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JP4174994B2 - 油性基剤のゲル化剤 - Google Patents

油性基剤のゲル化剤 Download PDF

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JP4174994B2
JP4174994B2 JP2002031820A JP2002031820A JP4174994B2 JP 4174994 B2 JP4174994 B2 JP 4174994B2 JP 2002031820 A JP2002031820 A JP 2002031820A JP 2002031820 A JP2002031820 A JP 2002031820A JP 4174994 B2 JP4174994 B2 JP 4174994B2
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acid
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直弥 山戸
秀樹 吉原
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Ajinomoto Co Inc
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は油性基剤のゲル化剤に関する。さらに詳しくは、特定のアミノ酸誘導体を含有する油性基剤のゲル化剤に関する。本発明のゲル化剤は、常温で液体状を呈する油性基剤をゲル化して形態を多様化するために有用である。
【0002】
【従来の技術】
従来、水に溶解しない油性基剤のゲル化剤としては、一般的にはポリアミド樹脂、12−ヒドロキシステアリン酸、ジベンジリデン−D−ソルビトールに代表される芳香族アルデヒドと多価アルコールとの縮合物などが知られている。しかしながら、これらのゲル化剤は、油性基剤に対する溶解性が低いという問題を有している。例えば、これらのゲル化剤を用いて調製したゲル状組成物は溶存状態が悪く、ゲル状組成物が不均一になったり、ゲル化した油性基剤が経時変化によりゲルの表面からにじみ出るいわゆる「発汗現象」が生じるといった問題を有していた。
【0003】
他の油性基剤のゲル化剤としては、特開昭51−19139号公報に開示されたN−ラウロイル−L−グルタミン酸ジブチルアミドが知られており、この物質をゲル化剤として含む化粧料が報告されている。このゲル化剤は様々な油性基剤をゲル化できることが知られているが、得られたゲル状組成物が必ずしも充分なゲル強度を有しておらず、皮膚に塗布するための化粧料としてゲル状組成物を調製した場合には、剤型がもろく強度面で問題が生じることがあった。
【0004】
さらに、米国特許第5,591,424号や特表平7−506833号公報では、12−ヒドロキシステアリン酸とN−ラウロイルグルタミン酸ジブチルアミドを含有する制汗剤ゲルスティックが報告されているが、このゲルスティックもゲル強度が不十分であり、皮膚への塗布が困難になることもあった。また、これらゲル化剤と油性基剤とを用いて得られるゲル状組成物の外観はいずれも白色であり、透明性に欠け美的観点からも好ましくない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は油性基剤のためのゲル化剤を提供することにある。より具体的には、油性基剤に対して優れたゲル化能を有するゲル化剤を提供することが本発明の課題である。また、ゲル強度と透明性に優れたゲル状組成物を製造できるゲル化剤を提供することが本発明の課題である。さらに本発明の別の課題は、上記の特徴を有するゲル化剤と油性基剤とを含み、ゲル強度と透明性に優れたゲル状組成物を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、特定の酸性アミノ酸誘導体が油性基剤のためのゲル化剤として極めて優れた性質を有しており、この酸性アミノ酸誘導体と油性基剤とから調製されたゲル状組成物が優れたゲル強度と高い透明性を有していることを見出した。また、得られたゲル状組成物が化粧料として使用するために十分な強度を有しており、スティック形状などに成型した場合にも皮膚への塗布が容易であることを見出した。本発明は上記の知見を基にして完成されたものである。
