JP4109017B2 - 汚染土壌の固化・不溶化方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、重金属類、油、難分解性化学物質等の汚染物質に汚染された土壌(本明細書において、「汚染土壌」という。)を固化して、汚染物質の不溶化を行うことにより、セメント類では不可能であった処理後の汚染物質の溶出量を土壌環境基準若しくはそれ以下に抑えることができる汚染土壌の固化・不溶化方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
汚染物質に汚染された汚染土壌の修復技術には、大きく分けて、汚染物質の周辺地盤への拡散・移動を防止する「封じ込め技術」と、汚染物質を除去する「浄化技術」とがあり、浄化目標や対策工事後の土地の利用形態等に応じて、適切な対策方法が選定されている。
このうち、「封じ込め技術」は、汚染土壌にセメント等の固化材を添加・混合して安定化させ、処理後の有害物質の溶出濃度を低下させるものである。
一方、「浄化技術」は、汚染土壌を加熱等することによって有害物質を分離・分解したり、水等を用いて汚染土壌から有害物質を分離・除去したり、あるいは微生物等によって有害物質を分離・分解させるものである。
【0003】
本発明の汚染土壌の固化・不溶化方法は、「封じ込め技術」に属するものであるが、上記のとおり、この固化・不溶化工法には、従来、主として、セメント類が用いられており、処理後の汚染物質の溶出量が、汚染土壌を埋立処分基準(土壌環境基準の概ね30倍)以下となるように、固化・不溶化処理を行うことにより、汚染土壌を管理型処分場に搬出する手段として用いられてきた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、埋立処分場の枯渇や、環境省からの「リスク低減措置の一つとして不溶化・固型化の処理」の提案等、処理後の汚染土壌からの汚染物質の溶出量を、土壌環境基準若しくはそれ以下に抑え、その効果を長期間に亘って持続させ、土地の有効利用を図る技術の開発が要請されている。
【0005】
ところで、上記従来のセメント類を用いた固化・不溶化工法では、特に、セメント類に微量に含まれる六価クロムが土壌環境基準を超えて溶出するおそれがあること、処理後の土壌が高アルカリになること、汚染物質によっては、セメント類による固化・不溶化効果がみられないこと、汚染物質には高アルカリ雰囲気で溶出濃度が上昇するものが多いこと等から、処理後の汚染土壌からの汚染物質の溶出量を、土壌環境基準若しくはそれ以下に抑え、その効果を長期間に亘って持続させることが困難であるケースが多いのが実情であった。
【0006】
高アルカリ雰囲気で溶出濃度が上昇するという問題点に対処するため、石膏や水砕スラグを用いる方法が提案されているが、石膏は水中での劣化が著しく、処理後の土壌を長期に亘って安定な状態に保てず、根本的な解決策がないのが現状であった。
【0007】
本発明は、上記従来の固化・不溶化工法の有する問題点に鑑み、重金属類、油、難分解性化学物質等の汚染物質に汚染された土壌を固化して、汚染物質の不溶化を行うことにより、処理後の汚染物質の溶出量を、長期間に亘って、土壌環境基準若しくはそれ以下に抑えることができる汚染土壌の固化・不溶化方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の汚染土壌の固化・不溶化方法は、700〜1000゜Cで焼成され、粉末度7000cm2/g以上に調整した酸化マグネシウムを、汚染土壌に添加・混合することにより、該汚染土壌を固化して、汚染物質の不溶化を行うことを特徴とする。
【0009】
この汚染土壌の固化・不溶化方法は、重金属類、油、難分解性化学物質等の汚染物質に汚染された土壌を固化して、汚染物質の不溶化を行うことにより、処理後の汚染物質の溶出量を、長期間に亘って、土壌環境基準若しくはそれ以下に抑えることができる。土地の有効利用を図る技術の開発が要請さ
【0010】
この場合において、汚染土壌に、酸化マグネシウムと共に、pH調整剤を添加・混合することができる。
【0011】
これにより、酸化マグネシウムで処理された土壌のpHを、中性域にすることができる。
【0012】
また、汚染土壌に、酸化マグネシウムと共に、強度増加剤としての炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、シリカ、パーライト、ゼオライト又は製鋼スラグを、単独又は2種以上を混合して、添加・混合することができる。
【0013】
