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JP4179034B2 - 通信システム、通信装置、通信方法及びプログラム - Google Patents

通信システム、通信装置、通信方法及びプログラム Download PDF

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  • Computer Networks & Wireless Communication (AREA)
  • Signal Processing (AREA)
  • Mobile Radio Communication Systems (AREA)
  • Small-Scale Networks (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばデータ通信などを行う無線LAN(Local Area Network:構内情報通信網)システムを、マスタ制御局なしで運用する無線アドホックネットワークに適用して好適な、通信システム、通信装置、通信方法及びその通信処理を実行するプログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、無線LANシステムのメディアアクセス制御としては、IEEE(The Institute of Electrical and Electronics Engineers )802.11方式で規定されたアクセス制御などが広く知られている。IEEE802.11方式の詳細については、International Standard ISO/IEC 8802-11:1999(E) ANSI/IEEE Std 802.11, 1999 Edition, Part11:Wireless LAN Medium Access Control(MAC) and Physical Layer(PHY) Specificationsなどに記載されている。
【0003】
IEEE802.11方式におけるネットワーキングは、BSS(Basic Service Set)の概念に基づいている。BSS は、アクセスポイント(Access Point:AP) のようなマスタ制御局が存在するインフラモードで定義されるBSS と、複数の移動局(Mobile Terminal:MT)のみにより構成されるアドホックモードで定義されるIBSS(Independent BSS) の二種類がある。アドホックモードで通信を行う際には、RTS/CTS 手順によるCSMA(Carrier Sense Multiple Access) で通信を行うことが知られている。上述したIEEE802.11方式においても、この処理が採用されている。
【0004】
RTS/CTS 手順の動作例を図12を用いて説明する。図12では、従来からのRTS /CTS 交換によるアクセス制御手順を示した図である。ここでは、図12(a)に示すように、送信元通信装置は、データの送信に先立ちRTS 信号を送信し、図12(b)に示す受信先通信装置からCTS 信号の返送があった場合に、データの送信が行なえる構成を示している。
【0005】
さらに、図12(b)に示すように、データ伝送が終了した直後に、受信先通信装置から、データの受信が正しく出来たことを示す確認応答信号である、ACK 信号を返送する手順が一般的に用いられる。このようにRTS 信号とCTS 信号の送受信を行ってから、データ伝送を開始させることで、無線伝送が行える状態か確認しながら通信ができる。
【0006】
特許文献1には、このようなRTS 信号とCTS 信号の送受信を行って、無線通信のアクセス制御を行う場合の一例が開示されている。
【0007】
【非特許文献1】
特開平8−37528号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、このようなアドホックネットワークでRTS 信号とCTS 信号の送受信でデータ伝送を行う場合であっても、いわゆる隠れ端末が存在すると、データ伝送に失敗する場合がある。図13は、従来からのRTS /CTS 交換によるアクセス制御を用いた場合の衝突発生事例を示す。ここでは、図13(a),(b)に示すように、送信元通信装置からRTS 信号を送信すると、受信先通信装置からはRTS 信号に応じて、CTS 信号を返送して、直後にデータの受信を行なう。
【0009】
