JP4187942B2 - 充電状態制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、組電池を構成するため直列接続された多数の単位セルの充電状態を制御する充電状態制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、地球環境保護の目的から、排気ガスを排出しない電気自動車(EV)や排気ガスの排出を大幅に低減可能なハイブリッド電気自動車(HEV)の研究,開発が行われており、このうちHEVは既に実用化の段階にある。
【0003】
これらHEVやEVの動力源に使用される2次電池(バッテリー)として、鉛電池,ニッカド電池,ニッケル水素電池等が知られている他、近年では、高い重量エネルギ密度(同容量の鉛電池の約4倍,ニッケル水素電池の約2倍)を有し小型軽量化を期待できるリチウム電池が注目されている。
【0004】
また、HEVやEVにおいて、モータを駆動して自動車を走行させるには約300Vの電圧が必要であるため、上述の電池は、その単体(単位セル)を多数直列接続してなる組電池として使用される。例えば、鉛電池(約2V/セル)では150、ニッケル水素電池(約1.2V/セル)では250、リチウム二次電池(約3.6V/セル)では80もの単位セルを直列接続する必要がある。
【0005】
なお、これらの単位セルは、過充電や過放電に弱く、定められた使用範囲内の電圧で使用しなければ、材料の分解による著しい容量の低下や異常発熱を引き起こして使用不能となるおそれがある。
そして、組電池を構成する各単位セルでは、性能の個体差や周囲温度および漏れ電流の違い等によって充電可能容量がばらつき、組電池の充放電時に各単位セルを流れる電流がどの単位セルも等しいにも関わらず、各単位セルの残存容量(SOC)、ひいては各単位セルの両端電圧がばらついてしまうことが知られている。
【0006】
つまり、組電池として使用する場合には、組電池を構成する各単位セルが過充電や過放電となることのないように、各単位セル間の残存容量のばらつきに起因するセル電圧のばらつきを十分に抑えなければならない。
従来の鉛電池,ニッカド電池,ニッケル水素電池等を単位セルとする組電池では、組電池の両端電圧を監視して、この両端電圧(ひいては組電池を構成する各単位セルの平均セル電圧)が所定の電圧範囲に収まるように充放電制御することで単位セルの過放電や過充電を防止できたが、リチウム電池を単位セルとする組電池では、そのような制御では、単位セルの過充電や過放電が進行してしまい、使用不可能な状態に到るほどの性能劣化を引き起こしてしまうという問題があった。
【0007】
即ち、水溶性の電解液を用いて構成された鉛電池,ニッカド電池,ニッケル水素電池二次電池等では、過充電時に生じる水の電気分解と置換反応(密閉化反応)によって、単位セル間のばらつきがある程度解消(均等充電)されるため、組電池の両端電圧(組電池を構成する各単位セルの平均セル電圧)を制御することで、過放電や過充電を防止できたのであるが、有機系の電解液を用いて構成されたリチウム電池では、密閉化反応が起こらないため上述の均等充電がされず、組電池の両端電圧(平均セル電圧)を制御する方法では、ばらつきは拡大する一方であり、過充電や過放電が進行してしまうのである。
【0008】
これに対して、組電池を構成する単位セル間のセル電圧のばらつきを、密閉化反応によらずに解消する方法として、例えば、各単位セルに対してそれぞれ並列にツェナーダイオードを接続し、このツェナーダイオードの逆降伏電圧をしきい値として、セル電圧がしきい値を超えて充電されることのないようにしたもの(特開昭61−206179号公報)や、外部からの指令に従って作動するバイパス回路を各単位セルと並列に接続し、セル電圧にばらつきが生じると、セル電圧の高い単位セルのバイパス回路を作動させ、このバイパス回路に充電電流を分流(バイパス)させることにより、単位セル間の電圧のばらつきが小さくなるように調整するもの(特開平8−19188号公報)等が提案されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、各単位セルにツェナーダイオードを並列接続した前者の場合、組電池を充放電する装置の負荷変動によって大きな回生電流、即ち組電池を充電する電流が発生した時にも、ツェナーダイオードが作動してしまうため、このような大電流に耐える大容量の特殊なツェナーダイオードを使用しなければならなかった。また、この場合、単位セルのばらつきを抑えるには、全てのツェナーダイオードが作動するまで充電電流を流さなければならないため、単位セルのばらつき調整を行うと無駄に消費される電流が多いだけでなく、このようなばらつき調整を行った直後では、各単位セルは更なる充電ができない状態になっているため、回生電流が生じたとしても、全てバイパス回路にバイパスされてしまい、回生電流を有効利用することができないという問題があった。更に、ツェナーダイオードのしきい値電圧が低いと、バイパス回路が頻繁に作動することになるため、しきい値は、単位セルの使用電圧範囲の上限にほぼ均しくなるように設定しなければならず、設計の自由度が低いという問題もあった。
【0010】
一方、外部から動作を制御可能なバイパス回路を各単位セルに並列接続した後者の場合、これを実施しようとすると、図7の参考図に示すように、各単位セルC11〜Cmn毎にセル電圧検出回路(VSC)や抵抗,スイッチからなるバイパス回路BPを設けると共に、CPUを中心に構成され、各VSCにて検出されたセル電圧に基づいて、単位セル間のばらつき状態を判定したり、その判定結果に従ってバイパス回路を制御する等の処理を実行する制御装置が必要となる。
【0011】
