JP4193857B2 - リチウムイオン２次電池の充電装置及び充電方法 - Google Patents

Description

本発明は、リチウムイオン２次電池の充電装置及び充電方法に関する。

一般に、リチウムイオン２次電池の充電は、図４、図５の充電電圧の曲線ａ及び充電電流の曲線ｂに示す如く、１セル当り４．２Ｖの定電流・定電圧充電によって行われている。この定電流充電と定電圧充電との組み合わせによる充電では、リチウムイオン２次電池の電池電圧が設定電圧Ｖｃに達するまで定電流充電を行い、このリチウムイオン２次電池の電池電圧がこの設定電圧Ｖｃに達した後は、定電圧充電に切替え充電が行われる。

このリチウムイオン２次電池の充電完了の検出方法としては、図４に示す如く、定電流充電後の定電圧充電期間に定電圧充電により低下した充電電流を監視し、予め定めた完了電流Ｉ_０以下に達した時点で充電完了する電流検出方式や、図５に示す如く、一定間隔で充電期間と開放期間とを繰り返し、この開放期間に規定電圧（例えばリチウムイオン２次電池の上限電圧Ｖｈ）と電池開放電圧Ｖｔとの差電圧ΔＶを算出し、この差電圧ΔＶが予め定めた完了差電圧ΔＶ０以内になった時点で充電完了とするΔＶ検出方式（特許文献１参照）等が用いられている。
特開平１０−３２９３８号公報

ところで、このリチウムイオン２次電池の充電完了を検出するためには、定電圧での充電が必要だが、この定電圧充電では、充電電流が低下することで充電量が減少し、充電時間が延びてしまう不都合があった。

この定電流充電と定電圧充電とを切替える設定電圧Ｖｃを高くすることで定電流充電時間を長くし、充電完了までの充電時間を短くすることが考えられるが、定電流・定電圧制御回路と充電端子との間の回路のインピーダンスによる電圧損失が発生するために、この設定電圧Ｖｃを高くすると定電圧充電期間で過電圧となり、リチウムイオン２次電池の劣化の原因となる。

また、一般にリチウムイオン２次電池には、充電の際に電圧値及び電流値の上限値が定められており、これ等の上限値を超えることは、このリチウムイオン２次電池の劣化を招く虞れがあり、この定められた上限値以内で充電を行う必要がある。

本発明は、斯かる点に鑑み、リチウムイオン２次電池の劣化を招くことなく、充電時間を短縮するようにすることを目的とする。

本発明リチウムイオン２次電池の充電装置は、充電しようとするリチウムイオン２次電池と大地との間の接続された逆流防止用スイッチ、充電用スイッチ及び電流検出用抵抗器の直列回路と、この逆流防止用スイッチ及び充電用スイッチを制御して一定間隔でこのリチウムイオン２次電池の充電と開放とを繰り返すようにすると共にこの開放時にこのリチウムイオン２次電池の規定電圧と電池開放電圧との差電圧を検出するようにした充電制御回路と、この差電圧が予め定めた切替差電圧までは、このリチウムイオン２次電池の上限電圧内の比較的高い第１の設定電圧で定電流充電し、この差電圧がこの切替差電圧より小さくなったときに、設定電圧をこの第１の設定電圧よりも低い第２の設定電圧に切替えて定電圧充電するようにした定電流・定電圧制御回路とを有するものである。

本発明リチウムイオン２次電池の充電方法は、リチウムイオン２次電池を一定間隔で充電と開放とを繰り返すようにすると共にこの開放時にこのリチウムイオン２次電池の規定電圧と電池開放電圧との差電圧を検出するようにし、この差電圧が予め定めた切替差電圧までは、このリチウムイオン２次電池の上限電圧内の比較的高い第１の設定電圧で定電流充電し、この差電圧がこの切替差電圧より小さくなったときに、設定電圧をこの第１の設定電圧よりも低い第２の設定電圧に切替えて定電圧充電するようにし、この差電圧が予め定めたこの切替差電圧より小さい完了差電圧となったときに充電を完了するようにしたものである。

本発明によれば、リチウムイオン２次電池の規定電圧と電池開放電圧との差電圧が予め定めた切替差電圧までは、このリチウムイオン２次電池の上限電圧内の比較的高い第１の設定電圧で定電流充電するようにしたので、定電流充電時間を延ばすことができ、充電完了までの充電時間を短縮することができると共にこの差電圧が予め定めたこの切替差電圧より小さくなったときに、設定電圧をこの第１の設定電圧よりも低い第２の設定電圧に切替えて定電圧充電するようにしたので、過電圧となることがなく、このリチウムイオン２次電池の劣化を招く虞がない。

図１〜図３を参照して、本発明リチウムイオン２次電池の充電装置及び充電方法を実施するための最良の形態の例につき説明する。

図１は、本例によるリチウムイオン２次電池の充電装置の構成を示し、図１において、１はプラグを示し、このプラグ１に例えばＡＣ１００Ｖの商用電源を供給する。このプラグ１に供給された商用電源を入力フィルタ２を介して整流回路３に供給する。

