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JP4179196B2 - 圧電型電気音響変換器 - Google Patents

圧電型電気音響変換器 Download PDF

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Description

本発明は圧電レシーバ、圧電サウンダ、圧電スピーカなどの圧電型電気音響変換器に関するものである。
従来、電子機器、家電製品、携帯電話機などにおいて、警報音や動作音を発生する圧電サウンダあるいは圧電レシーバとして電気音響変換器が広く用いられている。
特許文献1には、音響変換効率がよい圧電振動板が提案されている。この圧電振動板は、2層または3層の圧電セラミックス層を積層して積層体を形成するとともに、この積層体の表裏主面に主面電極を形成し、各セラミックス層の間に内部電極を形成する。積層体の側面に主面電極を相互に接続する側面電極と、内部電極と導通する側面電極とを形成する。セラミックス層は厚み方向において同一方向に分極されており、主面電極と内部電極との間に交流信号を印加することで、積層体を面積屈曲振動させ、音を発生させるものである。
この構造の圧電振動板は、セラミックスの積層構造体であり、厚み方向に順に配置された2つの振動領域(セラミックス層)が相互に逆方向に振動するので、圧電板を金属板に貼り付けた振動板に比べて大きな変位量、つまり大きな音圧を得ることができる。
上記のように音響変換効率に優れた圧電振動板であっても、この振動板をケース等に支持する際、その周囲を隙間なく接着封止しなければならないので、共振周波数が高くなるという問題がある。例えば、10mm×10mmの大きさの圧電振動板の対向する2辺をケースに接着固定し、他の2辺を変位自在に弾性封止した場合には、共振周波数は1200Hz付近にあり、人間の音声帯域の下限である300Hz付近では音圧が大幅に低下してしまう。
圧電レシーバの場合、人間の音声帯域である300Hz〜3.4kHzにおいて、ほぼフラットな音圧特性を持つ広帯域音声の再生が可能な電気音響変換器が求められている。しかし、上記のような支持構造では、広帯域でほぼフラットな音圧特性が得られない。ケースおよび振動板の寸法を大きくすれば、低周波化が可能であるが、これでは電気音響変換器が大型化してしまう。
そこで、本願出願人は、小型化と低周波化とを両立でき、変位量が大きく、かつ広帯域音声の再生が可能な圧電型電気音響変換器を提案した(特許文献2)。この電気音響変換器は、特許文献1と同様な積層型の圧電素子を、これより大形の樹脂フィルムに貼り付け、樹脂フィルムの外周部を筐体で支持したものである。圧電素子の対向する2辺に引出電極を設け、これら引出電極と筐体に設けた端子とを、樹脂フィルム上に塗布した導電性接着剤によって接続している。
特に、圧電素子の引出電極の位置を対向する2辺の略中央部とし、端子を樹脂フィルムのコーナ部近傍と近接する部位に設け、引出電極と端子とを導電性接着剤により接続することで、第1共振周波数の低周波化と、音圧分割のない音圧特性とを得ることが可能である。
ところが、圧電素子の縦横比によっては、第2共振周波数において、導電性接着剤が塗布される圧電素子の辺の中央部付近の変位量が大きくなり、導電性接着剤により圧電素子の変位が妨げられてしまい、音圧特性にリップルが発生するという問題が発生する。
特開2002−10393号公報 特開2004−7400号公報
そこで、本発明の目的は、導電性接着剤による圧電素子の変位の妨げを防ぎ、リップルの少ない良好な音圧特性の圧電型電気音響変換器を提供することにある。
