JP4181458B2 - キャブサスペンション装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、トラック等においてキャブを懸架するキャブサスペンション装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、トラック等においてキャブを懸架するキャブサスペンション装置として、スプリングにエアスプリングを使用したものが知られている。
このようなエアスプリングを使用したキャブサスペンション装置では、例えば、特開平6−72703号公報に開示されるように、エアスプリングに連結するサブタンク容積を調整することにより乗り心地を調整することができる。
【0003】
【特許文献1】
特開平6−72703号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したように、エアスプリングに連結するサブタンク容積を調整するためには、容積可変のサブタンク等が必要になり、装置が複雑化し高価になるという問題があった。
【0005】
本発明は、かかる従来の問題を解決するためになされたもので、ドライバー等の好みに応じて支持端ばね定数を容易,確実に変更することができるキャブサスペンション装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1のキャブサスペンション装置は、前端部を車両のフレーム側に回動自在に連結され、後端部をキャブ側に回動自在に連結されるリンク部材と、前記キャブの下面との間にスプリングを配置してなるキャブサスペンション装置において、前記スプリングの位置を前後方向に変更する位置変更手段を有し、前記位置変更手段は、前記スプリングを前記リンク部材に沿って移動して前記スプリングの位置を変更するとともに、前記スプリングの下端を前記リンク部材に沿って案内する案内ロッドと、前記スプリングの上端を前記キャブの下面に沿って移動する調整ロッドとを有することを特徴とする。
【0008】
請求項2のキャブサスペンション装置は、請求項1記載のキャブサスペンション装置において、前記位置変更手段は、前記スプリングの下端を前記リンク部材に沿って移動する調整ロッドと、前記スプリングの上端を前記キャブの下面に沿って案内する案内ロッドとを有することを特徴とする。
請求項3のキャブサスペンション装置は、請求項1または請求項2記載のキャブサスペンション装置において、前記調整ロッドは、モータにより回動可能とされていることを特徴とする。
【0009】
請求項4のキャブサスペンション装置は、請求項1ないし請求項3のいずれか1項記載のキャブサスペンション装置において、前記スプリングは、エアスプリングからなることを特徴とする。
【0010】
(作用)
請求項1のキャブサスペンション装置では、前端部を車両のフレーム側に回動自在に連結され、後端部をキャブ側に回動自在に連結されるリンク部材と、キャブの下面との間にスプリングが配置される。
【0011】
そして、位置変更手段により、スプリングの位置を前後方向に変更することにより、キャブサスペンションの支持端ばね定数が変更される。
なお、支持端ばね定数とは、リンク機構により補正されたキャブにとっての実ばね定数である。
【0012】
また、位置変更手段によるスプリングの位置の変更が、スプリングをリンク部材に沿って移動することにより行われる。
また、調整ロッドを回動すると、スプリングの上端が調整ロッドに案内されキャブの下面に沿って移動し、同時に、スプリングの下端が案内ロッドに案内されリンク部材に沿って移動し、スプリングの位置が変更される。
【0013】
請求項2のキャブサスペンション装置では、調整ロッドを回動すると、スプリングの下端が調整ロッドに案内されリンク部材に沿って移動し、同時に、スプリングの上端が案内ロッドに案内されキャブの下面に沿って移動し、スプリングの位置が変更される。
請求項3のキャブサスペンション装置では、調整ロッドを、モータにより回動することによりスプリングが調整ロッドに沿って移動される。
【0014】
請求項4のキャブサスペンション装置では、スプリングにエアスプリングが使用される。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面を用いて詳細に説明する。
【0016】
図1は、図2の要部の詳細を示しており、図2は、本発明のキャブサスペンション装置の一実施形態を示している。
図2において、符号11は、トラックのキャブを示している。
このキャブ11は、トラックの車体側フレーム13の上方に配置されている。そして、フロント側のキャブサスペンション15と、リア側のキャブサスペンション17により車体側フレーム13に懸架されている。
【0017】
リア側のキャブサスペンション17は、車体側フレーム13から上方に突出する支持部材19と、キャブ11のメインメンバ21との間にエアスプリング23を配置して構成されている。
