JP4112934B2 - 液状媒体の回収方法及びその装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、溶質を含む溶液のような、液状媒体を含む混合物から液状媒体を分離回収する方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、環境問題に関する関心が高まっており、また、人の健康や生態系に有害なおそれのある化学物質等に対するISOといった基準及びPRTR(Pollutant Release and Transfer Register)のような法律規制が厳しくなっている。このような動きを受けて、溶媒の排出量の削減のため、使用済み液状媒体を再利用することに関心が高まっており、この目的に供する装置として、最近、有機溶媒蒸留装置、溶媒再生装置、自動溶剤回収装置等の名称で各種の分離装置の市販が行われている。
【0003】
しかし、これらの装置は、いずれも常圧または減圧での蒸留(溶媒を沸点まで加熱して飽和蒸気を作り、この飽和蒸気を分け取る方法)を媒体分離の原理としており、それらの装置の概念図を図1及び図2に示す。図1は、汎用されている有機溶媒の単蒸留装置であり、沸騰させた溶媒蒸気を凝縮部(凝縮用冷却コンデンサー4)に導き、ここで凝縮させて溶媒を分離精製する。図2の蒸留装置は、二種類以上の溶媒が混合された混合溶媒を、単成分の溶媒に分離精製する装置であって、この装置の蒸発部に溶媒を満たし、蒸発部の蒸発用丸底フラスコ1は垂直に延びた分留部(カラム塔7)に連結され、このカラムの上部に凝縮部(凝縮用冷却コンデンサー4)が連結され、そこから枝管が延びて回収受器5に接続されており、この枝管は上部でさらに分岐して分留カラム塔7の上部へ凝縮液の一部が還流するように工夫されており、回収と還流とは電磁弁8、9などで制御するなどして溶媒の分別蒸留を可能としており、要するに、有機溶媒を沸騰させて還流と分取を適当に切換えながら混合溶媒を精製する装置として使われる。
【0004】
特願平4−86978号公報には、n−ブタノール、酢酸ブチル、水、2−ブトキシエタノール、2−ヘキシルオキシエタノールからなる使用済み廃液剤から高純度のn−ブタノール及び水を、水相と溶剤相を沈降分離し、減圧下で精留を繰り返して回収する方法が記載されている。しかし、この方法も溶剤を沸騰させて精留している。
【0005】
しかしながら、これらの装置では、常圧または減圧下で有機溶媒を沸騰させて「蒸留」することを原則としており、このためこれらの装置の欠点としては、(1)溶媒蒸気圧の力を利用するために、溶媒を沸点以上に加熱する必要があり、このため蒸発用丸底フラスコ受器26の加温浴40は溶媒の沸点より更に高く加熱する必要があり、したがって、引火点の低い有機溶媒では安全操作の観点から恒常的に人的注意が不可欠であること、さらに、(2)循環システム系でない従来の装置では、連続運転に際し、その構造上の制約から、溶媒の追加、精製溶媒の取出し、濃縮母液の排出等の自動化のための装置上の機構が複雑になること、さらに、(3)装置の複雑性や操作の煩雑性を解決するなどの解決すべき問題が多い。
【0006】
【特許文献1】
特許平4−86978号公報
【0007】
【発明の解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記の従来装置の欠点を解決することにあり、特に溶媒を沸騰させることを必要とせずに「分離精製」するための新規な方法及び装置を提供することにある。
【0008】
本発明では、液状媒体に気体を強制的に接触させて、液状媒体を気化させ、気化した該媒体を凝縮することが好ましい。
【0009】
本発明では、強制的に液状媒体に接触させる気体として、該媒体を凝縮させることにより分離された気体を用いることが好ましい。
【0010】
本発明では、液状媒体を気化させるときに、液状媒体の温度を沸点以下の温度で気化させることが好ましい。
【0011】