上記目的を達成するため、請求項1に係る発明は、圧電振動板と、この圧電振動板を収納する筐体とを備え、上記圧電振動板は、複数の圧電セラミックス層を内部電極を間にして積層し、表裏主面に主面電極を形成し、主面電極と内部電極との間に交流信号を印加することにより面積屈曲振動を発生する四角形の積層型圧電素子と、上記圧電素子より大形に形成され、表面の略中央部に上記圧電素子が貼り付けられた四角形の樹脂フィルムとで構成され、上記筐体の内周部には上記圧電素子より大きな枠形の支持部が設けられ、上記樹脂フィルムの圧電素子が貼り付けられていない外周部が上記筐体の支持部に支持されており、上記筐体の内周部であって、上記樹脂フィルムのコーナ部付近と近接する部位に端子が露出状態で固定され、上記圧電素子の主面電極と内部電極とを外部に引き出すための引出電極が圧電素子の対向する2辺の略中央部に形成され、上記引出電極と上記端子とが樹脂フィルム上を経由して塗布・硬化された導電性接着剤によって電気的に接続されており、上記圧電素子の引出電極が設けられた辺の寸法P2と引出電極が設けられていない辺の寸法P1との比P2/P1を0.76〜0.98としたことを特徴とする圧電型電気音響変換器を提供する。
屈曲振動を発生する積層型圧電素子の一面に圧電素子より大きな樹脂フィルムを貼り付け、このフィルムの外周部を筐体の支持部に支持した場合、圧電素子を強く拘束することなく支持することができるので、基本共振から3次共振まで落ち込みのない音圧が得られ、広帯域音声の再生に対応できる。
特に、圧電素子の引出電極の位置を対向する2辺の略中央部とし、端子を樹脂フィルムのコーナ部近傍と近接する部位に設け、引出電極と端子とを導電性接着剤により接続すれば、第1共振周波数の低周波化と、音圧分割のない音圧特性とを得ることが可能である。
圧電素子の縦横比によっては、第2共振周波数付近において音圧特性にリップルが発生するが、圧電素子の引出電極が設けられた辺の寸法P2と引出電極が設けられていない辺の寸法P1との比P2/P1を0.76〜0.98とすることで、圧電素子の引出電極が設けられた辺の中央部付近の変位量が小さくなり、引出電極に導電性接着剤を塗布した場合に圧電素子の変位が妨げられず、リップルを小さくできる。
請求項2のように、圧電素子の厚みPtとし、樹脂フィルムの圧電素子の引出電極が設けられた辺と垂直な方向の辺寸法F1、圧電素子の引出電極が設けられた辺と平行な方向の辺寸法F2、厚みFt、ヤング率Fdとしたとき、Pt=0.02mm以上、F2/F1=0.9〜1.1、Ft=0.03mm以下、Fd=1〜9.12GPaとするのがよい。
この場合には、第1共振周波数の低周波化と、音圧分割のない音圧特性とを得ることができ、広帯域音声の再生に対応できると同時に、第2共振周波数付近においてリップルの発生を防止できる。
請求項3のように、圧電素子の面積は、樹脂フィルムの面積の40〜70%とするのがよい。
圧電素子と樹脂フィルムとの面積比は音圧特性と関連性があり、圧電素子と樹脂フィルムとの面積比を変化させた場合、面積比が40〜70%のときに音圧特性が最も良好となり、40%未満および70%を超えると、音圧が減少傾向になる。そのため、面積比を樹脂フィルムの40〜70%とするのが望ましい。
以上の説明で明らかなように、請求項1に係る発明によれば、屈曲振動を発生する積層型圧電素子の一面に圧電素子より大きな樹脂フィルムを貼り付け、このフィルムの外周部を筐体の支持部に支持するとともに、圧電素子の対向する2辺の中央部と樹脂フィルムのコーナ部付近に対応する端子とを導電性接着剤で接続した電気音響変換器において、圧電素子の縦横比P2/P1を0.76〜0.98とすることで、導電性接着剤が塗布される圧電素子の辺の中央部付近の変位量が小さくなり、導電性接着剤が圧電素子の変位を妨げず、第2共振周波数付近のリップルの発生を防止できる。
その結果、第1共振周波数から第2共振周波数にかけて、音圧特性がほぼフラットで、広帯域音声の再生に適した電気音響変換器を実現できる。
図1〜図7は本発明の第1実施例である表面実装型の圧電型電気音響変換器を示す。
