JP4110909B2 - Vehicle stabilizer device - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両の旋回時に発生するローリングを抑制する等、車両の走行安定性を向上させるために車両に設けられるスタビライザ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
スタビライザ装置は、一般的には、車両の幅方向に延びる状態で回転可能にかつその位置が固定されて車体に設けられるトーションバー部と、一端部がそのトーションバー部の両端部の各々に一体的につながりかつ他端部が左右の車輪装置の各々に連結される1対のアーム部とを含んで構成されている。そして、このスタビライザ装置は、車両が旋回することに起因して車体に遠心力が生じた場合、上記トーションバー部のねじり剛性によって、車体のローリングを抑制するように機能する。
【0003】
スタビライザ装置に求められる1つの特性として、例えば、車両の走行条件に応じて異なる様々な大きさの遠心力に対応し、車体の姿勢を効果的に安定させることが挙げられる。この要求を満たすべく開発された技術として、例えば、特開平7−40731号公報に記載された技術が存在する。この技術は、トーションバー部を2分割し、その分割部をロータリーアクチュエータにより連結した油圧可変型のスタビライザ装置に関するものである。そのロータリーアクチュエータを制御することにより、遠心力により車体に作用するローリングモーメントと拮抗する反対方向のロールモーメントを車体に加え、車体に生じるローリングを効果的に抑制するという技術である。
【0004】
一般的なスタビライザ装置は、車両旋回時にのみ機能するわけではない。例えば、片側の車輪が路上の凸部に乗り上げるようないわゆる片側バンプ時にも機能し、その凸部が大きな場合には、スタビライザバーにより、反対側の車輪が持ち上げられる。かかる場合には、車両の制御性を向上させるために、スタビライザ装置が機能しないようにすることも望まれている。このような要求を満たすべく開発された技術として、例えば、特開平5−319063号公報に記載された技術が存在する。この技術は、シリンダ装置を備えたスタビライザ装置に関するものであり、2つに区画されたシリンダ室のそれぞれにピストンを設け、このピストンに2つに分割されたトーションバー部の各々の一端をそれらのピストンの各々に螺合させ、必要に応じて、一方のシリンダ室において一方のピストンにより区画された2つの液室と、他方のシリンダ室において他方のピストンにより区画された2つの液室との連通状態を変更することにより、トーションバー部のねじり剛性の発生の有無を選択的に切替えるという技術である。
【0005】
【特許文献1】
特開平7−40731号公報
【特許文献2】
特開平5−319063号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題,課題解決手段および効果】
上記特開平7−40731号公報に記載のスタビライザ装置では、ロータリーアクチュエータとして、ベーン型のものを採用している。ベーン型のロータリーアクチュエータは、そのものの構造は比較的単純であるが、例えば、液室を区画しつつ摺動する摺動壁が矩形等の複雑な形状となるため、構成部材に高い加工精度が要求される等、液密を保つためのシール構造に難があり、液漏れを完全に無くすことが難しい。そのため信頼性に欠けるというデメリットを有する。
【0007】
上記特開平5−319063号公報に記載のスタビライザ装置では、シリンダ装置として、2つのシリンダ室を有し、そのそれぞれにピストンを有しており、その点において複雑な構造となっている。また、2つのシリンダ室がさらに区画された2つの液室を有し、それらの液室を複雑に連通させる配管路を必要とするため、その点においても構造が複雑なものとなっている。
【0008】
そこで、本発明は、上記問題に鑑み、簡単な構造を有し、実用的な車両用スタビライザ装置を得ることを課題としてなされたものであり、本発明によって、下記各態様の車両用スタビライザ装置が得られる。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも本発明の理解を容易にするためであり、本明細書に記載の技術的特徴およびそれらの組合わせが以下の各項に記載のものに限定されると解釈されるべきではない。また、一つの項に複数の事項が記載されている場合、それら複数の事項を常に一緒に採用しなければならないわけではない。一部の事項のみを選択して採用することも可能である。
【0009】
なお、以下の各項において、(21)項が請求項1に相当し、(24)項が請求項2に、(25)項が請求項3に、(22)項と(23)項とを合わせたものが請求項4に、(31)項が請求項5に、(33)項が請求項6に、(34)項が請求項7に、(37)項と(40)項とを合わせたものが請求項8に、それぞれ相当する。
【0010】
(1)(a)互いの回転軸線が平行に位置する状態で車体に対して位置が固定されて配置される1対の回転体と、(b)それら1対の回転体に係合し、車体に対して前記回転軸線に平行な方向である軸線方向に移動可能に設けられる可動体とを備え、前記可動体の前記軸線方向への変位に応じて前記1対の回転体の各々の間に相対的な回転変位を生じさせることが可能な作動装置と、
一端部が前記1対の回転体の各々に一体的に接続され、他端部が車体の左右に位置する1対の車輪装置の各々に接続される1対のスタビライザバーと
を含む車両用スタビライザ装置。
【0011】
本項に記載のスタビライザ装置は、上記作動装置を備える。この作動装置は、何らかの駆動力によって、可動体を積極的に軸線方向へ移動させることによって、例えば、1対の回転体を互いに逆方向に回転させることができ、そのような態様で使用すれば、ロータリーアクチュエータとして機能させることが可能である。アクチュエータとして機能させれば、1対の回転体の各々に接続された左右各々の車輪装置につながるスタビライザバーにより、車両旋回時において、車体に発生するローリングモーメントに抗うモーメントを車体に付与することができ、効果的に車体のローリングを抑制することができる。本項に記載の作動装置は、可動体を1つとすることができることから、比較的簡単な構造の作動装置であり、また、実用的なスタビライザ装置を実現し得る作動装置である。さらに、例えば、油圧を利用して作動装置を作動させる場合、具体的な構造を適切化することにより、油圧を利用したベーン型のロータリーアクチュエータが抱える前記シールの問題を容易に解決でき、信頼性の高い作動装置となり得る。
【0012】
本項に記載の作動装置の具体的な態様等は、以下の項にて順次説明するが、作動装置の可動体を積極的に移動させる場合の駆動力は特に限定されず、油圧等の流体圧によるもの、回転モータの回転力をギヤ等の動力伝達機構によって伝達されるもの、あるいは、リニアモータによるもの等、様々な駆動力によって可動体を移動させることが可能である。また、スタビライザバーは、回転体と別体をなし回転体と固定的に接続されて一体化させられる態様のものであってもよく、また、スタビライザバーの一部分が回転体として機能する態様のものであってもよい。スタビライザバーが回転体と別体である場合、トーションバー部とそれが延びる方向と交差する方向に向かうアーム部とを備える態様のスタビライザバーを採用し、トーションバー部の端部において回転体に接続される態様のスタビライザ装置としてもよく、また、トーションバー部を備えないスタビライザバーを採用し、自身がトーションバー部として機能する回転体にそのスタビライザバーを接続して、そのスタビライザバーをアームとしてのみ機能させる態様のスタビライザ装置としてもよい。
【0013】
(2)前記1対の回転体が、それらの回転軸線が車両の幅方向に略平行な状態で配置される(1)項に記載の車両用スタビライザ装置。
【0014】
本発明のスタビライザ装置では、回転軸線の車体に対する方向が限定されるものではないが、本項に記載の態様のように、軸線方向を車両の幅方向とすれば、一般のスタビライザ装置と同様に車両に配設することができ、簡便なスタビライザ装置となる。
【0015】
(3)前記1対の回転体が、同軸的に配置される(1)項または(2)項に記載の車両用スタビライザ装置。
【0016】
本発明のスタビライザ装置において、作動装置の2つの回転体はそれらの回転軸線が平行とされているが、本項に記載の態様のように、互いの回転軸線が同一線上となるように配置すれば、より単純な構造の作動装置が実現される。
【0017】
(4)前記可動体が前記1対の回転体の回転軸線まわりの回転を許容されて設けられる(3)項に記載の車両用スタビライザ装置。
【0018】
本発明のスタビライザ装置において1対の回転体を同軸的に配置した場合に、その軸線まわりに可動体の回転が許容された構造とすることもでき、また、可動体の回転が禁止された構造とすることもできる。ここでいう可動体の回転は、回転体との相対回転ではなく、車体を基準とした場合における回転(車体を絶対静止物とみなした場合において、その絶対静止物から見て回転している様子)を意味する。可動体の上記回転が禁止されている場合、作動装置は、例えば、可動体が軸線方向の移動を許容されつつ1対の回転体の各々が可動体に対して回転可能とされるときには、一方の回転体の回転を他方の回転体の逆方向の回転として伝達するという特性を有するものとなり得る。また、可動体の上記回転が禁止されている場合、1対の回転体のいずれか一方の可動体に対する回転が禁止されるとき、あるいは、可動体の軸線方向の移動が禁止されるときには、一方の回転体の回転を他方に伝達しないという特性を有するものとなり得る。可動体の回転が禁止された態様では、車輪装置側からのスタビライザバーを介しての入力に対して、作動装置が持ち得るそれらの特性を活かしたスタビライザ装置の実現が可能である。
【0019】
これに対して、本項に記載の態様のように、可動体の上記回転軸線まわりの回転を許容する構造とする場合、例えば、可動体の軸線方向の移動が禁止されるときには、2つの回転体は、可動体に対する回転が禁止されるため、可動体の回転に伴って一体的に回転することが許容される。このときには、1対のスタビライザバーは、一体として機能する。すなわち、作動装置を備えない通常のスタビライザ装置と同等の働きをすることになる。また、可動体の軸線方向の自由な移動が許容されるときは、1対の回転体の各々が任意の回転位置に位置することが許容されることから、スタビライザ装置が車輪装置に対して殆ど力を作用しない状態が実現する。本項の態様のスタビライザ装置では、例えば、可動体の軸線方向への移動の禁止・許容を切替えることにより、例えば、車両旋回時のローリングの抑制効果と、悪路走行等の場合における操縦安定性を向上させる効果とを択一的に得ることができる。なお、可動体の回転を禁止する場合にはその禁止手段が必要となるのに対して、本項に記載の態様ではそのような禁止手段は必要がなく、その点において単純な構造の作動装置となる。
【0020】
(5)前記可動体と前記1対の回転体の少なくとも一方とが、前記軸線方向に沿った螺旋軌道を有するねじ機構により互いに係合した(1)項ないし(4)項のいずれかに記載の車両用スタビライザ装置。
【0021】
本項に記載の態様は、1対の回転体と可動体との係合について限定した態様である。本発明のスタビライザ装置においては、可動体の軸線方向への変位に応じて1対の回転体の各々の間に相対的な回転変位を生じさせることが可能な構造となるように、1対の回転体の各々と可動体とが係合する。具体的には、本項に記載の態様のように、少なくとも一方の回転体と可動体とを螺合させることにより、簡便に上記構造が実現できる。ねじ機構を採用する場合、その種類が限定されるものではなく、例えば、回転体側を雄ねじ、可動体側を雌ねじとする、若しくはその逆の機構を採用することができる。ねじは、台形ねじ等を採用することにより安価な作動装置が得られる。螺合による摩擦を考慮すれば、ボールねじ機構を採用することが望ましい。
【0022】
(6)前記可動体と前記1対の回転体の各々とが、互いに逆向きの螺旋軌道を有する1対のねじ機構により互い係合した(5)項に記載の車両用スタビライザ装置。
【0023】
回転体と可動体との係合にねじ機構を採用する場合、1対の回転体の両者ともが、ねじ機構により可動体と係合させる態様の一つが、本項に記載の態様である。互いに逆ねじの関係にある1対のねじ機構により、回転体の各々を可動体に係合させれば、可動体の移動に伴う回転体相互間の回転変位を大きく採れるというメリットがある。また、前述したように、例えば、可動体の回転が禁止された構造とする場合において、可動体の軸線方向の移動を許容すれば、いずれの一方の回転体の回転をも、他方の回転体の逆方向の回転として伝達することができるというメリットもある。なお、2つの回転体の両者と可動体との係合にねじ機構を採用する場合、逆ねじの関係のねじ機構でなく、互いに同じ向きの螺旋軌道を有するねじ機構を採用しても、ねじピッチが異なるものであれば、2つの回転体に相対回転変位を生じさせることができる。
【0024】
(7)前記可動体と前記1対の回転体の一方とが、前記ねじ機構により互いに係合し、前記可動体と前記1対の回転体の他方とが、前記軸線方向に平行な直線軌道を有するスプライン機構により互いに係合した(5)項に記載の車両用スタビライザ装置。
【0025】
一方の回転体のみをねじ機構により係合させることもできる。その場合の一態様が、本項に記載の態様である。本項に記載の態様によれば、他方の回転体と可動体とは、スプライン機構により互いの軸線方向への相対移動が許容されることになる。スプライン機構による係合は、互いの相対回転を許容しないが、ねじ機構より単純であることから、比較的安価な作動装置が得られる。スプライン機構は、通常のスプラインの他、両者の摩擦による影響を軽減すべくボールスプラインを採用することも可能である。なお、本項の態様は、可動体が1対の回転体の回転軸線まわりの回転を許容された態様、つまり、(4)項の態様と組み合わせた場合に、特に有効的な態様である。
【0026】
(8)当該スタビライザ装置が、必要に応じて前記可動体の前記軸線方向の移動を規制する可動体移動規制装置を含む(1)項ないし(7)項に記載の車両用スタビライザ装置。
【0027】
(9)前記可動体移動規制装置が、前記可動体の前記軸線方向の移動を禁止する軸線方向移動禁止部を備えた(8)項に記載の車両用スタビライザ装置。
【0028】