【0007】
すなわち、本発明は、下記一般式(I):
【化2】
Figure 0004174994
(式中、R1及びR2はそれぞれ独立に炭素原子数1〜26の炭化水素基を示し、R3は炭素原子数7〜10の炭化水素基を示し、nは1または2を示し、分子中の酸性アミノ酸残基はnが1の場合にはL−アスパラギン酸残基、nが2の場合にはL−グルタミン酸残基を示す)で表される化合物を提供するものである。
【0008】
この発明の好ましい態様によれば、R1及びR2がそれぞれ独立に炭素原子数1〜26の直鎖又は分枝鎖のアルキル基であり、R3が炭素原子数7〜10の直鎖又は分枝鎖のアルキル基であり、nが2である上記化合物が提供され、さらに好ましい態様によれば、R1及びR2がそれぞれ独立に炭素原子数3〜5の直鎖又は分枝鎖のアルキル基であり、R3が炭素原子数7〜9の直鎖又は分枝鎖のアルキル基であり、nが2である上記化合物が提供される。本発明の特に好ましい態様によれば、上記一般式(I)に包含される化合物としてN−2−エチルヘキサノイル−L−グルタミン酸ジブチルアミド、N−オクタノイル−L−グルタミン酸ジブチルアミド、又はN−デカノイル−L−グルタミン酸ジブチルアミドが提供される。
【0009】
別の観点からは、本発明により、上記一般式(I)で表される化合物の少なくとも1種を含有する油性基剤のゲル化剤;及び上記一般式(I)で表される化合物の少なくとも1種とN−ラウロイル−L―グルタミン酸ジブチルアミドとを含有する油性基剤のゲル化剤が提供される。後者の好ましい例として、上記一般式(I)で表される化合物の総重量とN−ラウロイル−L―グルタミン酸ジブチルアミドの重量との比が35:5〜5:35である上記ゲル化剤が本発明により提供される。
【0010】
さらに別の観点からは、(a)上記のゲル化剤、及び(b)少なくとも1種の油性基剤を含有するゲル状組成物が本発明により提供される。このゲル状組成物の好ましい態様では、半透明の組成物である上記ゲル状組成物、及びさらに(c)少なくとも1種の制汗活性成分を含有する上記ゲル状組成物が提供される。また、本発明により、上記ゲル状組成物を含む化粧料が提供される。この化粧料は、好ましくはスティック状に成型されていてもよい。
【0011】
さらに本発明により、油性基剤をゲル化する方法であって、上記一般式(I)で表される化合物の少なくとも1種、及び必要に応じてN−ラウロイル−L―グルタミン酸ジブチルアミドを油性基剤に混合する行程を含む方法;油性基剤を含むゲル状組成物の製造方法であって、上記一般式(I)で表される化合物の少なくとも1種、及び必要に応じてN−ラウロイル−L―グルタミン酸ジブチルアミドを油性基剤に混合する行程を含む方法;油性基剤を含むゲル状組成物の製造のための上記一般式(I)で表される化合物の使用が提供される。
【0012】
【発明の実施の形態】
一般式(I)において、R1及びR2はそれぞれ独立に炭素原子数1〜26の炭化水素基を示す。R1及びR2が示す炭化水素基は、直鎖状、分枝鎖状、環状、又はそれらの組み合わせのいずれであってもよい。炭化水素基としては不飽和結合を含む炭化水素基を用いることもできるが、アルキル基を用いることがより好ましい。好ましくは炭素原子数1〜10、より好ましくは炭素原子数2〜6の直鎖状又は分枝鎖状のアルキル基を用いることができ、さらに好ましいのは炭素原子数3〜5の直鎖状又は分枝鎖状のアルキル基である。最も好ましくはn−ブチル基を用いることができる。
【0013】
3は炭素原子数7〜10の炭化水素基を示す。R3が示す炭化水素基は、直鎖状、分枝鎖状、環状、又はそれらの組み合わせのいずれであってもよい。炭化水素基としては不飽和結合を含む炭化水素基を用いることもできるが、アルキル基を用いることがより好ましい。アルキル基としては直鎖状又は分枝鎖状のアルキル基が好ましい。より好ましくはR3は炭素原子数7〜9の直鎖状又は分枝鎖状のアルキル基を示す。R3−CO−で表される基の例としては、例えば、n−オクタノイル基、n−ノナノイル基、n−デカノイル基、n−ウンデカノイル基、2−エチルヘキサノイル基などを挙げることができ、これらのうちオクタノイル基、デカノイル基、2−エチルヘキサノイル基が好ましく、様々な油性基材に対して高いゲル化能を示すという観点で2−エチルヘキサノイル基がもっとも好ましい。R3−CO−で表される基が2−エチルヘキサノイル基の場合、原料である2−エチルヘキサノイルクロライドの入手のし易さの観点から、2−(R,S)−エチルヘキサノイル基を用いることが好ましい。一般式(I)においてnが2であることが好ましい。
