JP4109566B2 - オフセットビート除去装置、テレビ放送信号伝送装置、及び、テレビ放送受信システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、受信アンテナにて受信したテレビ放送信号の中から、希望波に対して送信周波数が所定周波数オフセットされた妨害波信号成分を除去するオフセットビート除去装置、及び、このオフセットビート除去装置を備えたテレビ放送信号伝送装置並びにテレビ放送受信システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、近接する地域で同一の放送チャンネルを利用したテレビ放送を行う際には、各テレビ放送信号の送信周波数に±10.01kHzのオフセットを設けて、テレビ受像器で映像信号を再生した際に画面に現れる縞模様(ビート)を目立たなくするようにしている。しかし、妨害波の量が多ければビートも顕著に現れることになるし、聴視者からはよりよい画質の要求がある。
【0003】
そこで、近年では、こうしたビート障害を防止するために、ビート障害が発生する放送チャンネルのテレビ放送信号を所定周波数帯に周波数変換した映像中間周波信号(以下、映像IF信号ともいう)から、希望波の映像搬送波を抽出し、この映像搬送波を用いて映像IF信号を直交検波することにより、希望波と妨害波とを含むI信号と妨害波信号成分を含むQ信号とを生成し、更に、アナログフィルタを用いて、その生成したQ信号から妨害波信号成分を生成して、I信号から除去することにより、妨害波信号成分を除去した映像IF信号を生成するオフセットビート除去装置(所謂ビートキャンセラ)が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開平8−98061号公報
【特許文献2】
特開平9−55671号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のビートキャンセラは、テレビ放送の事業者が中継放送局等で使用することを前提としたビートキャンセル専用のものであり、例えば、アパート、マンション等の共同住宅や一戸建て住宅等で小規模なテレビ放送受信システムを構築するのに適したビートキャンセラはなかった。
【0006】
つまり、ビートキャンセル機能を有する小規模なテレビ放送受信システムを構築するには、ビートキャンセラ自体の構成を簡素化して価格を抑え、しかも、屋上、軒下、テレビ受像器の上、といった、任意の場所に設置できるようにすることが必要である。
【0007】
しかし、従来のビートキャンセラでは、直交検波後のQ信号から妨害波信号成分を抽出するためのアナログフィルタが用いられているため、フィルタ特性を安定化させるために温度変化の小さい環境下で使用しなければならないとか、ビートキャンセラに対して希望波の映像搬送波が所定周波数となるように周波数変換した映像IF信号を入力する必要があるため、別途、専用の選局装置を設けなければならず、コストアップを招く、といった問題があり、ホーム共同受信等を行う小規模なテレビ放送受信システムで採用することは難しかったのである。
【0008】
本発明は、こうした問題に鑑みなされたものであり、上述したビートキャンセル機能を有するテレビ放送受信システムを構築するのに最適なオフセットビート除去装置及びテレビ放送信号伝送装置を提供すると共に、これらを用いたテレビ放送受信システムを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
係る目的を達成するためになされた請求項1記載のオフセットビート除去装置は、受信アンテナから入力される受信信号の中から、希望波に対して送信周波数が所定周波数オフセットされた妨害波を含む所定放送チャンネルのテレビ放送信号を選局して、該テレビ放送信号の映像中間周波数信号及び音声中間周波信号を出力する選局復調手段と、この選局復調手段から出力される映像中間周波信号を直交検波し、直交検波により得られたI信号及びQ信号から、妨害波信号成分を除去した映像信号を生成する映像信号処理手段と、この映像信号処理手段にて生成された映像信号と選局復調手段から出力される音声中間周波信号とを再変調して、所定放送チャンネルのテレビ放送信号を生成する再変調手段とを備える。
【0010】
そして、選局復調手段は、映像中間周波信号及び音声中間周波信号を、選局前の正規の周波数配列から反転させた状態で出力する汎用のチューナモジュールからなり、映像信号処理手段は、選局復調手段から出力される映像中間周波信号を2系統に分離して、その分離した一方の映像中間周波信号から映像搬送波を生成すると共に、その生成した映像搬送波又は他方の映像中間周波信号を映像搬送波の位相の180度分遅延させ、その遅延させた映像搬送波(又は映像中間周波信号)と、遅延させていない映像中間周波信号(又は映像搬送波)とを用いて、I信号及びQ信号を生成する。
【0011】
このように、本発明のオフセットビート除去装置には、従来よりVTR(ビデオテープレコーダ)やパーソナルコンピュータ用のテレビチューナ等の各種受信機器で使用されている汎用のチューナモジュールを用いて、妨害波信号成分の除去対象となる放送チャンネルのテレビ放送信号を選局する選局復調手段が備えられている。
【0012】
そして、汎用のチューナモジュールからは、選局した放送チャンネルの映像中間周波信号として、映像搬送波に対して高周波側の側波帯領域に全映像信号が含まれる正規の映像中間周波信号ではなく、その周波数配列が反転された映像中間周波信号(換言すれば、映像搬送波に対して低周波側の側波帯領域に全映像信号が含まれる映像中間周波信号)が出力されることから、一般的な直交検波では、I信号及びQ信号を正常に生成することができない。
【0013】
そこで、本発明では、映像信号処理手段において、チューナモジュールから出力された映像中間周波信号若しくはその映像中間周波信号から生成した映像搬送波を、映像搬送波の位相の180度分だけ遅延させ、遅延後の映像中間周波信号を遅延前の映像中間周波信号から再生した映像搬送波を用いて直交検波するか、若しくは、遅延させていない映像中間周波信号を遅延後の映像搬送波を用いて直交検波することにより、映像中間周波信号の直交検波を正常に実行できるようにしている。
【0014】
つまり、チューナモジュールでは、選局すべき放送チャンネルの映像搬送波fvが所定周波数(一般に58.75MHz)となるように、放送チャンネルに対応した周波数の局発信号を用いて受信信号を周波数変換するが、その周波数変換によって得られる映像及び音声の各中間周波信号(映像IF信号及び音声IF信号)は、図9に例示するように、映像搬送波の周波数fvの方が音声搬送波の周波数faよりも高くなり、その周波数配列は正規のテレビ放送信号を反転したものとなる。
【0015】
そして、このようにチューナモジュールにて生成された映像中間周波信号(映像IF信号)は、映像搬送波(周波数fv)を用いてベースバンドの映像信号に復調しても、正規の映像信号に復調できず、図9に示す映像信号bのように、同期信号のレベルが高いものとなってしまうことから、この映像IF信号をそのまま直交検波しても正常なI信号及びQ信号を生成することができない。
【0016】
このような問題を防止するには、チューナモジュールで得られた映像IF信号を更に周波数変換することにより、映像IF信号の周波数配列を正規の配列に戻し、直交検波を行うようにすればよいが、このようにするには映像IF信号の周波数配列を正規のものに戻すための周波数変換回路が必要となることから、本発明者らは、チューナモジュールで得られた映像IF信号を正規の周波数配列に戻すことなく正常な直交検波を実行できるようにするために、各種実験を行った。
【0017】
この結果、チューナモジュールで得られた映像IF信号を映像搬送波の位相の180度分だけ遅延させ、その遅延後の映像IF信号を、遅延前の映像IF信号から抽出した映像搬送波を用いて復調すれば、図9に示す正常な映像信号aが得られることが判った。また、これとは逆に、映像IF信号から抽出した映像搬送波の位相を180度分だけ遅延させ、その遅延後の映像搬送波を用いて、遅延前の映像IF信号を復調するようにしても、図9に示す正常な映像信号aが得られることが判った。
【0018】
そこで、本発明では、チューナモジュールにて得られた映像IF信号若しくはその映像IF信号から生成した映像搬送波を、その映像搬送波の位相の180度分だけ遅延させたのち、従来と同様の直交検波を行うようにすることにより、映像IF信号の周波数配列を正規の配列に戻すことなく、正常な直交検波を実行できるようにしているのである。
【0019】
従って、本発明のオフセットビート除去装置によれば、前述した従来装置のように、映像中間周波信号を生成するための専用の選局装置を別途設ける必要がなく、また、選局復調手段は、汎用のチューナモジュールを用いて映像中間周波信号を生成することから、従来装置を用いてビートキャンセル機能を有するテレビ放送受信システムを構築する場合に比べて、テレビ放送受信システムを安価に構築できる。
【0020】
尚、映像搬送波をその位相の180分だけ遅延させるためには、必ずしも映像IF信号から生成した映像搬送波を遅延させる必要はなく、映像搬送波を生成する前の映像IF信号を、映像搬送波の位相の180度分だけ遅延させるようにしてもよい。
【0021】
ここで、映像信号処理手段は、映像中間周波信号を直交検波するだけでなく、その直交検波後のI信号とQ信号とを用いて、妨害波信号成分を除去した映像信号を生成するものであるが、この映像信号の生成には、従来装置のようにアナログフィルタを用いるようにしてもよい。しかし、アナログフィルタは、温度特性が悪く、使用者の住宅の屋上等、温度変化の大きい環境下で使用すると、その温度変化によってフィルタ特性が変化し、良好なビートキャンセル効果が得られないことが考えられる。
【0022】
