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JP4187812B2 - 精密基板保持具 - Google Patents

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JP4187812B2
JP4187812B2 JP29985297A JP29985297A JP4187812B2 JP 4187812 B2 JP4187812 B2 JP 4187812B2 JP 29985297 A JP29985297 A JP 29985297A JP 29985297 A JP29985297 A JP 29985297A JP 4187812 B2 JP4187812 B2 JP 4187812B2
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雅隆 吉岡
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Shin Etsu Handotai Co Ltd
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Shin Etsu Polymer Co Ltd
Shin Etsu Handotai Co Ltd
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明の精密基板保持具(以下、単に基板保持具という)は、半導体シリコンウエーハ、フォトマスクガラス、ペリクル膜を張設したペリクルフレーム等の精密基板(以下、単に基板という)の収納容器に使用される基板保持具に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、シリコンウエーハやフォトマスクガラスなどの基板は大型化が進み、自重が増加している。その結果、取扱い、搬送時の落下衝撃などで熱可塑性樹脂製基板保持具が受ける力は増大し、基板保持具に対する形状的補強だけでは剛性が不足し、基板を損傷してしまうというトラブルが発生していた。
【0003】
図3は、従来の基板保持具aを示す概略平面図であり、基板保持具aのリブbに基板cが保持される構成となっている。この基板保持具aは、基板cのガタツキや基板同士の接触を防止するため、基板容器(図示を省略)に基板cを収納した後、基板cの上方からリブbに沿って基板cの端縁が接するようにセットされ、基板cを保持するものであり、嵌合溝dで基板容器に係合、保持される。
【0004】
基板は基板容器内で基板保持具により保持されているが、基板保持具が熱可塑性樹脂などの弾性樹脂材で成形されているため、基板容器に落下衝撃などの衝撃力が加えられると、図4に示すように、嵌合溝dで係合された基板保持具aは撓み変形を生じ、基板cがリブbから脱離して基板同士が接触し、損傷する。
例えば、直径300 mmの半導体ウエーハの厚さは0.7 〜1.2 mmと極めて薄く、僅かな接触によっても損傷する。このようなトラブルを防止するには、直径300 mmのウエーハを13枚収容する基板容器の場合、高さ1000mmからの落下衝撃に対してもしっかりと基板を保持できる耐久性が要求される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来の基板保持具は、基板に対する衝撃緩衝機能を考慮し、弾性樹脂材料を射出成形して形成されていた。このような弾性樹脂材による射出成形品は、弾性を必要としない部位までも弾性樹脂材で成形されていた。このため、強度が必要な枠部では剛性が不足する場合が多く、肉厚を厚くしたり、リブを取り付けて形状的に補強していた。
このような基板保持具の強度は材質的に限界があるため、あまり期待できず、上記形状的補強のみでは製品形状からの制約が多く、対応が困難であった。
これらの方法は、使用する材料が増えてコストアップにつながるばかりでなく、ヒケなどの成形不良を招く原因でもあった。
【0006】