この実施例の電気音響変換器は、圧電レシーバのように人間の音声帯域(300Hz〜3.4kHz)においてほぼフラットな音圧特性を持つ広帯域音声の再生が可能なものであり、圧電振動板Aと、圧電振動板Aを収納するケース20とカバー30とを備えている。ここでは、ケース20とカバー30とで筐体が構成される。圧電振動板Aは、積層構造の圧電素子1と、この圧電素子1に貼り付けられた樹脂フィルム10とで構成される。
圧電素子1は、図6,図7に示すように、2層の圧電セラミックス層1a,1bを積層したものであり、圧電素子1の表裏主面には主面電極2,3が形成され、セラミックス層1a,1bの間には内部電極4が形成されている。2つのセラミックス層1a,1bは、太線矢印で示すように厚み方向において同一方向に分極されている。表側の主面電極2と裏側の主面電極3は、圧電素子1の辺長よりやや短く形成され、その一端は圧電素子1の一方の端面に形成された端面電極5に接続されている。そのため、表裏の主面電極2,3は相互に接続されている。内部電極4は主面電極2,3とほぼ対称形状に形成され、内部電極4の一端は上記端面電極5と離れており、他端は圧電素子1の他端面に形成された端面電極6に接続されている。圧電素子1の他端部の表裏面中央部には、端面電極6と導通する補助電極7が形成されている。この実施例の補助電極7は、後述する樹脂層8の切欠部8bに対応する箇所のみの部分電極としたが、圧電素子1の他端部に沿って延びる一定幅の帯状電極でもよい。
圧電素子1の表裏面には、主面電極2,3を覆う樹脂層8,9が形成されている。この樹脂層8,9は、落下衝撃による圧電素子1の割れを防止する保護層としての役割を有するものであり、必要に応じて設けられる。表側の樹脂層8の対向する2辺の中央部には、主面電極2の一部2aが露出する切欠部8aと、補助電極7が露出する切欠部8bとが形成されている。また、切欠部8aに対向して裏側の樹脂層9には主面電極3の一部が露出するように切欠部9aが形成されている。この実施例では、表側の樹脂層8の切欠部8a,8bから露出する主面電極2の一部2aと補助電極7とが引出電極を構成している。
ここでは、セラミックス層1a,1bとして、一辺が6〜8mm、1層の厚みが15μmの四角形状のPZT系セラミックスを使用し、樹脂層8,9として厚みが5〜10μmのポリアミドイミド系樹脂を使用した。
圧電素子1は、この圧電素子1より大形な四角形の樹脂フィルム10の表面の略中央部に接着剤11によって接着されている。接着剤11としては、例えばエポキシ系接着剤が使用される。
樹脂フィルム10は、圧電素子1より薄肉で、かつヤング率が1GPa〜9.12GPaの樹脂材料で形成されている。望ましくはリフロー温度以上(例えば300℃以上)の耐熱性を持つ樹脂フィルムがよい。具体的には、エポキシ系、アクリル系、ポリイミド系、ポリアミドイミド系などの樹脂材料が使用される。
ここでは、一辺が10mm、厚みが7.5μm、ヤング率が3400MPaの正方形状のポリイミドフィルムを使用した。
図8は、10mm×10mmの樹脂フィルム10に貼り付ける圧電素子1の面積割合と相対音圧(dB)との関係を示したものである。相対音圧とは、100Hz点における変位体積1×10-63 のときを0dBとした場合の音圧換算値である。
図から明らかなように、圧電素子1の面積割合が樹脂フィルム10の40〜70%の範囲では、相対音圧がほぼ0以上であり、良好な音圧特性が得られているのに対し、40%未満あるいは70%超では、相対音圧の減少傾向が大きくなることがわかる。なお、圧電素子1の面積割合が55%付近のときに100Hz点の変位量が最も大きくなっており、音圧特性の面では圧電素子面積を55%付近とするのが最適である。
したがって、圧電素子1の面積割合を樹脂フィルム10の40〜70%とするのがよい。