(10)当該スタビライザ装置が、前記作動装置を、前記可動体の前記軸線方向への自由な移動が許容される状態と、前記可動体移動規制装置によって前記可動体の前記軸線方向への移動が規制される状態とに切替える動作状態切替装置を含む(8)項または(9)項に記載の車両用スタビライザ装置。
【0029】
前述したように、可動体の軸線方向の移動を許容する場合と、禁止する場合とでは、作動装置の特性が異なる。つまり、上記3つの項に記載の態様は、作動装置の特性、すなわちスタビライザ装置の動作状態に関する限定を加えた態様であるといえる。例えば、前述のように、1対の回転体が同軸的に配置され、その回転軸線まわりに可動体が車体に対して回転可能とされている場合、(9)項に記載の態様のごとく軸線方向の移動が禁止されるときには、1対の回転体は一体となって機能する。これに対して、可動体の軸線方向の自由な移動が許容されている場合は、1対の回転体の各々が任意の回転位置への回転が許容される。(8)項に記載の態様は、軸線方向への可動体の移動が禁止される態様を含むものであり、自由な移動ではなく、例えば、軸線方向への移動に対して何らかの抵抗が負荷された移動が許容される態様を含む。可動体に対して何らかの抵抗が負荷された移動が許容される場合は、自由な移動が許容される態様により得られる特性と、移動が禁止された態様により得られる特性との中間的な特性を有する作動装置を実現することが可能である。なお、この負荷される抵抗の大きさ、すなわち軸線方向への移動の規制の程度を変更するあるいは変化させることにより、得られる特性を変更、変化させることができる。さらに、(10)項に記載の態様のように、可動体に対して自由な移動と規制された移動とを切替えれることができれば、当該スタビライザ装置の動作状態、すなわち特性を切替えることが可能である。
【0030】
(11)当該スタビライザ装置が、必要に応じて前記可動体を前記軸線方向に付勢する可動体付勢装置を含む(1)項ないし(10)項のいずれかに記載の車両用スタビライザ装置。
【0031】
本項に記載の態様は、例えば、作動装置をロータリーアクチュエータとして作用させ得る態様である。可動体を軸線方向に付勢すれば、1対の回転体の間で回転トルクを発生させることが可能である。回転体による回転トルクはそれにつながるスタビライザバーに作用し、左右の車輪装置の一方を車体に対して持ち上げ、他方を押し下げる力として車輪装置に作用する。これにより、例えば、車両旋回時におけるローリングを抑制することが可能となる。
【0032】
(12)当該スタビライザ装置が、前記可動体付勢装置を制御する付勢装置制御装置を含む(11)項に記載の車両用スタビライザ装置。
【0033】
(13)前記付勢装置制御装置が、前記可動体付勢装置による付勢力の向きを制御する付勢方向制御部を備えた(12)項に記載の車両用スタビライザ装置。
【0034】
(14)前記付勢装置制御装置が、前記可動体付勢装置による付勢力の大きさを制御する付勢力制御部を備えた(12)項または(13)項に記載の車両用スタビライザ装置。
【0035】
上記3つの項は、前述の可動体付勢装置の制御に関するものである。(12)項に記載の態様のように、付勢装置制御装置を設ければ、作動装置によって発生する回転トルク、すなわち、車輪装置へ作用する力を制御可能となる。(13)項に記載の態様は、どちら向きの回転トルクを発生させるかを制御するものであり、例えば、車両が右旋回する場合と左旋回する場合とで、車輪装置に作用する力の向きを異ならせることができる。また、(14)項に記載の態様では、車輪装置に作用する力の大きさを制御することができる。
【0036】
(15)前記付勢装置制御装置が、前記車体に作用するローリングモーメントに応じて前記可動体付勢装置を制御するローリング対応制御部を備えた(12)項ないし(14)項のいずれかに記載のスタビライザ装置。
【0037】
例えば、車両旋回時においては、車両の走行状態によって車体が受ける遠心力が異なる。ローリングモーメントは、この遠心力の程度によって異なる。例えば、遠心力を検知する検出器、ステアリングの舵角および車両の走行速度を検出する検出器等のローリングモーメントを認識し得る手段を設けて、その時々のローリングモーメントを認識し、その値に応じて作動装置の車輪装置へ作用する力を制御すれば、車体の姿勢がより安定する。
【0038】
(21)(A)作動液を液密状態で収容するシリンダハウジングと、(B)そのシリンダハウジングの内部を互いに液密な2つの作動液室に区画するとともに、そのシリンダハウジングの軸線であるハウジング軸線に平行な方向である軸線方向に移動可能に配設されたピストンと、(C)前記ハウジング軸線と自らの回転軸線とが同一線上に位置させられて前記シリンダハウジングに対して回転可能かつ前記軸線方向に移動不能に配設され、前記ピストンの前記軸線方向への移動を許容しつつその移動に応じて互いに相対回転する状態で、各一端部が前記ピストンに係合した1対の回転軸と、(D)前記2つの作動液室の各々への作動液の流入およびその各々からの作動液の流出を可能とする1対の作動液入出路とを備え、前記ハウジング軸線が車両の幅方向に略平行となる状態でかつ車体に対して前記1対の回転軸の各々の位置が固定された状態で配置される作動装置と、
一端部が、前記1対の回転軸の他端部の各々に一体的に接続され、他端部が、車体の左右に位置する1対の車輪装置の各々に接続される1対のスタビライザバーと
を含む車両用スタビライザ装置。
【0039】
本項に記載の態様は、前述の態様のスタビライザ装置をより具体的にした態様である。詳しくは、前記(1)項ないし(4)項の特徴を備えたスタビライザ装置の一態様であり、作動装置の作動を油圧システム等の液圧システムによって実現させた態様である。本項に記載の態様では、上記1対の回転軸が前述の態様における1対の回転体に相当し、上記ピストンが可動体に相当する。
【0040】
本項に記載の作動装置は、油圧等の作動液の液圧を利用して作動するものであるが、2つの作動液室の境界となる部分のシール構造、例えば、シリンダハウジングの内筒面とピストンの外周面との摺動部におけるシール構造が、前述のベーン型のロータリーアクチュエータと比較して簡単な構造で済む。そのため、本作動装置は、作動液の漏れ等の蓋然性が低く、信頼性が高い。また、本作動装置は、ピストンを1つだけ含んで構成することが可能であり、その点において、構造が単純化されたものとなる。
【0041】
(22)前記ピストンが前記ハウジング軸線まわりの回転を許容されて配設された(21)項に記載の車両用スタビライザ装置。
【0042】
(21)項に記載のスタビライザ装置において、前記ピストンが回転可能に設けられる態様として、シリンダハウジングとピストンとの相対回転を禁止して、シリンダハウジングの回転を許容する態様を採用することができる。本項に記載の態様は、シリンダハウジングとピストンとの相対回転を許容することで、車体に対するピストンの回転を許容する。本項に記載の態様では、シリンダハウジングとピストンとの相対回転を禁止する手段を必要としないことから、単純な構造の作動装置が実現する。
【0043】
(23)前記作動装置が、前記シリンダハウジングが車体に対して固定された状態で配置された(22)項に記載の車両用スタビライザ装置。
【0044】
シリンダハウジングとピストンとの相対回転が許容される場合、シリンダハウジングを車体に対して固定しても、ピストン自体の回転は許容される。本項の態様には、シリンダハウジングを直接車体に取り付ける態様の他、何らかの保持手段により、シリンダハウジングを固定的に保持する態様等が含まれる。シリンダハウジングが車体に対して固定的であるため、上記作動液入出路としての接続配管を固定的なものとすることができ、油圧レスポンスの低下が少なく、その点において信頼性が高い作動装置が得られる。
【0045】
(24)前記ピストンと前記1対の回転軸の少なくとも一方とが、前記軸線方向に沿った螺旋軌道を有するねじ機構により互いに係合した(21)項ないし(23)項のいずれかに記載の車両用スタビライザ装置。
【0046】
(25)前記ピストンと前記1対の回転軸の各々とが、互いに逆向きの螺旋軌道を有するねじ機構により互いに係合した(24)項に記載の車両用スタビライザ装置。
【0047】
(26)前記ピストンと前記1対の回転軸の一方とが、前記ねじ機構により互いに係合し、前記ピストンと前記1対の回転軸の他方とが、前記軸線方向に平行な直線軌道を有するスプライン機構により互いに係合した(24)項に記載の車両用スタビライザ装置。
【0048】
上記(24)項、(25)項、(26)項に記載の態様は、ぞれぞれ、前記(5)項、(6)項、(7)項に記載された態様に対応する。作用および効果は、前述のものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0049】
(27)(イ)作動液を液密状態で収容するシリンダハウジングと、(ロ)そのシリンダハウジングの軸線であるハウジング軸線と自らの回転軸線とが同一線上に位置させられ、そのシリンダハウジングに対して回転可能にかつ前記ハウジング軸線に平行な方向である軸線方向に移動不能に配設された回転軸と、(ハ)前記シリンダハウジングの内部を互いに液密な2つの作動液室に区画するとともに、前記軸線方向に移動可能に配設され、その移動に応じて前記シリンダハウジングと前記回転軸とが相対回転する状態で、前記シリンダハウジングと前記回転軸の一端部とに係合するピストンと、(ニ)前記2つの作動液室の各々への作動液の流入およびその各々からの作動液の流出を可能とする1対の作動液入出路とを備え、前記ハウジング軸線が車両の幅方向に略平行となる状態でかつ車体に対して前記シリンダハウジングおよび前記回転軸の位置が固定された状態で配置される作動装置と、
一端部が、前記シリンダハウジングおよび前記回転軸の他端部の各々に一体的に接続され、他端部が、車体の左右に位置する1対の車輪装置の各々に接続される1対のスタビライザバーと
を含む車両用スタビライザ装置。
【0050】
本項に記載の態様は、(21)項と同様に、前記(1)項ないし(4)項の特徴を備えたスタビライザ装置を、より具体的にした態様である。作動装置の作動を油圧システム等の液圧システムによって実現させた態様であるが、前記(21)とは異なる構成を有する。本項に記載の態様では、1つの回転軸と、シリンダハウジングとが、前述の態様における1対の回転体の各々に相当し、上記ピストンが可動体に相当する。構造が単純であり、作動液の漏れ等の蓋然性が低いというメリットについては、前記(21)項に記載の態様と同様である。なお、本項に記載の態様においては、シリンダハウジングと回転軸との両者が、ハウジング軸線まわりに回転可能に配設されることが望ましい。
【0051】
(28)前記ピストンと前記シリンダハウジングとの係合と、前記ピストンと前記回転軸の一端部との係合との少なくとも一方が、前記軸線方向に沿った螺旋軌道を有するねじ機構によりなされた(27)項に記載の車両用スタビライザ装置。
【0052】
(29)前記ピストンと前記シリンダハウジングとの係合と、前記ピストンと前記回転軸の一端部との係合とのいずれか一方が、前記ねじ機構によりなされた(28)項に記載の車両用スタビライザ装置。
【0053】
(30)前記ピストンと前記シリンダハウジングとの係合と、前記ピストンと前記回転軸の一端部との係合とのうち、前記ねじ機構によりなされていない方の係合が、前記軸線方向に平行な直線軌道を有するスプライン機構によりなされた(29)項に記載の車両用スタビライザ装置。
【0054】
上記(28)項、(29)項、(30)項に記載の態様は、ぞれぞれ、前記(5)項に記載の態様、(5)項に含まれる一態様、(7)項に記載された態様に対応する。作用および効果は、前述のものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0055】
(31)当該スタビライザ装置が、前記1対の作動液入出路を互いに連通させる相互連通路を含む(21)項ないし(30)項のいずれかに記載の車両用スタビライザ装置。
【0056】
本項に記載の態様のように、相互連通路により1対の作動液入出路を互いに連通させれば、シリンダハウジング内でピストンによって区画された2つの作動液室の相互間の作動液の出入りが可能となる。例えば、この作動液の出入りが自由に行われるように構成すれば、ピストンの軸線方向の自由な移動が確保される。その場合、1対のスタビライザバーの各々の自由な動きが確保され、本スタビライザ装置は、車輪装置に対して作用する力を発揮しない状態となる。
【0057】
(32)前記相互連通路に、前記作動液の流量を規制する連通路流量規制器が設けられた(31)項に記載の車両用スタビライザ装置。
【0058】
(33)当該スタビライザ装置が、前記相互連通路における前記作動液の流れを遮断する連通路遮断器を含む(31)項または(32)項に記載の車両用スタビライザ装置。
【0059】
上記(32)項、(33)項に記載の態様は、それぞれ前述の(8)項、(9)項に記載の態様に対応する態様である。例えば、相互連通路となる配管経路の途中に、絞り弁等の流量調節弁を設置すれば、その流量調節弁が(32)項にいう連通路流量規制器となり、また、その配管経路の途中に開閉弁を配設すれば、その開閉弁が(33)項にいう連通路遮断器となる。連通路流量規制器は、前述の可動体移動規制装置の一態様であり、また、連通路遮断器は、可動体移動規制装置における軸線方向移動禁止部の一態様であるとともに、(10)項に記載の動作状態切替装置の一態様である。連通路流量規制器によって相互連通路の作動液の流量を規制すれば、ピストンの自由な軸線方向の移動が規制され、また、連通路遮断器によって相互連通路における作動液の流れを遮断すれば、ピストンの軸線方向の移動が禁止される。これらにより、前述のようにスタビライザ装置の特性を変えることができる。
【0060】
(34)当該スタビライザ装置が、前記2つの作動液室の作動液圧に液圧差を発生させる液圧差発生装置を含む(21)項ないし(33)項のいずれかに記載の車両用スタビライザ装置。
【0061】
本項に記載の態様は、先の(11)項に記載の態様と対応する。2つの作動液室に液圧差を発生させれば、圧の高い側から低い側に向かう方向にピストンが付勢される。すなわち、液圧差発生装置は、前述の可動体付勢装置の一態様である。2つの作動液室に液圧差を発生させることにより、(21)項に関する態様では1対の回転軸の相互間において、(27)項に関する態様では回転軸とシリンダハウジングとの間において回転トルクを発生させることができ、スタビライザバーを介して車輪装置に力を作用させることができる。
【0062】