【0014】
一般式(I)で表される化合物において、分子中の酸性アミノ酸残基はnが1の場合にはL−アスパラギン酸残基、nが2の場合にはL−グルタミン酸残基を示す。一般式(I)で表される化合物は、R1、R2、及び/又はR3の種類により1以上の不斉炭素を有する場合があるが、このような不斉炭素に基づく光学異性体又はジアステレオマーなどの立体異性体、任意の立体異性体の混合物、ラセミ体はいずれも本発明の範囲に包含される。また、R1、R2、及び/又はR3がオレフィン性二重結合を有する場合には、その配置はZ又はEのいずれでもよく、幾何異性体又は任意の幾何異性体の混合物も本発明の範囲に包含される。さらに、本発明の範囲には、上記一般式(I)で表される化合物の任意の水和物、及び任意の形態の結晶が包含される。本発明のゲル化剤としては、上記に説明した異性体又はそれらの混合物、あるいは水和物などの任意の物質を用いることができる。
【0015】
一般式(I)で表される化合物は、例えば塩基性触媒下に長鎖脂肪酸ハライドとL−グルタミン酸又はL−アスパラギン酸とをショッテン・バウマン反応で反応させることによりN−アシル化グルタミン酸又はN−アシル化アスパラギン酸を製造し、さらにアルキルアミンなどのアミン誘導体を酸触媒の存在下又は無触媒下に加熱反応することにより製造することができる。あるいは、酸触媒の存在下又は無触媒下にグルタミン酸又はアスパラギン酸とアルキルアミンなどのアミン誘導体とを反応させて得られるグルタミン酸アミド又はアスパラギン酸アミドを脂肪酸ハライド等のアシル化剤でN−アシル化することにより製造できる。
【0016】
一般式(I)で表される化合物の製造例は本明細書の実施例に具体的かつ詳細に説明されているので、その製造例を参照しつつ、出発原料、試薬、反応条件などを適宜選択し、必要に応じてそれらの方法に適宜の修飾や改変を加えることにより、当業者は一般式(I)で表される化合物をいずれも製造することが可能である。
【0017】
本発明のゲル化剤としては、一般式(I)で表される化合物から選ばれる1種類の化合物を用いてもよいが、一般式(I)で表される化合物から選ばれる2種以上の化合物を組み合わせて用いてもよい。本発明のゲル化剤の使用量は油性基剤がゲル化する量であれば特に制限はないが、通常、ゲル化させるべき油性基剤100重量部に対し0.1〜15重量部、好ましくは、1〜10重量部程度である。0.1重量部より少ない場合は十分なゲル強度を得ることができない場合があり、15重量部より多い場合は油性基剤に溶解できず、得られるゲル化油性基剤の外観が損なわれる場合がある。
【0018】
本発明のゲル化剤は、一般式(I)で表される化合物から選ばれる1種又は2種以上の化合物に加えて、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジブチルアミドを含んでいてもよい。このゲル化剤を用いると、ゲル強度が高く、かつ比較的透明度の高い(半透明の)ゲル状組成物を得ることができる。この場合、一般式(I)で表される化合物の総重量(本明細書において、「総重量」とは1種類の化合物を用いる場合にはその化合物の重量であり、2種以上の化合物を含む場合にはそれらの合計重量を意味する)とN−ラウロイル−L−グルタミン酸ジブチルアミドの配合割合は所望の性能に応じて適宜選択可能であるが、一般的には35:5〜5:35であることが好ましい。N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジブチルアミドを含むゲル化剤の使用量は、上述した使用量と同様であり、ゲル化させるべき油性基剤100重量部に対し0.1〜15重量部、好ましくは、1〜10重量部である。なお、本発明に用いるN−ラウロイル−L−グルタミン酸ジブチルアミドは、上述の一般式(I)で表される化合物と同様の方法によって製造することができるほか、味の素株式会社から市販のものを入手することができる(商品名「GP−1」)。