ここで、送信元通信装置とは直接無線通信ができないが、受信先通信装置とは直接無線通信が可能な、いわゆる隠れ端末装置が図13(c)に示すように存在しているとする。このとき、その隠れ端末装置が、その存在をネットワーク内の他の通信装置に知らせるためのビーコン信号を定期的に送信しているとすると、そのビーコン信号の送信タイミングが、図13に示すように、送信元通信装置からのデータ送信タイミングと衝突してしまう可能性がある。隠れ端末装置で、送信元通信装置から送信されるRTS 信号が受信できれば、隠れ端末装置でのビーコン信号の送信を一時的に停止させることも可能であるが、この例での隠れ端末装置は、送信元通信装置からのRTS 信号が受信できないので対処できない問題がある。
【0010】
この問題を解決するためには、受信先通信装置で、データの受信とビーコン信号の受信とが衝突する可能性がある場合に、CTS 信号を返送しないで、データ送信を開始させないようにすることが考えられる。即ち、例えば図14(a)に示すように、送信元通信装置は、データの送信に先立ちRTS 信号を送信する。ここで、このRTS 信号を受信した受信先通信装置は、図14(b)に示すように、CTS 信号を返送しないで待機する(破線が本来CTS 信号を送信するタイミング)。このようにすることで、送信元通信装置からデータ送信は開始されないが、送信元通信装置はデータを送信したい要求があるために、再度RTS 信号を送信することになる。ところが、今度はそのRTS 信号の送信が、図14(c)に示す隠れ端末装置でのビーコン信号の送信と衝突する可能性が高くなってしまう。このようにRTS 信号とビーコン信号とが衝突してしまうと、受信先通信装置では、RTS 信号を正しく判別できなくなり、さらにデータ通信ができる機会が先になってしまう。
【0011】
先に示した特許文献1では、この問題を解決するために、受信先通信装置で、RTS 信号を受信して、その後に送信されるデータを受信できない可能性がある場合に、受信先通信装置からCTS 信号の代わりにキャンセル信号を返送して、そのときのデータ送信をキャンセルさせることが開示されている。この特許文献1に記載されたキャンセル信号を適用することで、例えば、隠れ端末からのビーコン信号が送信される時刻がわかっている場合などに、キャンセル信号を返送して、RTS 信号をキャンセルさせることにもその応用が可能である。
【0012】
しかしながら、キャンセル信号を受理した送信元通信装置では、相手に送信したいデータがあるので、しかるべき時刻が経過した後に、再度、RTS 信号の送信を行ない、通信を試みる必要がある。図15は、その場合の例を示した図であり、例えば図15(a)に示すように、送信元通信装置は、データの送信に先立ちRTS 信号を送信する。ここで、このRTS 信号を受信した受信先通信装置は、図15(b)に示すように、キャンセル信号を返送する。その後、送信元通信装置は、しかるべき時刻が経過した後に、再度、RTS 信号の送信を行なうが、図15(c)に示すように、隠れ端末装置から別の端末装置へのRTS 信号やデータの送信が開始されると、送信元通信装置からの再度のRTS 信号の送信があっても、その送信が隠れ端末装置からの送信と衝突する可能性がある。
【0013】
このように、一時的に送信を待機させるだけでは、隠れ端末からの送信との衝突の回避が消極的であり、あまり効果的な衝突回避処理が行われているとは言えなかった。
【0014】
本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、無線LANシステムなどの通信システムを、マスタ制御局なしで運用するアドホックネットワークで、伝送されるデータの衝突を最小限に抑えることを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ネットワーク内の通信局で、自局の周囲で定期的に受信される所定の信号を判別し、定期的に送信される信号が次に送信されるタイミングを推定して、他の通信局からの通信開始要求を検出した場合に、推定したタイミングまでの時間に基づいた時間情報を、通信開始要求に対する応答に付加して送信するようにしたものである。
【0016】
このようにしたことで、受信側の通信局で、伝送が他の通信局からの送信で専有されることが事前に予測に判っている場合に、その予測される専有時間を回避したタイミングで、データを送信させることが可能になる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態を、図1〜図11を参照して説明する。
【0018】