本発明では、液状媒体に気体を強制的に接触させて、該媒体を気化させる気化部と、前記気化部において気化された媒体を凝縮する凝縮部とを含むことが好ましい。
【0012】
本発明では、液状媒体に気体を強制的に接触させて、液状媒体を気化させる気化部と、前記気化部において気化された該媒体を凝縮する凝縮部と、前記凝縮部において凝縮させることにより分離された分離気体を、強制的に液状媒体に接触させる気体として前記気化部に供給する分離気体供給部と、を含むことが好ましい。
【0013】
【発明を実施する形態】
まず、本明細書における用語の意義につき説明する。「液状媒体」とは、本発明に係わる方法や装置での処理に付されている状況において、液状である限り特に限定されず、一種の媒体でも二種以上の混合媒体でもよく、有機溶媒でも無機溶媒でもよく、極性溶媒でも無極性溶媒でもよい。但し、典型的には、常温・常圧で液体である媒体である。液状媒体として、例えば、沸点50℃以下の低沸点媒体、例えば、エーテル、塩化メチレン、ペンタン、沸点50〜100℃の中沸点媒体、例えば、THF、酢酸エチル、クロロホルム、アセトン、ヘキサン、エタノール、若しくはメタノールのようなアルコール、沸点100℃以上の高沸点媒体、例えば、ベンゼン、トルエン、DMF、DMSO、アセトニトリルを挙げることができる。
【0014】
また、処理される液状媒体は、溶液、懸濁液及び乳化液等のような均一物質系でも、不均一物質系の状態にあってもよい。具体的には、液状媒体を、抽出剤、洗浄剤、溶出剤、展開剤、吸収剤等として用いた後の状態を挙げることができる。例えば、生薬等の抽出液の分離精製、カラムクロマトグラフィーの溶離液又は洗浄液の再生処理等が挙げられる。
【0015】
「気体」とは、処理される液状媒体に対して不活性であり、かつ、冷媒で冷却されたときにも気体状態を維持する気体であれば、特に制限されない。なお、処理に付される液状媒体を考慮して決定される条件(例えば、気化条件や凝縮条件)に応じて、それに適した気体を選択することになる。具体的には、空気、窒素、ヘリウム、アルゴン等を挙げることができるが、コスト面から空気が好ましい。
【0016】
「媒体を凝縮させることにより分離された気体」とは、凝縮部を通過させた気体であり、液状媒体が気化した媒体は気体と混合されているが、凝縮部を通ると、媒体は凝縮されて液状媒体となり、気体と分離されるため、本質的に媒体を含んでいない気体である。したがって、媒体の分圧が非常に小さく、気体と媒体とを強制的に接触させた時に、媒体を気化させやすい。但し、凝縮条件に依存して、気体が媒体をある程度含む場合もある。
【0017】
「強制的に接触」とは、気体をポンプなどを使って気流に変え、この気流を媒体の如き液体に吹きつけるか、液体中をバブリングするなどして、気液接触を機械的且つ人為的に行うことにより、液体と気体の界面に形成される境膜部を強制的に気流を接触させて吹き飛ばし、常時境膜部を更新させることである。
【0018】
次に、本発明の方法及び装置において液状媒体を回収する際の各種条件につき説明する。まず、強制接触に関してであるが、例えば、向流、平流、交差、噴霧等の接触方式を用いることができる。向流接触の場合、上部から混合物を壁面につたわせて供給し、下部から上部に気体を通過させる方式、二重らせん管にして、外側管で加温し、内側管に濡れ壁状に混合物を流すことが好ましい。また、混合物の表面に気体を通過又は吹きつけることにより、接触させることができる。さらに、混合物の内部に気体を通過させ、例えばバブリングさせることができる。一方、噴霧により接触効率を高めることもできるが、この場合、ミスト状にならない程度の微粒子の液滴を噴霧するのが良い。
【0019】
また、加熱に関してであるが、好適には液状媒体の温度を沸点以下の温度で気化させることが好ましい。例えば、高沸点、中沸点の有機溶媒に関しては、沸点より10〜20℃低い温度に浴温度を調節するとよい。また、低沸点有機溶媒に関しては、沸点より5〜10℃低い浴温度を調節することが好適である。但し、沸点以上の温度で気化させてもよい。