【0019】
本発明のゲル状組成物に用いられる油性基剤としては、加熱により上記ゲル化剤を充分に溶解させ、室温に冷却したときにゲルを形成するものであれば特に制限はないが、具体例としては、シリコーン油;セチルアルコール、イソステアリルアルコール、ラウリルアルコール、ヘキサデシルアルコール、オクチルドデカノール等の高級アルコール;イソステアリン酸、ウンデシレン酸、オレイン酸等の脂肪酸;グリセリン、ソルビトール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等の多価アルコール;ミリスチン酸ミリスチル、ラウリン酸ヘキシル、オレイン酸デシル、ミリスチン酸イソプロピル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、モノステアリン酸グリセリン、フタル酸ジエチル、モノステアリン酸エチレングリコール、オキシステアリン酸オクチル等のエステル類;流動パラフィン、ワセリン、スクワラン等の炭化水素;ラノリン、還元ラノリン、カルナバロウ等のロウ;ミンク油、カカオ油、ヤシ油、パーム核油、ツバキ油、ゴマ油、ヒマシ油、オリーブ油等の油脂;エチレン・α−オレフィン・コオリゴマー等が挙げられる。
【0020】
シリコーン油の例としては、メチルポリシロキサン、高重合メチルポリシロキサン、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体、ポリオキシプロピレン・メチルポリシロキサン共重合体及びポリ(オキシエチレン、オキシプロピレン)・メチルポリシロキサン共重合体等のエーテル変性シリコーン、ステアロキシメチルポリシロキサン、ステアロキシトリメチルシラン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、オクタメチルポリシロキサン、デカメチルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、テトラヒドロテトラメチルシクロテトラシロキサン、メチルシクロポリシロキサン、シクロペンタシロキサン及びドデカメチルシクロヘキサシロキサン等の環状シリコーン;メチルフェニルポリシロキサン、トリメチルシロキシケイ酸、アミノエチルアミノプロピルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体等のアミノ変性シリコーン、シラノール変性ポリシロキサン、アルコキシ変性ポリシロキサン、脂肪酸変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン、エポキシ変性ポリシロキサン、アルコキシ変性ポリシロキサンパーフルオロポリエーテル、ポリ酢酸ビニルジメチルポリシロキサン、及びそれらの混合物からなる群より選択されるシリコーン油が挙げられる。
【0021】
油性基剤は、好ましくはゲル状組成物の全重量に対して約10〜99.9重量%の割合で用いられる。油性基剤の配合量が10重量%よりも少ない場合、または99.9重量%よりも多い場合は、十分なゲル強度を得ることができない場合がある。
【0022】
本発明のゲル状組成物は、さらに制汗活性成分を含有することができる。本明細書において、「制汗活性成分」は皮膚を収斂させることによって汗の発生を抑える成分を意味しているが、この用語は最も広義に解釈すべきであり、いかなる意味においても限定的に解釈してはならない。制汗活性成分の種類は特に制限されず、2種以上の制汗活性成分を組み合わせて用いてもよい。制汗活性成分としては、例えば、クロルヒドロキシアルミニウム、塩化アルミニウム、アラントインクロルヒドロキシアルミニウム、硫酸アルミニウム、酸化亜鉛、パラフェノールスルホン酸亜鉛、ジルコニルクロリドをアルミニウムヒドロキシド及びアルミニウムクロルヒドロキシドと反応させることで製造されたジルコニウムアルミニウム複合体などを挙げることができる。制汗活性成分は、ゲル状組成物全重量に対して1〜60重量%、好ましくは5〜35重量%配合することができる。また、制汗活性成分は溶液又は粉体のいずれの形態で配合してもよい。粉体で用いられるときには、一般的には制汗活性成分である物質の粒度は1〜100ミクロン、好ましくは1〜50ミクロン程度であり、高い嵩密度を有することが好ましい。
【0023】