本実施の形態において想定している通信の伝播路は無線であり、かつ単一の伝送媒体(周波数チャネルによりリンクが分離されていない場合)を用いて、複数の機器間でネットワークを構築する場合としてある。但し、複数の周波数チャネルが伝送媒体として存在する場合であっても、同様のことがいえる。また、本実施の形態で想定している通信は蓄積交換型のトラヒックであり、パケット単位で情報が転送される。また、本実施の形態におけるネットワークは、従来の技術で説明したアドホックネットワークとしてあり、ネットワーク内の各通信局を統括して管理する制御局は存在しないネットワークとしてある。
【0019】
図1は、本実施の形態による無線通信システムを構成する通信装置(通信局)の配置例である。ここでは、通信装置1,2,‥‥7の7台の通信装置が、同一空間上に分布している様子を表わしている。
【0020】
図1では、各通信装置1,2,‥‥7の通信範囲1a,2a,‥‥7aを破線で示してあり、その範囲内にある他の通信装置と互いに通信ができるのみならず、自己の送信した信号が干渉する範囲として定義される。即ち、
・通信装置1は近隣にある通信装置2,3,7と通信可能な範囲にある。
・通信装置2は近隣にある通信装置1,3と通信可能な範囲にある。
・通信装置3は近隣にある通信装置1,2,5と通信可能な範囲にある。
・通信装置4は近隣にある通信装置5と通信可能な範囲にある。
・通信装置5は近隣にある通信装置3,4,6と通信可能な範囲にある。
・通信装置6は近隣にある通信装置5と通信可能な範囲にある。
・通信装置7は近隣にある通信装置1と通信可能な範囲にある。
【0021】
そして、本実施の形態においては、各通信装置が、周囲にある他の通信装置との間で、互いに影響を考慮しながら1つの無線伝送路を時分割で利用するアクセス制御処理を行うものである。
【0022】
図2は、本例のシステムに適用される通信局を構成する無線通信装置の構成例を示したブロック図である。この無線通信装置は、この無線通信装置に接続される機器(図示せず)との間で各種情報の交換を行なうためのインターフェース11を備え、その接続された機器からインターフェース11に送られてきたデータや、無線伝送路を介して受信したデータを一時的に格納しておくデータバッファ12を有する。
【0023】
また、この無線通信装置での一連の情報送信・受信処理の管理と伝送路のアクセス制御を一元的に行なう中央制御部13を有し、この中央制御部13の制御で送信と受信を実行する処理部として、無線送信部14と無線受信部17を有する。無線送信部14では、データバッファ12に蓄積されたデータを、例えばウルトラワイドバンド信号(Ultra Wideband信号:UWB 信号)として変調処理を行い、無線受信部17では、例えばウルトラワイドバンド信号の復調処理を行って、復調されたデータをデータバッファ12に供給する。無線送信部14と無線受信部17には、無線信号の送信及び受信を行うアンテナ16が接続してある。なお、送信と受信で別のアンテナを用意しても良く、或いは複数のアンテナを備えていわゆるダイバーシティ受信を行うようにしても良い。
【0024】
無線送信部14での送信タイミング及び無線受信部17での受信タイミングは、タイミング制御部15により制御される。また本例においては、データの送信に先立ち通信要求(RTS )や確認通知(CTS )の情報などを、中央制御部13の制御に基づいて生成する制御信号生成部18を備えて、制御信号生成部18で生成されたこれらの制御信号を、無線送信部14で送信処理させる。さらに、近隣にある他の無線通信装置との間で、周期的に交換されるビーコン信号を、中央制御部13の制御に基づいて生成するためのビーコン生成部20を備えて、このビーコン生成部20で生成されたビーコン信号を、無線送信部14で送信処理させる。これらの制御信号やビーコン信号の送信タイミングについても、タイミング制御部15により制御される。
【0025】
また無線受信部17には、周辺の無線通信装置から送信された通信要求(RTS )や確認通知(CTS )などの制御情報を解析する制御信号解析部19と、無線受信部17で受信できたビーコン信号を解析し、近隣無線通信装置を解析するビーコン解析部21とを備えて、それぞれでの解析結果を中央制御部13に送る。
【0026】
また中央制御部13には、ネットワーク内の他の無線通信装置のアドレスや一連のアクセス制御動作などの実行手順命令などを蓄えておく情報記憶部22が接続してある。さらに、自己の周辺に存在する近隣無線通信装置のビーコン送信位置情報を格納する近隣通信装置情報記憶部23と、本例でのアクセス制御にかかるパラメータを一時的に保存しておくためのアクセス制御情報記憶部24とが用意されて、中央制御部13が記憶情報を判断できるようにしてある。
【0027】