そこで、映像信号処理手段としては、更に請求項2に記載のように、直交検波により得られたQ信号をA/D変換してデジタル処理することにより、I信号に含まれる妨害波信号成分を生成する妨害波生成手段を備え、この妨害波生成手段にて生成された妨害波信号成分をI信号から除去することにより、妨害波信号成分を除去した映像信号を生成するよう構成するとよい。
【0023】
つまり、映像信号処理手段をこのように構成すれば、アナログフィルタを用いて妨害波信号成分を抽出する従来装置のように、アナログフィルタの特性変動を防止するために使用可能な温度範囲を制限する必要がなく、オフセットビート除去装置を、屋根裏、軒下といった任意の場所に設置することができるようになり、ホーム共同受信等を行う小規模なテレビ放送受信システムであっても容易に利用することが可能となる。
【0024】
また次に、選局復調手段から再変調手段には、チューナモジュールにて生成された音声中間周波信号が出力されるが、その信号の通過経路上に映像中間周波信号等の不要な信号成分が重畳されると、再変調手段にて再変調されるテレビ放送信号に不要な信号成分が混入して映像信号の劣化を招く虞がある。
【0025】
このため、選局復調手段から再変調手段に至る音声中間周波信号の信号経路上には、請求項3に記載のように、音声中間周波信号のみを選択的に通過させるバンドパスフィルタを設け、その信号経路を介して不要な信号成分が再変調手段に入力されるのを防止するようにすることが望ましい。
【0026】
一方、チューナモジュールには、映像及び音声信号の入力端子を備え、この入力端子から入力された映像及び音声信号から所定放送チャンネルのテレビ放送信号を生成する機能(変調機能)を有するものがある。
具体的には、VTR等では、ビデオテープから再生した映像信号及び音声信号をテレビ受像器等に出力するための映像出力端子及び音声出力端子とは別に、ビデオテープに記録された映像信号及び音声信号を予め設定された放送チャンネルのテレビ放送信号として出力可能なRF端子が備えられているが、こうしたVTRで使用されているチューナモジュールには、このRF端子から出力するテレビ放送信号を生成する変調機能が付与されている。
【0027】
そこで、選局復調手段に、こうした変調機能を有するチューナモジュールを設けた場合には、再変調手段を、チューナモジュールの変調機能によって実現するようにしてもよい。
但し、この場合、チューナモジュールに、音声中間周波信号から音声信号を復調して出力する機能があれば、その音声信号を、チューナモジュールの音声信号入力端子に入力するようにしてもよいが、チューナモジュールに設けられる音声信号入力端子は、通常、モノラル音声用の入力端子1個であり、チューナモジュールで復調した音声信号がステレオ音声若しくは多重音声であったとしても、入力端子には、その内の一方の音声信号(具体的には左音声信号や主音声信号)しか入力することができず、本来の音声信号を含むテレビ放送信号を生成することができなくなってしまう。
【0028】
そこで、チューナモジュールのテレビ放送信号生成機能を用いて再変調手段を実現する際には、請求項4に記載のオフセットビート除去装置のように、映像信号処理手段にて生成された妨害波信号成分除去後の映像信号とチューナモジュールから出力される音声中間周波信号とを混合してチューナモジュールの映像信号の入力端子に入力することにより、チューナモジュール内で、音声中間周波信号を含む映像信号をそのまま所定放送チャンネルのテレビ放送信号に周波数変換させるようにすることが望ましい。
【0029】
なお、チューナモジュールは、通常、選局によって得られた音声中間周波信号から音声多重用サブキャリアを含む音声信号を復調し、更に、その音声多重用サブキャリアを利用して左右のステレオ音声信号若しくは主・副の多重音声信号を復元し、その復元した2種類の音声信号を2つの出力端子から各々出力するよう構成されているが、こうした従来のチューナモジュールを改良して、チューナモジュールを、請求項5に記載のように、音声信号出力用の一つの出力端子から、音声中間周波信号から復調した音声多重用サブキャリアを含む音声信号をそのまま出力するように構成すれば、その音声信号をチューナモジュールの音声信号の入力端子に入力するようにしてもよい。
【0030】
また、再変調手段を、チューナモジュールとは別体で構成する場合であっても、チューナモジュールが、音声中間周波信号から音声多重用サブキャリアを含む音声信号を復調して、その音声信号を出力端子から出力する機能を有する場合には、請求項6に記載のように、チューナモジュールの出力端子から出力された音声多重用サブキャリアを含む音声信号を再変調手段に入力して、再変調手段側では、その音声信号と映像信号処理手段にて生成された妨害波信号成分除去後の映像信号とを用いて所定放送チャンネルのテレビ放送信号を生成するように構成してもよい。
【0031】
また、本発明のオフセットビート除去装置は、受信アンテナにて受信したテレビ放送信号からオフセットビートの発生原因となる妨害波信号成分を除去することによって、テレビ放送信号をテレビ受像器等で再生した際の再生画像にビートが現れるのを防止するためのものであるが、請求項7に記載のように、映像信号処理手段の前段又は後段に、映像信号からゴースト成分を除去するゴースト除去手段を設けるようにすれば、受信アンテナにて受信したテレビ放送信号の中に、ゴーストの発生原因となる希望波の遅れ成分が含まれている場合にも、その遅れ成分を除去して、再生画像にゴーストが現れるのを防止できる。
【0032】
次に、請求項8に記載の発明は、上述した本発明(請求項1〜請求項7)のオフセットビート除去装置を備えたテレビ放送信号伝送装置に関する発明である。そして、この請求項8に記載のテレビ放送信号伝送装置には、オフセットビート除去装置にて妨害波信号成分を除去すべきテレビ放送信号を含む受信信号を入力するための受信信号入力端子と、この受信信号入力端子に入力された受信信号を分配してオフセットビート除去装置と受信信号の通過経路とに出力する分配手段と、オフセットビート除去装置からの出力と通過経路を通過してきた受信信号とを混合する混合手段と、この混合手段にて混合された受信信号を端末側に出力する受信信号出力端子とが備えられている。
【0033】
従って、請求項8に記載のテレビ放送信号伝送装置によれば、受信アンテナから端末側に至るテレビ放送受信システムの伝送線上の任意の位置にて、受信アンテナ側の伝送線に受信信号入力端子を接続し、端末側の伝送線に受信信号出力端子を接続することにより、ビートキャンセル機能を有するテレビ放送受信システムを極めて簡単に構築できることになる。
【0034】
ところで、請求項8に記載のテレビ放送信号伝送装置において、オフセットビート除去装置が、妨害波信号成分を除去する前のテレビ放送信号と同じ放送チャンネルのテレビ放送信号を再変調して出力するように構成されている場合、混合手段には、受信信号の通過経路を介して、オフセットビート除去装置から出力されるテレビ放送信号と同一放送チャンネルのテレビ放送信号が伝送され、混合手段にて、そのテレビ放送信号とオフセットビート除去装置にて妨害波信号成分を除去したテレビ放送信号とが混合されてしまうことになる。
【0035】
そこで、請求項8に記載のテレビ放送信号伝送装置において、オフセットビート除去装置が、妨害波信号成分を除去する前のテレビ放送信号と同じ放送チャンネルのテレビ放送信号を再変調して出力するように構成されている場合には、請求項9に記載のように、受信信号の通過経路に、オフセットビート除去装置が選局して妨害波信号成分を除去するテレビ放送信号の通過を阻止するバンドエリミネータを設け、混合手段にて、オフセットビート除去装置にて妨害波信号成分を除去したテレビ放送信号と妨害波信号成分を除去する前のテレビ放送信号とが混合されてしまうのを防止するようにすればよい。
【0036】
尚、オフセットビート除去装置が、妨害波信号成分を除去する前のテレビ放送信号とは異なる放送チャンネルのテレビ放送信号を再変調して出力するように構成されている場合には、こうした対策は不要である。これは、妨害波を含むテレビ放送信号が端末側に伝送されても、端末側では、オフセットビート除去装置が生成したテレビ放送信号を選局すれば、ビートのない綺麗なテレビ画像を再生できるからである。
【0037】
但し、この場合、オフセットビート除去装置が再変調して出力するテレビ放送信号の放送チャンネルは、受信信号入力端子から入力される受信信号に含まれる全テレビ放送信号の放送チャンネルとは異なる放送チャンネルにする必要はある。
【0038】
また次に、オフセットビート除去装置は、チューナモジュールにて生成された所定放送チャンネルの映像中間周波信号から妨害波信号成分を除去したテレビ放送信号を生成するが、オフセットビート除去装置に入力される受信信号の信号レベルが低すぎる場合や高すぎる場合には、チューナモジュールにて、所定放送チャンネルの映像中間周波信号を生成できず、また、映像中間周波信号を生成できたとしても、その生成された映像中間周波信号の信号レベルが適正レベルとならず、直交検波等の妨害波信号成分除去のための信号処理を良好に実行できなくなることも考えられる。
【0039】
このため、上記のようにオフセットビート除去装置を備えたテレビ放送信号伝送装置を構成する際には、受信信号入力端子からオフセットビート除去装置に至る受信信号の入力経路に、その受信信号の信号レベルを調整するためのレベル調整手段を設け、オフセットビート除去装置への受信信号の入力レベルを適正レベルに設定することが望ましい。
【0040】
また、同一放送チャンネルの妨害波(テレビ放送信号)によるビート障害を受ける地域では、一つの放送チャンネルだけでなく、複数の放送チャンネルでビート障害が発生することがある。
このため、本発明(請求項8〜請求項10)のテレビ放送信号伝送装置は、こうした地域でも利用できるようにすることが望ましく、そのためには、テレビ放送信号伝送装置内にオフセットビート除去装置を複数設けることが望ましい。
【0041】