そして、耐電圧や絶縁性,制御性の問題から、一つのCPUで受け持つことのできるセル数は、10〜20セル程度が限度である。このため、HEVやEVに動力源として使用する組電池等、数十から数百もの単位セルを直列接続する組電池に適用するには、組電池全体をn個(例えばn=10)の単位セルからなる複数セルグループCG1〜CGmに分割して、各セルグループCG1〜CGm毎に電圧検出とばらつき調整とを分担させた下位制御装置BCU_L1〜BCU_Lmを設けると共に、これら下位制御装置BCU_L1〜BCU_Lmを統括する上位制御装置BCU_Hを設けて、組電池全体を調整するという構成にしなければならない。
【0012】
例えば、比較的セル数を少なくできるリチウム電池でも、4〜8個ものセルグループ、即ち制御装置を設ける必要があり、これら制御装置を構成するCPUやCPU間の通信を行う通信I/F等の高価な電子部品が多数必要となるため、装置が複雑で高価なものとなり、また大型化してしまうという問題があった。
【0013】
本発明は、上記問題点を解決するために、充放電可能な二次電池を単位セルとして複数個直列に接続してなる組電池の充電状態を制御する制御装置において、簡易な構成にて単位セル間のばらつきを調整できるようにすることを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための発明である請求項1記載の充電状態装置では、充電制御手段が、組電池を貫流する主回路電流を一定の状態に制御することが可能な静止期間中に主回路電流を流すことにより、組電池の充電を行わせ、この充電制御手段による充電が開始された後、充電状態判定手段により組電池を構成する全ての単位セルの充電状態が調整電圧以上になっていると判定された場合に、放電起動手段が、充電制御手段による充電を終了させ、セル放電手段を起動する。
すると、組電池を構成する単位セル毎に設けられたセル放電手段は、単位セルのセル電圧が予め設定された調整電圧に達するまで単位セルを放電する。そして、単位セルのセル電圧が調整電圧になり、セル放電手段が放電を終了すると、これをセル放電手段が検出して、セル電圧が調整電圧以上になってもセル放電手段が作動しないようにセル放電手段を停止させる。
【0015】
このように、本発明の充電状態制御装置によれば、静止期間中にセル電圧の調整を行っているため、調整中に主回路電流が不規則に変動して、放電回路に大きな主回路電流が流れ込んでしまうことがなく、放電回路を電流容量の小さい部品を用いて小型かつ安価に構成することができる。
【0016】
また、放電回路による放電は、自動的に終了するため、単位セルを必要以上に放電してしまうことがなく確実にセル電圧を調整することができる。しかも、放電期間中に、単位セルのセル電圧を常時監視する必要がないため、そのような監視のための構成を設ける必要がなく、簡易な装置構成にて実現することができる。
【0017】
また、本発明の充電状態制御装置において、充電状態判定手段は、セルグループ毎にその両端電圧であるグループ電圧を検出する電圧検出手段での検出結果から、セルグループ毎にそのセルグループを構成する各単位セルの充電状態を判定するように構成され、更に、放電起動手段は、電圧検出手段での検出結果から、グループ電圧が最低となる最低セルグループを抽出し、この最低セルグループを構成する単位セルの平均セル電圧が、調整電圧に各単位セル間の電圧ばらつき量の予測値を加えた目標電圧以上となった場合に、組電池を構成する全ての単位セルの充電状態が調整電圧以上になっていると判定すると共に、セル放電手段をセルグループ毎に一括して制御するように構成されている。
【0018】
このように、セルグループ単位で制御を行うことにより、単位セル単位で制御を行う従来装置と比較して、これら充電状態判定手段や放電起動手段の構成が、大幅に簡易化されるため、装置をより小型かつ安価に構成することができる。
なお、この場合、先に説明した起動許可手段で使用される待機時間は、その待機時間の間に各単位セル間の電圧ばらつき量が予測値を越えてしまうことのないような長さに設定する必要がある。
【0019】
但し、各単位セル間の電圧ばらつき量が予測値を越えてしまうことにより、充電制御手段による充電後に調整電圧を越えていない単位セルが仮にあったとしても、その単位セルではセル放電手段による放電が行われないため、当該充電状態制御装置の動作によって、単位セル間の電圧ばららつきは、確実に圧縮されることになる。
また、組電池が一つのセルグループからなる場合とは、セルグループが組電池そのものであり、グループ電圧とは組電池の両端電圧のことであるとして考えればよい。
また、本発明の充電状態制御装置では、セル放電手段は、セル電圧を調整する時にのみ起動され、それ以外の時には作動しないように停止させているため、調整電圧をセル電圧の使用可能範囲内の任意の値に設定できる。
【0020】
なお、セル放電手段は、例えば、請求項2記載のように、逆降伏電圧が調整電圧に設定されたツェナーダイオード、このツェナーダイオードに流れる電流を制限する抵抗、これら抵抗及びツェナーダイオードが直列接続された電流経路を断続するスイッチ素子を単位セルに並列接続することにより構成することができる。このように構成されたセル放電手段は、スイッチ素子を閉成することで起動し、スイッチ素子を開放することで停止させることができる。
【0021】
また、充電制御手段による充電が行われる静止期間、即ち主回路電流を一定の状態に制御することが可能な静止期間とは、例えば、組電池がHEVやEVの駆動用バッテリである場合、負荷変動が生じたり回生電流による大きな充電電流が流れることのない期間のことである。
【0022】
また、放電停止手段は、請求項3記載のように、組電池の両端電圧の時間変化を検出し、その時間変化が予め設定された下限値を下回ると、全てのセル放電手段を一斉に停止させるようにしてもよい。つまり、いずれか一つの単位セルでもセル放電手段による放電が継続していれば、組電池の両端電圧は時間と共に変化するため、この時間変化が十分に小さくなった場合に、全ての単位セルでセル放電手段による放電が終了したものとみなすことができるのである。
【0023】
