JP4180339B2 - 車両用サンルーフ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ルーフ開口の前側を開閉する前側リッドと、前記ルーフ開口の後側を開閉する後側リッドとを、隣接して有する車両用サンルーフ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の車両用サンルーフ装置として、ルーフ開口の前側を開閉する略四角形状の前側リッドと、ルーフ開口の後側を開閉する略四角形状の後側リッドとを隣接して有しているものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。前側リッドは後端側が上方に移動することによりルーフ開口の前側を開放するよう構成され、後側リッドは後方へスライド移動することによりルーフ開口の後側を開放するよう構成される。
【0003】
この車両用サンルーフ装置では、各リッドがそれぞれ閉状態のときに、各リッドの隣接辺にて左右に延びる中実状のウェザストリップが互いに当接し、各リッドの隣接部分がシールされるようになっている。この車両用サンルーフ装置では、各ウェザストリップが当接時に上下方向に重なるようになっている。
【0004】
前側リッドのウェザストリップの上部には、後方へ延びるリップ部が形成され、このリップ部の先端が後側リッドのウェザストリップと当接する。尚、各ウェザストリップが互いに当接するのはこの部分のみであり、他の部分は各ウェザストリップ同士が離隔するよう構成されている。また、後側リッドのウェザストリップの下部には、前方へ延びるリップ部が形成され、このリップ部の先端が前側リッドの下面と当接する。
【0005】
各ウェザストリップ同士の間隙には、この間隙を埋めるシール部材が設けられる。このシール部材は、後側リッドのリップ部に沿って前方に延びる延長部を有している。このシール部材により、実質的に各リッド間の水密性が確保されるようになっている。
【0006】
【特許文献1】
実開平7−35142号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記サンルーフ構造では、各リッドのウェザストリップの他にシール部材を設けるため、シール部材の高い組付精度が要求されるとともに、部品点数が増大して製造コストが嵩むという問題点がある。
【0008】
ここで、各ウェザストリップ同士の当接範囲を大きくすることにより水密性を確保し、シール部材を省くことが考えられる。しかし、この構成では中実状の各ウェザストリップが十分に弾性変形せず、各ウェザストリップが互いに密着しないため、各リッド間の水密性を確保することは極めて困難である。
【0009】
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、前側リッドと後側リッドとを隣接して設けた場合に、各リッドのウェザストリップ同士の当接により、良好な水密性を確保することのできる車両用サンルーフ装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、請求項1記載の発明では、ルーフ開口の前側を開閉する略四角形状の前側リッドと、前記ルーフ開口の後側を開閉する略四角形状の後側リッドとを隣接して有し、前記各リッドにそれぞれ全周を連続的に被覆するウェザストリップが設けられ、前記各リッドがそれぞれ閉状態のときに、前記各ウェザストリップの隣接部が互いに当接する車両用サンルーフ装置であって、前記各リッドのウェザストリップのうち、一方のリッドのウェザストリップにおける他方のリッドのウェザストリップとの隣接部のみを中実状とし、前記一方のリッドのウェザストリップにおける前記隣接部以外の部分及び前記他方のリッドのウェザストリップは中空状となるよう構成するとともに、前記前側リッドの後端左右の角部を丸く形成し、前記後側リッドにおけるウェザストリップの前端左右の角部を、前記前側リッドの後端左右の角部に対応して、左右外側が前方へ突出するよう形成したことを特徴とする。
【0011】
請求項1記載の発明によれば、前側リッド及び後側リッドがそれぞれ閉状態のときに、一方の中空状のウェザストリップは、他方の中実状のウェザストリップと当接すると、他方のウェザストリップの形状に追従するように弾性変形し、各ウェザストリップが互いに密着する。このとき、他方のウェザストリップは中実状であることから、他方のウェザストリップはその形状が保たれ、各ウェザストリップの当接部分には高い剛性が付与される。
