JP4108319B2 - モールドイン用の係止部材および樹脂成形体の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車シートや事務用椅子などのクッションやその他の樹脂成形体を成形する際に、この成形体表面に埋め込まれるモールドイン成形用係止部材に関するものである。この係止部材付きのクッションは、その表面を繊維布などの被覆体で蔽い、被覆体を該係止部材でクッションに固定して、シート等に使用される。
【0002】
【従来技術】
最近、自動車シートの成形方法として、表面に多数の係合素子、裏面に多数の埋設素子をそれぞれ備えた係止部材、即ち面ファスナーテープを、成形型内の所定の位置にセットし、該成形型内に成形用樹脂を注入して発泡させ、上記テープの埋設素子をクッション表面に埋設一体化し、かつ上記係合素子がクッションの外表面に露出するように埋め込み成形する方法(いわゆるモールドイン成形法)が提案されている。そして、被覆体(シートカバー)の裏面には、上記面ファスナーテープの係合素子に係合可能な被係合素子が設けられており、これらの両素子を係合させることにより、上記シートカバーをクッションに沿わせ、クッションはシートカバーにより被覆される。
【0003】
ところで、上記のモールドイン成形法では、上記係止部材を成形型に設けた凹部に装着して成形する際に、発泡性成形用樹脂(以下樹脂と言うことがある)が係止部材基板と成形型凹部の間隙から係合素子側に流入し該素子を埋めるのを阻止することが必要である。係止部材は通常長い矩形即ちテープ状の形状であるので、成形用樹脂の流入は、該係止部材の幅方向の端部と成形型凹部との間隙、および係止部材の長さ方向の端部と成形型凹部の端部との間隙で生じ、流入した樹脂は凹部に収納された係合素子を樹脂で埋めるので、得られた樹脂成形体の表面に露出すべき係合素子が樹脂で覆われて露出できない問題が生ずる。
【0004】
上記問題を解決する従来技術の一例が図7に示される。係止部材Aは、面ファスナーの基板Bの表裏両面に多数の係合素子Cと埋設素子Dとを備えた面ファスナーテープEと、上記係合素子Cの上面に配置した、モールドイン成形時に成形型に埋設された磁石体に磁着するスチール片Fと、このスチール片Fおよび係合素子Cの全体を覆い、モールドイン成形時に係合素子C側に成形樹脂組成物が流入するのを阻止するカバーフィルムGから構成されている。このフィルムGは、その外周縁部が上記面ファスナーテープEの周縁部に、粘接着剤やヒートシール手段などで接合一体化されている。
【0005】
そして、該係止部材Aは、底面に磁石Jが設置されている成形型の凹部Kに、上記スチール片Fをその磁着力を利用して固定される。この後、成形型内に発泡性樹脂組成物を注入して、上記埋設要素Dが樹脂に埋め込まれたクッションなどの成形体を成形し、クッションを成形型から取り出し、その後カバーフィルムGとスチール片Fとを取外し、面ファスナーの係合素子Cをクッションの表面に露出させる。この係止部材は、係合素子がフィルムによって完全に被覆されているから、成形型の凹部と係止部材の間に間隙があり、成形用樹脂が流入しても樹脂が係合素子を埋めることはなく、成形用樹脂はカバーフィルムの外面に付着するから、カバーフィルムを取り除くときに、流入した樹脂をカバーフィルムと共に除去することができる点で優れている。
【0006】
しかし、上記のモールドイン成形手段の場合には、上記クッションの成形後に、上記スチール片FとカバーフィルムGとを取外す必要があるが、これらの部材は廃棄物となって処分する必要が生ずる。しかも、上記フィルムGの取外し時に、フィルム屑が上記係合素子面に残ると、係合素子の露出を妨げ係合力を低下させ、また外観が悪くなったりするため、細心で面倒な取外し作業が必要となる。その作業には手間がかかり、その上、前記スチール片Fの取外時に手指の怪我を招く恐れもあった。
【0007】