(35)前記液圧差発生装置が、前記1対の作動液入出路のいずれか一方に接続され、その接続された一方の作動液入出路につながる前記2つ作動液室の一方の作動液を加圧する作動液加圧装置を備えた(34)項に記載の車両用スタビライザ装置。
【0063】
(36)前記作動液加圧装置が、液圧ポンプを有する(35)項に記載の車両用スタビライザ装置。
【0064】
液圧差発生装置の一態様として作動液加圧装置を用いれば、ピストンへの付勢を容易に行うことができる。その場合、油圧ポンプ等の液圧ポンプを用いたポンプ装置を採用すれば、簡便な作動液加圧装置を構成できる。
【0065】
(37)当該スタビライザ装置が、前記液圧差発生装置を制御する液圧差発生装置制御装置を含む(34)項ないし(36)項のいずれかに記載の車両用スタビライザ装置。
【0066】
(38)前記液圧差発生装置制御装置が、前記2つの作動液室のうち高圧とする作動液室を選択する高圧室選択部を備えた(37)項に記載の車両用スタビライザ装置。
【0067】
(39)前記液圧差発生装置制御装置が、前記液圧差の大きさを制御する液圧差制御部を備えた(37)項または(38)項に記載の車両用スタビライザ装置。
【0068】
上記3つの項は、液圧差発生装置の制御に関する限定を加えた項である。それぞれの項に記載の態様は、先の(12)項、(13)項、(14)項のそれぞれに記載された態様に対応する。液圧差発生装置制御装置は、先の付勢装置制御装置の一態様であり、高圧室選択部は付勢方向制御部の、液圧制御部は付勢力制御部の一態様である。液圧差発生装置にポンプ装置を用いる場合、そのポンプ装置の吐出側を、一方の作動液入出路に連通させれば、その連通された側の作動液室の圧が高まる。この場合、ポンプ装置の吐出側と連通する作動液入出路を切替える切替弁を配設すれば、その切替弁が高圧室選択部の一部分として機能する。また、ポンプ装置の吐出圧を制御する吐出圧制御装置を設ければ、その吐出圧制御装置が、液圧差制御装置として機能する。具体的には、例えば、ポンプ装置が駆動源としてモータを備える場合、そのモータの回転を制御することにより、液圧差の制御が可能となる。また、例えば、ポンプ装置がアキュムレータを備える場合、ポンプ装置の吐出口側に電磁式リニア弁等の液圧制御弁を配設し、モータを制御する代わりに、その制御弁を制御することによっても、2つの作動液室の液圧差を制御できる。
【0069】
(40)前記液圧差発生装置制御装置が、前記車体に作用するローリングモーメントに応じて前記液圧差発生装置を制御するローリング対応制御部を備えた(37)項ないし(39)項のいずれかに記載の車両用スタビライザ装置。
【0070】
本項に記載の態様は、前述の(15)項に記載の態様に対応するものであり、液圧差発生装置制御装置が、例えば、先に述べたような認識手段により認識されたローリングモーメントに基づいて2つの作動液室の液圧差を制御すれば、走行状態に応じた適切なローリング制御が実現される。
【0071】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施形態およびその変形態様について、図を参照しつつ説明する。なお、本発明は、下記の実施形態等に限られるものではなく、下記実施形態の他、前記〔発明が解決しようとする課題,課題解決手段および効果〕の項に記載された態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した形態で実施することができる。
【0072】
<第1実施形態>
(A)スタビライザ装置の全体構成
図1に、本発明の一実施形態であるスタビライザ装置が車両に設けられた図を示す。本スタビライザ装置は、ロータリーアクチュエータとしても機能する作動装置10と、作動装置につながる1対のスタビライザバー12(図では、片側のスタビライザバーを省略している)とを含んで構成されている。作動装置10は、シリンダ装置であり、概ね円筒状のシリンダハウジング14の両端側より、1対の回転軸16,18が延び出している。1対の回転軸16,18の回転軸線の各々は、シリンダハウジング14のハウジング軸線と同一線上に位置している。作動装置10は、ハウジング軸線が車両の幅方向に平行となる状態で、シリンダハウジング14が車体20の一部である幅方向における略中央に位置する部分に固定的された状態で、配置されている。
【0073】
1対のスタビライザバー12の各々は、概ね、車両の幅方向に直線的に延びるトーションバー部30と、トーションバー部30と一体をなしてトーションバー部30と交差する方向に曲線的に延びるアーム部32とからなる。1対のスタビライザバー12の一方についてのみ説明すれば、トーションバー部30のアーム部32とは反対側の端部である回転軸接続部34において、1対の回転軸16,18の一方と一体的に接続されている。詳しくは、回転軸16,18の一方に対して、軸線方向に移動不能にかつ回転不能に接続されている(接続の方式については後述)。また、トーションバー部30は、アーム部32に近い部分において、車体20に固定的に設けられたバー支持部材36によって、回転可能に支持されている。アーム部32は、トーションバー部30とは反対側の一端部に車輪装置側接続部38を有しており、この接続部38において左右の車輪装置40の一方に接続されている。車輪装置40は、主に車輪42と車輪42を支持するサスペンション装置44とから構成され、詳しくは、アーム部32は、サスペンション装置44に設けられたアーム取付部材46に、若干の傾斜が許容された取付軸のまわりに回転可能に取り付けられている。1対のスタビライザバー12の他方も同様に構成されている。
【0074】
以上の構成から、作動装置10がロータリーアクチュエータとして機能する場合には、回転軸16,18において発生する回転トルクが、車体20に対して左右の車輪装置40を持ち上げる力あるいは押し下げる力として作用する。また、後述するが、ロータリーアクチュエータとして機能しない場合において、車輪装置40の上下動作によって発生するトーションバー部30における回転変位、回転トルクが作動装置10に入力される。なお、作動装置10は、作動液を作動油とし、その油圧を利用して作動するものであり、図1では省略するが、作動装置10を作動させるための液圧装置である油圧装置が車体20に設けられており、固定配管である管路50、52によって、その油圧装置に接続されている。また、図1では省略するが、この油圧装置を制御することによってスタビライザ装置を制御する制御装置も、当該スタビライザ装置の一部分として、車体の所定箇所に設けられている。油圧回路および制御装置については、後述する。
【0075】
(B)作動装置の構成
図2に、本実施形態のスタビライザ装置を構成する作動装置10の断面図を示す。作動装置10は、主に、シリンダハウジング14と、シリンダハウジング14の内部に配設されたピストン60と、各々の一端部がピストン60に係合して他端部がシリンダハウジング14外に延び出す1対の回転軸16,18とを含んで構成されている。1対の回転軸16,18の各々の回転軸線およびピストン60の軸線は、シリンダハウジング14の軸線であるハウジング軸線と同一線上に位置している。
【0076】
シリンダハウジング14は、概して円筒形状をなすハウジング本体62と、ハウジング本体62の両端側のそれぞれに設けられた1対の回転軸支持部64とを含んで構成されている。回転軸支持部64の各々は、概ねフランジ付円筒形状をなしてフランジ外周部がハウジング本体62内部に設けられた段差部に当接して位置する支持体66と、支持体66の円筒部内部に設けられた1対のアンギュラ型ラジアル軸受68,70と、これら軸受68,70の間隔を規定する円環状のスペーサ72と、概して円板状をなし、ハウジング本体62の両端部に螺合して軸受68,70およびスペーサ72を支持体66とで挟持する蓋体74とを含んで構成されている。回転軸16,18の各々は、軸部80と、軸部80より大径の被挟持部82とを有している。支持体66および蓋体74には、軸部80の外径より僅かに大きな内径を有する挿通穴が設けられており、回転軸16,18の各々は、この挿通穴に軸部80を挿通させた状態で、1対の軸受68,70によって、被挟持部82が挟持されつつ保持されている。1対の回転軸16,18の各々は、シリンダハウジング14に対して、位置が固定された状態、すなわち軸線方向およびそれに交差する方向に移動不能な状態で、回転可能に保持されているのである。
【0077】
ピストン60は、ハウジング本体62の内径より僅かに小さな外径を有する摺接部90と、摺接部90より小さな外径を有し、摺接部90の両側のそれぞれに位置して回転軸16,18の各々が係合する係合部92,94とを有している。ピストン60は、摺接部90においてハウジング本体62と摺接し、シリンダハウジング14に対して軸線方向に移動可能かつハウジング軸線まわりに回転可能とされている。係合部92,94の各々には、軸線方向に穿設され回転軸16,18の軸部80の外径より僅かに大きな内径を有する有底穴が設けられ、係合部92,94の各々は、この有底穴に軸部80を挿入させた状態で、各々のねじ機構96,98により回転軸16,18の各々と係合している。詳しくは、係合部92,94の各々は、ベアリングボールを有するナットとされており、軸部80に螺設されたボールねじと螺合することによって、回転軸16,18の各々を係合させているのである。この構造により、ピストン60は、1対の回転軸16,18の相対回転に伴って軸線方向に移動する。言い換えれば、ピストン60の軸線方向への移動に応じて、1対の回転軸16,18は相対回転させられるのである。
【0078】
シリンダハウジング14の内部は、作動液である作動油が収容される。ハウジング内部の油漏れを防止するために、回転軸支持部64の支持体66のフランジ部の外周面とシリンダ本体62の内周面とが嵌り合う部分、および、回転軸16,18の軸部80の外周面と支持体66の内周面とが嵌り合う部分に、パッキン材としてのOリング110,112が嵌め込まれている。また、シリンダハウジングの14の内部は、ピストン60によって、2つの作動液室114,116に区画されている。作動液室114と作動液室116との間の油漏れを防止するために、シリンダ60の摺接部80の外周面とハウジング本体62の内周面との間にも、パッキン材としてのOリング118が嵌め込まれている。極めて簡便なシール構造が実現されているのである。さらに、ハウジング本体62には、作動液口120,122が設けられており、それぞれに固定配管である管路50、52が接続されている。作動液口120,122および管路50,52は、作動液室114,116の各々への作動油の流入およびその各々からの作動油の流出を可能とする1対の作動液入出路を構成しているのである。なお、ハウジング本体62には、その壁面に作動液室114,116のそれぞれにつながる2つの孔124が設けられ、それぞれの孔124には、空気抜きのためのプラグ126が取り付けられている。
【0079】
図3に、回転軸16,18の一方とスタビライザバー12との接続状態を示す。回転軸16,18は、シリンダハウジング14から延び出す一端部であるバー接続部140において、スタビライザバー12のトーションバー部30の一端部である回転軸接続部34と接続されている。バー接続部140には、セレーション条が設けられており、また、回転軸接続部34には、軸線方向に穿設された嵌合穴の内面に、セレーション溝が設けられている。これらセレーション条とセレーション溝とが噛み合うようにして、回転軸接続部34とバー接続部140とが嵌合している。また、バー接続部34には、係止溝142が設けられており、雌ねじを形成して設けられた係止ピン穴144に、ボルト状の係止ピン146が螺合させられた状態で、係止ピン146の先端部が係止溝142に係合することにより、回転軸接続部34とバー接続部140との軸線方向の相対移動が阻止されている。このような構造により、回転軸16,18の各々と、1対のスタビライザバー12の各々とが、互いに一体的に接続されているのである。
【0080】
(C)作動装置の動作およびスタビライザ装置の動作
図1および図2を参照しつつ、作動装置の動作およびスタビライザ装置の動作を説明する。図1は、車両の上方から見た図であり、図1に表されている車輪装置は、右側の車輪装置である。まず、作動装置10をロータリーアクチュエータとして機能させる場合を考える。この場合は、シリンダハウジング14内の作動液室114と作動液室116との間に液圧差を発生させれば、高圧側から低圧側にピストン60が軸線方向に移動し、これに伴って1対の回転軸16,18の各々が相対回転し、左右のスタビライザバー12が捻られる。この捻りにより生じる力は、車輪装置44を押し下げるあるいは持ち上げる力として作用する。左右の車輪装置40の各々に作用する力が車体20のもつ重力、サスペンション装置のバネ力等と釣り合う位置まで、ピストン60は軸線方向に移動するのである。簡単に言えば、回転軸16,18に回転トルクが発生し、その回転トルクによって車体が傾斜させられるのである。
【0081】
より具体的に説明すれば、作動液室116に油圧を供給して高圧側とすれば、ピストン60は、図2における右方向に移動し、回転軸16は、回転軸18に対して、車両右側からみた左回転方向に相対回転する(ピストン60は軸線まわりの回転を許容されているため、必ずしも、回転軸16が左回転し、回転軸18が右回転するとは限らない)。これにより、右側のスタビライザバー12は、車体20を持ち上げる方向に力を作用させ、左側のスタビライザバー12は、車体20を押し下げる方向に力を作用させる。その結果、車体は、左側に傾くことになる。逆に、作動液室114に油圧を供給して高圧側とすれば、スタビライザ装置は、上記動作と逆の動作を行う。なお、作動装置10は、2つの作動液室114,116の液圧差に応じた回転トルクを発生し、液圧差を変化させれば、発生する回転トルクの大きさも変化することになる。
【0082】
次に、作動装置が、ロータリーアクチュエータとしてではなく、受動的な装置として機能する場合について説明する。平たく言えば、車輪装置40側からの入力によるスタビライザ装置の動作についての説明である。まず、管路50と管路52とが作動油の流量規制なく連通している場合について考える。この場合は、ピストン60は、ハウジング軸線まわりの回転が許容されているのに加え、軸線方向への自由な移動が許容される。したがって、1対の回転軸16,18の各々が自由に、任意の回転位置に位置することが可能である。この場合、例えば、一方の車輪42が、路面の凹凸等によって、上下方向に変位しても、スタビライザ装置は何らの力も車輪装置に作用しない。すなわち、スタビライザとしての機能を殆ど発揮しなくなるのである。スタビライザ装置がこの状態にある場合、例えば、片輪バンプのような状態であっても、スタビライザ装置が機能することによる他方の車輪の接地面積の減少といった現象が生じ難い。つまり、例えば悪路走行における操縦安定性を向上させることができるのである。