本発明の目的は、基板容器内にセットされた基板保持具の、落下衝撃などの際に生じる撓み量を改善し、基板をしっかりと保持できる基板保持具を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決してなり、本発明の基板保持具は、複数の精密基板が垂直方向に並列に収納された容器内の精密基板を上方から接触状に保持する基板保持具であって、嵌合端部、中央部及び他端部が弾性樹脂により一体に形成されてなり、その保持具の一対が前記基板の上側辺縁の中央部の両側に前記嵌合端部を対向状に基板辺縁に沿って対称にあてがわれ、容器の蓋の内側の凸部を受け入れる嵌合凹部が形成された嵌合端部は、補強材により補強された剛性部に形成され、該嵌合端部に連接する中央部には、前記基板の対応する辺縁箇所を受止め保持するリブが形成され、それに続く他端部は前記基板の辺縁に沿って外側に延びる長尺体に形成されている。
前記剛性部は、補強材をインサートしたキャビティ内に弾性樹脂材を射出成形して、あるいは、弾性樹脂材で被覆された補強材をインサートしたものでもよい。
【0008】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の基板保持具による基板の保持状態を示す概略断面図であり、基板収納容器(図示せず)内に垂直方向に並列に収納された多数の円盤状基板の一枚の基板の外周辺縁部の上側を本発明の保持具の一対によって接触状に弾力的に保持する状態を示している。
本発明の基板保持具1は、リブ2で基板3を保持しており、衝撃力が加わったときの撓みを少なくするために、基板容器と接する上端部近傍に、コの字状に折り曲げた補強材4を弾性樹脂材とともにインサート成形して、一部に補強材4で補強された剛性部5を形成したものであり、さらに、この上端部には基板容器と係合する係合部として嵌合凹部6が形成されている。基板が高さ1000mmからの落下衝撃に耐え得るためには、補強材4は厚さ0.6 〜1.2 mmの金属製の板で充分である。この金属板の厚さは、0.6 mm未満では撓みの改善が十分ではないおそれがあり、1.2 mmを超えると、金属板を覆う弾性樹脂材の肉厚が薄くなりやすく、金属面が露出するおそれがある。基板保持具1の嵌合凹部6は、図示を省略した基板容器の本体または蓋体の内面に設けられた基板容器側の対応する係合部に係合され、基板保持具1は基板容器に固定される。
【0009】
なお、補強材4で補強する剛性部5の位置は、基板保持具1の基板容器と係合する嵌合凹部6やリブ2の位置を考慮して適宜実験的に定めればよいが、好ましくは図1に示すように、基板保持具1の一端部(図では上端部)または両端部(図示を省略)に板状の補強材4をインサートするか、あるいは後述の図2に示すように、丸棒を端部近傍(図では上端部)に埋め込んでもよい。
基板保持具1は、基板容器から嵌合凹部6(係合部)を介して伝えられる衝撃力を、端部に設けられた剛性部5で受け、弾性樹脂材からなるリブ周辺で吸収するものである。
【0010】
金属板の材質はステンレス鋼が好ましい。硬質鋼板は安価であるが錆びやすく、錆びによる酸化鉄は脆く、金型内へはめ込むとき剥離すると基板保持具の表面に異物となって現れやすいので、予め基板保持具を形成する弾性樹脂材と同じ弾性樹脂材で被覆したものをインサートするのがよい。真鍮製の場合は錆びにくいが、半導体部品に悪影響を及ぼすおそれがあり、予め被覆したものを用い単体でのインサートは避けた方が好ましい。
また、補強材として金属板の代わりにフィラー入りの熱可塑性プラスチック成形部材を用いることもできるが、この場合でも高さ1000mmからの落下衝撃に耐え得るだけの強度を有するものを選択して使用する。
【0011】
本発明の基板保持具を図2を用いてさらに説明する。図2は、本発明の異なる態様の基板保持具1による基板3の保持状態を示す概略断面図である。この態様は、基板保持具1の剛性部5とすべき所定の箇所、図2では上端部に嵌合凹部6を設け、この嵌合凹部6に補強材4をインサートするものである。例えば、図2に示すように、補強材4として丸棒が上部または下部からインサートされ、剛性部5が形成されている。このようなインサートに用いられる棒材の形状は、断面形状が円形状のものが好ましいが、これ以外に長方形状、正方形状、または六角形状であってもよい。補強材4のインサートは、図2では、基板保持具1の下方からインサートするものであるが、軸方向(図の奥行き方向)から嵌入するのであれば、断面形状がH型、I型、またはC型の棒材を用いることもできる。
【0012】