この場合、セル放電手段を停止させるタイミングを検出するための構成や、その検出結果に基づいてセル放電手段を停止させるための構成を、単位セル毎に設ける必要がないため、装置構成を簡易化できる。
なお、組電池の両端電圧の代わりに、組電池を構成する全ての単位セルの平均セル電圧や、組電池が複数のセルグループに分割されている場合には、組電池を構成する全てのセルグループの平均グループ電圧を用いても全く同等である。
【0024】
次に、請求項4記載の充電状態制御装置では、セル放電手段を停止させた後、予め設定された待機時間が経過すると、起動許可手段が、充電制御手段及びセル放電手段の起動を許可するようにされている。
従って、本発明の充電状態制御装置によれば、待機時間経過後の最初の静止状態の時にセル電圧の調整が行われ、ほぼ定期的に調整が行われることになり、充電状態(セル電圧)のばらつきを確実に解消することができる。
【0029】
次に、請求項5記載の充電状態制御装置では、セルグループ毎に主回路電流をバイパスするバイパス手段が設けられており、バイパス制御手段は、充電制御手段による充電中に、電圧検出手段にて検出されるグループ電圧が予め設定された上限値以上となったセルグループに対応するバイパス手段を作動させる。なお、上限値は、グループ電圧が上限値に等しくなった時に、そのセルグループを構成する各単位セルのセル電圧が、使用範囲の上限電圧を越えてしまうことのないような値に設定する必要がある。
【0030】
この場合、充電制御手段による充電によって、単位セルが過充電になってしまうことを確実に防止でき、装置の信頼性を向上させることができる。
ところで、組電池を構成する単位セルとしては、鉛電池,ニッケル系電池等様々なものを用いることができるが、請求項6に記載のように、リチウムイオンを吸蔵放出する材料からなる電極によって構成されるリチウム電池を用いることが望ましい。
【0031】
即ち、リチウム電池は、エネルギー密度が高く、しかも出力電圧が高いため、同じ高電圧を得るにしても、少ないセル数で、容量の大きな組電池を構成することができ、組電池自体や当該充電状態制御装置を小型軽量化することができる。
また、当該充電状態制御装置は、いかなる用途に使用される組電池に適用してもよいが、例えば請求項7に記載のように、電気自動車(EV)或いはハイブリッド電気自動車(HEV)の動力源として実装される車載用のものに適用すれば、EVやHEVの信頼性、耐久性を向上させることができる。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施形態を図面と共に説明する。
図1は、本発明が適用された実施形態の組電池システムの全体構成を表す回路図であり、ここでは、ハイブリッド自動車(HEV)の駆動系に組み込んだ状態を表している。
【0033】
図1に示すように、本実施形態の組電池システム2は、主電源ラインL,インバータ(INV)6を介してモータ及び発電機を兼ねる電動機(MG)8に接続されており、更に車両の走行状態や当該組電池システム2の状態等に応じて、電動機8の始動,停止や、インバータ6の動作方向等を制御するHEVコントローラ(VCU)4を備えている。
【0034】
そして、VCU4は、エンジンの運転効率のよい定速走行時等には、エンジンの駆動力を用いて走行する設定とし、この時、組電池システム2の充電量が不十分であれば、エンジンからの駆動力が電動機8に伝達され、且つ電動機8が発電機として動作し、電動機8にて発電された電力がインバータ6を介して組電池システム2に供給されるように設定して、組電池システム2に充電を行わせる。
【0035】
一方、エンジンの運転効率の悪い始動時やフル加速時等には、組電池システム2からの電力がインバータ6を介して電動機8に供給され、電動機8がこの組電池システム2からの供給電力によりモータとして動作するように設定し、電動機8からの駆動力を利用して走行するようにされている。
【0036】
次に、本実施例の組電池システム2は、充放電自在な二次電池であるリチウム電池を単位セルとして、この単位セルを多数直列接続してなる組電池10を備えている。組電池10は、それぞれが複数個の単位セルCi1〜Cin(本実施形態ではn=6)からなる複数のセルグループCG1〜CGmに分割されており、このセルグループCGi(i=1〜m)毎に、セルグループCGiを構成する各単位セルCi1〜Cinのセル電圧のばらつきを解消するセルばらつき調整回路CEUiが設けられている。
【0037】
また、組電池システム2は、組電池10の充放電時に主電源ラインLを流れる主回路電流を検出する電流センサ(CS)14と、電流センサ14からの検出信号IBや、組電池10の両端及びセルグループCGiの境界にて主電源ラインLから分岐させたセルグループ電圧検出線LS1〜LSm+1 を介して得られる電圧信号VS1〜VSm+1 に基づき、各セルばらつき調整回路CEUiに制御信号BCis,BCirを出力したり、VCU4に各種指令CMDを出力する等の処理を実行する組電池コントローラ(BCU)12を備えている。なお、BCU12は、各セルばらつき調整回路CEUiに対して、制御用電源ラインLDを介して電源供給も行うようにされている。
【0038】
そして、セルばらつき調整回路CEUiは、図2に示すように、セルグループCGiを構成する各単位セルCi1〜Cin毎に、これら単位セルCij(j=1〜n)に並列接続された放電回路Pij(j=1〜n)をそれぞれ備えている。
この放電回路Pijは、後述する調整電圧Vzと同じ大きさの逆降伏電圧を有するツェナーダイオードDpと、ツェナーダイオードDpに流れる電流を制限する抵抗Rpと、これらツェナーダイオードDp及び抵抗Rpへの電流経路を開閉するトランジスタTpと、抵抗及びダイオードからなりトランジスタTpをオン,オフ駆動するためのバイアス回路Bpとからなる。なお、各放電回路Pijのバイアス回路Bpは、いずれもトランジスタTdを介してセルグループ電圧検出線LSi+1 に接続されている。
