JP4119622B2 - Coolant composition - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、自動車などの内燃機関の冷却水中に混合され、冷却水の凍結を防止する冷却液組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動車エンジンの冷却水には、アルコール類やグリコール類などの融点降下剤を主成分とする冷却液が添加され、冬季の凍結が防止されている。ところがアルコール類やグリコール類には防錆作用が全くないばかりか、高温で循環中に酸素と接触することにより酸化され、生成した酸化物が冷却水流路を構成する金属の腐食を促進するという不具合がある。
【0003】
そこで冷却液には一般に、リン酸塩,ホウ酸塩,炭酸塩,硫酸塩,硝酸塩,モリブデン酸塩,安息香酸塩,ケイ酸塩,ベンゾトリアゾール,メルカプトベンゾチアゾールのナトリウム塩,トリルトリアゾール,トリエタノールアミン塩などから選ばれる防錆剤が添加され、冷却水に所定量混合された使用時における金属の腐食が防止されている。
【0004】
自動車エンジンのような内燃機関の冷却系には、鋳鉄、鋼、銅合金など種々の金属が用いられているので、冷却液には金属の種類を問わず腐食を防止することが求められている。ところが省資源・省エネルギーの目的でアルミニウム部品が多用されるに伴い、従来の冷却液ではアルミニウム系金属に対する防食性が不十分であることが明らかとなった。
【0005】
例えばホウ酸塩は鋳鉄材質に対しては優れた防食性を有するが、アルミニウム系金属材質に対しては腐食性を有する。またトリエタノールアミンのリン酸塩は、鉄系金属とアルミニウム系金属の両方に対して防食性を有している。しかし亜硝酸塩との共存により反応して毒性のあるニトロソアミンを生成する可能性がある。またアミン塩は、劣化によって鉄に対する防食性が急激に低下するという問題がある。そしてケイ酸塩もアルミニウム系金属に対する防食性を有しているが、長時間の貯蔵又は使用中にゲル化し分離して防食性が低下するという問題がある。
【0006】
そこで特開平1-306492号公報には、アミン類やケイ酸塩の代わりにマグネシウム化合物やメルカプトベンゾチアゾールのナトリウム塩などを防錆剤として用い、さらにpHを6.5 〜9.0 の範囲とした不凍液が開示されている。この不凍液によれば、アルミニウム系金属に対する十分な防食性を有している。
【0007】
しかし上記公報に記載された不凍液では、マグネシウム化合物の添加量が0.001 〜0.08重量%程度と多く、その分他の防錆剤の添加量が制約されたりコストも高いという問題がある。また、エンジンの高出力化に伴い、エンジンによっては金属の表面温度が非常に高くなるものがある。このようなエンジンの冷却水の場合は、マグネシウム化合物などの添加量が多くなると、エンジンヘッド上へのスケール状堆積物量の増大をまねき、エンジン放熱性の低下を引き起こす可能性がある。
【0008】
そこで特開平7-070558号公報には、リン酸塩,ホウ酸塩,硝酸塩,モリブデン酸塩,安息香酸塩,ケイ酸塩,トリアゾール類,チアゾール類,セバシン酸及びオクチル酸から選ばれる少なくとも1種の防錆剤とを含み、さらにカルシウム化合物とマグネシウム化合物をそれぞれ金属元素濃度として0.00005 〜0.02重量%含む冷却液組成物が開示されている。また、さらにポリリン酸及びオリゴマーあるいはポリマー状態のカルボン酸の少なくとも一方を含むことも開示されている。
【0009】
この冷却液組成物によれば、カルシウム化合物とマグネシウム化合物の両方を所定範囲で含むため、理由は不明であるが防錆性が向上する。そして従来のマグネシウム化合物を含むものと比較すると、カルシウム化合物又はマグネシウム化合物の添加量は従来より少量で同等の防錆性能が得られるので、スケール状堆積物の生成が抑制されエンジン放熱性の低下などの問題が生じない。
【0010】
そしてさらにポリリン酸及びオリゴマーあるいはポリマー状態のカルボン酸の少なくとも一方を含むことによって、カルシウム化合物やマグネシウム化合物の添加量をさらに低減することが可能となる。
【0011】
また特開2000−219981号公報には、アミン塩、亜硝酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩及びケイ酸塩を含まない不凍液組成物が開示されている。このような物質を含まないことで、アルミニウム及びアルミニウム合金の黒変を防止することができる。
【0012】
さらに特開平7-173651号公報には、2-ホスホノブタン-1,2,4トリカルボン酸又はその水溶性塩とともに、リン酸塩、硝酸塩、安息香酸塩及びトリアゾール類を含む冷却液組成物が開示されている。この冷却液組成物によれば、特にアルミニウム合金の異種金属との接触腐食及び伝熱面腐食を効果的に防止することができる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
アミン塩はアルミニウム及びアルミニウム合金の腐食を防止する作用がきわめて大きいが、上記したような問題があるために上記従来技術ではアミン塩を除くこととしている。ところがアミン塩を含まない冷却液組成物では、高温時におけるアルミニウム及びアルミニウム合金の防食性に不足し、アルミニウム及びアルミニウム合金に対してアミン塩ほどの防食性が発現されないという不具合があった。
