を制御する制御手段(26)を備え、
    前記制御手段(26)は、外気温が0°C以下のときは前記室内熱交換器(18)の温度が0°Cとなるように前記圧縮機(10)の作動を制御し、外気温が0°Cより高いときは前記室内熱交換器(18)の温度が外気温と同等になるように前記圧縮機(10)の作動を制御し、
    前記窓曇り判定手段(S300、S11)により前記窓ガラスが曇ると判定されないときは、前記制御手段(26)による前記室内熱交換器(18)の温度制御を禁止することを特徴とする空調装置。
  4. 圧縮機(10)より吐出された冷媒を、室外熱交換器(14)、第1減圧装置(16)および室内熱交換器(18)を通して前記圧縮機(10)に戻すことで、前記室内熱交換器(18)を蒸発器として作動させる冷凍サイクル(C)と、
    前記圧縮機(10)より吐出された冷媒を、前記室外熱交換器(14)を迂回させて、第2減圧装置(21a)および前記室内熱交換器(18)を通して前記圧縮機(10)に戻すことで、前記室内熱交換器(18)を放熱器として作動させるホットガスヒータサイクル(H)とを切替可能に構成し、
    前記室内熱交換器(18)を、室内へ向かって空気が流れる空調ケース(22)内に配置し、前記冷凍サイクル(C)により前記室内熱交換器(18)で冷却された空気を室内へ吹き出すことにより冷房モードを実行し、また、前記ホットガスヒータサイクル(H)により前記室内熱交換器(18)で加熱された空気を室内へ吹き出すことにより暖房モードを実行するようになっており、
    更に、窓ガラスが曇る状態であるか否かを判定する窓曇り判定手段(S300、S11)、及び前記暖房モードの運転時であって、かつ、前記窓曇り判定手段(S300、S11)により前記窓ガラスが曇ると判定されたときに、前記室内熱交換器(18)の温度が所定温度以下となるように圧縮機(10)の作動を制御する制御手段(26)を備え、
    前記制御手段(26)は、外気温が0°C以下のときは前記室内熱交換器(18)の温度が0°Cとなるように前記圧縮機(10)の作動を制御し、外気温が0°Cより高いときは前記室内熱交換器(18)の温度が外気温より高い温度となるように前記圧縮機(10)の作動を制御し、
    前記窓曇り判定手段(S300、S11)により前記窓ガラスが曇ると判定されないときは、前記制御手段(26)による前記室内熱交換器(18)の温度制御を禁止することを特徴とする空調装置。
  5. 前記窓曇り判定手段(S300、S11)は、前記窓ガラスの温度に関連する物理量に基づいて前記窓ガラスが曇る状態であるか否かを判定することを特徴とする請求項3または4に記載の空調装置。
  6. 前記窓曇り判定手段(S300、S11)は、前記室内熱交換器(18)を蒸発器として作動させる冷房モードの作動履歴に基づいて前記窓ガラスが曇る状態であるか否かを判定することを特徴とする請求項3または4に記載の空調装置。
  7. 前記空調ケース(22)の下流側から前記窓ガラスに向けて空気を吹き出すデフロスタモードが設定可能になっており、前記窓曇り判定手段(S300、S11)は、前記空調ケース(22)からの吹出モードが前記デフロスタモードであるときに前記窓ガラスが曇る状態であると判定することを特徴とする請求項3または4に記載の空調装置。
  8. 前記窓曇り判定手段(S300、S11)は、前記窓ガラス付近の室内空気湿度に関連する物理量に基づいて前記窓ガラスが曇る状態であるか否かを判定することを特徴とする請求項3または4に記載の空調装置。
  9. 前記制御手段(26)は、前記圧縮機(10)の作動の断続により前記室内熱交換器(18)の温度を制御することを特徴とする請求項1ないしのいずれか1つに記載の空調装置。
  10. 前記圧縮機(10)は、クラッチ手段(11)を介してエンジン(12)により駆動される固定容量型圧縮機であり、
    前記制御手段(26)は、前記暖房モードの運転時に、前記圧縮機(10)の吐出圧力が所定範囲となるように前記クラッチ手段(11)を断続させて前記圧縮機(10)を断続制御することを特徴とする請求項1ないしのいずれか1つに記載の空調装置。
  11. 前記圧縮機(10)は、吐出容量を可変する容量可変機構(10a)を備える可変容量型圧縮機であり、
    前記暖房モードの運転時に、前記圧縮機(10)の吐出圧力が所定範囲となるように前記容量可変機構(10a)により前記圧縮機(10)の吐出容量を調整することを特徴とする請求項1ないしのいずれか1つに記載の空調装置。
  12. 車両に搭載される空調装置であって、前記圧縮機(10)は車両エンジン(12)により駆動され、前記空調ケース(22)内において、前記室内熱交換器(18)の下流側に前記車両エンジン(12)からの温水を熱源として空気を加熱する温水式熱交換器(24)を配置することを特徴とする請求項1ないし11いずれか1つに記載の空調装置。
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