また特開平7−148007号公報に示される発明は、モールドイン用の係止部材であって、基板の表面に係合素子を有し、基板の裏面に長さ方向に立ち上がりかつ基板の幅側端部から外側に突出し、係止部材の幅方向の間隙をシールする嵌合要素を有するモールドイン成形用係止部材を示している。さらに該先行文献には、係止部材の長さ方向の端部に位置する係合素子と面ファスナー片、不織布またはパイル地などのシール部材を係合させ、該シール部材により成形用樹脂が成形型の凹部内方に流入することを防ぐことを開示している。
【0008】
この技術では、係止部材は成形型凹部に嵌合、即ちはめ込むように装着するため、凹部に係止部材を装着する作業に注意が必要となり、装着が不十分であると間隙が封止できず係止部材内部への樹脂の流入を防ぐことができなかった。また係止部材の長さ方向のシール部材は、凹部と係止部材との間隙を不織布などでふさぐものであり、樹脂の流入を十分に防ぐことはできなかった。
【0009】
本発明は、係止部材の長さ方向の端部からの成形用樹脂の流入防止が重要視されつつある状況に鑑み、該係止部材の長さ方向の端部からの樹脂の流入を効果的に防止するモールドイン成形用の係止部材および該係止部材を用いた樹脂成形体の製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、長矩形のモールドイン用の係止部材であって、基板の表面に多数の係合素子を有し、該係合素子が立設する区域にフェライト含有層が設けられるとともに、該基板の長さ方向の端部の係合素子面側に係合素子の存在しない平坦部を有し、さらに該平坦部の外側に長さ0〜15mmの突出部を有してなるモールドイン用の係止部材である。
【0011】
更に、本発明は、長矩形の基板の表面に多数の係合素子を有し、該係合素子が立設する区域にフェライト含有層が設けられるとともに、該基板の長さ方向の端部の係合素子面側に係合素子のない平端部およびその外側に長さ0〜15mmの突出部を有するモールドイン用の係止部材を、成形型に設けられかつその底面に磁石が設けられた凹部に該係合素子が嵌入するように装着し、かつ該凹部の長さ方向端部の肩部に係止部材の長さ方向の該平坦部を配置し、凹部底面に設けられた磁石と係止部材に設けられたフェライトの吸引力により係止部材の長さ方向の端部を封止し、次いで成形型内に成形用樹脂を導入し硬化させることからなる係止部材付き樹脂成形体の製造方法である。
【0012】
さらにまた本発明は、長矩形の基板の表面に多数の係合素子を有し、該係合素子が立設する区域にフェライト含有層が設けられるとともに、該基板の長さ方向端部の係合素子面側に、係合素子のない平坦部およびその外側にフェライトを含有する突出部を有するモールドイン用の係止部材を、成形型に設けられた凹部の長さ方向の端部の肩部より内側の底面および外側の底面に磁石が設けられてなる該凹部に係合素子が嵌入するように装着し、かつ該肩部に該平坦部を配置し、該肩部の外側に係止部材の該突出部を突出させ、該肩部の内側底部および外側底部に設けられた磁石と、係合素子が立設する区域に設けられたフェライト含有層および該突出部に設けられたフェライトの吸引力により係止部材の長さ方向の端部を封止し、次いで成形型内に成形用樹脂を導入し硬化させることを特徴とする係止部材付き樹脂成形体の製造方法である。
【0013】
本発明において係止部材を構成する樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂などの熱可塑性樹脂が挙げられ、なかでも成形性の点からポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂が好ましい。本発明の係止部材に柔軟性を与えるためには、上記の樹脂の中で柔軟性に優れたもの、例えばポリプロピレンを選択することが望ましい。
【0014】