【0014】
また特開平7-173651号公報に開示された冷却液組成物では、一般的な試験においては問題がないものの、 160℃程度の高温域におけるアルミニウム鋳物伝熱面腐食試験では腐食量が多いという不具合がある。
【0015】
さらに特開平7-070558号公報に開示の冷却液組成物では、キャビテーション下におけるアルミニウム及びアルミニウム合金の腐食抑制能力がアミン塩を含む冷却液組成物に比べて低いという不具合があった。
【0016】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、アミン塩を含むことなく高い防食性が発現され、特に高温時におけるアルミニウム及びアルミニウム合金の腐食を抑制できるようにすることを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する本発明の冷却液組成物の特徴は、アルコール類及びグリコール類から選ばれる融点降下剤を主成分とする冷却液組成物であって、組成物 100 重量%あたり、炭素数9〜 12 の脂肪族2塩基酸及びそのアルカリ金属塩の少なくとも一種を3〜8重量%と、リン酸及びそのアルカリ金属塩の少なくとも一種を金属リン換算で 0.01 〜 0.1 重量%と、カルシウム化合物を金属カルシウム換算で 0.0003 〜 0.0024 重量%と、マグネシウム化合物を金属マグネシウム換算で 0.0006 〜 0.0048 重量%と、 2- ホスホノブタン -1,2,4 トリカルボン酸及びそのアルカリ金属塩の少なくとも一種を 0.01 〜 0.05 重量%と、を含むことにある。
【0020】
また上記組成に加えて、さらにアルカリ金属の硝酸塩を0.01〜 0.1重量%、トリアゾール類を0.05〜 1.0重量%、チアゾール類を0.01〜 1.0重量%含むことも好ましい。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明の冷却液組成物は、アルコール類及びグリコール類から選ばれる融点降下剤を主成分とし、炭素数9〜 12 の脂肪族2塩基酸及びそのアルカリ金属塩の少なくとも一種と、リン酸及びそのアルカリ金属塩の少なくとも一種と、カルシウム化合物及びマグネシウム化合物と、2-ホスホノブタン-1,2,4トリカルボン酸及びそのアルカリ金属塩の少なくとも一種とを含んでいる。
【0022】
融点降下剤であるアルコール類及びグリコール類としては、メタノール,エタノール,2−プロパノール,モノエチレングリコール,プロピレングリコールなどを単独で、或いは2種以上混合して用いることができる。
【0023】
リン酸又はそのアルカリ金属塩はアルミニウム及びアルミニウム合金の腐食抑制に大きく寄与し、キャビテーション下におけるアルミニウム防食性が大きく向上する。またカルシウム化合物又はマグネシウム化合物は、高温時におけるアルミニウム及びアルミニウム合金の腐食を大きく抑制する作用をもつ。したがってウォータポンプのアルミハウジングに対するキャビテーション、エロージョン、コロージョンを防止し、高温のアルミニウム鋳物伝熱面防食性が向上する。そして2-ホスホノブタン-1,2,4トリカルボン酸又はそのアルカリ金属塩は、他の成分の溶解性を向上させて貯蔵安定性を向上させ、かつアルミニウム鋳物伝熱面の腐食を抑制する。
【0024】
そしてリン酸及びそのアルカリ金属塩の少なくとも一種と、カルシウム化合物及びマグネシウム化合物と、2-ホスホノブタン-1,2,4トリカルボン酸及びそのアルカリ金属塩の少なくとも一種の4成分を少なくとも配合することによって互いの相乗効果が発現され、特に高温時におけるアルミニウム及びアルミニウム合金の防食性が大きく向上する。
【0025】
リン酸及びそのアルカリ金属塩の少なくとも一種は、組成物 100重量%あたり金属リン換算で0.01〜 0.1重量%含まれる。この量が0.01重量%未満では効果の発現が困難となってキャビテーション下におけるアルミニウム防食性が低下し、 0.1重量%を超えて配合すると黄銅の防食性が低下する。
【0028】
カルシウム化合物は金属カルシウム換算で0.0003〜0.0024重量%の範囲で配合し、マグネシウム化合物は金属マグネシウム換算で0.0006〜0.0048重量%の範囲で配合する。この範囲より少ないと効果が発現せず、この範囲より多く配合しても効果が飽和し他の成分の添加量が制限されるため好ましくない。カルシウム化合物とマグネシウム化合物の混合割合は、金属元素重量比でカルシウム/マグネシウム=1/2が望ましい。
【0029】
このカルシウム化合物及びマグネシウム化合物としては、それぞれ酸化物,水酸化物,過マンガン酸塩,クロム酸塩,フッ化物,ヨウ化物,炭酸塩,硝酸塩,硫酸塩,チタン酸塩,タングステン酸塩,ホウ酸塩,リン酸塩,リン酸二水素塩,蟻酸塩,酢酸塩,プロピオン酸塩,酪酸塩,吉草酸塩,ラウリン酸塩,ステアリン酸塩,オレイン酸塩,グルタミン酸塩,乳酸塩,コハク酸塩,リンゴ酸塩,酒石酸塩,マレイン酸塩,クエン酸塩,シュウ酸塩,マロン酸塩,セバシン酸塩,安息香酸塩,フタル酸塩,サリチル酸塩,マンデル酸塩などを用いることができる。
【0030】
ところで、カルシウム化合物やマグネシウム化合物は、過度の添加により製品コストの上昇を招くとともに、冷却水流路にスケール状の堆積物を形成する恐れがある。そこで本発明の冷却液組成物では、さらに2-ホスホノブタン-1,2,4トリカルボン酸又はそのアルカリ金属塩を含んでいる。これによりカルシウム化合物やマグネシウム化合物の添加量を低減しても、カルシウム化合物やマグネシウム化合物の添加量が多い場合と同等以上の防食性能が得られ、かつ堆積物の形成を防止することができる。
