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JP4170024B2 - 車載用スピーカおよびその取付構造 - Google Patents

車載用スピーカおよびその取付構造 Download PDF

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顕 本島
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両に取付けて車室内に音響再生を行う車載用スピーカおよびその取付構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
図4に示すように、従来から、乗用車などの車両1には、カーオーディオ用などとして車載用スピーカが搭載されている。一般的には、車両1の運転者などの車室2への搭乗者が、車両1の前方に向う姿勢で、左右2チャネルのステレオ再生を行うことが基本となるので、車載用スピーカ3,4,5は、インスツルメントパネル6、前後のドア7,8、またはトランクルーム9などの空間を利用して、左右に取付けられることが多い。特に、再生される音響出力を聴く搭乗者は、車両1の進行方向を向いた姿勢となるので、車両1では、車室2の前方のインスツルメントパネル6や側方のドア7,8などに車載用スピーカ3,4を配置することが多い。ただしこれらの部分で利用可能な空間はあまり大きくないので、低音域を再生する車載用スピーカ5を別に設ける場合は、車両1の後方のトランクルーム9の空間を利用し、その上方のリアトレイなどに開口するように配置することもある。音響出力の指向特性は、周波数が低いとあまり目立たなくなるので、低音域では左右を合成したモノラル再生でも、ステレオ感をあまり損うことはない。
【0003】
図5は、従来からの車載用スピーカの典型的な取付構造として、(a)で図4の車載用スピーカ4をドア7に取付ける構造を示し、(b)で図4の車載用スピーカ3をインスツルメントパネル6に取付ける構造を示す。図5(a)に示すように、ドア7には、スピーカユニット10を単体で取付け、ドア7で、内装材11と車体の最外方となる側板12との間に形成される空間をスピーカボックスとして利用することが多い。なお、この空間は、ドアのドアガラス13を引下げて開けるときに、ドアガラス13を収容するために設けられているので、スピーカユニット10を取付けても、ドアガラス13には当らないようにしなければならない。スピーカユニット10は、たとえばフレーム14の外周のフランジ15の部分を内装材11に設ける開口部の周辺にボルト16およびナット17で固定する。図5(b)に示すように、インスツルメントパネル6に取付けるスピーカ3は、スピーカユニット10をスピーカボックス18に収容した状態で、取付金具19をボルト16およびナット17で固定する。
【0004】
車両内で音響再生を行うスピーカを取付けることに関連して、特開平5−276588号公報には、乗用車などの車室に設けられるアームレスト内に、低音再生装置を配置する先行技術が開示されている。特開平11−54963号公報には、車両等に搭載する電子機器を取付ける際に、取付孔の周縁を覆うように緩衝材を用いる先行技術が開示されている。また、車両のトランクルームなどにスペアタイヤを固定する際に用いるスクリューグロメットに緩衝材を用いて取付けを行う先行技術が特開平5−187422号公報に開示されている。なお、特開平5−56830号公報には、座席に座る人に対して音響再生を行うスピーカを、座椅子などに用いる椅子カバーの芯材となる発泡弾性材で覆う先行技術が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
車載用スピーカは、車室内に快適な音響再生を行う必要がある。快適な音響再生には、再生音の周波数特性上の音質ばかりではなく、過度的な音質も良好であることが重要である。再生音の過度的な音質は、スピーカから音響出力が再生される際に、スピーカの振動板以外からも音が再生されると損われてしまう。スピーカの振動板以外が音を再生するのは、スピーカの振動板が空気に対して音響出力を放射する際に受ける反力でスピーカユニットのフレームや磁気回路などの電気音響変換部などが振動したり、さらにスピーカボックスに振動が伝わって振動すると生じる。
【0006】
特開平5−56830号公報に開示されている先行技術のように、椅子カバーなどの発泡弾性体でスピーカを覆うようにすれば、スピーカの振動板以外からの不要な音響放射を防ぐことができると期待される。しかしながらこの先行技術では、座椅子に装着する椅子カバーにスピーカを埋込むことになるので、図4に示すような車両1の車室2に適用しようとすると、座席毎にスピーカを配置しなければならない。
【0007】
本発明の目的は、不要な音響信号を発生しない車載用スピーカおよびその取付構造を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、音響を発生する音響出力部分を有するスピーカユニットと、