【0012】
従って、前側リッドと後側リッドとを隣接して設けた場合に、各リッドのウェザストリップ同士の当接により、良好な水密性を確保することができる。すなわち、水密性確保のために、ルーフ開口を横断して各リッドの隣接辺と当接する金属部品等を車体側に設置する必要がなく、ルーフ開放時の開放面積を大きく確保することができるのは勿論のこと、開口の横断部材がないので乗員等はより大きな開放感等を得ることができ、実用に際して極めて有利である。
【0014】
また、ウェザストリップの各リッドの左右辺に対応する部分は、剛体である車体側と当接することになる。ここで、リッドの隣接辺にて中実状のウェザストリップが、角部にて中空状に変化し、左右辺にて中空状となるよう構成したので、ウェザストリップにおける車体側との当接部分は、車体側に追従して弾性変形する。
【0015】
従って、各リッドの当接部分の水密性を確保しつつ、各リッドと車体側との水密性をも確保することができる。また、各リッド同士の当接部分と、車体側との当接部分とに対応するウェザストリップを、一の部材で構成することができ、部品点数を低減するとともに、ウェザストリップのリッドへの取付作業性を向上することができる。
また、前側リッドの後端側が車両のルーフ側から上方に突出した状態で車両が走行すると、前側リッドの後端の後方に生じる乱流により風切り音が発生するが、前側リッドの最後端に位置するウェザストリップは、その角部が丸く形成されているので、走行時に生じる乱流が抑制される。
さらに、後側リッドのウェザストリップは、前記前側リッドの後端左右の角部に対応して、左右外側が前方へ突出するよう形成されていることから、各リッドが閉状態のとき、各ウェザストリップの左右外側は密着する。尚、後側リッドはスライド移動するものであるので、その前端が車両のルーフ側から突出することはなく、ウェザストリップの角部を突出して形成しても、後側リッド周囲の空気の流れが大きく乱れることはない。
従って、各リッドの閉状態における各リッドの隣接部分における左右外側の水密性を確保しつつ、前側リッドが開状態のときの風切り音及びウインドスロッブ音を低減することができる。
【0016】
請求項2記載の発明では、請求項1記載の車両用サンルーフ装置において、前記前側リッドを、後端側が上方に移動することにより前記ルーフ開口の前側を開放するよう構成し、前記後側リッドを、後方へスライド移動することにより前記ルーフ開口の後側を開放するよう構成したことを特徴とする。
【0017】
請求項2記載の発明によれば、請求項1の作用に加え、前側リッドが開状態のときに、前側リッドの後端側は上方に移動し、車両のルーフ側から突出した状態となる。この状態で、車両が走行すると、前側リッドの後端の後方に生じる乱流により、風切り音が発生する。このとき、前側リッドの最後端に位置するウェザストリップは、その角部が丸く形成されているので、走行時に生じる乱流が抑制される。
また、後側リッドのウェザストリップは、前記前側リッドの後端左右の角部に対応して、左右外側が前方へ突出するよう形成されていることから、各リッドが閉状態のとき、各ウェザストリップの左右外側は密着する。尚、後側リッドはスライド移動するものであるので、その前端が車両のルーフ側から突出することはなく、ウェザストリップの角部を突出して形成しても、後側リッド周囲の空気の流れが大きく乱れることはない。
【0018】
従って、各リッドの閉状態における各リッドの隣接部分における左右外側の水密性を確保しつつ、前側リッドが開状態のときの風切り音及びウインドスロッブ音を低減することができる。
【0019】
請求項3記載の発明では、請求項2記載の車両用サンルーフ装置において、前記後側リッドに、前記各リッドがそれぞれが閉状態のときに、前記前側リッドとの隣接部分の下方に位置し、左右方向へ延びるドレン溝部を設けたことを特徴とする。
【0020】
請求項3記載の発明によれば、請求項2の作用に加え、前側リッド及び後側リッドがそれぞれ閉状態のときに、後側リッドに設けられたドレン溝部が、各リッドの隣接部分の下方に位置する。すなわち、各リッドを閉状態とした際等に、各リッドの表面から室内方向へ流入するドレン水は、ドレン溝部に受容され、車両の左右外側へと案内される。尚、ここでいうドレン水とは、例えば雨水等のように、車両外部から車両室内へと流入する不要な水をいう。
【0021】
従って、ルーフ開口を横断してドレン水を車両外側へ案内する部材を車体側に設けることなく、ドレン溝部により室内方向へのドレン水の流入を的確に阻止することができる。
