JP4175166B2 - 炭酸ジアルキルの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、一酸化炭素と亜硝酸アルキルを触媒存在下で反応させて炭酸ジアルキルを生成させる炭酸ジアルキルの製造方法において、亜硝酸アルキル源である窒素成分の損失を抑えて効率的に炭酸ジアルキルを製造する方法に関する。炭酸ジアルキルは、ポリカーボネートや各種化学品の製造原料として、また、溶剤として有用な化合物である。
【0002】
【従来の技術】
従来、次式のように、一酸化炭素と亜硝酸アルキルを触媒存在下で反応させて炭酸ジアルキルを生成させ(特許文献1)、次いで、その反応で生成する一酸化窒素を酸素及びアルコールと反応させて亜硝酸アルキルを生成させ(再生し)、その亜硝酸アルキルを炭酸ジアルキル生成反応で再使用しながら、連続的に炭酸ジアルキルを製造する方法が知られている。
【0003】
CO+2RONO→CO(OR)2+2NO
2NO+2ROH+1/2O2→2RONO+H2O
(式中、Rはアルキル基を表す。)
【0004】
このように亜硝酸アルキルを再生・再使用しながら連続的に炭酸ジアルキルを製造する方法は、特許文献2などに開示されている。また、一酸化窒素と酸素とアルコールから亜硝酸アルキルを製造する方法は、その他に、特許文献3及び4などに開示されている。
【0005】
しかしながら、前記方法においては、炭酸ジアルキルを製造する際に、循環ガスのパージ等による窒素成分(亜硝酸アルキル及び一酸化窒素)の損失が避けられず、また、一酸化窒素と酸素とアルコールから亜硝酸アルキルを製造する際には、次式のように硝酸が副生して窒素成分の更なる損失を招いていた。このため、反応系に亜硝酸アルキル源となる窒素成分(一酸化窒素、二酸化窒素、三酸化二窒素、四酸化二窒素等の酸化窒素)を補給する必要があった。
【0006】
2NO+O2→2NO2
NO+NO2→N2O3
N2O3+ROH→RONO+HNO2
HNO2+ROH→RONO+H2O
N2O3+H2O→2HNO3
2NO2→N2O4
N2O4+H2O→HNO2+HNO3
(式中、Rはアルキル基を表す。)
【0007】
【特許文献1】
特開平3−141243号公報
【特許文献2】
特開平6−25104号公報
【特許文献3】
特開平11−189570号公報
【特許文献4】
特開平6−298706号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、一酸化炭素と亜硝酸アルキルを触媒存在下で反応させて炭酸ジアルキルを生成させる炭酸ジアルキルの製造方法において、亜硝酸アルキル源となる窒素成分の損失、特に一酸化窒素から亜硝酸アルキルを再生する際の硝酸の副生による窒素成分の損失を抑制して、効率的に炭酸ジアルキルを製造する方法を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は、(1)第1工程で、一酸化炭素と亜硝酸アルキルを炭酸ジアルキル製造用反応器へ供給して触媒存在下で反応させ、炭酸ジアルキルと一酸化窒素を生成させて、(2)第2工程で、第1工程の反応ガスを炭酸ジアルキル吸収塔へ供給して炭酸ジアルキル吸収用吸収液と接触させ、炭酸ジアルキルを含有する凝縮液と一酸化窒素を含有する非凝縮ガスを得て、(3)第3工程で、第2工程の非凝縮ガスと分子状酸素を亜硝酸アルキル再生用反応塔の下部に供給すると共に、アルコールを亜硝酸アルキル再生用反応塔の上部に供給して該反応塔の上部から下部に流下させながら、一酸化窒素と酸素とアルコールを反応させて亜硝酸アルキルを生成させ、そして、得られる亜硝酸アルキル含有ガスを第1工程に循環供給すると共に、(4)第4工程で、第2工程の凝縮液を蒸留分離して炭酸ジアルキルを得る、炭酸ジアルキルの製造方法において、
【0010】
(5)第3工程の亜硝酸アルキル再生用反応塔の底部から硝酸及びアルコールを含有する塔底液を抜き出して硝酸変換用反応器に導入すると共に、該反応器に一酸化炭素を供給して、白金族金属触媒の存在下、該導入塔底液と該一酸化炭素を接触させて亜硝酸アルキルを生成させ、そして、得られる亜硝酸アルキル含有ガスを前記亜硝酸アルキル再生用反応塔に供給することを特徴とする炭酸ジアルキルの製造方法に関する。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面も参考にしながら説明する。図1は、本発明により炭酸ジアルキルを製造する工程を例示する概略のプロセス図である。
本発明の第1工程は、一酸化炭素と亜硝酸アルキルを原料ガス供給ライン11により炭酸ジアルキル製造用反応器1(以下、主反応器1とも称する)に供給して触媒存在下で反応(気相接触反応)させ、炭酸ジアルキルと一酸化窒素を生成させる工程である(以下、この反応を主反応とも称する)。このとき、反応器には、単管式又は多管式の熱交換器型反応器が有効である。
【0012】
前記亜硝酸アルキルとしては、亜硝酸メチル、亜硝酸エチル、亜硝酸n−プロピル、亜硝酸i−プロピル等の炭素数1〜3の亜硝酸アルキルが好ましく挙げられるが、その中でも亜硝酸メチルが特に好ましい。また、一酸化炭素は純ガスであっても、窒素等の不活性ガスで希釈されていてもよい。