前記スピーカユニットを保持するスピーカボックスと、
前記スピーカボックスの周囲に介在し、前記音響出力部分を除いて前記スピーカユニットを覆う緩衝材と、
前記緩衝材を押圧して、前記スピーカボックスを車体の壁面材に前記音響出力部分が車室に臨んだ状態で保持する保持部材とを含み、
前記スピーカボックスは、前記壁面材または保持部材に形成された開口部に前記音響出力部分が臨むように、前記壁面材に保持されることを特徴とする車載用スピーカの取付構造である。
【0009】
本発明に従えば、スピーカユニットが装着されるスピーカボックスは、緩衝材で覆われ、保持部材で緩衝材が押圧された状態で前記スピーカボックスが車体の壁面材に音響出力が車室に臨むようにして保持される。スピーカボックスで車室内に音響出力を行う部分を除く部分は、前記保持部材によって押圧された状態にある緩衝材で覆われて保持されるので、スピーカユニットが空気に対して音響出力する際の反力が与えられて振動等が生じても、振動等による音響は緩衝材で減衰され、スピーカユニットの音響出力部分から出力される音響には含まれなくなって、再生音の音質を向上させることができる。
【0010】
また本発明で、前記スピーカボックスの少なくとも一部は、壁面材車室に臨んで開口して設けられる凹所に収納され、
前記緩衝材は、前記凹所内でスピーカボックスの周囲に充填され、
前記保持部材は、車側か前記緩衝材を押圧することを特徴とする。
【0011】
本発明に従えば、車体壁面材に形成される凹所を利用して、緩衝材で覆われるスピーカボックススピーカユニットが装着された状態で前記壁面材に取付けることができる。凹所内のスピーカボックスの周囲には緩衝材が充填され、凹所車室側に臨む開口部分は保持部材が緩衝材を押圧するので、スピーカボックススピーカユニットから車室に音響出力可能な状態で、不要な音響を発生しない状態で確実に固定することができる。
【0014】
また本発明で、前記スピーカユニットの音響出力部分による音響再生は、音声の主要成分が含まれる中音域の周波数帯、または該中音域の周波数帯よりも高い高音域の周波数帯で行うことを特徴とする。
【0015】
本発明に従えば、音響再生を、音声の主要成分が含まれる中音域の周波数帯域や、さらに高い周波数帯域である高音域で行うので、中音や高音の再生を高音質で行うことができる。中音や高音の周波数帯域を再生する車載用スピーカは、スピーカボックスとして必要な内容積が小さくなるので、緩衝材の使用量を少なくし、保持部材を小型にして、コスト低減を図ることができる。
さらに本発明は、音響を発生する音響出力部分を有するスピーカユニットと、
前記スピーカユニットが装着されたスピーカボックスと、
前記スピーカユニットの音響出力部分を除いて前記スピーカボックスの周囲を覆う緩衝材と、
前記緩衝材を押圧して、前記スピーカボックスを車体の壁面材に保持する保持部材とを含み、
前記スピーカボックスは、前記壁面材または保持部材に形成された開口部に前記音響出力部分が臨むように、前記壁面材に保持されることを特徴とする車載用スピーカである。
本発明に従えば、スピーカユニットが装着されたスピーカボックスは、スピーカユニットの音響出力部分を除く部分は、緩衝材で覆われるので、スピーカが空気に対して音響出力する際の反力が与えられて振動等が生じても、振動等による音響は緩衝材で減衰され、スピーカから出力される音響には含まれなくなって、再生音の音質を向上させることができる。
また本発明で、前記スピーカユニットの音響出力部分による音響再生は、音声の主要部分が含まれる中音域の周波数帯、または該中音域の周波数帯よりも高い高音域の周波数帯で行うことを特徴とする。
本発明に従えば、音響再生は、音声の主要成分が含まれる中音域の周波数帯域や、さらに高い周波数帯域である高音域で行うので、中音や高音の再生を高音質で行うことができる。中音や高音の周波数帯域を再生する車載用スピーカは、スピーカボックスとして必要な内容積が小さくなるので、緩衝材の使用量を少なくし、保持部材を小型にして、コスト低減を図ることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の実施の一形態である車載用スピーカ装置21の概略的な取付構造を示す。本実施形態では、車載用スピーカ装置21として、スピーカユニット22をスピーカボックス23内に装着した状態を使用する。スピーカボックス23は、たとえば車両の車体の内装材や、車体の外側の側板などの壁面材24の表面に装着される。スピーカボックス23の周囲は、スピーカユニット22からの音響出力が導出される部分を除いて、フェルト等の振動吸収体で形成される緩衝材25で覆われる。これによって、たとえばスピーカボックス23の背面側には、壁面材24との間に、緩衝材25が介在することになる。スピーカボックス23の壁面材24への固定は、保持部材26によって車室27内側から行われる。保持部材26は、車室27に臨む内装材や意匠部品であり、美観に留意して合成樹脂材料などで形成される。保持部材26でスピーカボックス23から音響出力が導出される部分には開口部28が設けられ、車室27への音響出力を損わないようにしている。ただし、通気性のあるネットや、目の粗い布、グリルなどで開口部28を覆う場合もある。保持部材25の周囲は、ボルト29で壁面材24に固定される。ボルト29の固定は、ナットを用いたり、壁面材24に雌ねじを形成して行うことができる。