そして、このように複数のオフセットビート除去装置をテレビ放送信号伝送装置に組み込む場合には、請求項11に記載のように、分配手段を介して、各オフセットビート除去装置に受信信号を入力することにより、各オフセットビート除去装置にて、夫々、異なる放送チャンネルのテレビ放送信号から妨害波信号成分を除去して、異なる放送チャンネルのテレビ放送信号を生成するようにし、更に、混合手段にて、各オフセットビート除去装置にて生成されたテレビ放送信号を、通過経路を通過してきた受信信号と混合するようにすればよい。
【0042】
また、本発明(請求項8〜請求項11)のテレビ放送信号伝送装置を、テレビ放送受信システムの伝送線上に設ける場合には、受信信号入力端子は一つでよいが、例えば、地上波テレビ放送を受信するための受信アンテナ(VHFアンテナ、UHFアンテナ)と、BS(放送衛星)やCS(通信衛星)を使った衛星テレビ放送を受信するための衛星受信アンテナとを備えたテレビ放送受信システムにおいて、これら各受信アンテナの設置点近傍に本発明のテレビ放送信号伝送装置を設置する際には、テレビ放送信号伝送装置における受信信号入力端子を一つにすると、各受信アンテナからの受信信号を混合して受信信号入力端子に入力するための混合器が必要となってしまう。
【0043】
そこで、複数の受信アンテナからの受信信号を端末側に伝送するテレビ放送受信システムにおいて、本発明のテレビ放送信号伝送装置を受信アンテナ近傍に簡単に設置できるようにするには、請求項12に記載のテレビ放送信号伝送装置のように、オフセットビート除去装置にて妨害波信号成分を除去すべきテレビ放送信号を含む受信信号を入力するための受信信号入力端子とは別に、そのテレビ放送信号とは放送周波数帯域が異なるテレビ放送信号を受信する受信アンテナから受信信号を入力するための第2の受信信号入力端子を設け、当該装置内の混合手段にて、第2の受信信号入力端子に入力された受信信号を、オフセットビート除去装置からの出力及び通過経路を通過してきた受信信号と混合するように構成するとよい。
【0044】
つまり、本発明(請求項8〜請求項11)のテレビ放送信号伝送装置を請求項12に記載のように構成すれば、テレビ放送信号伝送装置単体で複数の受信アンテナからの受信信号を混合することができ、複数の受信アンテナからの受信信号を混合器で混合して受信信号入力端子に入力する必要がないため、テレビ放送受信システムをより簡単且つ低コストで実現できることになる。
【0045】
尚、第2の受信信号入力端子は、オフセットビート除去装置にて妨害波信号成分を除去すべきテレビ放送信号を受信する受信アンテナ以外の受信アンテナからの受信信号を入力するためのものであるため、第2の受信信号入力端子の個数は、一般に使用される受信アンテナの個数に応じて適宜設定すればよい。
【0046】
具体的には、同一放送チャンネルの妨害波(テレビ放送信号)によってビート障害を受ける放送チャンネルは、通常、山間部等で使用されているUHF帯の放送チャンネルであることから、オフセットビート除去装置に接続されるメインの受信信号入力端子には、UHFアンテナを接続するようにし、第2の受信信号入力端子としては、VHFアンテナ、BSアンテナ、CSアンテナ等からの受信信号を入力できるように、複数設けるようにすればよい。
【0047】
また、テレビ放送受信システムでは、通常、一本の伝送線(一般に同軸ケーブル)にて複数の端末に受信信号を伝送することから、伝送線には、受信信号増幅用の増幅器が設けられるが、本発明(請求項8〜請求項12)のテレビ放送信号伝送装置は、所定放送チャンネルのテレビ放送信号からビート障害を起こす妨害波信号成分を除去するビートキャンセル機能だけでなく、他の放送チャンネルのテレビ放送信号を通過させる機能もあることから、請求項13に記載のように、受信信号出力端子から出力される受信信号の信号レベルを所定レベルに増幅するための増幅回路を設けるようにすれば、受信信号増幅機能も付与することができる。
【0048】
そして、このように増幅回路を内蔵した請求項13に記載のテレビ放送信号伝送装置を用いれば、伝送線上に、受信信号増幅用の増幅器を別途設ける必要がなく、テレビ放送受信システムをより簡単且つ安価に実現できることになる。
一方、本発明(請求項8〜請求項13)のテレビ放送信号伝送装置は、テレビ放送受信システムにおいて、受信信号を伝送する伝送線上に設けて使用することを前提としているが、この装置を動作させるには、外部から電源供給を行う必要がある。
【0049】
そして、このためには、テレビ放送信号伝送装置内に、商用電源から電源供給を受けて内部回路を動作させるための直流定電圧を生成する電源回路を設けるか、或いは、同軸ケーブル等からなる伝送線を介して供給される電源電圧を受けて内部回路を動作させるための直流定電圧を生成する電源回路を設けるようにすればよいが、より好ましくは、請求項14に記載のように、これら両機能を有する電源回路を設けることが望ましい。
【0050】
つまり、請求項14に記載のテレビ放送信号伝送装置には、受信信号入力端子及び受信信号出力端子の何れかに接続される伝送線を介して外部から供給された電源電圧を取り出すための電源分離フィルタと、商用電源から電源供給を受けるための給電経路と、この給電経路及び電源分離フィルタの何れかを介して供給される電力を利用して、オフセットビート除去装置を含む内部回路を作動させるための直流定電圧を生成する電源回路とが備えられている。
【0051】
従って、請求項14に記載のテレビ放送信号伝送装置によれば、商用電源からでも、受信信号入力端子若しくは受信信号出力端子に接続される伝送線からでも電源供給を行うことができることになり、当該装置を設けるテレビ放送受信システムに応じて給電方法を適宜選択することが可能となる。
【0052】
また次に、本発明(請求項8〜請求項14)のテレビ放送信号伝送装置に内蔵されたオフセットビート除去装置を用いてビート障害を防止するには、オフセットビート除去装置(詳しくはチューナモジュール)が選局するテレビ放送信号の放送チャンネルを、ビート障害が生じる放送チャンネルに設定しておく必要がある。また、オフセットビート除去装置(詳しくは再変調手段)が再変調するテレビ放送信号についても、オフセットビート除去装置(詳しくはチューナモジュール)が選局するテレビ放送信号の放送チャンネルと一致させるか、或いは、他のテレ部放送と重なることのない放送チャンネルに設定する必要がある。
【0053】
しかし、ビート障害が生じる放送チャンネルや、その放送チャンネル以外で受信可能なテレビ放送信号の放送チャンネルは、地域毎に異なることから、オフセットビート除去装置が選局及び再変調するテレビ放送信号の放送チャンネルを工場出荷時等に予め設定するようにすると、テレビ放送信号伝送装置の生産性が低下し、装置のコストアップを招く。
【0054】
そこで、より好ましくは、本発明(請求項8〜請求項14)のテレビ放送信号伝送装置には、請求項15に記載のように、オフセットビート除去装置が選局及び再変調するテレビ放送信号の放送チャンネルを外部操作により設定するためのチャンネル設定手段と、該チャンネル設定手段により設定された放送チャンネルを表示するチャンネル表示手段とを設けるようにするとよい。
【0055】
つまり、このようにすれば、テレビ放送信号伝送装置を設置する際に、チャンネル表示部を確認しつつ操作部を操作することによって、オフセットビート除去装置が選局或いは再変調する放送チャンネルを簡単に設定でき、その放送チャンネルを、テレビ放送信号伝送装置が使用される地域に応じて予め設定しておく必要がないため、テレビ放送信号伝送装置の生産性を向上して、テレビ放送信号伝送装置のコストダウンを図ることができる。
【0056】
尚、受信信号の通過経路にバンドエリミネータを設けた請求項9に記載の装置に請求項15に記載の発明を適用し、且つ、オフセットビート除去装置を、選局したテレビ放送信号と同じ放送チャンネルのテレビ放送信号を再変調して出力するように構成する場合には、バンドエリミネータが通過を阻止するテレビ放送信号についても、チャンネル設定手段を介して、オフセットビート除去装置が選局する放送チャンネルに対応して同時に変更できるようにすることが望ましい。
【0057】
また、例えば、本発明(請求項8〜請求項15)のテレビ放送信号伝送装置を用いてホーム共同受信を行うような場合、当該装置を防水ケースに入れるか或いは当該装置の筐体(ケース)自体を防水型にして、受信アンテナ付近の屋根上や軒下等に設置できるようにすればよいが、当該装置をこうした場所に設置してから、オフセットビート除去装置が選局及び再変調する放送チャンネル等の各種設定作業を行う際には、作業者が屋根上等の高所に登らなければならず、危険であるし不便でもある。
【0058】
このため、請求項16に記載のように、本発明(請求項8〜請求項15)のテレビ放送信号伝送装置には、当該装置本体とは別体で構成された遠隔操作用のリモートコントロール装置を設け、装置本体側には、リモートコントロール装置との間で通信を行うための通信手段と、この通信手段がリモートコントロール装置から送信された指令を受信すると、その指令に従い当該装置の動作状態を制御する制御手段と、を設けるようにしてもよい。
【0059】
そして、このようにすれば、テレビ放送信号伝送装置を設置した後で、その動作状態を、リモートコントロール装置を用いた遠隔操作によって簡単に設定できるようになり、また、設定作業時の使用者の安全性を確保できる。
尚、リモートコントロール装置を介して設定する当該装置の動作状態としては、主として、オフセットビート除去装置が選局及び再変調するテレビ放送信号の放送チャンネルが挙げられるが、これ以外にも、例えば、請求項10に記載の装置であれば、レベル調整手段により調整可能な受信信号の信号レベル、請求項13に記載の装置であれば、当該装置に内蔵された増幅回路の利得、等を挙げることができる。
【0060】
また、リモートコントロール装置としては、受信信号出力端子に接続される伝送線を介して指令信号を送信する有線式のリモートコントロール装置であっても、或いは、電波や赤外線等の電磁波を利用して指令信号を送信する無線式のリモートコントロール装置であってもよい。