本発明のゲル状組成物の製造方法は特に限定されないが、例えば、上記のゲル化剤及び油性基剤を混合物が均一な溶液を形成するまで撹拌しながら約50〜180℃に加熱し、その後冷却することにより目的のゲル状組成物を得ることができる。
【0024】
本発明のゲル状組成物は化粧料として用いることができる。本発明のゲル状組成物を化粧料として用いる場合には、上記ゲル状組成物をそのまま用いてもよいが、一般的には化粧料の製造に通常用いられる各種成分を配合して用いることが好ましい。
【0025】
化粧料に配合する成分としては、例えば上記制汗活性成分の効力を持続させ、変色や臭気の発生を抑制するための各種キレート化剤などが挙げられる。キレート剤の種類は特に制限されないが、好ましくはトリエチレンテトラミン、1,1,1−トリフルオロ−3,2'−テノイルアセトン、チオグリコール酸、酒石酸、コハク酸、8−キノリノール、ピリジン−2,6−ジカルボン酸、ピリジン、1,10−テナントロリン、乳酸、8−ヒドロキシキノリン−5−スルホン酸、グリシン、2,2’−ピリジルエチレンジアミン、キシレノールオレンジ、5−スルホサリチル酸、サリチル酸、ピロカテコール−3,5−ジスルホネート、4,5−ジヒドロキシベンゼン−1,3−ジスルホン酸、1,2−ジアミノシクロヘキサン−N,N,N’,N'−四酢酸、クエン酸、オキサレート、ニトリロ三酢酸、エチレンジアミン−N,N,N’,N'−四酢酸、アセチルアセトンとそれらの塩からなる群より選択されるキレート化剤及びそれらの混合物などが挙げられる。
【0026】
化粧料に配合可能な他の配合成分として、本発明のゲル化剤以外に1種以上の油性基剤のゲル化剤を併用することができる。例えば、ポリアミド樹脂、12−ヒドロキシステアリン酸、ステアリン酸ナトリウム、ジベンジリデン−D−ソルビトール、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジブチルアミド等がある。
【0027】
また、本発明の化粧料には、本発明の効果を阻害しない範囲で、他の配合成分として界面活性剤、各種添加剤、各種粉体を配合することができる。界面活性剤としては、アニオン界面活性剤、非イオン性界面活性剤、カチオン界面活性剤、又は両性界面活性剤のいずれを用いてもよい。アニオン界面活性剤としては、例えば、N−長鎖アシル酸性アミノ酸塩やN−長鎖アシル中性アミノ酸塩などのN−長鎖アシルアミノ酸塩、N−長鎖脂肪酸アシル−N−メチルタウリン塩、アルキルサルフェートおよびそのアルキレンオキシド付加物、脂肪酸アミドエーテルサルフェート、脂肪酸の金属塩および弱塩基塩、スルホコハク酸系界面活性剤、アルキルフォスフェートおよびそのアルキレンオキシド付加物、アルキルエーテルカルボン酸などを挙げることができる。非イオン性界面活性剤としては、例えば、グリセリンエーテルおよびそのアルキレンオキシド付加物などのエーテル型界面活性剤、グリセリンエステルおよびそのアルキレンオキシド付加物などのエステル型界面活性剤、ソルビタンエステルおよびそのアルキレンオキシド付加物などのエーテルエステル型界面活性剤、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、グリセリンエステル、脂肪酸ポリグリセリンエステル、ソルビタンエステル、ショ糖脂肪酸エステルなどのエステル型界面活性剤、アルキルグルコシド類、硬化ヒマシ油ピログルタミン酸ジエステルおよびそのエチレンオキシド付加物、脂肪酸アルカノールアミドなどの含窒素型の非イオン性界面活性剤などを挙げることができる。カチオン界面活性剤としては、例えば、アルキルアンモニウムクロライド、ジアルキルアンモニウムクロライドなどの脂肪族アミン塩、それらの4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩などの芳香族4級アンモニウム塩、脂肪酸アシルアルギニンエステルなどを挙げることができ、両性界面活性剤としては、例えば、カルボキシベタインなどのベタイン型界面活性剤、アミノカルボン酸型界面活性剤、イミダゾリン型界面活性剤などを挙げることができる。
【0028】