ケース20はセラミックス、樹脂、ガラスエポキシなどの絶縁性材料で底壁部20aと4つの側壁部20b〜20eとを持つ4角形の箱型に形成されている。ケース20を樹脂で構成する場合には、リフローはんだ付けに耐えるため、LCP(液晶ポリマー),SPS(シンジオタクチックポリスチレン),PPS(ポリフェニレンサルファイド),エポキシなどの耐熱樹脂が望ましい。4つの側壁部20b〜20eの内周部には、樹脂フィルム10の外周部下面を支持する環状の支持部20fが設けられ、対向する2つの側壁部20b,20dの内側の支持部20fの近傍に、一対の端子21,22の内部接続部21a,22aが露出している。端子21,22はケース20にインサート成形されたものであり、ケース20の外部に突出した外部接続部21b,22bが側壁部20b,20dの外面に沿ってケース20の底面側へ折り曲げられている。この実施例では、端子21,22の内部接続部21a,22aが二股状に別れており、これら二股状の内部接続部21a,22aがケース20のコーナ部近傍に位置している。
ここでは、支持部20fを樹脂フィルム10の外周部全周を支えるよう、ケース20の内周部全周に形成したが、樹脂フィルム10の4つのコーナ部下面のみを支持するよう、部分的に設けてもよい。
支持部20fの外側であって、4つの側壁部20b〜20eの内側には、樹脂フィルム10の外周部をガイドするためのガイド部20gが設けられている。ガイド部20gの内側面には、下方に向かって漸次内側へ傾斜した傾斜面が形成され、樹脂フィルム10がこの傾斜面によってガイドされ、支持部20f上に正確に載置される。なお、支持部20fは、図3に示すように端子21,22の内部接続部21a,22aより一段低く形成されており、そのため支持部20f上に樹脂フィルム10を載置すると、圧電素子1の天面と端子21,22の内部接続部21a,22aの上面とがほぼ同一高さになるように設定されている。
なお、側壁部20c側の底壁部20aには第1の放音孔20hが形成されている。
圧電振動板A(樹脂フィルム10付きの圧電素子1)はケース20に収納され、圧電素子1が貼り付けられていない樹脂フィルム10の外周部がケース20の支持部20fに載置される。そして、ケース20のコーナ部近傍に位置する端子21,22の内部接続部21a,22aと、これに対向する樹脂フィルム10との間に弾性接着剤13が塗布され、樹脂フィルム10が接着固定される。弾性接着剤13は、硬化状態でのヤング率が後述する導電性接着剤14より低い接着剤であり、例えば3.7×106 Pa程度のウレタン系接着剤が使用される。この弾性接着剤13は、山形に盛り上げて塗布するのがよい。
樹脂フィルム10をケース20に固定した後、切欠部8aに露出する主面電極2aと端子21の内部接続部21aとの間、および切欠部8bに露出する補助電極7と端子22の内部接続部22aとの間に導電性接着剤14が略クランク形状に塗布される。塗布方法としては、ディスペンスや印刷法など公知の方法を用いることができる。導電性接着剤14は山形に盛り上げられた弾性接着剤13の上に塗布されるので、導電性接着剤14の硬化収縮応力や拘束力が樹脂フィルム10に波及するのが抑制される。
なお、導電性接着剤14としては、樹脂フィルム10の変位を拘束しないようにするため、硬化後のヤング率が低い導電ペーストを使用するのがよい。ここでは、硬化後のヤング率が0.3×109 Paのウレタン系導電ペーストを使用した。導電性接着剤14を塗布した後、これを加熱硬化させると、主面電極2aと端子21の内部接続部21a、補助電極7と端子22の内部接続部22aとがそれぞれ電気的に接続される。
上記のように、圧電素子1の引出電極2a,7を辺中央部とし、この引出電極から樹脂フィルム10上を経由してコーナ部付近から端子21,22へ導電性接着剤13を連続的に塗布すれば、樹脂フィルム10の拘束力が低減され、共振周波数の低周波化と音圧分割のない音圧特性とを両立させることができる。
なお、主面電極2aと内部接続部21aとの間、および補助電極7と内部接続部22aとの間に位置する樹脂フィルム10の上に、導電性接着剤13より低いヤング率を持つ被覆剤を塗布・硬化させておき、その上に導電性接着剤13を跨いで塗布してもよい。これによって、導電性接着剤13の樹脂フィルム10に対する拘束力を弱めることができる。
