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JP4112491B2 - 溶液を分別蒸発および分離するための多チャンバー装置 - Google Patents

溶液を分別蒸発および分離するための多チャンバー装置 Download PDF

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Description

発明の背景
本発明は、溶剤および化合物または溶質から構成される溶液をエンクロージャー(該エンクロージャーは、
−溶液のn構成成分のそれぞれの蒸発温度に対応する異なった温度にある蒸発区域、および
−溶剤の蒸気および化合物の蒸気を分離する手段を含む)の内側で、蒸発させる装置に関する。
先行技術
公知の機構は、溶液[有機溶剤の蒸気+溶解している液体または固体の有機金属CVD前駆物質の蒸気]の蒸発により形成される蒸気混合物だけをチャンバーに送ることができる。CVD用途では、溶剤蒸気が問題になることがある。
別の公知の装置は、単一のエンクロージャーの内側で、異なった温度にある二つの異なった蒸発区域で、溶剤および溶質から構成された溶液を蒸発させ、溶剤蒸気および溶質蒸気を分離する。単一の蒸発エンクロージャーが使用され、二つの蒸発区域間におけるガス流に対して圧損が無いので、蒸気を効率的に分離することは困難であるか、または不可能でさえある。
発明の目的
本発明の目的は、溶剤および化合物または溶質から構成される溶液の構成成分を効率的に分離できる分別蒸発装置を提供することである。
本発明の装置は、
−異なった蒸発区域が分離仕切により幾つかの異なった単一チャンバーに分離されており、出口を経由して分別蒸発させ、各構成成分に特異的な蒸気の複数の個別流を発生することができ、
−溶液は最も低い温度に設定された第一のチャンバー中に注入され、多孔質の可動素子に含浸され、該可動素子は異なった仕切を通過し、次第に増加していくそれぞれの温度に加熱された該チャンバーと順次接触し、
−仕切の近くで中性のキャリヤーガスを注入し、異なったチャンバー間におけるガス流の圧損を制御する手段
を特徴とする。
本発明の一態様により、多孔質の可動素子は、最高温度までその機械的特性を維持する耐火性材料から製造されている。可動素子は、それ自体で閉じてループを形成するコイル状のらせんスプリングにより形成され、モーターにより環状に駆動される。
本発明の別の態様により、各チャンバーは加熱ユニットおよび構成成分毎の出口を備えている。各チャンバー中の圧力は、チャンバーの内側にある圧力計と連携して作動する圧力制御機構、および出口上に配置された開口部可変バルブにより制御される。
本発明のもう一つの態様により、金属製のエンクロージャーはステンレス鋼またはアルミニウムから製造され、分離仕切は断熱材から製造され、それぞれ可動素子を通すための穴を有する。可動素子が環状に移動する場合、各分離仕切は、可動素子を通すための2個の穴(一方は前進方向で、他方は戻り方向)を有する。キャリヤーガスの注入手段は、異なったチャンバー間でガス流を分配するための入口ダクトを備えてなり、圧損は仕切の幅および穴と可動素子の間の隙間に相当する断面差によって異なる。
蒸発装置エンクロージャーの外部は、異なったチャンバー間の熱移動を阻止するための熱交換機を備えることができる。
溶液が溶剤および前駆物質を含むCVD用途の場合、常温に加熱された第一チャンバーの出口は蒸発した溶剤を凝縮機構に導くのに対し、より高い温度に加熱された第二チャンバーの出口は蒸発した前駆物質をCVD反応器に送る。
他の利点および特徴を、以下に添付の図面を参照しながら、本発明を制限しない例としてのみ記載する実施態様により、詳細に説明する。
好ましい実施態様の説明
図1〜3Aに関して、全体的な番号10で示す蒸発−分離装置は、ガス流の圧損を制御する中間仕切14により相互に分離された幾つかの異なった単一チャンバー12A、12B....12Nに分割されたエンクロージャー11を備えてなる。この装置は、複数の蒸発区域およびチャンバーを備えた機構であり、蒸発させるべき溶液SOは、少なくとも一種の液体(有機または有機金属化合物により形成された溶剤)および該溶剤に可溶な一種以上の他の固体または液体化合物(有機または有機金属溶質)から構成されている。