請求項4記載の発明では、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の車両用サンルーフ装置において、前記各リッドのウェザストリップのうち、前記前側リッドのウェザストリップの隣接部を中空状とするとともに、前記後側リッドのウェザストリップの隣接部を中実状とし、前記前側リッドと前記後側リッドとは、前記後側リッドが閉状態となった後、前記前側リッドが閉状態とされることを特徴とする。
請求項4記載の発明によれば、請求項1〜3の作用に加え、後側リッドが閉状態となった後、前側リッドが閉状態となるので、後側リッドの固定状態の中実状のウェザストリップの隣接部に、前側リッドの中空状のウェザストリップの隣接部が移動して当接する。従って、固定状態のウェザストリップに対応して、中空状のウェザストリップの隣接部が弾性変形するので、より確実に各ウェザストリップを密着させることができる。
請求項5記載の発明では、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の車両用サンルーフ装置において、前記各リッドのウェザストリップは、前記各リッドがそれぞれ閉状態のとき、前記中空状とされたウェザストリップの隣接部が前記中実状とされたウェザストリップの隣接部の形状に追従するように弾性変形して互いに前後に密着することを特徴とする。
請求項5記載の発明によれば、請求項1〜4の作用に加え、中空状に形成された一方のリッドのウェザストリップの隣接部と、中実状に形成された他方のリッドのウェザストリップの隣接部とが当接して、一方のリッドの隣接部が、他方のリッドの隣接部の形状に追従するように弾性変形し、各ウェザストリップの隣接部が互いに前後に密着することで、中実状の隣接部はその形状が保たれ、各ウェザストリップの当接部分に高い剛性が付与される。そのため、各リッドのウェザストリップ同士の当接により、良好な水密性を確保することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
図1から図9は本発明の一実施形態を示すもので、図1はサンルーフ装置を備えた車両のルーフ廻りの外観斜視図、図2及び図3はサンルーフ装置の外観斜視図、図4は前側リッドのウェザストリップの一部上面図、図5は後側リッドのウェザストリップの一部上面図、図6は前側リッド及びウェザストリップの一部上面断面図、図7は後側リッド及びウェザストリップの一部上面断面図、図8は前側リッドのウェザストリップと、後側リッドのウェザストリップとが当接した状態を示すサンルーフ装置の一部側面説明図、図9は前側リッドのウェザストリップと、後側リッドのウェザストリップとが離隔した状態を示すサンルーフ装置の一部側面説明図である。
【0023】
図1に示すように、この自動車車両1はワゴン車であり、ルーフパネル2のルーフ開口3にサンルーフ装置4が備えられている。このサンルーフ装置4は、ルーフ開口3の前側を開閉する略四角形状の前側リッド5と、ルーフ開口3の後側を開閉する略四角形状の後側リッド6とを隣接して有している。
【0024】
図2に示すように、前側リッド5はルーフパネル2側に対し前端側を中心として回動自在に設けられ、図3に示すように、後端側が上方に移動することによりルーフ開口3の前側を開放するよう構成される。尚、本実施形態においては、前側リッド5の回動中心は、僅かに前後方向へ移動するようになっており、前側リッド5の前端が後方へ移動しつつ、後端側が上方へ移動する。
【0025】
図2に示すように、後側リッド6はルーフパネル2側に対して前後にスライド移動するよう設けられ、図3に示すように、後方へスライド移動することによりルーフ開口3の後側を開放するよう構成される。本実施形態においては、前側リッド5が開状態となった後に後側リッド6が開状態となり、また、後側リッド6が閉状態となった後に前側リッド5が閉状態となるようになっている。
【0026】
図6及び図7に示すように、前側リッド5及び後側リッド6の周縁には、それぞれ樹脂からなるウェザストリップ7,8が設けられる。各ウェザストリップ7,8は、各リッド5,6の隣接辺5a,6aから角部5b,6bを経由して左右辺5c,6cまで延びている。各ウェザストリップ7,8の隣接辺5a,6aに対応する隣接部7a,8aは左右に延び、図8に示すように各リッド5,6がそれぞれ閉状態のときに互いに当接する。
【0027】
