JP4102092B2 - Laser welding method - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、めっき鋼板のレーザ溶接方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に自動車の車体、足廻り部材などの構造部材また燃料タンクなどの部品材として、鋼板表面に亜鉛系の合金やスズ系の合金などのめっきを施しためっき鋼板が用いられ、耐食性の向上を図っている。車体や自動車の構造体を組み立てる際には、多く重ね合わせ溶接により2枚ないし3枚以上の鋼板を、めっき鋼板とめっきされていない冷延鋼板を種々組合わせて溶接接合する方法がとられている。溶接方法としては、重ね合わせためっき鋼板にレーザビームを照射して鋼板を溶融・接合するレーザ溶接方法が採用されるようになっている。
【0003】
めっき鋼板を重ね合わせてレーザ溶接を行うに際し、重ね合わせためっき鋼板にレーザビームを照射すると、照射部の鋼板が溶融して溶融池が形成される。例えば亜鉛系の合金がめっきされた鋼板の場合、表面被覆された亜鉛が低沸点金属であるため、高エネルギーのレーザビーム照射によって鋼板重ね合わせ部めっき層の亜鉛が蒸発する。この亜鉛蒸気が溶融池に残留することによってブローホールやピットなどの溶接欠陥となったり、特に鋼板重ね合わせ部が密着された状態で溶接した場合には、溶融金属中に吹き出した亜鉛蒸気の圧力により溶融金属を爆飛させることがあり、いずれも溶接ビード形状、継ぎ手特性などの溶接品質を劣化させる。
【0004】
亜鉛蒸気が溶融池を通過することなく外部に逃げることを可能にするため、亜鉛めっき鋼板の重ね合わせ部付近に予めポンチを打ち込んで、重ねた亜鉛めっき鋼板の間に小間隔を設けたり、あるいは特開平4−288986号公報に開示されているように2枚の亜鉛めっき鋼板の間に可燃性多孔質材からなる薄いシートを介在させた状態でレーザビームを照射させて溶接を行い、レーザビーム照射によって発生する亜鉛蒸気を鋼板間の隙間から逃がす方法が知られている。しかし、このような溶接時に鋼板重ね合わせ部に所定の間隔を保持する方法は、自動車用構造部品などの複雑形状および剛性の高いプレス成型品を重ね合わせ溶接する場合には、溶接時に常に所定の間隔を保持することは非常に困難であり、必然的に重ね合わせ部が密着またはその間隔が非常に狭くなる部位が発生し、その部位にブローホールなどの溶接欠陥や最悪の場合には溶接時に溶融金属の爆飛が発生するという問題が生じる。また、溶接部の両側において重ね合わせた鋼板間に隙間が存在すると、溶接部の機械的強度を十分に保持できない場合がある。
【0005】
亜鉛めっき鋼板を密着してレーザ溶接する方法として、亜鉛めっき鋼板の重ね合わせ部位における溶接しようとする経路と同じ経路に沿って、まず弱いレーザ光を照射し、亜鉛めっきだけを蒸発、離散させる処理を行い、ついで同経路に強いレーザ光を照射して鋼材を溶融、結合させる2段階のレーザ照射を行う方法が知られている。さらに、特開平4−231190号公報には、レーザ発振器から導入したレーザ光を光学的集光手段によって分離し、エネルギー密度の高い集光レーザ光とエネルギー密度の低い集光レーザ光とを同時形成し、エネルギー密度の低い集光レーザ光による亜鉛めっきの蒸発、離散の直後にエネルギー密度の高い前者のレーザ光により鋼板の溶融接合を行う方法が開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
亜鉛めっき鋼板を密着して重ね合わせた上で低エネルギーのレーザ光を照射した場合、レーザビームの照射後に発生した亜鉛蒸気を鋼板間の狭い間隔を通して大気中に逃がすことは困難であり、逃げ切れず残留した亜鉛蒸気が、鋼板を溶融するための高エネルギーのレーザ光照射時に溶融池中に混入し、溶接欠陥および溶融金属の爆飛の原因となることがわかった。
【0007】
さらに、弱いレーザ光と強いレーザ光を同時形成させる方法においては、めっき鋼板間に10μm〜20μm程度の微小な隙間が形成された場合に、両鋼板が熱的に絶縁され、レーザが直接照射されない鋼板での亜鉛めっきの蒸発離散が十分行われず、溶接欠陥を回避することは困難であるという問題を有する。
【0008】
本発明は、めっき鋼板のレーザ溶接方法であって、鋼板を密着して溶接を行うことが可能であり、レーザ溶接時にめっき成分の蒸気発生による溶融金属の爆飛や溶接部欠陥の発生を防止し、溶接ビード形状および品質に優れた溶接方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明の要旨とするところは以下のとおりである。
(1)鋼板に照射する鋼板表面でのレーザビーム1を溶接線39に沿って溶接進行方向9前側の前ビーム3、中央ビーム4、溶接進行方向後側の後ビーム5の3つに分割し、前ビームスポット23と中央ビームスポット24の中心間距離35及び中央ビームスポット24と後ビームスポット25の中心間距離36を、それぞれ分割前の元ビームの焦点位置でのスポット直径の0.5倍から1.75倍の範囲とし、前ビーム3のパワーを前ビーム単独照射時の溶け込み深さが鋼板1枚目の厚さ25%以上であって鋼板全体を貫通しない範囲のパワーとし、中央ビーム4のパワーを前ビームと合わせて鋼板全体を貫通できる程度のパワーとし、後ビーム5のパワーを中央ビーム4のパワーの0.1倍から1.0倍の範囲とすることを特徴とするめっき鋼板のレーザ溶接方法。
(2)前ビーム3の光軸と中央ビーム4の光軸が交差しない場合であって、該交差しない両ビームのビームスポット中心間距離が分割前の元ビームの焦点位置でのスポット直径の0.5倍から1.25倍の範囲である場合に、ビームの焦点位置26を鋼板表面29より鋼板内部にレンズから焦点位置までの距離の0.5%〜2.5%入った位置に配置することを特徴とする上記(1)に記載のめっき鋼板のレーザ溶接方法。
(3)前ビーム3の光軸と中央ビーム4の光軸が交差しない場合であって、該交差しない両ビームのビームスポット中心間距離が分割前の元ビームの焦点位置でのスポット直径の1.25倍から1.75倍の範囲である場合に、ビームの焦点位置26を鋼板表面29より鋼板外側にレンズから焦点位置までの距離の0.5%〜2.5%の位置に配置することを特徴とする上記(1)に記載のめっき鋼板のレーザ溶接方法。
(4)前ビーム3の光軸と中央ビーム4の光軸が交差する場合であって、該交差する両ビームのビームスポット中心間距離が分割前の元ビームの焦点位置でのスポット直径の0.5倍から1.25倍の範囲である場合に、ビームの焦点位置26を鋼板表面29より鋼板外側にレンズから焦点位置までの距離の0.5%〜2.5%の位置に配置することを特徴とする上記(1)に記載のめっき鋼板のレーザ溶接方法。
(5)前ビーム3の光軸と中央ビーム4の光軸が交差する場合であって、該交差する両ビームのビームスポット中心間距離が分割前の元ビームの焦点位置でのスポット直径の1.25倍から1.75倍の範囲である場合に、ビームの焦点位置26を鋼板表面29より鋼板内部にレンズから焦点位置までの距離の0.5%〜2.5%入った位置に配置することを特徴とする上記(1)に記載のめっき鋼板のレーザ溶接方法。
(6)溶接方向前側のビームであって全体パワーのうち70%〜30%に相当する、前ビームの一部若しくは全部のみ、又は前ビームの全部並びに中央ビームの前方側一部若しくは全部のビームを前側のビームといい、それ以外のビームを後側のビームといい、前側のビームに属するビームの焦点位置を前側のビーム焦点位置26aとし、後側のビームに属するビームの焦点位置を後側のビーム焦点位置26bとし、当該前側のビーム焦点位置26aを、後側のビーム焦点位置26bに比較してレンズから焦点位置までの距離の0.5%〜4.5%ずらした位置に配置することを特徴とする上記(1)に記載のめっき鋼板のレーザ溶接方法。
(7)溶接方向前側のビームであって全体パワーのうち70%〜30%に相当する、前ビームの一部若しくは全部のみ、又は前ビームの全部並びに中央ビームの前方側一部若しくは全部のビームを前側のビームといい、それ以外のビームを後側のビームといい、前側のビームに属するビームの焦点位置を前側のビーム焦点位置26aとし、後側のビームに属するビームの焦点位置を後側のビーム焦点位置26bとし、当該前側のビーム焦点位置26aを、後側のビーム焦点位置26bに比較して、上記(2)〜(5)に記載された焦点位置外し方向に更にレンズから焦点位置までの距離の1%〜2%ずらした位置に配置することを特徴とする上記(2)乃至(5)のいずれかに記載のめっき鋼板のレーザ溶接方法。