これにより、酸化マグネシウムで処理された土壌の一軸圧縮強さを、例えば、基礎地盤として上部に構造物を構築することができる程度に高めることができる。
【0014】
さらに、酸化マグネシウムを添加・混合した汚染土壌の含水比を、脱水機を用いることにより低下させることができる。この場合、脱水機として、フィルタープレスを用いることができる。
【0015】
これにより、含水比が高く、ヘドロ状の汚染土壌を、強制的に脱水し、その状態を改善することができ、例えば、フィルタープレスに使用しても、濾布に悪影響をもたらすことなく、脱水後の処理土からの汚染物質の溶出濃度を土壌環境基準若しくはそれ以下に固化・不溶化でき、脱水時間の短縮にも効果がある。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の汚染土壌の固化・不溶化方法の実施の形態を説明する。
【0017】
本発明の汚染土壌の固化・不溶化方法は、700〜1000゜Cで焼成され、粉末度7000cm2/g以上に調整した酸化マグネシウムを、汚染土壌に添加・混合することにより、この汚染土壌を固化して、汚染物質の不溶化を行うことを特徴とするものである。
【0018】
ところで、酸化マグネシウム(MgO)には、低温焼成品と高温焼成品とがあるが、本発明の汚染土壌の固化・不溶化方法に用いる酸化マグネシウムには、汚染物質に対する良好な固化・不溶化効果を得るため、700〜1000゜Cで焼成された低温焼成品を用いることが好ましい。
なお、酸化マグネシウムに高温焼成品を用いると、汚染物質に対する固化・不溶化効果が低下することがある。
また、酸化マグネシウムの粉末度は、7000cm2/g以上のものが好ましく、特に、4000cm2/g未満のものを用いると、汚染物質に対する固化・不溶化効果が低下することがある。
酸化マグネシウムは、特に限定されるものではないが、対象汚染土壌1m3(有姿若しくは地山状態)に対して、50〜300kg添加することが望ましい。
【0019】
酸化マグネシウムは、それ単独で用いることもできるが、以下に説明するように、助剤として、pH調整剤や強度増加剤等を併用することができる。なお、pH調整剤や強度増加剤等は、必要に応じて、2種以上を併用してもよい。
【0020】
酸化マグネシウムで処理された土壌のpHは、概ね9〜11程度であり、汚染物質を土壌環境基準若しくはそれ以下に固化・不溶化を図るには十分であるが、さらに中性域での処理が求められることがある。
このような場合には、助剤として、pH調整剤を用いると効果的である。
pH調整剤には、例えば、硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、塩化第二鉄、リン酸、第一リン酸ナトリウム、重過リン酸カルシウム、過リン酸カルシウム等を用いることができ、これらのpH調整剤は、単独又は必要に応じて2種以上を混合して用いることができる。
【0021】
酸化マグネシウムで処理された土壌の一軸圧縮強さは、通常の添加量(対象汚染土壌1m3に対して、50〜300kg)の範囲では、概ね1N/mm2以上となり、長期間に亘って安定を保つのに十分であるが、処理後の地盤を基礎地盤として上部に構造物を構築するためには、さらに高い強度を要求されることがある。
このような場合には、助剤として、強度増加剤を用いると効果的である。
強度増加剤には、例えば、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム(特に、無水、半水のものを用いることが好ましい)、炭酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、シリカ、パーライト、ゼオライト、製鋼スラグ等を用いることができ、これらの強度増加剤は、単独又は必要に応じて2種以上を混合して用いることができる。
【0022】
pH調整剤や強度増加剤等の助剤を用いる場合は、酸化マグネシウムと助剤の比を、質量比で20:80〜95:5の間で使用することが好ましい。
【0023】
本発明の汚染土壌の固化・不溶化方法において、汚染土壌と酸化マグネシウム(及び助剤)との混合は、例えば、地盤改良工事に用いられる混合機を用いて行うことができる。
混合機には、汚染土壌を原位置で改良する機械と、地上で改良する機械とがある。より高い固化・不溶化効果を求める場合は、後者の地上で改良するほうが効果的である。いずれの場合も、酸化マグネシウム(及び助剤)は、粉体又は水を添加したスラリー状で適用することができる。
【0024】
この場合において、汚染土壌の含水比が高く、ヘドロ状のときは、脱水機を用いることにより、汚染土壌の含水比を低下させることが望ましい。