本実施形態においては、図4及び図6に示すように、前側リッド5のウェザストリップ7は、隣接部7a、リッド5の角部5bに対応する角部7b、リッド5の左右辺5cに対応する左右部7cは、全て中空状に形成される。また、前側リッド5の後端左右の角部5bは丸く形成され、ウェザストリップ7の角部7bは、リッド5の角部7bに沿って設けられる。本実施形態においては、前側リッド5のウェザストリップ7は、樹脂の押し出し成形により製造される。
【0028】
また、図5及び図7に示すように、後側リッド6のウェザストリップ8は、隣接部8aが中実状に形成される。そして、リッド6の角部6bに対応する角部8bにて、中実状から中空状に変化し、リッド6の左右辺6cに対応する左右部8cでは中空状になるよう形成される。ここで、ウェザストリップ8の角部8bは、前側リッド5の後端左右の角部5bに対応して、左右外側が前方へ突出するよう形成される。本実施形態においては、図7に示すように、左右部8cから角部8bの突出部分までが連続的に略同一の断面形状、すなわち中空状に形成され、角部8bの左右部8a側が中実状に形成される。
【0029】
ここで、後側リッド6のウェザストリップ8の製造方法について説明する。このウェザストリップ8は、まず、中実状の隣接部8aと、中空状の左右部8cから角部8bの突出部分までとを、それぞれ独立して樹脂の押し出し成形により形成する。この後、隣接部8aと、左右部8c及び角部8bの一部を固定し、角部8bの他部の型に樹脂を流し込むことにより、隣接部8a側及び左右部8c側を接続しつつ、中実状から中空状に変化する角部8bの成形が行われ、本実施形態のウェザストリップ8が得られる。
【0030】
また、図8に示すように、後側リッド6には、各リッド5,6がそれぞれが閉状態のときに、前側リッド5との隣接部分の下方に位置し、左右方向へ延びるドレン溝部9が設けられる。このドレン溝部9は、下方に凸の左右に延びる溝が形成され、受容したドレン水を車両の左右外側へと案内するようになっている。本実施形態においては、ドレン溝部9は、後側リッド6のウェザストリップ8を保持するリテーナ8dを、前方に突出させることにより形成される。
【0031】
また、このドレン溝部9の前端には、各リッド5,6がそれぞれ閉状態のときに、前側リッド5のウェザストリップ7を保持するリテーナ7dの下面と当接するウェザストリップ10が設けられる。
【0032】
以上のように構成された車両用サンルーフ装置4によれば、前側リッド5のウェザストリップ7の隣接部7aが中空状であることから、前側リッド5及び後側リッド6がそれぞれ閉状態のときに、この隣接部7aと、中実状に形成された後側リッド6のウェザストリップ8の隣接部8aとが当接すると、前側リッド5の隣接部7aは、後側リッド6の隣接部8aの形状に追従するように弾性変形し、各ウェザストリップ7,8の隣接部7a,8aが互いに前後に密着する(図8参照)。このとき、後側リッド6のウェザストリップ8の隣接部8aは中実状であることから、後側リッド6のウェザストリップ8はその形状が保たれ、各ウェザストリップ7,8の当接部分には高い剛性が付与される。
【0033】
また、後側リッド6のウェザストリップ8は、前側リッド5の後端左右の角部5bに対応して、角部8bの左右外側が前方へ突出するよう形成されていることから、各リッド5,6が閉状態のとき、各ウェザストリップ7,8の角部7b,8bは互いに密着する。さらに、図8に示すように、各リッド5,6が閉状態となると、ドレン溝部9のウェザストリップ10は、前側リッド5のリテーナ7dの下面に密着する。
【0034】
また、ウェザストリップ7,8の各リッド5,6の左右辺5c,6cに対応する部分は、剛体である車体(ルーフパネル2)側と当接することになる。ここで、後側リッド6のウェザストリップ8が、角部8bにて中空状に変化し、左右部8cにて中空状となるよう構成したので、後側リッド6のウェザストリップ8における車体側との当接部分は、車体側に追従して弾性変形する。尚、前側リッド5のウェザストリップ7の左右部7cもまた、中空状に形成されているので、車体側に追従して弾性変形する。
【0035】
また、前側リッド5及び後側リッド6がそれぞれ閉状態のときに、後側リッド6に設けられたドレン溝部9が、各リッド5,6の隣接部分の下方に位置する(図8参照)。すなわち、各リッド5,6を閉状態とした際等に、各リッド5,6の表面から室内方向へ流入するドレン水は、ドレン溝部9に受容され、車両の左右外側へと案内される。
【0036】