このエアスプリング23は、支持部材19の上端に固定されている。
フロント側のキャブサスペンション15は、キャブ11のメインメンバ21とリンク部材25との間に、エアスプリング27を配置して構成されている。
【0018】
リンク部材25の前端部25aは、車体側フレーム13から上方に向けて突出される車体側ブラケット28に回動自在に連結されている。
また、リンク部材25の後端部25bは、キャブ11のメインメンバ21から下方に向けて突出されるキャブ側ブラケット29に回動自在に連結されている。そして、この実施形態では、キャブ11のメインメンバ21とリンク部材25との間に配置されるエアスプリング27が、位置変更手段31により前後方向に移動可能とされている。
【0019】
図1は、位置変更手段31が配置されるフロント側のキャブサスペンション15の詳細を示している。
この実施形態では、位置変更手段31は、エアスプリング27の下端をリンク部材25に沿って案内する案内ロッド33と、エアスプリング27の上端をキャブ11の下面に沿って移動する調整ロッド35とを備えている。
【0020】
案内ロッド33は、リンク部材25に沿って前後方向に配置され、その両端をリンク部材25に固定されている。
調整ロッド35は、キャブ11のメインメンバ21に沿って前後方向に配置され、その両端をメインメンバ21に形成されるブラケット37に固定されている。
この調整ロッド35は、ボルトからなり前端に、調整ロッド35を回動するための頭部35aを有している。
【0021】
そして、案内ロッド33と調整ロッド35とは、平行に配置されている。
図3は、エアスプリング27の詳細を示しており、本体部39の上下に、上側取付部41および下側取付部43が配置されている。
下側取付部41には、貫通穴43aが形成され、この貫通穴43aに、案内ロッド33が挿通されている。
【0022】
上側取付部41には、螺子穴41aが形成され、この螺子穴41aに、調整ロッド35が螺合されている。
上述したキャブサスペンション装置では、調整ロッド35を回動すると、エアスプリング27の上端の上側取付部41が調整ロッド35に案内されキャブ11の下面に沿って移動し、同時に、エアスプリング27の下端の下側取付部43が案内ロッド33に案内されリンク部材25に沿って移動し、エアスプリング27の位置が変更される。
【0023】
そして、これによりキャブサスペンション15の支持端ばね定数を変更することが可能になる。
すなわち、エアスプリング27をリンク部材25の前端部25a側に移動すると、支持端ばね定数が硬い(ハード)な感じになり、後端部25b側に移動すると支持端ばね定数が柔らかい(ソフト)な感じになる。
【0024】
図4は、リンク部材25とメインメンバ21を模式化して、リンク部材25とメインメンバ21との間に、コイルスプリング45等のコンベンショナルなスプリングを配置した時の状態を示している。
メインメンバ21の荷重点Aにおける荷重Wと、レバー比αの位置にあるコイルスプリング45とがつり合っているとする。
【0025】
コイルスプリング45のバネ反力をfとすると、
W=αf ・・・(1)
コイルスプリング45のバネ定数をk、撓みをxとすると、
f=kx ・・・(2)
コイルスプリング45の変位(撓みx)を荷重点Aでの変位Xに換算すると、
X=(1/α)x ・・・(3)
式(1),式(2),式(3)より、
W=α2kX ・・・(4)
バネ定数kを荷重点Aでのバネ定数である換算バネ定数Kに換算すると、式(4)より、
K=α2k ・・・(5)
となる。
【0026】
従って、荷重点Aでの換算バネ定数Kは、kのα2 倍に比例する。
一方、エアスプリング27の場合には、バネ定数をk、ポリトロープ指数をγ、エアスプリング27内圧をP、有効受圧面積をA、エアスプリング27内容積(補助タンクも含む)をU、エアスプリング27にかかる荷重をwとすると、
k=γ(P+1)・A2/V
P=w/A
となる。
【0027】
従って、エアスプリング27をレバー比αの位置に設置すると、
P’=(1/α)・w/A
=(1/α)・P
K’=γ((1/α)・P+1)・A2/V
従って、バネ定数は、概略1/α倍となる。
【0028】
そして、更にレバー比αを考慮すると、上述した式(5)より、
K=α2k×(1/α)
=αkとなる。
上述したキャブサスペンション装置では、位置変更手段31により、エアスプリング27の位置を前後方向に変更することにより、キャブサスペンション15の支持端ばね定数を変更することが可能になるため、ドライバー等の好みに応じて支持端ばね定数を容易,確実に変更することができる。
【0029】
また、上述したキャブサスペンション装置では、位置変更手段31によるエアスプリング27の位置の変更を、エアスプリング27をリンク部材25に沿って移動することにより行うようにしたので、エアスプリング27を任意の位置に位置させることができる。