脱水機としては、特に限定されるものではないが、例えば、フィルタープレスを用いることができる。フィルタープレスは、濾布の間に挟まれた泥水状の土を圧力をかけることにより強制的に脱水し、その状態を改善するものである。
ところで、この泥水状の土に対して、セメント類等の固化材を添加しておけば、脱水後に強度が発現し、汚染物質に対して固化・不溶化が図れることは容易に推察されるが、セメント類が濾布に対して目詰まり等の悪影響をもたらすことから、この方法は一般には用いられていない。
これに対して、酸化マグネシウムは、フィルタープレスに使用しても、濾布に悪影響をもたらすことなく、脱水後の処理土からの汚染物質の溶出濃度を土壌環境基準若しくはそれ以下に固化・不溶化できる。また、脱水時間の短縮にも効果がある。
【0025】
【実施例】
次に、本発明の汚染土壌の固化・不溶化方法の実施例を説明する。
【0026】
表1に、本発明の汚染土壌の固化・不溶化方法を適用する汚染土壌4種類の汚染物質(汚染成分)の溶出量その他の性状を示す。試料A〜Dは工場跡地等から採取した実汚染土壌である。
【0027】
【表1】
【0028】
原土壌及び処理後の土壌の溶出試験は、平成3年環境庁告示46号に従って行った。
含有量試験は、底質調査法(昭和63年環水管第127号)に従って前処理した後に、溶出試験と同じ方法で測定した。
試料Aは、鉛、ヒ素及びセレンに汚染された複合汚染土壌である。ヒ素とセレンの溶出量が、それぞれ0.25mg/L、0.041mg/Lと、土壌環境基準(0.01mg/L)を超過している。鉛の溶出量は、0.009mg/Lと土壌環境基準以下であるが、含有量が790mg/kgと環境省が2001年に発表した含有量要措置レベルである150mg/kgを超過している。ヒ素についても要措置レベルを超過している。
試料Bは、ヒ素に汚染された汚染土壌である。ヒ素の溶出量0.31mg/Lは、産業廃棄物埋立処分基準である0.3mg/Lをも超過している。
試料Cは、シアンに汚染された汚染土壌である。シアンの土壌環境基準は「検出されないこと」であるが、溶出量3.1mg/Lと極めて高い値を示している。因みに、平成元年環境庁告示39号(特定地下浸透水で有害物質が検出されるとする濃度)では、シアンの検出されるとする濃度は、0.1mg/Lと規定している。したがって、シアンに関する土壌環境基準は運用上0.1mg/Lと見なされている。
試料Dは、フッ素に汚染された汚染土壌である。フッ素の溶出量2.7mg/Lは、土壌環境基準0.8mg/Lの3倍超と極めて高い値を示している。
【0029】
上記供試土壌の固化・不溶化処理として、酸化マグネシウムを使用した。
試験要領は以下のとおりである。
(1)固化材料:粉末度4000cm2/g(参考例)及び7000cm2/gの2種類の低温焼成酸化マグネシウムを用いた。比較材料として、一般的に地盤改良に用いられている高炉セメントB種を用いた。
(2)添加・混合:事前に測定した汚染土壌の密度に対して所定量の固化材料を計量する。汚染土壌に対して固化材料を添加して、ソイルミキサーを用いて10分間混合した。
(3)供試体作成:セメント系固化材による安定処理土の試験方法(セメント協会法;CAJS L−01−1990)に準じて供試体を作製した。供試体を型枠から脱型後20゜Cで密封養生した。
(4)一軸圧縮試験:供試体を養生後、材令7及び28日で土の一軸圧縮試験(JIS A 1216)を行い、一軸圧縮強度を測定した。
(5)溶出試験:一軸圧縮試験後の破壊供試体を用いて溶出試験を行った。
【0030】
[実施例1]
鉛、ヒ素及びセレンに汚染された複合汚染土壌である試料Aを、酸化マグネシウムを用いて固化・不溶化処理した結果を表2に示す。
酸化マグネシウムにはpH調整剤として助剤を添加したものを固化材として用いている。
【0031】
【表2】
【0032】
酸化マグネシウム(助剤添加)の添加量が100kg/m3及び150kg/m3の両ケース(1−1、1−2)において、鉛、ヒ素及びセレンは材令7日の時点で土壌環境基準以下に固化・不溶化されており、材令28日においてもその固化・不溶化効果が損なわれることなく維持することを確認した。
比較例として高炉セメントB種を固化材として用いた場合(1−3、1−4)、添加量が100kg/m3ではヒ素が、添加量が150kg/m3では鉛がそれぞれ土壌環境基準以下に不溶化することができなかった。特に高炉セメントB種の添加量が150kg/m3の場合、処理後の土壌のpHが12近くまで上昇し、原土壌では土壌環境基準以下であった鉛の溶出量が処理後に土壌環境基準を超過する結果となり、いわゆる鉛の再溶出現象が生じている。