【0061】
そして、請求項16に記載のようにリモートコントロール装置を使ってテレビ放送信号伝送装置の動作状態を設定できるようにする場合、より好ましくは、請求項17に記載のように、リモートコントロール装置には、遠隔操作用の操作部に加えて、装置本体の動作状態を表示するための表示部を設け、装置本体側の制御手段を、リモートコントロール装置からの指令に従い、当該装置の動作状態をリモートコントロール装置側の表示部に表示するための表示信号を通信手段を介してリモートコントロール装置に送信するように構成するとよい。
【0062】
つまり、このようにすれば、リモートコントロール装置側の表示部に装置本体側の動作状態を表示させることによって、その動作状態を確認することができ、テレビ放送信号伝送装置の動作状態の設定をより簡単に行うことができるようになる。
【0063】
また次に、請求項18に記載の発明は、少なくとも、希望波に対して送信周波数が所定周波数オフセットされた妨害波を含む放送チャンネルのテレビ放送信号を受信する受信アンテナを含む、1又は複数の受信アンテナを備え、該受信アンテナからの受信信号を伝送線を介して端末側に伝送するテレビ放送受信システムにおいて、伝送線上に、請求項8〜請求項17何れかに記載のテレビ放送信号伝送装置を設けたことを特徴とする。
【0064】
従って、このテレビ放送受信システムによれば、受信アンテナにて、希望波に対して送信周波数が所定周波数オフセットされた妨害波を含む放送チャンネルのテレビ放送信号が受信されても、そのテレビ放送信号から妨害波信号成分を除去して端末側に伝送できることになり、端末側では、ビート障害のない綺麗なテレビ画像を再生できる。
【0065】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施形態を図面と共に説明する。
図1は本発明が適用された第1実施例のテレビ放送受信システム全体の構成を表わす概略構成図である。尚、本実施例のテレビ放送受信システムは日本国内用のものであり、以下に説明するVHF帯及びUHF帯のテレビ放送は、帯域幅が6MHzのNTSC方式で行われるものとする。
【0066】
図1に示す如く、本実施例のテレビ放送受信システムは、屋外に設置したアンテナからの受信信号を伝送線を介して建造物内の各部屋に伝送する共同受信システムであり、テレビ放送受信用の受信アンテナとして、地上局から送信されたVHF帯及びUHF帯の放送電波を夫々受信するVHFアンテナ2及びUHFアンテナ4と、放送衛星(BS)から送信された放送電波を受信するBSアンテナ6とを備える。
【0067】
尚、BSアンテナ6は、反射鏡6aと、支持腕を介して反射鏡6aの焦点位置に配置された受信部6bとからなり、受信部6bに内蔵されたコンバータによって、受信信号を、BSからの送信電波(10GHz帯)よりも低い1GHz帯の受信信号(BS−IF信号)に周波数変換(ダウンコンバート)して出力する。
【0068】
そして、これら各受信アンテナ2〜6からの受信信号(VHF受信信号、UHF受信信号、BS−IF信号)は、同軸ケーブルからなる伝送線を介して、本発明が適用されたビートキャンセラ内蔵型のヘッドエンド装置20に入力され、ヘッドエンド装置20で混合された後、端末側の伝送線上に出力される。
【0069】
また、端末側の伝送線には、分配器10が接続されており、ヘッドエンド装置20から出力された各種受信信号は、分配器10にて複数系統(図では4系統)に分配され、更に、その分配された各系統の伝送線上に直列に接続された複数の直列ユニット12を介して、各直列ユニット12が設置された各部屋の受信端末まで伝送される。
【0070】
ヘッドエンド装置20は、本発明のテレビ放送信号伝送装置に相当するものであり、図2に示すように、UHFアンテナ4からのUHF受信信号を伝送線(同軸ケーブル)を介して入力するためのUHF入力端子T1と、VHFアンテナ2からのVHF受信信号を伝送線(同軸ケーブル)を介して入力するためのVHF入力端子T2と、BSアンテナ6からの受信信号であるBS−IF信号を伝送線(同軸ケーブル)を介して入力するためのBS入力端子T3と、これら各入力端子T1〜T3に入力された受信信号を夫々増幅するUHF増幅部40、VHF増幅部50、及びBS増幅部60と、UHFアンテナ4から入力されたUHF受信信号の中から予め設定された放送チャンネルの放送チャンネルのテレビ放送信号を選局して、妨害波信号成分を除去し、妨害波信号成分除去後のテレビ放送信号を所定放送チャンネルのテレビ放送信号に再変調して出力する複数のビートキャンセラ30と、これら各増幅部40、50、60及びビートキャンセラ30にて増幅又は信号処理された受信信号を混合して、伝送線(同軸ケーブル)を介して端末側に出力するための受信信号出力端子Toutとを備える。
【0071】
尚、UHF入力端子T1は、本発明の受信信号入力端子に相当し、VHF入力端子T2及びBS入力端子T3は、本発明の第2の受信信号入力端子に相当し、ビートキャンセラ30は、本発明のオフセットビート除去装置に相当する。
そして、UHF入力端子T1に入力されたUHF受信信号は、本発明のレベル調整手段としてのレベル調整部22にて、信号レベルが所定のレベル範囲内に設定された後、本発明の分配手段としての分配器24を介して、UHF増幅部40及び複数のビートキャンセラ30へと分配される。
【0072】
また、UHF増幅部40及び複数のビートキャンセラ30からの出力信号(UHF受信信号)は、混合器28にて混合された後、UHF受信信号のみを選択的に通過させるためのバンドパスフィルタ(以下、BPFという)72を介して、受信信号出力端子Toutまで伝送される。
【0073】
ここで、UHF増幅部40は、各ビートキャンセラ30が選局する放送チャンネル以外のUHF受信信号を所定レベルまで増幅するためのものであり、分配器24から入力されたUHF受信信号を増幅する入力側の増幅回路42と、この増幅回路42にて増幅されたUHF受信信号の内、各ビートキャンセラ30が選局する放送チャンネルのテレビ放送信号を除くUHF受信信号を選択的に通過させるフィルタ部44と、UHF増幅部40全体の利得(ゲイン)を調整するための利得調整回路(以下、GC回路という)46と、GC回路46を通過したUHF受信信号を更に増幅する出力側の増幅回路48とから構成されている。
【0074】
また、フィルタ部44は、各ビートキャンセラ30が選局する放送チャンネルのテレビ放送信号が通過するのを阻止するためのものであり、ビートキャンセラ30の個数に応じた複数のバンドエリミネータ(以下、BEPという)を備えている。そして、本実施例では、各BEPが通過を阻止するテレビ放送信号(帯域幅6MHz)の周波数を、各ビートキャンセラ30が選局する放送チャンネルに応じて可変できるように、BPFには、通過を阻止するテレビ放送信号の中心周波数を外部から制御できる周波数可変型のものが使用されている。
【0075】
一方、VHF増幅部50は、VHF入力端子T2に入力されたVHF受信信号を所定レベルまで増幅するためのものであり、入力側の増幅回路52と、VHF増幅部50全体の利得(ゲイン)を調整するためのGC回路54と、GC回路54を通過したVHF受信信号を更に増幅する出力側の増幅回路56とから構成されている。そして、VHF増幅部50にて増幅されたVHF受信信号は、VHF受信信号のみを選択的に通過させるためのローパスフィルタ(以下、LPFという)74を介して、受信信号出力端子Toutまで伝送される。
【0076】
また、同様に、BS増幅部60は、BS入力端子T3に入力された受信信号(BS−IF信号)を所定レベルまで増幅するためのものであり、入力側の増幅回路62と、BS増幅部60全体の利得(ゲイン)を調整するためのGC回路64と、GC回路64を通過したBS−IF信号を更に増幅する出力側の増幅回路66とから構成されている。そして、BS増幅部60にて増幅されたBS−IF信号は、BS−IF信号のみを選択的に通過させるためのハイパスフィルタ(以下、HPFという)76を介して、受信信号出力端子Toutまで伝送される。
【0077】
尚、BPF72、LPF74、HPF76は、増幅及び信号処理後のUHF受信信号と、増幅後のVHF受信信号と、増幅後のBS−IF信号とを、夫々、混合して、受信信号出力端子Toutから出力させるためのものであり、本発明の混合手段に相当する。
【0078】
次に、ビートキャンセラ30は、分配器24を介して入力されたUHF受信信号(RF信号)の中から、予め設定された所定放送チャンネルのテレビ放送信号を選局して、映像中間周波信号(映像IF信号)と音声中間周波信号(音声IF信号)とを復調し、これら各IF信号を出力する選局復調部32と、この選局復調部32から出力される映像IF信号を直交検波することによりI信号及びQ信号を生成し、Q信号から妨害波信号成分を生成してI信号から除去することにより、ビート障害を起こす妨害波信号成分を除去した映像信号を生成する映像信号処理部34と、選局復調部32から出力された音声IF信号を通過させる音声信号通過部36と、音声信号通過部36を通過した音声IF信号と映像信号処理部34で生成された映像信号とを用いて、選局復調部32が選局した元の放送チャンネルのテレビ放送信号(RF信号)を生成する再変調部38と、この再変調部38にて生成されたテレビ放送信号(RF信号)を増幅する増幅部39と、から構成されている。
【0079】
ここで、本実施例において、ビートキャンセラ30を構成する選局復調部32は 本発明の選局復調手段に相当するものであり、音声IF信号と映像IF信号とを正規の周波数配列から反転した状態で出力する汎用のチューナモジュールから構成されている。また、ビートキャンセラ30を構成する映像信号処理部34は、本発明の映像信号処理手段に相当し、同じく再変調部38は、本発明の再変調手段に相当する。そして、この映像信号処理部34及び音声信号通過部36と、UHF受信信号の入力経路に設けられたレベル調整部22は、本発明に関わる主要部であることから、後に詳しく説明する。また、増幅部39は、上述した各受信信号の増幅部40、50、60と同様、増幅回路とGC回路とを備えており、その利得を外部から調整できるようになっている。