なお、ここでは、無線通信方式として、UWB 方式を例にして説明したが、例えば無線LANに適用可能な、比較的近距離の通信に適したその他の各種通信方式が適用できる。具体的には、UWB 方式以外の方式として、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplex :直交周波数分割多重)方式、CDMA(Code Division Multiple Accsess:符号分割多元接続)方式などが適用可能である。
【0028】
次に、本例のネットワーク内の各無線通信装置で送信されるパケット構成例について、図3〜図6を参照して説明する。
【0029】
まず、図3に通信要求(RTS )信号の構成例を示す。
データの送信を開始したい通信装置が送信する通信要求信号のパケットの場合には、通信要求(RTS )であることを表わすタイプと、そのパケットの長さを表わすデータ長、受信先通信装置のアドレスを表わすRxアドレスと、送信元通信装置のアドレス(即ち自局のアドレス)を表わすTxアドレスとが、共通のヘッダ情報として順に配置されている。さらデータバッファ12にバッファリングされているデータ総量(即ち送信したいデータ量)を表わすパラメータや、送信する可能性のある時間情報などが必要に応じて付加され、末尾にこの情報の誤り検出を行なうためのコード(CRC )が付加される構成としてある。
【0030】
図4は、通信確認(CTS )信号の構成例を示す。
通信要求信号を受信した側の通信装置が、通信要求に応答することを示す通信確認信号のパケットの場合には、通信確認(CTS )であることを表わすタイプと、そのパケットの長さを表わすデータ長と、受信先通信装置のアドレスを表すRxアドレスと、送信元通信装置(即ち自局のアドレス)を表わすTxアドレスとが、共通のヘッダ情報として順に配置されている。さらに、受信可能時間を表わすパラメータと、次回利用可能時間を示したパラメータが必要に応じて付加され、末尾にこの情報の誤り検出を行なうためのコード(CRC )が付加される構成としてある。
【0031】
図5は、実際に伝送したいデータ信号(いわゆるペイロード)を送信するパケットの構成例を示す。
データパケットの場合には、データ(Data)であることを表わすタイプと、そのパケットの長さを表わすデータ長と、受信先通信装置のアドレスを表わすRx Aアドレスと、送信元通信装置(即ち自局のアドレス)を表わすTxアドレスとが、共通のヘッダ情報として順に配置されている。さらに、シーケンス番号などの伝送制御パラメータと、実際のデータペイロードから構成され、末尾にこの情報の誤り検出を行なうためのコード(CRC )が付加される構成としてある。
【0032】
図6は、データの受信が正しくできた場合に返送する受領(受信)確認(ACK )信号の構成例を示す。
受領確認(ACK )信号の場合には、受領確認(ACK )信号のパケットであることを表わすタイプと、そのパケットの長さを表わすデータ長と、受信先通信装置のアドレスを表わすRx Aアドレスと、送信元通信装置(即ち自局のアドレス)を表わすTxアドレスとが、共通のヘッダ情報として順に配置されている。さらに、必要に応じて、ACK 情報あるいは再送要求情報などのパラメータが配置され、末尾にこの情報の誤り検出を行なうためのコード(CRC )が付加される構成としてある。
【0033】
なお、図示はしないが、これらのパケットとは別に、無線通信装置が送受信する信号として、ビーコン信号がある。ビーコン信号は、通信装置内のビーコン生成部20で生成されるパケットであり、例えば図3〜図6に示した各パケットと同様のヘッダ情報の他に、このパケットがビーコンである旨を示す情報や、このビーコンで報知したい情報などが配置される。このビーコン信号については、基本的にネットワーク内の各無線通信装置が定期的に送信を行うものである。
【0034】
即ち、本例のアドホックネットワーク内の各無線通信装置は、図8に示したフレーム構成として通信を行うようにしてある。このフレーム構成は、自局からのビーコン信号の送信によって規定され、ネットワーク内の各無線通信装置ごとに同じ周期と異なるオフセットタイミングが設定される。つまり、それぞれの無線通信装置で異なるビーコン送信位置が設定されることで、自律分散型のアドホック無線ネットワークが形成される構成になっている。
【0035】
ここでは、図8に示すように、ビーコン信号の送信タイミングt1の直後に、自局での信号の受信領域taが設けてあり、他の無線通信装置がこの受信領域を利用して該当する無線通信装置宛の信号の送受信を行なう構成となっている。なお、各無線通信装置で受信領域を適宜設定し、必要量に応じて受信タイミングを増やす構成をとっても良い。