圧電素子1と端子21,22の内部接続部21a,22aとを接続した後、弾性封止剤15が樹脂フィルム10の全周とケース20の内周部との間に塗布され、樹脂フィルム10とケース20との間が封止される。弾性封止剤15としては、樹脂フィルム10の変位を許容するため、ヤング率のできるだけ低い弾性接着剤を使用するのがよい。ここでは、硬化後のヤング率が3.0×105 Paのシリコーン系接着剤を使用した。
上記のように樹脂フィルム10付きの圧電素子1をケース20に支持した後、ケース20の上面開口部にカバー30が接着剤31によって接着される。カバー30はケース20と同様な材料で形成されており、カバー30を接着することで、カバー30と圧電素子1との間に音響空間が形成される。カバー30には、第2の放音孔32が形成されている。
上記のようにして表面実装型の圧電型電気音響変換器が完成する。
この実施例の電気音響変換器では、端子21,22間に所定の交流電圧を印加すると、圧電素子1における分極方向と電界方向とが同一方向である圧電セラミックス層は平面方向に縮み、分極方向と電界方向とが逆方向である圧電セラミックス層は平面方向に伸びるので、全体として圧電素子1を厚み方向に屈曲させることができる。
圧電素子1はそれより大きな樹脂フィルム10上に貼り付けられており、樹脂フィルム10の圧電素子1を有しない外周部がケース20の支持部20fに支持されているので、圧電素子1の変位を強く拘束しない。そのため、従来と同一寸法の圧電素子を用いても共振周波数を低くすることが可能であり、しかも支持拘束力の低下により変位量を大きくすることができ、高い音圧を得ることができる。
図9は、圧電素子1の長辺寸法7.5mm、厚み0.03mm、樹脂フィルム10の寸法10×10mm、厚み0.0075mm、ヤング率9.12GPaで、圧電素子1の短辺寸法7.0mmと6.5mmの場合の音圧周波数特性を示したものである。
音圧周波数特性から分かるように、第1共振と第2共振の2つの共振モードが存在しており、第1共振では一様な変位形状であるのに対し、第2共振では圧電素子の4隅の変位が大きくなるような変位形状をしている。
第1共振付近では差異がないが、短辺寸法7.0mmの場合、第2共振音圧にリップルが発生しているのに対し、6.5mmの場合にはリップルが発生していないことがわかる。
図10は、圧電素子の短辺中心からの規格化距離と、圧電素子の変位との関係を、短辺寸法7.0mmと6.5mmとで比較して示したものである。
図10から明らかなように、短辺寸法が7.0mmの場合と比較し、6.5mmの場合には短辺中心の変位量はほぼ0であることが分かる。このように、圧電素子1の辺比により第2共振周波数での変位形状が異なり、短辺中心の変位量を小さくする辺比を選択することで、第2共振音圧にリップルが発生するのを防ぐことができる。
有限要素法シミュレーションにより、第2共振周波数において圧電素子1の短辺中心変位量が0となる圧電素子1の辺比を求めることが可能である。シミュレーションに用いた辺の長さを図5に示す。すなわち、圧電素子1の長辺(引出電極が設けられていない辺)の長さをP1、圧電素子1の短辺(引出電極が設けられている辺)の長さをP2、圧電素子1の長辺と平行なフィルム10の辺の長さをF1、圧電素子1の短辺と平行なフィルム10の辺の長さをF2とする。
図11,図12に、フィルム寸法F1に対する圧電素子1の長辺P1の比毎に、圧電素子1の辺比(P2/P1)と、圧電素子1の短辺中心および長辺中心の第2共振時の変位量の関係を示す。なお、変位量は圧電素子の最大変位を1として規格化してある。
辺比P2/P1によって、短辺中心の変位が0となる点があることが分かる。それに対し、長辺中心の変位が0になることはない。
図13は、短辺中心変位が0になるP1/F1とP2/P1の関係を示す。
図からわかるように、P1/F1は、短辺中心変位が0になるP2/P1とほぼ反比例関係にある。すなわち、圧電素子1の長辺寸法P1がフィルムの辺寸法F1に近づくに従い、短辺中心変位が0になるP2/P1はより小さくなる、つまり、圧電素子1はより縦長になることがわかる。
