JP4182600B2 - Ｌｅｄ光源を用いた車両用灯具 - Google Patents
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Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば、車両のリヤコンビネーションランプとして適用されるＬＥＤ光源を用いた車両用灯具に関する。
【０００２】
【従来の技術】
この種の従来の車両用灯具は、複数のＬＥＤ光源を、平面基板に配列させて構成されるが、この構成だと薄型化を達成できるメリットがあるが、発光に奥行感がなく立体感を付与することができないので、灯具としての品質の低下を招く一因ともなっている。このため、ＬＥＤ光源を用いているにも拘わらず、立体感のある発光が得られる車両用灯具が開発されている。
【０００３】
図１６は、この種の車両用灯具で、特開平６−２４３７０３号公報に開示された車両用灯具１００を示す。
【０００４】
この車両用灯具１００は、単焦点Ｆとしたフレネルカット１０１ａが施されたアウタレンズ１０１と、複数のＬＥＤ光源１０３を集合して構成した光源１０２とで大略構成されている。このときの光源１０２は、一枚の基板を順次に枠状に打ち抜き、このときの基板の形状が円形であれば所謂ドーナツ状に形成された、大径基板１０４、中径基板１０５、および小径基板１０６の３枚に分割され、それぞれの基板１０４〜１０６上には複数のＬＥＤ光源１０３が円状などとして配置されると共に、各基板１０４，１０５，１０６を、アウタレンズ１０１の有効外径Ｄと焦点Ｆとを結ぶ線Ｐに沿わせる形状として配置することによって構成されている。
【０００５】
なお、図１６中の符号１０７は、インナレンズであり、このインナレンズ１０７は、それぞれのＬＥＤ光源１０３に対応する凸レンズ状のレンズカットが施されている。
【０００６】
そしてこの車両用灯具１００によれば、アウタレンズ１０１を見込んだときの視線の延長線上に、各基板１０４，１０５，１０６毎のＬＥＤ光源１０３群が配置されているように観視させると共に、アウタレンズ１０１からの距離差により拡大倍率を変化させて奥行感を生じさせ、以て発光に立体感を付与することができる。
【０００７】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ＬＥＤ光源１０３は、一個の照射範囲が狭く、このため車両用灯具１００としての十分な発光面積を得るためには数多くのＬＥＤ光源１０３を用いる必要があり、これに起因して車両用灯具のコスト高を招く、という課題を有している。
【０００８】
そこで、この発明は、少ないＬＥＤ光源でも十分に広い発光面積が確保でき、かつ発光に立体感をも付与することができ、ひいては品質の向上とコストの低減化とを共に図ることができるＬＥＤ光源を用いた車両用灯具を提供することを目的としている。
【０００９】
【課題を解決するための手段】
前記した目的を達成するために、請求項１の発明は、表面の長手方向に沿う一部分に反射手段を施した複数の棒状導光体が、一端にＬＥＤ光源を備えると共に、前記反射手段を背面側に位置させて、灯具ハウジングの略中央部を起点として放射状に設けられており、かつ前記複数の棒状導光体から出射されるＬＥＤ光源の出射光を前方へ反射させる反射板が、前記複数の棒状導光体の背面側に対向配置させて前記灯具ハウジング内に設けられていることを特徴とする。
【００１０】
このため請求項１の発明では、ＬＥＤ光源の出射光は、棒状導光体内を導光されると共に、この導光の過程で一部は反射手段により、他の部分は棒状導光体内の乱反射により、棒状導光体の反射手段の形成部分以外の部分から外方へ出射する。これにより、棒状導光体は、反射手段の形成部分以外の部分がＬＥＤ光源の出射光の色で発光すると共に、反射板は、乱反射による出射光の内、背面側に向かう出射光の反射により、棒状導光体と同じ色で発光する。
【００１１】
このため、ＬＥＤ光源の消灯時は、全体が白色に見える場合でも、ＬＥＤ光源の点灯時は、棒状導光体自身の発光と、反射板の発光とが相俟って、全体がＬＥＤ光源の出射光の色で発光する。このとき、棒状導光体と反射板との離間距離により、その発光に立体感を付与することができる。
【００１２】
また、請求項２の発明は、請求項１に記載のＬＥＤ光源を用いた車両用灯具であって、前記棒状導光体は、遠心方向に向かって幅が漸大する扇形に形成されており、かつ前記ＬＥＤ光源が、前記棒状導光体の遠心方向側端部に複数個備えられていることを特徴とする。
【００１３】
このため請求項２の発明では、棒状導光体１本当たりの発光面積および発光量が大きくなり、これにより全体の輝度を向上させることができる。また、棒状導光体を、遠心方向側端部の幅が大きくなるように形成したので、棒状導光体同士の相互の離間距離が最大となる灯具ハウジングの最外側の内周囲部位においても、十分な発光面積および発光量を確保することができ、これにより該部位における発光に立体感を付与することができる。
【００１４】
また、請求項３の発明は、請求項１に記載のＬＥＤ光源を用いた車両用灯具であって、前記複数の棒状導光体は、少なくとも前記灯具ハウジングの略中央部側の端部が、隣接する端部同士を前記灯具ハウジングの前後方向に位置ずれさせて設けられていることを特徴とする。
【００１５】
このため請求項３の発明では、棒状導光体の取付本数は、その灯具ハウジングの略中央部側の端部を支持する支持体の周囲長さに制限されることなく設けることができ、その分、棒状導光体の設置本数を増加させて発光面積および発光量を大きくすることができ、ひいては全体の輝度の向上を図ることができる。その上、棒状導光体同士が、灯具ハウジングの前後方向に大略重なり合う状態を作り出すことができ、これにより発光に一層の立体感を付与することができる。
【００１６】
また、請求項４の発明は、請求項３に記載のＬＥＤ光源を用いた車両用灯具であって、前記灯具ハウジングの後部側に位置する複数の棒状導光体に施される反射手段は、前記灯具ハウジングの前部側に位置する複数の棒状導光体の相互離間距離に相当する出射範囲が得られる幅を有して形成されていることを特徴とする。
【００１７】