(8)鋼板のレーザ照射点に向けて、ガスの吹き出し口18の単位面積あたり3.0〜1.2リットル/分・mm2の流量範囲でガスを吹き付けることを特徴とする上記(1)乃至(7)のいずれかに記載のめっき鋼板のレーザ溶接方法。
【0010】
ここにおいて、元ビームスポット21のスポット直径とは、ビームを分割しない状態でのビームウェスト位置(いわゆる焦点位置26)での86%強度直径をいう。ビームプロファイラーを用いて測定することができる。また、ビームスポット間の中心間距離については、同じく焦点位置26における両ビームスポットの中心間距離をいう。前ビームスポット23と中央ビームスポット24との中心間距離35、中央ビームスポット24と後ビームスポット25との中心間距離36を定めることができる(図7)。
【0011】
各ビーム単独照射時のとけ込み深さとは、レーザビームを溶接線に直角に分割し、かつ各ビームスポットの中心間距離が元ビームスポット直径の2倍以上の距離となるように分割し、溶接時と同じ速度でレーザビームを進行させたときの各ビームによる溶け込み深さによって定義することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
鋼板2の溶接部にレーザビームを照射すると、照射部位の鋼板2が溶融して溶融池7が形成され、さらに溶融池7は蒸気圧によって押し下げられビーム照射位置にビームホール6が形成される。レーザビーム1が溶接進行方向9に移動するのに伴い、溶融池7及びビームホール6も移動し、レーザビームの後方において溶融池7が凝固し、溶接ビード8が形成される(図12(a))。
【0013】
亜鉛めっき鋼板を重ね合わせてレーザ溶接を行う場合、溶接進行方向9の前方の鋼板重ね合わせ部32の亜鉛めっき層が蒸発し、ビームホール中に亜鉛蒸気30のプルームとして噴出する。従来においては、図12(b)に示すように、亜鉛蒸気30が主にレーザビーム進行方向前方から鋼板に平行に噴出し、ビームホール6を横断してレーザビーム進行方向後方の溶融池7に侵入していた。溶融池に侵入した亜鉛蒸気の気泡31は、そのまま溶融池7に取り込まれたまま凝固が完了すれば溶接部のブローホール欠陥の原因となり、亜鉛蒸気気泡31が溶融金属を伴って鋼板表面から噴出すれば、溶融金属の爆飛となり、重大な溶接欠陥となっていた。
【0014】
本発明は、図1に示すように、溶接進行方向9前方のビームホール形状に傾斜を設けることにより、鋼板重ね合わせ部32から噴出するめっき金属蒸気30の噴出方向を斜め上方方向に変更することが可能であり、さらに溶接進行方向後方のビームホール形状にも傾斜を設けるか又はビームホール形状を後方に拡大することにより、斜め上方に噴出するめっき金属蒸気30が溶融池7に侵入せずに系外に排出できることを見出した点に最大の特徴がある。
【0015】
本発明においては、図2、図3、図7に示すように、まず鋼板2に照射するレーザビームを溶接線39に沿って溶接進行方向9前側の前ビーム3、中央ビーム4、溶接進行方向後側の後ビーム5の3つに分割する。中央ビーム4はビームホール6を形成するためのビームであって、中央ビーム4のパワーを前ビーム3のパワーと合わせて鋼板全体を貫通する程度のパワーとする。
【0016】
前ビーム3は、中央ビーム4との連携によってレーザビーム進行方向前方のビームホールに傾斜を持たせるためのビームであり、前ビーム3のパワーを前ビーム単独照射時の溶け込み深さが鋼板1枚目(2a)の厚さ25%以上であって鋼板2全体を貫通しない範囲のパワーとする。前ビームスポットと中央ビームスポットの中心間距離35を元ビームのスポット直径の0.5倍から1.5倍の範囲の近い距離に配置するので、前ビーム3のパワーによってビームホール6は上方に行くほど進行方向前方に広くなる傾斜を有する形状を形成し(図1)、その結果進行方向前方から噴出するめっき金属蒸気30の噴出方向は斜め上方の方向に向かうこととなる。
【0017】
後ビーム5は、中央ビーム4との連携によって進行方向後方のビームホール形状にも傾斜を設け、あるいはビームホール形状を後方に拡大するためのビームであり、後ビーム5のパワーを中央ビーム4のパワーの0.1倍から1.0倍の範囲とする。中央ビームスポットと後ビームスポットの中心間距離36を元ビームのスポット直径の0.5倍から1.5倍の範囲の近い距離に配置するので、後ビーム5のパワーが十分に高ければビームホール6が後ビーム5の位置まで拡大することとなり、また後ビーム5のパワーが低い範囲であれば、進行方向後方のビームホール形状を上方に行くほど広がる傾斜を設けることができる。これにより、鋼板重ね合わせ部32から噴出して斜め上方に向かうめっき金属蒸気30は、進行方向後方の溶融池7に侵入することなく、鋼板表面から系外に排出される。
【0018】
前ビーム3のパワーを前ビーム単独照射時の溶け込み深さが鋼板1枚目の厚さ25%以上であって鋼板全体を貫通しない範囲のパワーとするのは、この範囲であれば中央ビーム4と共同してビームホール形状を上方に行くほど進行方向前方に広くなる傾斜を有する形状とすることができ、その結果進行方向前方から噴出するめっき金属蒸気30の噴出方向は斜め上方の方向に向かわせることができるからである。前ビーム単独照射時の溶け込み深さが鋼板1枚目の厚さ25%未満であると、鋼板重ね合わせ部32を含めた範囲のビームホール形状を傾斜形状にすることができず、また前ビーム単独照射時の溶け込み深さが鋼板全体を貫通する程度であると、ビームホール形状がビーム進行方向前方に拡大するのみで傾斜形状とすることができない。前ビーム3のパワーを最も深い位置にあるめっき層まで貫通するパワーの80〜120%とするとより好ましい。
【0019】
前ビームスポットと中央ビームスポットの中心間距離35を元ビームのスポット直径の0.5倍から1.75倍の範囲とするのは、この範囲であれば中央ビーム4と共同してビームホール形状を上方に行くほど進行方向前方に広くなる傾斜を有する形状とすることができ、その結果進行方向前方から噴出するめっき金属蒸気プルームの噴出方向は斜め上方の方向に向かわせることができるからである。両ビームスポットの中心間距離35が元ビームのスポット直径の0.5倍未満であると、ビームを分割した効果を十分に発揮することができない。また、両ビームスポットの中心間距離35が元ビームのスポット直径の1.75倍を超えると、前ビーム3によるビームホールと中央ビーム4によるビームホールが分離してしまい、両ビームが共同して良好な形状のビームホールを形成することができない。両ビームスポットの中心間距離35は、元ビームスポット直径の0.75〜1.5倍であるとより好ましい。
【0020】
中央ビーム4のパワーを、前ビーム3のパワー以上であって、前ビーム3が元ビームのスポット直径の0.5倍から1.75倍の位置に配置された場合に、前ビーム3のパワーと合わせて鋼板全体を十分貫通できる程度のパワーとする。中央ビーム4のパワーが後ビーム5のパワーも借りなければ鋼板全体を貫通できない程度のパワーであると、ビームホールが不安定となり、めっき金属蒸気の排出がスムーズに行われない。また、中央ビーム4は原理的にはいくら強くても良いが、強すぎてもエネルギーの無駄となり、不経済である。望ましくは、中央ビーム単独で鋼板全体をちょうど貫通できる程度のパワー(0.8倍から1.5倍の範囲)とすると良い。
【0021】
後ビーム5のパワーを中央ビーム4のパワーの0.1倍から1.0倍の範囲とする。中央ビーム4のパワーの0.1倍以上とすれば、進行方向後方のビームホール形状を上方に行くほど広がる傾斜を設けることができ、めっき金属蒸気30は進行方向後方の溶融池6に侵入することなく、鋼板表面から系外に排出される。また、後ビーム5のパワーが十分に高ければビームホール6が後ビーム5の位置まで拡大することとなり、後ビーム5のパワーを中央ビーム4のパワーの1.0倍を超えたパワーとすると、ビームホール形状をビーム進行方向へ傾斜した形状とすることができず、めっき金属蒸気の排除が良好に行えない。後ビーム5のパワーを中央ビームパワーの0.2倍〜0.5倍とするとより好ましい。
【0022】
後ビームスポットと中央ビームスポットの中心間距離36を元ビームのスポット直径の0.5倍から1.5倍の範囲とするのは、この範囲であれば中央ビーム5と共同して進行方向後方のビームホール形状を制御して噴出蒸気プルームを系外に排出することが可能になるからである。両ビームスポットの中心間距離36が元ビームのスポット直径の0.5倍未満であると、ビームを分割した効果を十分に発揮することができない。また、両ビームスポットの中心間距離が元ビームのスポット直径の1.5倍を超えると、後ビーム5によるビームホールと中央ビーム4によるビームホールが分離してしまい、両ビームが共同して良好な形状のビームホールを形成することができない。両ビームスポットの中心間距離36は、元ビームスポット直径の0.75倍〜1.5倍であるとより好ましい。