なお、図11〜図13では、F1=F2=10mm、Fd=9.12GPa、Pt=0.03mm、Ft=0.0075mmとした。
図14は、圧電素子の厚みPtをパラメータとし、フィルム厚みFtと短辺中心変位が0になる辺比P2/P1との関係を示す。
Ftが大きくまたはPtが小さくなるに従い、短辺中心変位が0になるP2/P1は小さくなる傾向にあり、Ftが0.015mm以下ではほとんど変化しなくなる。これは、フィルムが薄くなることで、フィルム厚みによる拘束力の影響が小さくなる為である。また、Ptが0.02mmのとき、P2/P1が小さくなるが、圧電素子が薄くなることでフィルムから受ける拘束力の影響が大きくなるためである。
図15は、フィルムのヤング率Fdをパラメータとし、フィルム厚みFtと短辺中心変位が0になる辺比P2/P1との関係を示す。
Ftが大きくまたはFdが大きくなるに従い、短辺中心変位が0になるP2/P1は小さくなる傾向にあり、Ftが0.015mm以下ではほとんど変化しなくなる。Fdが9.12GPaではP2/P1が小さくなるが、圧電素子が薄フィルムのヤング率が大きくなると、フィルムから受ける拘束力の影響が大きくなるためである。
図16は、圧電素子1の長辺と垂直方向のフィルム寸法F2と平行方向のフィルム寸法F1とのフィルム辺比(F2/F1)と、圧電素子1の短辺中心変位量が0 となるP2/P1の関係を示す。
フィルム辺比が1を下回る範囲では、P2/P1は大きくなるが、1以上では値の変化は小さいことがわかる。
しかし、F2/F1が0.9〜1.1の範囲であれば、大差がない。
以上のように、圧電素子の短辺中心変位量が0となるP2/P1は、図14では、Fd=9.12GPa、F1=F2=10mm、P1=7.5mmとし、Pt=0.02〜0.05mmおよびFt=0.0075〜0.03mmの範囲においてP2/P1=0.76〜0.94となり、図15では、F1=F2=10mm、Pt=0.03mmとし、Ft=0.0075〜0.03mmおよびFd=1〜9.12GPaの範囲においてP2/P1=0.82〜0.95となり、図16では、Fd=9.12GPa、Pt=0.03mm、Ft=0.0075mmとし、F2/F1=0.9〜1.1の範囲においてP2/P1=0.84〜0.98となることを示している。
上記のことから、P2/P1の範囲は0.76〜0.98とするのがよい。
図17は、実際に試作により確認した、P2/P1と第2共振リップル音圧の関係を示す。ここで、P1/F1=0.75、Fd=9.12GPa、Ft=0.0075mm、Pt=0.03mmである。
有限要素法シミュレーションを用いた結果では、P2/P1=0.88の時、リップル音圧が最小値となる。試作結果でもP2/P1が0.88の時にリップル音圧が最小値を示しており、P2/P1は計算値の±0.01の範囲では1dB以下の小さい値を示している。
上記条件の場合には、圧電素子1の短辺/長辺寸法比P2/P1を0.85〜0.92とすることで、リップルのない良好な音圧特性を得ることができる。
ただし、Pt=0.02mm以上、F2/F1=0.9〜1.1、Ft=0.03mm以下、Fd=1〜9.12GPaとした場合には、上記と同様な音圧特性を得ることができる。
本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
上記実施例の圧電素子1は2層の圧電セラミックス層を積層したものであるが、3層以上の圧電セラミックス層を積層したものでもよい。この場合には、中間層は拡がり振動を発生しないダミー層となる。
本発明における端子とは、上記実施例のようなインサート端子に限るものではなく、例えばケースの支持部上面から外部に至る薄膜あるいは厚膜の電極であってもよい。