【0036】
次に、本例のアドホックネットワーク内の各無線通信装置での中央制御部13の制御による通信動作の処理例を、図7のフローチャートを参照して説明する。まず、インターフェース11にデータ送信の要求を受理したか判断し(ステップS1)、受理した場合には、通信要求情報(RTS 信号)を生成し(ステップS2)、伝送路アクセス権を獲得したかを判断する。例えば、所定の時間にわたって伝送路が利用されなかった場合に、自己の送信が可能と判断し(ステップS3)、その後、事前に生成したRTS 信号の送信を行ない(ステップS4)、通信確認(CTS )の待ち時刻を設定して、ステップS1に戻る。
【0037】
ステップS1の判断で送信要求を受理していなければ、無線受信部17で無線通信された信号を受信したか判断する(ステップS6)。ここで無線受信をした場合には、受信した信号に応じて以下の受信処理を行なう。
【0038】
RTS 信号を受信した場合(ステップS7)には、中央制御部13は、近隣通信装置情報記憶部23やアクセス制御情報記憶部24を参照し、ビーコン信号やその他の信号の送信開始されるタイミングを見積もり推定し(ステップS8)、その時間情報を受信可能時間情報としてCTS 情報を生成し(ステップS9)、その生成されたCTS 信号を送信して(ステップS10)、ステップS1に戻る。
【0039】
CTS 信号を受信した場合(ステップS11)には、CTS 信号に付加されている相手の受信可能時間情報を獲得し(ステップS12)、その受信可能時間で示されている時間までに送信を完了するデータ量の送信データを生成する(ステップS13)。なお、ここでデータ送信直後にACK 信号の返送が必要であれば、ACK 信号の返送に要する時間を差し引いた時刻までに送信できる送信データを生成する構成としても良い。その後、データ信号のパケットを送信して(ステップS14)、ステップS1に戻る。
【0040】
データ信号のパケットを受信した場合(ステップS15)には、そのデータを収集し(ステップS16)、そのデータの受領確認(ACK )情報を生成する(ステップS17 )。ここでデータ受信直後にACK 信号の返送が必要であれば、ステップS17で生成されたACK 情報の返送を行なう(ステップS18)。あるいは、未受信のデータが存在すれば、再送要求を記載したACK 情報の返送を行なう構成としても良い。
【0041】
そして、全てのデータが正常に受信できた場合(ステップS19)には、そのデータをインターフェース11へ転送し(ステップS20)、ステップS1に戻る。また、全てのデータが正常に受信できていない場合にはそのままステップS19からステップS1に戻る。
【0042】
ACK 信号のパケットを受信した場合(ステップS21)には、ACK 情報として記載されるパラメータを参照し、再送要求がある場合(ステップS22)は、再送データを生成し(ステップS23)、再送データの送信を行ない(ステップS24)、その後ステップS1に戻る。ACK 信号に再送要求がない場合にはデータの送信が完了したことになり、一連の処理を抜け、ステップS1に戻る構成となっている。
【0043】
さらに、ステップS6の判断で、無線受信をしていない場合には、CTS 信号の待ち時刻の設定があるか判断し(ステップS25)、設定がある場合には、待ち時間が経過したかを判断し(ステップS26)、その時間を超過した場合に、ステップS3に移行して、アクセス権を獲得した後に、再度RTS 信号の送信を試みる構成となっている。なお、CTS 信号の待ち時刻の設定がない場合と、待ち時間を経過していない場合には、ステップS1に戻る構成となっている。
【0044】
次に、このように通信処理を行った場合の伝送処理例について説明する。図9は本実施の形態での、CTS 信号返送による衝突回避の一例を示したものである。ここでは、図9(a)に示すように、送信元通信装置でデータを送信する要求があり、RTS 信号を受信先通信装置に対して送信したとする。このRTS 信号を受信した受信先通信装置では、図9(b)に示すように、CTS 信号を返送するが、ここでは、図9(c)に示すように、この受信先通信装置でビーコン信号を受信可能な隠れ端末装置(送信元通信装置では受信が不可能)が存在しているとする。
【0045】
このとき、既に説明したように、ビーコン信号は基本的に周期的に送信される信号であるので、受信先通信装置では、次にビーコン信号が受信されるタイミング(時刻)は推定が可能であり、次にビーコン信号が受信開始されるタイミング(時刻)を参照して、既に図4に示したように、通信可能時刻(受信可能時間)をパラメータとして通知するCTS 信号とする。
【0046】