【0039】
また、セルばらつき調整回路CEUiでは、BCU12から供給される制御信号(以下「セットパルス」という)BCis,BCirは、それぞれフォトカプラ20,22を介して、RSフリップフロップ回路24に供給され、このRSフリップフロップ回路24の出力により、トランジスタTdがオンオフ制御されるように構成されている。
【0040】
但し、RSフリップフロップ回路24は、制御信号(以下「セットパルス」という)BCisにより、出力Qがハイレベルとなるようセットされ、制御信号(以下「リセットパルス」という)BCirにより、出力Qがロウレベルとなるようリセットされる。また、セルばらつき調整回路CEUi内において、RSフリップフロップ回路24は、セルグループCGiから電源供給を受けて動作し、また、フォトカプラ20,22は、入力側がBCU12からの制御用電源ラインLDを介して電源供給を受け、出力側がセルグループCGiから電源供給を受けて動作するように構成されている。
【0041】
このように構成されたセルばらつき調整回路CEUiでは、セットパルスBCisが入力されると、トランジスタTdがオンして、セルばらつき調整回路CEUiを構成する全ての放電回路Pi1〜Pinのバイアス回路Bpに電流が流れて、トランジスタTpがオンするため、各放電回路Pi1〜Pinでは、抵抗Rp,ツェナーダイオードDpを介した単位セルCi1〜Cinの放電が可能となる。但し、各放電回路Pijは、単位セルCijのセル電圧が調整電圧Vz以上である場合にのみ放電を行う。一方、リセットパルスBCirが入力されるとトランジスタTdがオフし、その結果、セルばらつき調整回路CEUiを構成する全ての放電回路Pi1〜Pinでは、抵抗Rp,ツェナーダイオードDpを介した単位セルCi1〜Cinの放電が停止される。
【0042】
つまり、セットパルスBCis,リセットパルスBCirを用いて、セルばらつき調整回路CEUi(放電回路Pi1〜Pin)を起動,停止することにより、各単位セルC11〜Cmnの放電を、セルグループCGi(Ci1〜Cin)毎に一括して制御できるようにされている。
【0043】
一方、BCU12は、セルグループ電圧検出線LSi,LSi+1 間の電圧、即ちセルグループCGiのグループ電圧VGi(=VSi−VSi+1 )を検出する電圧検出回路VSCiと、抵抗Rgp、トランジスタTgpからなり、セルグループ電圧検出線LSi,LSi+1 間を導通させるグループバイパス回路GBiと、CEUiへのセットパルスBCisを供給する制御線に接続されたトランジスタTsiと、CEUiへのリセットパルスBCirを供給する制御線に接続されたトランジスタTriとを、各セルグループCG1〜CGm毎に有している。
【0044】
また、BCU12は、各セルグループCG1〜CGm毎に設けられた電圧検出回路VSC1〜VSCmのいずれか一つを選択して、選択された電圧検出回路VSCiにて検出されたグループ電圧VGiを取り込むためのマルチプレクサ(MPX)30と、各セルグループCG1〜CGmのいずれかを選択して、選択されたセルグループCGiに対応するグループバイパス回路GBi,及びトランジスタTsi,Triをそれぞれオン,オフするための制御信号を出力するデコーダ(DEC1〜DEC3)32,34,36と、マルチプレクサ30を介して得られるグループ電圧VG1〜VGmや、イグニションスイッチの操作状態を表す信号IG、電流センサ14からの検出信号IBに基づいて、セルばらつき調整装置CEUiに対する制御信号BCis,BCirや、VCU4への各種指令CMDを生成する等の処理を実行する演算処理装置(CPU)38と、その処理に必要なデータ等を記憶するメモリ40とを備えている。
【0045】
このように構成された組電池システム2では、電動機8がモータとして使用されている時には、組電池10の両端に接続された主電源ラインLを介して、組電池10に蓄積された電力を電動機8に供給し、逆に、電動機8が発電機として使用されている時には、主電源ラインLを介して電動機8から供給される電力が組電池10に充電される。
【0046】
また、組電池10の充放電を繰り返すことにより、単位セル間のセル電圧のばらつきが拡大すると、セルグループCG1〜CGm毎に単位セルC11〜Cmnの放電を制御するセルばらつき調整回路CEU1〜CEUmを用いて、全ての単位セルC11〜Cmnのセル電圧を調整電圧Vzに揃えることにより、単位セルCij間のセル電圧のばらつきを解消する制御が行われる。
【0047】
なお、セルばらつき調整回路CEUiを起動するセットパルスBCisは、デコーダ34を介してトランジスタTsiを一瞬閉じることにより生成され、セルばらつき調整回路CEUiを停止させるリセットパルスBCirは、同様にデコーダ36を介してトランジスタTriを一瞬閉じることにより生成される。
【0048】
以下、各単位セルC11〜Cmn間のセル電圧のばらつきを解消するためにCPU38が実行する均等化処理を、図3〜5に示すフローチャートに沿って詳しく説明する。
なお、CPU38は、BCU12の電源をオフするとスリープ状態に遷移すると共に、スリープ状態でも作動するタイマーを備えており、このタイマーを用いて、スリープ状態からCPU38自身を起床できるように構成されている。
【0049】
図3に示すように、本処理では、最後に均等化フラグのリセット(後述のS470での処理)が行われてから、予め設定された待機時間(本実施形態では例えば72〜168時間)が経過したか否かを判断し(S110)、待機時間を経過していれば均等化フラグをセット(S120)する。この待機時間は、自己放電のばらつき等に基づく単位セルC11〜Cmn間のセル電圧のばらつきが、後述する所定値Δに達するまでの時間を予測し、その予測時間に安全係数α(0<α≦1)を乗じた時間に設定すればよい。
【0050】