このため請求項４の発明では、灯具ハウジングの後部側に位置する棒状導光体に導光され、この導光の過程で反射手段により反射して該棒状導光体から出射するＬＥＤ光源の出射光は、灯具ハウジングの前部側に位置する棒状導光体を影にすることなく、狭い出射範囲で出射し、その分、反射板方向に出射するＬＥＤ光源の出射光量を増加させることができる。
【００１８】
また、請求項５の発明は、請求項１乃至４のいずれか１項に記載のＬＥＤ光源を用いた車両用灯具であって、前記棒状導光体は、矩形断面の中実体で構成されていることを特徴とする。
【００１９】
このため請求項５の発明では、棒状導光体から出射するＬＥＤ光源の出射光に、強度の指向性を付与することができる。
【００２０】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を、リヤコンビネーションランプを例にして、図面に基づき説明する。
【００２１】
図１乃至図３は、この発明の第１実施形態としての車両用灯具１を示す。この車両用灯具１は、表面の長手方向に沿う一部分に反射手段５を施した複数の棒状導光体２，２，…が、一端にＬＥＤ光源３を備えると共に、反射手段５を背面側に位置させて、灯具ハウジング６の略中央部を起点として放射状に設けられており、かつ複数の棒状導光体２，２，…から出射されるＬＥＤ光源３の出射光を前方へ反射させる反射板７が、複数の棒状導光体２，２，…の背面側に対向配置させて灯具ハウジング６内に設けられて大略構成されている。
【００２２】
棒状導光体２は、例えば断面円形の長尺なソリッド型光ファイバで構成される。そしてＬＥＤ光源３は、この棒状導光体２の一端に設けたソケット４に装着されることによって、光漏れのない状態で棒状導光体２の端面に対向させて取り付けられる。反射手段５（図１（ｂ）および図３（ａ）では、斜線で示している）は、反射塗装あるいはシボ加工を、棒状導光体２の表面の長手方向に沿う一部分に帯状に施すことによって設けられるが、本実施形態では反射塗装により設けた。
【００２３】
また、灯具ハウジング６は、中央部に支持筒８を備えると共に、この支持筒８を取り巻くようにすり鉢状の反射板７が設けられており、かつ反射板７の外周に周囲溝１７を設けて、全体が円形に形成されている。
【００２４】
そして棒状導光体２は、反射板７の前方側に、反射手段５を反射板７に対向させて一端側を灯具ハウジング６に穿設した取付孔６ａを貫通させてＬＥＤ光源３を灯具ハウジング６の外側に位置させると共に、他端側を支持筒８に穿設した取付孔８ａを貫通させて取り付けられている。棒状導光体２の他端側は、その端面が支持筒８の内側にはめ込まれる内筒９により覆われて、端面からの光漏れのない状態で取り付けられている。本実施形態では、棒状導光体２は、灯具ハウジング６の円周方向に等間隔で１０本取り付けられている。
【００２５】
さらに、車両用灯具１は、支持筒８の、底部側に中央ＬＥＤ光源１０を取り付けると共に、前部側に内筒９に嵌合させて凸レンズの中央インナレンズ１２を取り付け、周囲溝１７の、底部側で棒状導光体２，２間の略中央に対応させて周囲ＬＥＤ光源１１，１１，…を取り付けると共に、前部側に周囲インナレンズ１３を取り付け、かつ灯具ハウジング６の前部開口部をアウタレンズ１５で覆って構成される。このとき例えば、ＬＥＤ光源３、中央ＬＥＤ光源１０、およびは周囲ＬＥＤ光源１１は、赤色発光のＬＥＤ素子が用いられる。また、周囲インナレンズ１３は、前側に位置するシリンドリカルレンズカットの第１レンズと後ろ側に位置するフレネルレンズカットの第２レンズとを重層して構成されている。
【００２６】
このように構成された車両用灯具１は、光源３，１０，および１１が消灯しているときは全体が白色に見え、ＬＥＤ光源３，および中央ＬＥＤ光源１０が点灯することによって全体が赤色に発光してテールランプとして機能し、かつＬＥＤ光源３，中央ＬＥＤ光源１０，および周囲ＬＥＤ光源１１が点灯することによって、外側周囲の帯状部分が、中央部分よりさらに高輝度の赤色に発光して、ストップランプとして機能する。
【００２７】
このとき、ＬＥＤ光源３の出射光Ｌは、図３（ｂ）に示すように、棒状導光体２内を導光されると共に、この導光の過程で一部は反射手段５により、他の部分は棒状導光体２内の乱反射により、棒状導光体２の反射手段２の形成部分以外の部分から外方へ出射する。これにより、棒状導光体２は、反射手段５の形成部分以外の部分がＬＥＤ光源３の出射光の色で発光すると共に、反射板７は、乱反射による出射光の内、背面側に向かう出射光Ｌ２（図２（ｂ）参照）の反射により、棒状導光体２と同じ色で発光する。
【００２８】
このため、ＬＥＤ光源３の消灯時は、全体が白色に見える場合でも、ＬＥＤ光源３の点灯時は、棒状導光体２自身の発光と、反射板７の発光とが相俟って、全体がＬＥＤ光源３の出射光Ｌの色で発光する。このとき、棒状導光体２と反射板７との離間距離により、その発光に立体感を付与することができる。
【００２９】
このように車両用灯具１によれば、反射板７により発光面積を稼ぐことができるので、少ないＬＥＤ光源３でも十分に広い発光面積が確保でき、かつ発光に立体感をも付与することができ、ひいては品質の向上とコストの低減化とを共に図ることができる。
【００３０】
図４乃至図６は、本発明の第２実施形態としての車両用灯具２０を示す。この車両用灯具２０は、棒状導光体１４が、遠心方向に向かって幅が漸大する扇形に形成されており、かつＬＥＤ光源３が、棒状導光体１４の遠心方向側端部に複数個備えられている点が相違するだけで、他の構成は車両用灯具１と同様に構成されている。このため車両用灯具１と同一の構成要素は、同一符号を付してその説明を省略する。
【００３１】
具体的には、図５に示すように、棒状導光体１４は、一端側が長円形断面で、他端側が円形断面となっている、長尺なソリッド型光ファイバで構成され、一側の幅広表面を含む表面の長手方向に沿う一部分に、反射手段５が施されている。また、ＬＥＤ光源３は、棒状導光体１４の一端に設けた幅広のソケット４に装着されることによって、光漏れのない状態で棒状導光体２の長円形端面に対向させて３個取り付けられている。
【００３２】
そして、棒状導光体１４は、図４に示すように、一端側を灯具ハウジング６の周壁に支持させると共に、他端側を支持筒８に支持させ、かつ反射手段５を反射板７側に位置させて灯具ハウジング６に取り付けられている。