溶液SOは、蒸発−分離装置10の、常温にある低温区域に位置する第一チャンバー12Aの中に注入される。溶液SOは、大きな表面を有する多孔質で耐火性の、最高温度Tnまでその機械的特性を維持する可動素子16に含浸される。次いで、溶液SOで含浸された可動素子16は、チャンバー12A、12B....12Nを分離する仕切14を順次通過し、溶液のn構成成分の個々の蒸発温度である、次第に増加していく温度T1、T2....Tnに加熱されたn区域と接触する。一連の温度T1、T2....Tnは、対応するチャンバー12A、12B....12Nの中に配置された加熱ユニット18A、18B....18Nを加熱することにより得られる。
可動素子16は、加熱ユニット18A、18B....18Nにできるだけ近い所を移動し、チャンバー12A、12B....12Nの各蒸発区域は、構成成分毎に出口S1、S2....Snを備えてなる。従って、蒸発−分離装置10は、複数の個別蒸気流を発生する。
各蒸発区域の圧力は制御しなければならない。この目的には、各蒸発区域に対して、対応するチャンバー12A、12B....12N上に取り付けた圧力計P1、P2....Pn、および対応する出口S1、S2....Sn上に配置された開口部可変バルブV1、V2....Vnを備えてなる圧力制御機構を使用することができる。バルブV1、V2....Vnおよび個々の圧力計P1、P2....Pnに電気的に接続された制御ユニットRにより、様々な圧力設定点に到達できる様にバルブの開放指令を伝達することができる。
装置の最適操作には、各蒸発区域間で温度を可能な限り急激に変化させ、区域間のガス流に圧損を与える必要がある(図2および3)。これらの圧損は、仕切14の幅Lおよび仕切14に可動素子16を通すための隙間に相当する断面差24によって異なる。ある区域の加熱により隣の区域の温度が影響されることも阻止しなければならない、すなわち各区域を隣接する区域から熱的に絶縁しなければならない。加熱ユニット18A、18B....18N、およびチャンバー12A、12B....12Nの壁20は、好ましくはステンレス鋼またはアルミニウムから製造する。
加熱手段は、加熱ユニット18A、18B....18Nの内側またはエンクロージャー11の壁20の外周部に取り付けることができる。内部断熱のために、中間仕切14は粒子を放出しない断熱材、例えばテフロン(登録商標:PTFE)、から製造する。仕切14は、可動素子16をある区域から他の区域に通すための少なくとも一個の連絡穴22を有する。外部断熱のためには、どの様な断熱材料でも使用できる。断面差24は、穴22の断面と可動素子16の断面との間の差に相当する。図3Bでは、各仕切14は、可動素子16をループ状に循環させるための2個の穴22を有する。
蒸発−分離装置の熱的プロファイルをさらに改良するために、熱交換機(図には示していない)を各区域間の外壁20上に固定することができる。これらの熱交換機は、ある区域から他の区域への、外部金属壁20を通した熱移動を阻止する様に設計される。
異なった出口S1、S2....Sn間の蒸気流分布を改良するために、中性のキャリヤーガス(窒素、アルゴン、ヘリウム、等)を各分離仕切14のレベルで注入する。各キャリヤーガス注入ラインは、流量制御機構を備えている。注入(図2)は、3本の異なった入口ダクトAi、BiおよびCiの、下記の組合せ、すなわちAi、Bi、Ci、Ai+Bi、Ai+Ci、Bi+CiまたはAi+Bi+Ci、により行うことができる。断面差24を通してキャリヤーガスをある区域から他の区域に強制的に通過させるために、仕切14と壁20の内面との間の空間を最少に抑えるのが好ましい。一対のOリング26、28により、この空間をゼロにすることができる。
溶液SOのチャンバー12A中への注入は、例えば下記の液体注入機構、すなわち自動車用注入装置、液体質量調整流量計、注射器、計量マイクロポンプ、超音波スプレーノズル、等を使用して制御しなければならない。溶液SOの注入は、パルス状または連続的に行うことができる。