【0020】
次に、凝縮条件に関しては、気化させた媒体が液体となる温度条件であればよいが、効率を高めるためには、媒体の凝縮温度をより低い温度に設定することが好適である。
低沸点媒体の場合、0〜−40℃が好ましく−10〜−30℃がより好ましい。中沸点媒体の場合、10〜−30℃が好ましく、0〜−20℃がより好ましい。
高沸点媒体の場合、20〜−20℃が好ましく、10〜−10℃がより好ましい。
【0021】
なお、本発明の好適なものとしては、閉鎖系にして気体を循環させる態様を挙げることができる。このような態様とすることで、外部に媒体が放散される恐れがなくなり環境的に安全であることに加え、凝縮部での凝縮が不十分である場合にも、気体が還流することで高い回収率を維持することが可能となる。
【0022】
本発明の好ましい実施の態様の液状媒体回収装置を図3に示す。
液状媒体回収装置10は、加温部22及び凝縮用冷却コンデンサー102と、これらの上部及び下部を接続する接続導管70並びに60及び64とを含み、液状媒体回収装置10により閉鎖系となる環状循環システムを構築する。この接続導管60と64との間には、気体循環用のフッ素樹脂製のダイヤフラムポンプP−1が取付けられている。ダイヤフラムポンプP−1によって環状循環システム内に含まれている気体を強制循環させることで、液状媒体供給口24から気化部20に注入された液状媒体は、気化精製されて凝縮部100で液化回収される。
【0023】
本発明の装置に用いる材料は、気体及び液体に対し非透過性で耐薬品性を備えた材料であればよく、特に限定されない。材料の例として、炭素材料、ガラス・ほうろう類、ステンレス鋼、セラミックスのような無機材料;ポリエチレン、ポリプロピレン、四フッ化エチレン樹脂、三フッ化塩化エチレン樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、フッ化エチレンプロピレン樹脂、過フッ化アルコキシ樹脂、不飽和ポリエステル、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、フラン樹脂、フッ素樹脂のような有機材料;チタン等の新金属、Pt等の貴金属、Al−Mg合金、Cu合金(例えば、Cu−Sn合金、Su−Zn合金、Cu−AL合金、Cu−Ni合金)、Ni合金(例えば、Ni−Cu合金、Ni−Mo合金、Ni−Cr合金)のような金属材料;又は複合材料;或いは耐食材料で被覆された材料等が挙げられる。ガラス、フッ素樹脂、ステンレスが好ましい。
【0024】
気体循環用に用いるポンプは、耐薬品性を備えたポンプであればよく、内部がフッ素樹脂製のダイヤフラムポンプP−1が好ましい。蒸気ミストが発生しない条件下でダイヤフラムポンプP−1を使用することにより、循環システム系で緩やかに気体を循環させることができる。
また、ダイヤフラムポンプP−1の気体移動能力として、1分間に液状媒体(有機溶媒)自動精製装置の全内容積の0.1〜10倍の範囲の容積の気体を循環させる能力が必要であるが、好ましくは、1分間に0.3〜3倍の範囲の容積の気体を循環させる能力のあるダイヤフラムポンプを使用する。例えば、有機溶媒自動精製装置の内容積の総和が3〜4Lであるならば、排気量が15〜1 L/minの排気能力のあるフッ素樹脂製のダイヤフラムポンプを使用できるが、好ましくは、排気量が8〜3 L/minのダイヤフラムポンプを使用するとよい。
【0025】
有機溶媒は、加温部22と蒸発用丸底フラスコ受器26とを含む気化部20の上部にあるフッ素樹脂製導管の回収溶媒供給口24から滴下され、その一部は加温部22の内壁を流下して蒸発用丸底フラスコ受器26に達する。滴下注入された有機溶媒は、加温部22及び蒸発用丸底フラスコ受器26を含む気化部20で温められて気化する。
【0026】