【0013】
第1工程において、触媒としては、白金族金属系触媒、特に白金族金属の化合物が担体に担持されている固体触媒が好ましく挙げられる(特許文献1など)。この場合、白金族金属化合物の担持量は担体に対して0.1〜10重量%、更には0.5〜2重量%程度であることが好ましい。担体としては、活性炭、アルミナ(特にγ−アルミナ)、スピネル(特にリチウムアルミネートスピネル)、ゼオライト、モレキュラーシーブ等の不活性担体が挙げられるが、中でも、活性炭、アルミナ(特にγ−アルミナ)、スピネル(特にリチウムアルミネートスピネル)が好ましい。
【0014】
前記白金族金属の化合物としては、パラジウム化合物が好ましく、その中でも、パラジウムのハロゲン化物(塩化パラジウム、臭化パラジウム等)、パラジウムのハロゲン含有錯化合物(テトラクロロパラジウム酸リチウム、テトラクロロパラジウム酸ナトリウム等)が好ましいが、塩化パラジウムが特に好ましい。また、反応系内でパラジウムのハロゲン化物やハロゲン含有錯化合物に変換し得るパラジウム化合物、例えば、パラジウムの無機酸塩(硝酸パラジウム、硫酸パラジウム、リン酸パラジウム等)、パラジウムの有機酸塩(酢酸パラジウム等)、パラジウムのハロゲン非含有錯化合物なども使用することができる。
【0015】
また、前記触媒には、白金族金属化合物以外に、銅、鉄、ビスマスなどの金属の化合物、好ましくはその塩化物(塩化第二銅、塩化第二鉄、塩化ビスマス等)が助触媒として担持されていることが好ましい。このとき、その担持量は、白金族金属化合物に対して1〜50倍モル、更には1〜10倍モル程度であることが好ましい。なお、前記触媒の調製法は特に制限されず、例えば、白金族金属化合物(特にパラジウム化合物)を公知の方法(含浸法、蒸発乾固法など)により担体に担持させ、次いで、その担体を乾燥する方法を挙げることができる。
【0016】
第1工程の反応は、例えば、図1に示すように、一酸化炭素と亜硝酸アルキルを含有する原料ガスを原料ガス供給ライン11により炭酸ジアルキル製造用反応器1の上部に導入して白金族金属系触媒と接触させる方法によって行われる。連続反応の場合は、ガス循環ライン19により、再生塔3から抜き出される亜硝酸アルキル含有ガス(循環ガス)が原料ガスとして循環供給され、反応による消費や循環ガスのパージによる損失を補う程度の一酸化炭素が原料ガス供給ライン11により供給される。
【0017】
原料ガス中の一酸化炭素濃度は1〜50容量%、更には5〜30容量%の範囲であることが好ましく、亜硝酸アルキル濃度は2〜35容量%の範囲であることが好ましい。原料ガスの残部には、窒素や炭酸ガス等の不活性ガスが含まれるが、その他に少量の一酸化窒素やアルコール(蒸気)が含まれていても差し支えない。また、長期間にわたって連続的に反応を行う場合は、原料ガス中に塩化水素やクロロギ酸エステルを10〜200ppm(容量基準)、更には20〜100ppm(容量基準)程度添加することが好ましい。
【0018】
第1工程において、反応温度は50〜200℃、更には80〜150℃の範囲であることが好ましく、圧力は常圧から10kg/cm2G(約1MPaG)、更には1〜6kg/cm2G(約0.1〜約0.6MPaG)の範囲であることが好ましい(G:ゲージ圧)。また、原料ガスと白金族金属触媒との接触時間は0.2〜10秒、更には0.2〜5秒程度であることが好ましい。
【0019】
本発明の第2工程は、第1工程の反応ガス(炭酸ジアルキルと一酸化窒素を含有する)を主反応器1の下部から主反応ガス抜き出しライン12により抜き出して吸収塔2の下部に供給すると共に、炭酸ジアルキル吸収用吸収液(以下、吸収液と略す)を吸収液供給ライン13により吸収塔2の上部に供給して吸収塔の上部から下部に流下させながら、主反応ガスと吸収液を気液接触させて該反応ガス中の炭酸ジアルキルを吸収液に凝縮・溶解させ、炭酸ジアルキルを含有する凝縮液と一酸化窒素を含有する非凝縮ガスを得る工程である。そして、凝縮液は吸収塔2の底部から凝縮液抜き出しライン14により抜き出され、非凝縮ガスは吸収塔2の頂部から非凝縮ガス抜き出しライン15により抜き出される。
【0020】
前記吸収液としては、シュウ酸ジメチル、シュウ酸ジエチル、シュウ酸ジプロピル等の炭素数1〜3のアルキル基を有するシュウ酸ジアルキルが好ましく、中でもシュウ酸ジメチルが特に好ましい。また、吸収塔は気液接触が可能なものであればよく、例えば、シーブトレイ、泡鐘トレイ、バルブトレイ等の棚段式、或いは、ポールリング、ラシッヒリング等の充填材が充填されている充填塔式の吸収塔であればよい。
【0021】
吸収塔2において、操作温度は、主反応ガス中の炭酸ジアルキルを効率よく吸収できる低い温度であって、吸収液のシュウ酸ジアルキル(特にシュウ酸ジメチル)の固化が起らない温度、例えば、0〜100℃、更には30〜80℃の範囲であることが好ましく、操作圧力は常圧から10kg/cm2G(約1MPaG)、更には1〜6kg/cm2G(約0.1〜約0.6MPaG)の範囲であることが好ましい。吸収液の供給量は第1工程で生成した炭酸ジアルキルに対して3〜10重量倍、更には4〜6重量倍程度であることが好ましい。