本装置の別の実施態様では、p(p<n)個の蒸発区域および関連する蒸気出口だけがあるのに対し、溶液SOはn個の蒸発させる構成成分を含み、幾つかの構成成分が相互に近い蒸発温度を有し、同じ区域で蒸発することができる。この装置は、出口の1個以上を通して蒸気混合物を流す様に設計された特定の用途に有利である。
本装置の別の実施態様では、独立した液体注入機構から供給を受ける幾つかの多孔質で耐火性の可動素子16がある。
複数の可動素子16が同じ組成の溶液を供給される場合、この装置は、各蒸気出口で大量の蒸気流を得るのに有利に使用できる。
複数の可動素子16が異なった組成の溶液を供給される場合、この装置は、
−同じ蒸気出口を経由し、溶液中で混合し得ない少なくとも2種類の化合物(溶液中で反応、不溶性、等)を送るか、または
−同じ蒸気出口を経由し、一種以上の化合物を一定の蒸気流量で(すなわち、特定の濃度で一定の溶液流量)、および一種以上の化合物を様々な蒸気流量で(すなわち、特定の濃度で様々な溶液流量)送る
のに有利に使用できる。
本発明の幾つかの使用例を以下に記載する。
例1 液体混合物を形成する化合物の分離および精製
2種類以上の揮発性化合物(例えば異性体)を溶液中で形成し、同時にこの溶液から結晶化させることができる。従って、結晶化はこれらの化合物を分離するための手段ではない。結晶化から得られる固体化合物の混合物の分別昇華が常に可能である訳ではない。昇華による精製は、事実、主としてかなり低い圧力(0.1〜0.001mbar)で行われ、このために化合物の蒸発温度が相互に近くなり、効率的な分離が妨げられる。本発明は、はるかに高い圧力(1mbarから大気圧まで)で固体を蒸発させることができ、このために蒸発温度に十分な差を維持して効率的な分離を達成することができる。
例2 溶剤蒸気を化学的堆積室中に蒸気相で送らずに、溶液中のCVD前駆物質を蒸発させる装置
CVD用途では、溶液[有機溶剤+有機金属前駆物質]を蒸発装置中に注入し、蒸気張力が低い、熱的に不安定な化合物を、再現性良く、安定して蒸発させることができる。蒸発させるべき化合物は、事実、蒸発装置中で可動素子16上の大きな表面(蒸発にとって好ましい)上に堆積し、蒸発装置中に注入されない限り、常温のままである。
しかし、公知の機構は、溶液の蒸発により得られる蒸気の混合物[有機溶剤蒸気+溶解した液体または固体の有機金属CVD前駆物質蒸気]だけをチャンバーに送ることができる。CVD用途には、本発明の装置は、液体または固体の有機金属CVD前駆物質の蒸気だけを選択的にCVD反応器に送ることができる。面倒な場合がある溶剤蒸気は、CVD反応器に接続されていない出口に送られる。
CVDチャンバー中に有機溶剤(すなわち炭素濃度が高い)が存在する場合、炭素を含まない堆積物を得る場合には問題を引き起こす。有機溶剤の存在は、酸化性雰囲気中、減圧、高温で堆積させる場合にも、好ましくない炭酸塩を形成することがあるので、不都合である(例えばアルカリ土類および/またはランタニドを含む堆積物の場合)。酸化性雰囲気(O、O、NO、HO)中で、大気圧に近い圧力で堆積させるCVD室中に溶剤が存在すると、CVDチャンバー中に爆発性の熱分解物質が形成される(内燃機関中で起こることと類似)ことがある。
例2の用途に関する本発明の好ましい実施態様を以下に説明する。
図4は、CVD用途における蒸発−分離装置の操作を図式的に示す全体的な図である。
装置100は、有機溶剤および/または液体または固体の有機金属CVD前駆物質の蒸発に対応する2種類の異なった温度に加熱された2個のチャンバー112A、112Bに小分割された縦方向のエンクロージャー111により形成される。2個のチャンバー112A、112Bは、断熱材料製の内部仕切114により分離されている。液体または固体の有機金属CVD前駆物質はキャリヤー液体(有機溶剤)中に溶解しており、その溶液SOが、チャンバー112A中に、エンクロージャー111の内側で環状に循環している可動素子116上に、調整された様式で注入される。
