JP4109861B2 - 真空処理方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体デバイス、電子写真用感光体、画像入力用ラインセンサー、撮影デバイス、および光起電力デバイス等における堆積膜形成やエッチング等に用いられる、高周波電力を用いた真空処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、半導体デバイス、電子写真用感光体、画像入力用ラインセンサー、撮影デバイス、光起電力デバイス、その他の各種エレクトロニクス素子、および光学素子に用いる堆積膜形成方法として、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、熱CVD法、光CVD法、およびプラズマCVD法等が多数知られており、そのための装置も実用に付されている。
【0003】
中でも、プラズマCVD法、すなわち、原料ガスを直流または高周波あるいはマイクロ波グロー放電により分解し、基板上に薄膜状の堆積膜を形成する方法は、電子写真用水素化アモルファスシリコン堆積膜の形成等に好適なものとして、現在実用化が非常に進んでおり、そのための装置も各種提案されている。
【0004】
ここで、図4を参照して、プラズマCVD法を用いた堆積膜形成装置について説明する。図4は、電源としてRF帯の周波数を用いたRFプラズマCVD法による従来の堆積膜形成装置、具体的には電子写真用光受容部材の形成装置の一例を示す模式的な構成図である。
【0005】
この装置は大別すると、堆積装置2100、原料ガス供給装置2200、反応容器2101内を減圧にするための排気装置(不図示)から構成されている。堆積装置2100の反応容器2101内には、円筒状基体2112、基体加熱用ヒーター2113aを内蔵した基体支持体2113、および原料ガス導入管2114が設置され、更に高周波マッチングボックス2115が反応容器2101の一部を構成するカソード電極2111に接続されている。カソード電極2111は碍子2120によりアース電位から絶縁されており、基体支持体2113を通してアース電位に維持されるアノード電極を兼ねた円筒状基体2112との間に高周波電圧が印加可能となっている。
【0006】
原料ガス供給装置2200は、SiH4、GeH4、H2、CH4、B2H6、PH3等の原料ガスを収容する複数のガスボンベ2221〜2226と、ガスボンベバルブ2231〜2236と、ガス流入バルブ2241〜2246およびガス流出バルブ2251〜2256と、マスフローコントローラー2211〜2216とから構成され、各原料ガスのボンベは補助バルブ2260を有する原料ガス配管2116を介して反応容器2101内のガス導入管2114に接続されている。
【0007】
このように構成された堆積膜形成装置を用いたシリコンを主成分とする堆積膜の形成は、例えば以下のように行なわれる。
【0008】
まず、反応容器2101内に円筒状基体2112を設置し、不図示の排気装置(例えば真空ポンプ)により反応容器2101内を排気する。続いて、基体支持体2113に内蔵された基体加熱用ヒーター2113aにより円筒状基体2112の温度を200℃〜350℃の所定の温度に制御する。
【0009】
堆積膜形成用の原料ガスを反応容器2101内に流入させる際には、ガスボンベバルブ2231〜2236および反応容器2101のリークバルブ2117が閉じていることを確認し、また、ガス流入バルブ2241〜2246、ガス流出バルブ2251〜2256、および補助バルブ2260が開いていることを確認して、まずメインバルブ2118を開いて反応容器2101および原料ガス配管内2116を排気する。
【0010】
次に、真空計2119の読みが約7×10-1Paになった時点で補助バルブ2260およびガス流出バルブ2251〜2256を閉じる。
【0011】
その後、ガスボンベバルブ2231〜2236を開いてガスボンベ2221〜2226より各ガスを導入し、圧力調整器2261〜2266により各ガス圧を0.2MPaに調整する。
【0012】
次に、ガス流入バルブ2241〜2246を徐々に開けて、各ガスをマスフローコントローラー2211〜2216内に導入する。
【0013】
以上のようにして成膜の準備が完了した後、以下の手順で各層の形成を行う。
【0014】
円筒状基体2112が所定の温度になったところで、ガス流出バルブ2251〜2256のうちの必要なものおよび補助バルブ2260を徐々に開き、ガスボンベ2221〜2226から所定のガスを原料ガス導入管2114を介して反応容器2101内に導入する。次にマスフローコントローラー2211〜2216のうち、所定のマスフローコントローラーによって各原料ガスが所定の流量になるように調整する。その際、反応容器2101内の圧力が所定の値になるように、真空計2119を見ながらメインバルブ2118の開口量を調整する。
【0015】
反応容器2101内の内圧が安定したところで、周波数13.56MHzのRF電源(不図示)を所望の電力に設定して、高周波マッチングボックス2115およびカソード2111を通じて反応容器2101内にRF電力を導入し、円筒状基体2112をアノードとして作用させてグロー放電を生起させる。この放電エネルギーによって、反応容器2101内に導入された原料ガスが分解され、円筒状基体2112上に所定のシリコンを主成分とする堆積膜が形成される。
【0016】
所望の膜厚の形成が行われた後、RF電力の供給を止め、ガス流出バルブ2251〜2256を閉じて反応容器2101内へのガスの流入を止め、堆積膜の形成を終える。同様の操作を複数回繰り返すことによって、所望の多層構造の光受容層を形成することができる。
【0017】
それぞれの層を形成する際には必要なガス以外のガス流出バルブ2251〜2256はすべて閉じられていることは言うまでもなく、また、それぞれのガスが、反応容器2101内およびガス流出バルブ2251〜2256から反応容器2101に至る配管内に残留することを避けるために、ガス流出バルブ2251〜2256を閉じ、補助バルブ2260を開き、さらにメインバルブ2118を全開にして系内を一旦高真空にすることで配管内を排気する操作を、必要に応じて行う。
【0018】
なお、形成膜の膜厚や膜質の均一化を図るために、層形成を行なっている間は、円筒状基体2112を駆動装置(不図示)によって所定の速度で回転させることも有効である。さらに、上述のガス種およびバルブ操作は各々の層の作成条件にしたがって変更が加えられることは言うまでもない。
【0019】
このような、上記のRF帯の周波数を用いたRFプラズマCVD法による従来の堆積膜形成装置および形成方法に加え、近年、VHF帯の高周波電力を用いたVHFプラズマCVD法(以下、「VHF−PCVD法」という。)が注目を浴びており、これを用いた各種堆積膜形成の開発も積極的に進められている。これは、VHF−PCVD法では膜堆積速度が速く、また高品質な堆積膜が得られるため、製品の低コスト化、高品質化を同時に達成し得るものと期待されるためである。例えば特開平6−287760には、アモルファスシリコン系の電子写真用光受容部材の形成に用いられ、周波数が30MHz以上、300MHz以下の高周波電力を用いる堆積膜形成装置および方法が開示されている。また、図5に示すような、複数の電子写真用光受容部材を同時に形成でき、生産性の極めて高い堆積膜形成装置の開発も進められている。
【0020】
図5は、従来の他の堆積膜形成装置を示す図であり、同図(a)はその概略縦断面図、同図(b)はその切断線A−A'に沿う概略断面図である。
【0021】
図5に示す装置では、反応容器301の側面には排気管311が一体的に形成され、排気管311の他端は不図示の排気装置に接続されている。表面に堆積膜が形成される6本の円筒状基体305が、反応容器301の中心部を取り囲むように、かつ互いに平行に配置されている。各円筒状基体305は回転軸308によって保持され、発熱体307によって加熱されるようになっている。モータ309を駆動すると、減速ギア310を介して回転軸308が回転し、円筒状基体305がその母線方向中心軸のまわりを自転するようになっている。
【0022】
6本の円筒状基体305により囲まれた成膜空間306には、原料ガスが原料ガス供給手段312より供給される。VHF電力はVHF電源303よりマッチングボックス304を経てカソード電極302より成膜空間306に供給される。この際、回転軸308を通してアース電位に維持された円筒状基体305がアノード電極として作用する。
【0023】
このような装置を用いた堆積膜形成は、概略以下のような手順により行うことができる。
【0024】
まず、反応容器301内に円筒状基体305を設置し、不図示の排気装置により排気管311を通して反応容器301内を排気する。続いて、発熱体307により円筒状基体305を200℃〜300℃程度の所定の温度に加熱・制御する。
【0025】
円筒状基体305が所定の温度となったところで、原料ガス供給手段312を介して、原料ガスを反応容器301内に導入する。原料ガスの流量が設定流量となり、また、反応容器301内の圧力が安定したことを確認した後、高周波電源303よりマッチングボックス304を介してカソード電極302へ所定のVHF電力を供給する。これにより、カソード電極302とアノード電極を兼ねた円筒状基体305との間にVHF電力が導入され、円筒状基体305で囲まれた成膜空間306にグロー放電が生起し、原料ガスが励起解離して円筒状基体305上に堆積膜が形成される。
【0026】
所望の膜厚の形成が行われた後、VHF電力の供給を止め、続いて原料ガスの供給を停止して堆積膜の形成を終える。同様の操作を複数回繰り返すことによって、所望の多層構造の電子写真用光受容層が形成される。
【0027】