【0080】
また更に、ヘッドエンド装置20には、上述した各増幅部40,50,60及び複数のビートキャンセラ30に電源供給を行うための電源部80と、各ビートキャンセラ30内の選局復調部32がUHF受信信号から選局するテレビ放送信号の放送チャンネルを外部操作によって設定するための操作部92と、その放送チャンネルを表示するための表示部94と、操作部92からの指令に従い、ビートキャンセラ30内の選局復調部32が選局する放送チャンネルを設定すると共に、表示部94に設定変更後の放送チャンネル等を表示させる制御部90と、が備えられている。
【0081】
ここで、電源部80は、商用電源から電源供給を受けて増幅部40,50,60及びビートキャンセラ30を動作させるための直流定電圧を生成し、これら各部にその生成した直流定電圧を供給するものであり、交流100V若しくは200Vの商用電源を所定電圧まで降圧する変圧器84と、変圧器84にて降圧された交流電圧から直流定電圧を生成する定電圧電源回路82とから構成されている。
【0082】
また、制御部90は、CPU、ROM、RAM等を中心として構成されたマイクロコンピュータ(以下、マイコンという)からなり、操作部92を介して、何れかのビートキャンセラ30にて妨害波を除去すべきテレビ放送信号の放送チャンネルが指定されると、その指定された放送チャンネルに従い、指定されたビートキャンセラ30内の選局復調部32が選局するテレビ放送信号の放送チャンネルを設定すると共に、再変調部38が再変調するテレビ放送信号の放送チャンネルを同一の放送チャンネルに設定し、更に、表示部94に、放送チャンネルを設置したビートキャンセラ30とその放送チャンネルを表す情報を表示する、チャンネル設定処理を実行する。
【0083】
また、制御部90は、こうしたチャンネル設定処理と連動して、UHF増幅部40内のフィルタ部44を構成している複数のBEFの内、放送チャンネルを設定したビートキャンセラ30に対応するBEFの中心周波数を制御するフィルタ制御処理を実行することにより、UHF増幅部40から、ビートキャンセラ30が妨害波を除去したテレビ放送信号と同一放送チャンネルのテレビ放送信号が出力されるのを防止する。
【0084】
尚、本実施例では、操作部92及び制御部90が、本発明のチャンネル設定手段に相当し、表示部94が、本発明のチャンネル表示手段に相当する。
次に、図3(a)、(b)は、上述したレベル調整部22及び音声信号通過部36の構成を夫々表すブロック図であり、図4は、映像信号処理部34の構成を表すブロック図である。
【0085】
図3(a)に示すように、レベル調整部22は、UHF入力端子T1から入力されたUHF受信信号(RF信号)をそのまま通過させる第1経路22aと、RF信号を所定レベルだけ減衰させて通過させる第2経路22bと、RF信号を所定レベルだけ増幅して通過させる第3経路22cと、RF信号をこれらの経路の何れかに入力する入力側経路切換スイッチ22dと、何れかの経路を通過したRF信号を分配器24側に出力させる出力側経路切換スイッチ22eとから構成されている。そして、入力側経路切換スイッチ22d及び出力側経路切換スイッチ22eは、外部操作によって同時に同一経路を選択できるように、2連式の操作スイッチから構成されている。
【0086】
この結果、UHF入力端子T1から入力されたRF信号の信号レベルがビートキャンセラ30が動作するのに適した信号レベルであれば、上記各切換スイッチ22d、22eを図に示す第1経路22a側に切り換え、RF信号の信号レベルがビートキャンセラ30が動作するのに適した信号レベルよりも高い場合には、上記各切換スイッチ22d、22eを第2経路22b側に切り換え、RF信号の信号レベルがビートキャンセラ30が動作するのに適した信号レベルよりも低い場合には、上記各切換スイッチ22d、22eを第3経路22c側に切り換えることによって、各ビートキャンセラ30へのRF信号の入力レベルを適正レベルに設定できる。
【0087】
次に、音声信号通過部36は、選局復調部32から出力される音声IF信号を所定レベルまで増幅すると共に、音声IF信号(周波数:例えば4.5MHz±20kHz)以外の信号成分の通過を阻止するためのものであり、図3(b)に示すように、入力側の増幅回路36aと、音声IF信号のみを選択的に通過させるBPF36bと、出力側の増幅回路36cとから構成されている。
【0088】
この結果、音声信号通過部36から再変調部38には、選局復調部32や他の周辺回路から漏れ出した高周波ノイズ成分が除去された音声IF信号が出力されることになり、再変調部38にて再変調されたテレビ放送信号(RF信号)を端末側で再生した際に、再生音に不要なノイズが混入するのを防止できる。
【0089】
一方、映像信号処理部34は、図4に示すように、選局復調部32から出力された映像IF信号を2分配する分配回路34aを備える。そして、この分配回路34aにて2分配された映像IF信号の一方は、映像IF信号に含まれる希望波の映像搬送波を再生する搬送波再生回路34bに入力され、他方は、映像IF信号の位相を180度遅延させる(換言すれば映像IF信号を映像搬送波の位相の180度分遅延させる)移相器34sに入力される。
【0090】
尚、希望波の映像搬送波は、選局復調部32の選局動作によって一定周波数(例えば58.75MHz)に制御されることから、搬送波再生回路34bでは、内蔵したPLL回路等を用いてこの信号成分に位相同期した所定レベルの高周波信号(つまり映像搬送波)を再生する。
【0091】
次に、搬送波再生回路34bにて再生された希望波の映像搬送波は、分配回路34cにて2分配される。そして、その2分配された映像搬送波の内、一方の映像搬送波は、ミキサ34dにそのまま出力され、他方の映像搬送波は、映像搬送波の位相を90度(π/2)遅らせる移相器34hを介して、ミキサ34iに出力される。また、移相器34sを通過した映像IF信号は、分配回路34tにて2分配されて、ミキサ34d及び34iに夫々入力される。
【0092】
そして、ミキサ34d、34iは、上記各映像搬送波と、分配回路34tを介して入力された映像IF信号とを夫々混合することにより、映像IF信号を直交検波する。そして、各ミキサ34d、34iからの出力は、夫々、増幅回路34e、34jにて所定レベルまで増幅された後、ベースバンドの映像信号成分(周波数:0〜4.2MHz)のみを選択的に通過させるLPF34f、34kを介して、A/D変換回路34g、34mに入力される。
【0093】
尚、ミキサ34dにて希望波の映像搬送波と同相の映像搬送波を用いて検波され、増幅回路34e及びLPF34fを介してA/D変換回路34gに入力される信号は、直交検波後のI信号であり、ミキサ34iにて希望波の映像搬送波を90度移相させた映像搬送波を用いて検波され、増幅回路34j及びLPF34kを介してA/D変換回路34mに入力される信号は、直交検波後のQ信号である。
【0094】
そして、これらI信号及びQ信号は、A/D変換回路34g、34mにて夫々A/D変換された後、ビートキャンセル用のデジタル処理部35に入力される。デジタル処理部35は、A/D変換回路34mを介して入力されるQ信号をデジタル処理することにより、I信号に含まれる妨害波信号成分を生成し、A/D変換回路34gを介して入力されるI信号から、この妨害波信号成分を除去するものである。
【0095】
つまり、映像IF信号に含まれる希望波映像信号をA(t)、その搬送波(映像搬送波)をcos(ωt)とし、妨害波映像信号をB(t)、その搬送波(映像搬送波)をcos{(ω+δ)t+Φ}とした場合、映像IF信号は、
映像IF信号=A(t)cos(ωt)
+B(t)cos{(ω+δ)t+Φ}
と記述でき、直交検波後のI信号及びQ信号は、夫々、
I信号=A(t)+B(t)cos(δt+Φ)
Q信号=B(t)sin(δt+Φ)
となることから、デジタル処理部35では、Q信号をデジタル処理することにより、I信号に含まれる妨害波信号成分である「B(t)cos(δt+Φ)」を生成し、この妨害波信号成分をI信号から除去するのである。
【0096】
具体的には、再生したテレビ画像からビートを除去するには、映像信号の低域成分(周波数:0〜数十kHz)に関して妨害波信号成分を除去できれば充分であることから、デジタル処理部35では、図4(b)に示すように、まず、フィルタ処理部35aにて、Q信号の低域成分のみを抽出し、ビート成分生成部35bにて、その抽出したQ信号の低域成分から、上記妨害波信号成分「B(t)cos(δt+Φ)」を生成する。
【0097】
また、ビート成分生成部35bにて生成される妨害波信号成分は、フィルタ処理部35a及びビート成分生成部35bの処理動作によって、A/D変換回路34gを介して入力されるI信号に対して遅れることから、デジタル処理部35では、このI信号とビート成分生成部35bにて生成される妨害波信号成分とを同期させるために、遅延処理部35cにて、I信号の遅延処理を行い、更に、減算部35dにて、その遅延処理後のI信号からビート成分生成部35bにて生成される妨害波信号成分を除去する減算処理を行い、この減算処理結果を、妨害波信号成分を除去した映像信号(詳しくは映像データ)として出力する。
【0098】
そして、このようにデジタル処理部35にてデジタル処理された映像信号(映像データ)は、D/A変換回路34nにてアナログの映像信号に変換されて、再変調部38に出力される。
以上説明したように、本実施例のテレビ放送受信システムにおいては、VHFアンテナ2、UHFアンテナ4、及びBSアンテナ6からの受信信号を端末側に伝送する伝送線上に、ビートキャンセル機能を有するヘッドエンド装置20を設け、希望波と妨害波とが混ざったUHF帯のテレビ放送信号から妨害波信号成分を除去するようにされている。
【0099】