本発明に用いられる係止部材は、長い矩形、すなわちテープ状の形状を有し、基板の表面に多数の係合素子が一体成形により配置されている。係合素子はキノコ状、矢じり状またはかぎ状の形状にすることができる。また係止部材の幅および長さに特に制限はないが、通常幅は約5〜50mm、より好ましくは約10〜30mm、長さは約10〜100cm、より好ましくは約15〜70cmである。基板の厚さは通常0.2〜1.0mmが好ましく、より好ましくは0.3〜0.7mmの範囲である。また係合素子の高さは特に制限はないが、通常約1〜10mmの範囲が好ましく、より好ましくは約1.5〜6mmの範囲である。係合素子は基板の幅に応じて1列または複数列設ける。基板上に存在させる係合素子の密度としては、30〜100本/cm2が好ましい。また基板の裏面側には、成型樹脂との剥離強度を高めるために、必要によりアンカーとなる素子、すなわち埋設素子が設けられていても良い。埋設素子は膨頭部を持った連続した列状体が好ましい。
【0015】
本発明の係止部材は、上記の熱可塑性樹脂を所定のスリットを設けたノズルから溶融押出し、基板の表面に連続した列条を有するテープを形成し、表面に成形された連続列条に小間隔で切れ目を入れ、次いでテープを長さ方向に延伸することにより、表面に多数の独立した係合素子を有する係止部材が得られる。
【0016】
本発明の係止部材の幅方向の間隙の封止に対しては公知の構造が使用できる。その具体例は、基板の幅方向の端部に連続して設けられた突条、前記した特開平7−148007号公報に示される基板の裏面に外側に突出するシール用の嵌合要素、または基板の幅方向の端部近傍に凹条を設けて基板の端部、すなわち耳部を基板に対して可撓性としたシール用端部などである。本発明において特に好ましいのは、幅方向の端部を可撓性のシール用端部とし、該可撓性のシール用端部を成形型に設けられた凹部の肩に載置して幅方向の間隙をシールする構造である。該構造は、係止部材にフェライト含有層を設け、成形型の凹部の底部に磁石を埋設し、型の凹部に係止部材を近づけ、磁着力により係止部材が凹部に吸引されることにより、成形型凹部に対する係止部材の装着が容易になると同時に、係止部材の幅方向のシールも行われるので、装着作業の効率を改善することができる。
【0017】
以下、図面により本発明を説明する。
図1は、本発明による係止部材の一例の長さ方向の端部構造を示す部分平面図である。図2は、成形型の凹部に図1の係止部材を設置した状態を示す図1のX−X線における部分断面図である。
係止部材の基板1の表面に多数の係合素子2が立設し、その長さ方向の端部には係合素子の存在しない平坦部3が設けられる。係合素子が立設する区域には、フェライト含有層4(ハッチ部)がニードル塗工法などの公知の方法で付与されている。平坦部3は、図2に示すように、成形型凹部5の長さ方向の端部の肩部6に隙間ないように配置されるため、可及的滑らかな面、すなわち樹脂液が浸入するような隙間が形成されない程度の平滑性を有しているような面に形成されている。
【0018】
平坦部は後述するように、成形型に設けられる凹部の長さ方向の端部の肩部6に配置される部分であり、平坦部は肩部の厚さの2分の1以上、好ましくは3分の2以上、さらに好ましくは肩部の厚さのほぼ全幅に載置されることが望ましい。
平坦部は該肩部の内側に1ないし2mmの余裕を設けることが好ましい。肩部6は通常3〜6mm程度であるので、平坦部3は4〜8mm程度が好ましい。平坦部の長さは厳密に規定する必要はなく、肩部に余裕を持って配置される平坦部分を本発明における平端部とすることができる。
【0019】
平坦部は通常、超音波加熱プレスまたは高周波加熱プレスなどにより係合素子を溶融し、平坦化して形成することができる。フェライト層を有する係合素子域を溶融して形成された平坦部は、表面の一部にフェライト層が露出するかまたはフェライト層が樹脂に被覆された状態で存在する。平坦部に存在するフェライトは磁石に吸引されることから、肩部の封止に有効である。平坦部に新たにフェライト層を平坦に塗布してもよい。
【0020】
図2において凹部の肩部6を磁石で構成し、フェライトを含有する平坦部3を持つ係止部材を該肩部に配置する組み合わせは、肩部と平坦部が直接磁着され両者が強く密着されるので、封止の点から特に好ましい。