【0031】
2-ホスホノブタン-1,2,4トリカルボン酸及びそのアルカリ金属塩の少なくとも一種は、組成物 100重量%あたり0.01〜0.05 重量%含まれている。この量が0.01重量%未満では効果の発現が困難となり、沈殿が生成して貯蔵安定性が低下したり、アルミニウム鋳物伝熱面の腐食の抑制が困難となる。また0.05 重量%を超えて配合すると、はんだの防食性が不十分となる。
【0032】
本発明の冷却液組成物には、炭素数9〜12の脂肪族2塩基酸及びそのアルカリ金属塩の少なくとも一種を、組成物 100重量%あたり3〜8重量%含む。これにより防食性がさらに向上する。この量が3重量%未満では、アルミニウム鋳物、鋳鉄あるいは鋼に対する防食性が不十分となり、8重量%を超えて配合しても効果が飽和して他の成分の添加量が制限されるため好ましくない。またコストも上昇してしまう。
【0033】
炭素数9〜12の脂肪族2塩基酸としては、セバシン酸、アゼライン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸などを用いることができるが、溶解性及び防食性に優れたセバシン酸が特に好ましい。炭素数が9未満の脂肪族2塩基酸では鉄に対する防食性が低下し、炭素数が13以上では溶解性が低く貯蔵安定性が低下する。
【0034】
また本発明の冷却液組成物には、さらにアルカリ金属の硝酸塩を0.01〜 1.0重量%、トリアゾール類を0.05〜 1.0重量%、チアゾール類を0.01〜 1.0重量%含むことが望ましい。これにより防食性が一層向上する。硝酸塩はアルミニウムの孔食を抑制し、トリアゾール類及びチアゾール類は銅の防食に効果がある。これらはそれぞれ単独で添加してもよいが、この3種を全て含むことがより好ましい。
【0035】
なおアルカリ金属の硝酸塩としては硝酸ナトリウム、硝酸カリウムなどが例示され、トリアゾール類としてはベンゾトリアゾール、トリルトリアゾールなどが例示される。またチアゾール類としては、ベンゾチアゾール、メルカプトベンゾチアゾールナトリウムなどが例示される。
【0036】
さらに本発明の冷却液組成物には、従来の技術の欄に示した問題点から、アミン塩、ホウ酸塩、亜硝酸塩、ケイ酸塩を含まないことが望ましい。
【0037】
本発明の冷却液組成物は、冷却水中に通常20〜60体積%混合されて使用される。したがって上記薬剤は、少なくとも使用時には冷却水に完全に溶解する必要があり、溶解しにくい薬剤は溶解しやすいアルカリ金属塩として配合することが望ましい。アルカリ金属塩としてはNa塩、K塩などが例示される。また貯蔵安定性及び取り扱い性の観点から、冷却液組成物の原液状態で各薬剤は完全に溶解していることが望ましい。したがって本発明の冷却水組成物には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどをさらに添加して溶解性を向上させるとともに、pHを最適に調整することが好ましい。
【0038】
【実施例】
以下、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明する。なお、以下にいう%は特にことわらない限り重量%を意味する。
(実施例1)
表1にも示すように、セバシン酸 3.0%、リン酸0.19%、硝酸カルシウム四水和物0.0071%、硝酸マグネシウム六水和物0.0253%、2-ホスホノブタン-1,2,4トリカルボン酸0.02%、硝酸ナトリウム 0.5%、ベンゾトリアゾール 0.2%、メルカプトベンゾチアゾールナトリウム 0.2%、水酸化カリウム 1.8%、水 4.0%、エチレングリコール残部( 90.0576%)を混合し、実施例1の冷却液組成物とした。
【0039】
(実施例2)
セバシン酸を 5.0%、水酸化カリウムを 2.9%、及びベンゾトリアゾールに代えてトリルトリアゾールを 0.2%用いたこと以外は実施例1と同様の構成である。
【0040】
(実施例3)
セバシン酸を 4.0%、リン酸を0.03%、水酸化カリウムを 2.2%としたこと以外は実施例1と同様の構成である。
【0041】
(実施例4)
セバシン酸を 4.0%、リン酸を0.32%、水酸化カリウムを 2.5%としたこと以外は実施例1と同様の構成である。
【0042】
(実施例5)
セバシン酸を 4.0%、硝酸カルシウム四水和物を0.0018%、硝酸マグネシウム六水和物を0.0063%、2-ホスホノブタン-1,2,4トリカルボン酸を0.01%、水酸化カリウムを 2.3%としたこと以外は実施例1と同様の構成である。
【0043】
(実施例6)
セバシン酸を 4.0%、硝酸カルシウム四水和物を0.0142%、硝酸マグネシウム六水和物を0.0506%、2-ホスホノブタン-1,2,4トリカルボン酸を0.05%、水酸化カリウムを 2.4%としたこと以外は実施例1と同様の構成である。
【0044】
(参考例1)
セバシン酸を 2.0%、水酸化カリウムを 1.3%としたこと以外は実施例1と同様の構成である。
【0045】
(参考例2)
セバシン酸を 4.0%、リン酸を0.63%、水酸化カリウムを 2.8%としたこと以外は実施例1と同様の構成である。
【0046】
(参考例3)