堆積膜形成中、回転軸308を介して円筒状基体305をモータ309により所定の速度で回転させることにより、円筒状基体表面全周に渡って堆積膜が形成される。
【0028】
【発明が解決しようとする課題】
上記の従来の堆積膜形成装置および方法により、良好な堆積膜形成、即ち真空処理がなされる。しかしながら、このような真空処理を用いた製品に対する市場の要求レベルは日々高まっており、この要求に応えるべく、より高品質化、低コスト化が実現可能な真空処理方法が求められるようになっている。
【0029】
例えば、電子写真装置の場合、コピースピードの向上、高画質化、低価格化の要求は非常に強く、これらを実現するためには感光体特性、具体的には帯電能や感度等の向上、画像上に白点あるいは黒点で現れる感光体中構造欠陥に起因する画像欠陥の抑制、及び感光体生産コストの低下が不可欠となっている。また、近年その普及が目覚しいデジタル電子写真装置、カラー電子写真装置においては、文字原稿のみならず、写真、絵、デザイン画等のコピーも頻繁に為されるため、画像濃度むらの低減が従来以上に強く求められるようになっている。
【0030】
このような感光体特性の向上、感光体生産コストの低下を目指し、堆積膜積層構成の最適化等も為されているが、同時に、真空処理方法の面での改善も強く望まれている。
【0031】
このような状況下において、前述した従来の真空処理方法においても、真空処理特性の向上、真空処理コストの低下に関して、まだ改善の余地が残されているのが現状である。
【0032】
すでに述べたように、VHF帯、あるいはその近傍の周波数の高周波電力を用いてプラズマを生成して真空処理を施すことにより、真空処理速度の向上、真空処理特性の向上が達成可能であり、そのための鋭意研究がなされている。しかしながら、このような周波数帯の高周波電力を用いた場合、反応容器中での高周波電力の波長が反応容器、高周波電極、基板、あるいは基板ホルダー等と同程度の長さとなり、反応容器中で高周波電力が定在波を形成しやすくなり、この定在波によって反応容器中では場所ごとに電力の強弱が生じ、プラズマ特性が異なってしまう。この結果、広い範囲で真空処理特性をより一層均一化させることは難しかった。
【0033】
このような問題を解決するための手段として、複数の異なる周波数の高周波電力を反応容器中に同時に供給することが考えられる。これによって、反応容器中には、各々の周波数に応じた異なる波長の定在波が複数形成されることとなるが、これらは同時に供給されているので、これら複数の定在波が合成され、結果として明確な定在波が形成されなくなる。このような考えに基づけば、異なる複数の高周波電力の周波数はどのような値であっても定在波抑制効果は得られる。たとえば、特開昭60−160620号公報においては、10MHz以上の高周波電力と1MHz以下の高周波電力を同一の電極に供給する構成のプラズマリアクタ装置が開示されており、また、特開平9−321031号公報においては、UHF帯(300MHz以上、1GHz以下)の高周波電力と、それと2倍以上異なる周波数を有する高周波電力とを同時に印加する構成のプラズマ処理装置が開示されている。
【0034】
これらの技術を用いることによって、反応容器中の高周波電力の定在波は抑制され、真空処理の均一性が向上するものと考えられる。
【0035】
しかしながら、本発明者らは、たとえば特開昭60−160620号公報に開示された技術を用いて真空処理特性の均一性に関する実験を行った結果、確かにあるレベルまでは真空処理特性の均一性は向上できるものの、近年要求されている均一性のレベルを得るには至らなかった。また、特開平9−321031号公報に開示された技術を用いて実験を行った結果も同様に、近年要求されている均一性のレベルを得るには至らなかった。即ち、電界強度的には均一化されているはずの電力供給方法をもってしても、実際の真空処理においては、ある程度の不均一性が残ってしまうことが明らかとなった。
【0036】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、真空処理速度の向上および真空処理特性の向上を達成し、更には真空処理特性の均一性を極めて高いレベルとし、また、真空処理コストの低減が可能な真空処理方法を提供することにある。
【0037】
【課題を解決するための手段】
本願発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討を行った結果、同一の電極に周波数が異なる複数の高周波電力を供給し、それらの周波数の関係を変化させることによって、真空処理の均一化を図る効果が顕著に変化することを見出した。そして、それらの周波数を所定の関係とすることで、真空処理速度の向上、真空処理特性の向上、真空処理特性の均一性の向上、および真空処理コストの低減化を同時に実現することができることを見出し、本願発明を完成させるに至った。
【0038】
すなわち、本発明の真空処理方法は、反応容器中に被処理物を設置し、互いに異なる周波数を有する少なくとも2つの高周波電力を同一の高周波電極に同時に供給することにより、該高周波電極から前記反応容器内に導入された高周波電力によって前記反応容器内にプラズマを生起させて前記被処理物を処理する真空処理方法において、前記高周波電力として、
250MHz ≧ f1 > f2 ≧ 30MHz
0.9 ≧ f2/f1 ≧ 0.1
の2つの条件を満たす、周波数f1を有する高周波電力と周波数f2を有する高周波電力とを少なくとも用いることを特徴とする。
【0039】
このように構成された本発明の真空処理方法によれば、高い真空処理速度を維持しながら、真空処理特性の向上、真空処理コストの低減を実現し、同時に真空処理特性の均一性を著しく向上させることが可能である。
【0040】
この周波数の関係にある際に均一化効果が顕著に得られるメカニズムについては、現段階では明らかにはなっていないが、おおよそ以下のような作用によるものと考えられる。
【0041】
たとえば、特開昭60−160620号公報に具体的に示されているような周波数関係の場合、すなわち、10MHz以上の高周波電力(以下、「高周波数電力という。」と1MHz以下の高周波電力(以下、「低周波数電力」という)とを同時に処理容器内に導入した場合、高周波数電力による電界定在波と低周波数電力による電界定在波とが互いに合成され、高周波電界的には処理容器内での電界定在波を抑制することは可能である。
【0042】
しかしながら、このように高周波数電力と低周波数電力との周波数が1桁以上も異なってしまうと、高周波数電力による原料ガスの分解の仕方と低周波数電力による原料ガスの分解の仕方が異なってしまい、その結果、生成される活性種の種類、比率が異なってしまう。このため、電界強度的には均一化がなされていても、高周波数電力定在波の腹部分では高周波数電力の周波数に応じた種類、比率の活性種が多く生成され、低周波数電力定在波の腹部分では低周波数電力の周波数に応じた種類、比率の活性種が多く生成されてしまう。その結果、活性種の種類、比率に空間的な分布が生じてしまい、真空処理特性に不均一化をもたらしてしまうものと考えられる。
【0043】
これに対し、周波数f1とf2との関係をf2/f1≧0.1の関係に維持することで、このような周波数の違いによる生成活性種の種類、比率の違いは実用上問題となるレベルでなくなるものと考えられる。
【0044】
また、周波数f1と周波数f2とが互いに近すぎると、各々の定在波の節位置と腹位置とが近くなるため、十分な電界定在波抑制効果が得られなくなってしまう。そのため、周波数f1とf2との関係を0.9≧f2/f1の関係に維持することも必要であると考えられる。
【0045】
また、周波数f1が250MHzよりも高くなると、電力の進行方向での減衰が顕著となり、異なる周波数をもつ高周波電力間での減衰率のずれが顕著となってしまい、十分な均一化効果が得られなくなってしまうものと考えられる。さらに、周波数f2が30MHzよりも小さくなると、真空処理速度が急激に低下してしまい、真空処理コストの点から好ましくない。
【0046】
以上のような理由から、周波数f1,f2を、本発明の範囲、すなわち、
250MHz ≧ f1>f2 ≧ 30MHz
0.9 ≧ f2/f1 ≧ 0.1
とすることで、真空処理速度を高く維持しながらも、真空処理特性の向上、すなわち真空処理特性の均一性を向上させる効果を顕著に得られるものと推察される。
【0048】
さらに、前記周波数f1と前記周波数f2とが、
0.9 ≧ f2/f1 >0.5
の条件を満たす構成とすることにより、本発明による上記の効果を一層顕著に得ることが可能になる。
【0049】
なお、本発明において、互いに異なる周波数を上記の関係に設定する対象の高周波電力は、真空処理に影響を及ぼすレベル以上の電力を有するものに限られ、真空処理に実質上影響を及ぼさない低電力の高周波電力、例えば高調波等の周波数は上記の関係に制限されるものではない。
【0050】
また、必要に応じて、更に他の周波数の電力を同時に供給しても良い。たとえば、真空処理中のバイアス効果を高めるために、本発明の範囲の高周波電力に加えて、数十kHz〜数百kHz程度の周波数の電力を同時に供給することができる。このように、更なる電力を供給する場合には、その電力を加えることで真空処理特性の均一性が損なわれない程度の電力とする必要がある。
【0051】