溶液SOを含浸した可動素子116は、2個のチャンバー112A、112Bを通って移動する。温度T1に加熱された第一のチャンバー112Aでは、溶剤が蒸発し、第一の出口S1に送られる。溶剤蒸気は、内壁がT1より低い温度にある凝縮機構113または低温トラップを使用して回収される。第二のチャンバー112BはT1より高い温度T2に加熱されており、そこで前駆物質が蒸発し、T2に加熱されたラインを通り、CVD反応器に接続された出口S2に送られる。
図5に関して、溶剤凝縮機構113およびCVD反応器は、ポンプ機構PP1、PP2を備えるか、または蒸発−分離装置100から、出口S1およびS2を通して凝縮機構113およびCVD反応器へ蒸気を流すことができる通気手段を備える必要がある。
蒸発−分離装置100は、真空または大気圧で操作することができる。大気圧より低い圧力の場合、2基の圧力制御機構R1、R2が必要であり、一方のR1は蒸発装置100に、他方のR2はCVD反応器の成長室に割り当てられる。第一チャンバー112Aにおける圧力(T1での)は、CVD反応器における圧力と等しくても、異なっていてもよい。溶剤および前駆物質蒸気をそれぞれの出口S1およびS2に向けるために、一つ以上のキャリヤーガスGVラインを使用する。本装置は、可動素子116を駆動および案内するための手段を備え、蒸発装置100中で可動素子116を環状に移動させることができる。
CVD前駆物質が溶液中で混合し得ない場合、異なった液体ラインから供給を受ける幾つかの可動素子116を平行に使用する必要がある。前駆物質は、単一の出口レベルで幾つかの可動素子から蒸発し、前駆物質は蒸気相でのみ混合される(多成分CVD堆積の場合)。前駆物質毎に可動素子116を使用することにより、組成勾配を有する他成分層を堆積させることができる。特定の前駆物質を堆積させる工程の途中で、溶液(一定濃度を有する)の流量を、他の前駆物質の溶液の流量から独立して変化させる。これらの流量は、規則的で漸進的に、または一連の段階で、変化させることができる。
多金属材料を堆積させるある種のCVD製法では、前駆物質の中には、他の前駆物質の蒸発温度で熱分解するものもあるので、前駆物質を同時に蒸発させることは不可能である。
図6では、蒸発装置200は、仕切214により分離された3個のチャンバー212A、212B、212Cを有し、これらのチャンバーは温度T1、T2、T3にある。最も好ましくない場合、n種類のCVD前駆物質がある場合、n+1個の出口を有する蒸発装置を使用しなければならない(出口の1個は溶剤用であり、n個がCVD前駆物質用である)。n個のCVD前駆物質出口が、n種類の前駆物質の蒸発温度であるT1、T2、T3....Tnにそれぞれ加熱されたn個の別のラインにより、同一のCVD反応器に接続されている。
付加物であるCVD前駆物質(金属上で中性に溶媒和された一種以上のルイス塩基との共有結合型分子状有機金属錯体)を使用する場合、溶剤に加えてルイス塩基を排除し(ルイス塩基が有機である、すなわち炭素を含む場合)、脱溶媒和された共有結合型分子状有機金属錯体(そこからルイス塩基が取り出されている)だけをCVD反応器に送るのが望ましい。
この場合、図6の蒸発装置200を使用する必要がある。エンクロージャー211の第一チャンバー212Aは溶剤の蒸発に、第二チャンバー212Bは付加物の溶剤除去に、第三チャンバー212CはCVD前駆物質の蒸発に使用される。
数種類の付加物を使用する場合、付加物の溶剤除去温度および前駆物質の蒸発温度に応じて、付加物の溶剤除去およびCVD前駆物質の蒸発に幾つかのチャンバーを使用することができる。
図7および8は、図4の装置の好ましい実施態様を示す。エンクロージャー111の周りに取り付けた外部加熱カラー(図には示していない)により、またはチャンバー112A、112Bの内側に配置した熱カートリッジ(図には示していない)により、2個のチャンバー112A、112Bを加熱する。チャンバー112Aと112Bの間で、エンクロージャー111の外側に熱交換機150を取り付ける。この交換機は、蒸発装置の壁上に直接固定した、良好な熱伝導性材料から製造された部品、上記部品の上に固定したヒートシンク、およびヒートシンクの上に固定したファンから構成されている。