なお、受信先通信装置で受信されるビーコン信号が、1伝送フレーム内に複数存在する場合には、例えば最も早く受信されるビーコン信号の受信タイミングを参照する。また、RTS 信号で示されたデータ量の通信が、次のビーコン信号の受信までに全て可能である場合には、通信可能時刻として、単に受信可能であることを示すようにしても良い。或いは、そのRTS 信号で示されたデータ量の通信が可能な時刻を、通信可能時刻としても良い。
【0047】
このようなデータが付加されたCTS 信号を受信した送信元通信装置では、図9に示すように、その通信可能時刻から通信に利用できる時間を算出し、送信可能なデータ量を見積もって、隠れ端末装置のビーコン信号と衝突しないように、図9(a)で破線で設定される期間内で、データパケットの送信を行なう。
【0048】
なお、図9の例では、データ送信の直後にACK 信号の返送が必要な場合としてあり、受信先通信装置がACK 信号を返送できる時間を逆算して、データ送信量を調整して(少なくして)、データパケットの送信時間を設定した例としてある。データ送信の直後にACK 信号の返送が不要な場合には、図9(a)で破線で示した部分に加えて、一点鎖線で示したデータ部分まで、即ちCTS 信号で送られてきた通信可能時刻ぎりぎりの時刻までのデータ通信が行える。
【0049】
この図9に示すように通信処理が実行されることで、送信元通信装置から見て隠れ端末装置が存在する場合であっても、受信先通信装置ではデータ受信とビーコン受信とが衝突することがなくなり、受信の衝突による受信エラーを効果的に回避できることになる。
【0050】
図9の例では、通信可能時刻がある程度ある場合の例であるが、受信先通信装置で受信可能な時間が全くない場合(或いは非常に短い時間しかない場合)も存在し得る。そのような場合には、例えば図10に示すように、CTS 信号で受信可能な時間がないことを示す(ここでは受信可能時刻0を示す)ようにしても良い。
【0051】
このようにした場合には、例えば図10(a)に示すように、送信元通信装置でデータを送信する要求があり、RTS 信号を受信先通信装置に対して送信した後に、図10(b)に示すように、そのRTS 信号を受信した受信先通信装置で、受信可能時刻0がパラメータとして付加されたCTS 信号が送信される。そのCTS 信号を受信した送信元通信装置では、現在通信ができない状況であることが判り、データ送信を開始させずに待機する。このため、図10(c)に示すように、CTS 信号の送信直後に隠れ端末装置からのビーコンの送信があっても、そのビーコンの送信とデータ送信とが衝突することがなく、衝突を効果的に回避できる。
【0052】
なお、この図10に示すように、CTS 信号で受信可能な時間がないことを示した場合に、さらにビーコン信号の受信が完了してから、その次のビーコン信号が受信できるまでの時刻を、CTS 信号に付加するようにしても良い。即ち、例えば図4に示したように、CTS 信号に次回利用可能時間の情報領域を用意して、受信可能時間で0を付加した場合に、その次回利用可能時間で、さらに次のビーコン信号の受信可能時刻を示すようにする。このようにすることで、このCTS 信号を受信した送信元通信装置では、ビーコン信号が伝送されてから、データ送信が可能な期間が判断でき、その期間を利用して、データパケットの送信が行える。
【0053】
この場合、隠れ端末装置から送信される信号の長さや占有時間のパラメータが判定できる場合には、その信号の長さを併せて通知することで、より積極的に衝突を回避する動作が可能になる。
【0054】
図11は、さらに別のCTS 信号の返送処理による衝突回避例を示したものである。
この例では、図11(a)に示すように、送信元通信装置でデータを送信する要求があり、RTS 信号を受信先通信装置に対して送信した後に、図10(b)に示すように、受信先通信装置からCTS 信号を返送し、そのCTS 信号で、通信可能時刻を通知する。このとき、受信先通信装置では受信可能であるが、送信元通信装置では受信できない隠れ端末装置が、図11(c)に示すように、少なくとも1台存在していて、さらにその隠れ端末装置と直接通信可能な隠れ端末装置が図11(d)に示すように1台存在しているとする。図11(d)に示す隠れ端末装置からの信号については、受信先通信装置でも受信できないものとする。
【0055】
このような状況で、RTS 信号を受信先通信装置が受信したときには、図11(c)及び(d)に示すように、その2台の隠れ端末装置の間で、RTS 信号とCTS 信号の送受信で、データパケットの伝送が開始しているとする。
【0056】
