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JP4193076B2 - 工作機械の主軸装置 - Google Patents

工作機械の主軸装置 Download PDF

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JP4193076B2 JP05577598A JP5577598A JP4193076B2 JP 4193076 B2 JP4193076 B2 JP 4193076B2 JP 05577598 A JP05577598 A JP 05577598A JP 5577598 A JP5577598 A JP 5577598A JP 4193076 B2 JP4193076 B2 JP 4193076B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、深い部位を加工している刃具の先端部の潤滑に特に適した工作機械の主軸装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
工作機械による加工では被加工物や刃具の冷却及び潤滑、又は切屑の除去などのため加工部に切削油を多量に供給しているが、これによるときは切削油による環境汚染や人体の健康への悪影響、切削油の廃油処理に伴う大きなコスト、被加工物の過冷却による刃具寿命の低下、又は切削油過多による刃具の微細切込み加工時の滑り磨耗などの問題があるほか、加工時に多量の切削油が切屑に付着するため、切屑の処理や再利用のさい、これに付着した切削油を分離することが必要となる。
【0003】
これらの問題を解決するため、近年では極微量の切削油を霧状にして切削加工部へ供給することが行われているのであり、このような処理はドライ切削などと称されている。
【0004】
ドライ切削を行う上で、被加工物の比較的浅い部分を加工している刃具先端部に霧状の切削油を供給することは簡易な手段により行えるのであるが、被加工物の比較的深い部分を加工している刃具先端部にそれを供給することは実際上困難を伴うのである。
本出願人はこれを解決するための手段として特許第2687110号を提案している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記特許第2687110号の主軸装置によれば、被加工物の比較的深い部分を加工している刃具の先端部に霧状の切削油を極めて効果的に供給できるのであるが、回転される主軸の内方に静止状態の外部から切削液を供給するさいに回転継手が必要となり、その構造が複雑化する。
本発明は、回転継手を必要とすることなく上記実情に対処し得るものとした工作機械の主軸装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明では、内部に通路を有する工具ホルダに刃具内の通路が連通した工作機械の主軸装置において、工具ホルダが先端に取付けられ、主軸一端から先端部に向かい、中心に貫通した中心孔を有する主軸と、支持フレーム内で主軸を前後で支えるベアリングと、
主軸の一端の中心孔の入り口から主軸の他端に向かって挿入されている供給管であって、後段の前記ベアリングよりも主軸の他端側にまでその先端が到達し、内部長手方向に切削液通路と気体通路とが先端まで形成されている供給管と、供給管の先端に設けられ、切削液通路の切削液を気体通路から供給された気体により霧化する霧化手段と、主軸の内側と供給管の間の中心孔内に設けられて、主軸が回転されても供給管を非回転状態に保持するベアリングと、前記中心孔内のベアリングと霧化手段の間の位置であって、主軸の中心孔内と供給管との間をシールするシールとを有し、
前記霧化手段により生成された霧状切削液が工具ホルダや刃具内の通路を経て刃具先端から噴出されることを特徴とする。
【0007】
被加工物の加工中は主軸が回転される。この回転中、切削剤供給管は非回転状態に保持され、液通路及び気体通路を通じて切削液及び気体が主軸内の霧化手段に供給される。このさい、液通路内を流れる切削液は主軸の回転による影響を全く受けず、円滑に流動するものとなる。霧化手段で生成された霧状切削液は刃具先端から安定的且つ比較的均一分布状態で噴出され、非加工物の深い個所に達した刃具先端を効果的に潤滑する。
【0008】
【発明の実施の形態】
先ず本発明の第一実施例を説明すると、図1は本実施例に係る主軸装置を示す断面図、図2は前記主軸装置の一部拡大断面図、図3は図1のx1−x1部を示す部分拡大図である。
【0009】
これらの図に於いて、1は主軸装置の本体フレームで、2は本体フレーム1にボルト固定された筒形支持フレームである。
筒形支持フレーム2には主軸3が軸受4a、4bを介して一定位置での回転自在に内挿してある。