可動素子116は、コイル状のらせんスプリングであり、それ自体ループの形態で閉じており、350℃までその弾性を維持する。可動素子116は、蒸発装置中で、外部モーター154により駆動されるローラー152を経由して環状に駆動される。モーター154の軸は、蒸発装置チャンバー112Aに入る。軸が蒸発装置の中に入り込むことを避ける、磁性カップリングモーターも使用できる。
注入された溶液SOは、可動素子116のスプリングのコイル間に液体薄膜の形態で堆積する。スプリングの吸収容量を増加させるために、スプリングの内側を、液体で容易に含浸される材料(例えばガラス繊維)で内張りすることができる。本機構は、断熱材PTFEから製造された仕切114を蒸発区域間に備えてなる。3個のキャリヤーガス(GV)入口ダクトが仕切114の近くに配置されている。
この装置により実現できるCVD工程の例は、キシレン(オルト、メタまたはパラ)、メシチレンまたはジグライムに溶解させた有機金属前駆物質[Y(thd)(L](L=ルイス塩基、例えばo−フェナントロリン)、Cu(thd)および[Ba(thd)(L](L=ルイス塩基、例えばトリグライムまたはテトラグライム)からのYBaCuの超伝導層の合成である。これらの溶剤は、20℃で約10トル以上の蒸気圧を与える。この目的には、堆積物の超伝導品質は、CVD反応器中の炭素濃度により強く左右され、従って、有機溶剤蒸気がCVD反応器に送られるのを回避する必要がある。
この蒸発装置を、微量天秤上でこれらの前駆物質の蒸発に試験した。これらの試験では、CVD堆積温度に加熱した微量天秤室をCVD反応器として作用させ、蒸発装置のCVD前駆物質蒸気の出口に接続した。微量天秤室中の基材を天秤のアームにつり下げ、リアルタイムで連続的に秤量した。これによって、基材の重量増加を時間と共に測定することができる。
この増加は、蒸発装置から来る前駆物質蒸気の分解の結果である。この機構により、蒸発装置が、一定の溶液流量に対して、安定した前駆物質蒸気流量を超時間供給することが分かる(図9および10は、基材の重量が時間と共に直線的に増加することを示す)。
CVDによる層の成長速度は、一定濃度の溶液に対して、溶液の流量によって直線的に増加することも分かった(図11)。
略号
thd=2,2,2,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオネート
トリグライム=2,5,8,11−テトラオキサドデカン
テトラグライム=2,5,8,11,14−ペンタオキサペンタデカン
m−キシレン=メタキシレン
M=モル
図9、10および11の説明
図9 m−キシレン中Cu(thd)の0.1M溶液からのCuの蒸発に対する基材の重量(mg)増加と時間(分)の関係。この曲線は、蒸発装置に接続した微量てんびんを使用して得た。
図10 m−キシレン中[Ba(thd)(テトラグライム)]の0.1M溶液から蒸発した[Ba(thd)(テトラグライム)]の蒸気相分解における基材の重量(mg)増加と時間(分)の関係。この曲線は、蒸発装置に接続した微量てんびんを使用して得た。
図11 m−キシレン中[Ba(thd)(テトラグライム)]の0.1M溶液に対する、基材上への化学的気相堆積速度vと蒸発装置に入る液体の流量dの関係。
本発明の多チャンバー蒸発分離装置を図式的に示す図である。 キャリヤーガス注入機構を示す図1の部分拡大図である。 図2の線3−3に沿って見た断面図である。 図3Aの変形を示す。 CVD用途に好適な2個のチャンバーを備えた蒸発−分離装置を図式的に示す図である。 図4の装置の、圧力制御機構を備えた概観図である。 図4の装置の、3個のチャンバーを備えた変形である。 図4に対応する好ましい実施態様の縦方向断面図である。 図7の線8−8に沿って見た断面図である。 2種類の前駆物質の蒸気相分解が起こる時の基材の質量増加と時間の関係を示すグラフである。 2種類の前駆物質の蒸気相分解が起こる時の基材の質量増加と時間の関係を示すグラフである。 CVDによる層の成長速度の変化と溶液流量の関係を示すグラフである。

Claims (11)

  1. エンクロージャー(11、111、211)の内側で溶剤および化合物または溶質から構成される溶液(SO)を蒸発させる装置(10、100、200)であって、