【0023】
レーザビームを3つのビームに分割する方法としては、図2、図3に示すように、2つのプリズム13を光学系に配置することによって行うことができる。図2に示すように、前ビーム3と中央ビーム4、中央ビーム4と後ビーム5が交差しないように分割した場合、進行方向前方に配置したプリズム13aを通過したビームが前ビーム3を形成し、進行方向後方に配置したプリズム13bを通過したビームが後ビーム5を形成する。逆に、図3に示すように、前ビーム3と中央ビーム4、中央ビーム4と後ビーム5が交差するように分割した場合、進行方向前方に配置したプリズム13cを通過したビームが後ビーム5を形成し、進行方向後方に配置したプリズム13dを通過したビームが前ビーム3を形成する。プリズムのみを用いてビームを分割した場合、分割後の各ビームの焦点位置26は分割前と基本的には変わらない。分割した各ビームスポット(23、24、25)の焦点位置でのスポット直径は、元ビームスポット21のスポット直径とほぼ等しい直径となる(図7)が、鋼板の加工能力で比較すると、少なく配分された前又は後のビームは、中央ビームより小さなビームスポットとして働き、めっき金属蒸気の噴出を助ける。
【0024】
ビーム分割を行わない通常のレーザ溶接においては、ビームの焦点位置26と鋼板表面29との位置関係を焦点距離の1%の範囲で外すことが行われる。本発明のビームを3つに分割するレーザ溶接においても、焦点位置を上記通常のレーザ溶接と同様の焦点位置として溶接を行うことができる。
【0025】
本発明においてはさらに、焦点位置26を鋼板表面位置29から外すことにより、鋼板にあたるビームに強度分布が形成され、これによってビームホール6は上方の開口部が広く底のなだらかな形状に形成することができ、めっき金属蒸気30が溶融池7に当たらずに安定して系外に排出されるのを助ける。ただし、焦点位置26を鋼板表面位置29からいずれの方向にどれだけ外すかについては、ビームの分割の仕方によって下記のようにより好適な範囲を定めることができる。なお、ビームの焦点位置を鋼板表面位置から外す本発明の場合においても、各ビームのパワーの決定に際しては、上記本発明(1)の場合と同様の方法を用いてビームの焦点位置26を鋼板表面位置29に合わせて決定する。以下の説明において、鋼板表面位置29と焦点位置26が異なる場合において、鋼板表面位置29に現れるビームスポットの符号には末尾に「o」を付することとし、焦点位置26におけるビームスポットと区別する。
【0026】
図8(a)においては、前ビーム3の光軸と中央ビーム4の光軸、中央ビーム4の光軸と後ビーム5の光軸が交差しない場合であって、交差しない両ビームのビームスポット中心間距離(35、36)が元ビームスポット21のスポット直径の0.5倍から1.25倍の範囲である。この場合に、鋼板表面位置29を焦点位置よりレンズに近い位置27に配置し、それによってビームの焦点位置26を鋼板表面29より鋼板内部に焦点距離の0.5%〜2.5%入った位置に配置するとより好ましい結果を得ることができる。ビームが交差せず、焦点位置におけるビームスポット中心間距離(35、36)がスポット直径の0.5倍から1.25倍の範囲である場合、レンズからの距離がビーム焦点位置よりも遠い位置28においては、図8(d)に示すように両ビームの距離が近接しすぎて本発明の良好なビームホール形状を形成しづらくなる。それに対し、レンズからの距離がビーム焦点位置よりも近い位置27においては、図8(b)に示すように両ビームの距離が適度に離れ、本発明の良好なビームホール形状を形成しやすくなる。更に、焦点を外すことで、鋼板表面でのビームには適度な強度分布が形成され、本発明の良好なビームホールの形成を助ける。ビームの焦点位置26を鋼板表面29より鋼板内部に焦点距離の0.5%〜2.5%入った位置に配置する理由は、この範囲であれば良好なビームホール形状を形成することができるからである。0.5%未満では焦点位置をずらした効果を発揮することができず、2.5%を超えるとビームの貫通能力を失われてしまうと共に、各ビームスポット間の距離が大きくなり過ぎ、ビームホールが分割されて、本発明の良好なビームスポットが形成しづらくなるからである。1.0%〜2.0%とするとより好ましい。
【0027】
図8(e)においては、前ビーム3の光軸と中央ビーム4の光軸、中央ビーム4の光軸と後ビーム5の光軸が交差しない場合であって、交差しない両ビームのビームスポット中心間距離(35、36)が元ビームスポット21のスポット直径の1.25倍から1.75倍の範囲である。この場合に、鋼板表面位置29を焦点位置よりレンズから遠い位置28に配置し、それによってビームの焦点位置26を鋼板表面29より鋼板外側に焦点距離の0.5%〜2.5%の位置に配置するとより好ましい結果を得ることができる。ビームが交差せず、焦点位置におけるビームスポット中心間距離(35、36)がスポット直径の1.25倍から1.75場合の範囲である場合、レンズからの距離がビーム焦点位置よりも近い位置27においては、図8(f)に示すように両ビームの距離が離れすぎて本発明の良好なビームホール形状を形成しづらくなる。それに対し、レンズからの距離がビーム焦点位置よりも遠い位置28においては、両ビームの距離が適度に離れ、本発明の良好なビームホール形状を形成しやすくなる。ビームの焦点位置26を鋼板表面29より鋼板外側に焦点距離の0.5%〜2.5%の位置に配置する理由は、0.5%未満では焦点位置をずらした効果を発揮することができず、2.5%を超えるとビームの貫通能力が失われてしまうとともに、各ビームスポット間の距離が長くなり過ぎ、本発明の良好なビームスポットが形成されないからである。1.0%〜2.0%とするとより好ましい。
【0028】
なお、前ビーム3の光軸と中央ビーム4の光軸が交差しない上記本発明は、中央ビーム4の光軸と後ビーム5の光軸が交差する場合にも適用することができる。この場合、中央ビーム4と中央ビームと交差しない前ビーム3の間のスポット中心間距離が0.5倍から1.25倍の範囲にある場合には、中央ビームと中央ビームと交差する後ビーム間のスポット中心間距離を1.25倍から1.75倍の範囲に、中央ビームと中央ビームと交差しない前ビーム間のスポット中心間距離が1.25倍から1.75倍の範囲にある場合には、中央ビームと中央ビームと交差する後ビーム間のスポット中心間距離を0.5倍から1.25倍の範囲とすることで最も好ましい結果を得ることができる。
【0029】
図9(a)においては、前ビーム3の光軸と中央ビーム4の光軸、中央ビーム4の光軸と後ビーム5の光軸が交差する場合であって、交差する両ビームのビームスポット中心間距離が元ビームのスポット直径の0.5倍から1.25倍の範囲である。この場合に、鋼板表面位置29を焦点位置よりレンズから遠い位置28に配置し、それによってビームの焦点位置26を鋼板表面29より鋼板外側に焦点距離の0.5%〜2.5%の位置に配置するとより好ましい結果を得ることができる。ビームが交差し、焦点位置26におけるビームスポット中心間距離(35、36)が元ビームスポット21のスポット直径の0.5倍から1.25倍の範囲である場合、レンズからの距離がビーム焦点位置よりも近い位置27においては、図9(b)に示すように両ビームの距離が近接しすぎて本発明の良好なビームホール形状を形成しづらくなる。それに対し、レンズからの距離がビーム焦点位置よりも遠い位置28においては、図9(d)に示すように両ビームの距離が適度に離れ、本発明の良好なビームホール形状を形成しやすくなる。ビームの焦点位置26を鋼板表面29より鋼板外側に焦点距離の0.5%〜2.5%の位置に配置する理由は前記発明と同様である。1.0%〜2.0%とするとより好ましい。
【0030】
図9(e)においては、前ビーム3の光軸と中央ビーム4の光軸、中央ビーム4の光軸と後ビーム5の光軸が交差する場合であって、交差する両ビームのビームスポット中心間距離(35、36)が元ビームスポット21のスポット直径の1.25倍から1.75倍の範囲である。この場合に、鋼板表面位置29を焦点位置よりレンズに近い位置27に配置し、それによってビームの焦点位置26を鋼板表面29より鋼板内部に焦点距離の0.5%〜2.5%入った位置に配置するとより好ましい結果を得ることができる。ビームが交差し、焦点位置におけるビームスポット中心間距離(35、36)が元ビームスポット21のスポット直径の1.25倍から1.75倍の範囲である場合、レンズからの距離がビーム焦点位置よりも遠い位置28においては、図9(h)に示すように両ビームの距離が離れすぎて本発明の良好なビームホール形状を形成しづらくなる。それに対し、レンズからの距離がビーム焦点位置よりも近い位置27においては、図9(f)に示すように両ビームの距離が適度に離れ、本発明の良好なビームホール形状を形成しやすくなる。ビームの焦点位置26を鋼板表面29より鋼板内部に焦点距離の0.5%〜2.5%入った位置に配置する理由は前記発明と同様である。1.0%〜2.0%とするとより好ましい。