加温部22と蒸発用丸底フラスコ受器26との間に取り付けられた一つの枝管36には、フッ素樹脂製の接続導管60が差込まれている。蒸発用丸底フラスコ受器26の底と接続導管60の先端との間の距離は、有機溶媒の種類により加減されるが、好ましくは、接続導管60の先端が蒸発用丸底フラスコ受器26の底から概ね4〜8cm程離されるように、接続導管60は固定されている。接続導管60の他端は、ダイヤフラムポンプP−1に接続されている。有機溶媒の気化は、ダイヤフラムポンプP−1によって接続導管60の他端から供給される気体を蒸発用丸底フラスコ受器26の液面に吹きつけることにより行われる。また、接続導管60の先端を、蒸発用丸底フラスコ受器26に溜まっている有機溶媒に触れるように位置付けて、バブリングするようにしてもよい。また、蒸発用丸底フラスコ受器26に気体を供給することにより、回収溶媒供給口24から滴下注入された有機溶媒に対して、加温部22の内側を下から上へ上昇する向流的な気流が生ずる。
【0027】
加温部22と蒸発用丸底フラスコ受器26との間の他の枝管32には、フッ素樹脂製の接続導管34が差込まれている。接続導管34の一端が蒸発用丸底フラスコ受器26の底から約2cm程離れるように、接続導管34は固定されている。さらに、この接続導管34の他端は自動開閉電磁弁28に接続され、自動開閉電磁弁28の出口は接続導管44で廃液貯留タンク30に接続されている。これにより、蒸発用丸底フラスコ受器26に溜まった残渣液を、蒸発用丸底フラスコ受器26から廃液貯留タンク30へ移動させることができる。
【0028】
回収有機溶媒は、気化部20の上部にあるフッ素樹脂製導管の回収溶媒供給口24から滴下されるが、その滴下速度はニードル開閉弁80により調節される。溶媒供給用密閉タンク50の上部には、導管72の一端が接続されている。導管72の他端は、3方分岐管62の一端が接続されており、3方分岐管62の残りの二端には、導管74が周回するように接続されている。導管74には、自動開閉電磁弁16、3方分岐管66、加・減圧デュアルポンプP−2、3方分岐管65及び自動開閉電磁弁15が順に接続されている。さらに、3方分岐管66には、自動開閉電磁弁17が接続され、3方分岐管65には、自動開閉電磁弁18が接続されている。
溶媒供給用密閉タンク50には、導管76の一端が接続されている。導管76の他端は、ニードル開閉弁80と自動開閉電磁弁81とを介して回収溶媒供給口24に接続されている。
加・減圧デュアルポンプP−2の起動や、自動開閉電磁弁15、16、17、18、19、81等の開閉動作を、予めプログラムしたタイミングで制御することにより、溶媒供給用密閉タンク50を加圧状態又は減圧状態にすることができる。
気化部20への回収有機溶媒の供給は以下のようにして行われる。
まず、自動開閉電磁弁19を開放するとともに自動開閉電磁弁81を閉鎖し、加・減圧デュアルポンプP−2を使って、溶媒供給用密閉タンク50を減圧状態にすることにより、回収有機溶媒を原液溶媒タンク55から溶媒供給用密閉タンク50へ移動させる。その後、自動開閉電磁弁15、17、19を閉鎖するとともに自動開閉電磁弁16、18、81を開放し、加・減圧デュアルポンプP−2を使って弱く溶媒供給用密閉タンク50を加圧状態にすることにより回収有機溶媒を溶媒供給用密閉タンク50から加温部22へ移動させる。加・減圧デュアルポンプP−2を利用して、自動開閉電磁弁15、16、17、18、19、81等を、加圧には自動開閉電磁弁15、17、19を閉とし、減圧には自動開閉電磁弁16、18、81を閉とするような、予めプログラムしたタイミングで操作させることにより、溶媒供給用密閉タンク50の加圧・減圧状態を制御することができる。
【0029】
加・減圧デュアルポンプP−2や自動開閉電磁弁28等の制御は、タイマー等の時間を設定することができる機器により、設定された時間間隔ごとに行うことができる。この時間間隔は、所定の条件、例えば蒸発用丸底フラスコ受器26に溜まる残渣溶液の増加量によって適当に選ぶことができる。例えば、溶媒供給用密閉タンク50内の回収有機溶媒の液面レベルをモニタリングすることにより、加・減圧デュアルポンプP−2を利用して、蒸発用丸底フラスコ受器26の残渣溶液を外部の廃液貯留タンク30に自動的に移動させることができる。