筐体の構造は、実施例のように凹型のケースと平板状カバーとで構成されたものに限らず、例えば凹型のケースと凹型のカバーとを対向させて連結することで筐体を構成してもよいし、支持部を有する枠状フレームの内側に圧電振動板を取り付け、フレームの表裏面にカバーを取り付けて筐体を構成してもよい。さらに、平板状の基板の上に枠状の支持部を設け、この支持部の上に樹脂フィルム付きの圧電振動子を取り付け、その上からカバーを被せた構造としてもよい。基板を用いた場合には、基板に予め端子電極をパターン形成しておくことができる。
本発明に係る圧電型電気音響変換器の一例の分解斜視図である。 図1に示す圧電型電気音響変換器のカバーおよび封止接着剤を除外した状態の平面図である。 図2のX−X線による階段断面図である。 圧電振動板の分解斜視図である。 圧電振動板の平面図である。 圧電素子の拡大斜視図である。 図6のY−Y線断面図である。 振動板の面積割合と音圧との関係を示す図である。 寸法比が異なる2種類の圧電素子を用いた圧電型電気音響変換器の音圧特性図である。 圧電素子の短辺中心からの距離と短辺中心の変位との関係を示す図である。 圧電素子の寸法比と短辺中心の変位との関係を示す図である。 圧電素子の寸法比と長辺中心の変位との関係を示す図である。 圧電素子の長辺とフィルムの長辺との比と、圧電素子の短辺中心変位量が0となる圧電素子の寸法比との関係を示す図である。 圧電素子の厚みをパラメータとした時のフィルムの厚みと、圧電素子の短辺中心変位量が0となる圧電素子の寸法比との関係を示す図である。 フィルムのヤング率をパラメータとした時のフィルムの厚みと、圧電素子の短辺中心変位量が0となる圧電素子の寸法比との関係を示す図である。 フィルムの寸法比と、圧電素子の短辺中心変位量が0となる圧電素子の寸法比との関係を示す図である。 圧電素子の寸法比と、第2共振リップル音圧の関係を示す図である。
符号の説明
A 圧電振動板
1 圧電素子
2,3 主面電極
4 内部電極
2a,7 引出電極
10 樹脂フィルム
13 導電性接着剤
14 封止接着剤
15 薄膜電極
20 ケース(筐体)
20f 支持部
21,22 端子(端子電極)
30 カバー(筐体)

Claims (3)

  1. 圧電振動板と、この圧電振動板を収納する筐体とを備え、
    上記圧電振動板は、複数の圧電セラミックス層を内部電極を間にして積層し、表裏主面に主面電極を形成し、主面電極と内部電極との間に交流信号を印加することにより面積屈曲振動を発生する四角形の積層型圧電素子と、上記圧電素子より大形に形成され、表面の略中央部に上記圧電素子が貼り付けられた四角形の樹脂フィルムとで構成され、
    上記筐体の内周部には上記圧電素子より大きな枠形の支持部が設けられ、上記樹脂フィルムの圧電素子が貼り付けられていない外周部が上記筐体の支持部に支持されており、
    上記筐体の内周部であって、上記樹脂フィルムのコーナ部付近と近接する部位に端子が露出状態で固定され、
    上記圧電素子の主面電極と内部電極とを外部に引き出すための引出電極が圧電素子の対向する2辺の略中央部に形成され、
    上記引出電極と上記端子とが樹脂フィルム上を経由して塗布・硬化された導電性接着剤によって電気的に接続されており、
    上記圧電素子の引出電極が設けられた辺の寸法P2と引出電極が設けられていない辺の寸法P1との比P2/P1を0.76〜0.98としたことを特徴とする圧電型電気音響変換器。
  2. 上記圧電素子の厚みPtとし、上記樹脂フィルムの圧電素子の引出電極が設けられた辺と垂直な方向の辺寸法F1、上記圧電素子の引出電極が設けられた辺と平行な方向の辺寸法F2、厚みFt、ヤング率Fdとしたとき、Pt=0.02mm以上、F2/F1=0.9〜1.1、Ft=0.03mm以下、Fd=1〜9.12GPaであることを特徴とする請求項1に記載の圧電型電気音響変換器。
  3. 上記圧電素子の面積は、上記樹脂フィルムの面積の40〜70%であることを特徴とする請求項1または2に記載の圧電型電気音響変換器。
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