【0010】
このさい、5a及び5bは筒形支持フレーム2の前端面と後端面に固定されたリング部材、6a及び6bは軸受4a、4bの位置を規制するための筒形スペーサ、7は軸受4bの内輪後面を押圧するための螺着リング体である。
【0011】
主軸3は先端中心部に工具ホルダ8のテーパシャンク部8aを内嵌されるテーパ孔3aを有すると共にこのテーパ孔3aに連続して直状の中心孔3bを形成されている。
【0012】
9は中心孔3bの前部に前方への移動を係止された状態で内挿された案内筒部材で、これの内周面9aは適宜形状の段部を形成されたものとなされている。
10はドローバーであって、先端には案内筒部材9に密状に内挿される膨大部10aを、そして後端寄り位置に中心孔3bの内周面に案内される鍔部10bを備えると共に、中心部に直状の孔10cを形成されたものである。
【0013】
11は皿バネであり、ドローバー10の長さ途中個所でしかも案内筒部材9の後端と鍔部10bとの間となる中心孔3b内に段重ね状且つ圧縮状に装設されている。
【0014】
12はクランプ部材13を開閉可能に保持するための保持筒部材で、ドローバー10の先端部に螺着されている。この保持筒部材12の周面にはクランプ部材13の係合する凹み12aが形成されており、またクランプ部材13は複数の係止片からなり、これら係止片が凹み12aの周方向に配列され円筒状となされている。
【0015】
14は主軸3の後端外周に固定されたプーリで、図示しないモータからベルトを介して回転を入力されるものである。
【0016】
15は主軸3の後端面にボルト固定された端面カバー部材で、これの中心孔にはドローバー10の後端部10cが前後方向f1、f2の変位可能に内挿されている。
【0017】
16は係止リング板で、主軸3の後端部に外嵌され、端面カバー部材15に係止されて後方への抜け出しを規制されるものである。この係止リング板16の後面にはシリンダ部材17及びシリンダカバー18がこの順に配置されボルト固定されており、シリンダ部材18の内方には段付きのピストン19が内挿されている。
【0018】
このピストン19は中心孔及び後部突起19aを有しており、後部突起19aはシリンダカバー18の中心孔に前後方向f1、f2の摺動変位可能に内挿されている。
このさい、20はピストン19の中心孔に螺着されたネジ管部材で、これの回転操作により変位されロックナット21によりその位置を締結される。
シリンダ部材18に設けた通路p1はピストン19の後側のシリンダ室22内へ通じ、他方の通路p2はピストン19の前側のシリンダ室23に通じている。
【0019】
24a及び24bは本体フレーム1に固定された支持フレームで、25はこの支持フレーム24aに結合部材26を介して固定された直状の潤滑剤供給管である。
支持フレーム24bはシリンダ部材17を若干の前後移動可能に支持しており、またシリンダカバー18と支持フレーム24bとの間にはシリンダーカバー18を前方f1へ押圧するためのスプリングsが設けてある。
【0020】
潤滑剤供給管25は外管25aと内管25bからなる二重管となしてあって、内管25bの内孔を液通路aとなし、内管25bと外管25aの間を気体通路bとなしてある。
【0021】
そして潤滑剤供給管25の先端には、液通路aを通じて供給された切削液を、気体通路bを通じて供給された空気により霧状となすための霧化手段27が形成してある。この霧化手段27は内管25bの先端を絞って形成した液噴口cとこれを取り巻く気体噴口dとを備えたものとなしてあるが、これに限定するものではない。
【0022】
このさい、液通路aには静止側に設けた図示しない液供給装置から切削液が供給され、また気体通路には静止側に設けた図示しない気体供給装置から適当圧の空気が供給されるようになす。
【0023】
またドローバー10の後端部及び保持筒部材12の中心孔の内方には潤滑剤供給管25を主軸3の一定位置で回転可能とするため、両者間にベアリング28a、28bを装着する。このベアリング28a、28bは図示例ではボールベアリングとなしてあるが、ニードルベアリングとなすこともできるのであり、ニードルベアリングになすと、ドローバー10の潤滑剤供給管25に対する前後方向f1、f2の若干の変位を可能とする上で寄与する。
保持筒部材12とベアリング28aの間にはシールリングSR1を設け、切削剤供給管25はこのシールリングSR1を介してドローバー10の孔10c内に回転可能且つ気体密状に貫通される。
【0024】
工具ホルダ8はテーパシャンク部8a、鍔部8b及びチャック部8cを備え、テーパシャンク部8aが主軸3のテーパ孔3aに嵌入されるものとなされている。
【0025】
テーパシャンク部8aはこれの後端にクランプ部材13により係止されるプルスタッド29を備えており、鍔部8bは自動工具交換装置が工具交換のさい把持するものとなる凹みmを形成されており、またチャック部8cは刃具30を固定するためのものである。