【００３３】
この車両用灯具２０によれば、棒状導光体１４の１本当たりの発光面積および発光量が大きくなり、これにより全体の輝度を向上させることができる。また、棒状導光体１４を、遠心方向側端部の幅が大きくなるように形成したので、棒状導光体１４同士の相互の離間距離が最大となる灯具ハウジング６の最外側の内周囲部位においても、十分な発光面積および発光量を確保することができ、これにより該部位における発光に立体感を付与することができる。
【００３４】
図７乃至図９は、本発明の第３実施形態としての車両用灯具２１，２２を示す。この車両用灯具２１，２２は、複数の棒状導光体２，２，…が、少なくとも灯具ハウジング６の略中央部側の端部が、隣接する端部同士を灯具ハウジング６の前後方向に位置ずれさせて設けられている点が相違するだけで、他の構成は車両用灯具１と同様に構成されている。このため車両用灯具１と同一の構成要素は、同一符号を付してその説明を省略する。
【００３５】
具体的には、車両用灯具２１は、図７（ａ），（ｂ）および図８に示すように、複数の棒状導光体２，２，…が、その一端側２ｂ，２ｂ，…を灯具ハウジング６の周壁の同一高さ水準に支持させると共に、他端側となる灯具ハウジング６の略中央部側の端部２ａ，２ａ，…を、支持筒８に、その灯具ハウジング６の前後方向に交互に位置ずれさせて支持させ、かつ反射手段５（図示せず）を反射板７側に位置させて灯具ハウジング６に取り付けられることによって、構成されている。このため、複数の棒状導光体２，２，…は、側方からみると、恰も相互に斜行状態（図７（ｂ）参照）で取り付けられている。
【００３６】
また、車両用灯具２２は、図９（ａ），（ｂ）に示すように、複数の棒状導光体２，２，…が、その両端部２ａおよび２ｂを、支持筒８および灯具ハウジング６の周壁に、灯具ハウジング６の前後方向に交互に位置ずれさせて、支持筒８と灯具ハウジング６の周壁との支持部位が同一高さ水準になるように支持させ、かつ反射手段５（図示せず）を反射板７側に位置させて灯具ハウジング６に取り付けられることによって、構成されている。このため、複数の棒状導光体２，２，…は、側方からみると、恰も相互に平行状態（図９（ｂ）参照）で取り付けられている。
【００３７】
この車両用灯具２１，２２によれば、棒状導光体２の取付本数は、その灯具ハウジング６の略中央部側の端部２ａを支持する支持筒８の周囲長さに制限されることなく設けることができ、その分、棒状導光体２の設置本数を増加させて発光面積および発光量を大きくすることができ、ひいては全体の輝度の向上を図ることができる。この車両用灯具２１，２２には、前述した車両用灯具１の２倍の、２０本の棒状導光体２が取り付けられている。
【００３８】
その上、棒状導光体２同士が、灯具ハウジング６の前後方向に大略重なり合う状態を作り出すことができ、これにより発光に一層の立体感を付与することができる。
【００３９】
ところで、棒状導光体２の出射特性は、反射手段５の形成幅の広狭により、決定することができる。すなわち、図１０（ａ）に示すように、広い幅Ｄの反射手段５ａの場合には、棒状導光体２の出射光は、広い出射範囲Ａとなり、また、同図（ｂ）に示すように、狭い幅ｄの反射手段５ｂの場合には、棒状導光体２の出射光は、狭い出射範囲ａとなる。
【００４０】
このため、車両用灯具２１，２２は、好ましくは、灯具ハウジング６の後部側に位置する複数の棒状導光体２，２，…に施される反射手段５は、灯具ハウジング６の前部側に位置する複数の棒状導光体２，２，…の相互離間距離に相当する出射範囲が得られる幅を有して形成される。
【００４１】
具体的には、車両用灯具２１，２２においては、図１１（ａ）に示すように、灯具ハウジング６の前部側に位置する複数の棒状導光体２，２，…には、広い出射範囲が得られる広幅の反射手段５ａが施され、かつ灯具ハウジング６の後部側に位置する複数の棒状導光体２，２，…には、狭い出射範囲が得られる狭幅の反射手段５ｂが施される。
【００４２】
このようにして構成される車両用灯具２１，２２によれば、灯具ハウジング６の後部側に位置する棒状導光体２から出射するＬＥＤ光源３の出射光は、灯具ハウジング６の前部側に位置する棒状導光体２を影にすることなく、前部側の棒状導光体２の相互離間距離に相当する狭い出射範囲で出射し、その分、反射板７方向に出射するＬＥＤ光源３の出射光量を増加させることができるので、光の利用効率を高めることができる。
【００４３】
これに反して、図１１（ｂ）に示すように、灯具ハウジング６の前部側および後部側に位置する全ての棒状導光体２に、広い出射範囲が得られる広幅の反射手段５ａを施した場合には、灯具ハウジング６の後部側に位置する棒状導光体２から出射するＬＥＤ光源３の出射光は、その両側の出射範囲ｂの部分で、前部側に位置する棒状導光体２を影にし、かつ反射板７方向に出射するＬＥＤ光源３の出射光量も少ないので、光の利用効率を低下させる。
【００４４】
さらに、車両用灯具２１，２２によれば、図１２および図１３に示すような種種の変化例が考えられる。
【００４５】
図１２に示す車両用灯具２１，２２は、灯具ハウジング６の前部側に位置する棒状導光体２に施される反射手段が、各棒状導光体２毎に向きが異なる、広幅の反射手段５ｃ，５ｄ，５ｅ，…で構成されており、後部側に位置する全ての棒状導光体２には、狭幅の反射手段５ｂが施されている。この変化例では、前部側の各棒状導光体２毎に出射方向（主光軸）が異なる配光が得られ、この異なる出射方向の配光の組み合わせにより、灯具全体の見え方を特徴のあるものとすることができ、これにより設計自由度の拡大を図ることができる。
【００４６】
図１３に示す車両用灯具２１，２２は、灯具ハウジング６の前部側に位置する複数の棒状導光体２，２，…が、広幅の反射手段５ａを施した棒状導光体２と、狭幅の反射手段５ｂを施した棒状導光体２とを組み合わせて構成されており、後部側に位置する全ての棒状導光体２には、狭幅の反射手段５ｂが施されている。この変化例では、前部側の各棒状導光体２に施される反射手段が、広幅の反射手段５ａであるか、狭幅の反射手段５ｂであるかによって、その出射特性が異なる配光が得られ（図１０参照）、この異なる出射特性の配光の組み合わせにより、灯具全体の見え方を特徴のあるものとすることができ、これにより設計自由度の拡大を図ることができる。図１４は、その一例を示すもので、広幅の反射手段５ａを施した棒状導光体２の出射パターンＡと、狭幅の反射手段５ｂを施した棒状導光体２の出射パターンａとを組み合わせることにより、灯具全体の出射パターンＢを得ることができる。