【0022】
前記非凝縮ガスには、少量の炭酸ジアルキルやシュウ酸ジアルキルが同伴するため、吸収塔2では、吸収液供給ライン13の連結部の上部(非凝縮ライン15の連結部の下方;図示せず)から液状のアルコールを供給して、非凝縮ガス中の炭酸ジアルキルやシュウ酸ジアルキルを回収することが好ましい。このとき、アルコールの供給量は主反応ガス中の炭酸ジアルキルに対して5〜30重量%、更には10〜20重量%であることが好ましく、アルコールとしては、メタノール、エタノール等の炭素数1〜3の脂肪族アルコール(特にメタノール)が好ましく挙げられるが、第1工程で用いる亜硝酸アルキルと同一のアルキル基を有するアルコールが好ましい。
【0023】
本発明の第3工程は、亜硝酸アルキル再生用反応塔3(以下、再生塔3と称する)に、第2工程の非凝縮ガス(一酸化窒素を含む)と分子状酸素を供給すると共にアルコールを供給して、一酸化窒素と酸素とアルコールを反応させて亜硝酸アルキルを生成させる(一酸化窒素を亜硝酸アルキルに再生する)工程である(以下、この反応を再生反応、その生成物を再生亜硝酸アルキルとも称する)。
【0024】
即ち、第3工程では、第2工程の非凝縮ガス(一酸化窒素を含有する)が分子状酸素(酸素供給ライン16により供給される)と共に非凝縮ガス抜き出しライン15により再生塔3の下部(下部域▲2▼と底部の間;以下同様)に供給され、それと共に、液状のアルコールがアルコール供給ライン17により再生塔3の上部(上部域▲1▼と頂部の間;以下同様)に供給される。そして、非凝縮ガスと酸素の混合ガスと、再生塔3の上部から下部に流下する液状のアルコールとの気液接触により亜硝酸アルキルが生成し、得られる亜硝酸アルキル含有ガス(再生亜硝酸アルキル含有ガス)が、循環ガスとして、ガス循環ライン19により再生塔3の頂部から抜き出されて第1工程に循環供給される。なお、分子状酸素は、別途、再生塔3の下部に直接供給することもできる。
【0025】
再生塔3の上部に供給されるアルコールとしては、メタノール、エタノール等の炭素数1〜3の脂肪族アルコール(特にメタノール)が好ましく挙げられるが、第1工程で用いる亜硝酸アルキルと同一のアルキル基を有するアルコールが好ましい。分子状酸素は、純ガスであっても窒素等の不活性ガスで希釈されていてもよく、また、空気として供給されてもよい。
【0026】
第3工程において、再生反応は、再生塔3から抜き出されるガス中の一酸化窒素が2〜7容量%の範囲になるように制御される。即ち、分子状酸素は、非凝縮ガス中の一酸化窒素1モルに対して0.08〜0.2モルの範囲で供給することが好ましく、アルコールは、−15〜50℃、更には−10〜30℃で(必要に応じて冷却して)、再生塔3の下部に供給される非凝縮ガス中の一酸化窒素1モルに対して0.2〜3モル、更には0.3〜2モルの範囲で再生塔3の上部へ供給することが好ましい。但し、この場合の一酸化窒素は、酸素混合前の非凝縮ガスに含有される一酸化窒素の量を意味する。
【0027】
また、第3工程において、反応温度は、そのときの圧力におけるアルコールの沸点以下(特に0℃からアルコールの沸点まで;例えば、メタノールであれば、0〜60℃、更には5〜60℃、特に10〜60℃)であることが好ましく、反応圧力は、常圧から10kg/cm2G(約1MPaG)、更には常圧から5kg/cm2G(約0.5MPaG)、特に2〜5kg/cm2G(約0.2〜約0.5MPaG)の範囲であることが好ましい。気液接触時間は0.5〜20秒程度であることが好ましい。
【0028】
そして、第3工程においては、一酸化窒素と酸素とアルコールを反応させる際、再生塔3の塔底液をポンプ等の液輸送手段(図示せず)を介して塔底液抜き出しライン18により抜き出し、「その塔底液(導出塔底液)の大部分を塔底液抜き出しライン18の途中から分岐する塔底液循環ライン23により取り出して冷却器5に導いて冷却すると共に、冷却した塔底液(冷却塔底液)を再生塔3の中間部(上部と下部の間であって好ましくは後述の変換ガス抜き出しライン22の連結部より下方)に循環供給して、再生塔3の中間部から下部に流下させる」塔底液循環操作を下記の条件下で行うことが更に好ましい。この塔底液循環操作は、再生塔3へ非凝縮ガスと分子状酸素とアルコールを供給して再生反応させる操作と同時かつ連続的に行うことが好ましく、再生塔3の底部から抜き出された塔底液(導出塔底液)の大部分はこの塔底液循環操作に供することが好ましい。
【0029】