【0021】
図3は、本発明による係止部材の他の一例の端部構造を示す部分平面図である。図4は、成形型の凹部に図3の係止部材を設置した状態を示す図3のY−Y線における部分断面図である。
図3および4において、平坦部3の外側、すなわち肩部6の端部より突出する外側部分が突出部7である。該突出部は肩部の端部から1ないし15mmの長さであり、より好ましくは2ないし10mm突出する長さである。15mmより長い突出部は作業性が劣り、肩部の封止を低下する危険がある。
【0022】
突出部7は、平坦面、フェライトを含有する平坦面、係合素子を有する面、係合素子とフェライトを有する面のいずれかにすることができる。突出部が平坦面または係合素子を有する面である場合は、突出部が成形用樹脂に埋設されアンカー効果を高める。突出部7がフェライトを含有する平坦面または係合素子とフェライトを有する面である場合は、アンカー効果に加えてフェライトと凹部外側に設けられた磁石9との吸引力によって、肩部の封止が強化される。
【0023】
図3において、突出部7は係合素子2とフェライト層4を有する。図3の係止部材を図4の凹部、即ち肩部6に対してその内側と外側の底面に磁石8および9を備えた凹部に装着すると、係止部材の中央側のフェライトは凹部内側の磁石8と吸引し、突出部7のフェライトは凹部外側の磁石9と吸引される。かくして肩部6を中心として係止部材の平坦部3の両方向(図4においては左右から下方向)に吸引力が働くために、肩部6における係止部材平坦部との封止を強化することができる。突出部7の係合素子は樹脂に対する埋設素子として利用する他に、係合素子に繊維多孔質体または樹脂多孔質体を係合し、該多孔質体に樹脂を浸透させて埋設素子とすることができる。
【0024】
また、突出部を平坦部と同様に溶融平坦化すると、平坦部と同一の形状で表面にフェライトを含有する突出部が得られる。かかる平坦な突出部を有する係止部材を磁石で構成された肩部に装着すると、肩部の封止が良好でありかつ装着が容易との効果がある。
【0025】
凹部は通常ステンレスなどの金属で形成されるが、その長さ方向端部の肩部6を磁石で形成すると、肩部の磁石が係止部材のフェライトを吸引して、封止の効果を高めることができる。したがって、フェライトを含有する平坦部3を有する係止部材を磁石で形成された凹部の肩部6に装着して使用する態様は、好ましい態様である。なお必要に応じて平坦部に突出部を付加することができる。凹部の幅方向にある長い肩部を磁石で形成することは製造が難しいことと、コストが増加することから現実的でない。
【0026】
図1に示す係止部材は、その幅方向の両端部に耳部10とその耳部を基板に対して可撓性にする凹条11を有し、このような場合には、幅方向両端部からの成形樹脂液の侵入を防止することができ好ましい。凹条11の深さは基板の厚さの80〜20%の厚さが好ましい。凹状は係止部材の係合素子側の面に設けられていても、その裏面側に設けられていても、更に両面に設けられていてもよい。凹条が深くなりすぎると凹条の割れが生じ、シールを破壊する恐れがある。
【0027】
図1に示す係止部材は、係止部材の形状に対応しかつ僅かに小さい長矩形の凹部に、係合素子が該凹部に嵌入されるように装着される。凹部はその周囲に肩部を有しかつ底面に磁石を有しており、係合素子はその耳部と凹部の幅方向の肩部とが密着し、また係止部材の長さ方向の端部の平坦部と凹部の長さ方向端部の肩部とが密着して、係止部材と凹部とのシールを全周にわたって達成する。図1の係止部材は、その凹条が成形型に設けられた凹部の幅方向の肩部の内側に位置するように配置され、フェライトと磁石との吸引力により基板が凹部の底面に吸引される際に、係止部材の凹条が可撓性を示して耳部が凹部の幅方向の肩部と密着する。係止部材の凹条が存在しない場合には、耳部が可撓性でないことから肩部との密着を得ることが困難となる。凹条にかえて、耳部の厚さを薄くして耳部を基板に対して可撓性にすることも可能である。なお、係止部材の幅方向の構造は上記の耳部に限らず、公知の様々な構造とし、該構造に適合した構造の凹部に装着することができる。