この整流回路３の出力側に得られる整流、平滑された直流電圧をトランス４の１次巻線４ａの一端に供給し、この１次巻線４ａの他端をスッチング素子を構成するｎｐｎ形トランジスタ５のコレクタに接続し、このトランジスタ５のエミッタを接地する。

このトランジスタ５のベースにパルス幅変調（ＰＷＭ）制御回路６の出力側に得られるパルス幅変調信号を供給して、このトランジスタ５をスイッチングし、このトランス４の２次巻線４ｂに得られる出力信号を制御する。

このトランス４の２次巻線４ｂの一端を整流回路７の入力側に接続し、この２次巻線４ｂの他端を接地する。この整流回路７は、トランス４の２次巻線４ｂに得られる充電用の直流電圧を充電しようとするリチウムイオン２次電池８の正極が接続される正極充電端子９ａに供給する。

このリチウムイオン２次電池８の負極が接続される負極充電端子９ｂを逆流防止用スイッチ１０、充電用スイッチ１１及び電流検出用抵抗器１２の直列回路を介して接地する。

この逆流防止用スイッチ１０及び充電用スイッチ１１は、充電制御回路１３により、図２に示す如く、一定間隔で充電期間ｔ０と開放期間ｔ１とを繰り返すように制御される。

この場合、充電期間ｔ０は、比較的長い所定期間とし、開放期間ｔ１は、比較的短いリチウムイオン２次電池８の規定電圧例えばこのリチウムイオン２次電池の上限電圧Ｖｈとこのリチウムイオン２次電池８の電池開放電圧Ｖｔとの差電圧ΔＶを算出に十分な時間とする。

この充電制御回路１３は、この充電期間ｔ０においては、この逆流防止用スイッチ１０及び充電用スイッチ１１を共にオンする如くし、開放期間ｔ１は、逆流防止用スイッチ１０をオンとし、充電用スイッチ１１をオフする如くすると共にこの充電用スイッチ１１がオフのときの逆流防止用スイッチ１０と充電用スイッチ１１との接続中点のリチウムイオン２次電池８の電池開放電圧Ｖｔを得、この規定電圧例えばリチウムイオン２次電池の上限電圧Ｖｈとこの電池開放電圧Ｖｔとの差電圧ΔＶを得る如くする。
ΔＶ＝Ｖｈ−Ｖｔ

この充電制御回路１３は、この差電圧ΔＶが、図２に示す如き試行錯誤により、予め定めた切替差電圧ΔＶ１より小さくなったときに、定電流充電から定電圧充電に切替える設定電圧を切替える設定電圧切替信号を発生すると共にこの差電圧ΔＶが予め定めた切替差電圧ΔＶ１より小さい完了差電圧ΔＶ０以内になった時点で充電完了する如くする。

また、本例においては、整流回路７の出力側に得られる充電電圧ａを定電流・定電圧制御回路１４に供給すると共に電流検出用抵抗器１２に得られる充電電流ｂをこの定電流・定電圧制御回路１４に供給し、更に、充電制御回路１３より、規定電圧例えばリチウムイオン２次電池の上限電圧Ｖｈとこの電池開放電圧Ｖｔとの差電圧ΔＶが試行錯誤により、予め定めた切替差電圧ΔＶ１より小さくなったときに、定電流充電から定電圧充電に切替える設定電圧を切替える設定電圧切替信号をこの定電流・定電圧制御回路１４に供給する。

本例においては、この定電流・定電圧制御回路１４は、充電制御回路１３から設定電圧切替信号が供給されないときは、この差電圧ΔＶが予め定めた切替差電圧ΔＶ１になるまでは、例えばこのリチウムイオン２次電池８の上限電圧Ｖｈあるいはこの近傍の電圧の第１の設定電圧Ｖｃ１を定電流充電から定電圧充電に切替える設定電圧として、定電流充電する制御信号をホトカプラ１５を介してパルス幅変調制御回路６に供給し、この制御信号で、このパルス幅変調制御回路６を制御する。

また、この定電流・定電圧制御回路１４は、この充電制御回路１３において、この差電圧ΔＶが予め定めた切替差電圧ΔＶ１より小さくなり、設定電圧切替信号が供給されたときは、定電流充電から定電圧充電に切替える設定電圧をこの第１の設定電圧Ｖｃ１よりも低い第２の設定電圧Ｖｃ２とし、定電圧充電する制御信号をホトカプラ１５を介してパルス幅変調制御回路６に供給し、この制御信号で、このパルス幅変調制御回路６を制御する。

次に、上述本例の動作を図３のフローチャートを用いて説明する。
この図１例において、リチウムイオン２次電池８の充電を開始したときには、定電流充電を行う（ステップＳ１）と共に定電流充電より定電圧充電に切替える設定電圧をこのリチウムイオン２次電池８の上限電圧Ｖｈ以内の比較的高い電圧例えばこの上限電圧Ｖｈあるいはこの近傍の電圧の第１の設定電圧Ｖｃ１とする（ステップＳ２）。