このため、本実施例のテレビ放送受信システムによれば、UHFアンテナ4にて、希望波に対して送信周波数が所定周波数オフセットされた妨害波を含むテレビ放送信号が受信される地域でも、そのテレビ放送信号から妨害波信号成分を除去して端末側に伝送できることになり、端末側では、ビート障害のない綺麗なテレビ画像を再生できるようになる。
【0100】
また、ヘッドエンド装置20は、妨害波信号成分の除去対象となるUHFアンテナ4からの受信信号だけでなく、VHFアンテナ2及びBSアンテナ6からの受信信号をも入力できるようにされており、これら各受信信号入力用の端子T1〜T3から入力された受信信号を各々増幅すると共に、増幅後の各受信信号を混合して、受信信号出力端子Toutから端末側に出力する。
【0101】
このため、本実施例のテレビ放送受信システムによれば、各受信アンテナ2〜6からの受信信号を増幅する増幅器(所謂ブースター)や各受信信号を混合するための混合器を別途設ける必要がなく、システムの構成を簡素化して、安価に実現できる。また、システムの保守管理のためにチェックすべき伝送機器が少なくなるので、保守管理も容易になり、システムを運用するのに要する費用も抑制できる。
【0102】
一方、ヘッドエンド装置20に内蔵されるビートキャンセラ30では、選局復調部32に汎用のチューナモジュールを用いているため、放送局等で使用される従来装置(専用チューナを使用したもの)に比べて、ビートキャンセラ30を安価に構成できる。
【0103】
また、選局復調部32は、汎用のチューナモジュールから構成されているため、選局復調部32からは、図9に例示したように周波数配列が正規のものから反転した映像IF信号が出力されるが、映像信号処理部34では、その映像IF信号を映像搬送波の位相の180度分だけ遅延させ、その遅延後の映像IF信号を、遅延前の映像IF信号から再生した映像搬送波を用いて直交検波するようにされているため、映像IF信号の周波数配列を正規の配列に戻すことなく(換言すれば、映像IF信号の周波数配列を正規の配列に戻すための周波数変換回路を用いることなく)、正常な直交検波を行うことができる。
【0104】
よって、本実施例のようにヘッドエンド装置20内に複数のビートキャンセラ30を設けても、ヘッドエンド装置20のコストが著しく増加するようなことはなく、本実施例のような小規模なテレビ放送受信システムでも充分使用できることになる。
【0105】
また更に、ビートキャンセラ30に設けられるビートキャンセル用の映像信号処理部34は、直交検波後のI信号及びQ信号をデジタル処理することによって、選局復調部32が選局したテレビ放送信号から妨害波信号成分を除去するようにされており、従来装置のようにアナログフィルタを使用しないことから、温度変化に対して安定して動作する。
【0106】
従って、ビートキャンセラ30(延いてはヘッドエンド装置20)は、従来装置のように、アナログフィルタの特性変動を防止するために使用可能な温度範囲を制限する必要がなく、屋根裏、軒下といった任意の場所に設置することができる。
【0107】
よって、本実施例のテレビ放送受信システムは、新規に構築する場合は勿論のこと、既存のシステムにヘッドエンド装置20するか或いは既存システムのヘッドエンド装置内にビートキャンセラ30を増設して構築する場合であっても、極めて容易に実現できることになる。
【0108】
以上本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、種々の態様を採ることができる。
例えば、上記実施例では、ビートキャンセラ30は、テレビ放送信号からビートの原因となる妨害波信号成分を除去するものとして説明したが、図5に示すように、ビートキャンセラ30の映像信号処理部34から再変調部38への映像信号の出力経路に、ゴースト除去手段としてのゴーストキャンセルモジュール37を設け、映像信号から希望波のゴースト成分を除去するようにしてもよい。
【0109】
そして、このようにすれば、選局復調部32にて選局したテレビ放送信号中にゴーストの発生原因となる希望波の遅れ成分である妨害波信号成分が含まれている場合にも、ビートキャンセラ30にて、その妨害波信号成分を除去して、再生画像にゴーストが現れるのを防止できる。
【0110】
尚、図5に示すビートキャンセラ30では、ゴーストキャンセルモジュール37は、ビートキャンセル用の映像信号処理部34の後段に設けるようにしているが、映像信号処理部34の前段(詳しくは、選局復調部32から映像信号処理部34に至る映像IF信号の経路上)に設けるようにしてもよい。
【0111】
また、上記実施例では、ビートキャンセラ30において、映像信号処理部34で生成された映像信号と音声信号通過部36を通過した音声IF信号とを再変調部38に入力し、再変調部38では、これら各信号を用いて、選局復調部32が選局したテレビ放送信号と同じ放送チャンネルのテレビ放送信号を生成するものとして説明したが、汎用のチューナモジュールには、映像及び音声信号の入力端子を備え、この入力端子から入力された映像及び音声信号から予め設定された放送チャンネルのテレビ放送信号を生成する機能(変調機能)を有するものがあることから、ビートキャンセラ30に、こうした変調機能を有するチューナモジュールを設けるようにすれば、再変調部38を不要にすることもできる。
【0112】
そして、このように変調機能を有するチューナモジュールを用いてビートキャンセラ30を構成する場合は、図6(a)に示すように、ビートキャンセラ30を、変調機能を有するチューナモジュール31a(図6(b)参照)を内蔵した選局復調再変調部31と、映像信号処理部34と、増幅部39とから構成し、選局復調再変調部31内のチューナモジュール31aでRF信号から生成された映像IF信号を映像信号処理部34に入力すると共に、映像信号処理部34にて映像IF信号から生成された妨害波除去後の映像信号を選局復調再変調部31に戻し、選局復調再変調部31内で、その映像信号を用いて所定放送チャンネルのテレビ放送信号(RF信号)を生成して、増幅部39に出力するようにすればよい。
【0113】
尚、選局復調再変調部31においては、図6(b)に示すように、チューナモジュール31aが、UHF受信信号(RF信号)の入力端子(RF−IN)、映像IF信号の出力端子(Video/IF−OUT)、及び、音声IF信号の出力端子(Audio/IF−OUT)に加えて、映像及び音声信号の入力端子(Video−IN、Audio−IN)と、この入力端子(Video−IN、Audio−IN)に入力された映像及び音声信号から生成した所定放送チャンネルのテレビ放送信号(RF信号)を出力する出力端子(RF−OUT)とを備え、チューナモジュール31aの出力端子(Audio/IF−OUT)から出力される音声IF信号を、混合回路31bを用いて、映像信号処理部34から入力される映像信号と混合して、映像信号の入力端子(Video−IN)に入力するようにされている。
【0114】
つまり、チューナモジュール31aは、映像及び音声信号の入力端子(Video−IN、Audio−IN)に入力された映像及び音声信号から予め設定された放送チャンネルのテレビ放送信号(RF信号)を生成して、出力端子(RF−OUT)から出力する機能があることから、選局復調再変調部31では、上記実施例の選局復調部32と同様に、チューナモジュール31aにてUHF受信信号(RF信号)から生成した映像IF信号を映像信号処理部34に出力し、その後映像信号処理部34から戻される妨害波信号成分除去後の映像信号を、チューナモジュール31aにてUHF受信信号(RF信号)から生成した音声IF信号と混合して映像信号の入力端子(Video−IN)に入力することで、映像信号と音声IF信号とを同時に所定放送チャンネルのテレビ放送信号(RF信号)に変換させ、その変換後のテレビ放送信号(RF信号)を、そのまま増幅部39に出力するようにしているのである。
【0115】
そして、このようにビートキャンセラ30を構成すれば、上記実施例のビートキャンセラ30のように再変調部38や音声信号通過部36を設ける必要がないため、ビートキャンセラ30の構成を簡素化して、ビートキャンセラ30をより安価に実現できることになる。
【0116】
尚、変調機能を有するチューナモジュール31aでは、RF信号の出力端子(RF−OUT)から出力可能なテレビ放送信号の放送チャンネルが制限されることから、ビートキャンセラ30から出力されるテレビ放送信号の放送チャンネルを選局復調再変調部31が選局する放送チャンネルと一致させることができないことがあるが、チューナモジュール31aが再変調するテレビ放送信号の放送チャンネルを、ヘッドエンド装置20から出力される他のテレビ放送信号とは異なるチャンネルに設定すれば、各受信アンテナ2、4、6にて受信された全てのテレビ放送信号を端末側に伝送できる。
【0117】
また、このようにビートキャンセラ30から出力されるテレビ放送信号の放送チャンネルが、選局復調再変調部31が選局する放送チャンネルと一致しない場合は、UHF増幅部40にて、選局復調再変調部31が選局する放送チャンネルのテレビ放送信号の通過を阻止する必要がないため、UHF増幅部40からフィルタ部44を除去するか、若しくは、フィルタ部44を構成するバンドエリミネータの個数を少なくすることができる。
【0118】
また、図6(b)に示すように、選局復調再変調部31に設けるチューナモジュール31aが、選局したテレビ放送信号から映像及び音声信号を再生する再生機能を有し、その再生した映像及び音声信号を出力する出力端子(Video−OUT、Audio(L)−OUT、Audio(R)−OUT)を備えている場合には、音声IF信号を映像信号に混合して映像信号の入力端子(Video−IN)に入力するのではなく、音声信号の出力端子(Audio(L)−OUT、Audio(R)−OUT)から出力された音声信号を入力端子(Audio−IN)に入力することも考えられる。
【0119】