セバシン酸を 4.0%、硝酸カルシウム四水和物を0.0213%、硝酸マグネシウム六水和物を0.0759%、2-ホスホノブタン-1,2,4トリカルボン酸を 0.1%、水酸化カリウムを 2.4%としたこと以外は実施例1と同様の構成である。
【0047】
(参考例4)
2-ホスホノブタン-1,2,4トリカルボン酸を 0.1%としたこと以外は実施例1と同様の構成である。
【0048】
(比較例1)
リン酸を用いず、セバシン酸を 4.0%、水酸化カリウムを 2.2%としたこと以外は実施例1と同様の構成である。
【0049】
(比較例2)
硝酸カルシウム四水和物及び硝酸マグネシウム六水和物を用いず、セバシン酸を 4.0%、水酸化カリウムを 2.4%としたこと以外は実施例1と同様の構成である。
【0050】
(比較例3)
2-ホスホノブタン-1,2,4トリカルボン酸を用いず、セバシン酸を 4.0%、硝酸カルシウム四水和物を0.0018%、硝酸マグネシウム六水和物を0.0063%、水酸化カリウムを 2.3%としたこと以外は実施例1と同様の構成である。
【0051】
<試験・評価>
実施例、参考例及び比較例の冷却液組成物について、原液のpHを測定するとともに、以下の各種試験を行った。結果を組成とともに表1に示す。
(1)高温金属腐食試験
JIS K2234 に規定された金属腐食性試験に準拠して行った。ただし液温を 120℃とし、空気を通気せず加圧密閉容器中にて行った。
(2)ウォータポンプ試験(キャビテーション下におけるアルミニウム防食性評価)
JIS K2234 に規定された循環腐食性試験に準拠して行った。ただしウォータポンプ回転数を 7800rpmとし、液温98℃、開放系で 500時間行った。
(3)高温アルミニウム鋳物伝熱面腐食試験
JIS K2234 に規定されたアルミニウム鋳物伝熱面腐食試験に準拠して行った。ただし伝熱面温度を 160℃とした。
(4)原液の貯蔵安定性試験
冷却液組成物原液をガラス容器に入れ、50℃で 168時間加熱後に液の外観を目視で観察した。
【0052】
【表1】
【0053】
比較例1の冷却液組成物では、高温金属腐食試験では良好な結果を示しているが、ウォータポンプ試験においてアルミハウジングに損傷が生じ、高温アルミニウム鋳物伝熱面腐食試験における腐食量も実施例に比べて多い。そして実施例との比較より、この不具合はリン酸を含んでいないことに起因していることが明らかである。
【0054】
また比較例2の冷却液組成物では、高温アルミニウム鋳物伝熱面腐食試験における腐食量がきわめて多く、実用にならない。したがって高温金属腐食試験とウォータポンプ試験は行わなかった。そして実施例との比較より、この不具合はカルシウム化合物とマグネシウム化合物を含んでいないことに起因していることが明らかである。
【0055】
さらに比較例3の冷却液組成物では、貯蔵安定性試験において沈殿が発生し、全く実用にならない。したがって高温金属腐食試験、ウォータポンプ試験及び高温アルミニウム鋳物伝熱面腐食試験は行わなかった。そして実施例との比較により、この不具合は2-ホスホノブタン-1,2,4トリカルボン酸を含んでいないことに起因していることが明らかである。
【0056】
一方、本発明の各実施例の冷却液組成物によれば、各試験において良好な結果を示している。しかし参考例2の冷却液組成物では、黄銅の防食性に不足している。そして他の実施例との比較より、この原因はリン酸の量が多すぎることにあり、リン酸の量が金属リン換算で 0.1重量%以下であればこのような不具合は生じないことがわかる。高温金属腐食性試験は、冷却液の酸化劣化を促進した状態での金属の腐食性を評価する試験であり、したがって、リン酸の量が金属リン換算で 0.1重量%以下含有した場合には、冷却液を長期間使用できることがわかる。
【0057】
また参考例3の冷却液組成物では、はんだの防食性に不足している。そして他の実施例との比較より、この原因はカルシウム化合物とマグネシウム化合物の合計量が多すぎること、あるいは2-ホスホノブタン-1,2,4トリカルボン酸の量が多すぎることにあることが明らかである。
【0058】
そして実施例1,参考例3及び参考例4の比較より、2-ホスホノブタン-1,2,4トリカルボン酸の量が多いとはんだの防食性に不足するとともに高温アルミニウム鋳物伝熱面腐食量が多くなり、カルシウム化合物とマグネシウム化合物の合計量を適正範囲とすることで高温アルミニウム鋳物伝熱面腐食性が改善されていることが明らかである。すなわちカルシウム化合物とマグネシウム化合物は金属元素換算の合計で0.0072重量%以下とすることが望ましく、2-ホスホノブタン-1,2,4トリカルボン酸は0.05 重量%以下とすることが望ましいことがわかる。
【0059】
【発明の効果】
すなわち本発明の冷却液組成物によれば、高温時及びキャビテーション下(ウォータポンプ近傍)におけるアルミニウム及びアルミニウム合金の腐食を抑制でき、かつ冷却系に用いられている各種金属の腐食を抑制できる。また沈殿が生じず、貯蔵安定性にも優れている。[0001]
[Industrial application fields]
The present invention relates to a coolant composition which is mixed in cooling water of an internal combustion engine such as an automobile and prevents cooling water from freezing.