【0083】
続いて、管路50と管路52とが遮断されている場合を考える。この場合は、ピストン60は、軸線方向の移動が禁止され、軸線まわりの回転だけが許容される。したがって、1対の回転軸16,18の間の相対回転が禁止され、2つの回転軸16,18が一体化した状態での回転だけが許容される。この状態は、作動装置が設けられていない一般のスタビライザ装置と略同じように機能する。すなわち、スタビライザバー12のトーションバー部30のねじり剛性によってロールを抑制する力が発生することになる。なお、上記管路50と管路52とが作動油の流量規制なく連通している状態と遮断されている状態との中間的状態、すなわち、作動油が流量規制されて連通している状態では、何某かの抵抗を受けつつピストン60が軸線方向に移動を許容されているため、例えば、比較的急激な車輪装置40への入力には通常のスタビライザ装置のように機能し、比較的緩やかな車輪装置40への入力にはスタビライザ装置としての機能を殆ど発揮しない状態となる。流量規制の程度により、種々の特性のスタビライザ装置を実現させることが可能である。
【0084】
(D)油圧回路と制御装置
本実施形態のスタビライザ装置は、液圧装置である油圧装置によって作動装置10が作動する。図4に、スタビライザ装置の油圧システムの回路図および制御装置の概要を示す。図に示すものは、前輪側(図の下方側)、後輪側(図の上方側)ともに、作動装置10および1対のスタビライザバー12を備えている。油圧装置は、前輪側の作動装置10と後輪側の作動装置10とのそれぞれに対して設けられた電磁式開閉弁160および電磁式切替弁162と、前輪側および後輪側の作動装置10に共用され、それぞれの作動装置10の作動液室114,116を加圧する作動液加圧装置(液圧差発生装置)としてのポンプ装置164とを備えている。ポンプ装置164は、駆動源としての電動モータ166と、電動モータ166によって作動する液圧ポンプとしての油圧ポンプ168と、作動油を貯留するリザーバ170と、吐出圧を計測する圧力センサ172とを含んで構成されている。このように構成された油圧装置は、車両が備える電子制御ユニット(ECU)174によって制御される。すなわちECU174の一部分が油圧装置の制御装置、つまりスタビライザ装置の制御装置として機能する。
【0085】
作動液入出路として作動装置10から延び出る管路50,52は、開閉弁160の2つの作動装置側ポートの各々に接続されている。開閉弁160の反対側の2つポートの各々と切替弁162の2つのポートの各々とは管路180,182によって接続され、切替弁162の反対側の2つのポートには、ポンプ装置164のリターン側および吐出側の管路184,186がそれぞれ接続されている。開閉弁160がOFF状態のときには、管路50と管路52とは遮断されている。すなわち、開閉弁160は、連通路遮断器として機能するのである。開閉弁160のソレノイドが励磁されたON状態では、作動装置10は、切替弁162と連通する。その状態において、切替弁162がOFF状態の場合は、管路50と管路52とは相互に連通する。ただし、本実施形態では、切替弁162には絞りが存在しており、管路50と管路52とは、作動油の流量が規制された状態で連通するようにされている。つまり、切替弁160の絞り効果を発揮する部分が、連通路流量規制器として機能するのである。切替弁162の第1励磁状態においては、ポンプ装置164の吐出側が管路50と、リターン側が管路52と連通し、ポンプ装置164による吐出圧が作動装置10に供給されれば、車体は右側に傾斜させられる。切替弁162の第2励磁状態においては、ポンプ装置164の吐出側が管路52と、リターン側が管路50と連通し、ポンプ装置164による吐出圧が作動装置10に供給されれば、車体は左側に傾斜させられる。なお、この切替弁162に代えて、図5に示すような、OFF状態において、絞りを有さず、連通路の流量を殆ど規制しないようにした切替弁188を採用してもよい。
【0086】
ポンプ装置164が備える油圧ポンプ168はギアポンプであり、また、電動モータ166はサーボモータである。ポンプ装置164の吐出圧は、圧力センサ172による監視の下、電動モータ166の回転を制御することにより、制御される。吐出圧の制御により、作動装置10に、任意の、例えば、車両旋回時に車体20が受けるローリングモーメントに基いて、それを打ち消す適正な回転モーメントを発生させることができる。なお、サーボモータに代えて、直流モータ等を用い、オープン制御を行うようにしてもよい。
【0087】
スタビライザ装置の制御装置であるECU174はコンピュータ190を主体とするものである。図では、スタビライザ装置の制御に関係のある部分のみを示している。コンピュータ190は、CPU192と、ROM194と、RAM196と、入出力インターフェース198と、これらを結ぶバス200とを含んで構成されている。入出力インターフェース198には、ECU174が備えるそれぞれの駆動回路202を介して、電動モータ166、開閉弁160、切替弁162等が接続され、また、車両の速度を検出する車速センサ204、ステアリング舵角を検出する舵角センサ206、前述の圧力センサ172が接続されている。
【0088】
(E)スタビライザ装置の制御
本実施形態のスタビライザ装置は、走行時には、ECU174のROM194に記憶されている制御プログラムに基づいて制御される。以下に、その制御プログラムにより制御されたスタビライザ装置の動作について、フローチャートを参照しつつ、説明する。なお、説明を単純化するために、前輪側、後輪側の作動装置10について同じ制御が行われるものとして説明を行う。
【0089】
図6に、制御に関するフローチャートを示す。フローチャートに示す制御は、車両の作動開始(例えば、イグニッションスイッチのON)から開始され、作動停止(例えば、イグニッションスイッチのOFF)によって終了する。まず、作動開始後ステップ1(以下「S1」と略す。以下のステップも同様とする。)において、所定の初期設定が行われた後、開閉弁160がON状態、すなわち、作動装置10が切替弁162と連通する状態とされる。続いてS2において、車両が旋回状態にあるか否かが判断される。具体的には、舵角センサ206により検出されたステアリング舵角に基づいて判断される。旋回状態でない場合は、S3においてポンプ装置164の駆動、詳しくは電動モータ166の駆動を停止させる。続いて、切替弁162がOFF状態とされ、作動装置10の作動液室114,116は、作動油の流量が規制されつつ相互に連通される。この状態では、先に説明したように、比較的急激な車輪装置40への入力には作動装置を有しない通常のスタビライザ装置に類似した機能を有する状態となり、比較的緩やかな車輪装置40への入力にはスタビライザ装置としての機能を殆ど発揮しない状態となる。
【0090】
S2において車両が旋回状態にあると判断された場合は、S5において、ポンプ装置164が作動させられるとともに、吐出圧が制御される。具体的には、まず、舵角センサ206および車速センサ204により検出された舵角および車両の走行速度に基づいて、その走行状態において車両の旋回により車体に生じるローリングモーメントが算出される。続いて、その算出されたモーメントを打ち消すモーメントを発生するためのポンプ装置164の理論吐出圧が、ROM194(RAM196であってもよい)に記憶されたデータから読み出され、圧力センサ172により検出される吐出圧が上記理論吐出圧となるように、電動モータ166の回転が制御されるのである。
【0091】
S5に続くS6において、車両が右旋回であるか左旋回であるかが、舵角センサ206によって検出された舵角に基づいて判断される。右旋回状態であると判断された場合は、S7において、切替弁162が第1励磁状態とされる。これにより、適正な吐出圧が作動装置10に供給され、旋回によって生じる車体の傾斜を打ち消すように、スタビライザ装置により車体を右側に傾斜させる力が与えられる。S6において、左旋回状態であると判断された場合は、S8において、切替弁162が第2励磁状態とされる。これにより、S7における場合とは逆に、スタビライザ装置により車体を左側に傾斜させる力が与えられる。このようにして、車両旋回時においては、スタビライザ装置はロータリーアクチュエータとして機能し、車体のロール状態を適切にコントロールする。
【0092】
S9においては、車両の動作が停止している否かが判断され、車両が作動中である場合は、S2に戻って、上記制御が繰り返される。詳しい説明は省略するが、S2からS9までは、極めて短い時間ピッチ(例えば、数十m秒)で繰り返されるようにされており、車両が作動している間、常に上記制御が行われるようにされている。S9において、車両の作動が停止されたと判断された場合は、S10において、開閉弁160がOFFの状態とされ、前述のように、左右のスタビライザバー12は一体化され、通常のスタビライザ装置と同等の機能を有するようにされる。S10を終了して、制御は終了する。
【0093】
例えば、ECU174を始めとする電気系統の故障が発生した場合であっても、開閉弁160はOFF状態を維持するようにされていることから、本実施形態のスタビライザ装置は、作動装置を有しない通常のスタビライザ装置と同等の機能を発揮し、車両走行に大きな支障をきたすことなく、車両の安定性は保たれることになる。
【0094】
上記制御の形態を基に、本スタビライザ装置の構成を補足説明すれば、ECU174、圧力センサ172、切替弁162等を含んで液圧差発生装置制御装置が構成されており、その中で、ECU174のS6、S7、S8を実行する部分、切替弁162等を含んで、作動装置の作動液室の高圧室を選択する高圧室選択部が構成され、また、ECU174のS5を実行する部分等を含んで、作動液室の液圧差を制御する液圧差制御部が構成されているのである。また、ECU174のS5〜S8を実行する部分を含んで、車体に作用するローリングモーメントに応じて油圧装置を制御するローリング対応部が構成されているのである。
【0095】
なお、上記制御は、説明の容易化のため、比較的単純化されたものについて説明したが、本スタビライザ装置は、より高度な制御の下に作動させることも可能である。例えば、旋回時の初期においては、車体の傾斜は過渡的な状態であり、舵角、車速のみに基づく推定のみでは、適切なロール状態の制御が不十分であることも考えられる。その場合、旋回初期において、過渡的状態に対応した制御を付け加えるといった制御を行うことも可能である。
【0096】
(F)変形態様
上記実施形態のスタビライザ装置は、シリンダハウジング14が車体20に固定されることによって作動装置10が配置されているが、この固定は、第1実施形態において必須ではない。例えば、バー支持部材36によってスタビライザバー12の軸線方向の移動を禁止する等して、回転軸16,18を軸線方向に移動不能とすれば、作動装置10をシリンダハウジング14において固定する必要がなくなる。この場合、シリンダハウジング14がハウジング軸線まわりに回転可能であるため、管路50,52をフレキシブル配管とすればよい。本発明のスタビライザ装置は、かかる変形態様での実施も可能である。
【0097】
上記実施形態のスタビライザ装置では、作動装置において、回転軸とピストンとが、ボールねじ機構によって係合されている。ボールねじ機構に代えて、例えば、図7に示すように、ベアリングボールを含まないねじ機構を採用することもできる。図7は、比較的リード角の大きな2条の台形ねじを有する機構のものを示している。
【0098】
また、回転軸の一方とピストンとの係合には、ねじ機構に代えて、図8に示すように、スプライン機構218を採用することができる。他方の回転軸とピストンとが相対回転を許容されていれば、一方の側の係合において、回転軸とピストンの軸線方向の相対移動を許容することにより、ピストンの軸線方向の移動に応じた1対の回転軸の相対回転が生じる。両方の側ともにねじ機構を採用するのに比較して、作動装置を安価に製造し得る。図8(a)に示すものは、ボールスプライン機構であり、図8(b)に示すものは、ベアリングボールを用いないスプライン機構である。
【0099】
上記実施形態における作動装置10は、シリンダハウジング14の内部において、ピストン60と回転軸16,18とが係合する形式の作動装置である。このような形式のものに代え、例えば、図9に示すように、シリンダハウジング14の外部において、回転軸16,18とピストン60とが係合する形式のものを採用することができる。詳しい説明は省略するが、図9に示すものは、ピストン60が、摺接部90と、摺接部90の軸線方向の両側の各々にハウジング軸線と同軸的に延びる状態に設けられた1対の軸部220を含んで構成されており、この1対の軸部220の先端部がシリンダハウジング14の外部に延び出すようにされている。回転軸16,18の各々には、端部に、軸部220の外径より僅かに大きな内径を有する嵌合穴が設けられており、その嵌合穴に軸部220が挿入された状態で、回転軸16,18の各々とピストンとが係合されている。係合は、上記実施形態の場合と同様、互いに逆ねじの関係にある1対のボールねじ機構96,98によってなされている。図では省略するが、回転軸16,18の軸線方向の移動の禁止手段は、例えば、回転軸16,18を車体に取り付けるための支持部材を設ける場合はそれに設ければよく、あるいは、回転軸16,18に接続されるスタビライザバー12の支持部材を設ける場合はそれに設ければよい。本変形態様は、シリンダハウジング14を小さくできるというメリットを有する。
【0100】
上記実施形態においては、回転軸16,18とスタビライザバー12とが別体をなし、それらが接続されてスタビライザ装置が構成されている。この態様に代え、例えば、回転軸とスタビライザバーとを一体に形成し、その一体に形成されたものの一部分を回転軸として機能させ、別の一部分をスタビライザバーとして機能させる態様としてもよい。
【0101】
<第2実施形態>
上記第1実施形態のスタビライザ装置の作動装置は、1対の回転軸の各々が1対の回転体の各々として機能し、ピストン60が可動体として機能するものである。この構成とは別の構成の作動装置、つまり、シリンダハウジングと1つの回転軸とが1対の回転体の各々として機能し、これらに係合するピストンが可動体として機能する作動装置を備えたスタビライザ装置についての実施形態を説明する。