しかし、チューナモジュール31aの変調機能は、通常、モノラル音声のみに対応しており、ステレオ放送や二カ国語放送等で得られる音声信号(Audio(L)/(R))をそのままテレビ放送信号に変換することができない。よって、チューナモジュール31aが、選局したテレビ放送信号から映像及び音声信号を再生する再生機能を有する場合であっても、図6(b)に示したように、音声IF信号を映像信号に混合して映像信号の入力端子(Video−IN)に入力することが望ましい。つまり、このようにすれば、チューナモジュール31a内で音声IF信号が映像信号と一緒にそのまま所定放送チャンネルの周波数帯に周波数変換されるので、選局したテレビ放送信号と同じ音声信号をそのまま端末側に伝送することができる。
【0120】
但し、この場合、チューナモジュール31aを改良して、チューナモジュール31aの音声信号の出力端子(Audio−OUT)から、音声多重用サブキャリアを含む音声信号が出力されるように構成すれば、図6(c)に示すように、その出力端子(Audio−OUT)から出力された音声信号を、音声信号の入力端子(Audio−IN)に入力するようにしてもよい。
【0121】
つまり、このようにすれば、チューナモジュール31a内では、音声多重用サブキャリアを含む音声信号をモノラル音声の音声信号として変調することになるため、チューナモジュール31aにて生成されるテレビ放送信号は、音声多重用サブキャリアを含むテレビ放送信号となり、チューナモジュール31aでは、選局したテレビ放送信号と同じ音声モードのテレビ放送信号を生成することができるようになる。
【0122】
また、上述した実施例のように、選局復調部32と再変調部38とを別体で構成する場合、選局復調部32を構成するチューナモジュールを、音声信号の出力端子(Audio−OUT)から音声多重用サブキャリアを含む音声信号を出力するように構成すれば、音声IF信号に代えて、この音声信号を再変調部38に入力するようにしてもよい。
【0123】
つまり、このようにすれば、再変調部38では、音声多重用サブキャリアを含む音声信号をモノラル音声の音声信号として変調することにより、テレビ放送信号を生成することができるようになり、再変調部38に通常の音声信号(ステレオ音声信号若しくは多重音声信号)を入力するようにした場合に比べて、再変調部38の構成を簡単にすることができる。
【0124】
また次に、上記実施例では、ヘッドエンド装置20内の各部に電源供給を行うための電源部80を、商用電源を受けて直流定電圧を生成するものとしたが、これでは、ヘッドエンド装置20を防水型の筐体に収納した所謂ルーフトップボックス(RTB)として、屋根上や軒下に設置して使用できるようにした場合に、ヘッドエンド装置20の設置場所に商用電源供給用の電源コンセントを設置しなければならず、ヘッドエンド装置20の設置場所が制限されることが考えられる。
【0125】
そこで、ヘッドエンド装置20を防水型の筐体に収納したRTBとして屋根上や軒下に簡単に設置できるようにするには、図7に示すように、ヘッドエンド装置20内に、受信信号出力端子Toutを介して端末側から供給された直流又は交流電力を受信信号の出力経路から分離する電源分離フィルタ86を設けると共に、電源部80には、変圧器84にて降圧された電圧を定電圧電源回路82に入力するか、電源分離フィルタ86にて分離された電圧を定電圧電源回路82に入力するかを切り換えるための電源切換スイッチ88を設けるようにするとよい。
【0126】
つまり、このようにすれば、電源切換スイッチ88の切換によって、ヘッドエンド装置20への電源供給を、商用電源から行うか、伝送線を介して行うかを簡単に設定できるようになり、ヘッドエンド装置20を所望の位置に設置することが可能となる。
【0127】
また、上記実施例では、各ビートキャンセラ30が選局するテレビ放送信号の放送チャンネルやUHF増幅部40内のフィルタ部44の特性(詳しくはバンドエリミネータの特性)は、ヘッドエンド装置20に内蔵した操作部92の操作によって設定するものとして説明したが、これでは、ヘッドエンド装置20をRTBとして屋根上や軒下に設置した場合に、ヘッドエンド装置20の動作設定を、高所で行わなければならず、その設定作業が面倒である。
【0128】
そこで、こうした設定作業を簡単にできるようにするには、図7に示すように、ヘッドエンド装置20とは別体で、遠隔操作用のリモートコントロール装置(以下、リモコン装置という)110を構成し、ヘッドエンド装置20側には、このリモコン装置110との間で無線通信を行うための通信手段としての送受信部96と、動作状態表示用のLED(発光ダイオード)からなる表示部98とを設け、送受信部96がリモコン装置110からの指令を受信すると、制御手段としての制御部90が、表示部98のLEDを点灯して、ヘッドエンド装置20が動作設定モードに入ったことを報知すると共に、送受信部96が受信した指令に従い、各ビートキャンセラ30が選局するテレビ放送信号の放送チャンネルやUHF増幅部40内のフィルタ部44の特性(詳しくはバンドエリミネータの特性)を切り換え、更に、各ビートキャンセラ30が選局している放送チャンネル等の情報(換言すればヘッドエンド装置20の動作状態を表す情報)を、送受信部96からリモコン装置110側に送信するようにするとよい。
【0129】
尚、この場合、リモコン装置110には、使用者が操作するための操作部114と、ヘッドエンド装置20の送受信部96から送信されてきた動作状態を表す情報を表示するための液晶表示装置等からなる表示部112を設ける必要はある。
【0130】
また、ヘッドエンド装置20をこのように構成した場合には、UHF増幅部40、VHF増幅部50、BS増幅部60に内蔵されたGC回路46、54、64や、各ビートキャンセラ30に内蔵された増幅部39内のGC回路、或いは、ベル調整部22内の切換スイッチ22d、22eを、制御部90を介して制御できるようにすれば、ヘッドエンド装置20から出力される各種受信信号の信号レベルや、ビートキャンセラ30へ入力されるUHF受信信号の信号レベルを、リモコン装置110を介して設定できるようになり、ヘッドエンド装置20の動作設定をより簡単に行うことができる。
【0131】
また次に、上記実施例では、本発明のテレビ放送信号伝送装置として、受信アンテナ直下に設置されるヘッドエンド装置20を例に取り説明したが、本発明は、CATVシステムで用いられる幹線増幅装置のように、受信信号の伝送経路の途中に適宜配置される伝送装置であっても、上記実施例で説明したヘッドエンド装置20の一部を変更することにより、簡単に適用できる。
【0132】
例えば、図8は、VHF受信信号、UHF受信信号、及びBS−IF信号を伝送するCATVシステムで用いられる幹線増幅装置120の構成を表しているが、この種の幹線増幅装置120であれば、一つの受信信号入力端子Tinから全ての受信信号が入力されることから、受信信号入力端子Tinから入力された受信信号を、BPF71、LPF73、及びHPF75を介して、UHF受信信号、VHF受信信号、及びBS−IF信号に分離し、その分離した各受信信号を、夫々、レベル調整部22、VHF増幅部50、BS増幅部60に入力するように、上記実施例のヘッドエンド装置20を変更するだけで、本発明を適用した幹線増幅装置を実現できる。
【0133】
尚、幹線増幅装置120は、受信信号入力端子Tin又は受信信号出力端子Toutに接続される伝送線(CATVシステムの幹線)を介して電源供給を行うようになっているので、図8に示した幹線増幅装置120には、受信信号出力端子Toutへの受信信号の出力経路上に電源分離フィルタ86を設け、この電源分離フィルタ86にて端末側から供給された電源電圧を分離して、定電圧電源回路82に入力するようにされている。
【0134】
また、上記実施例では、映像IF信号の周波数配列を正規の配列に戻すことなく、正常な直交検波を行うことができるようにするために、映像信号処理部34内で、直交検波の対象となる映像IF信号を、移相器34sを介して映像搬送波の位相の180度分だけ遅延させるようにしたが、映像IF信号を遅延させるのに代えて、搬送波再生回路34bにて生成された映像搬送波を、移相器34sを用いて、映像搬送波の位相の180度分だけ遅延させるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例のテレビ放送受信システム全体の構成を表す概略構成図である。
【図2】 図1に示すヘッドエンド装置の構成を表すブロック図である。
【図3】 図2に示すレベル調整部及び音声信号通過部の構成を夫々表すブロック図である。
【図4】 図2に示す映像信号処理部の構成を表すブロック図である。
【図5】 ビートキャンセラの変形例を表すブロック図である。
【図6】 ビートキャンセラの変形例及びこのビートキャンセラで用いられる選局復調再変調部の構成を表すブロック図である。
【図7】 ヘッドエンド装置の変形例を表すブロック図である。
【図8】 CATVシステムの伝送線上に設けられる幹線増幅器にビートキャンセル機能を持たせた場合の説明図である。
【図9】 チューナモジュールにて生成された映像IF信号及びこれを2種類の映像搬送波を用いて復調した映像信号を説明する説明図である。
【符号の説明】