各種添加剤としては、例えば、グリシン、アラニン、セリン、スレオニン、アルギニン、グルタミン酸、アスパラギン酸、ロイシン、バリンなどのアミノ酸類;グリセリン、エチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、イソプレングリコールなどの多価アルコール;ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸を含むポリアミノ酸およびその塩、ポリエチレングリコール、アラビアゴム類、アルギン酸塩、キサンタンガム、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸塩、キチン、キトサン、水溶性キチン、カルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、ポリ塩化ジメチルメチレンピペリジウム、ポリビニルピロリドン誘導体四級アンモニウム、カチオン化プロテイン、コラーゲン分解物およびその誘導体、アシル化タンパク、ポリグリセリンなどの水溶性高分子;マンニトールなどの糖アルコールおよびそのアルキレンオキシド付加物;エタノール、プロパノールなどの低級アルコール等の他、動植物抽出物、核酸、ビタミン、酵素、抗炎症剤、殺菌剤、防腐剤、抗酸化剤、紫外線吸収剤、キレート剤、制汗剤、顔料、色素、酸化染料、有機及び無機粉体、pH調整剤、パール化剤、湿潤剤等を挙げることができる。
【0029】
各種粉体としては、例えば、ナイロンビーズ、シリコーンビーズ等の樹脂粉体、ナイロンパウダー、金属脂肪酸石鹸、黄酸化鉄、赤色酸化鉄、黒酸化鉄、酸化クロム、酸化コバルト、カーボンブラック、群青、紺青、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化セリウム、雲母チタン、窒化ホウ素、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、炭化珪素、色素、レーキ、セリサイト、マイカ、タルク、カオリン、板状硫酸バリウム、バタフライ状硫酸バリウム、微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛、微粒子酸化鉄、アシルリジン、アシルグルタミン酸、アシルアルギニン、アシルグリシン等のアシルアミノ酸等が挙げられる。これらの粉体に、さらにシリコーン処理、フッ素化合物処理、シランカップリング剤処理、シラン処理有機チタネート処理、アシル化リジン処理、脂肪酸処理、金属石鹸処理、油剤処理、アミノ酸処理等の表面処理が施された粉体を用いてもよい。
【0030】
本発明の化粧料の用途は特に限定されないが、例えば、ゲル状化粧料、パック化粧料、粒状化粧料などの形態の化粧料として使用することができる。本発明の化粧料は、上記のゲル状組成物を調製した後、必要に応じて上記に説明した添加剤の1種又は2種以上を添加・混合して均一の組成物として調製することができる。その製造工程は特に限定されず、当業者が利用可能な混合、攪拌、練合などの汎用の手段を適宜用いることができる。
【0031】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0032】
例1:N−2−(R,S)−エチルヘキサノイル−L−グルタミン酸ジブチルアミドの製造
グルタミン酸ナトリウム一水和物110gを水140g、27%水酸化ナトリウム水溶液78gに溶解させて、10℃に冷却した。アセトン110gを加えた後、2−エチルヘキサノイルクロライド87gと27%水酸化ナトリウム水溶液78gを滴下した。アシル化反応液を100gの水で希釈し、95%硫酸63gで中和し、油状分離させた。水層を除去し油層を減圧濃縮して油状物質を得た。この油状物質をメタノール742gに溶解し、95%硫酸6.2gを加え9時間還流させた。反応液を35℃まで放冷し、n−ブチルアミン8.8gで中和後メタノールを留去し、油状物質をえた。この油状物質をトルエン643gと、n−ブチルアミン271gを加えて、90℃で10時間加熱撹拌した。これに温水506g、95%硫酸130gを加えて、油状分離させ、水層を除去した。油層に温水1200gを加えて、常圧で溶媒を除去して白色固体のスラリー液を得た。この固体をろ過し、50℃で真空乾燥して2−エチルヘキサノイルグルタミン酸ジブチルアミドを得た。