塔底液循環操作では、(a)塔底液の循環供給量(即ち、再生塔3の中間部への冷却塔底液の供給量)を、再生塔3へのアルコール供給量の50〜300重量倍、更には60〜180重量倍、特に70〜160重量倍とすると共に、(b)再生塔3へのアルコール供給量と再生塔3の中間部に循環供給される塔底液(即ち、冷却塔底液)中のアルコール量との合計を、再生塔3の下部に供給される非凝縮ガス(酸素混合前)中の一酸化窒素量の20〜150倍モル、更には30〜120倍モルとし、(c)更に、塔底液中のアルコール濃度を15〜60重量%、更には20〜55重量%とすることが好ましい。また、塔底液循環操作では、導出塔底液を、0〜60℃程度の範囲であって、再生塔3の底部における塔底液の温度より1〜20℃(特に3〜10℃)低い温度に冷却することが好ましい。本発明では、特に(a)〜(c)の条件下で塔底液循環操作を行うことにより、再生塔3の下部で生じる反応熱を効果的に除去できると共に、副生する硝酸も低レベルに抑えることができ、前記再生反応を効率よく行うことができる。
【0030】
前記の再生塔3へのアルコールの供給量は、外部から再生塔3に新たに供給される液状及び蒸気状(及び/又はミスト状)のアルコールの全量であり、例えば、図1では、アルコール供給ライン17により再生塔3の上部に供給される液状のアルカノールと、非凝縮ガス抜き出しライン15により再生塔3の下部に供給される非凝縮ガスに同伴する蒸気状(及び/又はミスト状)のアルコールの合計量である。塔底液循環ライン23により再生塔3の中間部に循環供給される循環塔底液(冷却塔底液)中の液状のアルコール、及び、変換ガス抜き出しライン23により再生塔3の中間部に供給される変換亜硝酸アルキル(後述)に同伴する蒸気状(及び/又はミスト状)のアルコールは、この再生塔3へのアルコール供給量に含まれない。なお、循環塔底液(冷却塔底液)中のアルコールは、再生塔3への前記一酸化窒素供給量の0.5〜6倍モル、更には1〜5倍モル程度であることが好ましい。
【0031】
再生塔3は、前記再生反応で生成する水を除去するためなどの吸収を行うことができる上部域▲1▼と、この再生反応を行うことができる下部域▲2▼を有しているものであればよいが、上部域▲1▼と下部域▲2▼は適当な間隔(即ち、中間部)をおいて設置されていることが好ましい。
【0032】
前記上部域▲1▼は、アルコールを流下させることができると共に、そのアルコールにより上昇流中の水分を吸収できる機能を有していれば、どのような形式であってもよく、例えば、シーブトレイ、バブルトレイ等の棚段を複数有する多段蒸留塔形式の構造、或いは、ラシッヒリング、ポールリング等の充填材が充填されている充填塔形式の構造を有していればよい。また、前記下部域▲2▼は、前記再生反応を効果的に行うことができる機能を有していれば、どのような形式であってもよく、例えば、上部域▲1▼と同様の多段蒸留塔形式或いは充填塔形式の構造を有していればよい。
【0033】
即ち、再生塔3としては、例えば、図1に示すように、再生塔3の上部域▲1▼が多段蒸留塔形式又は充填塔形式の構造を有し、下部域▲2▼が充填塔形式の構造を有していて、更に上部域▲1▼と下部域▲2▼が適当な間隔をおいて(即ち、中間部を設けて)一体に連続して接続している構造のものが好ましく挙げられる。
【0034】
また、再生塔3には、図1に示すように、吸収塔2から非凝縮ガスを供給するための非凝縮ガス抜き出しライン15が下部(下部域▲2▼と底部の間であって塔底液の上方)に、アルコールを供給するためのアルコール供給ライン17が上部(上部域▲1▼と頂部の間)に、そして、再生亜硝酸アルキル含有ガスを抜き出して循環ガスとして主反応器1に供給するためのガス循環ライン19が頂部に、それぞれ連結されていることが好ましい。非凝縮ガス抜き出しライン15には、分子状酸素を供給するための酸素供給ライン16が連結されていることが好ましく、更に酸素供給ライン16の連結部の上流に酸化窒素供給ライン(図示せず)が連結されていてもよい。ガス循環ライン19には、循環ガスの一部をパージするためのガスパージライン24が更に連結されていることが好ましい。
【0035】
更に、再生塔3には、図1に示すように、塔底液を抜き出して硝酸変換用反応器4(後述)に導入するための塔底液抜き出しライン18、変換亜硝酸アルキル含有ガス(後述)を抜き出して再生塔3(中でも再生塔3のアルコールが流下している区域、更には再生塔3の中間部)に供給する変換ガス抜き出しライン22、及び、塔底液抜き出しライン18の途中から分岐して塔底液を再生塔3の中間部(好ましくは前記ライン18の連結部より下方)に循環供給する塔底液循環ライン23がそれぞれ連結されていることが好ましい。塔底液抜き出しライン18には、循環ポンプ等の液輸送手段(図示せず)が塔底液循環ライン23の分岐点と再生塔3の間に設置されていて、塔底液循環ライン23には、冷却器5が設置されていることが好ましい。
【0036】
本発明の第4工程は、第2工程の凝縮液(炭酸ジアルキルを含有する)を吸収塔2から凝縮液抜き出しライン14により抜き出し、蒸留装置(図示せず)で蒸留分離して炭酸ジアルキルを得るものである。この蒸留分離は、例えば、炭酸ジメチルであれば、シュウ酸ジメチルを用いる抽出蒸留によりメタノールなどを分離した後、更に減圧蒸留により炭酸ジメチルを分離する方法によって行うことができる。
【0037】