【0031】
なお、前ビーム3の光軸と中央ビーム4の光軸が交差する上記本発明は、中央ビーム4の光軸と後ビーム5の光軸が交差しない場合にも適用することができるが、中央ビーム4と中央ビームと交差する前ビーム3の間のスポット中心間距離が0.5倍から1.25倍の範囲にある場合には、中央ビームと中央ビームと交差しない後ビーム間のスポット中心間距離を1.25倍から1.75倍の範囲に、中央ビームと中央ビームと交差する前ビーム間のスポット中心間距離が1.25倍から1.75倍の範囲にある場合には、中央ビームと中央ビームと交差しない後ビーム間のスポット中心間距離を0.5倍から1.25倍の範囲とすることで最も好ましい結果を得ることができる。
【0032】
以上に説明した本発明においては、前ビーム3、中央ビーム4、後ビーム5の焦点位置26がほぼ同一位置である。このような場合、本発明の良好なビームホール形状を形成するために焦点位置26を鋼板表面位置29からずらすに際しては、表面より外側にずらす場合も内部にずらす場合も、焦点距離の2.5%を超えてずらした場合には、ビーム全体の貫通能力が失われてしまう場合があるので好ましくない。一方、上記焦点位置をずらす本発明においては、図4、図10に示すように、溶接方向前側のビームであって全体パワーのうち70%〜30%に相当する部分のビームについては、当該前側部分のビーム焦点位置を、後側のビーム焦点位置に比較して、焦点距離の1%〜2%ずらした位置に配置することにより、より好ましい結果を得ることができる。
【0033】
上記本発明において、溶接方向前側のビームであって全体パワーのうち70%〜30%に相当する部分とは、前ビームの一部または全部のみ、あるいは前ビームの全部及び中央ビームの前方側一部又は全部が相当する。図4、図10に示す例においては、前ビーム3及び中央ビームの一部4aが前側のビームである。前側のビームと後側のビームの焦点位置をずらす方法としては、ビーム系の前側部分のみまたは後側部分のみに部分焦点外しレンズ14を挿入することによって行うことができる。図4にあるように、溶接方向前側のみに部分凹レンズ14を挿入した場合には、該挿入した前側のビーム焦点位置26aを挿入していない後側ビーム焦点位置26bに比較してレンズから離れる方向にずらすことができる。前側のみに部分凸レンズを挿入する方法、後側のみに部分凹レンズまたは部分凸レンズを挿入する方法を採用することによって、それぞれ焦点位置を所定の方向に外すことができる。
【0034】
ビーム全体としては焦点外しを行っていない場合においては、後側のビーム焦点位置26bは焦点外しを行わずに鋼板表面位置とする。そして、前側のビーム焦点位置26aを、鋼板表面から焦点距離の0.5%〜4.5%ずらした位置に配置する。焦点位置26aのずらし量が0.5%未満では焦点外しを行った効果を発揮することができず、4.5%を超えるとビームの貫通能力が失われてしまうからである。
【0035】
この場合、前側のビーム焦点位置をずらす方向は以下のようにすると好ましい。即ち、前ビームの光軸と中央ビームの光軸が交差しない場合であって、該交差しない両ビームのビームスポット中心間距離が元ビームのスポット直径の1.25倍以下である場合は前側のビームの焦点位置を鋼板表面より鋼板内部に入った位置に配置し、1.25倍以上である場合は前側のビームの焦点位置を鋼板表面より鋼板外側の位置に配置する。前ビームの光軸と中央ビームの光軸が交差する場合であって、該交差する両ビームのビームスポット中心間距離が元ビームのスポット直径の1.25倍以下である場合は、前側のビームの焦点位置を鋼板表面より鋼板外側の位置に配置し、1.25倍以上である場合は前側のビームの焦点位置を鋼板表面より鋼板内部に入った位置に配置する。理由は、上記(2)〜(5)の発明と同様である。
【0036】
本発明の上記(2)〜(5)のようにビーム全体として焦点外しを行っている場合においては、後側のビーム焦点位置26bが上記(2)〜(5)発明における焦点外しを行った焦点位置に配置される。そして、前側部分のビーム焦点位置26aを、後側のビーム焦点位置26bに比較して、前ビームと後ビームの各光軸が交差する、しない、また前ビームと後ビームのスポット間距離の大きさに応じて上記各発明に指示された方向に、後側のビームと相対的にさらに焦点距離の1%〜2%ずらした位置に配置する。
【0037】
この場合、焦点位置をずらす距離としては、後側のビームについては、前記焦点位置を鋼板表面からずらす発明と同様、鋼板表面から外側に最大2.5%、または鋼板表面から内部に最大2.5%とする。前側のビーム焦点位置については、後側の焦点距離より相対的に1%〜2%ずらした位置に配置する。焦点位置ずらし増加量38が1%未満ではずらし量を増加した効果を発揮することができず、2%を超えるとビームの貫通能力が失われてしまうからである。
【0038】
溶接部の酸化防止や集光レンズへの溶接部からの飛散物付着防止のため、シールドガス40として不活性ガス等を使用することができる。シールドガスの吹き付け方法としては、図5に示すように、レーザビームのビーム範囲外側を取り囲むように配置したセンターシールドノズル16を準備し、該センターシールドノズル上方からシールドガス40を供給し、溶接部に面したノズル先端の吹き出し口18からシールドガスを溶接部に吹き付ける方法や、図6に示すように、レーザビームの斜め前方あるいは斜め後方あるいは斜め側方に設けたサイドシールドノズル17からシールドガス18を供給する方法、その他通常用いられる種々のシールドガスノズル形状、ガス供給方法を採用することができる。図6に示す例においては、保護ガラス15と溶接部との間にエア41を吹き付けてエアナイフ42を形成し、これによって保護ガラス15への汚れ付着を防止している。
【0039】
本発明において、鋼板のレーザ照射点に向けて、ガスの吹き出し口18の単位面積あたり3.0〜1.2リットル/分・mm2の流量範囲でガスを吹き付けることとすると好ましい。溶接部にガスを吹き付けることにより、溶融池表面の溶鋼の揺動を抑え、溶接ビードの形成を助けているものと考えられる。流量範囲をガスの吹き出し口の単位面積あたり3.0〜1.2リットル/分・mm2とする理由は、ガスの流量が3.0リットル/分・mm2より多いと、ガスの動圧で溶鋼を凹ませてしまい、良好な溶接ビードの形成を妨げてしまうからであり、1.2リットル/分・mm2未満の流量では、ガスによる溶接欠陥制御の効果が得られないからである。
【0040】
本発明は、鋼板の重ね溶接、重ね隅肉溶接において最大の効果を発揮することができる。そのほか、めっき鋼板に縦壁となる鋼板を隅肉溶接する場合にも用いることができる。この場合も、重ね溶接や重ね隅肉溶接の場合と同様、めっき金属蒸気がめっき鋼板と縦壁を構成する鋼板エッジの間で形成されて、溶接欠陥を発生させる。こうした隅肉溶接の場合に本発明を適用しようとする場合には、前ビームのパワーを縦壁の板厚の25%以上貫通し、板厚全体を貫通しない程度のパワーとし、中央ビームのパワーは、前ビームのパワー以上であって、前ビームが元ビームのスポット直径の0.5倍から1.75倍に配置された場合に、前ビームのパワーと合わせて鋼板全体を十分貫通できるパワーとすればよい。
【0041】
重ね溶接、重ね隅肉溶接において、重ね合わせる鋼板枚数は2枚以上であり、重ね枚数2枚において最も効果を発揮する。重ね枚数が3枚あるいはそれ以上の場合、前ビームの出力の下限を高めに設定することで良好な溶接が可能となる。即ち、3枚重ねの場合には、前ビームの出力の下限を1枚目の鋼板が貫通する程度とすればよい。
【0042】
本発明を適用するめっき鋼板のめっき種類においては、亜鉛系合金めっきのほかすず系合金めっきにおいて使用することができる。すずの沸点は、鉄の沸点に対し、それほど低いわけではないが、それでも亜鉛系合金と同様、溶接欠陥の原因となるが、本発明を適用することによって良好な溶接品質を得ることができる。
【0043】