ステップＳ３で、充電期間ｔ０が経過したかどうかを判断し、この充電期間ｔ０が経過していないときは、ステップＳ１及びＳ２を繰り返し、定電流充電を行う。このステップＳ３で充電期間ｔ０が経過し、開放期間ｔ１となったときは、規定電圧例えばリチウムイオン２次電池の上限電圧Ｖｈとこの電池開放電圧Ｖｔとの差電圧ΔＶを検出する（ステップＳ４）。

次に、この差電圧ΔＶが予め定めた切替差電圧ΔＶ１より小さくなったかを確認する（ステップＳ５）。この差電圧ΔＶがこの切替差電圧ΔＶ１より小さくならないときは、上述ステップＳ１、Ｓ２、Ｓ３、Ｓ４及びＳ５を繰り返し、定電流充電を行う。

このステップＳ５で、この差電圧ΔＶがこの切替差電圧ΔＶ１より小さくなったときは、定電流充電より定電圧充電に切替える設定電圧を図２に示す如くこの第１の設定電圧Ｖｃ１よりも低い第２の設定電圧Ｖｃ２とする（ステップＳ６）と共に定電圧充電とする（ステップＳ７）。

ステップＳ８で充電期間ｔ０が経過したかどうかを判断し、この充電期間ｔ０が経過していないときは、定電圧充電を繰り返し、このステップＳ８で充電期間ｔ０が経過し、開放期間ｔ１となったときは、差電圧ΔＶを検出する（ステップＳ９）。

次に、ステップＳ１０で、この差電圧ΔＶが充電完了の完了差電圧ΔＶ０以内になったかどうかを確認し、この差電圧ΔＶが充電完了の完了差電圧ΔＶ０以内にならないときは、ステップＳ７、Ｓ８、Ｓ９及びＳ１０を繰り返し、定電圧充電を繰り返す。

このステップＳ１０で、この差電圧ΔＶが充電完了の完了差電圧ΔＶ０以内になったときは、充電完了し、終了する。

本例によれば、リチウムイオン２次電池８の規定電圧と電池開放電圧Ｖｔとの差電圧ΔＶが予め定めた切替差電圧ΔＶ１までは、このリチウムイオン２次電池８の上限電圧Ｖｈ内の比較的高い第１の設定電圧Ｖｃ１で定電流充電するようにしたので、定電流充電時間を延ばすことができ、充電完了までの充電時間を短縮することができると共にこの差電圧ΔＶが予め定めたこの切替差電圧ΔＶ１より小さくなったときに、設定電圧をこの第１の設定電圧Ｖｃ１よりも低い第２の設定電圧Ｖｃ２に切替えて定電圧充電するようにしたので、過電圧となることがなく、このリチウムイオン２次電池８の劣化を招く虞がない。

尚、本発明は上述例に限ることなく、本発明の要旨を逸脱することなく、その他種々の構成が採り得ることは勿論である。

本発明リチウムイオン２次電池の充電装置を実施するための最良の形態の例を示す構成図である。 本発明の説明に供する線図である。 本発明の説明に供するフローチャートである。 従来の説明に供する線図である。 従来の説明に供する線図である。

符号の説明

３、７…整流回路、４…トランス、５…トランジスタ、６…パルス幅変調制御回路、８…リチウムイオン２次電池、９ａ、９ｂ…充電端子、１０…逆流防止用スイッチ、１１…充電用スイッチ、１２…電流検出用抵抗器、１３…充電制御回路、１４…定電流・定電圧制御回路、１５…ホトカプラ

Claims (2)

1. 充電しようとするリチウムイオン２次電池と大地との間の接続された逆流防止用スイッチ、充電用スイッチ及び電流検出用抵抗器の直列回路と、
   前記逆流防止用スイッチ及び充電用スイッチを制御して一定間隔で前記リチウムイオン２次電池の充電と開放とを繰り返すようにすると共に前記開放時に前記リチウムイオン２次電池の規定電圧と電池開放電圧との差電圧を検出するようにした充電制御回路と、
   前記差電圧が予め定めた切替差電圧までは、前記リチウムイオン２次電池の上限電圧内の比較的高い第１の設定電圧で定電流充電し、前記差電圧が前記切替差電圧より小さくなったときに、設定電圧を前記第１の設定電圧よりも低い第２の設定電圧に切替えて定電圧充電するようにした定電流・定電圧制御回路とを有することを特徴とするリチウムイオン２次電池の充電装置。
2. リチウムイオン２次電池を一定間隔で充電と開放とを繰り返すようにすると共に前記開放時に前記リチウムイオン２次電池の規定電圧と電池開放電圧との差電圧を検出するようにし、前記差電圧が予め定めた切替差電圧までは、前記リチウムイオン２次電池の上限電圧内の比較的高い第１の設定電圧で定電流充電し、前記差電圧が前記切替差電圧より小さくなったときに、設定電圧を前記第１の設定電圧よりも低い第２の設定電圧に切替えて定電圧充電するようにし、前記差電圧が予め定めた前記切替差電圧より小さい完了差電圧となったときに充電を完了するようにしたことを特徴とするリチウムイオン２次電池の充電方法。
   

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