次に、信号IGに基づいてイグニションスイッチがオフされたか否かを判断し(S130)、オフされていなければS110に戻る。一方、S130にて、イグニションスイッチがオフされていると判定された場合には、均等化フラグがセットされているか否かを判断し(S140)、セットされていなければ、BCU12の電源をオフし(S150)、監視処理(S170:詳細は後述)を実行した後、本処理を終了する。
【0051】
一方、S140にて、均等化フラグがセットされていると判定された場合には、単位セルC11〜Cmn間のセル電圧のばらつきを解消する動作を開始するものとして、予備充電処理を実行し(S160)、本処理を終了する。
ここで、予備充電処理の詳細を、図4に示すフローチャートに沿って説明する。
【0052】
即ち、本処理では、図4に示すように、まずマルチプレクサ30を介して各セルグループCG1〜CGmのグループ電圧VG1〜VGmを読み込むと共に、読み込んだグループ電圧VG1〜VGmに基づいて、グループ電圧が最低となる最低セルグループCGmin を抽出し、この最低セルグループCGmin を構成する単位セルの平均電圧である最低グループ平均セル電圧LVCav(=VGmin /n)を算出する(S210)。
【0053】
次に、調整電圧(ツェナーダイオードDpの逆降伏電圧)Vzに、単位セルC11〜Cmn間のセル電圧のばらつき量の予測値Δを加えたものを判定しきい値Vth(=Vz+Δ)とし、先のS210にて算出した最低グループ平均セル電圧LVCavが、判定しきい値Vth以上であるか否かを判断する(S220)。なお、予測値Δは、例えばセルグループ内の平均セル電圧をVCav、最低セル電圧をVCmin とした場合に、Δ≧VCav−VCmin となるように設定する。
【0054】
そして、最低グループ平均セル電圧LVCavが、判定しきい値Vthより小さいと判定された場合には、先のS210にて取得したグループ電圧VG1〜VGmが、予め設定された上限値VH以上となっているセルグループCGiがあれば、そのセルグループCGiに対応するグループバイパス回路GBiを導通させることにより、これらのセルグループCGiへの充電が回避されるように設定した後(S230)、VCU4に対して充電指令を出力する(S240)。
【0055】
なお、上限値VHは、グループ電圧VGiが上限値VHに等しくなった時に、そのセルグループCGiを構成する各単位セルCi1〜Cinのセル電圧が、使用範囲の上限電圧を越えてしまうことのないような値に設定する必要がある。例えば、セルグループCGiを構成する全ての単位セルCi1〜Cinのセル電圧が、その使用範囲の上限電圧になっていると仮定した場合の上限グループ電圧から、単位セルC11〜Cmn間の電圧ばらつき量の予測値を減じて、更に安全係数β(0<β≦1)を乗じた値を、上限値VHとして設定すればよい。
【0056】
また、VCU4は、イグニションスイッチがオフされても、BCU12から充電指令が入力された場合には、組電池システム2への充電電流の供給を可能とするためにエンジンの動作を継続させ、その後、BCU12から充電停止指令(後述する)が入力された時点でエンジンを停止させる。一方、イグニションスイッチがオフされ、且つBCU12からの充電指令が入力されなかった場合には、そのままエンジンを停止させるように動作する。
【0057】
更に、充電指令が入力されたVCU4は、電動機8を発電機として使用する設定にして、予め決められた大きさの主回路電流Icを流すことにより、組電池10の充電を開始する。但し、主回路電流Icの大きさは、最低グループ平均セル電圧LVCavが、予め設定された充電電流切替判定値(本実施形態では調整電圧Vz)より小さい場合には第1電流値Ic1となり、所定電圧以上である場合には第1電流値より小さい第2電流値Ic2(<Ic1)となるように設定する。
【0058】
次に、イグニションスイッチがオンされたか否かを判断し(S250)、オンされていれば、VCU4に対して充電停止指令を出力すると共に、S230,S280にてオンされたグループバイパス回路GBiをオフした後(S300)、S110に戻る。
【0059】
一方、S250にて、イグニションスイッチがオフされたままであると判定された場合、先のS210と同様に、グループ電圧VG1〜VGmの取得と、最低グループ平均セル電圧LVCavの算出を行い(S260)、先のS220と同様に、この最低グループ平均セル電圧LVCavが判定しきい値Vth以上であるか否かを判断する(S270)。
【0060】
その結果、最低グループ平均セル電圧LVCavが判定しきい値Vthより小さければ、先のS230と同様に、グループ電圧VGiが上限値VH以上であるセルグループCGiに対応するグループバイパス回路GBiを導通させた後(S280)、S250に戻る。
【0061】
なお、S280では、最低グループ平均セル電圧LVCavが充電電流切替判定値Vzに達した時点で、主回路電流をIc1からIc2(<Ic1)に減少させるための指令をVCU4に対して出力する。
一方、S270にて最低グループ平均セル電圧LVCavが判定しきい値Vth以上であると判定された場合には、S300と同様に、VCU4に対して充電停止指令を出力すると共に、S230,S280にてオンされたグループバイパス回路GBiをオフする(S290)。
【0062】
このS290が実行されるか、或いは先のS220にて最低グループ平均セル電圧LVCavが判定しきい値Vth以上であると判定された場合には、順次セットパルスTs1〜Tsmを出力することにより、全てのセルばらつき調整回路CEU1〜CEUm、即ち全ての放電回路P11〜Pmnを起動した後(S310)、先のS150と同様に、BCU12の電源をオフして(S320)、本処理を終了する。
【0063】