この場合、受信先通信装置は、図11(c)に示す隠れ端末装置から別の隠れ端末装置へのCTS 信号を受信して、そのCTS 信号に含まれる受信可能時間を判断して、その隠れ端末装置からACK 信号が送信される時刻を推定して、その推定された時刻情報を参照して、通信可能時刻をパラメータとして通知するCTS 信号を、送信元通信装置に送る。
【0057】
このようにしたことで、CTS 信号を受信した送信元通信装置では、その通信可能時刻から通信に利用できる時間を算出し、送信可能なデータ量を見積もって、前記隠れ端末のビーコン信号と衝突しないようにデータの送信を行なうことが可能になる。この例でも、データ送信の直後にACK 信号の返送が必要な場合に、受信先通信装置がACK 信号を返送できる時間を逆算してデータ送信量を調整して、図11(a)に破線で示したデータ部分までの送信が行なえる。またデータ送信の直後にACK 信号の返送が不要な場合には、破線で示した部分に加え一点鎖線で示したデータ部分まで、送られてきた通信可能時刻ぎりぎりまでのデータ通信が行える。
【0058】
なお、ここまで説明した例では、ビーコン信号の送信から通信に利用できる時間が判っている場合と、隠れ端末装置からのCTS 信号で、通信に利用できる時間が判っている場合の例について説明したが、受信先通信装置で、その他の受信信号などから通信に利用できる時間が判っている場合には、その時間情報を利用しても良い。
【0059】
また、上述した実施の形態では、無線通信装置として、図2に示した送信や受信を行う専用の通信装置とした構成した例について説明したが、例えば各種データ処理を行うパーソナルコンピュータ装置に、本例での送信部や受信部に相当する通信処理を行うボードやカードなどを装着させた上で、通信制御処理を、コンピュータ装置側で実行させるようにして、その通信制御処理を実行するソフトウェアをパーソナルコンピュータ装置に実装させる構成としても良い。そのパーソナルコンピュータ装置などのデータ処理装置に実装されるプログラムについては、光ディスク,メモリカードなどの各種記録(記憶)媒体を介して配付しても良く、或いはインターネットなどの通信手段を介して配付しても良い。
【0060】
【発明の効果】
本発明によると、ネットワーク内の受信側の無線通信装置で、伝送が他の無線通信装置からの送信で専有されることが事前に予測に判っている場合に、その予測される専有時間を回避したタイミングで、データを送信させることが可能になり、制御を制御する通信装置が存在しないアドホックネットワークにおける隠れ端末通信装置からの送信信号と、データ信号との衝突を未然に防止することができるようになる。
【0061】
この場合、各無線通信装置での推定処理として、その通信装置で定期的に受信される所定の信号を判別して、その定期的に受信される信号が次に受信されるタイミングまでの時間の推定であることで、定期的に受信される信号がある場合の、衝突回避が効果的に行えるようになる。例えば、自局をネットワーク内の他の通信装置に認識させるためのビーコン信号を定期的に受信する場合の衝突回避が良好に行える。
【0062】
また、推定処理で推定した受信可能時間がない場合に、受信可能時間なしを示す情報を、通信開始要求に対する応答に付加することで、受信可能時間がない場合の対処が可能になる。
【0063】
さらに、推定処理で推定した受信可能時間が十分でない場合に、定期的に受信される所定の信号が次に受信完了するまでの時間情報を、通信開始要求に対する応答に付加することで、その定期的に受信される信号が受信完了した後に、通信開始要求を再送するような処理が可能になり、より効果的に信号の衝突を回避できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態による無線ネットワーク構成の一例を示す説明図である。
【図2】本発明の一実施の形態による無線通信装置の構成例を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施の形態による通信要求信号(RTS 信号)のパケット構成例を示す説明図である。
【図4】本発明の一実施の形態による通信確認信号(CTS 信号)のパケット構成例を示す説明図である。
【図5】本発明の一実施の形態によるデータ信号のパケット構成例を示す説明図である。
【図6】本発明の一実施の形態による受領確認(ACK 信号)のパケット構成例を示す説明図である。
【図7】本発明の一実施の形態による無線通信装置での動作例を示すフローチャートである。
【図8】本発明の一実施の形態による伝送フレーム周期の例を示す説明図である。
【図9】本発明の一実施の形態による衝突回避事例(例1)を示す説明図である。