【0102】
(A)作動装置の構成
図10に、本実施形態のスタビライザ装置を構成する作動装置250の断面図を示す。作動装置250は、主に、シリンダハウジング252と、シリンダハウジング252の内部に配設されたピストン254と、一端部がピストン254に係合して他端部がシリンダハウジング252の外に延び出す回転軸258とを含んで構成されている。回転軸258の回転軸線およびピストン254の軸線は、シリンダハウジング252の軸線であるハウジング軸線と同一線上に位置している。
【0103】
シリンダハウジング252は、一端が閉塞されて概ね有底円筒形状をなすハウジング本体270と、ハウジング本体270の閉塞端とは反対側の端部に設けられた回転軸支持部272と、ハウジング本体270の閉塞端側の外側に固定されて設けられた固定軸部274とを含んで構成されている。回転軸支持部272は、前記第1実施形態の作動装置10のものと略同様に構成されているため、詳しい説明を省略する。回転軸258も、第1実施形態のものと同様の構成であるため、詳しい説明を省略する。回転軸支持部272によって、回転軸258は、シリンダハウジング252に対して、位置が固定された状態、すなわち軸線方向およびそれに交差する方向に移動不能な状態で、回転可能に保持されている。
【0104】
ピストン254は、ハウジング本体270内の内径の大きな部分であるハウジング大径部280の内径より僅かに小さな外径を有する摺接部282と、ハウジング本体270内の大径部280より小さな内径を有する部分であるハウジング小径部284の内径より僅かに小さな外径を有する係合部286とに、概ね区分けすることができる。ピストン254は、摺接部282においてハウジング本体270と摺接し、係合部286において、シリンダハウジング252および回転軸258と係合する。係合部286は、筒状に形成されており、その外周部とハウジング小径部284の内周部とが、スプライン機構290、詳しくはベアリングボールを利用したボールスプライン機構(ボールのリターンについては図示を省略)によリ係合し、内周部と回転軸258の一端部とが、ねじ機構292、詳しくはベアリングボールを利用したボールねじ機構(ボールのリターンについては図示を省略)により係合している。このような構造により、ピストン254は、シリンダハウジング252と回転軸258とのハウジング軸線まわりの相対回転に伴って、軸線方向に移動可能とされている。言い換えれば、ピストン254の軸線方向への移動に応じて、シリンダハウジング252と回転軸258とは、ハウジング軸線まわりに相対回転可能とされている。
【0105】
固定軸部274は、中心軸線がハウジング軸線と同一線上に位置する状態で、ハウジング本体270の閉塞端部の外側に固定されており、ハウジング本体270と一体化されてシリンダハウジング252の一部分を構成している。したがって、シリンダハウジング252のハウジング軸線まわりの回転は、すなわち、固定軸部274の回転とされるのである。なお、固定軸部274とハウジング本体270との固定は、本実施形態では、溶接にて行われているが、溶接に限らず、ねじ止め、嵌め込み等の種々の固着手段によって行えばよい。
【0106】
シリンダハウジング252の内部には、作動液である作動油が収容される。シール構造、空気抜きのための構造は、第1実施形態のものと同様であるため、説明を省略する。ハウジング内部は、ピストン254によって、詳しくは摺接部282によって、2つの作動液室300,302に区画されている。また、ハウジング本体270には、作動液口304,306が設けられており、それぞれにフレキシブル配管である管路310、312が接続されている。作動液口304,306および管路310,312は、作動液室300,302の各々への作動油の流入およびその各々からの作動油の流出を可能とする1対の作動液入出路を構成しているのである。
(B)スタビライザ装置の構成
スタビライザ装置は、作動装置250と、1対のスタビライザバーと、油圧装置と、制御装置とを含んで構成される。作動装置250は、回転軸258のシリンダハウジング252から延び出す他端部において、スタビライザバーの一方と一体的に接続され、また、シリンダハウジング252の固定軸部274のハウジング本体270に固定されていない他端部において、スタビライザバーの他方と一体的に接続される。スタビライザバーの構造およびスタビライザバーとの接続は、第1実施形態に従えばよく、その説明は省略する。ただし、本実施形態の場合、シリンダハウジング252のハウジング軸線まわりの回転が許容されるため、シリンダハウジング252は車体に固定されない。例えば、固定軸部274、回転軸258あるいはスタビライザバー等を、それらの軸線方向の移動を禁止する状態で、車体に取り付けることによって、シリンダハウジング252の回転を許容しつつ軸線方向の移動を禁止した状態で、作動装置250を配置することができる。
【0107】
油圧装置および制御装置は、第1実施形態と同様の構成のものを採用することができる。それらの構成の説明は省略する。第1実施形態と同じ構成の油圧装置を用いる場合、作動装置250の作動液入出路を構成する管路310,312を、開閉弁の一方のポートのそれぞれに接続すればよい。
【0108】
(C)作動装置の動作およびスタビライザ装置の動作
まず、作動装置250をロータリーアクチュエータとして機能させる場合を考える。この場合は、シリンダハウジング252内の作動液室300と作動液室302との間に液圧差を発生させれば、高圧側から低圧側にピストン254が軸線方向に移動し、これに伴って回転軸258とシリンダハウジング252とがハウジング軸線まわりに相対回転し、これらに一体的に接続された左右のスタビライザバーが捻られる。この捻りにより生じる力は、車輪装置を押し下げるあるいは持ち上げる力として作用する。すなわち、作動装置250は回転トルクを発生させるのである。この作動装置250の動作は第1実施形態の場合と略同様であり、その動作に応じたスタビライザ装置の動作も同様に行われる。いずれの作動液室300,302を高圧側にするかによって、回転トルクの向きを変えることができ、また、液圧差を変化させることによって回転トルクの大きさを変化させることができる。このことも、第1実施形態の場合と同様である。
【0109】
次に、作動装置250が、ロータリーアクチュエータとしてではなく、受動的な装置として機能する場合について説明する。管路310と管路312とが作動油の流量規制なく連通している場合は、ピストン254は軸線方向への自由な移動が許容されており、回転軸258とシリンダハウジング252とが、任意の相対回転位置に位置することが可能である。したがって、この場合、スタビライザとしての機能は殆ど発揮されない。これに対して、管路310と管路312とが遮断されている場合は、ピストン254は、軸線方向の移動が禁止され、回転軸258とシリンダハウジング252との相対回転が禁止される。この状態は、作動装置が設けられていない一般のスタビライザ装置と略同じように機能する。すなわち、スタビライザバーのねじり剛性によってロールを抑制する力が発生することになる。上記動作は、第1実施形態の場合と同様であるため、これ以上の詳しい説明は省略する。また、管路310と管路312とが作動油の流量を規制された状態で連通する場合も、第1実施形態の場合と同様である。
【0110】
本実施形態のスタビライザ装置の制御は、先に説明した第1実施形態の場合の制御に従えばよい。そのため、制御についての説明は、省略する。
【0111】
(D)変形態様
図10に示す作動装置250では、ピストン254とシリンダハウジング252とが、スプライン機構290によって係合し、ピストン254と回転軸258とが、ねじ機構292によって係合している。これに代え、例えば、図11に示すように、ピストン254とシリンダハウジング252とが、ねじ機構292によって係合し、ピストン254と回転軸258とが、スプライン機構290によって係合した作動装置250とすることもできる。この態様の作動装置は、図10に示すものと比較して、ねじ機構におけるねじ径が大きくできることから、大きなリードを実現させることが容易である。
【0112】
また、図12に示す態様の作動装置を採用することもできる。この態様の作動装置は、図2に示す作動装置と形状的には類似しているが、シリンダハウジング252と回転軸258とがそれぞれ可動体としてのピストン254に係合し、それぞれが、ピストン254の軸線方向の移動に応じて相対回転変位を生じる1対の回転体の各々として機能するという点で、概念的には、上記実施形態と同等のものである。
【0113】
構成を簡単に説明すれば、本作動装置250は、シリンダハウジング252と、ピストン254と、回転軸258とを含むものとされている。シリンダハウジング252は、ハウジング本体270と、回転軸258をハウジング軸線まわりに回転可能にかつ軸線方向に移動不能に支持する回転軸支持部272と、ハウジング本体270の回転軸支持部272とは反対側に位置する端部壁を貫通して設けられた固定軸部274とを含んで構成されている。固定軸部274は、中心軸線がハウジング軸線と同一線上に位置する状態でハウジング本体270に固定されており、ハウジング本体270と一体化された状態でシリンダハウジング252の一部を構成しているのである。ピストン254は、ハウジング本体270の内部に摺接する摺接部282と、回転軸258の一端部および固定軸部274の一端部とそれぞれ係合する1対の係合部286を備えている。回転軸258との係合、固定軸部274との係合の両者ともに、ねじ機構292によってなされており、2つのねじ機構は、互いに逆ねじの関係にある。1対のスタビライザバーとの接続は、回転軸258の他端部と固定軸部274の他端部とにおいて行われる。
【0114】
シリンダハウジング252内は、ピストン254によって、互いに液密な2つの作動液室300,302に区画されており、それぞれの作動液室300,302には、作動液口304,306およびフレキシブル配管である管路310、312を通じて、作動油が出入りする。本作動装置250が、アクチュエータとして機能する場合には、作動液室300,302の液圧差に応じてピストンが軸線方向に移動し、それに伴って、回転軸258とシリンダハウジング252とがハウジング軸線まわりに相対回転する。受動的な作動の場合、管路310と管路312とが連通しているときには、ピストン254の軸線方向への移動が許容され、回転軸258とシリンダハウジング252とが、任意の相対回転位置に位置することが可能である。これに対して、管路310と管路312とが遮断されているときには、ピストン254の軸線方向の移動が禁止されることで、回転軸258とシリンダハウジング252との相対回転が禁止され、両者が一体化された状態での回転が許容される。
【0115】
先に述べたように、本変形態様の作動装置250は、図2に示す態様の作動装置10と形状的には類似している。しかし、本作動装置250では、シリンダハウジングが備える回転軸支持部を、一方の側にしか必要としない。したがって、本作動装置250は、図2のものと比較して、簡単な構造とされている。
【0116】
上記実施形態およびその変形態様の作動装置においては、いずれも、ボールねじ機構、あるいは、ボールスプライン機構が採用されている。これらに代え、第1実施形態の場合同様、ベアリングボールを用いないねじ機構、スプライン機構を採用することも可能である。上記実施形態における作動装置250は、シリンダハウジング252の内部において、ピストン254と回転軸258とが係合する形式の作動装置である。このような形式のものに代え、例えば、図9に示す方式と同様な方式により、シリンダハウジングの外部において、ピストンと回転軸とを係合させるものであってもよい。また、回転軸258あるいは固定軸部274とスタビライザバーとを一体的に形成できることについても、第1実施形態の場合と同様である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態であるスタビライザ装置が車両に設けられた状態を示す図である。
【図2】第1実施形態のスタビライザ装置を構成する作動装置を示す断面図である。
【図3】第1実施形態のスタビライザ装置において、作動装置の回転軸とスタビライザバーとの接続状態を示す一部断面図である。
【図4】第1実施形態のスタビライザ装置が備える油圧システムの回路および制御装置の概要を示す図である。
【図5】第1実施形態のスタビライザ装置において、採用することができる別の切替弁を示す図である。
【図6】第1実施形態のスタビライザ装置に関する制御フローを示すフローチャートである。
【図7】作動装置における回転軸とピストンとの係合に関する変形態様を示す断面図である。
【図8】作動装置における回転軸とピストンとの係合に関する別の変形態様を示す断面図である。
【図9】第1実施形態のスタビライザ装置を構成する作動装置の変形態様を示す断面図である。
【図10】本発明の第2実施形態のスタビライザ装置を構成する作動装置を示す断面図である。
【図11】第2実施形態のスタビライザ装置を構成する作動装置の変形態様を示す断面図である。
【図12】第2実施形態のスタビライザ装置を構成する作動装置の別の変形態様を示す断面図である。
【符号の説明】
10:作動装置 12:スタビライザバー 16,18:回転軸 20:車体40:車輪装置 50,52:管路 60:ピストン 96,98:ねじ機構114,116:作動液室 120,122:作動液口 160:開閉弁 162:切替弁 164:ポンプ装置 168:油圧ポンプ 172:圧力センサ188:切替弁 204:車速センサ 206:舵角センサ 174:電子制御ユニット 204:車速センサ 206:舵角センサ 218:スプライン機構 250:作動装置 252:シリンダハウジング 254:ピストン 258:回転軸 290:スプライン機構 292:ねじ機構 300,302:作動液室 304,306:作動液口 310,312:管路[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a stabilizer device provided in a vehicle in order to improve running stability of the vehicle, such as suppressing rolling that occurs when the vehicle turns.