つまり、本処理では、最低グループ平均セル電圧LVCavが判定しきい値Vthに達するまで組電池10の充電を行っており、最低グループ平均セル電圧LVCavが、充電電流切替判定値Vzに達するまでは、主回路電流Icを第1の電流値Ic1にして高速な充電を行い、その後、判定しきい値Vthに達するまでは、主回路電流Icを第2の電流値Ic2に下げて充電を行っている。また、この時、グループ電圧VGiが上限値VHを越えて必要以上に充電されてしまうことのないように、セルグループCG1〜CGm単位で、主回路電流(充電電流)Icのバイパス制御を行っている。
【0064】
ところで、先のS150及びS320により、BCU12の電源がオフされると、次にイグニションスイッチがオンされるまでの間、CPU38はスリープ状態となり、この間、常時作動しているタイマーによって周期的(本実施形態では15〜60分)に、BCU12の電源をオンすることによりCPU38が起動され、監視処理(S170)を実行する。
【0065】
この監視処理の詳細を、図5に示すフローチャートに沿って説明する。
本処理が起動されると、まず、信号IGに基づいてイグニションスイッチがオンされているか否かを判断し(S410)、オンされていれば、BCU12の電源をオンし、また、均等化フラグがセットされていれば、デコーダ34を介してセットパルスBC1s〜BCmsを出力することにより、セルばらつき調整回路CEU1〜CEUm,即ち放電回路P11〜Pmnを全て停止させて(S420)、本処理を終了する。
【0066】
一方、イグニションスイッチがオフされたままであれば、均等化フラグがセットされているかを判断し(S430)、セットされていなければ、そのまま本処理を終了する。一方、均等化フラグがセットされていれば、今度は、処理実行タイミングであるか否かを判断し(S440)、処理実行タイミングでなければ、そのまま本処理を終了する。なお、CPU38の起床毎に、以下に説明する処理(S450〜S510)を実行するのであれば、S440は省略してもよい。
【0067】
S440にて、処理実行タイミングであると判定された場合、BCU12の電源をオンし(S450)、マルチプレクサ30を介して各セルグループCG1〜CGmのグループ電圧VG1〜VGmを検出し(S460)、その検出結果から、グループ電圧平均値VGav(=(CG1+CG2+…+CGm)/m)を算出する(S470)。
【0068】
そして、予め設定されている比較値CVGから、グループ電圧平均値VGavを減算した値が、終了判定値δ以下であるか否かを判断し(S480)、終了判定値δ以下であれば、デコーダ34を介してセットパルスBC1s〜BCmsを出力することにより、セルばらつき調整回路CEU1〜CEUm,即ち放電回路P11〜Pmnを全て停止させると共に、均等化フラグをリセットした後(S490)、BCU12の電源をオフして(S510)、本処理を終了する。
【0069】
一方、S480にて、減算値CVG−VGavが終了判定値δより大きいと判定された場合には、S470にて算出されたグループ電圧平均値VGavにて比較値CVGを更新(S500)した後、同様に、BCU12の電源をオフして(S510)、本処理を終了する。
【0070】
つまり、本処理では、均等化フラグがオンであれば、処理実行タイミング毎に、グループ電圧平均値VGavを求め、その算出値が、前回の算出値CVGと比較してほとんど変化していないようであれば、全ての放電回路P11〜Pmnが放電が終了したものとして、放電回路P11〜Pmnを停止させ、均等化フラグをオフする。また、放電が終了する前に、イグニションスイッチがオンした場合には、次回イグニションスイッチがオフした時に、セル電圧の調整が行われるように、均等化フラグをオンのまま保持するようにされている。
【0071】
ここで、本実施形態の組電池システム2の動作を、図6に示すグラフに沿って説明する。なお、ここでは、セルグループCGiが、4個の単位セルCi1〜Ci4からなり、図中のセル電圧及び放電電流は、最低セルグループについてのものを示した。また、時刻t1の時点では、均等化フラグがセットされているものとする。
【0072】
図6に示すように、イグニションスイッチがオンである間(時刻t0〜t1)、主回路電流Icは、HEVの運転状態に応じた充放電を繰り返し、イグニションスイッチがオフされると(時刻t1)、一定の主回路電流Icによる組電池10への充電が開始される。この時、最低グループ平均セル電圧LVCavが、充電電流切替判定値Vzより小さいため、主回路電流Icの大きさは、第1の電流値Ic1に設定され、急速に充電が進行する。
【0073】
これにより、最低グループ平均セル電圧LVCavが、充電電流切替判定値Vzに達すると(時刻t11)、組電池10を充電する主回路電流Icは、第2の電流値Ic2に低下し、緩やかに充電が進む。
その後、最低グループ平均セル電圧LVCavが、判定しきい値Vthに達すると(時刻t2)、主回路電流Icの供給が停止され、セルばらつき調整回路CEU1〜CEUm、即ち放電回路P11〜Pmnによる単位セルC11〜Cmnの放電が開始されると共に、BCU12の電源がオフされる。
【0074】
これにより、各単位セルCijのセル電圧は徐々に低下し、これに伴って放電回路Pijを流れる電流も徐々に低下する。なお、全ての単位セルC11〜Cmnのセル電圧は、少なくとも調整電圧Vzを上回っているので、各単位セルCijはセル電圧が調整電圧Vzに等しくなるまで放電回路Pijを介した放電が行われ、調整電圧Vzに等しくなると、トランジスタTpがONしていても、抵抗Rpの両端の電位差がなくなるため、自動的に放電が終了する。
【0075】
また、BCU12の電源オフ後、周期的に起床するCPU38によって、処理実行タイミング毎にBCU12の電源が投入され、グループ電圧VG1〜VGmの監視が行われる。