【図10】本発明の一実施の形態による衝突回避事例(例2)を示す説明図である。
【図11】本発明の一実施の形態による衝突回避事例(例3)を示す説明図である。
【図12】従来のRTS/CTS 交換による通信シーケンスの例を示す説明図である。
【図13】従来のRTS/CTS 交換による衝突発生事例を示す説明図である。
【図14】従来のCTS 信号を返送しないことによる衝突発生事例を示す説明図である。
【図15】従来のキャンセル信号を返送した場合の衝突発生事例を示す説明図である。
【符号の説明】
1〜7…無線通信装置(通信局)、1a〜7a…無線通信装置の通信可能エリア、11…インターフェース、12…データバッファ、13…中央制御部、14…無線送信部、15…タイミング制御部、16…アンテナ、17…無線受信部、18…制御信号生成部、19…制御信号解析部、20…ビーコン生成部、21…ビーコン解析部、22…情報記憶部、23…近隣通信局情報記憶部、24…アクセス制御情報記憶部

Claims (7)

  1. 複数の通信局で構成される無線アドホックネットワークで無線通信を行う通信システムであって、ネットワーク内で通信を開始させる通信局は、通信開始要求を送信し、その通信開始要求に対する応答を確認して、通信を開始させる通信システムにおいて、
    ネットワーク内の通信局は、自局の周囲で定期的に送信される信号を受信して、その定期的に送信される信号が次に送信されるタイミングを推定する推定手段と、
    ネットワーク内の他の通信局からの通信開始要求を検出した場合に、前記推定手段で推定したタイミングまでの時間を算出して、その算出に基づいた時間情報を、前記通信開始要求に対する応答に付加する通信制御手段とを備えた
    通信システム。
  2. 無線アドホックネットワークで無線通信を行う通信装置において、
    無線信号の送信及び受信を行う通信手段と、
    前記通信手段において、自局の周囲で定期的に受信される所定の信号を判別して、その通信装置から定期的に送信される信号を次に受信するタイミングを推定する推定手段と、
    前記通信手段で通信開始要求を受信した場合に、前記推定手段で推定したタイミングまでの時間を算出して、その算出結果に基づいた受信可能時間に関する情報を、前記通信手段から送信させる通信開始要求に対する応答に付加する制御手段とを備えた
    通信装置。
  3. 請求項記載の通信装置において、
    前記所定の信号は、自局をネットワーク内の他の通信装置に認識させるためのビーコンである
    通信装置。
  4. 請求項2記載の通信装置において、
    前記推定手段で推定した受信可能時間がない場合に、前記制御手段は、受信可能時間なしを示す情報を、前記通信開始要求に対する応答に付加する
    通信装置。
  5. 請求項記載の通信装置において、
    前記推定手段で推定した受信可能時間が十分でない場合に、前記制御手段は、前記定期的に受信される所定の信号が次に受信完了するまでの時間情報を、前記通信開始要求に対する応答に付加する
    通信装置。
  6. 複数の通信局で構成される無線アドホックネットワークで無線通信を行う通信方法であって、ネットワーク内で通信を開始させる通信局は、通信開始要求を送信し、その通信開始要求に対する応答を確認して、通信を開始させる通信方法において、
    ネットワーク内の通信局は、
    自局の周囲で定期的に受信される所定の信号を判別し、その通信装置から定期的に送信される信号を次に受信するタイミングを推定する推定処理と、
    ネットワーク内の他の通信局からの通信開始要求を検出した場合に、前記推定処理で推定したタイミングまでの時間を算出して、その算出結果に基づいた受信可能時間に関する情報を、前記通信開始要求に対する応答に付加する応答生成処理とを行う
    通信方法。
  7. 無線アドホックネットワーク内の通信局で無線通信を行う処理を行うプログラムであって、ネットワーク内で通信を開始させる場合に、通信開始要求を送信し、その通信開始要求に対する応答を確認して、通信を開始させる処理を行うプログラムにおいて、
    自局の周囲で定期的に受信される所定の信号を判別し、その通信装置から定期的に送信される信号を次に受信するタイミングを推定する推定して、
    ネットワーク内の他の通信局からの通信開始要求を検出した場合に、前記推定処理で推定したタイミングまでの時間情報を、前記通信開始要求に対する応答に付加する応答生成処理実行する
    プログラム。
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