本発明において、このような反応容器中への高周波電力の導入は、同一の電極から行う必要がある。各々異なった周波数の高周波電力を各々別の電極から供給した場合、各電極上には電極ごとに供給された高周波電力の周波数に依存した波長の定在波が生じてしまう。この結果、電極近傍に生起するプラズマの特性は、この定在波に応じた形状をもってしまい、生成活性種の種類・比率や、電極に入射するイオンのエネルギーが位置によって異なってしまうため、電極上に付着する膜の構造が電極上の位置に依存して異なってしまう。このため、電極上において剥れ易い膜構造の部分が生じたり、あるいは、膜の構造が位置的に変化する領域が生じ、その領域での内部応力の違いが生じたりして、付着膜が剥れやすい部分が生じてしまい、剥れた膜が被処理物上に付着して欠陥を生じさせやすくなってしまう。このような問題を回避するために、本発明では周波数の異なる複数の高周波電力を同一の電極に供給する必要がある。このようにすることにより、電極上においても定在波は抑制され、上述したような問題が効果的に抑制される。
【0052】
また、本発明においては、前記高周波電極の最長部の長さをLeとし、前記高周波電力のうち最も高い周波数を有する高周波電力の前記反応容器中での波長をλ1とし、前記高周波電力のうち最も低い周波数を有する高周波電力の前記反応容器中での波長をλ2としたとき、
(λ2−λ1)×Le/λ2 <λ2/2
の条件を満たす構成とすることが好ましい。このような条件とすることで、最も高い周波数を有する高周波電力に起因する定在波の節位置と、最も低い周波数を有する高周波電力に起因する定在波の節位置とを高周波電極上の全領域において互いにずらすことが可能となり、真空処理特性の均一性が向上するものと考えられる。
【0053】
このような効果は、前記Leと、前記λ1と、前記λ2とが、
(λ2−λ1)×Le/λ2 < 0.9×λ2/2
の条件をさらに満たす構成とすることにより、更に顕著に得ることができる。これは、上述したような最も高い周波数を有する高周波電力に起因する定在波の節位置と、最も低い周波数を有する高周波電力に起因する定在波の節位置との互いのずれをより大きくすることが可能になるためであると推測される。
【0054】
なお、反応容器中での高周波電力の波長は、たとえば周知のプローブ法を用いて知ることができる。具体的には、まず、反応容器中にプローブを挿入した状態でプラズマを生成させる。このとき、高周波電力は単一の周波数とする。この状態でプローブ位置を反応容器中で移動し、反応容器中の電子密度、電子温度の分布を測定する。プラズマ生成条件が、供給する高周波電力の増加に伴って電子密度が増加する、いわゆるパワーリミット条件の場合には、電子密度において高周波電力の定在波に応じた分布が測定される。電子密度が最も低いところが定在波の節位置に相当し、電子密度が最も高いところが定在波の腹位置に相当する。この定在波の節位置と腹位置とから定在波の波長が求められ、その波長を2倍することによって供給した高周波電力の反応容器中での波長を知ることができる。プラズマ生成条件が、供給する原料ガス量の増加に伴って電子密度が増加する、いわゆるフローリミット条件の場合には、電子温度において高周波電力の定在波に応じた分布が測定される。電子温度が最も低いところが定在波の節位置に相当し、電子温度が最も高いところが定在波の腹位置に相当する。この定在波の節位置と腹位置とから定在波の波長が求められ、その波長を2倍することによって供給した高周波電力の反応容器中での波長を知ることができる。このような反応容器中での高周波電力の波長を知る手段としては、プローブ法のほかにもマイクロ波法、光計測法等、周知のプラズマ診断法を用いることも可能である。
【0055】
また、反応容器中の堆積膜特性の変化から反応容器中での高周波電力の波長を知ることも可能である。この場合、反応容器中に設置した基板上に堆積膜を形成し、その膜特性、たとえば電気特性や光学的特性の位置依存性を従来から公知の方法(例えば、電気伝導率測定、CPM(Constant Photocurrent Method)、可視光吸収測定、あるいは赤外線吸収測定)で評価する。これによって、膜特性の等間隔で周期的な位置依存性が確認される。その周期が定在波の波長であり、その長さを2倍することによって、反応容器中での高周波電力の波長が求められる。
【0056】
本発明は更に、前記被処理物の導電性部分の最長部分の長さをLsとし、前記高周波電力のうち最も高い周波数を有する高周波電力の前記反応容器中での波長をλ1とし、前記高周波電力のうち最も低い周波数を有する高周波電力の前記反応容器中での波長をλ2としたとき、
(λ2−λ1)×Ls/λ2 <λ2/2
の条件を満たす構成とすることにより、より顕著な効果を得ることが可能である。これは、高周波電極より反応容器中に供給された高周波電力が反応容器中を伝播し、その一部が被処理物の導電性部分上に伝播してしまうことに起因するものと考えられる。このようにして被処理物上に伝播した高周波電力は、電極の場合と同様に、被処理物の導電性部部分上において各々の波長に応じた電界定在波を生じる。従って、上記の条件とすることで、最も高い周波数を有する高周波電力に起因する定在波の節位置と、最も低い周波数を有する高周波電力に起因する定在波の節位置とを被処理物上の全領域にわたって互いにずらすことが可能となり、真空処理特性の均一性が向上するものと考えられる。
【0057】
このような効果は、前記Lsと、前記λ1と、前記λ2とが、
(λ2−λ1)×Ls/λ2 < 0.9×λ2/2
の条件をさらに満たす場合に、更に顕著に得ることができる。これは、上述したような最も高い周波数を有する高周波電力に起因する定在波の節位置と、最も低い周波数を有する高周波電力に起因する定在波の節位置との互いのずれをより大きくすることが可能になるためと推測される。
【0058】
また、本発明は、少なくとも一部が導電性部材で構成されたホルダー上に前記被処理物を設置し、前記ホルダーの導電性部分の最長部分の長さをLhとし、前記高周波電力のうち最も高い周波数を有する高周波電力の前記反応容器中での波長をλ1とし、前記高周波電力のうち最も低い周波数を有する高周波電力の前記反応容器中での波長をλ2としたとき、
(λ2−λ1)×Lh/λ2 <λ2/2
の条件を満たす構成とすることにより、より顕著な効果を得ることが可能である。これは、高周波電極より反応容器中に供給された高周波電力が反応容器中を伝播し、その一部がホルダーの導電性部分上に伝播してしまうことに起因するものと考えられる。この結果、被処理物上に高周波電力が重畳した場合と同様の作用によって、真空処理特性の均一性が向上するものと考えられる。
【0059】
このような効果は、前記Lhと、前記λ1と、前記λ2とが、
(λ2−λ1)×Lh/λ2 < 0.9×λ2/2
の条件をさらに満たす場合に、更に顕著に得ることができる。これは、上述したような最も高い周波数を有する高周波電力に起因する定在波の節位置と、最も低い周波数を有する高周波電力に起因する定在波の節位置との互いのずれをより大きくすることが可能になるためと推測される。
【0060】
なお、ここでホルダーの長さとは、電気的に導通のあるホルダー部位のうち、距離が最も離れた部位間の長さをさす。たとえば、導電性のホルダーが2分割されており、その間に基体が設置されている場合でも、基体が導電性を有していれば、分割された2つのホルダーは電気的に導通状態にあるので、これら2つのホルダー間で最も離れた部位間の距離をホルダー長さとする。
【0061】
たとえば、図6(a)に示す構成の場合、導電性のホルダー501は下部ホルダー502と上部ホルダー503とに分割されており、各々の長さはL1,L2であるが、基体504が導電性の場合、下部ホルダー502と上部ホルダー503とは導通状態となるので、ホルダー長はL0となる。
【0062】
また、図6(b)に示す構成のように、導電性を有するホルダー511が、互いに導通状態にある第1のホルダー512と第2ホルダー513とで構成されている場合には、基体514の導通性の有無に関わらず、ホルダー長はL0となる。
【0063】
さらに、本発明では、前記高周波電極が棒状に形成されている構成としてもよい。電極の形状が、実質的に一次元として扱うことが可能な棒状形状である場合には、電力が進行方向に対して横方向に回りこむことが実質的に無いので、電力の横方向への回りこみによる二次的な定在波が生じすることがなく、本発明の効果をより顕著に得ることが可能になる。
【0064】
また、本発明においては、前記被処理物が円筒状または円柱状に形成されている構成としてもよい。被処理物が円筒状または円柱状に形成されている場合には、被処理物上の高周波電力の反射端は被処理物の両端に限定される。そのため、多くの反射端が存在し、それに応じた多くの定在波が生じる場合に比べ、定在波の腹位置での電界強度が高く、他の周波数の電力によって生じる定在波の節位置、すなわち電界強度の低い部分を効果的に補うことが可能となるため、本発明の効果をより顕著に得ることが可能になる。
【0065】
さらに、本発明は、前記被処理物の表面に堆積膜を形成する場合に、特に顕著な効果を得ることが可能である。本発明においては、電極上を含め反応容器中の全領域の電界分布を均一化するため、膜付着を生ずる部位の全領域にわたって、局所的な膜構造の変化が効果的に抑制される。この結果、内部応力の局所的な変化に起因して生じうる膜剥れが効果的に抑制され、したがって、剥れた膜が被処理物上へ付着することによって生じる被処理物上の欠陥が大幅に低減される。
【0066】
また、本発明は、前記被処理物の表面に電子写真用感光体用堆積膜を形成する場合に、より効果的である。電子写真用感光体用堆積膜を形成するには、大面積の堆積膜を形成することが必要であり、さらにその全領域にわたって構造欠陥が存在しない必要がある。その一方で、電子写真感光体形成では一般的に数十μmもの厚さの堆積膜形成を行うため、反応容器壁面への膜付着も多くなり、壁面に付着した膜に膜剥れが生じやすい。さらには、構造欠陥が生じた場合、電子写真感光体では他のデバイスのように、構造欠陥の存在する部分のみを不良として扱い、他の領域は良品として扱うといったことができず、大面積にわたって形成した全体の堆積膜が不良となってしまう。このため、電子写真感光体形成においては、構造欠陥が生じた際にコストへ与える影響が非常に大きく、本発明によって構造欠陥をも効果的に抑制することは、生産コストを低減させる上で極めて効果的となる。