    前記エンクロージャー(11、111、211)と、
    前記溶液(SO)のn構成成分のそれぞれの蒸発温度に対応する異なった温度(T1、T2....Tn)にある蒸発区域と、
    前記蒸発区域が、分離仕切(14、114、214)により幾つかの異なった単一チャンバー(12A、12B....12N;112A、112B;212A、212B、212C)に分離されてなり、出口(S1、S2....Sn)を経由して分別蒸発させることが可能なものであり、各構成成分に特異的な蒸気の複数の個別流を発生するものであり、
    前記溶剤の蒸気および前記化合物の蒸気を分離する手段と、及び
    前記分離仕切(14、114、214)の近くで中性のキャリヤーガス(GV)を注入し、前記異なったチャンバー間におけるガス流の圧損を制御する手段とを備えてなり、
    前記溶液(SO)が、最も低い温度(T1)に設定された第一チャンバー(12A、112A、212A)中に注入され、多孔質の可動素子(16、116、216)に含浸され、前記可動素子(16、116、216)は異なった仕切(14、114、214)を通過し、次第に増加していく温度(T1、T2....Tn)に加熱された前記チャンバーと順次接触されるものである、蒸発装置。
  2. 前記多孔質の可動素子(16、116、216)が、最高温度(Tn)までその機械的特性を維持する耐火性材料から製造されてなる、請求項1に記載の蒸発装置。
  3. 前記可動素子(116)が、それ自体で閉じてループを形成するコイル状のらせんスプリングにより形成され、モーター(154)により環状に駆動されてなる、請求項2に記載の蒸発装置。
  4. 前記各チャンバー(12A、12B....12N)が加熱ユニット(18A、18B....18N)および構成成分毎の出口(S1、S2....Sn)を備えてなる、請求項1に記載の蒸発装置。
  5. 前記各チャンバー(12A、12B....12N)中の圧力が、前記チャンバーの内側にある圧力計(P1、P2....Pn)と連携して作動する圧力制御機構(R、R1、R2)、および前記出口(S1、S2....Sn)上に配置された開口部可変バルブ(V1、V2....Vn)により制御されてなる、請求項4に記載の蒸発装置。
  6. 前記金属製エンクロージャー(11、111、211)がステンレス鋼またはアルミニウムから製造されてなり、前記分離仕切(14、114、214)が断熱材から製造されてなり、それぞれ前記可動素子(16、116、216)を通すための穴(22)を有するものである、請求項1に記載の蒸発装置。
  7. 前記キャリヤーガス(GV)の注入手段が、異なったチャンバー間でガス流を分配するための入口ダクト(A1、B1、C1;A2、B2、C2;An、Bn、Cn;GV)を備えてなり、前記圧損が前記仕切(14、114、214)の幅、および前記穴(22)と前記可動素子(16、116、216)の間の隙間に相当する断面差(24)とに依存するものである、請求項6に記載の蒸発装置。
  8. 前記エンクロージャー(11)の外壁が、前記異なったチャンバー間の熱移動を阻止するための熱交換機(150)を備えてなる、請求項1に記載の蒸発装置。
  9. 前記溶液(SO)が溶剤および前駆物質を含むCVD用途用に設計されてなり、
    前記温度(T1)に加熱された前記第一チャンバー(112A)の前記出口(S1)が蒸発した溶剤を凝縮機構(113)に導くのに対し、前記温度(T2)に加熱された前記第二チャンバー(112B)の前記出口(S2)が蒸発した前駆物質を前記CVD反応器に送るものである、請求項1に記載の蒸発装置。
  10. 前記溶液(SO)が2種類以上の前駆物質を含む場合、前記温度(T2)より高い温度(T3)に加熱された第三のチャンバー(212C)が出口(S3)により前記反応器(CVD)に接続されてなる、請求項9に記載の蒸発装置。
  11. 前記凝縮機構(113)および前記反応器(CVD)がポンプ機構(PP1、PP2)を備え、前記チャンバーから蒸気流を排出するものである、請求項9に記載の蒸発装置。
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