【0030】
気化部20の蒸発用丸底フラスコ受器26の下方には、加温浴40が設けられており、蒸発用丸底フラスコ受器26は、加温浴40に浸されて温められる。加温浴40には、導管90によって加温部22が接続されている。導管90には温浴循環用ポンプP−3が取り付けられており、加温浴40と導管90と加温部22とに封入されている温浴液を温浴循環用ポンプP−3によって循環させて、加温浴40と加温部22とを加熱することができる。
【0031】
蒸発用丸底フラスコ受器26及び加温部22等の加熱は、回収溶媒供給口24から滴下注入する有機溶媒の沸点以下で行われ、通常、沸点の高い有機溶媒にあっては、個別の溶媒の沸点より10〜20℃程度低い温度に温め、また、沸点の低い有機溶媒にあっては、個別の溶媒の沸点より5〜10℃程度低い温度に温めることを目安とするが、有機溶媒の気化特性を考慮して個別に設定するのが好ましい。従って、加温浴40の温度は、精製する有機溶媒の沸点より低く設定することが望ましく、好ましくは、有機溶媒の沸点より5〜20℃低く保つとよい。
【0032】
本発明の気化部20の別の態様として、加温部22での蒸発機能を必ずしも持たせなくてもよい。例えば、蒸発用丸底フラスコ受器26の如き気体吹付部のみを一個または複数個を用意して、これらの気体吹付部を適当に温めながら、気体循環用のダイヤフラムポンプP−1から供給される気体を気体吹付部のそれぞれに吹きつけて有機溶媒を気化させて、これらの気体を集めて凝縮用冷却コンデンサー102に誘導してもよい。
【0033】
この際、気体吹付部として、上述した蒸発用丸底フラスコ受器26のほか、密閉した箱に複数の試験管を用意し、これらの試験管に溶媒を溜めて気体を吹きつける形式のものでもよく、特に、吹きつけ形態の制約はなく、有機溶媒に強制的に気体を接触させることができるものであればよい。
【0034】
加温部22の上部回収溶媒供給口24から有機溶媒を滴下注入する時には、加・減圧デュアルポンプP−2を用いて注入する。加・減圧デュアルポンプP−2による回収溶媒の注入量は、回収有機溶媒の種類により気化のしやすさの程度により加減する必要がある。さらに、その調節は、有機溶媒自動精製装置に取付けられたフッ素樹脂製のニードル開閉弁80を用いて更に精密に制御することができる。滴下注入の際の流量は回収された有機溶媒の種類により、予め調べられた数値を参考にニードル開閉弁80を開閉するなどして調節するのが好ましく、その目安は、加温部22を流下した溶媒が、蒸発用丸底フラスコ受器26に少量溜まる程度が好ましい。
【0035】
蒸発用丸底フラスコ受器26において気化した気体を加温部22に移動させて、加温部22においてさらに気化する有機溶媒を気体に取り込む。気化部20の加温部22と、凝縮部100の凝縮用冷却コンデンサー102とは、接続導管70により接続されている。気化部20において気化された気化蒸気は、ゆっくりと凝縮部100へ移動する。凝縮部100の凝縮用冷却コンデンサー102の冷却管には冷媒が流されており、凝縮用冷却コンデンサー102において気化蒸気は凝縮液化される。凝縮用冷却コンデンサー102でほぼ完全に凝縮された有機溶媒は、丸底フラスコ受器104に回収される。凝縮用冷却コンデンサー102の冷却管に、0〜−35℃の範囲の冷媒を流すことにより、冷媒蒸気を凝縮させることができるが、より好ましくは−10℃以下の冷媒を流すとよい。
【0036】
ダイヤフラムポンプP−1に接続されたフッ素樹脂製の接続導管64は、凝縮用冷却コンデンサー102と丸底フラスコ受器104との間にある一つの枝管108に接続されている。また、ダイヤフラムポンプP−1に接続されたフッ素樹脂製の接続導管60は、加温部22と蒸発用丸底フラスコ受器26との間にある一つの枝管36に接続されており、このようにして、接続導管60から押しだされた気体は、加温部22、接続導管70、凝縮用冷却コンデンサー102を経由して、接続導管64からダイヤフラムポンプP−1に戻ることにより、閉鎖系内を循環する。