【0067】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0068】
図1は本発明の真空処理方法を行うことができるアモルファスシリコン系感光体製造装置の一例を示した概略図であり、同図(a)はその概略断面図、同図(b)は同図(a)の切断線A−A'に沿う概略断面図である。
【0069】
図1に示す装置では、反応容器101の側面には排気管111が一体的に形成され、排気管111の他端は不図示の排気装置に接続されている。堆積膜の形成される6本の円筒状基体105が、ホルダー106に載置された状態で、反応容器101の中心部を取り囲むように、かつ互いに平行に配置されている。各円筒状基体105は回転軸108によって保持され、発熱体107によって加熱されるようになっている。モータ109を駆動すると、減速ギア110を介して回転軸108が回転し、円筒状基体105がその母線方向中心軸のまわりを自転するようになっている。
【0070】
反応容器101内には原料ガスが原料ガス供給手段112より供給される。また、2つの高周波電源103,113より異なる周波数の高周波電力がマッチングボックス104を経て高周波電極102に同時に供給され、高周波電極102より反応容器101内にそれらの高周波電力が導入される。このとき、回転軸108を通してアース電位に維持された円筒状基体105および反応容器101の壁面が、アノード電極として作用する。
【0071】
各高周波電源103,113には、たとえば高周波電源103の発振周波数をf1とし、高周波電源113の発振周波数をf2とした場合、互いの発振周波数の関係を、
250MHz ≧ f1 > f2 ≧ 30MHz
0.9 ≧ f2/f1 ≧ 0.1
とすることが可能である電源を用いる。
【0072】
なお、図1の装置においては、上記の範囲を満たす2つの異なる周波数の高周波電力を出力可能な2つの電源を用いているが、本発明においては2つ以上の異なる周波数の高周波電力が供給可能であればよく、高周波電源が3つ以上であってもよい。また、あらかじめ複数の周波数を合成した高周波電力が出力可能な電源を用いた場合には、電源の数は1つであってもかまわない。いずれにしても、少なくとも2つの異なる周波数の高周波電力を同一の電極に同時に供給可能な構成であり、2つの異なる周波数f1、f2の関係が、
250MHz ≧ f1 > f2 ≧ 30MHz
0.9 ≧ f2/f1 ≧ 0.1
とすることが可能な構成とする。
【0073】
また、本発明において、高周波電極102の長さをLeとし、高周波電源103,113より供給される高周波電力の反応容器101中での波長を各々λ1、λ2(λ1<λ2)としたとき、これらLe、λ1、λ2の関係を、好ましくは、
(λ2−λ1)×Le/λ2 <λ2/2
より好ましくは、
(λ2−λ1)×Le/λ2 < 0.9×λ2/2
とすることで、真空処理特性をより顕著に均一化させる効果を得ることができる。
【0074】
更に、円筒状基体105の長さをLsとしたとき、好ましくは、
(λ2−λ1)×Ls/λ2 <λ2/2
より好ましくは、
(λ2−λ1)×Ls/λ2 < 0.9×λ2/2
とすることで、真空処理特性をより顕著に均一化させる効果を得ることができる。
【0075】
また、ホルダー106の長さをLhとしたとき、好ましくは、
(λ2−λ1)×Lh/λ2 <λ2/2
より好ましくは、
(λ2−λ1)×Lh/λ2 < 0.9×λ2/2
とすることで、真空処理特性をより顕著に均一化させる効果を得ることができる。
【0076】
カソード電極102の形状としては、特に制限はないが、真空処理特性をより顕著に均一化させる効果を得るためには、図1に示したような棒状、あるいは線状であることが好ましく、また、膜剥がれ防止の観点から、可能な限り曲面により構成されていることが好ましく、特に、円柱状、円筒状が好ましい。
【0077】
カソード電極102の表面は、膜の密着性を向上し、膜剥れを防止し、成膜中のダストを抑制する目的から、粗面化されていることが望ましい。粗面化の具体的な程度としては、2.5mmを基準とする10点平均粗さ(Rz)で5μm以上200μm以下の範囲が好ましい。
【0078】
さらに、膜の密着性向上の観点から、高周波電極102の表面はセラミックス材で被覆されていることが効果的である。被覆の具体的手段に特に制限はないが、例えばCVD法、溶射等の表面コーティング法により、高周波電極102の表面をコーティングしてもよい。コーティング法の中でも溶射は、コスト面から、あるいはコーティング対象物の大きさや形状の制限を受けにくいため好ましい。
【0079】
また、高周波電極102の外部をパイプ形状等のセラミック部材により覆う構成とすることも効果的である。具体的なセラミック材料としては、アルミナ、二酸化チタン、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、ジルコン、コージェライト、ジルコン−コージェライト、酸化珪素、酸化ベリリウムマイカ系セラミックス等が挙げられる。高周波電極102の表面を被覆するセラミックス材の厚さは特に制限はないが、耐久性及び均一性を増すため、また、高周波電力吸収量、製造コストの面から1μm〜10mmが好ましく、10μm〜5mmがより好ましい。
【0080】
さらに、高周波電極102に加熱または冷却手段を設けることにより、高周波電極102の表面における膜の密着性を更に高め、膜剥れの防止をより効果的に達成できる。この場合、高周波電極102を加熱するか冷却するかは、堆積する膜材料、堆積条件に応じて適宜決定する。具体的な加熱手段としては、発熱体であれば特に制限はない。具体的にはシース状ヒーターの巻付けヒーター、板状ヒーター、セラミックヒーター等の電気抵抗発熱体、ハロゲンランプ、赤外線ランプ等の熱輻射ランプ発熱体、液体、気体等を媒体とした熱交換手段による発熱体等が挙げられる。また、具体的な冷却手段としては、吸熱体であれば特に制限はない。例えば、液体・気体等を冷却媒体として流すことができる冷却コイル、冷却板、冷却筒等が挙げられる。
【0081】
このような装置を用いた堆積膜形成は、概略以下のような手順により行なうことができる。
【0082】
まず、反応容器101内に円筒状基体105を設置し、不図示の排気装置により排気管111を通して反応容器101内を排気する。続いて、発熱体107により円筒状基体105を200℃〜300℃程度の所定の温度に加熱・制御する。
【0083】
円筒状基体105が所定の温度となったところで、原料ガス供給手段112を介して原料ガスを反応容器101内に導入する。原料ガスの流量が設定流量となり、また、反応容器101内の圧力が安定したことを確認した後、
250MHz ≧ f1> f2 ≧ 30MHz
0.9 ≧ f2/f1 ≧ 0.1
の2つの関係を満たす、周波数f1を有する高周波電力と周波数f2を有する高周波電力とを各高周波電源103,113よりマッチングボックス104を介して高周波電極102へ供給する。これにより、反応容器101内に2つの異なる周波数の高周波電力が導入され、反応容器101内にグロー放電が生起し、原料ガスが励起解離して円筒状基体105上に堆積膜が形成される。
【0084】
所望の膜厚の形成が行なわれた後、高周波電力の供給を止め、続いて原料ガスの供給を停止して堆積膜の形成を終える。同様の操作を複数回繰り返すことによって、所望の多層構造の光受容層が形成される。
【0085】
堆積膜形成中、回転軸108を介して円筒状基体105をモータ109により所定の速度で回転させることにより、円筒状基体表面全周に渡って堆積膜が形成される。
【0086】
【実施例】
以下、本発明の真空処理方法について実施例を示して更に詳しく説明する。ただし、本発明の範囲は、これらの実施例により何ら制限されるものではない。
【0087】
(第1の実施例)
図1に示す堆積膜形成装置を用い、高周波電源103の発振周波数を100MHzとし、高周波電源113の発振周波数を10MHz(参考例)、27MHz、54MHz、68MHz、90MHzとした各々の条件で、直径80mm、長さ358mmのアルミニウム製の円筒状基体105上に以下の表1に示す条件で電荷注入阻止層、光導電層、および表面層からなるアモルファスシリコン系感光体を1ロットあたり6本で5ロット分(合計30本)作製した。なお、高周波電源103の出力は全出力の95%、高周波電源113の出力は全出力の5%とした。
【0088】
高周波電極102はSUS(ステンレス鋼)製で長さ45cm、直径20mmの円柱形状を有しており、その外部を内径21mm、外径24mmのアルミナ製のパイプで覆う構造とした。このアルミナ製のパイプにブラスト加工を施し、このパイプの表面粗さを、2.5mmを基準長とするRzで20μmとした。円筒状基体105は、高周波電極102を中心とする円周上に等間隔に6本配置した。
【0089】
高周波電源103,113から出力された各高周波電力は、各々別々の同軸線路によりマッチングボックス104に供給され、マッチングボックス104内で各々の電力が合成された後、高周波電極102から反応容器101内へ導入される。なお、マッチングボックス104内には、各々の高周波電力が他方の高周波電源に流れ込まないようにフィルター回路(不図示)が設けられている。
【0090】
円筒状基体105を載置するホルダー106は、長さ450mmのアルミニウム製であり、表面にはブラスト加工が施されている。円筒状基体105はホルダー106の中央に載置されており、円筒状基体105の端部からホルダー106の端部までの距離は上部、下部ともに46mmである。
【0091】