(a)13C−NMRピーク(溶媒CDCl3):12.04、12.07、13.74、13.96、13.99、20.08、20.11、22.70、22.74、26.01、29.83、31.56、31.60、32.37、33.05、39.29、39.53、49.37、52.53、52.56、171.29、173.03、176.66(ppm)
(b)1H−NMRピーク(CDCl3) δ:3.248(m,4H)、4.373(m,1H)、6.199(brs,1H)、7.079(brs,1H)、7.169(brs,1H)
(c)赤外線吸収スペクトルの波数:3291.7、2961.0、2932.5、1638.2、1551.2、1452.6(cm-1
(d)MSスペクトル:382.3(M−H)-
【0033】
例2:N−オクタノイル−L−グルタミン酸ジブチルアミドの製造
グルタミン酸ナトリウム一水和物110gを水140g、27%水酸化ナトリウム水溶液78gに溶解させて、10℃に冷却した。アセトン110gを加えた後、オクタノイルクロライド87gと27%水酸化ナトリウム水溶液90gを滴下した。アシル化反応液を100gの水で希釈し、95%硫酸64gで中和し、油状分離させた。水層を除去し油層を減圧濃縮して油状物質を得た。この油状物質をメタノール742gに溶解し、95%硫酸6.2gを加え9時間還流させた。反応液を35℃まで放冷し、n−ブチルアミン10.5gで中和後メタノールを留去し、油状物質をえた。この油状物質をトルエン630gと、n−ブチルアミン191gを加えて、90℃で10時間加熱撹拌した。これに温水500g、95%硫酸178gを加えて、油状分離させ、水層を除去した。油層に温水645gを加えて、常圧で溶媒を除去して白色固体のスラリー液を得た。この固体をろ過し、50℃で真空乾燥してオクタノイルグルタミン酸ジブチルアミドを得た。
(a)13C−NMRピーク:14.10、14.43、20.44、22.98、26.07、29.38、29.61、29.86、31.92、31.97、32.06、33.44、37.07、39.69、39.88、52.91、171.61、173.33、174.17(ppm)
(b)1H−NMRピーク(CDCl3) δ:3.247(m,4H)、4.360(m,1H)、6.201(brs,1H)、6.987(brs,1H)、7.039(brs,1H)
(c)赤外線吸収スペクトルの波数:3292.8、2958.3、2930.4、1640.1、1543.0、1450.3(cm-1
(d)MSスペクトル:382.3(M−H)-
【0034】
例3:N−デカノイル−L−グルタミン酸ジブチルアミドの製造法
上記例1の方法に準じてデカノイルグルタミン酸ジブチルアミドを製造した。
(a)13C−NMRピーク:14.10、14.47、20.44、20.48、23.04、26.07、29.65、29.67、29.73、29.83、29.88、31.92、31.97、32.24、37.08、39.70、39.88、52.90、171.60、173.33、174.17(ppm)
(b)1H−NMRピーク(CDCl3) δ:3.250(m,4H)、4.360(m,1H)、6.190(brs,1H)、6.980(brs,1H)、7.030(brs,1H)
(c)赤外線吸収スペクトルの波数:3294.8、2959.0、2927.5、1637.9、1556.0、1466.6(cm-1
(d)MSスペクトル:410.5(M−H)-
【0035】
なお、以下の比較例で用いたエチロイルグルタミン酸ジブチルアミド、ヘキサノイルグルタミン酸ジブチルアミド、ミリストイルグルタミン酸ジブチルアミド、パルミトイルグルタミン酸ジブチルアミドも同様に製造した。
【0036】
例4〜6:ゲル状組成物の製造
表1に示す各種N−アシルグルタミン酸ジブチルアミド0.2gを各種油性基剤20gに入れ、150℃のオイルバスで加熱溶解し、15時間、23℃で放冷し、ゲル状組成物を得た。得られたゲル状組成物のゲル強度をレオメータ(FUDOH RHEO METER NRM−2010−J−CW)にて測定した。アダプターは円柱タイプ、10φを用い、試料台速度は6cm/minとした。結果を表1に併せて示す。表1から明らかなように、N−2−(R,S)−エチルヘキサノイル−L−グルタミン酸ジブチルアミド、N−オクタノイル−L−グルタミン酸ジブチルアミド、及びN−デカノイル−L−グルタミン酸ジブチルアミドは他のゲル化剤よりも高いゲル化能を有しており、油性基剤の種類によらずに優れたゲル化能を発揮できる。