【0037】
凝縮用冷却コンデンサー102と丸底フラスコ受器104との間にある他の枝管110には、接続導管112が接続されており、接続導管112は、精製溶媒貯留タンク106に導かれている。凝縮部100の下部にある丸底フラスコ受器104に溜った精製溶媒は、接続導管112の高さを適当に加減して固定することにより、自動的に精製溶媒貯留タンク106へ移動する。
【0038】
尚、接続導管64の途中に三方分岐管を設け、三方分岐管の残りの端部に更なる加圧ポンプと自動開閉弁とを接続する構成としてもよい。この加圧ポンプP−4(図示されていない)に接続された自動開閉弁を開放し加圧ポンプP−4により加圧状態にして、丸底フラスコ受器104から精製溶媒貯留タンク106に精製溶媒を自動的に移動させることができる。また、蒸発用丸底フラスコ受器26に溜った残留物を外部の廃液貯留タンク30に移動させることもできる。
【0039】
また、上述した例においては、滴下される有機溶媒や残渣溶液が溜められる蒸発用丸底フラスコ受器26や、精製溶媒が溜められる丸底フラスコ受器104等の器具は、ガラス製である場合を示したが、その他の材料、例えば上述の本発明の装置に用いる材料製の器具を用いてもよく、用いる溶媒の種類に応じて定まる稼動温度範囲や耐薬品性等を考慮した器具を用いることができる。
【0040】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づき、より詳細に説明する。これらの実施例は、本発明をいかなる意味においても制限するものではない。
【0041】
実施例1
本発明の液状媒体回収装置10において、溶媒供給用密閉タンク50にクロマトグラフィーの溶離剤に用いたエタノール含有物100mLを導入し、加・減圧デュアルポンプP−2を用いて、回収溶媒供給口24から回収有機溶媒を注入流量34mL/minで、閉鎖系に滴下注入した。ダイヤフラムポンプP−1を調節して、気体(Air)流量を6L/minとし、導管60(外径6mm、内径4mm)を経由させて枝管36で固定された導管60の先端が、1L容量の蒸発用丸底フラスコ受器26の底から6cm離れた位置するように導管60を配置した。こうして、蒸発用丸底フラスコ受器26に3〜4cmほど溜めた回収有機溶媒の液面に2〜4mm程の窪みの輪が形成されるように、導管60を介して界面に対して斜めから気体を回収有機溶媒に吹きつけた。蒸発用丸底フラスコ受器26の底部に吹きつけられた気体は、気化したエタノールと共に、フラスコ上部に移動し、加温部22に達する。加温部22は、直管状蒸発部(内径60mm、長さ約200mm)と、その内部に配置された外径8mmの管からなる蛇管とを有し、蛇管のらせん直径は外径55mmである。加温浴40からこの蛇管の管内に温浴循環用ポンプP−3により温浴液を供給し、加温浴40と蛇管を含む加温部22との間で温浴液を循環させ、加温浴40及び加温部22を65℃に保った。こうして、回収溶媒供給口24から滴下される回収溶媒は、加温部22の内部で蛇管の外部表面及び直管状蒸発部の内部壁面を伝って下方向に移動し、加温部の下部から上部に流れる気体と接触し、その一部が気化された。蒸発用丸底フラスコ受器及び加温部22の両方で気化したエタノールは接続導管70を経て、凝縮用冷却コンデンサー102に徐々に到達し、ここで冷却されてエタノールは凝縮して液状となり、1L容の丸底フラスコ受器104に次第に溜った。上記条件下では、丸底フラスコ受器104に、エタノールは約8.5mL/minの割合で、ほぼ全量(>99%)が回収された。
実施例2〜5
回収溶媒の種類、並びに加温浴、回収溶媒注入流量、ポンプP−1流量を、表1に代えた以外は、実施例1と同様にして行った。得られた結果を、表1に示す。
【0042】
【表1】
【0043】
【発明の効果】