【0028】
フェライト含有層は、市販のフェライト粒子を接着剤、例えばゴム系の接着剤などに混合した混合液を係止部材の表面に塗布して設ける。塗布層に係合素子が埋没しないように、混合液がニードルの吐出口から係合素子の列間に供給されるニードル塗工法が好ましい。
【0029】
図5は、本発明による係止部材の端部の他の一例を示す部分平面図である。係止部材の突出部7に多孔質体12が突出部に存在している係合素子により係合されている。多孔質体12は、係合素子2と係合するものであればよく、繊維集合体(綿状の塊)、不織布、パイル編織布、面ファスナーのループ部材、多孔質の樹脂成形体、樹脂発泡体およびそれらの積層体などが使用され、その表面、すなわち成形型表面と接する面にフェライト含有層4を有していることが好ましい。多孔質体は、突出部とほぼ同一の大きさが好ましく、係止部材の幅より少しせまく、係止部材の長さ方向端部から少し、例えば5〜15mm程度、より好ましくは5〜10mm程度突出するように設けられるのが封止および作業性の点で好適である。多孔質体としては、成形用樹脂が少なくとも部分的に浸透するか、ほとんど浸透しないものである。
【0030】
図5の係止部材においては、突出部7の基板表面にフェライト含有層は存在してもしなくてもよい。フェライト含有層4が多孔質体12の表面に存在するために、成形型の凹部の長さ方向外側底面に設置した磁石9と接近して吸引力が高まり、平坦部3と肩部6の密着をさらに強化することができる。多孔質体のフェライト含有層は、フェライトと接着剤混合液を多孔質体の表面に塗布して形成することができ、またフェライト含有フィルムを貼り合わせる方法で形成してもよい。さらに、前記した多孔質の樹脂成形体または繊維成形体はフェライト含有樹脂で形成されたものでもよい。さらに、多孔質の樹脂成形体または繊維成形体自体と係合素子を粘着剤で一体化する場合に、この粘着剤にフェライト粒子を添加したものであっても良い。
【0031】
図6は、成形型の凹部に図5の係止部材を設置した状態を示す図5のZ−Z線における部分断面図である。多孔質体12が係合素子2を覆うように厚さが大きい場合には、該厚さを収容するために、成形型凹部の内側部底面13に比して外側部底面14を低くすることが好ましい。凹部の内側部底面および外側部底面に、それぞれ図4と同様に磁石8および9を設ける。
【0032】
本発明による係止部材は、自動車用シートなどの樹脂成形体の製造に用いられる。上記した係止部材を、成形型に設けられかつその底面に磁石を埋設した凹部に該係合素子が嵌入するように装着し、かつ該凹部の長さ方向端部の肩部に該係止部材の長さ方向の端部にある平坦部を乗せ、更に凹部の該肩部の外側に係止部材の該突出部を突出させ、係止部材に設けられたフェライトと凹部底面に設けられた磁石の吸引力及び該突出部に設けられたフェライトと該突出部の位置に相当する成形型の外側底面に設けられた磁石の吸引力により係止部材の長さ方向の端部を封止し、次いで成形型内に成形用樹脂を導入し硬化させ、硬化後樹脂成形体を型から取り出することにより、係止部材を表面に付設した樹脂成形体を製造することができる。上記の樹脂液の導入と硬化の工程において、上記した係止部材と成形型凹部を使用することにより、成形用樹脂が係止部材の長さ方向の端部から係止部材内部へ流入することを防止することができる。
【0033】
成形用の樹脂としては発泡性のポリウレタン系樹脂が好ましく用いられるが、該樹脂に限定されず、各種の樹脂を使用することができる。
【0034】
【発明の効果】