上記のように、高アルカリ雰囲気で溶出量が増加する物質を含む複合汚染土壌の場合、酸化マグネシウムを用いた固化・不溶化処理は極めて高い不溶化効果を発揮する。
固化・不溶化処理は封じ込めを前提としており、固化材料を添加・混合した後に十分締め固めるために比較的大きな一軸圧縮強さが得られる。比較例として用いた高炉セメントB種の場合、材令28日における一軸圧縮強さは添加量が100kg/m3及び150kg/m3でそれぞれ7.60N/mm2、8.21N/mm2であった。
実施例である酸化マグネシウム(助剤添加)を用いた場合、材令28日における一軸圧縮強さは添加量が100kg/m3及び150kg/m3でそれぞれ3.01N/mm2、3.22N/mm2で高炉セメントB種と比較して約0.4倍と低いが、一般の浅層地盤改良で求められる強度が0.5〜1N/mm2であることを考慮すると、1N/mm2以上の十分な固化強度を有していると判断できる。
【0033】
[実施例2]
次に、ヒ素に汚染された汚染土壌である試料Bを、酸化マグネシウム(単体)を用いて固化・不溶化処理した結果を表3に示す。
【0034】
【表3】
【0035】
酸化マグネシウムの添加量を150kg/m3と一定とし、粉末度が4000cm2/g(参考例)及び7000cm2/gの両ケース(2−1、2−2)において、粉末度が4000cm2/gの酸化マグネシウム(2−1)では材令28日において土壌環境基準以下までヒ素溶出量が低下しているのに対して、粉末度が7000cm2/gの酸化マグネシウム(2−2)では材令7日の段階で土壌環境基準以下まで固化・不溶化されており、汚染土壌への添加・混合後の早い段階から高い不溶化効果を発揮している。
比較例として高炉セメントB種を固化材として用いた場合(2−3)、添加量が150kg/m3でも土壌環境基準以下に不溶化することができなかった。
上記のように、初期のヒ素溶出量が0.31mg/Lと産業廃棄物埋立処分基準を超過しているような汚染土壌に対しても、酸化マグネシウムを用いた固化・不溶化処理は極めて高い効果を発揮する。また粉末度の高い酸化マグネシウムを用いることで、高い不溶化効果が得られることが判明した。
酸化マグネシウム(単体)を用いた場合の材令28日での一軸圧縮強さは、粉末度が4000cm2/g(参考例)及び7000cm2/gでそれぞれ0.82N/mm2、1.10N/mm2であり、比較例の高炉セメントB種の一軸圧縮強さ3.08N/mm2と比較して、0.26、0.36倍であった。実施例1と同様に十分な固化強度を有していることが確認できた。
【0036】
[実施例3]
次に、シアンに汚染された汚染土壌である試料Cを、酸化マグネシウム(単体)を用いて固化・不溶化処理した結果を表4に示す。
【0037】
【表4】
【0038】
酸化マグネシウムの添加量を150kg/m3と一定とし、粉末度が4000cm2/g(参考例)及び7000cm2/gの両ケース(3−1、3−2)において、粉末度に関わらず材令7日の時点でシアンの溶出量が土壌環境基準(0.1mg/L未満)を満足するまで固化・不溶化されていることを確認した。
比較例として高炉セメントB種を固化材として用いた場合(3−3)、添加量が150kg/m3でも土壌環境基準以下に不溶化することができなかった。
上記のように、初期のシアン溶出量が3.1mg/Lと極めて高い汚染土壌に対しても、酸化マグネシウムを用いた固化・不溶化処理は極めて高い不溶化効果を発揮する。
酸化マグネシウム(単体)を用いた場合の材令28日での一軸圧縮強さは、粉末度が4000cm2/g(参考例)及び7000cm2/gでそれぞれ1.93N/mm2、2.20N/mm2であり、比較例の高炉セメントB種の一軸圧縮強さ8.21N/mm2と比較して0.24、0.27倍であった。実施例1、2と同様に十分な固化強度を有していることが確認できた。
【0039】
[実施例4]
次に、フッ素に汚染された汚染土壌である試料Dを、酸化マグネシウム(単体)を用いて固化・不溶化処理した結果を表5に示す。
【0040】
【表5】
【0041】
酸化マグネシウムの粉末度を7000cm2/gと一定とし、酸化マグネシウムの添加量が100kg/m3及び150kg/m3の両ケース(4−1、4−2)において、添加量に関わらず材令7日の時点でフッ素の溶出量が土壌環境基準の1/10以下となるまで固化・不溶化されており、材令28日においてもその固化・不溶化効果が損なわれることなく維持していることを確認した。