【００４７】
さらには、図１２に示す出射方向を変化させたものと、図１３に示す出射特性を変化させたものとを組み合わせることにより、設計自由度の一層の拡大を図ることができる。
【００４８】
また、図１５は、他の棒状導光体１６を示す。この棒状導光体１６は、矩形断面の中実体で構成されている。具体的には、棒状導光体１６は、断面矩形の長尺なソリッド型光ファイバで構成される。そして、この棒状導光体１６においては、矩形断面を構成する四辺の内いずれかの一辺が属する側面に、反射手段５が施される。
【００４９】
この棒状導光体１６を備えた車両用灯具は、棒状導光体１６から出射するＬＥＤ光源３の出射光に、強度の指向性を付与することができるので、視認度の向上が図れる。
【００５０】
【発明の効果】
以上説明してきたように、請求項１の発明によれば、棒状導光体の導光、および反射板による反射により発光面積を稼ぐことができるので、少ないＬＥＤ光源でも十分に広い発光面積が確保でき、かつ発光に立体感をも付与することができ、ひいては品質の向上とコストの低減化とを共に図ることができる車両用灯具を提供することができる。
【００５１】
また、請求項２の発明によれば、請求項１の発明の効果に加えて、棒状導光体１本当たりの発光面積および発光量が大きくなり、これにより全体の輝度を向上させることができると共に、棒状導光体を、遠心方向側端部の幅が大きくなるように形成したので、棒状導光体同士の相互の離間距離が最大となる灯具ハウジングの最外側の内周囲部位においても、十分な発光面積および発光量を確保することができ、これにより該部位における発光に一層の立体感を付与することができる。
【００５２】
また、請求項３の発明によれば、請求項１の発明の効果に加えて、棒状導光体の取付本数は、その灯具ハウジングの略中央部側の端部を支持する支持体の周囲長さに制限されることなく設けることができ、その分、棒状導光体の設置本数を増加させて発光面積および発光量を大きくすることができ、ひいては全体の輝度の向上を図ることができると共に、棒状導光体同士が、灯具ハウジングの前後方向に大略重なり合う状態を作り出すことができ、これにより発光に一層の立体感を付与することができ、ひいては品質の一層の向上を図ることができる。
【００５３】
また、請求項４の発明によれば、請求項３の発明の効果に加えて、灯具ハウジングの後部側に位置する棒状導光体から出射するＬＥＤ光源の出射光は、灯具ハウジングの前部側に位置する棒状導光体を影にすることなく、狭い出射範囲で出射し、その分、反射板方向に出射するＬＥＤ光源の出射光量を増加させることができるので、光の利用効率を高めることができる。
【００５４】
また、請求項５の発明によれば、請求項１乃至４のいずれか１項の発明の効果に加えて、棒状導光体から出射するＬＥＤ光源の出射光に、強度の指向性を付与することができるので、視認度の向上が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の第１実施形態としての車両用灯具で、（ａ）はその平面図、（ｂ）は（ａ）のＩｂーＩｂ線に沿う断面図である。
【図２】図１の車両用灯具の要部斜視図である。
【図３】図１の車両用灯具に適用される棒状導光体で、（ａ）はその側面図、（ｂ）はその縦断面図である。
【図４】本発明の第２実施形態としての車両用灯具で、（ａ）はその平面図、（ｂ）は（ａ）のＩＶｂーＩＶｂ線に沿う断面図である。
【図５】図４の車両用灯具に適用される棒状導光体の一部破断した斜視図である。
【図６】図４の車両用灯具の全体斜視図である。
【図７】本発明の第３実施形態としての車両用灯具で、（ａ）はその平面図、（ｂ）は（ａ）のＶＩＩｂーＶＩＩｂ線に沿う断面図である。
【図８】図７の車両用灯具の全体斜視図である。
【図９】本発明の第３実施形態としての他の車両用灯具で、（ａ）はその平面図、（ｂ）は（ａ）のＩＸｂーＩＸｂ線に沿う断面図である。
【図１０】本発明の車両用灯具に適用される棒状導光体の作動説明図で、（ａ）は広幅の反射手段が施された棒状導光体、（ｂ）は狭幅の反射手段が施された棒状導光体をそれぞれ示す。
【図１１】（ａ）は、本発明の第３実施形態としての車両用灯具の変形例を示す、図７および図９の各ＸＩーＸＩ線に沿う要部断面図であり、（ｂ）は、その比較例を示す要部断面図である。
【図１２】本発明の第３実施形態としての車両用灯具の、他の変形例を示す、図７および図９の各ＸＩーＸＩ線に沿う要部断面図である。
【図１３】本発明の第３実施形態としての車両用灯具の、さらに他の変形例を示す、図７および図９の各ＸＩーＸＩ線に沿う要部断面図である。
【図１４】図１３の車両用灯具の出射パターンの説明図である。
【図１５】本発明の車両用灯具に適用される他の棒状導光体の斜視図である。
【図１６】従来のＬＥＤ光源を用いた車両用灯具の断面図である。
【符号の説明】
１，２０，２１，２２ 車両用灯具
２，１４，１６ 棒状導光体
２ａ 端部（灯具ハウジングの略中央部側の端部）
３ ＬＥＤ光源
５ 反射手段
６ 灯具ハウジング
７ 反射板
８ 支持筒（灯具ハウジングの略中央部）
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば、車両のリヤコンビネーションランプとして適用されるＬＥＤ光源を用いた車両用灯具に関する。
【０００２】
【従来の技術】
この種の従来の車両用灯具は、複数のＬＥＤ光源を、平面基板に配列させて構成されるが、この構成だと薄型化を達成できるメリットがあるが、発光に奥行感がなく立体感を付与することができないので、灯具としての品質の低下を招く一因ともなっている。このため、ＬＥＤ光源を用いているにも拘わらず、立体感のある発光が得られる車両用灯具が開発されている。
【０００３】
図１６は、この種の車両用灯具で、特開平６−２４３７０３号公報に開示された車両用灯具１００を示す。