本発明により、自動車シートや事務用椅子などのクッションやその他の樹脂成形体を成形する際に、この成形体表面に埋め込まれるモールドイン成形用係止部材の長さ方向の端部と成形型凹部との隙間を封止し、成形用樹脂が係止部材の内部に流入して係合素子を埋めることを防ぐことができる。その結果、樹脂成形体表面の係合素子が効果的に機能して、樹脂成形体を覆う被覆体を強固に係止し固定して、高品質のシートやクッションを提供することができる。
【0035】
【実施例】
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例により制限されるものではない。
【0036】
実施例1
ポリプロピレン製の係止部材であり、幅が7mm厚さ0.5mmの基板と厚さおよび幅がそれぞれ0.5mm、3mmのシール用耳部が凹条を介して一体成形されている。基板の表面側に高さ2.5mm、長さ方向幅0.2mmの係合素子が基板長さ方向に3列の列を形成して基板面上に垂直に立設されており、係合素子は60本/cm2の密度で存在している。各係合素子は、先端部が基板の幅方向に広がり、きのこ状の形状を有しており、このきのこ状の形状により被覆材と係合する。
係合素子を有する面に、平均粒径1.8ミクロンのフェライト粒子を90重量%含有する平均厚さ0.3mmのフェライト含有アクリル系樹脂層がニードル塗工方法(ニードル内径1.0mm)により設けられている。
所定長さに切断された係止部材の端末から7mmの部分を超音波溶融法により係合素子を押圧溶融して、係合素子のない平坦部を形成させた。
【0037】
成形型凹部の端末に厚さ5mmの端部肩部を有し、肩部が磁石で形成され底部には磁石が埋設されている成形型凹部を用意し、平坦部を形成した上記係止部材を、その表面の係合素子を上記成形型に嵌入し、且つ係止部材の平坦部を成形型凹部の端部肩部に載置して成形型凹部に装着し、該成形型凹部の肩部および底部に埋設された磁石と係止部材のフェライトの吸引力により係止部材の係合素子面をシールし、ついで成形型内にポリウレタン樹脂を導入して硬化させた。
上記のモールドイン成形方法により得られたクッション表面の係合素子面にはポリウレタンの滲入は全くなかった。
【0038】
実施例2
実施例1で用いたものと同一の係止部材で、係止部材の端末から5mm〜13mmの部分を超音波融着法により係合素子のない平坦部に形成し、平坦部にフェライト樹脂層を刷毛塗工法により形成した。実施例1と同様な成形型で、係止部材を載置した場合に、その長さ方向端末から7mmの位置に厚さ5mmの肩部(磁石なし)を有し、図4に示すような凹部の内側および外側に磁石を備えた凹部に上記の係止部材を装着した。凹部の肩部に平坦部が載置され、さらに肩部の端部から係止部材の平坦部が約5mm突出した。
実施例1と同様に成形型にポリウレタン樹脂を導入して発泡硬化させた。得られたクッション表面の係合素子面にポリウレタンの滲入はなかった。
【0039】
実施例3
実施例1で用いた係止部材と同一の係止部材をその端部から長さ10〜17mmの区域を超音波融着処理し、係合素子を押圧溶融して長さ7mmの平坦部を形成し、その外側に長さ10mmの係合素子とフェライト含有層を有する突出部を形成した。得られた係止部材を実施例2で用いたものと同一の成形型凹部に装着すると、凹部の肩部から10mmの突出部があった。成形型にポリウレタン樹脂を導入して発泡硬化した。得られたクッション表面の係合素子面にポリウレタンの滲入はなく、突出部の係合素子が樹脂に埋設されており、係止部材が樹脂に強固に接合されていた。
【0040】
実施例4
実施例3で用いた係止部材の突出部に、フェライト樹脂層を片面に塗設した幅10mm長さ8mmの多孔質ループ材を係合させ、図5に示すような係止部材を作成した。得られた係止部材を図6に示すような形成型凹部に装着して、実施例1と同様の方法でモールドイン成形を行った。得られたクッション表面の係合素子面にはポリウレタンの滲入は全くなく、突出部の多孔質ループ材と係合素子が樹脂に埋設されており係止部材が樹脂に強固に接合されていた。
【0041】
比較例