先に説明したように、調整電圧Vzに達したセルから放電を順次終了(図では、単位セルCi4(時刻t21),Ci3(時刻t22),Ci2(時刻t23),Ci1(時刻t24)の順)するため、周期的に検出されるグループ電圧平均値VGavの変化率も、これに伴って小さくなり、全ての単位セルC11〜Cmnが放電を終了すると(時刻t24以降)、グループ電圧平均値VGavの変化率はほぼゼロとなる。これが検出されると(時刻t3)、セルグループ内の全てのセル電圧はVzに均しく調整されたものとして、セルばらつき調整装置CEU1〜CEUm、即ち放電回路P11〜Pmnがオフにされ、均等化フラグもリセットされる。以後、待機時間を経過する毎に、イグニションスイッチがオフされると同様の処理が実行される。
【0076】
なお、図示しないが、全ての単位セルC11〜Cmnが放電を終了する前(時刻t24以前)に、イグニションスイッチがオンした場合には、放電回路は直ちに停止されるが、均等化が完了したわけではないので、均等化フラグはセットしたままとされ、次回ののIGオフ時に、同様の処理が再度実行されることになる。
【0077】
以上説明したように、本実施形態の組電池システム2では、放電回路Pijを任意に起動,停止させることができ、しかもツェナーダイオードDpの逆降伏電圧Vzを利用して、各単位セルC11〜Cmnのセル電圧を、一定に調整(均等化)するようにされている。
【0078】
従って、本実施形態の組電池システム2によれば、単位セルCijが調整電圧Vzに達すると放電回路Pijによる放電が自動的に終了するため、各単位セル毎にそのセル電圧を検出する必要がなく、システム構成を大幅に簡素化できる。
また、本実施形態では、セル電圧の調整動作を行っていない時には、放電回路Pijに主回路電流が流れ込まないようにできるため、調整電圧(即ち、ツェナーダイオードの逆降伏電圧)Vzを、単位セルCijの電圧使用範囲内の任意の値に設定することができる。
【0079】
その結果、例えば、調整電圧Vzを、単位セルCijの電圧使用範囲の中間に設定すれば、ばらつき調整を行った直後であっても、単位セルC11〜Cmn(即ち組電池10)の満充電までの空容量に余裕があり、回生電流を受け入れることが可能なため、回生電流を有効利用することができる。
【0080】
更に、本実施形態では、イグニションスイッチがオフされている期間、即ち、負荷変動がなく安定した主回路電流を流すことができる期間にセル電圧のばらつき調整(均等化)を行っているため、予期できない大きな電流が放電回路P11〜Pmnに流れ込むことがなく、しかも、比較的長い時間をかけて調整することが可能であるため、放電回路P11〜Pmnを構成する部品(ツェナーダイオード等)の電流容量を小さくすることができ、システムの小型化,低コスト化を図ることができる。
【0081】
また、本実施形態では、放電回路P11〜Pmnの起動/停止(オン/オフ)を、セルグループCG1〜CGm毎に、一括して行うように構成されているため、単位セル毎に、制御を行う従来装置と比較して、単位セル間のセル電圧のばらつきを調整するために必要な構成を大幅に削減することができる。
【0082】
また、本実施形態では、放電回路P11〜Pmnでの放電の終了を、各セルグループCG1〜CGmのグループ電圧VG1〜VGmのみに基づいて判定しているため、簡易な構成にて簡単かつ速やかに判定できる。
また、本実施形態では、セル電圧のばらつき調整のための充電中に、グループ電圧VGiが上限値VHに達したセルグループCGiについては、対応するグループバイパス回路GBiを導通させて、それ以上充電が進むことのないようにされているので、この充電による、単位セルC11〜Cmnの過充電を確実に防止でき、装置の信頼性を向上させることができる。
【0083】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、様々な態様にて実施することが可能である。
例えば、上記実施形態では、放電回路P11〜Pmnでの放電の終了を、グループ電圧平均値VGavを用いて判定しているが、組電池の両端電圧を用いて判定するようにしてもよい。
【0084】
また、上記実施形態では、全ての放電回路P11〜Pmnが放電を終了してから、これら放電回路P11〜Pmnを一括して停止させるようにしているが、セルグループCG1〜CGm毎に、グループ電圧の変化率に基づいて放電終了の判定を行い、放電が終了したと判定されたものから順番に、セルグループ単位で放電回路Pi1〜Pinを停止させるようにしてもよい。
【0085】
更に、上記実施形態では、最低グループ平均セル電圧LVCavの大きさにより、主回路電流(充電電流)Icの大きさを変化させているが、グループパイパス回路GB1〜GBmのうち、いずれか一つでも導通した時に、主回路電流Icを小さくするようにしてもよい。この場合、グループバイパス回路GB1〜GBmを流れる電流値の上限が制限されるため、構成部品の電流容量を小さくすることができる。
【0086】
また、上記実施形態では、セル電圧のばらつきを直接検出することなく、待機時間が経過する毎に、セル電圧の均等化を行うようにされているが、例えば、充電量(SOC)に対する電圧勾配が通常使用範囲と過充電または過放電範囲とで大きく異なる電池を使用している場合には、特開2000−134805号公報に開示されているように、単位セルの電圧特性を利用してセルグループ電圧からセルばらつきを判定し、単位セルのばらつきが検出されてからセル電圧の均等化を行うようにしてもよい。この場合、均等化が無駄に実施されることを確実に防止することができる。
【0087】
また更に、上記実施形態では、セルばらつき調整回路CEUiにおいて、放電回路Pi1〜Pinの起動/停止を制御するトランジスタTdのオン/オフ状態を、RSフリップフロップ回路24で保持するようにされているが、トランジスタTdの代わりに、フォトカプラを設けて、フォトカプラ20,22、RSフリップフロップ回路24を省略した構成としてもよい。この場合、セルばらつき調整回路CEU1〜CEUmの構成を簡易化できる。
【0088】