【０００４】
この車両用灯具１００は、単焦点Ｆとしたフレネルカット１０１ａが施されたアウタレンズ１０１と、複数のＬＥＤ光源１０３を集合して構成した光源１０２とで大略構成されている。このときの光源１０２は、一枚の基板を順次に枠状に打ち抜き、このときの基板の形状が円形であれば所謂ドーナツ状に形成された、大径基板１０４、中径基板１０５、および小径基板１０６の３枚に分割され、それぞれの基板１０４〜１０６上には複数のＬＥＤ光源１０３が円状などとして配置されると共に、各基板１０４，１０５，１０６を、アウタレンズ１０１の有効外径Ｄと焦点Ｆとを結ぶ線Ｐに沿わせる形状として配置することによって構成されている。
【０００５】
なお、図１６中の符号１０７は、インナレンズであり、このインナレンズ１０７は、それぞれのＬＥＤ光源１０３に対応する凸レンズ状のレンズカットが施されている。
【０００６】
そしてこの車両用灯具１００によれば、アウタレンズ１０１を見込んだときの視線の延長線上に、各基板１０４，１０５，１０６毎のＬＥＤ光源１０３群が配置されているように観視させると共に、アウタレンズ１０１からの距離差により拡大倍率を変化させて奥行感を生じさせ、以て発光に立体感を付与することができる。
【０００７】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ＬＥＤ光源１０３は、一個の照射範囲が狭く、このため車両用灯具１００としての十分な発光面積を得るためには数多くのＬＥＤ光源１０３を用いる必要があり、これに起因して車両用灯具のコスト高を招く、という課題を有している。
【０００８】
そこで、この発明は、少ないＬＥＤ光源でも十分に広い発光面積が確保でき、かつ発光に立体感をも付与することができ、ひいては品質の向上とコストの低減化とを共に図ることができるＬＥＤ光源を用いた車両用灯具を提供することを目的としている。
【０００９】
【課題を解決するための手段】
前記した目的を達成するために、請求項１の発明は、表面の長手方向に沿う一部分に反射手段を施した複数の棒状導光体が、一端にＬＥＤ光源を備えると共に、前記反射手段を背面側に位置させて、灯具ハウジングの略中央部を起点として放射状に設けられており、かつ前記複数の棒状導光体から出射されるＬＥＤ光源の出射光を前方へ反射させる反射板が、前記複数の棒状導光体の背面側に対向配置させて前記灯具ハウジング内に設けられていることを特徴とする。
【００１０】
このため請求項１の発明では、ＬＥＤ光源の出射光は、棒状導光体内を導光されると共に、この導光の過程で一部は反射手段により、他の部分は棒状導光体内の乱反射により、棒状導光体の反射手段の形成部分以外の部分から外方へ出射する。これにより、棒状導光体は、反射手段の形成部分以外の部分がＬＥＤ光源の出射光の色で発光すると共に、反射板は、乱反射による出射光の内、背面側に向かう出射光の反射により、棒状導光体と同じ色で発光する。
【００１１】
このため、ＬＥＤ光源の消灯時は、全体が白色に見える場合でも、ＬＥＤ光源の点灯時は、棒状導光体自身の発光と、反射板の発光とが相俟って、全体がＬＥＤ光源の出射光の色で発光する。このとき、棒状導光体と反射板との離間距離により、その発光に立体感を付与することができる。
【００１２】
また、請求項２の発明は、請求項１に記載のＬＥＤ光源を用いた車両用灯具であって、前記棒状導光体は、遠心方向に向かって幅が漸大する扇形に形成されており、かつ前記ＬＥＤ光源が、前記棒状導光体の遠心方向側端部に複数個備えられていることを特徴とする。
【００１３】
このため請求項２の発明では、棒状導光体１本当たりの発光面積および発光量が大きくなり、これにより全体の輝度を向上させることができる。また、棒状導光体を、遠心方向側端部の幅が大きくなるように形成したので、棒状導光体同士の相互の離間距離が最大となる灯具ハウジングの最外側の内周囲部位においても、十分な発光面積および発光量を確保することができ、これにより該部位における発光に立体感を付与することができる。
【００１４】
また、請求項３の発明は、請求項１に記載のＬＥＤ光源を用いた車両用灯具であって、前記複数の棒状導光体は、少なくとも前記灯具ハウジングの略中央部側の端部が、隣接する端部同士を前記灯具ハウジングの前後方向に位置ずれさせて設けられていることを特徴とする。
【００１５】
このため請求項３の発明では、棒状導光体の取付本数は、その灯具ハウジングの略中央部側の端部を支持する支持体の周囲長さに制限されることなく設けることができ、その分、棒状導光体の設置本数を増加させて発光面積および発光量を大きくすることができ、ひいては全体の輝度の向上を図ることができる。その上、棒状導光体同士が、灯具ハウジングの前後方向に大略重なり合う状態を作り出すことができ、これにより発光に一層の立体感を付与することができる。
【００１６】
また、請求項４の発明は、請求項３に記載のＬＥＤ光源を用いた車両用灯具であって、前記灯具ハウジングの後部側に位置する複数の棒状導光体に施される反射手段は、前記灯具ハウジングの前部側に位置する複数の棒状導光体の相互離間距離に相当する出射範囲が得られる幅を有して形成されていることを特徴とする。
【００１７】
このため請求項４の発明では、灯具ハウジングの後部側に位置する棒状導光体に導光され、この導光の過程で反射手段により反射して該棒状導光体から出射するＬＥＤ光源の出射光は、灯具ハウジングの前部側に位置する棒状導光体を影にすることなく、狭い出射範囲で出射し、その分、反射板方向に出射するＬＥＤ光源の出射光量を増加させることができる。
【００１８】
また、請求項５の発明は、請求項１乃至４のいずれか１項に記載のＬＥＤ光源を用いた車両用灯具であって、前記棒状導光体は、矩形断面の中実体で構成されていることを特徴とする。
【００１９】
このため請求項５の発明では、棒状導光体から出射するＬＥＤ光源の出射光に、強度の指向性を付与することができる。
【００２０】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を、リヤコンビネーションランプを例にして、図面に基づき説明する。
【００２１】