原料ガス供給手段112は、内径10mm、外径13mmのアルミナ製のパイプからなり、その端部が封止され、パイプの側壁上に設けられた直径1.2mmの10個のガス噴出口より原料ガスを供給可能な構造のものを用いた。原料ガス供給手段112の設置位置は円筒状基体105が成す配置円の内側である。原料ガス供給手段112は、円筒状基体105の配置円と中心を同じくする同一の円周上に等間隔に3本配置した。原料ガス供給手段112の表面にはブラスト加工を施し、その表面粗さを、2.5mmを基準長とするRzで20μmとした。
【0092】
本実施例での感光体の作製手順は、概略以下の通りとした。
【0093】
まず、基体ホルダー106に保持された円筒状基体105を反応容器101内の回転軸108上に設置した。その後、不図示の排気装置により排気管111を通して反応容器101内を排気した。続いて、回転軸108を介して円筒状基体105をモータ109により10rpmの速度で回転させ、更に原料ガス供給手段112より反応容器101中に流量が500ml/min(normal)のArガスを供給しながら発熱体107により円筒状基体105を250℃に加熱・制御し、その状態を2時間維持した。
【0094】
次いで、Arガスの供給を停止し、反応容器101を不図示の排気装置により排気管111を通して排気した後、原料ガス供給手段112を介して、下記の表1に示した電荷注入阻止層形成に用いる原料ガスを導入した。原料ガスの流量が設定流量となり、また、反応容器101内の圧力が安定したことを確認した後、高周波電源103の出力を全出力の95%、高周波電源113の出力を全出力の5%とした状態で、全出力を表1に示した電力に設定し、マッチングボックス104を介して高周波電極102へ高周波電力を供給した。高周波電極102より反応容器101内に放射された高周波電力によって、原料ガスを励起解離することにより、円筒状基体105上に電荷注入阻止層を形成した。所定の膜厚の形成が行なわれた後、高周波電力の供給を止め、続いて原料ガスの供給を停止して電荷注入阻止層の形成を終えた。同様の操作を複数回繰り返すことによって、光導電層、表面層を順次形成した。
【0095】
【表1】
【0096】
これに対し、第1の比較例として、高周波電源113の発振周波数を7MHz、95MHzとする以外は実施例1と同様にして、直径80mm、長さ358mmのアルミニウム製の円筒状基体105上に表1に示す条件で電荷注入阻止層、光導電層、表面層からなるアモルファスシリコン系感光体を1ロットあたり6本で5ロット分(合計30本)作製した。なお、高周波電源103の出力は全出力の95%、高周波電源113の出力は全出力の5%とした。
【0097】
このようにして作製された第1の実施例および第1の比較例のアモルファスシリコン系感光体を、テスト用に改造したキヤノン製の複写機NP−6750に設置し、感光体の特性評価を行った。評価項目は、「画像濃度むら」、「帯電能」、「光メモリー」、「画像欠陥」の4項目とし、以下の具体的評価法により各項目の評価を行った。
【0098】
− 画像濃度むら −
まず、現像器位置での暗部電位が一定値となるように主帯電器電流を調整した後、原稿に反射濃度0.1以下の所定の白紙を用い、現像器位置での明部電位が所定の値となるよう像露光光量を調整した。次いで、キャノン製中間調チャート(部品番号:FY9−9042)を原稿台に置き、コピ−したときに得られたコピー画像上の全領域における反射濃度の最高値と最低値との差により評価した。評価結果は、全感光体の平均値とした。従って、数値が小さいほど良好である。
【0099】
− 帯電能 −
複写機の主帯電器に一定の電流を流したときの現像器位置での暗部電位を測定する。従って、暗部電位が大きいほど帯電能が良好であることを示す。帯電能測定は感光体母線方向全領域にわたって行い、その中の最低暗部電位により評価した。評価結果は全感光体の平均値とした。従って、数値が大きいほど良好である。
【0100】
− 光メモリー −
現像器位置における暗部電位が所定の値となるように主帯電器の電流値を調整した後、所定の白紙を原稿とした際の明部電位が所定の値となるよう像露光光量を調整する。この状態でキヤノン製ゴーストテストチャート(部品番号:FY9−9040)に反射濃度1.1、直径5mmの黒丸を貼り付けたものを原稿台に置き、その上に前記のキヤノン製中間調チャート(部品番号:FY9−9042)を重ねておいたときのコピー画像において、中間調コピー上に認められるゴーストチャートの直径5mmの黒丸の反射濃度と中間調部分の反射濃度との差を測定することにより行った。光メモリー測定は感光体母線方向全領域にわたって行い、その中の最大反射濃度差により評価した。評価結果は全感光体の平均値とした。従って、数値が小さいほど良好である。
【0101】
− 画像欠陥 −
キャノン製中間調チャート(部品番号:FY9−9042)を原稿台に置き、コピーしたときに得られたコピー画像の同一面積内にある直径0.1mm以上の白点を数え、その数により評価した。従って、数値が小さいほど良好である。
【0102】
これらの評価結果を表2に示す。
【0103】
【表2】
【0104】
表2において、評価結果は、第1の比較例において高周波電源113の発振周波数を7MHzとしたときの評価結果を基準とした。
【0105】
画像濃度むらに関しては、最大反射濃度差が1/4未満まで良化したものを◎、1/4以上1/2未満まで良化したものを◎〜〇、1/2以上3/4未満まで良化したものを〇、3/4以上まで良化したものを〇〜△、同等であったものを△、悪化したものを×で示した。
【0106】
また、帯電能に関しては、10%以上の向上を◎、10%未満5%以上の向上を◎〜〇、5%未満2.5%以上の向上を〇、2.5%未満の向上を〇〜△、同等を△、悪化を×で示した。
【0107】
光メモリーに関しては、最大反射濃度差が1/4未満まで良化したものを◎、1/4以上1/2未満まで良化したものを◎〜〇、1/2以上3/4未満まで良化したものを〇、3/4以上まで良化したものを〇〜△、同等であったものを△、悪化したものを×で示した。
【0108】
画像欠陥に関しては、直径0.1mm以上の白点の数が1/4未満まで良化したものを◎、1/4以上1/2未満まで良化したものを◎〜〇、1/2以上3/4未満まで良化したものを〇、3/4以上まで良化したものを〇〜△、同等であったものを△、悪化したものを×で示した。
【0109】
表2に示した結果からわかるように、高周波電源113の発振周波数f2を90MHz≧f2≧30MHzとした本実施例において、「画像濃度むら」、「帯電能」、「光メモリー」、「画像欠陥」いずれの項目においても本発明の真空処理特性をより顕著に均一化させるという効果が認められ、特に90MHz≧f2>50MHzの範囲において顕著に効果が認められた。
【0110】
即ち、高周波電源103の発振周波数をf1、高周波電源113の発振周波数をf2としたときに、0.9 ≧ f2/f1 ≧ 0.1の関係において真空処理特性を顕著に均一化させる良好な特性が得られ、0.9 ≧ f2/f1 > 0.5の関係において特に良好な結果が得られた。
【0111】
また、本実施例で作製された電子写真感光体を用いて形成された電子写真画像は、画像流れ等が無い、極めて良好なものであった。
【0112】
(第2の実施例)
図1に示す堆積膜形成装置を用い、高周波電源103の発振周波数を250MHzとし、高周波電源113の発振周波数を140MHzとして、直径80mm、長さ358mmのアルミニウム製の円筒状基体105上に表3に示す条件でアモルファスシリコン膜を形成した。
【0113】
円筒状基体105の表面には、電気特性を評価するためのCr製の250μm幅のギャップを有する櫛形電極を蒸着したガラス基板(コーニング#7059製)を電気特性評価基板として設置した。電気特性評価基板は、円筒状基体105の軸方向の全領域にわたって、櫛形電極が軸方向に1cm間隔となるように設置した。
【0114】
高周波電極102はSUS(ステンレス鋼)製で直径20mmの円柱形状を有しており、その外部を内径21mm、外径24mmのアルミナ製のパイプで覆う構造とした。このアルミナ製パイプにブラスト加工を施し、このパイプの表面粗さを、2.5mmを基準長とするRzで20μmとした。本実施例では、このように構成された高周波電極102の長さが30cm、35cm、40cm、45cm,50cm,55cm、60cmである場合の7条件について、アモルファスシリコン膜の形成を行った。
【0115】
高周波電源103,113から出力された高周波電力は、各々別々の同軸線路により、マッチングボックス104に供給され、マッチングボックス104内で各々の電力が合成された後、高周波電極102から反応容器101内へ導入される。なお、マッチングボックス104内には、各々の高周波電力が他方の高周波電源に流れ込まないようにフィルター回路(不図示)が設けられている。
【0116】
円筒状基体105は高周波電極102を中心とする円周上に等間隔に6本配置した。また、円筒状基体105を載置するホルダー106は、長さ450mmのアルミニウム製であり、表面はブラスト加工が施されている。円筒状基体105はホルダー106の上端から20mm、ホルダー106の下端から72mmの位置に載置した。
【0117】
原料ガス供給手段112は、内径10mm、外径13mmのアルミナ製のパイプからなり、その端部が封止され、パイプの側壁上に設けられた直径1.2mmの10個のガス噴出口より原料ガスを供給可能な構造のものを用いた。原料ガス供給手段112の設置位置は円筒状基体105が成す配置円の内側である。原料ガス供給手段112は、円筒状基体105の配置円と中心を同じくする同一の円周上に等間隔で3本配置した。原料ガス供給手段112の表面にはブラスト加工を施し、その表面粗さを、2.5mmを基準長とするRzで20μmとした。
【0118】