また、上記実施形態では、各セルグループCGiを構成する単位セルの個数nをn=6としているが、これに限定されるものではなく、使用する単位セルの耐電圧や制御性、組電池全体の構成との兼ね合い等から、適当なセル数を設定すればよい。但し、セルばらつき調整回路CEU1〜CEUmをIC化する場合は、IC回路の耐電圧とリチウム電池の平均電圧とを考慮すると、6個以内にすることが望ましい。
【0089】
また、上記実施形態では、単位セルとしてリチウム電池を用いているが、これに限らず、鉛電池,ニッケル系電池等、任意の二次電池を単位セルとして用いることができる。
なお、水溶性の電解液を用いて構成された二次電池の場合、均等充電によるばらつきの調整が可能ではあるが、本発明を適用することにより、組電池10を構成する各単位セルC11〜Cmnのセル電圧をより一層均一に調整することが可能となり、単位セルC11〜Cmnの過充電や過放電を防ぎながら組電池10として持てるエネルギーを十分に引き出すことができるので、組電池10の性能や寿命を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施形態の組電池システムの全体構成、及び組電池システムが組み込まれたハイブリッド自動車の駆動系の要部を表すブロック図である。
【図2】 セルばらつき調整回路、及び組電池コントローラの構成を表す回路図である。
【図3】 均等化処理の内容を表すフローチャートである。
【図4】 予備充電処理の内容を表すフローチャートである。
【図5】 監視処理の内容を表すフローチャートである。
【図6】 組電池システム各部の動作や状態を表す説明図である。
【図7】 従来装置の構成を表すブロック図である。
【符号の説明】
2…組電池システム 4…HEVコントローラ(VCU)
6…インバータ 8…電動機 10…組電池
12…組電池コントローラ(BCU) 14…電流センサ
20,22…フォトカプラ 24…RSフリップフロップ回路
30…マルチプレクサ 32,34,36…デコーダ 40…メモリ
CG1〜CGm…セルグループ C11〜Cmn…単位セル L…主電源ライン
LD…制御用電源ライン LS1〜LSm+1…セルグループ電圧検出線
CEU1〜CEUm…セルばらつき調整回路 P11〜Pmn…放電回路
Bp…バイアス回路 Dp…ツェナーダイオード Rp…抵抗
Tp,Td,Ts1〜Tsm,Tr1〜Trm…トランジスタ
GB1〜GBm…グループバイパス回路 VSC1〜VSCm…電圧検出回路
Claims (7)
- 充放電可能な二次電池を単位セルとし、該単位セルを複数個直列に接続してなり、且つ、それぞれが複数個の単位セルからなる1ないし複数個のセルグループを有する組電池の充電状態を制御する充電状態制御装置であって、
前記組電池を構成する各単位セルの充電状態を判定する充電状態判定手段と、
前記組電池を構成する単位セル毎に設けられ、起動すると前記単位セルのセル電圧が予め設定された調整電圧に達するまで該単位セルを放電するセル放電手段と、
前記組電池を貫流する主回路電流を一定の状態に制御することが可能な静止期間中に前記主回路電流を流して、該組電池の充電を行わせる充電制御手段と、
該充電制御手段による充電が開始された後、前記充電状態判定手段により前記組電池を構成する全ての単位セルの充電状態が前記調整電圧以上になっていると判定された場合に、前記充電制御手段による充電を終了させ、前記セル放電手段を起動する放電起動手段と、
前記セル放電手段の放電終了を検出して、該セル放電手段を停止させる放電停止手段と、
を備え、
前記充電状態判定手段は、前記セルグループ毎に該セルグループの両端電圧であるグループ電圧を検出する電圧検出手段を備え、該電圧検出手段での検出結果から、前記セルグループ毎に該セルグループを構成する各単位セルの充電状態を判定し、
前記放電起動手段は、前記電圧検出手段での検出結果から、前記グループ電圧が最低となる最低セルグループを抽出し、該最低セルグループを構成する単位セルの平均セル電圧が、前記調整電圧に各単位セル間の電圧ばらつき量の予測値を加えた目標電圧以上となった場合に、前記組電池を構成する全ての単位セルの充電状態が前記調整電圧以上になっていると判定すると共に、前記セル放電手段を前記セルグループ毎に一括して制御することを特徴とする充電状態制御装置。 - 前記セル放電手段は、逆降伏電圧が前記調整電圧に設定されたツェナーダイオード、該ツェナーダイオードに流れる電流を制限する抵抗、該抵抗及び前記ツェナーダイオードが直列接続された電流経路を断続するスイッチ素子を前記単位セルに並列接続してなり、前記スイッチ素子を閉成することで起動し、該スイッチ素子を開放することで停止することを特徴とする請求項1記載の充電状態制御装置。
- 前記充電制御手段は、イグニションスイッチのオフ期間を前記静止期間とすることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の充電状態制御装置。
- 前記セル放電手段の停止後、予め設定された待機時間が経過すると、前記充電制御手段及び前記セル放電手段の起動を許可する起動許可手段を設けたことを特徴とする請求項1ないし請求項3いずれか記載の充電状態制御装置。
- 前記セルグループ毎に設けられ、前記主回路電流をバイパスするバイパス手段と、
前記充電制御手段による充電中に、前記電圧検出手段にて検出されるグループ電圧が予め設定された上限値以上となったセルグループに対応する前記バイパス手段を作動させるバイパス制御手段と、
を設けたことを特徴とする請求項1ないし請求項4いずれか記載の充電状態制御装置。 - 前記単位セルは、リチウムイオンを吸蔵放出する材料からなる電極によって構成されるリチウム電池であることを特徴とする請求項1ないし請求項5いずれか記載の充電状態制御装置。
- 前記組電池は、電気自動車或いはハイブリッド電気自動車の動力源として実装される車載用のものであることを特徴とする請求項1ないし請求項6いずれか記載の充電状態制御装置。
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