[0002]
[Prior art]
In general, a stabilizer device can be rotated while extending in the width direction of the vehicle, and its position is fixed, and a torsion bar portion provided on the vehicle body and one end portion thereof are integrated with each of both end portions of the torsion bar portion. And a pair of arm portions whose other end portions are connected to each of the left and right wheel devices. The stabilizer device functions to suppress rolling of the vehicle body by the torsional rigidity of the torsion bar portion when a centrifugal force is generated in the vehicle body due to the turning of the vehicle.
[0003]
As one characteristic required for the stabilizer device, for example, it is possible to cope with various magnitudes of centrifugal force depending on the driving condition of the vehicle, and to effectively stabilize the posture of the vehicle body. As a technology developed to satisfy this requirement, for example, there is a technology described in JP-A-7-40731. This technique relates to a hydraulically variable stabilizer device in which a torsion bar portion is divided into two and the divided portions are connected by a rotary actuator. By controlling the rotary actuator, a rolling moment in the opposite direction that antagonizes the rolling moment acting on the vehicle body due to centrifugal force is applied to the vehicle body, thereby effectively suppressing the rolling generated in the vehicle body.
[0004]
A general stabilizer device does not function only when the vehicle turns. For example, it functions also at the time of a so-called one-side bump where a wheel on one side rides on a convex part on the road, and when the convex part is large, the wheel on the opposite side is lifted by the stabilizer bar. In such a case, in order to improve the controllability of the vehicle, it is also desired that the stabilizer device does not function. As a technology developed to satisfy such a requirement, for example, there is a technology described in JP-A-5-319063. This technology relates to a stabilizer device provided with a cylinder device. A piston is provided in each of two cylinder chambers, and one end of each of the torsion bar portions divided into two is attached to the piston. Threaded to each of the pistons, and if necessary, communication between two liquid chambers defined by one piston in one cylinder chamber and two liquid chambers defined by the other piston in the other cylinder chamber This is a technique of selectively switching whether torsional rigidity of the torsion bar portion is generated by changing the state.
[0005]
[Patent Document 1]
Japanese Patent Laid-Open No. 7-40731
[Patent Document 2]
JP-A-5-319063
[0006]
[Problems to be solved by the invention, means for solving problems and effects]
In the stabilizer device described in JP-A-7-40731, a vane type is adopted as a rotary actuator. The vane-type rotary actuator itself has a relatively simple structure. However, since the sliding wall that slides while partitioning the liquid chamber has a complicated shape such as a rectangle, the component member has high processing accuracy. As required, there is a difficulty in the seal structure for maintaining liquid tightness, and it is difficult to completely eliminate liquid leakage. Therefore, it has a demerit that it is not reliable.
[0007]
The stabilizer device described in Japanese Patent Laid-Open No. 5-319063 has two cylinder chambers as cylinder devices, each having a piston, and has a complicated structure in that respect. Further, since the two cylinder chambers have two liquid chambers which are further divided and a piping path for communicating these liquid chambers in a complicated manner is required, the structure is also complicated in this respect.
[0008]
Accordingly, in view of the above problems, the present invention has been made with the object of obtaining a practical vehicle stabilizer device having a simple structure, and according to the present invention, the vehicle stabilizer device of each aspect described below is provided. can get. As with the claims, each aspect is divided into sections, each section is numbered, and is described in a form that cites the numbers of other sections as necessary. This is for the purpose of facilitating understanding of the present invention, and should not be construed as limiting the technical features described in the present specification and the combinations thereof to those described in the following sections. . In addition, when a plurality of items are described in one section, it is not always necessary to employ the plurality of items together. It is also possible to select and employ only some items.
[0009]
In each of the following terms, (21) corresponds to claim 1, (24) corresponds to claim 2,Item (25)In claim 3,Combined items (22) and (23)Is the claim 4, the (31) is the
[0010]
(1) (a) a pair of rotating bodies arranged with their positions fixed relative to the vehicle body in a state in which the rotation axes are parallel to each other, and (b) engaging the pair of rotating bodies, A movable body provided to be movable in an axial direction that is parallel to the rotation axis with respect to a vehicle body, and between each of the pair of rotary bodies according to displacement of the movable body in the axial direction. An actuating device capable of producing a rotational displacement relative to
A pair of stabilizer bars, one end of which is integrally connected to each of the pair of rotating bodies and the other end of which is connected to each of a pair of wheel devices located on the left and right of the vehicle body;
A vehicle stabilizer device including:
[0011]
The stabilizer device described in this section includes the operating device. This operating device can rotate a pair of rotating bodies in directions opposite to each other, for example, by positively moving the movable body in the axial direction by some driving force. It is possible to function as a rotary actuator. When functioning as an actuator, a stabilizer bar connected to each of the left and right wheel devices connected to each of a pair of rotating bodies can impart a moment against the rolling moment generated in the vehicle body to the vehicle body when the vehicle turns. This can effectively suppress the rolling of the vehicle body. The actuating device described in this section is an actuating device having a relatively simple structure because it can have a single movable body, and is an actuating device that can realize a practical stabilizer device. Furthermore, for example, when operating the operating device using hydraulic pressure, the seal problem of the vane-type rotary actuator using hydraulic pressure can be easily solved by optimizing the specific structure and reliability. High operating device.
[0012]
Specific modes and the like of the actuating device described in this section will be described in order in the following sections, but the driving force when the movable body of the actuating device is actively moved is not particularly limited. It is possible to move the movable body by various driving forces such as those by pressure, those in which the rotational force of the rotary motor is transmitted by a power transmission mechanism such as a gear, or those by a linear motor. Further, the stabilizer bar may be a separate body from the rotating body and may be fixedly connected to and integrated with the rotating body, or a part of the stabilizer bar may function as the rotating body. It may be. When the stabilizer bar is a separate body from the rotating body, a stabilizer bar having an aspect including a torsion bar portion and an arm portion extending in a direction intersecting with the extending direction is adopted, and connected to the rotating body at the end of the torsion bar portion. It is also possible to use a stabilizer bar that does not have a torsion bar part, connect the stabilizer bar to a rotating body that functions as a torsion bar part, and use the stabilizer bar as an arm only. It is good also as a stabilizer apparatus of the aspect made to function.
[0013]
(2) The vehicle stabilizer device according to (1), wherein the pair of rotating bodies are arranged in a state in which their rotation axes are substantially parallel to the width direction of the vehicle.
[0014]
In the stabilizer device of the present invention, the direction of the rotation axis with respect to the vehicle body is not limited. However, as in the aspect described in this section, if the axial direction is the vehicle width direction, the direction is the same as that of a general stabilizer device. It can be arranged in a vehicle and becomes a simple stabilizer device.
[0015]
(3) The vehicle stabilizer device according to (1) or (2), wherein the pair of rotating bodies are arranged coaxially.
[0016]
In the stabilizer device of the present invention, the two rotating bodies of the actuating device have their rotational axes parallel to each other, but they are arranged so that their rotational axes are on the same line as in the embodiment described in this section. In this way, an actuator having a simpler structure is realized.
[0017]
(4) The vehicle stabilizer device according to the item (3), wherein the movable body is provided to be allowed to rotate about a rotation axis of the pair of rotating bodies.
[0018]
In the stabilizer device of the present invention, when a pair of rotating bodies are coaxially arranged, the movable body can be allowed to rotate around its axis, and the movable body is prohibited from rotating. It can also be. Here, the rotation of the movable body is not relative to the rotating body, but the rotation based on the vehicle body (when the vehicle body is regarded as an absolute stationary object, it is viewed from the absolute stationary object. ). In the case where the rotation of the movable body is prohibited, for example, when the movable body is allowed to move in the axial direction while the movable body is allowed to rotate with respect to the movable body, The rotation of one of the rotating bodies can be transmitted as a rotation in the opposite direction of the other rotating body. Further, when the rotation of the movable body is prohibited, when the rotation of one of the pair of rotary bodies with respect to one of the movable bodies is prohibited or the movement of the movable body in the axial direction is prohibited, It is possible to have a characteristic of not transmitting the rotation of the rotating body to the other. In the aspect in which the rotation of the movable body is prohibited, it is possible to realize a stabilizer device that takes advantage of those characteristics that the actuator can have with respect to the input from the wheel device side via the stabilizer bar.
[0019]
On the other hand, when the movable body is allowed to rotate around the rotational axis as in the embodiment described in this section, for example, when the movement of the movable body in the axial direction is prohibited, two rotations are required. Since the body is prohibited from rotating with respect to the movable body, it is allowed to rotate integrally with the rotation of the movable body. At this time, the pair of stabilizer bars function as one body. That is, it functions in the same way as a normal stabilizer device that does not include an actuating device. In addition, when the movable body is allowed to move freely in the axial direction, each of the pair of rotating bodies is allowed to be positioned at an arbitrary rotational position, so that the stabilizer device is almost free from the wheel device. A state where no force is applied is realized. In the stabilizer device according to the aspect of this section, for example, by switching prohibition / permission of movement of the movable body in the axial direction, for example, the rolling suppression effect when turning the vehicle and the steering stability in the case of running on a rough road, etc. As an alternative, it is possible to obtain the effect of improving. In the meantime, when prohibiting the rotation of the movable body, the prohibiting means is required, whereas in the aspect described in this section, such a prohibiting means is not necessary, and in that respect, the actuator having a simple structure. It becomes.
[0020]
(5) The movable body and at least one of the pair of rotating bodies are engaged with each other by a screw mechanism having a spiral trajectory along the axial direction. Vehicle stabilizer device.
[0021]
The mode described in this section is a mode in which the engagement between the pair of rotating bodies and the movable body is limited. In the stabilizer device of the present invention, a pair of rotating bodies is configured so that a relative rotational displacement can be generated between each pair of rotating bodies according to the displacement of the movable body in the axial direction. Each of the rotating bodies is engaged with the movable body. Specifically, as in the aspect described in this section, the above structure can be easily realized by screwing at least one rotating body and the movable body. When the screw mechanism is employed, the type thereof is not limited. For example, a mechanism in which the rotating body side is a male screw and the movable body side is a female screw, or vice versa can be employed. By using a trapezoidal screw or the like, an inexpensive actuator can be obtained. In consideration of friction due to screwing, it is desirable to adopt a ball screw mechanism.
[0022]
(6) The vehicle stabilizer device according to (5), wherein the movable body and each of the pair of rotating bodies are engaged with each other by a pair of screw mechanisms having spiral tracks that are opposite to each other.
[0023]
When a screw mechanism is employed for the engagement between the rotating body and the movable body, one of the modes in which both of the pair of rotating bodies are engaged with the movable body by the screw mechanism is the mode described in this section. If each of the rotating bodies is engaged with the movable body by a pair of screw mechanisms having a reverse screw relationship with each other, there is an advantage that a large rotational displacement can be obtained between the rotating bodies as the movable body moves. In addition, as described above, for example, in a structure in which the rotation of the movable body is prohibited, if the movement of the movable body in the axial direction is allowed, the rotation of either one of the rotation bodies will be There is also an advantage that it can be transmitted as a rotation in the opposite direction. Note that when a screw mechanism is used for engaging the two rotating bodies with the movable body, a screw mechanism having spiral trajectories in the same direction instead of a screw mechanism having a reverse screw relationship may be used. If the pitches are different, relative rotational displacement can be caused in the two rotating bodies.