鋼板の厚さや強度、めっきの有無が種々にまたがる場合には、鋼板の重ね方に留意することも重要である。即ち、めっき鋼板は、重ね合わせたときのめっき層が、よりレーザの照射側に近くなるように配置する。その他、一般的な重ね方としてはレーザを照射する側にはより薄い、低強度材を配置する。めっき層がよりレーザの照射側に近くなるように配置することで、めっき金属蒸気をビームホールより円滑に排除することが可能である。また、レーザ溶接のために鋼板を押しつけて、鋼板間にあまり大きな隙間が形成されないようにする必要があるが、そのためには、レーザを照射する側にはより薄い、低強度材を配置すると、レーザを照射するのとは反対側の厚手、高強度材が鋼板を押しつける反力を担ってくれるからである。
【0044】
レーザの種類としては、溶接加工用に利用できるレーザ光源であれば種類を問わないが、望ましくは、波長が1.06μmのNd−YAGレーザやより波長の短い半導体レーザを用いることが好ましい。これは光の吸収率が高い短波長レーザの方が、好ましいビームホール形状を作るパワー分配の余裕度が高いためである。
【0045】
レーザの出力としては、鋼板全体の厚み1mmあたり加工点で1.5kW以上の出力を確保することが好ましい。これは、低出力レーザで溶接速度を下げることで貫通能力を確保している場合、熱影響部が広がりやすい結果、めっき層の損傷範囲が広くなり、鋼板間から排除しなければならないめっき金属の量が増えてしまうからである。同様の理由で、溶接速度という観点からは、1m/min以上を確保することが望ましい。
【0046】
元ビームのスポット直径は、小さいほどより低出力でより高速の溶接が可能であるが、溶接ビードが細くなる結果、溶接部の継手強度を確保することができなくなる。従って、元ビームのスポット直径としては0.3mm以上とすることが望ましい。
【0047】
ビームを分割する光学素子としては、透過光学部品であるプリズムの他、反射光学部品(鏡)を用いても良ければ、炭酸ガスレーザを用いて本発明を適用する場合に経済的である。
【0048】
【実施例】
板厚0.8mmの亜鉛めっき鋼板を2枚ないし3枚重ね合わせて重ね溶接を行うに際し、本発明を適用した。レーザ溶接のレーザ発振器としてとしてYAGレーザを用い、コア径0.6mmの光ファイバによってビームを伝送し、光ファイバ10の先端から放出したレーザビーム1を焦点距離150mmのコリメータレンズ11によって平行光とし、次いで焦点距離150mmの集光レンズ12によって集光し、鋼板2の重ね溶接を行う(図5、図6)。加工点でのレーザ合計出力は4kWである。焦点位置26での元ビームスポット21のスポット径は0.6mm(一部0.5mm)であり、溶接速度は2.5m/min(一部1.5〜4m/min)である。シールドガス供給方法としては、センターシールドノズル16又はサイドシールドノズル17を用い、シールドガス種は窒素(一部アルゴン、ヘリウム)を用いた。
【0049】
本発明のレーザビーム3分割方法としては、プリズム13によるビーム分割を行い、後側ビームに比較して前側ビームの焦点位置をずらす方法としては、前側のみに部分焦点外しレンズ14を用いることによって行った(図2〜図4)。プリズム13のカバー位置設定に際しては、プリズム差し込み量調節ネジ20を調節することによってプリズム位置を修正する。
【0050】
【表1】
【0051】
【表2】
【0052】
製造条件及び製造結果を表1、表2に示す。シールドガスにおいて、センターシールドノズル16使用を「センター」と、サイドシールドノズル17使用を「サイド」と記載している。「分割方法」欄において、前ビーム3の光軸と中央ビーム4の光軸、中央ビーム4の光軸と後ビーム5の光軸をともに交差しない場合を「交差無し」、ともに交差する場合を「交差有り」と表示している。前ビーム、後ビームの中央ビームとの間隔は、元ビームスポット直径との比によって表示している。前ビーム単独での貫通能力は、1枚の鋼板(板厚0.8mm)の厚さに対する溶け込み深さ比で記載している。中央ビーム焦点位置、前側ビーム焦点外しにおける焦点位置については、焦点距離に対する百分率で表示し、プラスは焦点位置が鋼板表面より外側に位置し、マイナスは焦点位置が鋼板表面より内部に位置している場合である。部分焦点外しレンズ14によって焦点位置をずらした場合の前側ビーム量は、「焦点外しビーム量」として全体パワーに対する百分率で表示している。
【0053】
溶接品質は、継手効率と外観品質によって評価した。継手効率は、剪断試験にて、母材強度に対する継手の破断強度を百分率で示す。継手効率100%とは、母材部で破断したか、あるいは継手で破断したが母材破断と同等の継手強度を有していた場合を示す。外観品質については、めっきされていない冷延鋼板と同等の溶接ビード外観を有しているものを「優」、溶接ビード中央部に若干のピットがある程度のものを「良」、溶接金属が飛散し、溶接ビードが鋼板表面より陥没しているものを「劣」とした。
【0054】
表1、2において、No.1〜14が本発明例、No.15〜23は比較例である。比較例のうち、No.21〜23はビーム分割を行っていない例、No.15〜20はビーム分割を行っているがその条件が本発明範囲を外れる例である。
【0055】
本発明例No.1〜6は、いずれも交差なしでビーム分割を行った例であり、No.1、2は焦点位置をいずれも鋼板表面とし、No.3、4は焦点位置を鋼板表面から内部にずらし、No.5、6は鋼板表面から外側にずらした例である。本発明例No.7は交差有りで焦点位置を鋼板外側にずらし、No.8は交差有りで焦点位置を鋼板内部にずらした例である。No.9、10、12〜14は部分焦点外しレンズを用いた例である。No.9、12、13においては前側ビーム位置に部分凹レンズを挿入することにより、No.10、14においては前側ビーム位置に部分凸レンズを挿入することにより、それぞれ後側に対して前側ビーム焦点位置をずらしている。No.11〜14はさらにシールドガス量を増量した例であり、No.14はさらに鋼板の重ね枚数を3枚として溶接を行った例である。
【0056】
本発明例はいずれも良好な継手効率及び外観品質を有しており、特にNo.12〜14は良好な外観品質を得ることができた。
【0057】
比較例No.21〜23は、ビーム分割を行わなかった例であり、継手効率、外観品質ともに不良であった。
【0058】
比較例No.15〜20はビーム分割を行ったものの、No.15は前ビーム3のパワーが強すぎ、No.16は前ビーム3のパワーが弱すぎ、No.17は前ビームと中央ビームの間隔35が開きすぎるとともに前ビーム3のパワーが強すぎ、No.18は後ビーム5のパワーが強すぎ、No.19は後ビーム5のパワーが弱すぎ、No.20は後ビームと中央ビームの間隔36が広すぎ、いずれも継手効率と外観品質の一方または両方が不良であった。
【0059】
【発明の効果】
本発明は、めっき鋼板のレーザ溶接方法であって、鋼板に照射するレーザビームを溶接線に沿って溶接進行方向前側の前ビーム、中央ビーム、溶接進行方向後側の後ビームの3つに分割し、それぞれ適度なビームパワーとビーム間隔を設定することにより、鋼板重ね合わせ部から噴出するめっき金属蒸気の噴出方向を斜め上方方向に変更することが可能であり、斜め上方に噴出するめっき金属蒸気プルームが溶融池に侵入せずに系外に排出できる。これにより、鋼板を密着して溶接を行うことが可能であり、レーザ溶接時にめっき成分の蒸気発生による溶融金属の爆飛や溶接部欠陥の発生を防止し、溶接ビード形状および品質に優れた溶接を行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の溶接部の状況を示す斜視断面図である。
【図2】本発明のビームを3分割したレーザ溶接について説明する概略図である。
【図3】本発明のビームを3分割したレーザ溶接について説明する概略図である。
【図4】本発明のビームを3分割したレーザ溶接について説明する概略図である。
【図5】本発明のレーザ溶接装置の概略図である。
【図6】本発明のレーザ溶接装置の概略図である。
【図7】レーザ焦点位置の状況を示す図であり、(a)はビーム分割を行わない元ビームを示す図、(b)は(a)における元ビームスポット、(c)はビームを3つに分割した状況を示す図、(d)は(c)におけるビームスポットを示す図である。
【図8】3分割したビームが交差しない場合におけるレーザ焦点位置付近の状況を示す図であり、(a)はビームスポット間距離が短い場合を示し、(b)(c)(d)はそれぞれ(a)における焦点位置よりレンズに近い位置、焦点位置、焦点位置よりレンズから遠い位置におけるビームスポット状況を示し、(e)はビームスポット間距離が長い場合を示し、(f)(g)(h)はそれぞれ(e)における焦点位置よりレンズに近い位置、焦点位置、焦点位置よりレンズから遠い位置におけるビームスポット状況を示す。