図１乃至図３は、この発明の第１実施形態としての車両用灯具１を示す。この車両用灯具１は、表面の長手方向に沿う一部分に反射手段５を施した複数の棒状導光体２，２，…が、一端にＬＥＤ光源３を備えると共に、反射手段５を背面側に位置させて、灯具ハウジング６の略中央部を起点として放射状に設けられており、かつ複数の棒状導光体２，２，…から出射されるＬＥＤ光源３の出射光を前方へ反射させる反射板７が、複数の棒状導光体２，２，…の背面側に対向配置させて灯具ハウジング６内に設けられて大略構成されている。
【００２２】
棒状導光体２は、例えば断面円形の長尺なソリッド型光ファイバで構成される。そしてＬＥＤ光源３は、この棒状導光体２の一端に設けたソケット４に装着されることによって、光漏れのない状態で棒状導光体２の端面に対向させて取り付けられる。反射手段５（図１（ｂ）および図３（ａ）では、斜線で示している）は、反射塗装あるいはシボ加工を、棒状導光体２の表面の長手方向に沿う一部分に帯状に施すことによって設けられるが、本実施形態では反射塗装により設けた。
【００２３】
また、灯具ハウジング６は、中央部に支持筒８を備えると共に、この支持筒８を取り巻くようにすり鉢状の反射板７が設けられており、かつ反射板７の外周に周囲溝１７を設けて、全体が円形に形成されている。
【００２４】
そして棒状導光体２は、反射板７の前方側に、反射手段５を反射板７に対向させて一端側を灯具ハウジング６に穿設した取付孔６ａを貫通させてＬＥＤ光源３を灯具ハウジング６の外側に位置させると共に、他端側を支持筒８に穿設した取付孔８ａを貫通させて取り付けられている。棒状導光体２の他端側は、その端面が支持筒８の内側にはめ込まれる内筒９により覆われて、端面からの光漏れのない状態で取り付けられている。本実施形態では、棒状導光体２は、灯具ハウジング６の円周方向に等間隔で１０本取り付けられている。
【００２５】
さらに、車両用灯具１は、支持筒８の、底部側に中央ＬＥＤ光源１０を取り付けると共に、前部側に内筒９に嵌合させて凸レンズの中央インナレンズ１２を取り付け、周囲溝１７の、底部側で棒状導光体２，２間の略中央に対応させて周囲ＬＥＤ光源１１，１１，…を取り付けると共に、前部側に周囲インナレンズ１３を取り付け、かつ灯具ハウジング６の前部開口部をアウタレンズ１５で覆って構成される。このとき例えば、ＬＥＤ光源３、中央ＬＥＤ光源１０、およびは周囲ＬＥＤ光源１１は、赤色発光のＬＥＤ素子が用いられる。また、周囲インナレンズ１３は、前側に位置するシリンドリカルレンズカットの第１レンズと後ろ側に位置するフレネルレンズカットの第２レンズとを重層して構成されている。
【００２６】
このように構成された車両用灯具１は、光源３，１０，および１１が消灯しているときは全体が白色に見え、ＬＥＤ光源３，および中央ＬＥＤ光源１０が点灯することによって全体が赤色に発光してテールランプとして機能し、かつＬＥＤ光源３，中央ＬＥＤ光源１０，および周囲ＬＥＤ光源１１が点灯することによって、外側周囲の帯状部分が、中央部分よりさらに高輝度の赤色に発光して、ストップランプとして機能する。
【００２７】
このとき、ＬＥＤ光源３の出射光Ｌは、図３（ｂ）に示すように、棒状導光体２内を導光されると共に、この導光の過程で一部は反射手段５により、他の部分は棒状導光体２内の乱反射により、棒状導光体２の反射手段２の形成部分以外の部分から外方へ出射する。これにより、棒状導光体２は、反射手段５の形成部分以外の部分がＬＥＤ光源３の出射光の色で発光すると共に、反射板７は、乱反射による出射光の内、背面側に向かう出射光Ｌ２（図２（ｂ）参照）の反射により、棒状導光体２と同じ色で発光する。
【００２８】
このため、ＬＥＤ光源３の消灯時は、全体が白色に見える場合でも、ＬＥＤ光源３の点灯時は、棒状導光体２自身の発光と、反射板７の発光とが相俟って、全体がＬＥＤ光源３の出射光Ｌの色で発光する。このとき、棒状導光体２と反射板７との離間距離により、その発光に立体感を付与することができる。
【００２９】
このように車両用灯具１によれば、反射板７により発光面積を稼ぐことができるので、少ないＬＥＤ光源３でも十分に広い発光面積が確保でき、かつ発光に立体感をも付与することができ、ひいては品質の向上とコストの低減化とを共に図ることができる。
【００３０】
図４乃至図６は、本発明の第２実施形態としての車両用灯具２０を示す。この車両用灯具２０は、棒状導光体１４が、遠心方向に向かって幅が漸大する扇形に形成されており、かつＬＥＤ光源３が、棒状導光体１４の遠心方向側端部に複数個備えられている点が相違するだけで、他の構成は車両用灯具１と同様に構成されている。このため車両用灯具１と同一の構成要素は、同一符号を付してその説明を省略する。
【００３１】
具体的には、図５に示すように、棒状導光体１４は、一端側が長円形断面で、他端側が円形断面となっている、長尺なソリッド型光ファイバで構成され、一側の幅広表面を含む表面の長手方向に沿う一部分に、反射手段５が施されている。また、ＬＥＤ光源３は、棒状導光体１４の一端に設けた幅広のソケット４に装着されることによって、光漏れのない状態で棒状導光体２の長円形端面に対向させて３個取り付けられている。
【００３２】
そして、棒状導光体１４は、図４に示すように、一端側を灯具ハウジング６の周壁に支持させると共に、他端側を支持筒８に支持させ、かつ反射手段５を反射板７側に位置させて灯具ハウジング６に取り付けられている。
【００３３】
この車両用灯具２０によれば、棒状導光体１４の１本当たりの発光面積および発光量が大きくなり、これにより全体の輝度を向上させることができる。また、棒状導光体１４を、遠心方向側端部の幅が大きくなるように形成したので、棒状導光体１４同士の相互の離間距離が最大となる灯具ハウジング６の最外側の内周囲部位においても、十分な発光面積および発光量を確保することができ、これにより該部位における発光に立体感を付与することができる。
【００３４】
図７乃至図９は、本発明の第３実施形態としての車両用灯具２１，２２を示す。この車両用灯具２１，２２は、複数の棒状導光体２，２，…が、少なくとも灯具ハウジング６の略中央部側の端部が、隣接する端部同士を灯具ハウジング６の前後方向に位置ずれさせて設けられている点が相違するだけで、他の構成は車両用灯具１と同様に構成されている。このため車両用灯具１と同一の構成要素は、同一符号を付してその説明を省略する。