ここで、前側リッド5が開状態のときに、図9に示すように、前側リッド5の後端側は上方に移動し、車両のルーフパネル2側から突出した状態となる。この状態で、車両が走行すると、前側リッド5の後端の後方に生じる乱流により、風切り音が発生する。このとき、前側リッド5の最後端に位置するウェザストリップ7は、その角部7bが丸く形成されているので、走行時に生じる乱流が抑制される。尚、後側リッド6はスライド移動するものであるので、その前端が車両のルーフパネル2側から突出することはなく、ウェザストリップ8の角部8bを突出して形成しても、後側リッド6周囲の空気の流れが大きく乱れることはない。
【0037】
このように、本実施形態の車両用サンルーフ装置4によれば、一方のウェザストリップ7の隣接部7aを中空状に形成するとともに、他方のウェザストリップ8の隣接部8aを中実状に形成したので、前側リッド5と後側リッド6とを隣接して設けた場合に、各リッド5,6のウェザストリップ7,8同士の当接により、良好な水密性を確保することができる。すなわち、水密性確保のために、ルーフ開口3を横断して各リッド5,6の隣接辺5a,6aと当接する金属部品等を車体側に設置する必要がなく、ルーフ開放時の開放面積を大きく確保することができるのは勿論のこと、開口の横断部材がないので乗員等はより大きな開放感等を得ることができ、実用に際して極めて有利である。
【0038】
また、本実施形態の車両用サンルーフ装置4によれば、後側リッド6のウェザストリップ8を、隣接部8aでは中実状に形成し、左右部8cでは中空状に形成したので、各リッド5,6の当接部分の水密性を確保しつつ、後側リッド6と車体側との水密性をも確保することができる。また、後側リッド6における前側リッド5の当接部分と、車体側との当接部分とに対応するウェザストリップ8を、一の部材で構成することができ、部品点数を低減するとともに、ウェザストリップ8の後側リッド6への取付作業性を向上することができる。
【0039】
また、本実施形態の車両用サンルーフ装置4によれば、前側リッド5の左右後端を丸く形成するとともに、これに対応して後側リッド6の左右前端を突出形成したので、各リッド5,6の閉状態における各リッド5,6の左右外側の水密性を確保しつつ、前側リッド5が開状態のときの風切り音及びウインドスロッブ音を低減することができる。
【0040】
また、本実施形態の車両用サンルーフ装置4によれば、各リッド5,6の表面から室内方向へ流入するドレン水は、ドレン溝部9に受容され車両の左右外側へと案内されるようにしたので、ルーフ開口3を横断してドレン水を車両外側へ案内する部材を車体側に設けることなく、ドレン溝部9により室内方向へのドレン水の流入を的確に阻止することができる。
【0041】
また、本実施形態の車両用サンルーフ装置4によれば、ドレン溝部9の前端にウェザストリップ10を設けたので、この部分でも各リッド5,6がシールされ、各リッド5,6の水密性能が格段に向上する。
【0042】
また、本実施形態の車両用サンルーフ装置4のウェザストリップ8の製造方法によれば、後側リッド6のウェザストリップ8を、中空状の隣接部8a及び中実状の左右部8cを押し出し成形により形成した後、中空状から中実状に変化する角部8bを型を用いて成形するようにしたので、良好な成形状態のウェザストリップ8を得ることができる。このウェザストリップ8により、後側リッド6の角部6bを精度良くシールすることができる。
【0043】
また、本実施形態においては、後側リッド6が閉状態となった後、前側リッド5が閉状態となるので、固定状態の中実状のウェザストリップ8に、中空状のウェザストリップ7が移動して当接する。従って、固定状態のウェザストリップ8に対応して、中空状のウェザストリップ7が弾性変形するので、より確実に各ウェザストリップ7,8を密着させることができる。
【0044】
尚、前記実施形態においては、前側リッド5のウェザストリップ7の隣接部7aが中空状であり、後側リッド6のウェザストリップ8の隣接部8が中実状であるものを示したが、前側リッド5のウェザストリップが中実状で、後側リッド6のウェザストリップが中空状であってもよい。
【0045】
また、前記実施形態においては、前側リッド5が回動し、後側リッド6がスライドするものを示したが、各リッド5,6が回動式であってもスライド式であってもよく、その他、具体的な細部構造等についても適宜に変更可能であることは勿論である。