【0026】
工具ホルダ8は中心孔8dを形成され、この中心孔8dの長さ途中に内嵌部材31を設け、この内嵌部材31の中心孔とプルスタッド29の中心孔とを連絡管32で結合したものとなされている。
【0027】
刃具30はドリル、リーマ、タップ又はミーリングなどその種類を限定するものではないが、後端から先端部に渡る通路30aを備えたものとなすことが必要である。
【0028】
上記の如く構成した主軸装置の使用例及びその作動を説明すると、以下のとおりである。
即ち、図1及び図2に示す如く装着された工具ホルダ8を主軸3から抜き取るさいは、図示しない自動工具交換装置が工具ホルダ8の鍔部8bを把握した後、シリンダ室22内に圧力流体が供給される。これによりピストン19が前方f1へ図示しないスプリングの弾力に抗して変位され、この変位量が一定大きさを超えたとき、係止リング板16と端面カバー部材15とが圧接すると共に、ネジ管部材19の前端がドローバー10の後端を押圧し、皿バネ11の弾力に抗してドローバー10を前方f1へ変位させる。
【0029】
ドローバー10の前方変位は保持筒部材12及びクランプ部材13を前方f1へ変位させ、この変位が一定大きさ以上になると、クランプ部材13の先端が保持筒部材12の内周面の突部から外れて保持筒部材12半径外方向への変位が可能となる。
【0030】
この状態で、自動工具交換装置が工具ホルダ8を前方f1へ引抜き力を付与するのであり、このさいプルスタッド29はクランプ部材13の解放作動可能状態の下、クランプ部材13に引っ掛かることなくクランプ部材13の内方から抜け出るため、工具ホルダ8は主軸3から抜き取られるものとなる。
【0031】
一方、工具ホルダ8を主軸3に装着するさいは、ドローバー10は工具ホルダ8を主軸3から抜き取るときと同じ状態に保持され、この状態の下で自動工具交換装置が工具ホルダ8のテーパーシャンク部8aを主軸3のテーパ孔3aに挿入させる。このさい、プルスタッド29はクランプ部材13が解放作動可能状態であるため引っ掛かることなくクランプ部材13の内方に挿入されるものとなる。
【0032】
この挿入の終了に関連してシリンダ室22内の圧力流体は流出され、他方のシリンダ室23内に圧力流体は供給される。これにより、ピストン19は後方へ変位され、ネジ管部材21はドローバー10から離れ、ドローバー10は皿バネ11の弾力で図1などに示す元位置に後退する。
【0033】
この後退により、クランプ部材13は先部外周を案内筒部材9の内周面の突部で押されて縮径し、その内周面先部の突部がプルスタッド29のくびれ部に係止され、さらにプルスタッド29を皿バネ11の弾力で引張するものとなる。これにより工具ホルダー8は主軸3に密状に嵌着された状態となる。この嵌着状態ではプルスタッド29の後端と切削剤供給管25の先端との間隙は一般に0.5〜1mm程度となされる。
この後、自動工具交換装置は工具ホルダ8を離して退避する。
【0034】
ワークwを加工するさいは、図示しないモータからプーリ14に回転を入力する。これにより主軸3は軸受4a、4bに案内されて回転する。
このさい、シリンダ部材17やピストン19などは支持フレーム24bに支持されているため回転しないのであり、またシリンダ室23内に圧力流体が供給されると、係止板部材16はスプリングsの弾力で前方f1へ変位されて端面カバー部材15から離れた状態となり、主軸3に回転抵抗を付与するものとならない。またピストン19も端面カバー部材15とは離れているため主軸3の回転に支障とならない。
【0035】
一方、切削剤供給管25は支持フレーム24aと同体に固定されているため、主軸3の回転にも拘わらず非回転状態に保持される。
【0036】
この状態の下で、気体通路bに静止側の気体供給装置から結合部材26を通じて圧縮空気を供給し、この供給中に静止側の液供給装置から結合部材26を通じて切削液を液通路aに供給する。これにより気体通路bに供給された空気は霧化手段27の気体噴口dから噴射され、また液通路aに供給された切削液は霧化手段27の液噴口cから噴射される。
【0037】
霧化手段27は液噴口aから噴射された液体を、気体噴口dから噴射された圧縮空気により均一分布の霧状となし、工具ホルダ8側へ向け噴き出す。このように噴き出された霧状切削液は工具ホルダ8の中心部の連絡管32内を通じて刃具30の後端に達し、さらに刃具30の通路30aを経てその先端から噴出される。
【0038】
このさい、液通路a内を前方f1へ流れる霧状切削液は主軸3の回転による遠心力の影響を受けることがなく、切削液は液噴口cから安定的に噴射されるのであり、このことが均一分布の霧状切削液を生成する上で寄与するものとなる。