[0024]
(7) The movable body and one of the pair of rotating bodies are engaged with each other by the screw mechanism, and the movable body and the other of the pair of rotating bodies are parallel to the axial direction. The vehicle stabilizer device according to item (5), wherein the vehicle stabilizer devices are engaged with each other by a spline mechanism.
[0025]
Only one rotating body can be engaged by the screw mechanism. One aspect of that case is the aspect described in this section. According to the aspect described in this section, the other rotating body and the movable body are allowed to move relative to each other in the axial direction by the spline mechanism. The engagement by the spline mechanism does not allow relative rotation of each other, but is simpler than the screw mechanism, so that a relatively inexpensive actuator can be obtained. The spline mechanism can adopt a ball spline in order to reduce the influence of friction between the two in addition to a normal spline. The mode of this section is a mode that is particularly effective when the movable body is allowed to rotate around the rotation axis of the pair of rotating bodies, that is, when combined with the mode of the section (4).
[0026]
(8) The vehicle stabilizer device according to any one of (1) to (7), wherein the stabilizer device includes a movable body movement restriction device that restricts movement of the movable body in the axial direction as necessary.
[0027]
(9) The vehicle stabilizer device according to (8), wherein the movable body movement restricting device includes an axial direction movement prohibiting unit that prohibits movement of the movable body in the axial direction.
[0028]
(10) In the stabilizer device, the movable device is allowed to move freely in the axial direction of the movable body, and the movable body movement restricting device allows the movable body to move in the axial direction. The vehicle stabilizer device according to the item (8) or (9), including an operation state switching device that switches to a restricted state.
[0029]
As described above, the characteristics of the actuator differ between when the movable body is allowed to move in the axial direction and when it is prohibited. That is, it can be said that the aspect described in the above three terms is an aspect in which a limitation relating to the characteristics of the operating device, that is, the operating state of the stabilizer device is added. For example, as described above, when a pair of rotating bodies are arranged coaxially and the movable body is rotatable with respect to the vehicle body around the axis of rotation, the axis line as in the aspect described in the item (9) When the movement in the direction is prohibited, the pair of rotating bodies function as a unit. On the other hand, when the movable body is allowed to move freely in the axial direction, each of the pair of rotating bodies is allowed to rotate to an arbitrary rotational position. The aspect described in the item (8) includes an aspect in which the movement of the movable body in the axial direction is prohibited, and is not a free movement, for example, some resistance is applied to the movement in the axial direction. Including a mode in which movement is allowed. When movement with some resistance applied to the movable body is allowed, an intermediate characteristic between the characteristic obtained by the mode in which free movement is allowed and the characteristic obtained by the mode in which movement is prohibited It is possible to realize an actuating device having. It should be noted that the characteristics obtained can be changed or changed by changing or changing the magnitude of the resistance applied, that is, the degree of restriction of movement in the axial direction. Furthermore, as in the aspect described in (10), if it is possible to switch between free movement and restricted movement with respect to the movable body, it is possible to switch the operating state, that is, the characteristics of the stabilizer device. is there.
[0030]
(11) The vehicle stabilizer device according to any one of (1) to (10), wherein the stabilizer device includes a movable body urging device that urges the movable body in the axial direction as necessary.
[0031]
The aspect described in this section is an aspect in which, for example, the operating device can act as a rotary actuator. If the movable body is urged in the axial direction, a rotational torque can be generated between the pair of rotating bodies. The rotational torque by the rotating body acts on the stabilizer bar connected thereto, and acts on the wheel device as a force for lifting one of the left and right wheel devices with respect to the vehicle body and pushing down the other. Thereby, for example, it is possible to suppress rolling when the vehicle is turning.
[0032]
(12) The vehicle stabilizer device according to (11), wherein the stabilizer device includes an urging device control device that controls the movable body urging device.
[0033]
(13) The vehicle stabilizer device according to (12), wherein the biasing device control device includes a biasing direction control unit that controls a direction of a biasing force by the movable body biasing device.
[0034]
(14) The vehicle stabilizer device according to (12) or (13), wherein the biasing device control device includes a biasing force control unit that controls the magnitude of the biasing force by the movable body biasing device.
[0035]
The above three terms relate to the control of the aforementioned movable body urging device. If the urging device control device is provided as in the aspect described in the item (12), the rotational torque generated by the operating device, that is, the force acting on the wheel device can be controlled. The aspect described in the item (13) controls which direction of rotational torque is generated.For example, the force acting on the wheel device is controlled depending on whether the vehicle turns right or left. The direction can be different. In the aspect described in the item (14), the magnitude of the force acting on the wheel device can be controlled.
[0036]
(15) The urging device control device according to any one of (12) to (14), wherein the urging device control device includes a rolling correspondence control unit that controls the movable body urging device in accordance with a rolling moment acting on the vehicle body. The stabilizer device described.
[0037]
For example, when the vehicle turns, the centrifugal force received by the vehicle body varies depending on the traveling state of the vehicle. The rolling moment varies depending on the degree of centrifugal force. For example, a means for recognizing the rolling moment, such as a detector for detecting centrifugal force, a detector for detecting the steering angle of the steering wheel and the traveling speed of the vehicle, etc. is provided, and the rolling moment at that time is recognized, and depending on the value If the force acting on the wheel device of the actuator is controlled, the posture of the vehicle body becomes more stable.
[0038]
(21) (A) Cylinder housing that contains hydraulic fluid in a liquid-tight state, and (B) The inside of the cylinder housing is partitioned into two hydraulic fluid chambers that are mutually liquid-tight, and the housing is the axis of the cylinder housing A piston disposed so as to be movable in an axial direction that is parallel to the axis, and (C) the housing axis and the rotation axis of the piston are positioned on the same line so as to be rotatable with respect to the cylinder housing, and A pair of rotating shafts that are disposed so as to be immovable in the axial direction and that each end of the piston engages with the piston while allowing the piston to move in the axial direction and rotating relative to each other according to the movement. And (D) a pair of hydraulic fluid inlet / outlet passages for allowing hydraulic fluid to flow into and out of each of the two hydraulic fluid chambers, wherein the housing axis is the width of the vehicle direction An actuating device for each position of the rotation axis of the pair with respect to the state a and the vehicle body substantially parallel are arranged in a fixed state,
A pair of stabilizer bars whose one end is integrally connected to each of the other ends of the pair of rotating shafts and whose other end is connected to each of a pair of wheel devices located on the left and right of the vehicle body When
A vehicle stabilizer device including:
[0039]
The embodiment described in this section is a more specific embodiment of the stabilizer device of the above-described embodiment. Specifically, it is an aspect of a stabilizer device having the characteristics of the above items (1) to (4), and is an aspect in which the operation of the operating device is realized by a hydraulic system such as a hydraulic system. In the aspect described in this section, the pair of rotating shafts corresponds to the pair of rotating bodies in the above-described aspect, and the piston corresponds to the movable body.
[0040]
The actuating device described in this section operates using the hydraulic pressure of hydraulic fluid such as hydraulic pressure, but the seal structure at the boundary between the two hydraulic fluid chambers, for example, the inner cylindrical surface of the cylinder housing The seal structure at the sliding portion between the piston and the outer peripheral surface of the piston is simpler than that of the vane type rotary actuator described above. Therefore, this actuator has a low probability of leakage of hydraulic fluid, and has high reliability. In addition, the present operating device can be configured to include only one piston, and in that respect, the structure is simplified.
[0041]
(22) The vehicle stabilizer device according to (21), wherein the piston is disposed to be allowed to rotate about the housing axis.
[0042]
In the stabilizer device according to item (21), as a mode in which the piston is rotatably provided, a mode in which relative rotation between the cylinder housing and the piston is prohibited and rotation of the cylinder housing is allowed can be employed. The aspect described in this section allows rotation of the piston relative to the vehicle body by allowing relative rotation between the cylinder housing and the piston. In the aspect described in this section, since a means for prohibiting relative rotation between the cylinder housing and the piston is not required, an actuator having a simple structure is realized.
[0043]
(23) The vehicle stabilizer device according to (22), wherein the operating device is arranged in a state where the cylinder housing is fixed to a vehicle body.
[0044]
When the relative rotation between the cylinder housing and the piston is allowed, the piston itself is allowed to rotate even if the cylinder housing is fixed to the vehicle body. The aspect of this section includes an aspect in which the cylinder housing is fixedly held by some holding means in addition to an aspect in which the cylinder housing is directly attached to the vehicle body. Since the cylinder housing is fixed with respect to the vehicle body, the connection pipe as the hydraulic fluid inlet / outlet path can be fixed, and the hydraulic response is less deteriorated. can get.
[0045]
(24) The piston according to any one of (21) to (23), wherein the piston and at least one of the pair of rotating shafts are engaged with each other by a screw mechanism having a spiral orbit along the axial direction. Vehicle stabilizer device.
[0046]
(25) The vehicle stabilizer device according to item (24), wherein the piston and each of the pair of rotating shafts are engaged with each other by a screw mechanism having spiral tracks opposite to each other.
[0047]
(26) The piston and one of the pair of rotating shafts are engaged with each other by the screw mechanism, and the piston and the other of the pair of rotating shafts have a linear track parallel to the axial direction. The vehicle stabilizer device according to item (24), which is engaged with each other by a spline mechanism.
[0048]
The aspects described in the items (24), (25), and (26) correspond to the aspects described in the items (5), (6), and (7), respectively. Since the operation and effect are the same as those described above, description thereof is omitted here.
[0049]
(27) (a) A cylinder housing that contains hydraulic fluid in a liquid-tight state, and (b) a housing axis that is the axis of the cylinder housing and its own rotation axis are positioned on the same line, A rotating shaft that is rotatable and non-movable in an axial direction that is parallel to the housing axis, and (c) the inside of the cylinder housing is partitioned into two fluid-tight hydraulic fluid chambers. A piston that is disposed so as to be movable in the axial direction, and that engages with the cylinder housing and one end of the rotary shaft in a state in which the cylinder housing and the rotary shaft rotate relative to each other in accordance with the movement; (D) a pair of hydraulic fluid inlet / outlet passages for allowing hydraulic fluid to flow into and out of each of the two hydraulic fluid chambers, the housing axis being a vehicle An actuating device for the cylinder housing and the position of the rotation axis with respect to the state a and the vehicle body substantially parallel to the width direction of are arranged in a fixed state,
A pair of stabilizers having one end connected integrally to each of the cylinder housing and the other end of the rotating shaft, and the other end connected to each of a pair of wheel devices located on the left and right of the vehicle body With a bar
A vehicle stabilizer device including:
[0050]
The aspect described in this section is a more specific aspect of the stabilizer device having the characteristics of the above-mentioned items (1) to (4), as in the case of (21). Although the operation of the actuator is realized by a hydraulic system such as a hydraulic system, it has a configuration different from the above (21). In the aspect described in this section, one rotating shaft and the cylinder housing correspond to each of the pair of rotating bodies in the above-described aspect, and the piston corresponds to a movable body. The merit that the structure is simple and the probability of leakage of hydraulic fluid is low is the same as the aspect described in the above item (21). In the aspect described in this section, it is desirable that both the cylinder housing and the rotating shaft are disposed so as to be rotatable around the housing axis.
[0051]
(28) At least one of the engagement between the piston and the cylinder housing and the engagement between the piston and one end portion of the rotating shaft is performed by a screw mechanism having a spiral track along the axial direction ( The vehicle stabilizer device according to item 27).
[0052]
(29) The vehicle according to (28), wherein either the engagement between the piston and the cylinder housing or the engagement between the piston and one end of the rotating shaft is performed by the screw mechanism. Stabilizer device.
[0053]
(30) Of the engagement between the piston and the cylinder housing and the engagement between the piston and one end portion of the rotating shaft, the engagement not performed by the screw mechanism is parallel to the axial direction. The vehicle stabilizer device according to the item (29), which is made by a spline mechanism having a straight track.
[0054]
The embodiments described in the above items (28), (29), and (30) are the embodiments described in the above item (5), the embodiments included in the item (5), and the items (7). This corresponds to the aspect described in. Since the operation and effect are the same as those described above, description thereof is omitted here.
[0055]
(31) The stabilizer for a vehicle according to any one of (21) to (30), wherein the stabilizer device includes a mutual communication path that allows the pair of hydraulic fluid input / output paths to communicate with each other.
[0056]
As in the aspect described in this section, when a pair of hydraulic fluid inlet / outlet passages communicate with each other by the mutual communication passage, the hydraulic fluid enters and exits between the two hydraulic fluid chambers defined by the piston in the cylinder housing. Is possible. For example, if the hydraulic fluid is configured to freely enter and exit, the piston can be freely moved in the axial direction. In that case, the free movement of each of the pair of stabilizer bars is ensured, and the present stabilizer device does not exhibit a force acting on the wheel device.
[0057]
(32) The vehicle stabilizer device according to (31), wherein a communication path flow rate regulator for regulating the flow rate of the hydraulic fluid is provided in the mutual communication path.
[0058]
(33) The stabilizer device for a vehicle according to (31) or (32), wherein the stabilizer device includes a communication path breaker that blocks the flow of the hydraulic fluid in the mutual communication path.