[0002]
[Prior art]
Conventionally, a cooling liquid mainly composed of a melting point depressant such as alcohols or glycols is added to the cooling water of an automobile engine to prevent freezing in winter. However, alcohols and glycols are not only rust-proof, but also oxidized when they come into contact with oxygen during circulation at high temperatures, and the resulting oxide promotes corrosion of the metals that make up the cooling water flow path. There is.
[0003]
Therefore, the coolant is generally phosphate, borate, carbonate, sulfate, nitrate, molybdate, benzoate, silicate, benzotriazole, sodium salt of mercaptobenzothiazole, tolyltriazole, triethanol. A rust preventive agent selected from amine salts and the like is added to prevent corrosion of the metal when used in a predetermined amount mixed with cooling water.
[0004]
Since various metals such as cast iron, steel, and copper alloys are used for the cooling system of an internal combustion engine such as an automobile engine, it is required to prevent corrosion in the coolant regardless of the type of metal. . However, with the frequent use of aluminum parts for the purpose of resource saving and energy saving, it has become clear that the conventional cooling liquid has insufficient anticorrosion properties against aluminum-based metals.
[0005]
For example, borate has excellent anticorrosion properties for cast iron materials, but corrosive properties for aluminum-based metal materials. Triethanolamine phosphate has anticorrosive properties against both iron-based metals and aluminum-based metals. However, it may react with nitrite to produce toxic nitrosamines. In addition, the amine salt has a problem that the anticorrosion property against iron is rapidly lowered by deterioration. Silicates also have anticorrosive properties against aluminum-based metals, but there is a problem that the anticorrosive properties are reduced by gelation and separation during long-term storage or use.
[0006]
Therefore, JP-A-1-306492 discloses an antifreeze solution in which magnesium compound or sodium salt of mercaptobenzothiazole is used as a rust preventive agent instead of amines and silicates, and the pH is in the range of 6.5 to 9.0. Has been. According to this antifreeze, it has sufficient anticorrosion properties against aluminum-based metals.
[0007]
However, the antifreeze described in the above publication has a problem that the amount of magnesium compound added is as high as about 0.001 to 0.08% by weight, and the amount of other rust preventives added is limited and the cost is high. In addition, as the engine output increases, some engines have extremely high metal surface temperatures. In the case of such engine cooling water, an increase in the amount of magnesium compound or the like may cause an increase in the amount of scale-like deposits on the engine head and cause a decrease in engine heat dissipation.
[0008]
Therefore, JP-A-7-070558 discloses at least one selected from phosphate, borate, nitrate, molybdate, benzoate, silicate, triazole, thiazole, sebacic acid and octylic acid. In addition, a cooling liquid composition is disclosed that further includes a calcium compound and a magnesium compound as metal element concentrations of 0.00005 to 0.02% by weight. Further, it is also disclosed that at least one of polyphosphoric acid and oligomer or polymer carboxylic acid is included.
[0009]
According to this coolant composition, since both the calcium compound and the magnesium compound are included in a predetermined range, the reason is unknown, but the rust prevention property is improved. And compared with the conventional one containing magnesium compound, the addition amount of calcium compound or magnesium compound is smaller than the conventional amount, and equivalent rust prevention performance can be obtained, so the generation of scale deposits is suppressed and engine heat dissipation is reduced, etc. The problem does not occur.
[0010]
Further, by including at least one of polyphosphoric acid and oligomer or carboxylic acid in a polymer state, it becomes possible to further reduce the amount of calcium compound or magnesium compound added.
[0011]
Japanese Unexamined Patent Publication No. 2000-219981 discloses an antifreeze composition that does not contain amine salts, nitrites, phosphates, borates and silicates. By not including such a substance, blackening of aluminum and an aluminum alloy can be prevented.
[0012]
Further, JP-A-7-173651 discloses a cooling liquid composition containing 2-phosphonobutane-1,2,4 tricarboxylic acid or a water-soluble salt thereof, and phosphate, nitrate, benzoate and triazoles. ing. According to this coolant composition, it is possible to effectively prevent the contact corrosion and the heat transfer surface corrosion with the dissimilar metal of the aluminum alloy.
[0013]
[Problems to be solved by the invention]
The amine salt has an extremely large effect of preventing the corrosion of aluminum and aluminum alloys. However, due to the above-mentioned problems, the above-described prior art excludes the amine salt. However, the coolant composition containing no amine salt has a problem that the corrosion resistance of aluminum and aluminum alloy is insufficient at a high temperature and the corrosion resistance as high as that of amine salt is not exhibited with respect to aluminum and aluminum alloy.
[0014]
In addition, the cooling liquid composition disclosed in Japanese Patent Application Laid-Open No. 7-173651 has no problem in a general test, but the aluminum casting heat transfer surface corrosion test in a high temperature range of about 160 ° C. has a large amount of corrosion. There is.
[0015]
Furthermore, the coolant composition disclosed in Japanese Patent Application Laid-Open No. 7-070558 has a problem that the corrosion inhibiting ability of aluminum and aluminum alloy under cavitation is lower than that of a coolant composition containing an amine salt.
[0016]
This invention is made | formed in view of such a situation, High corrosion resistance is expressed without including an amine salt, and it aims at enabling it to suppress the corrosion of the aluminum and aluminum alloy especially at the time of high temperature. .