【図9】3分割したビームが交差する場合におけるレーザ焦点位置付近の状況を示す図であり、(a)はビームスポット間距離が短い場合を示し、(b)(c)(d)はそれぞれ(a)における焦点位置よりレンズに近い位置、焦点位置、焦点位置よりレンズから遠い位置におけるビームスポット状況を示し、(e)はビームスポット間距離が長い場合を示し、(f)(g)(h)はそれぞれ(e)における焦点位置よりレンズに近い位置、焦点位置、焦点位置よりレンズから遠い位置におけるビームスポット状況を示す。
【図10】部分焦点外しレンズを用いた場合について、(a)はレーザ焦点位置付近の状況を示す図であり、(b)は鋼板表面位置におけるビームスポット状況を示す図である。
【図11】従来のビームを分割しないレーザ溶接について説明する概略図である。
【図12】従来の溶接部の状況を示す斜視断面図であり、(a)は定常溶接時、(b)はめっき金属蒸気噴出時の状況を示す図である。
【符号の説明】
1 レーザビーム
2 鋼板
3 前ビーム
4 中央ビーム
5 後ビーム
6 ビームホール
7 溶融池
8 溶接ビード
9 溶接進行方向
10 光ファイバ
11 コリメータレンズ
12 集光レンズ
13 ウェッジプリズム
14 部分焦点外しレンズ
15 保護ガラス
16 センターシールドノズル
17 サイドシールドノズル
18 吹き出し口
20 プリズム差し込み量調節ネジ
21 元ビームスポット
23 前ビームスポット
24 中央ビームスポット
25 後ビームスポット
26 焦点位置
27 焦点位置よりレンズに近い位置
28 焦点位置よりレンズから遠い位置
29 鋼板表面位置
30 めっき金属蒸気
31 めっき金属気泡
32 鋼板重ね合わせ部
35 前ビームスポットと中央ビームスポットの中心間距離
36 中央ビームスポットと後ビームスポットの中心間距離
38 焦点位置ずらし増加量
39 溶接線
40 シールドガス
41 エア
42 エアナイフ[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a laser welding method for a plated steel sheet.
[0002]
[Prior art]
In general, plated steel sheets with zinc-based alloys or tin-based alloys plated on the surface of steel sheets are used as structural members such as automobile bodies, suspension members, and fuel tanks to improve corrosion resistance. ing. When assembling car bodies and automobile structures, a method is often used in which two to three or more steel sheets are welded together by various combinations of plated steel sheets and non-plated cold-rolled steel sheets by lap welding. Yes. As a welding method, a laser welding method is adopted in which a laminated steel plate is irradiated with a laser beam to melt and join the steel plate.
[0003]
When performing laser welding by superimposing the plated steel plates, when the superimposed plated steel plates are irradiated with a laser beam, the steel plate in the irradiated portion is melted to form a molten pool. For example, in the case of a steel plate plated with a zinc-based alloy, the surface-coated zinc is a low-boiling point metal, so that the zinc in the steel plate overlapping portion plating layer evaporates by high-energy laser beam irradiation. When this zinc vapor remains in the molten pool, it becomes a welding defect such as a blowhole or pit, and particularly when welding is performed with the steel plate overlapping part in close contact, the pressure of the zinc vapor blown into the molten metal In some cases, the molten metal may be blown off, which deteriorates the welding quality such as weld bead shape and joint characteristics.
[0004]
In order to allow zinc vapor to escape to the outside without passing through the molten pool, a punch is previously driven in the vicinity of the overlapping portion of the galvanized steel sheets, and a small interval is provided between the galvanized steel sheets, or As disclosed in JP-A-4-288986, welding is performed by irradiating a laser beam with a thin sheet made of a combustible porous material interposed between two galvanized steel sheets. A method for releasing zinc vapor generated by irradiation from a gap between steel plates is known. However, such a method of maintaining a predetermined interval in the steel plate overlapping portion during welding is always performed at a predetermined time during welding when a complicated shape such as an automotive structural part and a press-molded product having high rigidity are overlapped and welded. It is very difficult to maintain the interval, and there is inevitably a part where the overlapped part closely adheres or the interval becomes very narrow, and there are welding defects such as blowholes in the part or in the worst case during welding. There arises a problem that molten metal explodes. Further, if there is a gap between the steel plates stacked on both sides of the welded portion, the mechanical strength of the welded portion may not be sufficiently maintained.