【0046】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明の車両用サンルーフ装置によれば、前側リッドと後側リッドとを隣接して設けた場合に、各リッドのウェザストリップ同士の当接により、良好な水密性を確保することができる。すなわち、ルーフ開口を横断する金属部品等を車体側に設置する必要がなく、ルーフ開放時の開放面積を大きく確保することができるのは勿論のこと、開口の横断部材がないので乗員等はより大きな開放感等を得ることができ、実用に際して極めて有利である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示すもので、サンルーフ装置を備えた車両のルーフ廻りの外観斜視図である。
【図2】前側リッド及び後側リッドが閉状態のときのサンルーフ装置の外観斜視図である。
【図3】前側リッド及び後側リッドが開状態のときのサンルーフ装置の外観斜視図である。
【図4】前側リッドのウェザストリップの一部上面図である。
【図5】後側リッドのウェザストリップの一部上面図である。
【図6】前側リッド及びウェザストリップの一部上面断面図である。
【図7】後側リッド及びウェザストリップの一部上面断面図である。
【図8】前側リッドのウェザストリップと、後側リッドのウェザストリップとが当接した状態を示すサンルーフ装置の一部側面説明図である。
【図9】前側リッドのウェザストリップと、後側リッドのウェザストリップとが離隔した状態を示すサンルーフ装置の一部側面説明図である。
【符号の説明】
1 自動車車両
2 ルーフパネル
3 ルーフ開口
4 サンルーフ装置
5 前側リッド
5a 隣接辺
5b 角部
5c 左右部
6 後側リッド
6a 隣接辺
6b 角部
6c 左右部
7 ウェザストリップ
7a 隣接部
7b 角部
7c 左右部
8 ウェザストリップ
8a 隣接部
8b 角部
8c 左右部
9 ドレン溝部
Claims (5)
- ルーフ開口の前側を開閉する略四角形状の前側リッドと、前記ルーフ開口の後側を開閉する略四角形状の後側リッドとを隣接して有し、前記各リッドにそれぞれ全周を連続的に被覆するウェザストリップが設けられ、前記各リッドがそれぞれ閉状態のときに、前記各ウェザストリップの隣接部が互いに当接する車両用サンルーフ装置であって、
前記各リッドのウェザストリップのうち、一方のリッドのウェザストリップにおける他方のリッドのウェザストリップとの隣接部のみを中実状とし、前記一方のリッドのウェザストリップにおける前記隣接部以外の部分及び前記他方のリッドのウェザストリップは中空状となるよう構成するとともに、
前記前側リッドの後端左右の角部を丸く形成し、前記後側リッドにおけるウェザストリップの前端左右の角部を、前記前側リッドの後端左右の角部に対応して、左右外側が前方へ突出するよう形成したことを特徴とする車両用サンルーフ装置。 - 前記前側リッドを、後端側が上方に移動することにより前記ルーフ開口の前側を開放するよう構成し、
前記後側リッドを、後方へスライド移動することにより前記ルーフ開口の後側を開放するよう構成したことを特徴とする請求項1記載の車両用サンルーフ装置。 - 前記後側リッドに、前記各リッドがそれぞれが閉状態のときに、前記前側リッドとの隣接部分の下方に位置し、左右方向へ延びるドレン溝部を設けたことを特徴とする請求項2記載の車両用サンルーフ装置。
- 前記前側リッドのウェザストリップの隣接部を中空状とするとともに、前記後側リッドのウェザストリップの隣接部を中実状とし、
前記前側リッドと前記後側リッドとは、前記後側リッドが閉状態となった後、前記前側リッドが閉状態とされることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の車両用サンルーフ装置。 - 前記各リッドのウェザストリップは、前記各リッドがそれぞれ閉状態のとき、前記中空状とされたウェザストリップの隣接部が前記中実状とされたウェザストリップの隣接部の形状に追従するように弾性変形して互いに前後に密着することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の車両用サンルーフ装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2002283843A JP4180339B2 (ja) | 2002-09-27 | 2002-09-27 | 車両用サンルーフ装置 |
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