[0017]
[Means for Solving the Problems]
The feature of the cooling liquid composition of the present invention that solves the above problems is a cooling liquid composition mainly composed of a melting point depressant selected from alcohols and glycols, and has 9 carbon atoms per 100 % by weight of the composition. metal and at least one 3 to 8% by weight of an aliphatic dibasic acid and alkali metal salts of ~ 12, 0.01 to 0.1 wt% of at least one metal phosphate conversion of phosphoric acid and alkali metal salts, calcium compounds 0.0003 to 0.0024 % by weight in terms of calcium , 0.0006 to 0.0048 % by weight in terms of magnesium metal, and 0.01 to 0.05 % by weight of at least one of 2- phosphonobutane- 1,2,4tricarboxylic acid and its alkali metal salt , To include .
[0020]
In addition to the above composition, it is also preferable to contain 0.01 to 0.1% by weight of alkali metal nitrate, 0.05 to 1.0% by weight of triazoles, and 0.01 to 1.0% by weight of thiazoles.
[0021]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
The coolant composition of the present invention comprises a melting point depressant selected from alcohols and glycols as a main component , at least one aliphatic dibasic acid having 9 to 12 carbon atoms and alkali metal salt thereof, phosphoric acid and its It contains at least one alkali metal salt, a calcium compound and a magnesium compound, and at least one of 2-phosphonobutane-1,2,4 tricarboxylic acid and its alkali metal salt.
[0022]
As alcohols and glycols that are melting point depressants, methanol, ethanol, 2-propanol, monoethylene glycol, propylene glycol, and the like can be used alone or in admixture of two or more.
[0023]
Phosphoric acid or an alkali metal salt thereof greatly contributes to the inhibition of corrosion of aluminum and aluminum alloys, and the aluminum corrosion resistance under cavitation is greatly improved. Further, the calcium compound or the magnesium compound has a function of greatly suppressing corrosion of aluminum and aluminum alloy at high temperatures. Therefore, cavitation, erosion, and corrosion of the aluminum housing of the water pump are prevented, and the high-temperature aluminum casting heat transfer surface corrosion resistance is improved. And 2-phosphonobutane-1,2,4 tricarboxylic acid or its alkali metal salt improves the solubility of other components to improve the storage stability, and suppresses corrosion of the aluminum casting heat transfer surface.
[0024]
Then, at least one of phosphoric acid and its alkali metal salt, calcium compound and magnesium compound, and at least one of the four components of 2-phosphonobutane-1,2,4 tricarboxylic acid and its alkali metal salt are blended together. A synergistic effect is exhibited, and the corrosion resistance of aluminum and aluminum alloy is greatly improved particularly at high temperatures.
[0025]
At least one of phosphoric acid and its alkali metal salt is contained in an amount of 0.01 to 0.1% by weight in terms of metal phosphorus per 100% by weight of the composition . If this amount is less than 0.01% by weight, it will be difficult to achieve the effect, and the corrosion resistance of aluminum under cavitation will decrease, and if it exceeds 0.1% by weight, the corrosion resistance of brass will decrease.
[0028]
The calcium compound is blended in the range of 0.0003 to 0.0024% by weight in terms of metallic calcium , and the magnesium compound is blended in the range of 0.0006 to 0.0048% by weight in terms of metallic magnesium . If the amount is less than this range, the effect is not exhibited, and if the amount is more than this range, the effect is saturated and the amount of other components added is not preferable. The mixing ratio of the calcium compound and the magnesium compound is preferably calcium / magnesium = 1/2 in terms of the metal element weight ratio.
[0029]
These calcium compounds and magnesium compounds include oxides, hydroxides, permanganates, chromates, fluorides, iodides, carbonates, nitrates, sulfates, titanates, tungstates, and boric acids, respectively. Salt, phosphate, dihydrogen phosphate, formate, acetate, propionate, butyrate, valerate, laurate, stearate, oleate, glutamate, lactate, succinate , Malate, tartrate, maleate, citrate, oxalate, malonate, sebacate, benzoate, phthalate, salicylate, mandelate and the like.
[0030]
By the way, the calcium compound and the magnesium compound may cause an increase in product cost due to excessive addition, and may form a scale-like deposit in the cooling water flow path. Therefore, the coolant composition of the present invention further contains 2-phosphonobutane-1,2,4 tricarboxylic acid or an alkali metal salt thereof. Thereby, even if the addition amount of the calcium compound or the magnesium compound is reduced, the anticorrosion performance equal to or higher than that when the addition amount of the calcium compound or the magnesium compound is large can be obtained, and the formation of the deposit can be prevented.
[0031]
At least one of 2-phosphonobutane-1,2,4 tricarboxylic acid and its alkali metal salt is contained in an amount of 0.01 to 0.05 % by weight per 100% by weight of the composition . If this amount is less than 0.01% by weight, it will be difficult to achieve the effect, precipitation will occur and storage stability will be lowered, and it will be difficult to suppress corrosion of the aluminum casting heat transfer surface. Moreover, when it mixes exceeding 0.05 weight% , the corrosion resistance of solder will become inadequate.
[0032]
The coolant composition of the present invention contains 3 to 8% by weight of at least one of an aliphatic dibasic acid having 9 to 12 carbon atoms and an alkali metal salt thereof per 100% by weight of the composition . Thereby, corrosion resistance further improves. If this amount is less than 3% by weight, the corrosion resistance to aluminum casting, cast iron or steel is insufficient, and even if it exceeds 8% by weight, the effect is saturated and the amount of other components added is limited. Absent. Costs will also increase.