【００３５】
具体的には、車両用灯具２１は、図７（ａ），（ｂ）および図８に示すように、複数の棒状導光体２，２，…が、その一端側２ｂ，２ｂ，…を灯具ハウジング６の周壁の同一高さ水準に支持させると共に、他端側となる灯具ハウジング６の略中央部側の端部２ａ，２ａ，…を、支持筒８に、その灯具ハウジング６の前後方向に交互に位置ずれさせて支持させ、かつ反射手段５（図示せず）を反射板７側に位置させて灯具ハウジング６に取り付けられることによって、構成されている。このため、複数の棒状導光体２，２，…は、側方からみると、恰も相互に斜行状態（図７（ｂ）参照）で取り付けられている。
【００３６】
また、車両用灯具２２は、図９（ａ），（ｂ）に示すように、複数の棒状導光体２，２，…が、その両端部２ａおよび２ｂを、支持筒８および灯具ハウジング６の周壁に、灯具ハウジング６の前後方向に交互に位置ずれさせて、支持筒８と灯具ハウジング６の周壁との支持部位が同一高さ水準になるように支持させ、かつ反射手段５（図示せず）を反射板７側に位置させて灯具ハウジング６に取り付けられることによって、構成されている。このため、複数の棒状導光体２，２，…は、側方からみると、恰も相互に平行状態（図９（ｂ）参照）で取り付けられている。
【００３７】
この車両用灯具２１，２２によれば、棒状導光体２の取付本数は、その灯具ハウジング６の略中央部側の端部２ａを支持する支持筒８の周囲長さに制限されることなく設けることができ、その分、棒状導光体２の設置本数を増加させて発光面積および発光量を大きくすることができ、ひいては全体の輝度の向上を図ることができる。この車両用灯具２１，２２には、前述した車両用灯具１の２倍の、２０本の棒状導光体２が取り付けられている。
【００３８】
その上、棒状導光体２同士が、灯具ハウジング６の前後方向に大略重なり合う状態を作り出すことができ、これにより発光に一層の立体感を付与することができる。
【００３９】
ところで、棒状導光体２の出射特性は、反射手段５の形成幅の広狭により、決定することができる。すなわち、図１０（ａ）に示すように、広い幅Ｄの反射手段５ａの場合には、棒状導光体２の出射光は、広い出射範囲Ａとなり、また、同図（ｂ）に示すように、狭い幅ｄの反射手段５ｂの場合には、棒状導光体２の出射光は、狭い出射範囲ａとなる。
【００４０】
このため、車両用灯具２１，２２は、好ましくは、灯具ハウジング６の後部側に位置する複数の棒状導光体２，２，…に施される反射手段５は、灯具ハウジング６の前部側に位置する複数の棒状導光体２，２，…の相互離間距離に相当する出射範囲が得られる幅を有して形成される。
【００４１】
具体的には、車両用灯具２１，２２においては、図１１（ａ）に示すように、灯具ハウジング６の前部側に位置する複数の棒状導光体２，２，…には、広い出射範囲が得られる広幅の反射手段５ａが施され、かつ灯具ハウジング６の後部側に位置する複数の棒状導光体２，２，…には、狭い出射範囲が得られる狭幅の反射手段５ｂが施される。
【００４２】
このようにして構成される車両用灯具２１，２２によれば、灯具ハウジング６の後部側に位置する棒状導光体２から出射するＬＥＤ光源３の出射光は、灯具ハウジング６の前部側に位置する棒状導光体２を影にすることなく、前部側の棒状導光体２の相互離間距離に相当する狭い出射範囲で出射し、その分、反射板７方向に出射するＬＥＤ光源３の出射光量を増加させることができるので、光の利用効率を高めることができる。
【００４３】
これに反して、図１１（ｂ）に示すように、灯具ハウジング６の前部側および後部側に位置する全ての棒状導光体２に、広い出射範囲が得られる広幅の反射手段５ａを施した場合には、灯具ハウジング６の後部側に位置する棒状導光体２から出射するＬＥＤ光源３の出射光は、その両側の出射範囲ｂの部分で、前部側に位置する棒状導光体２を影にし、かつ反射板７方向に出射するＬＥＤ光源３の出射光量も少ないので、光の利用効率を低下させる。
【００４４】
さらに、車両用灯具２１，２２によれば、図１２および図１３に示すような種種の変化例が考えられる。
【００４５】
図１２に示す車両用灯具２１，２２は、灯具ハウジング６の前部側に位置する棒状導光体２に施される反射手段が、各棒状導光体２毎に向きが異なる、広幅の反射手段５ｃ，５ｄ，５ｅ，…で構成されており、後部側に位置する全ての棒状導光体２には、狭幅の反射手段５ｂが施されている。この変化例では、前部側の各棒状導光体２毎に出射方向（主光軸）が異なる配光が得られ、この異なる出射方向の配光の組み合わせにより、灯具全体の見え方を特徴のあるものとすることができ、これにより設計自由度の拡大を図ることができる。
【００４６】
図１３に示す車両用灯具２１，２２は、灯具ハウジング６の前部側に位置する複数の棒状導光体２，２，…が、広幅の反射手段５ａを施した棒状導光体２と、狭幅の反射手段５ｂを施した棒状導光体２とを組み合わせて構成されており、後部側に位置する全ての棒状導光体２には、狭幅の反射手段５ｂが施されている。この変化例では、前部側の各棒状導光体２に施される反射手段が、広幅の反射手段５ａであるか、狭幅の反射手段５ｂであるかによって、その出射特性が異なる配光が得られ（図１０参照）、この異なる出射特性の配光の組み合わせにより、灯具全体の見え方を特徴のあるものとすることができ、これにより設計自由度の拡大を図ることができる。図１４は、その一例を示すもので、広幅の反射手段５ａを施した棒状導光体２の出射パターンＡと、狭幅の反射手段５ｂを施した棒状導光体２の出射パターンａとを組み合わせることにより、灯具全体の出射パターンＢを得ることができる。
【００４７】
さらには、図１２に示す出射方向を変化させたものと、図１３に示す出射特性を変化させたものとを組み合わせることにより、設計自由度の一層の拡大を図ることができる。
【００４８】
また、図１５は、他の棒状導光体１６を示す。この棒状導光体１６は、矩形断面の中実体で構成されている。具体的には、棒状導光体１６は、断面矩形の長尺なソリッド型光ファイバで構成される。そして、この棒状導光体１６においては、矩形断面を構成する四辺の内いずれかの一辺が属する側面に、反射手段５が施される。
【００４９】