比較例として高炉セメントB種を固化材として用いた場合(4−3、4−4)、添加量が100kg/m3では材令7日の時点では土壌環境基準以下に不溶化することができなかった。また、添加量150kg/m3では土壌環境基準以下に不溶化することはできたが、酸化マグネシウムを用いた実施例のように土壌環境基準の1/10以下までフッ素の溶出量を低下させることはできなかった。
上記のように、本発明の汚染土壌の固化・不溶化方法は、フッ素汚染土壌に対しても、極めて高い不溶化効果を発揮する。フッ素の土壌環境基準値は2001年に新たに設定されたため、フッ素汚染土壌に対する固化・不溶化処理の知見は少ない。一般に六価クロム、シアン、フッ素に対するセメント類添加による不溶化効果は低いとされており、このような汚染土壌に対して酸化マグネシウムを用いた固化・不溶化処理は極めて有効な手段である。
酸化マグネシウム(単体)を用いた場合の材令28日での一軸圧縮強さは、添加量が100kg/m3及び150kg/m3でそれぞれ2.41N/mm2、3.23N/mm2であり、比較例の高炉セメントB種の一軸圧縮強さ6.48N/mm2及び9.40N/mm2と比較して0.37、0.34倍であった。実施例1、2及び3と同様に十分な固化強度を有していることが確認できた。
【0042】
以上、本発明の汚染土壌の固化・不溶化方法について、複数の実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することが可能である。
【0043】
【発明の効果】
本発明の汚染土壌の固化・不溶化方法は、重金属類、油、難分解性化学物質等の汚染物質に汚染された土壌を十分に高い強度を有する固化体に改質・固化して、汚染物質の不溶化を行うことにより、処理後の汚染物質の溶出量を、長期間に亘って、土壌環境基準若しくはそれ以下に抑えることができる。
特に、従来のセメント類では土壌環境基準以下には固化・不溶化できないような汚染土壌や、複数の汚染物質を含むような複合汚染土壌に対して、特定の酸化マグネシウムを用いる本発明の汚染土壌の固化・不溶化方法は、固化・不溶化処理の点で、極めて有効な手段であり、汚染土壌の処理に当たっては、従来の地盤改良技術等を用いることが可能であることと相俟って、比較的低コストで汚染土壌の固化・不溶化処理を実施することが可能である。
そして、固化・不溶化効果を長期間に亘って維持することが可能なため、処理後の土地の有効利用を図ることができる。
【0044】
また、汚染土壌に、酸化マグネシウムと共に、pH調整剤を添加・混合することにより、酸化マグネシウムで処理された土壌のpHを、中性域にすることができる。
【0045】
また、汚染土壌に、酸化マグネシウムと共に、強度増加剤としての炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、シリカ、パーライト、ゼオライト又は製鋼スラグを、単独又は2種以上を混合して、添加・混合することにより、酸化マグネシウムで処理された土壌の一軸圧縮強さを、例えば、基礎地盤として上部に構造物を構築することができる程度に高めることができる。
【0046】
さらに、酸化マグネシウムを添加・混合した汚染土壌の含水比を、脱水機、例えば、フィルタープレスを用いて低下させることにより、含水比が高く、ヘドロ状の汚染土壌を、強制的に脱水し、その状態を改善することができ、例えば、フィルタープレスに使用しても、濾布に悪影響をもたらすことなく、脱水後の処理土からの汚染物質の溶出濃度を土壌環境基準若しくはそれ以下に固化・不溶化でき、脱水時間の短縮にも効果がある。
Claims (5)
- 700〜1000゜Cで焼成され、粉末度7000cm2/g以上に調整した酸化マグネシウムを、汚染土壌に添加・混合することにより、該汚染土壌を固化して、汚染物質の不溶化を行うことを特徴とする汚染土壌の固化・不溶化方法。
- 汚染土壌に、酸化マグネシウムと共に、pH調整剤を添加・混合することを特徴とする請求項1記載の汚染土壌の固化・不溶化方法。
- 汚染土壌に、酸化マグネシウムと共に、強度増加剤としての炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、シリカ、パーライト、ゼオライト又は製鋼スラグを、単独又は2種以上を混合して、添加・混合することを特徴とする請求項1又は2記載の汚染土壌の固化・不溶化方法。
- 酸化マグネシウムを添加・混合した汚染土壌の含水比を、脱水機を用いることにより低下させることを特徴とする請求項1、2又は3記載の汚染土壌の固化・不溶化方法。
- 脱水機として、フィルタープレスを用いることを特徴とする請求項4記載の汚染土壌の固化・不溶化方法。
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