本発明は、前記の第1〜第4工程によって炭酸ジアルキルを製造する際、硝酸及びアルコールを含有する塔底液を再生塔3の底部から塔底液抜き出しライン18により抜き出して、その塔底液(導出塔底液)の一部を硝酸変換用反応器4(以下、反応器4とも称する)に導入すると共に、一酸化炭素を反応器4に供給して、白金族金属触媒の存在下、該導入塔底液と該一酸化炭素を接触させて(即ち、硝酸を一酸化炭素及びアルコールと反応させて)、第3工程の再生反応で副生した硝酸を亜硝酸アルキルに変換し(以下、この反応を変換反応、生成する亜硝酸アルキルを変換亜硝酸アルキルとも称する)、得られる亜硝酸アルキル含有ガス(変換亜硝酸アルキル含有ガス)を変換ガス抜き出しライン22により反応器4から抜き出して再生塔3に供給する(即ち、硝酸を亜硝酸アルキルに変換して回収する)ことを特徴とするものである。
【0038】
このとき、導出塔底液の反応器4への導入量(導入塔底液の量)は、再生塔3の塔底液のレベルが一定又は一定範囲になるように、そして、再生塔3の塔底液循環操作を前記条件下で行うことができる範囲に調節することが好ましい。また、一酸化炭素はそのままでも或いは不活性ガス(窒素等)で希釈したものであってもよく、導入塔底液中の硝酸1モルに対して1〜20モル、更には1.5〜10モル、特に2〜5モル用いることが好ましい。
【0039】
前記導入塔底液において、アルコールの濃度は、再生塔3の塔底液のアルコール濃度が塔底液循環操作において好ましくは前記のように制御されることから、好ましくは15〜60重量%、更に好ましくは20〜55重量%となる。また、硝酸の濃度は、前記変換反応自体からは特に制限されない(例えば、60重量%以下であればよい)が、塔底液循環操作などにより再生塔3で効率よく亜硝酸アルキルを生成させることが好ましいため、20重量%以下、更には1〜20重量%、特に2〜15重量%程度であることが好ましい。塔底液には、その他、前記再生反応で生成する水や少量の亜硝酸アルキルも含有されている。
【0040】
反応器4において、変換反応は、塔底液抜き出しライン18より再生塔3の塔底液を連続的に抜き出してその一部を連続的又は間欠的に反応器4に導入し、更に白金族金属触媒を導入した後、CO供給ライン20により、液中に一酸化炭素を流通させながら常圧又は加圧下でその溶液を攪拌するか、或いは、反応器4に一酸化炭素を導入して加圧下でその溶液を攪拌することなどにより行われる。また、反応器4に白金族金属触媒を固定床として充填して、再生塔3から抜き出した塔底液と一酸化炭素を向流又は並流で接触させることによっても行うことができる。なお、反応は、液相で行なわれ、バッチ式でも連続式でも可能である。
【0041】
変換反応において、反応温度は0〜300℃、更には20〜100℃であることが好ましい。一酸化炭素の圧力は常圧から200atm(約20MPa)、更には常圧から30atm(約3MPa)、特に3〜10atm(約0.3MPa〜約1MPa)であることが好ましい。また、変換反応は、反応器4に導入した塔底液(導入塔底液)の硝酸濃度(残存硝酸濃度)が1重量%以下、更には0.5重量%以下になるまで行うことが、白金族金属又はその化合物の溶出や溶解による白金族金属の回収ロスを抑える上で好ましい。
【0042】
変換反応において、白金族金属触媒は、白金族金属又はその化合物をそのまま溶解又は懸濁させて用いることもできるが、通常は、触媒回収を考慮して、白金族金属を担体に担持して固体触媒として固定床又は懸濁床で用いることが好ましい。その場合、白金族金属の担持量は、担体に対して金属換算で0.01〜20重量%、更には0.1〜15重量%であることが好ましい。担体としては、活性炭、アルミナなどが挙げられるが、活性炭が好ましい。担体の形状は固定床又は懸濁床に適用できるもの(粉末、粒状、粉砕物等)であればよいが、中でも粉末が好ましい。担体の大きさも固定床又は懸濁床に適用できるものであれば差し支えない。白金族金属としては、パラジウム、白金、ルテニウム、ロジウム、オスミウムが挙げられるが、パラジウム、白金が好ましく、中でもパラジウムが特に好ましい。
【0043】
白金族金属触媒の使用量は、反応器4に導入した塔底液(導入塔底液)に対して、金属換算で0.0001〜0.2重量%、更には0.0005〜0.1重量%、特に0.005〜0.05重量%であることが好ましい。具体的には、例えば、パラジウム金属が活性炭に10重量%担持されたもの(10重量%Pd/C)を用いる場合、その使用量は、導入塔底液に対して、金属換算で0.001〜2重量%、更には0.005〜1重量%、特に0.05〜0.5重量%であることが好ましい。
【0044】
なお、白金属金属触媒は、アルコールの溶液又は懸濁液として塔底液抜き出しライン18の途中(塔底液循環ライン23の分岐点と反応器4の間;図示せず)より反応器4に供給してもよく、別途(図示せず)、反応器4に直接的に供給してもよい。また、固体触媒(固定床又は懸濁床)として反応器4に予め充填しておいてもよい。
【0045】