そして、上述したキャブサスペンション装置では、エアスプリング27の下端を案内ロッド33によりリンク部材25に沿って案内し、同時に、エアスプリング27の上端を調整ロッド35によりキャブ11の下面に沿って案内するようにしたので、調整ロッド35を回動することによりエアスプリング27の位置を容易,確実に変更することができる。
【0030】
また、スプリングにエアスプリング27を使用したので、乗り心地を向上することができる。
なお、上述した実施形態では、スプリングにエアスプリング27を用いた例について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、例えば、コイルスプリング等を用いても良い。
【0031】
また、上述した実施形態では、リンク部材25側に案内ロッド33を配置し、キャブ11のメインメンバ21側に調整ロッド35を配置した例について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、リンク部材25側に調整ロッドを配置し、キャブ11のメインメンバ21側に案内ロッドを配置しても良い。
【0032】
さらに、上述した実施形態において、調整ロッド35をモータにより回動可能に構成しても良い。
そして、例えば、キャブ11内にモータを駆動するスイッチを設けることにより、キャブ11内からエアスプリング27の位置を容易に変更することが可能になる。
【0033】
【発明の効果】
以上述べたように、請求項1のキャブサスペンション装置では、位置変更手段により、スプリングの位置を前後方向に変更することにより、キャブサスペンションの支持端ばね定数を変更することが可能になるため、ドライバー等の好みに応じて支持端ばね定数を容易,確実に変更することができる。
【0034】
また、位置変更手段によるスプリングの位置の変更を、スプリングをリンク部材に沿って移動することにより行うようにしたので、スプリングを任意の位置に位置させることができる。
また、スプリングの下端を案内ロッドによりリンク部材に沿って案内し、同時に、スプリングの上端を調整ロッドによりキャブの下面に沿って案内するようにしたので、調整ロッドを回動することによりスプリングの位置を容易,確実に変更することができる。
【0035】
請求項2のキャブサスペンション装置では、スプリングの上端を案内ロッドによりキャブの下面に沿って案内し、同時に、スプリングの下端を調整ロッドによりリンク部材に沿って案内するようにしたので、調整ロッドを回動することによりスプリングの位置を容易,確実に変更することができる。
請求項3のキャブサスペンション装置では、調整ロッドを、モータにより回動可能にしたので、例えば、キャブ内にモータを駆動するスイッチを設けることにより、キャブ内からスプリングの位置を変更することができる。
【0036】
請求項4のキャブサスペンション装置では、スプリングにエアスプリングを使用したので、乗り心地を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図2の位置変更手段の詳細を示す説明図である。
【図2】本発明のキャブサスペンション装置の一実施形態を示す説明図である。
【図3】図1のエアスプリングの詳細を示す説明図である。
【図4】本発明の作用を説明するための説明図である。
【符号の説明】
11 キャブ
25 リンク部材
25a 前端部
25b 後端部
27 エアスプリング
31 位置変更手段
33 案内ロッド
35 調整ロッド
Claims (4)
- 前端部を車両のフレーム側に回動自在に連結され、後端部をキャブ側に回動自在に連結されるリンク部材と、前記キャブの下面との間にスプリングを配置してなるキャブサスペンション装置において、
前記スプリングの位置を前後方向に変更する位置変更手段を有し、
前記位置変更手段は、前記スプリングを前記リンク部材に沿って移動して前記スプリングの位置を変更するとともに、
前記スプリングの下端を前記リンク部材に沿って案内する案内ロッドと、
前記スプリングの上端を前記キャブの下面に沿って移動する調整ロッドと、
を有することを特徴とするキャブサスペンション装置。 - 請求項1記載のキャブサスペンション装置において、
前記位置変更手段は、
前記スプリングの下端を前記リンク部材に沿って移動する調整ロッドと、
前記スプリングの上端を前記キャブの下面に沿って案内する案内ロッドと、
を有することを特徴とするキャブサスペンション装置。 - 請求項1または請求項2記載のキャブサスペンション装置において、
前記調整ロッドは、モータにより回動可能とされていることを特徴とするキャブサスペンション装置。 - 請求項1ないし請求項3のいずれか1項記載のキャブサスペンション装置において、
前記スプリングは、エアスプリングからなることを特徴とするキャブサスペンション装置。
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