この棒状導光体１６を備えた車両用灯具は、棒状導光体１６から出射するＬＥＤ光源３の出射光に、強度の指向性を付与することができるので、視認度の向上が図れる。
【００５０】
【発明の効果】
以上説明してきたように、請求項１の発明によれば、棒状導光体の導光、および反射板による反射により発光面積を稼ぐことができるので、少ないＬＥＤ光源でも十分に広い発光面積が確保でき、かつ発光に立体感をも付与することができ、ひいては品質の向上とコストの低減化とを共に図ることができる車両用灯具を提供することができる。
【００５１】
また、請求項２の発明によれば、請求項１の発明の効果に加えて、棒状導光体１本当たりの発光面積および発光量が大きくなり、これにより全体の輝度を向上させることができると共に、棒状導光体を、遠心方向側端部の幅が大きくなるように形成したので、棒状導光体同士の相互の離間距離が最大となる灯具ハウジングの最外側の内周囲部位においても、十分な発光面積および発光量を確保することができ、これにより該部位における発光に一層の立体感を付与することができる。
【００５２】
また、請求項３の発明によれば、請求項１の発明の効果に加えて、棒状導光体の取付本数は、その灯具ハウジングの略中央部側の端部を支持する支持体の周囲長さに制限されることなく設けることができ、その分、棒状導光体の設置本数を増加させて発光面積および発光量を大きくすることができ、ひいては全体の輝度の向上を図ることができると共に、棒状導光体同士が、灯具ハウジングの前後方向に大略重なり合う状態を作り出すことができ、これにより発光に一層の立体感を付与することができ、ひいては品質の一層の向上を図ることができる。
【００５３】
また、請求項４の発明によれば、請求項３の発明の効果に加えて、灯具ハウジングの後部側に位置する棒状導光体から出射するＬＥＤ光源の出射光は、灯具ハウジングの前部側に位置する棒状導光体を影にすることなく、狭い出射範囲で出射し、その分、反射板方向に出射するＬＥＤ光源の出射光量を増加させることができるので、光の利用効率を高めることができる。
【００５４】
また、請求項５の発明によれば、請求項１乃至４のいずれか１項の発明の効果に加えて、棒状導光体から出射するＬＥＤ光源の出射光に、強度の指向性を付与することができるので、視認度の向上が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の第１実施形態としての車両用灯具で、（ａ）はその平面図、（ｂ）は（ａ）のＩｂーＩｂ線に沿う断面図である。
【図２】図１の車両用灯具の要部斜視図である。
【図３】図１の車両用灯具に適用される棒状導光体で、（ａ）はその側面図、（ｂ）はその縦断面図である。
【図４】本発明の第２実施形態としての車両用灯具で、（ａ）はその平面図、（ｂ）は（ａ）のＩＶｂーＩＶｂ線に沿う断面図である。
【図５】図４の車両用灯具に適用される棒状導光体の一部破断した斜視図である。
【図６】図４の車両用灯具の全体斜視図である。
【図７】本発明の第３実施形態としての車両用灯具で、（ａ）はその平面図、（ｂ）は（ａ）のＶＩＩｂーＶＩＩｂ線に沿う断面図である。
【図８】図７の車両用灯具の全体斜視図である。
【図９】本発明の第３実施形態としての他の車両用灯具で、（ａ）はその平面図、（ｂ）は（ａ）のＩＸｂーＩＸｂ線に沿う断面図である。
【図１０】本発明の車両用灯具に適用される棒状導光体の作動説明図で、（ａ）は広幅の反射手段が施された棒状導光体、（ｂ）は狭幅の反射手段が施された棒状導光体をそれぞれ示す。
【図１１】（ａ）は、本発明の第３実施形態としての車両用灯具の変形例を示す、図７および図９の各ＸＩーＸＩ線に沿う要部断面図であり、（ｂ）は、その比較例を示す要部断面図である。
【図１２】本発明の第３実施形態としての車両用灯具の、他の変形例を示す、図７および図９の各ＸＩーＸＩ線に沿う要部断面図である。
【図１３】本発明の第３実施形態としての車両用灯具の、さらに他の変形例を示す、図７および図９の各ＸＩーＸＩ線に沿う要部断面図である。
【図１４】図１３の車両用灯具の出射パターンの説明図である。
【図１５】本発明の車両用灯具に適用される他の棒状導光体の斜視図である。
【図１６】従来のＬＥＤ光源を用いた車両用灯具の断面図である。
【符号の説明】
１，２０，２１，２２ 車両用灯具
２，１４，１６ 棒状導光体
２ａ 端部（灯具ハウジングの略中央部側の端部）
３ ＬＥＤ光源
５ 反射手段
６ 灯具ハウジング
７ 反射板
８ 支持筒（灯具ハウジングの略中央部）
Claims (5)
- 表面の長手方向に沿う一部分に反射手段を施した複数の棒状導光体が、一端にＬＥＤ光源を備えると共に、前記反射手段を背面側に位置させて、灯具ハウジングの略中央部を起点として放射状に設けられており、かつ
前記複数の棒状導光体から出射されるＬＥＤ光源の出射光を前方へ反射させる反射板が、前記複数の棒状導光体の背面側に対向配置させて前記灯具ハウジング内に設けられていることを特徴とするＬＥＤ光源を用いた車両用灯具。 - 請求項１に記載のＬＥＤ光源を用いた車両用灯具であって、
前記棒状導光体は、遠心方向に向かって幅が漸大する扇形に形成されており、かつ
前記ＬＥＤ光源が、前記棒状導光体の遠心方向側端部に複数個備えられていることを特徴とするＬＥＤ光源を用いた車両用灯具。 - 請求項１に記載のＬＥＤ光源を用いた車両用灯具であって、
前記複数の棒状導光体は、少なくとも前記灯具ハウジングの略中央部側の端部が、隣接する端部同士を前記灯具ハウジングの前後方向に位置ずれさせて設けられていることを特徴とするＬＥＤ光源を用いた車両用灯具。 - 請求項３に記載のＬＥＤ光源を用いた車両用灯具であって、
前記灯具ハウジングの後部側に位置する複数の棒状導光体に施される反射手段は、前記灯具ハウジングの前部側に位置する複数の棒状導光体の相互離間距離に相当する出射範囲が得られる幅を有して形成されていることを特徴とするＬＥＤ光源を用いた車両用灯具。 - 請求項１乃至４のいずれか１項に記載のＬＥＤ光源を用いた車両用灯具であって、
前記棒状導光体は、矩形断面の中実体で構成されていることを特徴とするＬＥＤ光源を用いた車両用灯具。
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