実施例1において、平坦部を形成することなく、実施例1と同様の方法でモールドイン成形を実施した。得られたクッション表面の係合素子面には、係合素子立設位置から内側に35mmの位置までポリウレタンが滲入していた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による係止部材の長さ方向の端部の一例の構造を示す部分平面図。
【図2】図1の係止部材を成形型の凹部に設置した状態を示す図1のX−X線における部分断面図。
【図3】本発明による係止部材の端部の他の一例を示す部分平面図。
【図4】図3の係止部材を成形型の凹部に設置した状態を示す図3のY−Y線における部分断面図。
【図5】本発明による係止部材の端部の他の一例を示す部分平面図。
【図6】図5の係止部材を成形型の凹部に設置した状態を示す図5のZ−Z線における部分断面図。
【図7】従来の係止部材を凹部に装着した状態を示す断面図である。
【符号の説明】
1:基板 2:係合素子 3:平坦部 4:フェライト含有層 5:成形型凹部 6:端部肩部 7:突出部 8、9:磁石 10:耳部
11:凹条 12:多孔質体 13:金型凹部底面 14:突出部に対応する金型底面
A:係止部材 B:面ファスナーの基板 C:係合素子 D:埋設素子
E:面ファスナーテープ F:スチール片 G:カバーフィルム
Claims (8)
- 長矩形のモールドイン用の係止部材であって、基板の表面に多数の係合素子を有し、該係合素子が立設する区域にフェライト含有層が設けられているとともに、該基板の長さ方向の端部の係合素子面側に係合素子の存在しない平坦部を有し、さらに該平坦部の外側に長さ0〜15mmの突出部を有することを特徴とするモールドイン用の係止部材。
- 該平坦部の表面がフェライトを含有している請求項1に記載のモールドイン用の係止部材。
- 該突出部の表面がフェライトを含有している請求項1または2に記載のモールドイン用の係止部材。
- 該突出部には係合素子が立設されている請求項1ないし3のいずれかに記載のモールドイン用の係止部材。
- 該基板の幅方向の両端部に連続したシール用の耳部と該耳部を基板に対して可撓性とする凹条を有する請求項1ないし4のいずれかに記載のモールドイン用の係止部材。
- 長矩形の基板の表面に多数の係合素子を有し、該係合素子が立設する区域にフェライト含有層が設けられるとともに、該基板の長さ方向の端部の係合素子面側に係合素子のない平端部およびその外側に長さ0〜15mmの突出部を有するモールドイン用の係止部材を、成形型に設けられかつその底面に磁石が設けられた凹部に該係合素子が嵌入するように装着し、かつ該凹部の長さ方向端部の肩部に係止部材の長さ方向の該平坦部を配置し、凹部底面に設けられた磁石と係止部材に設けられたフェライトの吸引力により係止部材の長さ方向の端部を封止し、次いで成形型内に成形用樹脂を導入し硬化させることを特徴とする係止部材付き樹脂成形体の製造方法。
- 該平坦部の表面にフェライトを含有する係止部材を、凹部の長さ方向の端部に位置し、磁石で構成されている肩部に配置してなる請求項6に記載の係止部材付き樹脂成形体の製造方法。
- 長矩形の基板の表面に多数の係合素子を有し、該係合素子が立設する区域にフェライト含有層が設けられるとともに、該基板の長さ方向端部の係合素子面側に係合素子のない平坦部およびその外側にフェライトを含有する突出部を有するモールドイン用の係止部材を、成形型に設けられた凹部の長さ方向の端部の肩部より内側の底面および外側の底面に磁石が設けられてなる該凹部に係合素子が嵌入するように装着し、かつ該肩部に該平坦部を配置し、該肩部の外側に係止部材の該突出部を突出させ、該肩部の内側底部および外側底部に設けられた磁石と、係合素子が立設する区域に設けられたフェライト含有層および該突出部に設けられたフェライトの吸引力により係止部材の長さ方向の端部を封止し、次いで成形型内に成形用樹脂を導入し硬化させることを特徴とする係止部材付き樹脂成形体の製造方法。
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