[0033]
As the aliphatic dibasic acid having 9 to 12 carbon atoms, sebacic acid, azelaic acid, undecanedioic acid, dodecanedioic acid, and the like can be used, and sebacic acid having excellent solubility and anticorrosion properties is particularly preferable. When the aliphatic dibasic acid having less than 9 carbon atoms is used, the anticorrosion property against iron is lowered. When the carbon number is 13 or more, the solubility is low and the storage stability is lowered.
[0034]
The coolant composition of the present invention preferably further contains 0.01 to 1.0% by weight of alkali metal nitrate, 0.05 to 1.0% by weight of triazoles, and 0.01 to 1.0% by weight of thiazoles. Thereby, corrosion resistance improves further. Nitrate suppresses pitting corrosion of aluminum, and triazoles and thiazoles are effective in preventing copper corrosion. Each of these may be added alone, but it is more preferable to include all of these three types.
[0035]
Examples of alkali metal nitrates include sodium nitrate and potassium nitrate, and examples of triazoles include benzotriazole and tolyltriazole. Examples of thiazoles include benzothiazole and mercaptobenzothiazole sodium.
[0036]
Furthermore, it is desirable that the cooling liquid composition of the present invention does not contain amine salts, borates, nitrites, and silicates because of the problems shown in the prior art section.
[0037]
The cooling liquid composition of the present invention is usually used by mixing 20 to 60% by volume in cooling water. Therefore, it is necessary to completely dissolve the drug in cooling water at least when it is used, and it is desirable to mix a drug that is difficult to dissolve as an easily soluble alkali metal salt. Examples of the alkali metal salt include Na salt and K salt. Further, from the viewpoint of storage stability and handleability, it is desirable that each drug is completely dissolved in the stock solution state of the cooling liquid composition. Therefore, it is preferable that sodium hydroxide, potassium hydroxide or the like is further added to the cooling water composition of the present invention to improve solubility and to adjust the pH optimally.
[0038]
【Example】
Hereinafter, the present invention will be specifically described with reference to Examples and Comparative Examples. In the following, “%” means “% by weight” unless otherwise specified.
(Example 1)
As shown in Table 1, sebacic acid 3.0%, phosphoric acid 0.19%, calcium nitrate tetrahydrate 0.0071%, magnesium nitrate hexahydrate 0.0253%, 2-phosphonobutane-1,2,4 tricarboxylic acid 0.02%, Sodium nitrate 0.5%, benzotriazole 0.2%, mercaptobenzothiazole sodium 0.2%, potassium hydroxide 1.8%, water 4.0%, and ethylene glycol remainder (90.0576%) were mixed to obtain the coolant composition of Example 1.
[0039]
(Example 2)
The configuration is the same as that of Example 1 except that 5.0% of sebacic acid, 2.9% of potassium hydroxide, and 0.2% of tolyltriazole was used instead of benzotriazole.
[0040]
(Example 3)
The structure is the same as that of Example 1 except that sebacic acid is 4.0%, phosphoric acid is 0.03%, and potassium hydroxide is 2.2%.
[0041]
Example 4
The structure is the same as that of Example 1 except that sebacic acid is 4.0%, phosphoric acid is 0.32%, and potassium hydroxide is 2.5%.
[0042]
(Example 5)
Sebacic acid 4.0%, calcium nitrate tetrahydrate 0.0018%, magnesium nitrate hexahydrate 0.0063%, 2-phosphonobutane-1,2,4 tricarboxylic acid 0.01%, potassium hydroxide 2.3% Other than that, the configuration is the same as that of the first embodiment.
[0043]
(Example 6)
Sebacic acid 4.0%, calcium nitrate tetrahydrate 0.0142%, magnesium nitrate hexahydrate 0.0506%, 2-phosphonobutane-1,2,4 tricarboxylic acid 0.05%, potassium hydroxide 2.4% Other than that, the configuration is the same as that of the first embodiment.
[0044]
( Reference Example 1 )
The structure is the same as in Example 1 except that sebacic acid is 2.0% and potassium hydroxide is 1.3%.
[0045]
( Reference Example 2 )
The structure is the same as that of Example 1 except that sebacic acid is 4.0%, phosphoric acid is 0.63%, and potassium hydroxide is 2.8%.
[0046]
( Reference Example 3 )
Sebacic acid 4.0%, calcium nitrate tetrahydrate 0.0213%, magnesium nitrate hexahydrate 0.0759%, 2-phosphonobutane-1,2,4 tricarboxylic acid 0.1%, potassium hydroxide 2.4% Other than that, the configuration is the same as that of the first embodiment.
[0047]
( Reference Example 4 )
The structure is the same as that of Example 1 except that 2-phosphonobutane-1,2,4 tricarboxylic acid is adjusted to 0.1%.
[0048]
(Comparative Example 1)
The structure is the same as that of Example 1 except that sebacic acid is 4.0% and potassium hydroxide is 2.2% without using phosphoric acid.
[0049]
(Comparative Example 2)
The structure is the same as that of Example 1 except that calcium nitrate tetrahydrate and magnesium nitrate hexahydrate are not used, and sebacic acid is 4.0% and potassium hydroxide is 2.4%.
[0050]
(Comparative Example 3)
Without using 2-phosphonobutane-1,2,4 tricarboxylic acid, sebacic acid 4.0%, calcium nitrate tetrahydrate 0.0018%, magnesium nitrate hexahydrate 0.0063%, potassium hydroxide 2.3% Other than that, the configuration is the same as that of the first embodiment.
[0051]
<Test and evaluation>
About the cooling fluid composition of an Example , a reference example, and a comparative example, while measuring the pH of stock solution, the following various tests were done. The results are shown in Table 1 together with the composition.