【0037】
【表1】
Figure 0004174994
【0038】
例7〜10:ゲル状組成物の製造
表2に示す各種ゲル化剤0.4gを油性基剤20gに入れ、150℃のオイルバスで加熱溶解し、15時間、23℃で放冷し、ゲル状組成物を得た。得られたゲル状組成物のゲル強度をレオメータ(FUDOH RHEO METER NRM−2010−J−CW)で測定した。アダプターは円柱タイプ、10φを用い、試料台速度は6cm/minとした。また得られたゲル状組成物の透明度を目視で判断した。結果を表2に併せて示す。例7〜9は比較例6〜8と比べてゲル強度が高いことがわかる。また例8〜10は比較例と比べて透明度が高いことがわかる。
【0039】
【表2】
Figure 0004174994
【0040】
例11〜12:発汗抑制ゲルスティックの製造
表3に示す各種ゲル化剤を油性基剤に加熱溶解した後、アルミニウムジルコニウムトリクロロハイドレックスグリシンを添加して、撹拌しながら放冷し、発刊抑制ゲルスティックを得た。得られた発刊抑制ゲルスティックのゲル強度をレオメータ(FUDOH RHEO METERNRM−2010−J−CW)で測定した。アダプターは円柱タイプ、10φを用い、試料台速度は6cm/minとした。結果を表3に併せて示す。例11及び12のゲルスティックは比較例と比べてゲル強度が高く、優れた制汗剤が得られることがわかった。
【0041】
【表3】
Figure 0004174994
【0042】
例13:口紅の製造
表4に示す処方にて常法により口紅を調製した。調製した口紅は強度的に優れ、かつ発汗がない優れたものであった。
【0043】
【表4】
Figure 0004174994
【0044】
例14:透明口紅の製造
表5に示す処方にて常法により透明口紅を調製した。調製した透明口紅は強度的に優れ、かつ外観の透明性が高く、安定なものであった。
【0045】
【表5】
Figure 0004174994
【0046】
例15:ロウソクの製造
表6に示す処方にて常法によりロウソクを調製した。調製したロウソクは強度的に優れ、かつ外観の透明性が高いものであった。
【0047】
【表6】
Figure 0004174994
【0048】
【発明の効果】
本発明のゲル化剤を油性基剤のゲル化に用いることにより、高いゲル強度と優れた透明性を有するゲル状組成物を製造することができる。

Claims (7)

  1. N−2−エチルヘキサノイル−L−グルタミン酸ジブチルアミドとN−ラウロイル−L―グルタミン酸ジブチルアミドとを含有し、重量比が35:5〜5:35であることを特徴とする、ゲル化剤。
  2. N−2−エチルヘキサノイル−L−グルタミン酸ジブチルアミドとN−ラウロイル−L―グルタミン酸ジブチルアミドとを含有し、重量比が3:1〜1:3であることを特徴とする、ゲル化剤。
  3. 請求項1または2のいずれかに記載のゲル化剤と、ミリスチン酸イソプロピル、トリオクタン酸グリセリル、流動パラフィン、オクチルドデカノール、シクロメチコン、パルミチン酸オクチル、イソステアリルアルコール、水素添加ポリイソブテン、リシノレイン酸セチル、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ジペンタエリトリット、ロジン酸ペンタエリスリットの群から選ばれる油性基剤を含有することを特徴とするゲル状組成物。
  4. 請求項1または2のいずれかに記載のゲル化剤と、ミリスチン酸イソプロピル、トリオクタン酸グリセリル、流動パラフィン、オクチルドデカノール、シクロメチコン、パルミチン酸オクチルの群から選ばれる油性基剤を含有することを特徴とするゲル状組成物。
  5. 請求項1または2のいずれかに記載のゲル化剤と、ミリスチン酸イソプロピル、トリオクタン酸グリセリル、流動パラフィンの群から選ばれる油性基剤を含有することを特徴とするゲル状組成物。
  6. 請求項3〜5のいずれかに記載のゲル状組成物を含有することを特徴とする、化粧料。
  7. 請求項1〜2のいずれかに記載のゲル化剤を含有することを特徴とする、化粧料。
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