2…VHFアンテナ、4…UHFアンテナ、6…BSアンテナ、10…分配器、12…直列ユニット、20…ヘッドエンド装置、T1…UHF入力端子、T2…VHF入力端子、T3…BS入力端子、Tout…受信信号出力端子、22…レベル調整部、24…分配器、28…混合器、30…ビートキャンセラ、31…選局復調再変調部、32…選局復調部、31a…チューナモジュール、31b…混合回路、34…映像信号処理部、34a…分配回路、34b…搬送波再生回路、34c,34t…分配回路、34d…ミキサ、34e…増幅回路、34f…LPF、34g…A/D変換回路、34h…移相器、34i…ミキサ、34j…増幅回路、34k…LPF、34m…A/D変換回路、34n…D/A変換回路、34s…移相器、35…デジタル処理部、35a…フィルタ処理部、35b…ビート成分生成部、35c…遅延処理部、35d…減算部、36…音声信号通過部、36a…増幅回路、36b…BPF、36c…増幅回路、37…ゴーストキャンセルモジュール、38…再変調部、39…増幅部、40…UHF増幅部、42…増幅回路、44…フィルタ部、46…GC回路、48…増幅回路、50…VHF増幅部、52…増幅回路、54…GC回路、56…増幅回路、60…BS増幅部、62…増幅回路、64…GC回路、66…増幅回路、71,72…BPF、73,74…LPF、75,76…HPF、80…電源部、82…定電圧電源回路、84…変圧器、86…電源分離フィルタ、88…電源切換スイッチ、90…制御部、92…操作部、94…表示部、96…送受信部、98…表示部、110…リモコン装置、112…表示部、114…操作部、120…幹線増幅装置、Tin…受信信号入力端子。
Claims (18)
- 受信アンテナから入力される受信信号の中から、希望波に対して送信周波数が所定周波数オフセットされた妨害波を含む所定放送チャンネルのテレビ放送信号を選局して、該テレビ放送信号の映像中間周波数信号及び音声中間周波信号を出力する選局復調手段と、
該選局復調手段から出力される映像中間周波信号を直交検波し、該直交検波により得られたI信号及びQ信号から、前記妨害波信号成分を除去した映像信号を生成する映像信号処理手段と、
該映像信号処理手段にて生成された映像信号と前記選局復調手段から出力される音声中間周波信号とを再変調して、所定放送チャンネルのテレビ放送信号を生成する再変調手段と、
を備えたオフセットビート除去装置であって、
前記選局復調手段は、前記映像中間周波信号及び前記音声中間周波信号を、選局前の正規の周波数配列から反転させた状態で出力するチューナモジュールからなり、
前記映像信号処理手段は、前記選局復調手段から出力される映像中間周波信号を2系統に分離して、該分離した一方の映像中間周波信号から映像搬送波を生成すると共に、該生成した映像搬送波又は他方の映像中間周波信号を映像搬送波の位相の180度分遅延させ、該遅延後の映像搬送波又は映像中間周波信号と、遅延させていない映像中間周波信号又は映像搬送波とを用いて、前記I信号及びQ信号を生成することを特徴とするオフセットビート除去装置。 - 前記映像信号処理手段は、前記直交検波により得られたQ信号をA/D変換してデジタル処理することにより、前記I信号に含まれる妨害波信号成分を生成する妨害波生成手段を備え、該妨害波生成手段にて生成された妨害波信号成分を前記I信号から除去することにより、前記妨害波信号成分を除去した映像信号を生成することを特徴とする請求項1記載のオフセットビート除去装置。
- 前記選局復調手段から前記再変調手段に至る前記音声中間周波信号の信号経路上に、音声中間周波信号のみを選択的に通過させるバンドパスフィルタを設けたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のオフセットビート除去装置。
- 前記チューナモジュールは、映像及び音声信号の入力端子を備え、該入力端子から入力された映像及び音声信号から所定放送チャンネルのテレビ放送信号を生成する機能を有し、
前記再変調手段は、前記映像信号処理手段にて生成された妨害波信号成分除去後の映像信号と前記チューナモジュールから出力される音声中間周波信号とを混合して前記チューナモジュールの映像信号の入力端子に入力することにより、前記チューナモジュールのテレビ放送信号生成機能によって実現されることを特徴とする請求項1〜請求項3何れかに記載のオフセットビート除去装置。 - 前記チューナモジュールは、映像及び音声信号の入力端子を備え、該入力端子から入力された映像及び音声信号から所定放送チャンネルのテレビ放送信号を生成する機能を有すると共に、前記音声中間周波信号から音声多重用サブキャリアを含む音声信号を復調して該音声信号を出力端子から出力する機能を有し、
前記再変調手段は、前記映像信号処理手段にて生成された妨害波信号成分除去後の映像信号を前記チューナモジュールの映像信号の入力端子に入力し、前記チューナモジュールの出力端子から出力された前記音声多重用サブキャリアを含む音声信号を前記チューナモジュールの音声信号の入力端子に入力することにより、前記チューナモジュールのテレビ放送信号生成機能によって実現されることを特徴とする請求項1〜請求項3何れかに記載のオフセットビート除去装置。 - 前記チューナモジュールは、前記音声中間周波信号から音声多重用サブキャリアを含む音声信号を復調して該音声信号を出力端子から出力する機能を有し、
前記再変調手段は、前記チューナモジュールの出力端子から出力された前記音声多重用サブキャリアを含む音声信号と前記映像信号処理手段にて生成された妨害波信号成分除去後の映像信号とを用いて、所定放送チャンネルのテレビ放送信号を生成することを特徴とする請求項1〜請求項3何れかに記載のオフセットビート除去装置。 - 前記映像信号処理手段の前段又は後段に、映像信号からゴースト成分を除去するゴースト除去手段を設けたことを特徴とする請求項1〜請求項6何れかに記載のオフセットビート除去装置。
- 請求項1〜請求項7何れかに記載のオフセットビート除去装置を備えたテレビ放送信号伝送装置であって、
前記オフセットビート除去装置にて妨害波信号成分を除去すべきテレビ放送信号を含む受信信号を入力するための受信信号入力端子と、
該受信信号入力端子に入力された受信信号を分配して前記オフセットビート除去装置と該受信信号の通過経路とに出力する分配手段と、
前記オフセットビート除去装置からの出力と前記通過経路を通過してきた受信信号とを混合する混合手段と、
該混合手段にて混合された受信信号を端末側に出力する受信信号出力端子と、
を備えたことを特徴とするテレビ放送信号伝送装置。 - 前記受信信号の通過経路に、前記オフセットビート除去装置が選局して妨害波信号成分を除去するテレビ放送信号の通過を阻止するバンドエリミネータを設けたことを特徴とする請求項8記載のテレビ放送信号伝送装置。
- 前記受信信号入力端子から前記オフセットビート除去装置に至る受信信号の入力経路に、該受信信号の信号レベルを調整するためのレベル調整手段を設けたことを特徴とする請求項8又は請求項9記載のテレビ放送信号伝送装置。
- 前記オフセットビート除去装置を複数設け、
各オフセットビート除去装置に、前記分配手段を介して、前記受信信号入力端子に入力された受信信号を夫々入力することにより、各オフセットビート除去装置にて、夫々、異なる放送チャンネルのテレビ放送信号から前記妨害波信号成分を除去して、異なる放送チャンネルのテレビ放送信号を生成するよう構成すると共に、
前記各オフセットビート除去装置にて生成されたテレビ放送信号を、前記混合手段にて、前記通過経路を通過してきた受信信号と混合するよう構成したことを特徴とする請求項8〜請求項10何れかに記載のテレビ放送信号伝送装置。 - 前記オフセットビート除去装置にて妨害波信号成分を除去すべきテレビ放送信号を含む受信信号とは放送周波数帯域が異なるテレビ放送信号を受信する受信アンテナから受信信号を入力するための第2の受信信号入力端子を備え、
前記混合手段は、前記第2の受信信号入力端子に入力された受信信号を、前記オフセットビート除去装置からの出力及び前記通過経路を通過してきた受信信号と混合することを特徴とする請求項8〜請求項11何れかに記載のテレビ放送信号伝送装置。 - 前記受信信号出力端子から出力される受信信号の信号レベルを所定レベルに増幅するための増幅回路を備えたことを特徴とする請求項8〜請求項12何れかに記載のテレビ放送信号伝送装置。
- 前記受信信号入力端子及び受信信号出力端子の何れかに接続される伝送線を介して外部から供給された電源電圧を取り出すための電源分離フィルタと、
商用電源から電源供給を受けるための給電経路と、
該給電経路及び前記電源分離フィルタの何れかを介して供給される電力を利用して、前記オフセットビート除去装置を含む内部回路を作動させるための直流定電圧を生成する電源回路と、
を備えたことを特徴とする請求項8〜請求項13何れかに記載のテレビ放送信号伝送装置。 - 前記オフセットビート除去装置が選局及び再変調するテレビ放送信号の放送チャンネルを外部操作により設定するためのチャンネル設定手段と、
該チャンネル設定手段により設定された放送チャンネルを表示するチャンネル表示手段と、
を備えたことを特徴とする請求項8〜請求項14何れかに記載のテレビ放送信号伝送装置。 - 前記テレビ放送信号伝送装置は、当該装置本体とは別体で構成された遠隔操作用のリモートコントロール装置を備え、
装置本体側には、該リモートコントロール装置との間で通信を行うための通信手段と、該通信手段が前記リモートコントロール装置から送信された指令を受信すると、該指令に従い、前記オフセットビート除去装置が選局及び再変調するテレビ放送信号の放送チャンネルを含む当該装置の動作状態を制御する制御手段と、を設けたことを特徴とする請求項8〜請求項15何れかに記載のテレビ放送信号伝送装置。 - 前記リモートコントロール装置は、前記遠隔操作用の操作部と、前記装置本体の動作状態を表示するための表示部とを備え、
前記装置本体側の制御手段は、前記前記リモートコントロール装置からの指令に従い、当該装置の動作状態を前記表示部に表示するための表示信号を前記通信手段を介して前記リモートコントロール装置に送信することを特徴とする請求項16記載のテレビ放送信号伝送装置。 - 少なくとも、希望波に対して送信周波数が所定周波数オフセットされた妨害波を含む放送チャンネルのテレビ放送信号を受信する受信アンテナを含む、1又は複数の受信アンテナを備え、該受信アンテナからの受信信号を伝送線を介して端末側に伝送するテレビ放送受信システムにおいて、
前記伝送線上に、請求項8〜請求項17何れかに記載のテレビ放送信号伝送装置を設けたことを特徴とするテレビ放送受信システム。
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