(1) High temperature metal corrosion test
The test was conducted in accordance with a metal corrosion test specified in JIS K2234. However, the liquid temperature was set to 120 ° C., and air was not passed through the container in a pressurized sealed container.
(2) Water pump test (aluminum corrosion resistance evaluation under cavitation)
The test was conducted in accordance with the cyclic corrosion test specified in JIS K2234. However, the rotation speed of the water pump was 7800 rpm, the liquid temperature was 98 ° C., and the open system was used for 500 hours.
(3) High temperature aluminum casting heat transfer surface corrosion test
The test was conducted in accordance with the aluminum casting heat transfer surface corrosion test specified in JIS K2234. However, the heat transfer surface temperature was 160 ° C.
(4) Storage stability test of stock solution The stock solution of the cooling liquid composition was put in a glass container, and the appearance of the solution was visually observed after heating at 50 ° C for 168 hours.
[0052]
[Table 1]
[0053]
The coolant composition of Comparative Example 1 shows good results in the high temperature metal corrosion test, but the aluminum housing was damaged in the water pump test, and the amount of corrosion in the high temperature aluminum casting heat transfer surface corrosion test was also in the examples. Compared to many. From the comparison with the examples, it is clear that this defect is caused by not containing phosphoric acid.
[0054]
Further, the coolant composition of Comparative Example 2 has a very large amount of corrosion in the high-temperature aluminum casting heat transfer surface corrosion test, and is not practical. Therefore, the high temperature metal corrosion test and the water pump test were not performed. From the comparison with the examples, it is clear that this defect is caused by not containing the calcium compound and the magnesium compound.
[0055]
Furthermore, in the cooling liquid composition of Comparative Example 3, precipitation occurs in the storage stability test, which is not practical at all. Therefore, the high temperature metal corrosion test, the water pump test and the high temperature aluminum casting heat transfer surface corrosion test were not performed. By comparison with the examples, it is clear that this defect is caused by not containing 2-phosphonobutane-1,2,4 tricarboxylic acid.
[0056]
On the other hand, according to the coolant composition of each example of the present invention, good results are shown in each test. However, the coolant composition of Reference Example 2 lacks the corrosion resistance of brass. And from the comparison with other examples, this cause is that the amount of phosphoric acid is too much, and it is understood that such a problem does not occur if the amount of phosphoric acid is 0.1% by weight or less in terms of metallic phosphorus. . The high-temperature metal corrosivity test is a test for evaluating the corrosivity of the metal in the state where the oxidative deterioration of the coolant is promoted. Therefore, when the amount of phosphoric acid is 0.1% by weight or less in terms of metal phosphorus, It can be seen that the coolant can be used for a long time.
[0057]
Further, the coolant composition of Reference Example 3 lacks the corrosion resistance of the solder. From comparison with other examples, it is clear that this is because the total amount of calcium compound and magnesium compound is too large, or the amount of 2-phosphonobutane-1,2,4 tricarboxylic acid is too large. is there.
[0058]
From the comparison between Example 1, Reference Example 3 and Reference Example 4 , if the amount of 2-phosphonobutane-1,2,4 tricarboxylic acid is large, the corrosion resistance of the solder is insufficient and the amount of heat transfer surface corrosion on the high-temperature aluminum casting is large. Thus, it is clear that the high temperature aluminum casting heat transfer surface corrosivity is improved by adjusting the total amount of the calcium compound and the magnesium compound to an appropriate range. That is, it is understood that the total amount of calcium compound and magnesium compound is preferably 0.0072% by weight or less in terms of metal elements, and that of 2-phosphonobutane-1,2,4tricarboxylic acid is preferably 0.05 % by weight or less.
[0059]
【The invention's effect】
That is, according to the coolant composition of the present invention, corrosion of aluminum and aluminum alloy at high temperatures and under cavitation (near the water pump) can be suppressed, and corrosion of various metals used in the cooling system can be suppressed. Moreover, precipitation does not occur and storage stability is excellent.
Claims (2)
組成物 100 重量%あたり、炭素数9〜 12 の脂肪族2塩基酸及びそのアルカリ金属塩の少なくとも一種を3〜8重量%と、リン酸及びそのアルカリ金属塩の少なくとも一種を金属リン換算で 0.01 〜 0.1 重量%と、カルシウム化合物を金属カルシウム換算で 0.0003 〜 0.0024 重量%と、マグネシウム化合物を金属マグネシウム換算で 0.0006 〜 0.0048 重量%と、 2- ホスホノブタン -1,2,4 トリカルボン酸及びそのアルカリ金属塩の少なくとも一種を 0.01 〜 0.05 重量%と、を含むことを特徴とする冷却液組成物。A cooling liquid composition mainly comprising a melting point depressant selected from alcohols and glycols,
3 to 8% by weight of at least one of aliphatic dibasic acid having 9 to 12 carbon atoms and alkali metal salt thereof, and at least one of phosphoric acid and alkali metal salt thereof is 0.01 % in terms of metal phosphorus per 100 % by weight of the composition. ~ 0.1 wt%, calcium compound 0.0003 to 0.0024 wt% in terms of metallic calcium , magnesium compound 0.0006 to 0.0048 wt% in terms of magnesium metal , 2- phosphonobutane- 1,2,4 tricarboxylic acid and its alkali metal salts A coolant composition comprising at least one of 0.01 to 0.05 % by weight .
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