[0059]
The aspects described in the above items (32) and (33) are the aspects corresponding to the aspects described in the above items (8) and (9), respectively. For example, if a flow control valve such as a throttle valve is installed in the middle of a piping path that is a mutual communication path, the flow control valve becomes the communication path flow regulator described in (32), and in the middle of the piping path. If an open / close valve is provided on the open / close valve, the open / close valve serves as the communication path breaker referred to in the paragraph (33). The communication passage flow restrictor is an aspect of the aforementioned movable body movement restriction device, and the communication path breaker is an aspect of the axial movement prohibition portion in the movable body movement restriction device, and the item (10). It is one aspect | mode of the operation state switching apparatus as described in. If the flow rate of hydraulic fluid in the mutual communication passage is restricted by the communication passage flow regulator, the movement of the piston in the free axial direction is restricted, and if the flow of hydraulic fluid in the mutual communication passage is blocked by the communication passage breaker, The movement of the piston in the axial direction is prohibited. As a result, the characteristics of the stabilizer device can be changed as described above.
[0060]
(34) The vehicle stabilizer device according to any one of (21) to (33), wherein the stabilizer device includes a hydraulic pressure difference generating device that generates a hydraulic pressure difference between the hydraulic fluid pressures of the two hydraulic fluid chambers.
[0061]
The embodiment described in this section corresponds to the embodiment described in (11) above. If a hydraulic pressure difference is generated in the two hydraulic fluid chambers, the piston is urged in the direction from the higher pressure side to the lower side. That is, the hydraulic pressure difference generating device is an aspect of the above-described movable body urging device. By generating a hydraulic pressure difference between the two hydraulic fluid chambers, rotational torque is generated between the pair of rotating shafts in the aspect related to the item (21) and between the rotating shaft and the cylinder housing in the aspect related to the item (27). Can be generated, and a force can be applied to the wheel device via the stabilizer bar.
[0062]
(35) The hydraulic pressure difference generating device is connected to one of the pair of hydraulic fluid inlet / outlet passages, and supplies one hydraulic fluid in the two hydraulic fluid chambers connected to the connected hydraulic fluid inlet / outlet passage. The vehicle stabilizer device according to item (34), further comprising a hydraulic fluid pressurizing device for pressurizing.
[0063]
(36) The vehicle stabilizer device according to (35), wherein the hydraulic fluid pressurizing device includes a hydraulic pump.
[0064]
If a hydraulic fluid pressurizing device is used as one aspect of the hydraulic pressure difference generating device, the piston can be easily biased. In this case, if a pump device using a hydraulic pump such as a hydraulic pump is employed, a simple hydraulic fluid pressurizing device can be configured.
[0065]
(37) The vehicle stabilizer device according to any one of (34) to (36), wherein the stabilizer device includes a hydraulic pressure difference generator control device that controls the hydraulic pressure difference generator.
[0066]
(38) The vehicle stabilizer device according to (37), wherein the hydraulic pressure difference generator control device includes a high-pressure chamber selection unit that selects a hydraulic fluid chamber that has a high pressure among the two hydraulic fluid chambers.
[0067]
(39) The vehicle stabilizer device according to (37) or (38), wherein the hydraulic pressure difference generator control device includes a hydraulic pressure difference control unit that controls the magnitude of the hydraulic pressure difference.
[0068]
The above three terms are terms to which limitations relating to the control of the hydraulic pressure difference generator are added. The mode described in each section corresponds to the mode described in each of the above section (12), (13), and (14). The hydraulic pressure difference generator control device is an aspect of the previous urging device control device, the high pressure chamber selection unit is an urging direction control unit, and the hydraulic pressure control unit is an urging force control unit. When a pump device is used for the hydraulic pressure difference generating device, if the discharge side of the pump device is communicated with one hydraulic fluid inlet / outlet passage, the pressure of the hydraulic fluid chamber on the communicated side is increased. In this case, if a switching valve for switching the hydraulic fluid inlet / outlet passage communicating with the discharge side of the pump device is provided, the switching valve functions as a part of the high-pressure chamber selection unit. Further, if a discharge pressure control device for controlling the discharge pressure of the pump device is provided, the discharge pressure control device functions as a hydraulic pressure difference control device. Specifically, for example, when the pump device includes a motor as a drive source, the hydraulic pressure difference can be controlled by controlling the rotation of the motor. Further, for example, when the pump device includes an accumulator, a hydraulic pressure control valve such as an electromagnetic linear valve is disposed on the discharge port side of the pump device, and instead of controlling the motor, the control valve can be controlled. The hydraulic pressure difference between the two hydraulic fluid chambers can be controlled.
[0069]
(40) The fluid pressure difference generator control device includes a rolling support control unit that controls the fluid pressure difference generator according to a rolling moment acting on the vehicle body. The vehicle stabilizer device as described.
[0070]
The aspect described in this section corresponds to the aspect described in the above section (15), and the hydraulic pressure difference generator control device, for example, detects the rolling moment recognized by the recognition means as described above. If the hydraulic pressure difference between the two hydraulic fluid chambers is controlled based on this, appropriate rolling control corresponding to the traveling state is realized.
[0071]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
Hereinafter, embodiments of the present invention and modifications thereof will be described with reference to the drawings. Note that the present invention is not limited to the following embodiment and the like, and includes, in addition to the following embodiment, the aspects described in the above [Problems to be Solved by the Invention, Problem Solving Means and Effects]. The present invention can be implemented in various modifications and improvements based on the knowledge of those skilled in the art.
[0072]
<First Embodiment>
(A) Overall configuration of the stabilizer device
FIG. 1 shows a view in which a stabilizer device according to an embodiment of the present invention is provided in a vehicle. This stabilizer device includes an
[0073]
Each of the pair of stabilizer bars 12 generally includes a
[0074]
From the above configuration, when the operating
[0075]
(B) Configuration of actuator
In FIG. 2, sectional drawing of the
[0076]
The
[0077]
The
[0078]
The inside of the
[0079]
FIG. 3 shows a connection state between one of the
[0080]
(C) Actuator operation and stabilizer device operation
The operation of the actuator and the operation of the stabilizer device will be described with reference to FIGS. 1 and 2. FIG. 1 is a view as seen from above the vehicle, and the wheel device shown in FIG. 1 is a right wheel device. First, consider the case where the
[0081]
More specifically, when the hydraulic pressure is supplied to the hydraulic
[0082]
Next, a case where the operating device functions as a passive device, not as a rotary actuator will be described. In short, it is an explanation of the operation of the stabilizer device by the input from the
[0083]
Next, consider a case where the
[0084]
(D) Hydraulic circuit and control device
In the stabilizer device of the present embodiment, the operating
[0085]
[0086]
The
[0087]
The
[0088]
(E) Stabilizer control
The stabilizer device of the present embodiment is controlled based on a control program stored in the
[0089]
FIG. 6 shows a flowchart regarding control. The control shown in the flowchart starts from the start of operation of the vehicle (for example, the ignition switch is turned on) and is ended by the operation stop (for example, the ignition switch is turned off). First, in step 1 (hereinafter abbreviated as “S1” after the start of operation; the same applies to the following steps), after a predetermined initial setting is performed, the on-off
[0090]
If it is determined in S2 that the vehicle is turning, the
[0091]
In S6 following S5, whether the vehicle is turning right or left is determined based on the steering angle detected by the
[0092]
In S9, it is determined whether or not the operation of the vehicle is stopped. If the vehicle is operating, the process returns to S2 and the above control is repeated. Although a detailed description is omitted, steps S2 to S9 are repeated at a very short time pitch (for example, several tens of milliseconds) so that the above control is always performed while the vehicle is operating. Has been. If it is determined in S9 that the operation of the vehicle has been stopped, in S10, the on-off
[0093]
For example, even when an electrical system failure such as the
[0094]
If the configuration of the present stabilizer device is supplementarily explained based on the above control form, the hydraulic pressure difference generator control device is configured including the
[0095]
In addition, although the said control demonstrated the comparatively simplified thing for ease of description, this stabilizer apparatus can also be operated under more advanced control. For example, at the initial stage of turning, the vehicle body inclination is in a transitional state, and it is conceivable that appropriate roll state control is insufficient only by estimation based only on the steering angle and the vehicle speed. In that case, it is also possible to perform control such as adding control corresponding to a transient state in the early stage of turning.
[0096]
(F) Deformation mode
In the stabilizer device of the above-described embodiment, the operating
[0097]
In the stabilizer device of the above embodiment, in the operating device, the rotating shaft and the piston are engaged by the ball screw mechanism. Instead of the ball screw mechanism, for example, as shown in FIG. 7, a screw mechanism that does not include a bearing ball may be employed. FIG. 7 shows a mechanism having two trapezoidal screws having a relatively large lead angle.
[0098]
Further, instead of the screw mechanism, a
[0099]
The operating
[0100]
In the said embodiment, the rotating
[0101]
Second Embodiment
In the stabilizer device of the first embodiment, each of the pair of rotating shafts functions as a pair of rotating bodies, and the
[0102]
(A) Configuration of actuator
FIG. 10 shows a cross-sectional view of the
[0103]
The
[0104]
The
[0105]
The fixed
[0106]
Inside the
(B) Configuration of the stabilizer device
The stabilizer device includes an
[0107]
As the hydraulic device and the control device, those having the same configuration as in the first embodiment can be adopted. The description of those configurations is omitted. When the hydraulic device having the same configuration as that of the first embodiment is used, the
[0108]
(C) Actuator operation and stabilizer device operation
First, let us consider a case where the actuator 250 functions as a rotary actuator. In this case, if a hydraulic pressure difference is generated between the hydraulic
[0109]
Next, the case where the actuator 250 functions as a passive device instead of a rotary actuator will be described. When the
[0110]
Control of the stabilizer device of the present embodiment may follow the control in the case of the first embodiment described above. Therefore, the description about control is abbreviate | omitted.
[0111]
(D) Modification
In the
[0112]
Moreover, the actuator of the aspect shown in FIG. 12 is also employable. The actuating device of this aspect is similar in shape to the actuating device shown in FIG. 2, but the
[0113]
Briefly describing the configuration, the
[0114]
The inside of the
[0115]
As described above, the
[0116]
In each of the above-described embodiments and the operation devices according to variations thereof, a ball screw mechanism or a ball spline mechanism is employed. Instead of these, as in the case of the first embodiment, it is also possible to employ a screw mechanism or a spline mechanism that does not use a bearing ball. The
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a diagram illustrating a state in which a stabilizer device according to a first embodiment of the present invention is provided in a vehicle.
FIG. 2 is a cross-sectional view showing an operating device constituting the stabilizer device of the first embodiment.
FIG. 3 is a partial cross-sectional view showing a connection state between a rotating shaft of the actuator and a stabilizer bar in the stabilizer device of the first embodiment.
FIG. 4 is a diagram showing an outline of a circuit and a control device of a hydraulic system provided in the stabilizer device of the first embodiment.
FIG. 5 is a diagram showing another switching valve that can be employed in the stabilizer device of the first embodiment;
FIG. 6 is a flowchart showing a control flow related to the stabilizer device of the first embodiment.
FIG. 7 is a cross-sectional view showing a modified aspect related to the engagement between the rotating shaft and the piston in the operating device.
FIG. 8 is a cross-sectional view showing another modified embodiment relating to the engagement between the rotating shaft and the piston in the actuator.
FIG. 9 is a cross-sectional view showing a modification of the operating device constituting the stabilizer device of the first embodiment.
FIG. 10 is a cross-sectional view showing an actuating device constituting the stabilizer device of the second embodiment of the present invention.
FIG. 11 is a cross-sectional view showing a modified embodiment of the operating device constituting the stabilizer device of the second embodiment.
FIG. 12 is a cross-sectional view showing another modification of the operating device constituting the stabilizer device of the second embodiment.
[Explanation of symbols]
10: Actuating device 12:
Claims (8)
一端部が、前記1対の回転軸の他端部の各々に一体的に接続され、他端部が、車体の左右に位置する1対の車輪装置の各々に接続される1対のスタビライザバーと
を含む車両用スタビライザ装置。(A) Cylinder housing that contains hydraulic fluid in a liquid-tight state, (B) The inside of the cylinder housing is partitioned into two fluid-tight hydraulic fluid chambers, and parallel to the housing axis that is the axis of the cylinder housing A piston disposed so as to be movable in the axial direction, which is an arbitrary direction, and (C) the housing axis and its own rotational axis are positioned on the same line so as to be rotatable with respect to the cylinder housing and in the axial direction. A pair of rotating shafts, each end of which is engaged with the piston in a state where the piston is allowed to move and rotates relative to each other in accordance with the movement while allowing the piston to move in the axial direction; D) a pair of hydraulic fluid inlet / outlet passages that allow the hydraulic fluid to flow into and out of each of the two hydraulic fluid chambers, and the housing axis is substantially in the width direction of the vehicle. parallel An actuating device status a and the position of each of the rotation axes of the pair relative to the vehicle body are disposed in a fixed state comprising,
A pair of stabilizer bars whose one end is integrally connected to each of the other ends of the pair of rotating shafts and whose other end is connected to each of a pair of wheel devices located on the left and right of the vehicle body And a vehicle stabilizer device.
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