[0005]
As a method of laser welding with the galvanized steel sheet in close contact, first, a weak laser beam is irradiated along the same path as the one to be welded at the overlapped part of the galvanized steel sheet, and only the galvanizing is evaporated and discrete Next, there is known a method of performing two-stage laser irradiation in which strong laser light is irradiated to the same path to melt and bond the steel material. Further, Japanese Patent Laid-Open No. 4-231190 discloses that laser light introduced from a laser oscillator is separated by an optical condensing means to simultaneously form a condensed laser light having a high energy density and a condensed laser light having a low energy density. However, a method is disclosed in which the steel plate is melt-bonded by the former laser beam having a high energy density immediately after the evaporation and galvanization of the galvanizing by a focused laser beam having a low energy density.
[0006]
[Problems to be solved by the invention]
When galvanized steel sheets are closely stacked and irradiated with low-energy laser light, it is difficult to escape the zinc vapor generated after laser beam irradiation into the atmosphere through a narrow space between the steel sheets. It was found that the residual zinc vapor was mixed into the molten pool during irradiation with high energy laser light for melting the steel sheet, causing welding defects and molten metal explosion.
[0007]
Furthermore, in the method of forming a weak laser beam and a strong laser beam simultaneously, when a minute gap of about 10 μm to 20 μm is formed between the plated steel plates, both the steel plates are thermally insulated and the laser is not directly irradiated. There is a problem that it is difficult to avoid welding defects because the galvanized evaporation of the steel sheet is not sufficiently evaporated.
[0008]
The present invention is a laser welding method for a plated steel sheet, which can be welded with the steel sheet in close contact, and prevents the explosion of molten metal and the occurrence of weld defect due to the generation of vapor of the plating component during laser welding. And it aims at providing the welding method excellent in the weld bead shape and quality.
[0009]
[Means for Solving the Problems]
That is, the gist of the present invention is as follows.
(1) The
(2) When the optical axis of the
(3) When the optical axis of the
(4) When the optical axis of the
(5) When the optical axis of the
(6) A beam on the front side in the welding direction, which corresponds to 70% to 30% of the total power, or a part or all of the front beam, or all of the front beam and a part or all of the front side of the central beam. Is called the front beam, the other beams are called the rear beam, the focal position of the beam belonging to the front beam is the front beam
(7) A beam on the front side in the welding direction corresponding to 70% to 30% of the total power, or only a part or all of the front beam, or all of the front beam and a part or all of the front side of the central beam. Is called the front beam, the other beams are called the rear beam, the focal position of the beam belonging to the front beam is the front beam
(8) 3.0 to 1.2 liters / minute / mm per unit area of the
[0010]
Here, the spot diameter of the
[0011]
The penetration depth when irradiating each beam alone is that the laser beam is divided perpendicularly to the welding line, and the distance between the centers of each beam spot is more than twice the original beam spot diameter. It can be defined by the penetration depth of each beam when the laser beam is advanced at the same speed as the time.
[0012]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
When the welded portion of the
[0013]
When laser welding is performed by superimposing galvanized steel plates, the galvanized layer of the steel
[0014]
As shown in FIG. 1, the present invention changes the jetting direction of the plating
[0015]
In the present invention, as shown in FIGS. 2, 3, and 7, first, a laser beam irradiated on the
[0016]
The
[0017]
The
[0018]
The power of the
[0019]
The
[0020]
When the power of the
[0021]
The power of the
[0022]
The center-to-
[0023]
As a method of dividing the laser beam into three beams, as shown in FIGS. 2 and 3, two prisms 13 can be arranged in the optical system. As shown in FIG. 2, when the
[0024]
In normal laser welding without beam splitting, the positional relationship between the
[0025]
Further, in the present invention, by removing the
[0026]
In FIG. 8A, the optical axis of the
[0027]
In FIG. 8E, the optical axis of the
[0028]
Note that the present invention in which the optical axis of the
[0029]
In FIG. 9A, the optical axis of the
[0030]
In FIG. 9 (e), the optical axis of the
[0031]
The present invention in which the optical axis of the
[0032]
In the present invention described above, the
[0033]
In the present invention, the beam on the front side in the welding direction and corresponding to 70% to 30% of the total power means only a part or all of the front beam, or all of the front beam and the front side of the central beam. Parts or all correspond. In the example shown in FIGS. 4 and 10, the
[0034]
When the beam is not defocused as a whole, the rear beam
[0035]
In this case, the direction in which the front beam focus position is shifted is preferably as follows. That is, when the optical axis of the previous beam and the optical axis of the central beam do not intersect, and the distance between the beam spot centers of the two beams not intersecting is 1.25 times or less of the spot diameter of the original beam, the front side The focal position of the beam is arranged at a position inside the steel sheet from the surface of the steel sheet, and when it is 1.25 times or more, the focal position of the front beam is arranged at a position outside the steel sheet from the surface of the steel sheet. When the optical axis of the front beam and the optical axis of the central beam intersect and the distance between the beam spot centers of the intersecting beams is 1.25 times or less of the spot diameter of the original beam, the front beam Is placed at a position outside the steel plate from the steel plate surface, and when it is 1.25 times or more, the focal position of the beam on the front side is arranged at a position inside the steel plate from the steel plate surface. The reason is the same as in the above inventions (2) to (5).
[0036]
In the case where the entire beam is defocused as in the above (2) to (5) of the present invention, the rear beam
[0037]
In this case, as for the distance to shift the focal position, as for the rear beam, as in the invention of shifting the focal position from the steel plate surface, a maximum of 2.5% outward from the steel plate surface, or a maximum of 2. 5%. The front beam focal position is arranged at a position shifted by 1% to 2% relative to the rear focal length. This is because if the focal position
[0038]
An inert gas or the like can be used as the shielding
[0039]
In the present invention, 3.0 to 1.2 liters / minute / mm per unit area of the
[0040]
The present invention can exert the maximum effect in lap welding and lap fillet welding of steel plates. In addition, it can also be used in the case where fillet welding is performed on a steel plate that becomes a vertical wall to a plated steel plate. Also in this case, as in the case of lap welding or lap fillet welding, the plating metal vapor is formed between the plated steel plate and the steel plate edge constituting the vertical wall, thereby generating a welding defect. In the case of applying the present invention to such fillet welding, the power of the front beam is set to a power that penetrates more than 25% of the plate thickness of the vertical wall and does not penetrate the entire plate thickness, and the power of the center beam. Is more than the power of the previous beam, and when the previous beam is placed 0.5 to 1.75 times the spot diameter of the original beam, it can sufficiently penetrate the whole steel plate together with the power of the previous beam. And it is sufficient.
[0041]
In lap welding and lap fillet welding, the number of steel plates to be overlapped is two or more, and the effect is most effective when the number of overlaps is two. When the number of stacked sheets is 3 or more, good welding can be performed by setting the lower limit of the output of the previous beam higher. That is, when three sheets are stacked, the lower limit of the output of the previous beam may be set so that the first steel plate penetrates.
[0042]
The plating type of the plated steel sheet to which the present invention is applied can be used in tin-based alloy plating in addition to zinc-based alloy plating. Although the boiling point of tin is not so low with respect to the boiling point of iron, it still causes weld defects as in the case of zinc-based alloys, but good weld quality can be obtained by applying the present invention.
[0043]
It is also important to pay attention to how the steel sheets are stacked when the thickness and strength of the steel sheets and the presence or absence of plating are various. That is, the plated steel sheets are arranged so that the plated layer when superimposed is closer to the laser irradiation side. In addition, as a general stacking method, a thinner, low-strength material is disposed on the laser irradiation side. By disposing the plating layer closer to the laser irradiation side, it is possible to smoothly remove the plating metal vapor from the beam hole. In addition, it is necessary to press the steel plate for laser welding so that a large gap is not formed between the steel plates, but for that purpose, if a thinner, low-strength material is placed on the laser irradiation side, This is because the thick, high-strength material on the opposite side of the laser irradiation bears the reaction force that presses the steel plate.