このような装置構成において、アモルファスシリコン膜の形成に先立って、高周波電力の反応容器101中での波長を測定した。高周波電源103の出力値を800Wとし、高周波電源113の出力値を0Wとする以外は表3に示す条件で反応容器101中にプラズマを生起させた。このとき、高周波電極102の長さは60cmとした。プラズマを生起させた状態で反応容器101中にプローブを挿入し、円筒状基体105およびホルダー106の表面から2cmの位置の電子温度を円筒状基体105およびホルダー106の軸方向に1cm間隔で測定した。円筒状基体105およびホルダー106の軸方向で電子温度の分布が得られ、電子温度の局所的な落ち込みが12cm間隔で確認された。この結果、周波数250MHzの高周波電力の反応容器101中での波長が24cmであることがわかった。この結果を基に周波数140MHzの高周波電力の反応容器101中での波長を計算すると43cmとなる。
【0119】
次に、概略以下の手順によって、高周波電極102の長さをそれぞれ30cm、35cm、40cm、45cm、50cm、55cm、60cmとした場合ごとに、各々5ロットのアモルファスシリコン膜の形成を行った。
【0120】
まず、表面に電気特性評価基板を取り付けた円筒状基体105を基体ホルダー106に保持させた状態で反応容器101内の回転軸108上に設置した。その後、不図示の排気装置により排気管111を通して反応容器101内を排気した。続いて、回転軸108を介して円筒状基体105をモータ109により10rpmの速度で回転させ、更に原料ガス供給手段112より反応容器101中に流量が500ml/min(normal)のArガスを供給しながら、発熱体107により円筒状基体105の表面に取り付けられた電気特性評価基板の表面温度が250℃になるよう加熱・制御し、その状態を2時間維持した。
【0121】
次いで、Arガスの供給を停止し、反応容器101を不図示の排気装置により排気管111を通して排気した後、原料ガス供給手段112を介して、下記の表3に示した流量の原料ガスを導入した。原料ガスの流量が設定流量となり、また、反応容器101内の圧力が表3に示した条件で安定したことを確認した後、高周波電源103,113の出力値を各々表3に示した値に設定し、マッチングボックス104を介して高周波電極102へ高周波電力を供給した。高周波電極102より反応容器101内に放射された高周波電力によって、原料ガスを励起解離させることにより、円筒状基体105上に設置された電気特性評価基板上にアモルファスシリコン膜を形成した。所定の膜厚の形成が行なわれた後、高周波電力の供給を止め、続いて原料ガスの供給を停止して、アモルファスシリコン膜の形成を終えた。
【0122】
【表3】
【0123】
これに対し、第2の比較例として、高周波電源113の発振周波数を20MHzとする以外は実施例2と同様にして、表3に示す条件でアモルファスシリコン膜の形成を行った。
【0124】
このようにして形成された、第2の実施例および第2の比較例のアモルファスシリコン膜に関して、以下の評価法により光感度むらを評価した。
【0125】
− 光感度むら −
電気特性評価基板上に得られた堆積膜の((光導電率σp)/(暗導電率σd))を測定することにより評価を行った。光導電率σpは、1mW/cm2の強度のHe−Neレーザー(波長632.8nm)を照射したときの導電率とした。したがって、光感度の値が大きいほど堆積膜特性が良好であることを示す。各ロットごとに(最大光感度)/(最小光感度)を求め、その平均値を評価結果とした。
【0126】
評価結果を表4に示す。
【0127】
【表4】
【0128】
表4において、本実施例による形成膜の評価結果は、高周波電極102の長さごとに、第2の比較例において高周波電源113の発振周波数を20MHzとしたときの評価結果を基準とし、光感度むらが1/4未満まで良化したものを◎、1/4以上1/2未満まで良化したものを◎〜〇、1/2以上3/4未満まで良化したものを〇、3/4以上まで良化したものを〇〜△、同等であったものを△、悪化したものを×で示した。
【0129】
表4に示した結果から、反応容器中に導入する高周波電力のうち、反応容器中での波長が最も短いものをλ1、最も長いものをλ2、高周波電極の長さをLeとしたとき、
(λ2−λ1)×Le/λ2 <λ2/2
を満たす場合に本発明の効果が顕著に得られ、さらには、
(λ2−λ1)×Le/λ2 < 0.9×λ2/2
を満たす場合に本発明の効果をより顕著に得られることがわかった。
【0130】
(第3の実施例)
本実施例では、図2に示す堆積膜形成装置を用い、高周波電源103の発振周波数を180MHzとし、高周波電源113の発振周波数を100MHz、120MHz、140MHz、および160MHzとした場合において、表5に示す条件でアモルファスシリコン系感光体を形成した。
【0131】
図2に示す装置においては、ホルダー106の軸方向に、直径30mm、長さ358mmのアルミニウム製の2本の円筒状基体105を重ねて設置した。そして、このように2本の円筒状基体105が軸方向に重ねて設置された12本のホルダー106を、高周波電極102を中心とする同一に円周上に等間隔に配置した。各ホルダー106は、モータ109および減速ギア110により自転可能な回転軸108に保持されている。
【0132】
本実施例において用いたホルダー106は長さ722mmのアルミニウム製のものであり、その表面にはブラスト加工が施されている。円筒状基体105は、ホルダー106の上端から3mmの位置とホルダー106の下端から3mmの位置との間に載置した。
【0133】
高周波電極102はSUS製で直径20mmの円柱形状を有しており、その外部を内径21mm、外径24mmのアルミナ製のパイプで覆う構造とした。このアルミナ製パイプにはブラスト加工を施し、その表面粗さを、2.5mmを基準長とするRzで20μmとした。本実施例では、高周波電極102の上部および下部は、反応容器101の上壁及び下壁に一体的に設けられたアルミニウム製の円筒を外部導体、高周波電極102を内部導体とする同軸構造とした。高周波電極102の実質的な長さは、上記の同軸構造の上部端部と下部端部との間の長さとなり、本実施例ではその長さを60cmとした。また、高周波電極102と円筒状基体105との相対的な位置関係は、上記構造の上部と下部とで同じになるようにした。
【0134】
なお、図2に示す装置では、反応容器101内を排気するための3本の排気管111が反応容器101の底部に設けられている。図2に示す装置のその他の構成は、図1の装置と同様である。
【0135】
高周波電源103,113から出力された高周波電力は、各々別々の同軸線路により、マッチングボックス104に供給され、マッチングボックス104内で各々の電力が合成された後、高周波電極102から反応容器101内へ導入される。なお、マッチングボックス104内には、各々の高周波電力が他方の高周波電源に流れ込まないようにフィルター回路(不図示)が設けられている。
【0136】
原料ガス供給手段112は、内径10mm、外径13mmのアルミナ製のパイプからなり、端部が封止され、パイプの側壁上に設けられた直径1.2mmの10個のガス噴出口より原料ガスを供給可能な構造のものを用いた。原料ガス供給手段112の設置位置は各円筒状基体105が成す配置円の内側であり、3本の原料ガス供給手段112を円筒状基体105の配置円と中心を同じくする同一円周上に等間隔に配置した。原料ガス供給手段112の表面にはブラスト加工を施し、表面粗さを、2.5mmを基準長とするRzで20μmとした。
【0137】
まず、このように構成された装置の反応容器101中での高周波電力の波長を測定した。具体的には、高周波電源103の出力値を下記の表5中に示した総出力値とし、高周波電源113の出力値を0Wとする以外は表5中に示した光導電層条件で反応容器101中にプラズマを生起させた。プラズマを生起させた状態で反応容器101中にプローブを挿入し、円筒状基体105およびホルダー106の表面から2cmの位置の電子温度を円筒状基体105およびホルダー106の軸方向に1cm間隔で測定した。これにより円筒状基体105およびホルダー106の軸方向に関する電子温度の分布が得られ、電子温度の局所的な落ち込みが16.7cm間隔で確認された。この結果、周波数180MHzの高周波電力の反応容器101中での波長が33.4cmであることがわかった。この結果に基づいて周波数100MHz、120MHz、140MHz、160MHzの高周波電力の反応容器101中での波長を計算すると、各々60cm、50cm、43cm、38cmとなる。
【0138】
次に、第1の実施例と同様の手順により、アモルファスシリコン系感光体を各条件ごとに5ロット分(合計で120本)形成した。
【0139】
【表5】
【0140】
これに対し、第3の比較例として、高周波電源113の発振周波数を13.56MHzとする以外は本実施例と同様にして、表5に示す条件でアモルファスシリコン系感光体の形成を行った。
【0141】
本実施例および第3の比較例により形成されたアモルファスシリコン系感光体を、テスト用に改造されたキヤノン製の複写機NP−6030に設置し、第1の実施例と同様の具体的評価手段により、「画像濃度むら」、「帯電能」、「光メモリー」、「画像欠陥」の4項目に関して評価を行った。
【0142】
評価結果を表6に示す。
【0143】
【表6】
【0144】
表6においては、第3の比較例において高周波電源113の発振周波数を13.56MHzとしたときの評価結果を基準とし、画像濃度むらに関しては、最大反射濃度差が1/4未満まで良化したものを◎、1/4以上1/2未満まで良化したものを◎〜〇、1/2以上3/4未満まで良化したものを〇、3/4以上まで良化したものを〇〜△、同等であったものを△、悪化したものを×で示した。