また霧化手段27から刃具30先端までの距離が小さいことが、霧化手段27から刃具30先端へ移動する霧状切削液に主軸3の回転による遠心力の影響を小さくなし、従って霧状切削液は切削液成分の比重差による成分分離や液状化現象を生じることなく工具ホルダ8近傍まで導かれ、比較的均等な分布状態で刃具30先端から噴出されるものとなる。
【0039】
また切削剤供給管25の先端から噴出された霧状切削液は切削剤供給管25の外周面に沿って逆流しようとするが、シールリングSR1のシール作用で規制され、またドローバー10の外周面に沿って逆流しようとするものはドローバー10の先端膨大部10a個所などのシール作用で規制される。
【0040】
この状態の下で主軸装置をワークwに対し変位させ、所要の加工を行うのである。このさい、刃具30の先端部がワークwの比較的深い位置を加工する状態となっても、刃具30は均等且つ効果的に潤滑され的確な加工を行うものとなる。
【0041】
次に本発明の第二実施例を説明すると、図4は本実施例に係る主軸装置を示す断面図、図5は図4のx2−x2部を示す部分拡大図である。図中、先の実施例と実質的同一部位には同一の符号を付すものとする。
【0042】
工具ホルダ8は主軸3の先端にボルト固定してあり、また先部には刃具30がネジ止め固定してある。
【0043】
切削剤供給管25及び霧化手段27には基本的な差違はない。また自動工具交換装置による工具ホルダ8の自動脱着を考慮していないため、先の実施例に於けるシリンダ部材17やピストン19などは設けられていない。
【0044】
切削剤供給管25の前端は工具ホルダ8の中心孔8d内に望ませてあり、また主軸3の中心孔3bと切削剤供給管25との間の空間を閉鎖するためのカバー部材33がボルト固定してある。
このさい、SR2はシールリングであり、切削剤供給管27がこのシールリングSR2を介してカバー部材33の中心個所を回転可能且つ気体密状に貫通される。
【0045】
この実施例の主軸装置では、工具の交換は人手により行われる。
ワークwを加工するさいは、プーリ14を介して回転を入力するのであり、これにより主軸3、工具ホルダ8、刃具30及びカバー部材33などが回転される。
【0046】
この後、霧化手段27に圧縮空気と切削液を供給して霧状切削液を生成させ、これを刃具30先端から噴出させ、ワークwの加工を実施する。
【0047】
この実施例でも、切削剤供給管25は回転しないため、これを通じて供給された切削液は安定的に均一分布の霧状切削液となされ、またこの霧状切削液は主軸3の回転による遠心力の影響を受けることなく刃具30先端から均一分布状態のまま噴出され、ワークwの比較的深い位置を加工している刃具30の先端部を先の実勢例と同様に効果的に潤滑するものとなる。
【0048】
【発明の効果】
以上の如く構成した本発明によれば、回転継手を必要とすることなく、主軸内に圧縮空気と切削液が供給され、主軸内で霧状切削液が生成されるものとなり、この霧状切削液により、比較的深い個所を加工している刃具先部を均等、確実且つ安定的に潤滑することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第一実施例に係る主軸装置を示す断面図である。
【図2】 前記主軸装置の一部拡大断面図である。
【図3】 図1のx1−x1部を示す拡大図である。
【図4】 本発明の第二実施例に係る主軸装置を示す断面図である。
【図5】 図4のx2−x2部を示す拡大図である。
【符号の説明】
3 主軸
3b 孔
8 工具ホルダ
25 切削剤供給管
27 霧化手段
30 刃具
30a 通路
32 通路
a 液通路
b 気体通路

Claims (1)

  1. 内部に通路を有する工具ホルダに刃具内の通路が連通した工作機械の主軸装置において、
    工具ホルダが先端に取付けられ、主軸一端から先端部に向かい、中心に貫通した中心孔を有する主軸と、
    支持フレーム内で主軸を前後で支えるベアリングと、
    主軸の一端の中心孔の入り口から主軸の他端に向かって挿入されている供給管であって、後段の前記ベアリングよりも主軸の他端側にまでその先端が到達し、内部長手方向に切削液通路と気体通路とが先端まで形成されている供給管と、
    供給管の先端に設けられ、切削液通路の切削液を気体通路から供給された気体により霧化する霧化手段と、
    主軸の内側と供給管の間の中心孔内に設けられて、主軸が回転されても供給管を非回転状態に保持するベアリングと、
    前記中心孔内のベアリングと霧化手段の間の位置であって、主軸の中心孔内と供給管との間をシールするシールとを有し、
    前記霧化手段により生成された霧状切削液が工具ホルダや刃具内の通路を経て刃具先端から噴出されることを特徴とする工作機械の主軸装置。
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