即ち、本発明では、硝酸濃度が20重量%以下(更には1〜20重量%、特に2〜15重量%)の塔底液を用いて、白金属金属が担体に担持された固体触媒(好ましくは粉末)の存在下、液中の硝酸濃度(残存硝酸濃度)が1重量%以下(好ましくは0.5重量%以下)になるまで、反応器4に導入した塔底液と一酸化炭素を接触させることが特に好ましい。その結果、硝酸との接触により液中に溶出又は溶解した白金属金属を担体に再度担持させることができ、白金族金属の回収ロスを非常に低く抑えられるプロセスとすることができる。この観点から、連続反応の場合には、反応器4を多槽(2槽以上)にすることが好ましい。また、回収ロスを更に抑えるために、反応器4の廃液を活性炭やアルミナなどの吸着剤で処理する(例えば、吸着剤充填カラムを通過させる)ことも好ましい。
【0046】
なお、反応器4は変換反応を行うことができるものであれば特に制限されず、攪拌槽、充填塔、トリクルベッド形式のものなどが使用でき、複数でもよく多槽式のものであってもよい。また、反応器4には、一酸化炭素を供給するCO供給ライン20、塔底液抜き出しライン18、変換ガス抜き出しライン22、そして、廃液抜き出しライン21がそれぞれ連結されていることが好ましい。
【0047】
反応器4で生成した亜硝酸アルキル(変換亜硝酸アルキル)を含有するガスは、変換ガス抜き出しライン22により一酸化炭素に同伴させて再生塔3に供給されるが、再生塔3のアルコールが流下している区域、中でも再生塔3の中間部、特に該中間部であって塔底液循環ライン23の連結部より上方に供給することが好ましい。そして、変換亜硝酸アルキル含有ガスは再生亜硝酸アルキル含有ガスと共に、ガス循環ライン19により主反応器1に循環供給される。
【0048】
また、反応器4では、循環ガスのパージ等による窒素成分(亜硝酸アルキル、一酸化窒素)のロスを補うための従来の酸化窒素の補給に代えて、その補給分に相当する量の硝酸(好ましくは水溶液)を硝酸供給ライン(図示せず)により供給して、導入塔底液中の硝酸と共に、同様の条件で液中の硝酸とアルコールを一酸化炭素と反応させることもできる。更に、炭酸ジアルキルの製造を開始する際には、反応器4に、硝酸(好ましくは水溶液)を硝酸供給ラインにより、アルコールをアルコール供給ライン11から再生塔3を経て塔底液抜き出しライン18により、一酸化炭素をCO供給ライン20によりそれぞれ供給し、硝酸とアルコールと一酸化炭素を同様に反応させて亜硝酸アルキルを生成させ、その亜硝酸アルキルを一酸化炭素と共に変換ガス抜き出しライン22から再生塔3を経てガス循環ライン19により炭酸ジアルキル製造用反応器1に導入することもできる。
【0049】
この結果、再生塔3で副生する硝酸を亜硝酸アルキルとして効率よく変換及び回収して炭酸ジアルキルの製造に再利用することができ、それと共に、塔底液のパージによる窒素成分(硝酸)のロスを抑制できると共に、循環ガスのパージによる窒素成分(亜硝酸アルキル、一酸化窒素)のロスを補う手段として硝酸の補給という簡便な方法を用いることができるようになり、窒素成分の補給量も減少させることができる。
【0050】
【実施例】
次に、図1に例示する製造プロセスによって本発明を実施した実施例などを挙げて、本発明を具体的に説明する。なお、硝酸はイオンクロマトグラフィー及び滴定により、水分はカールフィッシャー水分計により、その他はガスクロマトグラフィーによりそれぞれ分析した。Pd/Cはパラジウム金属(Pd)が活性炭(C)に担持された固体触媒を意味する。
【0051】
比較例1
〔第1工程〕
内径27mmのチューブ6本よりなるステンレス製多管式反応器のチューブ内に、塩化パラジウムと塩化第二銅が活性炭に担持された固体触媒(4mmφ×6mm)1.71L(リットル)を充填した。この反応器の上部から、ダイアフラム式ガス圧縮循環機で4.02kg/cm2Gに加圧した原料ガス(6.80Nm3/h)を熱交換器で約90℃に予熱して供給すると共に、反応器のシェル側に熱水を通すことにより触媒層の温度を110〜120℃に保持して、一酸化炭素と亜硝酸メチルを反応させた。なお、原料ガスの組成は、一酸化炭素20.0容量%、亜硝酸メチル10.0容量%、一酸化窒素4.0容量%、メタノール7.0容量%、二酸化炭素1.0容量%、窒素58.0容量%であった。
【0052】
〔第2工程〕
第1工程の反応器から抜き出された反応ガスを、内径100mm、高さ1300mmのラシヒリング充填式気液接触凝縮器(吸収塔)の塔底に導いて、塔頂からメタノール(0.18L/h)を導入すると共に、塔頂の200mm下の所からシュウ酸ジメチル(2.50kg/h)を導入しながら、塔頂温度35℃、塔底温度55℃で気液を向流接触させた。そして、吸収塔の塔底から吸収液(3.28kg/h)を、吸収塔の塔頂からは非凝縮ガス(6.64Nm3/h)をそれぞれ抜き出した。吸収液の組成は、シュウ酸ジメチル78.1重量%、炭酸ジメチル16.8重量%、ギ酸メチル0.1重量%、メタノール4.2重量%で、非凝縮ガスの組成は、一酸化炭素18.0容量%、亜硝酸メチル5.7容量%、一酸化窒素8.6容量%、メタノール7.2容量%、二酸化炭素1.04容量%、窒素59.4容量%であった。
【0053】
〔第3工程〕