[0044]
The type of laser is not particularly limited as long as it is a laser light source that can be used for welding, but it is preferable to use an Nd-YAG laser having a wavelength of 1.06 μm or a semiconductor laser having a shorter wavelength. This is because a short wavelength laser having a high light absorption rate has a higher margin for power distribution to form a preferable beam hole shape.
[0045]
As the output of the laser, it is preferable to secure an output of 1.5 kW or more at a processing point per 1 mm thickness of the entire steel plate. This is because when the penetration capability is secured by lowering the welding speed with a low-power laser, the heat-affected zone tends to spread, resulting in a wider damage range of the plating layer, which must be eliminated from between the steel plates. This is because the amount increases. For the same reason, it is desirable to ensure 1 m / min or more from the viewpoint of welding speed.
[0046]
The smaller the spot diameter of the original beam, the lower the output and the higher the speed of welding possible. However, as a result of the weld bead becoming thinner, the joint strength of the weld cannot be ensured. Therefore, the spot diameter of the original beam is desirably 0.3 mm or more.
[0047]
As an optical element for splitting the beam, it is economical when the present invention is applied using a carbon dioxide gas laser, as long as it is possible to use a reflection optical component (mirror) in addition to a prism which is a transmission optical component.
[0048]
【Example】
The present invention was applied when two or three galvanized steel sheets having a thickness of 0.8 mm were overlapped to perform lap welding. A YAG laser is used as a laser oscillator for laser welding, the beam is transmitted by an optical fiber having a core diameter of 0.6 mm, and the
[0049]
As a method of dividing the laser beam into three according to the present invention, the beam is divided by the prism 13, and the method of shifting the focal position of the front beam as compared with the rear beam is performed by using the
[0050]
[Table 1]
[0051]
[Table 2]
[0052]
Production conditions and production results are shown in Tables 1 and 2. In the shielding gas, use of the
[0053]
Welding quality was evaluated by joint efficiency and appearance quality. In the joint efficiency, the breaking strength of the joint with respect to the base material strength is expressed as a percentage in the shear test. The joint efficiency of 100% indicates a case where the base material part is broken or a joint is broken but has joint strength equivalent to that of the base material. As for appearance quality, “excellent” has a weld bead appearance equivalent to an unplated cold-rolled steel sheet, “good” has some pits in the center of the weld bead, and the weld metal is scattered. In addition, the case where the weld bead was depressed from the surface of the steel sheet was defined as “poor”.
[0054]
In Tables 1 and 2, no. 1-14 are examples of the present invention, No. 15-23 are comparative examples. Among the comparative examples, No. Nos. 21 to 23 are examples in which beam splitting is not performed. 15 to 20 are examples in which beam splitting is performed, but the conditions are outside the scope of the present invention.
[0055]
Invention Example No. Nos. 1 to 6 are examples in which beam splitting is performed without any intersection. In Nos. 1 and 2, the focal position is the steel plate surface. Nos. 3 and 4 shift the focal position from the steel plate surface to the inside. 5 and 6 are examples shifted outward from the steel sheet surface. Invention Example No. No. 7 is crossed and the focus position is shifted to the outside of the steel plate. 8 is an example in which the focal position is shifted to the inside of the steel sheet with an intersection. No. 9, 10, and 12 to 14 are examples using partial defocusing lenses. No. In Nos. 9, 12, and 13, a partially concave lens is inserted at the front beam position, so In 10 and 14, by inserting a partially convex lens at the front beam position, the front beam focal position is shifted from the rear side. No. Nos. 11 to 14 are examples in which the amount of shielding gas is further increased. No. 14 is an example in which welding was performed with the number of stacked steel plates being three.
[0056]
All of the examples of the present invention have good joint efficiency and appearance quality. No. 12-14 could obtain good appearance quality.
[0057]
Comparative Example No. 21 to 23 are examples in which beam splitting was not performed, and both joint efficiency and appearance quality were poor.
[0058]
Comparative Example No. Nos. 15 to 20 were subjected to beam splitting, but No. For No. 15, the power of the
[0059]
【The invention's effect】
The present invention relates to a laser welding method for a plated steel sheet, in which a laser beam applied to the steel sheet is divided along a welding line into a front beam on the front side in the welding progress direction, a center beam, and a rear beam on the rear side in the welding progress direction. In addition, by setting an appropriate beam power and beam interval, it is possible to change the ejection direction of the plating metal vapor ejected from the steel plate overlapping portion to an obliquely upward direction, and the plating metal vapor ejected obliquely upward. The plume can be discharged out of the system without entering the molten pool. This makes it possible to weld steel plates in close contact with each other, preventing the occurrence of molten metal explosions and weld defects due to the vapor generation of plating components during laser welding, and welding with excellent weld bead shape and quality. Can be done.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a perspective sectional view showing a situation of a welded portion of the present invention.
FIG. 2 is a schematic view for explaining laser welding in which a beam of the present invention is divided into three parts.
FIG. 3 is a schematic diagram illustrating laser welding in which a beam of the present invention is divided into three parts.
FIG. 4 is a schematic view for explaining laser welding in which a beam of the present invention is divided into three parts.
FIG. 5 is a schematic view of a laser welding apparatus of the present invention.
FIG. 6 is a schematic view of a laser welding apparatus of the present invention.
7A and 7B are diagrams showing the state of a laser focus position, where FIG. 7A is a view showing an original beam without beam splitting, FIG. 7B is an original beam spot in FIG. 7A, and FIG. The figure which shows the condition divided | segmented into (b), (d) is a figure which shows the beam spot in (c).
FIGS. 8A and 8B are diagrams showing a situation near the laser focal position when the three-divided beams do not intersect, where FIG. 8A shows a case where the distance between the beam spots is short, and FIGS. (A) shows a beam spot situation at a position closer to the lens than the focal position, a focal position, and a position farther from the lens than the focal position, (e) shows a case where the distance between the beam spots is long, and (f) (g) ( h) shows beam spot conditions at a position closer to the lens than the focal position in (e), a focal position, and a position farther from the lens than the focal position.
FIGS. 9A and 9B are diagrams showing a situation in the vicinity of a laser focal position when three divided beams intersect, and FIGS. 9A and 9B show a case where the distance between beam spots is short, and FIGS. (A) shows a beam spot situation at a position closer to the lens than the focal position, a focal position, and a position farther from the lens than the focal position, (e) shows a case where the distance between the beam spots is long, and (f) (g) ( h) shows beam spot conditions at a position closer to the lens than the focal position in (e), a focal position, and a position farther from the lens than the focal position.
FIGS. 10A and 10B are diagrams showing a situation near a laser focal position, and FIG. 10B is a diagram showing a beam spot situation at a steel plate surface position when a partially defocused lens is used.
FIG. 11 is a schematic view illustrating conventional laser welding without splitting a beam.
FIGS. 12A and 12B are perspective cross-sectional views showing a state of a conventional welded portion, where FIG. 12A is a diagram showing a state at the time of steady welding, and FIG.
[Explanation of symbols]
1 Laser beam
2 Steel plate
3 Front beam
4 Center beam
5 Rear beam
6 Beam Hall
7 molten pool
8 Weld beads
9 Welding direction
10 Optical fiber
11 Collimator lens
12 Condensing lens
13 Wedge prism
14 Partial defocusing lens
15 Protective glass
16 Center shield nozzle
17 Side shield nozzle
18 Outlet
20 Prism insertion amount adjusting screw
21 original beam spot
23 Front beam spot
24 Central beam spot
25 Rear beam spot
26 Focus position
27 Position closer to the lens than the focal position
28 Position farther from the lens than the focal position
29 Steel plate surface position
30 Plating metal vapor
31 Plating metal bubbles
32 Steel plate overlapping part
35 Distance between center of front beam spot and center beam spot
36 Center distance between center beam spot and rear beam spot
38 Increased focus position shift
39 Welding line
40 shielding gas
41 Air
42 Air Knife
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