【0145】
また、帯電能に関しては、10%以上の向上を◎、10%未満5%以上の向上を◎〜〇、5%未満2.5%以上の向上を〇、2.5%未満の向上を〇〜△、同等を△、悪化を×で示した。
【0146】
光メモリーに関しては、最大反射濃度差が1/4未満まで良化したものを◎、1/4以上1/2未満まで良化したものを◎〜〇、1/2以上3/4未満まで良化したものを〇、3/4以上まで良化したものを〇〜△、同等であったものを△、悪化したものを×で示した。
【0147】
画像欠陥に関しては、直径0.1mm以上の白点の数が1/4未満まで良化したものを◎、1/4以上1/2未満まで良化したものを◎〜〇、1/2以上3/4未満まで良化したものを〇、3/4以上まで良化したものを〇〜△、同等であったものを△、悪化したものを×で示した。
【0148】
表6からわかるように、高周波電源113の発振周波数が100MHz〜160MHzの本実施例の全条件において、即ち、高周波電源103の発振周波数をf1、高周波電源113の発振周波数をf2とした場合に、0.9≧f2/f1>0.5の関係を満たす本実施例の全条件において良好な結果が得られた。
【0149】
また、円筒状基体105の長さ(358mmの長さの基体を2本、軸方向に重ねているので716mm)をLsとした場合に、
(λ2−λ1)×Ls/λ2 <λ2/2
を満たすときに本発明の効果が顕著に得られ、さらには、
(λ2−λ1)×Ls/λ2 <0.9×λ2/2
を満たすときに本発明の効果が更に顕著に得られることが確認された。
【0150】
また、本実施例により作製された電子写真感光体を用いて形成された電子写真画像は、画像流れ等が無い、極めて良好なものであった。
【0151】
(第4の実施例)
本実施例においても、図2に示す堆積膜形成装置を用い、高周波電源103の発振周波数を210MHzとし、高周波電源113の発振周波数を110MHzとして、直径30mm、長さ358mmのアルミニウム製の円筒状基体105上に、表7に示す条件で電荷輸送層、電荷発生層、および表面層からなるアモルファスシリコン系感光体を形成した。なお、高周波電源103の出力は全出力の95%、高周波電源113の出力は全出力の5%とした。
【0152】
本実施例においては、1本のホルダー106に対して直径30mm、長さ358mmの円筒状基体105を1本載置する構成とした。また、ホルダー106の長さは、40cm、45cm、50cm、55cm、60cm、65cmの6条件とした。円筒状基体105は、ホルダー106の長さに関わらず、ホルダー106の上端から2cmの位置に円筒状基体105の上端が位置するように、ホルダー106上に載置した。したがって、円筒状基体105の下端とホルダー106の下端との距離は、ホルダー106の各条件の長さ、40cm、45cm、50cm、55cm、60cm、65cmに応じて、各々2.2cm、7.2cm、12.2cm、17.2cm、22.2cm、27.2cmとなる。また、ホルダー106はアルミニウム製であり、その表面にはブラスト加工が施されている。
【0153】
高周波電極102はSUS製で直径20mm、長さ70cmの円柱形状を有しており、その外部を内径21mm、外径24mmのアルミナ製のパイプで覆う構造とした。アルミナ製パイプにはブラスト加工を施し、表面粗さを、2.5mmを基準長とするRzで20μmとした。
【0154】
高周波電源103,113から出力された高周波電力は、各々別々の同軸線路によりマッチングボックス104に供給され、マッチングボックス104内で各々の電力が合成された後、高周波電極102から反応容器101内へ導入される。なお、マッチングボックス104内には、各々の高周波電力が他方の高周波電源に流れ込まないようにフィルター回路(不図示)が設けられている。
【0155】
原料ガス供給手段112には、内径10mm、外径13mmのアルミナ製のパイプからなり、端部が封止され、パイプの側壁上に設けられた直径1.2mmの10個のガス噴出口より原料ガスを供給可能な構造のものを用いた。原料ガス供給手段112の設置位置は円筒状基体105が成す配置円の内側であり、円筒状基体105の配置円と中心を同じくする同一円周上に等間隔に3本の原料ガス供給手段112を配置した。原料ガス供給手段112の表面にはブラスト加工を施し、表面粗さを、2.5mmを基準長とするRzで20μmとした。
【0156】
まず、このように構成された装置における反応容器101中での高周波電力の波長を測定した。具体的には、高周波電源103の出力値を下記の表7中に示した総出力値とし、高周波電源113の出力値を0Wとする以外は表7中に示した電荷発生層条件で反応容器101中にプラズマを生起させた。プラズマを生起させた状態で反応容器101中にプローブを挿入し、円筒状基体105およびホルダー106の表面から2cmの位置の電子温度を円筒状基体105およびホルダー106の軸方向に1cm間隔で測定した。これにより、円筒状基体105およびホルダー106の軸方向で電子温度の分布が得られ、電子温度の局所的な落ち込みが14.3cm間隔で確認された。この結果、周波数210MHzの高周波電力の反応容器101中での波長が28.6cmであることがわかった。この結果に基づいて周波数110MHzの高周波電力の反応容器101中での波長を計算すると54.6cmとなる。
【0157】
次に、第1の実施例と同様の手順により、アモルファスシリコン系感光体をホルダー106の各長さ条件ごとに、1ロットあたり6本で5ロット分(合計30本)形成した。
【0158】
【表7】
【0159】
これに対し、第4の比較例として、高周波電源113の発振周波数を10MHzとする以外は本実施例と同様にして、表7に示す条件でアモルファスシリコン系感光体の形成を行った。
【0160】
本実施例および第4の比較例により形成されたアモルファスシリコン系感光体を、テスト用に改造されたキヤノン製の複写機NP−6030に設置し、第1の実施例と同様の具体的評価手段により、「画像濃度むら」、「帯電能」、「光メモリー」、「画像欠陥」の4項目に関して評価を行った。
【0161】
評価結果を表8に示す。
【0162】
【表8】
【0163】
表8においては、第4の比較例において高周波電源113の発振周波数を10MHzとしたときの評価結果を基準とし、画像濃度むらに関しては、最大反射濃度差が1/4未満まで良化したものを◎、1/4以上1/2未満まで良化したものを◎〜〇、1/2以上3/4未満まで良化したものを〇、3/4以上まで良化したものを〇〜△、同等であったものを△、悪化したものを×で示した。
【0164】
また、帯電能に関しては、10%以上の向上を◎、10%未満5%以上の向上を◎〜〇、5%未満2.5%以上の向上を〇、2.5%未満の向上を〇〜△、同等を△、悪化を×で示した。
【0165】
光メモリーに関しては、最大反射濃度差が1/4未満まで良化したものを◎、1/4以上1/2未満まで良化したものを◎〜〇、1/2以上3/4未満まで良化したものを〇、3/4以上まで良化したものを〇〜△、同等であったものを△、悪化したものを×で示した。
【0166】
画像欠陥に関しては、直径0.1mm以上の白点の数が1/4未満まで良化したものを◎、1/4以上1/2未満まで良化したものを◎〜〇、1/2以上3/4未満まで良化したものを〇、3/4以上まで良化したものを〇〜△、同等であったものを△、悪化したものを×で示した。
【0167】
表8からわかるように、本実施例では、全条件において第4の比較例と比較して良好な結果が得られた。また、ホルダー長をLhとした場合に、
(λ2−λ1)×Lh/λ2 <λ2/2
を満たすときに本発明の効果が顕著に得られ、さらには、
(λ2−λ1)×Lh/λ2 <0.9×λ2/2
を満たすときに本発明の効果が更に顕著に得られることが確認された。
【0168】
また、本実施例により作製された電子写真感光体を用いて形成された電子写真画像は、画像流れ等が無く、極めて良好なものであった。
【0169】
(第5の実施例)
本実施例においては、図3に示す堆積膜形成装置を用い、直径108mm、長さ358mmのアルミニウム製の円筒状基体105上に表9に示す条件で電荷注入阻止層、光導電層、および表面層からなるアモルファスシリコン系感光体を形成した。
【0170】
図3に示す装置は、3つの高周波電源403,413,423と、各高周波電源用のマッチングボックス404,414,424とを有している。図3に示す装置のその他の構成は、排気管111の構成を除いて図1に示した装置と同様である。図3の装置では、反応容器101内を排気するための3本の排気管111が反応容器101の底部に設けられている。
【0171】
高周波電源403,413,423からそれぞれ出力された高周波電力は、各高周波電源用のマッチングボックス404,414,424を経て互いに合成されて、高周波電極102から反応容器101内へ導入される。なお、各マッチングボックス404,414,424内には、他の高周波電力が各々の高周波電源に流れ込まないようにフィルター回路(不図示)が設けられている。
【0172】
本実施例においては、高周波電源403から出力される高周波電力の周波数を105MHz、高周波電源413から出力される高周波電力の周波数を80MHz、高周波電源423から出力される高周波電力の周波数を60MHzとした。ホルダー106は長さ50cmのアルミニウム製であり、表面にはブラスト加工が施されている。
【0173】
高周波電極102はSUS製で直径20mm、長さ60cmの円柱形状を有しており、その外部を内径21mm、外径24mmのアルミナ製のパイプで覆う構造とした。アルミナ製のパイプにはブラスト加工を施し、その表面粗さを、2.5mmを基準長とするRzで20μmとした。
【0174】