内径158mm、高さ1400mmの充填塔(再生塔;塔頂の50mm下から10mmラシヒリング充填層800mmを有し、更にこの充填層の30mm下から10mmラシヒリング充填層400mmを有する)に、第2工程で得られた非凝縮ガス(6.64Nm3/h)を非凝縮ガス抜き出しラインにより供給すると共に、酸素供給ラインにより酸素(0.078Nm3/h)を、更に酸化窒素供給ラインにより一酸化窒素26.8容量%を含む窒素ガス(0.048Nm3/h)を、非凝縮ガス抜き出しラインを通して供給した。また、再生塔頂部のアルコール供給ラインからは20℃のメタノール液(0.7L/h)を供給した。また、塔底液(360L/h)を、塔底液循環ラインにより循環ポンプ及び冷却器を経由して再生塔の上部域と下部域の間に循環供給した。
【0054】
再生塔の状態が安定した時点で各部の組成を測定したところ、再生塔の頂部からガス循環ラインにより抜き出されるガス(6.73Nm3/h;循環ガス)の組成は、一酸化炭素17.8容量%、亜硝酸メチル10.2容量%、一酸化窒素4.2容量%、メタノール7.1容量%、二酸化炭素1.03容量%、窒素59.6容量%であり、ガス中の水分は0.05容量%以下であった。この循環ガスは、一部(097Nm3/h)をパージして、残りをガス圧縮循環機で4.02kg/cm2Gまで昇圧した後、一酸化炭素(0.16Nm3/h)を加えて第1工程の反応器に循環供給した。また、再生塔の底部から抜き出される塔底液の一部(0.31L/h)は循環ポンプの吐出口から抜き出した。なお、塔底液の組成は、メタノール47.1重量%、水44.2重量%、硝酸8.0重量%、亜硝酸メチル0.7重量%であった。この比較例では、再生塔に供給された非凝縮ガス(酸素混合前)中の一酸化窒素1モルに対して、硝酸が0.013モル(消費された一酸化窒素に対して2.5モル%)生成していた。
【0055】
〔第4工程〕
第2工程の吸収塔から抜き出された吸収液(3.28kg/h)を、内径50mm、高さ3mの蒸留塔(充填塔)に導入し、塔頂温度を64.5℃、塔底温度を166℃として蒸留を行なって、蒸留塔の塔頂から留出液(0.14kg/h)を、塔底から缶液(3.14kg/h)を抜き出した。留出液の組成は、メタノール97.0重量%、炭酸ジメチル0.7重量%、ギ酸メチル2.3重量%で、缶液の組成は、シュウ酸ジメチル82.4重量%、炭酸ジメチル17.5重%であった。そして、この缶液を同様の蒸留塔で蒸留して、塔頂から純度99.9重量%の炭酸ジメチル(0.55kg/h)を得た。
【0056】
実施例1
第3工程で次の硝酸変換工程を設けたほかは、比較例1と同様にして炭酸ジメチルの製造を行なった。
〔硝酸変換工程〕
攪拌機、ガス供給ノズル、液供給ノズル、ガス抜き出しノズル、液抜き出しノズル(焼結金属フィルター付き)を備えた5L容SUS製オートクレーブ(硝酸変換用反応器)に、前記の再生塔塔底液(0.31L/h;循環ポンプの吐出口から抜き出される)を連続で導入した。導入量が3Lになったところで1重量%Pd/C(6g)を加えて攪拌と昇温を開始し、更に一酸化炭素(0.167Nm3/h)を吹き込むと共に、循環ガスへの一酸化炭素の追加を停止した。反応器の温度は80℃になるように制御した。
【0057】
次いで、導入量が3.5Lになったところで、液面を一定に保つように反応器から連続で反応液を抜き出すと共に、反応器の圧力が6.0kg/cm2Gになるように出ガス量を調整しながら、変換亜硝酸アルキル含有ガスを抜き出して再生塔の中間部に供給した。そして、連続反応を継続しながら、第1工程の反応器へ循環供給する循環ガス中の亜硝酸メチルと一酸化窒素の合計が比較例におけると同じになるように、第2工程の吸収塔から抜き出される非凝縮ガスに供給する一酸化窒素を含む窒素ガスの供給量を調節した。
【0058】
連続反応の開始から全体が安定した状態(開始から15時間後)で、各部の流量及び組成は以下のようであった。
循環ガスの組成は、一酸化炭素20.0容量%、亜硝酸メチル10.0容量%、一酸化窒素4.1容量%、メタノール6.9容量%、二酸化炭素9.2容量%、窒素50.2容量%であった。また、硝酸変換用反応器からの抜出液(0.28L/hr)は、水51.18重量%、メタノール47.70重量%、硝酸0.32重量%、亜硝酸メチル0.80重量%の組成であった。このとき、硝酸の転化率は96%で、抜出液中のPd含量は約3ppmであった。
【0059】
また、この硝酸変換工程を加えたことにより、前記のように、再生塔導出ガスの組成を一定に維持するように第2工程の吸収塔から抜き出される非凝縮ガスに加えていた一酸化窒素26.8容量%を含む窒素ガスの供給量を調整した結果、0.078Nm3/hから0.050Nm3/hに低減することができた。なお、炭酸ジメチルの製造量に変化は見られなかった。
【0060】
実施例2
第2工程の吸収塔から抜き出される非凝縮ガスに供給する一酸化窒素を含む窒素ガスを、一酸化窒素を含まない窒素ガスに変え、硝酸変換用反応器に60重量%硝酸(0.07kg/h)を供給したほかは、実施例1と同様にして炭酸ジメチルの製造を行なった。その結果、各部の流量及び組成は実施例1と全く同様で、第4工程で得られる炭酸ジメチルの量及び純度も同様であった。
【0061】
実施例3