本発明の方法及び装置は、溶媒を沸騰させずに動作させるので、好ましい稼働状態で溶媒を精製することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の有機溶媒単蒸留装置を示す概略図である。
【図2】従来の有機溶媒分別蒸留装置を示す概略図である。
【図3】本発明による有機溶媒自動精製装置を示す概略図である。
【符号の説明】
1: 蒸発用丸底フラスコ
2: 加温浴
3: 温度計
4: 凝縮用冷却コンデンサー
5: 回収受器
6: 冷媒接続口
7: カラム塔
8: 電磁弁
9: 電磁弁
10: 液状媒体回収装置
15: 自動開閉電磁弁
16: 自動開閉電磁弁
17: 自動開閉電磁弁
18: 自動開閉電磁弁
19: 自動開閉電磁弁
20: 気化部(加温部、蒸発用丸底フラスコ受器)
22: 加温部
24: 液状媒体供給口、回収溶媒供給口
26: 蒸発用丸底フラスコ受器
28: 自動開閉電磁弁
30: 廃液貯留タンク
32: 枝管
34: 接続導管
36: 枝管
40: 加温浴
44: 接続導管
50: 溶媒供給用密閉タンク
55: 原液溶媒タンク
60、64: 接続導管(渡りチューブ配管)
62、65、66: 3方分岐管
70: 接続導管(供給部)
80: ニードル開閉弁
81: 自動開閉電磁弁
90: 接続導管
100: 凝縮部(凝縮用冷却コンデンサー、丸底フラスコ受器)
102: 凝縮用冷却コンデンサー
104: 丸底フラスコ受器
106: 精製溶媒貯留タンク
108: 枝管
110: 枝管
112: 接続導管
P−1: ダイヤフラムポンプ(供給部)
P−2: 加・減圧デュアルポンプ
P−3: 温浴循環用ポンプ
Claims (5)
- 液状媒体を含む混合物から液状媒体を気化させ、凝縮分離する液状媒体の回収方法であって、
気化する手段において、連続的に滴下注入される液状媒体を含む混合物に、気体を向流で強制的に接触させて、液状媒体を気化させ、かつ気化した該媒体を凝縮する手段まで移動させ、
液状媒体と強制的に接触させる気体として、該媒体を凝縮させることにより分離された気体を用いる
ことを特徴とする、液状媒体の回収方法。 - 気化する手段において、直管状蒸発部とその内部に配置された蛇管とを有する二重らせん管を用い、該混合物と気体との向流で強制的な接触が、該混合物を、該蛇管の外部表面及び該直管状蒸発部の内部壁面を伝って下方向に移動させ、該二重らせん管の下部から上部に流れる該気体と接触させることにより行われる、請求項1記載の液状媒体の回収方法。
- 液状媒体の回収が、減圧下に閉鎖循環して行うか、又は液状媒体を気化させるとき、液状媒体の温度を沸点以下の温度で気化させる、或いは
減圧下に閉鎖循環して行うか、かつ液状媒体を気化させるとき、液状媒体の温度を沸点以下の温度で気化させる、請求項1又は2記載の液状媒体の回収方法。 - 液状媒体を含む混合物から液状媒体を気化させ、凝縮分離する液状媒体回収装置であって、
気化する手段において、連続的に滴下注入される液状媒体を含む混合物に、気体を向流で強制的に接触させて、液状媒体を気化させる気化部と、
前記気化部において気化された媒体を凝縮する凝縮部と、
前記凝縮部において凝縮させることにより分離された分離気体を液状媒体と強制的に接触させる気体として前記気化部に供給する分離気体供給部と、
を含み、
気体を向流で強制的に接触させて、液状媒体を気化させ、かつ気化した該媒体を凝縮する手段まで移動させる
を含む液状媒体回収装置。 - 気化する手段において、直管状蒸発部とその内部に配置された蛇管とを有する二重らせん管を用い、該混合物と気体との向流で強制的な接触が、該混合物を、該蛇管の外部表面及び該直管状蒸発部の内部壁面を伝って下方向に移動させ、該二重らせん管の下部から上部に流れる該気体と接触させることにより行われる、請求項4記載の液状媒体回収装置。
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