原料ガス供給手段112には、内径10mm、外径13mmのアルミナ製のパイプからなり、端部が封止され、パイプの側壁上に設けられた直径1.2mmの10個のガス噴出口より原料ガスを供給可能な構造のものを用いた。原料ガス供給手段112の設置位置は円筒状基体105が成す配置円の内側であり、円筒状基体105の配置円と中心を同じくする同一円周上に3本の原料ガス供給手段112を等間隔に配置した。原料ガス供給手段112の表面にはブラスト加工を施し、その表面粗さを、2.5mmを基準長とするRzで20μmとした。
【0175】
このような構成の装置を用い、概略以下の手順で感光体の形成を行った。
【0176】
まず、基体ホルダー106に保持された円筒状基体105を反応容器101内の回転軸108上に設置した。その後、不図示の排気装置により排気管111を通して反応容器101内を排気した。続いて、回転軸108を介して円筒状基体105をモータ109により10rpmの速度で回転させ、更に原料ガス供給手段112より反応容器101中に流量が500ml/min(normal)のArガスを供給しながら発熱体107により円筒状基体105を250℃に加熱・制御し、その状態を2時間維持した。
【0177】
次いで、Arガスの供給を停止し、反応容器101を不図示の排気装置により排気管111を通して排気した後、原料ガス供給手段112を介して、下記の表9に示す条件で、電荷注入阻止層形成に用いるための原料ガスを導入した。原料ガスの流量が設定流量となり、また、反応容器101内の圧力が安定したことを確認した後、高周波電源403,413,423の出力を各々所定の値に設定することで、マッチングボックス404,414,424を介して高周波電極102へ高周波電力を供給した。高周波電極102より反応容器101内に放射された高周波電力によって原料ガスを励起解離することにより、円筒状基体105上に電荷注入阻止層を形成した。所定の膜厚の形成が行われた後、本実施例では放電を止めず、連続的にガス流量、電力を変化させて、次の層である第一の光導電層の形成条件に設定を変更した。このとき、ガス流量、電力を連続的に変化させる時間は10分とした。所定の膜厚の第一の光導電層が形成された後、連続的にガス流量を変化させて、次の層である第二の光導電層の形成条件に設定を変更した。このとき、ガス流量、電力を連続的に変化させる時間は5分とした。所定の膜厚の第二の光導電層が形成された後、連続的にガス流量、電力、圧力を変化させて、次の層である表面層の形成条件に設定を変更した。このとき、ガス流量、電力を連続的に変化させる時間は15分とした。そして、所定の膜厚の表面層を形成した。
【0178】
【表9】
【0179】
これに対し、第5の比較例として、高周波電源403のみから高周波電力を出力し、高周波電源413、423からの出力を行わない点を除いては本実施例と同様にして、表9に示す条件でアモルファスシリコン系感光体の形成を行った。なお、本比較例において、高周波電源403からの出力値は、本実施例における高周波電源403、413、423からの出力値の和、すなわち総出力量と同じになるように設定した。
【0180】
本実施例および第5の比較例により形成されたアモルファスシリコン系感光体を、テスト用に改造されたキヤノン製の複写機GP605に設置し、第1の実施例と同様の具体的評価手段により、「画像濃度むら」、「帯電能」、「光メモリー」、「画像欠陥」の4項目に関して評価を行った。
【0181】
評価結果を表10に示す。
【0182】
【表10】
【0183】
表10においては、第5の比較例の評価結果を基準とし、画像濃度むらに関しては、最大反射濃度差が1/4未満まで良化したものを◎、1/4以上1/2未満まで良化したものを◎〜〇、1/2以上3/4未満まで良化したものを〇、3/4以上まで良化したものを〇〜△、同等であったものを△、悪化したものを×で示した。
【0184】
また、帯電能に関しては、10%以上の向上を◎、10%未満5%以上の向上を◎〜〇、5%未満2.5%以上の向上を〇、2.5%未満の向上を〇〜△、同等を△、悪化を×で示した。
【0185】
光メモリーに関しては、最大反射濃度差が1/4未満まで良化したものを◎、1/4以上1/2未満まで良化したものを◎〜〇、1/2以上3/4未満まで良化したものを〇、3/4以上まで良化したものを〇〜△、同等であったものを△、悪化したものを×で示した。
【0186】
画像欠陥に関しては、直径0.1mm以上の白点の数が1/4未満まで良化したものを◎、1/4以上1/2未満まで良化したものを◎〜〇、1/2以上3/4未満まで良化したものを〇、3/4以上まで良化したものを〇〜△、同等であったものを△、悪化したものを×で示した。
【0187】
表10からわかるように、本実施例により作製したアモルファスシリコン系感光体は、「画像濃度むら」、「帯電能」、「光メモリー」、「画像欠陥」の評価項目すべてにおいて、第5の比較例により作製した感光体よりも良好であり、本発明の効果が確認された。
【0188】
また、本実施例により作製された電子写真感光体を用いて形成された電子写真画像は、画像流れ等が無く、極めて良好なものであった。
【0189】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の真空処理方法は、同一の高周波電極に同時に供給する、互いに異なる周波数を有する高周波電力として、
250MHz ≧ f1 > f2 ≧ 30MHz
0.9 ≧ f2/f1 ≧ 0.1
の2つの条件を満たす、周波数f1を有する高周波電力と周波数f2を有する高周波電力とを少なくとも用いているので、真空処理速度を高く維持しながらも、真空処理特性の向上を達成し、さらには真空処理特性の均一性を極めて高いレベルとすることができる。また、被処理物表面への異物の付着を効果的に抑制できるため、良品率の向上を実現することができ、真空処理のコストの低減を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の真空処理方法を行う堆積膜形成装置の一実施形態を示す図である。
【図2】本発明の真空処理方法を行う、他の堆積膜形成装置を示す図である。
【図3】本発明の真空処理方法を行う、さらに他の堆積膜形成装置を示す図である。
【図4】従来の堆積膜形成装置の一例を示す図である。
【図5】従来の堆積膜形成装置の他の例を示す図である。
【図6】堆積膜形成装置に備えられたホルダーの長さの定義について説明するための図である。
【符号の説明】
101 反応容器
102 高周波電極
103,113,403,412,423 高周波電源
104,404,414,424 マッチングボックス
105 円筒状基体
106 ホルダー
107 発熱体
108 回転軸
109 モータ
110 減速ギア
111 排気管
112 原料ガス供給手段
Claims (12)
- 反応容器中に被処理物を設置し、互いに異なる周波数を有する少なくとも2つの高周波電力を同一の高周波電極に同時に供給することにより、該高周波電極から前記反応容器内に導入された高周波電力によって前記反応容器内にプラズマを生起させて前記被処理物を処理する真空処理方法において、
前記高周波電力として、
250MHz ≧ f1 > f2 ≧ 30MHz
0.9 ≧ f2/f1 ≧ 0.1
の2つの条件を満たす、周波数f1を有する高周波電力と周波数f2を有する高周波電力とを少なくとも用いることを特徴とする真空処理方法。 - 前記周波数f1と前記周波数f2とが、
0.9 ≧ f2/f1 > 0.5
の条件を満たす、請求項1に記載の真空処理方法。 - 前記高周波電極の最長部の長さをLeとし、前記高周波電力のうち最も高い周波数を有する高周波電力の前記反応容器中での波長をλ1とし、前記高周波電力のうち最も低い周波数を有する高周波電力の前記反応容器中での波長をλ2としたとき、
(λ2−λ1)×Le/λ2 < λ2/2
の条件を満たす、請求項1または2に記載の真空処理方法。 - 前記Leと、前記λ1と、前記λ2とが、
(λ2−λ1)×Le/λ2 < 0.9×λ2/2
の条件をさらに満たす、請求項3に記載の真空処理方法。 - 前記被処理物の導電性部分の最長部分の長さをLsとし、前記高周波電力のうち最も高い周波数を有する高周波電力の前記反応容器中での波長をλ1とし、前記高周波電力のうち最も低い周波数を有する高周波電力の前記反応容器中での波長をλ2としたとき、
(λ2−λ1)×Ls/λ2 < λ2/2
の条件を満たす、請求項1から4のいずれか1項に記載の真空処理方法。 - 前記Lsと、前記λ1と、前記λ2とが、
(λ2−λ1)×Ls/λ2 < 0.9×λ2/2
の条件をさらに満たす、請求項5に記載の真空処理方法。 - 少なくとも一部が導電性部材で構成されたホルダー上に前記被処理物を設置し、前記ホルダーの導電性部分の最長部分の長さをLhとし、前記高周波電力のうち最も高い周波数を有する高周波電力の前記反応容器中での波長をλ1とし、前記高周波電力のうち最も低い周波数を有する高周波電力の前記反応容器中での波長をλ2としたとき、
(λ2−λ1)×Lh/λ2 < λ2/2
の条件を満たす、請求項1から6のいずれか1項に記載の真空処理方法。 - 前記Lhと、前記λ1と、前記λ2とが、
(λ2−λ1)×Lh/λ2 < 0.9×λ2/2
の条件をさらに満たす、請求項7に記載の真空処理方法。 - 前記高周波電極が棒状に形成されている、請求項1から8のいずれか1項に記載の真空処理方法。
- 前記被処理物が円筒状または円柱状に形成されている、請求項1から9のいずれか1項に記載の真空処理方法。
- 前記被処理物の表面に堆積膜を形成する、請求項1から10のいずれか1項に記載の真空処理方法。
- 前記被処理物の表面に電子写真用感光体用堆積膜を形成する、請求項1から10のいずれか1項に記載の真空処理方法。
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