硝酸変換用反応器を5Lオートクレーブから2.5Lオートクレーブ2基をオーバーフロー管で接続した形式のもの(1槽目の液量が1.8Lになる位置でオーバーフローする)に代え、1重量%Pd/Cを反応器内で0.17g/Lになるように連続で供給したほかは、実施例1と同様にして炭酸ジメチルの製造を行なった。その結果、硝酸変換用反応器からの抜出液(0.28L/h)の組成は、水51.38重量%、メタノール47.64重量%、硝酸0.18重量%、亜硝酸メチル0.80重量%であった。このとき、硝酸の転化率は98%で、抜出液中のPd含量は約1ppmであった。
【0062】
【発明の効果】
本発明により、一酸化炭素と亜硝酸アルキルを触媒存在下で反応させて炭酸ジアルキルを生成させる炭酸ジアルキルの製造方法において、亜硝酸アルキル源の損失、特に一酸化窒素から亜硝酸アルキルを再生する際の硝酸の副生による窒素成分の損失を抑制して(結果的に亜硝酸アルキルの生成割合を高めて)、炭酸ジアルキルを高空時収量及び高選択率で連続的に効率よく製造する方法を提供することができる。
即ち、従来、再生塔で一酸化窒素から亜硝酸アルキルを再生する際に相当量の硝酸が生成するため、窒素成分のロスとなって亜硝酸アルキルの生成割合を低下させていたが、本発明によれば、この硝酸を効率よく亜硝酸アルキルに変換して炭酸ジアルキルの製造に再利用することができるので、窒素成分のロスを抑えた、非常に効率的な炭酸ジアルキルの製造プロセスを構成できるようになる。
また、本発明により、炭酸ジアルキルの製造において、窒素成分のロスを抑えることができる(硝酸を亜硝酸アルキルに再生して再利用できる)と共に、窒素成分の補給量も減少させることができ、更に、必要に応じて、循環ガスのパージ等による窒素成分(亜硝酸アルキル、一酸化窒素)のロスを補う手段として、硝酸の補給という簡便な方法を用いることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 炭酸ジアルキル製造工程を例示する概略のプロセス図である。
【符号の説明】
1:炭酸ジアルキル製造用反応器
2:吸収塔
3:亜硝酸アルキル再生用反応塔
▲1▼:上部域
▲2▼:下部域
4:硝酸変換用反応器
5:冷却器
11:原料ガス供給ライン
12:主反応ガス抜き出しライン
13:吸収液供給ライン
14:凝縮液抜き出しライン
15:非凝縮ガス抜き出しライン
16:酸素供給ライン
17:アルコール供給ライン
18:塔底液抜き出しライン
19:ガス循環ライン
20:CO供給ライン
21:廃液抜き出しライン
22:変換ガス抜き出しライン
23:塔底液循環ライン
24:パージライン
Claims (4)
- (1)第1工程で、一酸化炭素と亜硝酸アルキルを炭酸ジアルキル製造用反応器へ供給して触媒存在下で反応させ、炭酸ジアルキルと一酸化窒素を生成させて、(2)第2工程で、第1工程の反応ガスを炭酸ジアルキル吸収塔へ供給して炭酸ジアルキル吸収用吸収液と接触させ、炭酸ジアルキルを含有する凝縮液と一酸化窒素を含有する非凝縮ガスを得て、(3)第3工程で、第2工程の非凝縮ガスと分子状酸素を亜硝酸アルキル再生用反応塔の下部に供給すると共に、アルコールを亜硝酸アルキル再生用反応塔の上部に供給して該反応塔の上部から下部に流下させながら、一酸化窒素と酸素とアルコールを反応させて亜硝酸アルキルを生成させ、そして、得られる亜硝酸アルキル含有ガスを第1工程に循環供給すると共に、(4)第4工程で、第2工程の凝縮液を蒸留分離して炭酸ジアルキルを得る、炭酸ジアルキルの製造方法において、
(5)第3工程の亜硝酸アルキル再生用反応塔の底部から硝酸及びアルコールを含有する塔底液を抜き出して硝酸変換用反応器に導入すると共に、該反応器に一酸化炭素を供給して、白金族金属触媒の存在下、該導入塔底液と該一酸化炭素を接触させて亜硝酸アルキルを生成させ、そして、得られる亜硝酸アルキル含有ガスを前記亜硝酸アルキル再生用反応塔に供給することを特徴とする炭酸ジアルキルの製造方法。 - 白金族金属触媒が、白金族金属又はその化合物が担体に担持された固体触媒である、請求項1記載の炭酸ジアルキルの製造方法。
- 硝酸変換用反応器に導入した塔底液中の硝酸濃度が1重量%以下になるまで、該塔底液と該一酸化炭素を接触させる、請求項1又は2記載の炭酸ジアルキルの製造方法。
- 第3工程で、亜硝酸アルキル再生用反応塔の底部から抜き出した塔底液を冷却器に導いて冷却すると共に、冷却した塔底液を亜硝酸アルキル再生用反応塔の中間部に循環供給する塔底液循環操作を、(a)塔底液の循環供給量を亜硝酸アルキル再生用反応塔へのアルコール供給量の50〜300重量倍とし、(b)亜硝酸アルキル再生用反応塔へのアルコール供給量と亜硝酸アルキル再生用反応塔の中間部に循環供給される塔底液中のアルコール量との合計を亜硝酸アルキル再生用反応塔へ供給される非凝縮ガス中の一酸化窒素の20〜150倍モルとし、(c)塔底液のアルコール濃度を15〜60重量%とする条件下で行いながら、一酸化窒素と酸素とアルコールを反応させる、請求項1記載の炭酸ジアルキルの製造方法。
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