補強材として用いる棒材の断面寸法は、形状が丸棒の場合で最大直径6.0 mm、その他の形状の場合は直径6.0 mmの円内に納まることが好ましい。
これらの棒材の材質は、金属ならばステンレス鋼が好ましく、撓み量が4.8 mm以下であれば、熱可塑性プラスチック成形部材でもよい。
【0013】
本発明の基板保持具に用いられる弾性樹脂材は、透明あるいは着色無地のPE、PPなどのポリオレフィン、ABS 、PS、PC、PBT 等の熱可塑性樹脂、あるいはポリエステル系、ポリオレフィン系、ポリスチレン系等の熱可塑性エラストマ樹脂で形成することにより、基板との接触はソフトとなり、基板の損傷を低減することができる。なかでも弾性等の面からPE、ポリエステル系の熱可塑性エラストマ樹脂が好ましい。
【0014】
このように補強材によって補強された剛性部を有する基板保持具の変形量は、補強材の変形量が小さいために、補強材の変形量とほぼ同じ変形量に抑えられる。
要するに、本発明の基板保持具は、弾性が必要とされる弾性部位以外の箇所を補強材で補強して剛性部を設け、少なくとも剛性部の一部が基板容器の内面に弾性的に接して衝撃力を吸収し緩和するものである。
これには、例えば、SUS などの金属材を補強材として弾性樹脂材料でインサート成形して形成される。このとき補強材としてフィラー入りの成形部材を用いることもできる。
【0015】
なお、本発明の基板保持具は、基板が、基板容器の容器本体に直接基板収納部を設けて収納されるものであっても、あるいは基板収納部を有するカセットをセットして収容するいずれのケースにおいても使用することができる。
【0016】
【実施例】
300 mmウエハー用の基板保持具の成形金型内に、厚さ1.2mmのステンレス鋼板をコの字形に折り曲げて形成した補強材を、基板保持具の剛性部とする上端縁部にインサートし、ポリエステル系の熱可塑性エラストマ樹脂で包むように成形して、図1に示すような剛性部を有する基板保持具を得た。補強材の形状寸法は、コの字の開口側を下にして、上辺の長さを18.3mm、高さ方向の長辺の長さを13.8mm、短辺の長さを8.2 mmとした。
得られた基板保持具の落下試験を行なったところ、基板保持具の最大撓み量は4.0 mmで、基板同士が接触することはなかった。
【0017】
【発明の効果】
本発明の基板保持具を基板容器に取り付けることにより、基板容器が落下による衝撃力を受けても、基板保持具が衝撃力を吸収、緩和し、基板保持具から基板が脱離することがなくなり、従って、基板同士の接触が防止され、基板の損傷が防止された。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の基板保持具による基板の保持状態を示す概略断面図である。
【図2】本発明の異なる態様の基板保持具による基板の保持状態を示す概略断面図である。
【図3】従来の基板保持具を示す概略平面図である。
【図4】衝撃力により従来の基板保持具が撓み、基板同士が接触する様子を示す概略平面図である。
【符号の説明】
1,a・・・・・・基板保持具、
2,b・・・・・・リブ、
3,c・・・・・・基板、
4・・・・・・・・・・補強材、
5・・・・・・・・・・剛性部、
6・・・・・・・・・・嵌合凹部、
d・・・・・・・・・・嵌合溝。

Claims (3)

  1. 複数の精密基板が垂直方向に並列に収納された容器内の精密基板を上方から接触状に保持する基板保持具であって、嵌合端部、中央部及び他端部が弾性樹脂により一体に形成されてなり、その保持具の一対が前記基板の上側辺縁の中央部の両側に前記嵌合端部を対向状に基板辺縁に沿って対称にあてがわれ、容器の蓋の内側の凸部を受け入れる嵌合凹部が形成された嵌合端部は、補強材により補強された剛性部に形成され、該嵌合端部に連接する中央部には、前記基板の対応する辺縁箇所を受止め保持するリブが形成され、それに続く他端部は前記基板の辺縁に沿って外側に延びる長尺体に形成されていることを特徴とする精密基板保持具。
  2. 前記剛性部が、補強材をインサートしたキャビティ内に弾性樹脂材を射出成形したものである請求項1に記載の精密基板保持具。
  3. 前記剛性部が、弾性樹脂材で被覆された補強材をインサートしたものである請求項1に記載の精密基板保持具。
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