【0017】
スピーカユニット22が通常のコーン振動板やドーム振動板など、振動板から直接音響放射を行う形式であれば、スピーカボックス23からの音響放射は、スピーカユニット22の取付部前面から行われる。振動板からホーンに音響出力を導く形式であれば、ホーンの開口部から音響放射が行われる。スピーカボックス23にバスレフポートなどが設けられていれば、バスレフポートなどからも音響放射が行われる。緩衝材25は、これらの音響放射部分を除いて、スピーカボックス23を覆うようにする。
【0018】
高音用のスピーカユニット22では、スピーカボックス23を使用しないで、スピーカユニット22を直接緩衝材25で覆って取付けることもできる。高音再生時には、スピーカユニット22のフレームの背面側が閉じていても、バックキャビティが充分確保される(高音の場合、小さい容積で充分である)からである。
【0019】
図2は、本発明の実施の他の形態である車載用スピーカ31の概略的な取付構造を示す。本実施形態で図1の実施形態に対応する部分には同一の参照符を付し、重複する説明を省略する。本実施形態では、スピーカボックス23を車体の内装材や側板などの壁面材34に設けられる凹所34aを利用して固定する。凹所34aの大きさは、スピーカボックス23より大きく、スピーカボックス23の周囲には緩衝材35を充填することができるようにしておく。緩衝材35は、図1の緩衝材25と同等のものを使用する。ただし、凹所34aの深さは、必ずしもスピーカボックス23の全体を収納しうる必要はない。凹所34aの車室27側から、内装材や意匠部品としての保持部材36で緩衝材35を押圧し、スピーカボックス23を固定する。保持部材36で、スピーカボックス23からの音響出力が発生される部分に臨む部分は、開口部38として開口している。
【0020】
本実施形態で、凹所34aがスピーカボックス23の全体を収納しうる深さを有していれば、平坦な保持部材36で覆い、車載用スピーカ31が車室27側に突出しないようにすることができる。したがって、たとえば高音用の小型の車載用スピーカ31を、図4に示すようなインスツルメントパネル6などに埋込み、車室27には突出させないで、再生音質の改善も図ることができる。
【0021】
図3は、本発明の実施のさらに他の形態である車載用スピーカ41の概略的な取付構造を示す。本実施形態で図1の実施形態に対応する部分には同一の参照符を付し、重複する説明を省略する。本実施形態では、スピーカボックス23を車体の内装材などの壁面材44の背後側に装着する。スピーカボックス23の周囲は緩衝材45で覆う。緩衝材45は、図1の緩衝材25と同等のものを使用する。緩衝材45の背後側から保持部材46で押圧し、緩衝材45を介して、スピーカボックス23を壁面材44の車室27外部に固定する。壁面材44には、スピーカボックス23からの音響出力が発生される部分に臨む部分は、開口部48として開口している。本実施形態でも、車室27には、突出部分が無いようにすることができる。
【0022】
以上説明した各実施形態で、車載用スピーカ21,31,41は、音響再生部分を除いて全体を緩衝材25,35,45でそれぞれ覆われ、保持部材26,36,46によって緩衝材25,35,45が押圧されて、壁面材24,34,44にそれぞれ固定される車載用スピーカの取付構造が実現される。車載用スピーカ21,31,41で車室27内に音響再生を行う部分を除く部分は、緩衝材25,35,45で覆われるので、スピーカユニット22が空気に対して音響再生する際の反力が与えられて振動等が生じても、振動等による音響出力は緩衝材25,35,45で減衰され、再生される音響出力には含まれなくなって、再生音の音質を向上させることができる。
【0023】
また各実施形態では、音響再生を、音声の主要成分が含まれる中音域の周波数帯、または該中音域の周波数帯よりも高い高音域の周波数帯で行うことが好ましい。音響再生を、音声の主要成分が含まれる中音域の周波数帯域や、さらに高い周波数帯域である高音域で行えば、ボーカルの音質を改善することができるばかりではなく、スピーカボックス23として必要な内容積が小さくなるので、緩衝材25,35,45の使用量を少なくし、保持部材26,36,46を小型にして、コスト低減を図ることができる。
【0024】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、スピーカユニットが装着されたスピーカボックスは、車室内に音響出力部分を除く全体が緩衝材で覆われるので、スピーカボックスに音響出力する際の反力が与えられて振動等が生じても、振動等による音響を緩衝材で減衰させ、スピーカユニットから出力される音響には含まれなくして、再生音の音質を向上させることができる。
【0025】
また本発明によれば、車体の凹所内の車載用スピーカの周囲には緩衝材が充填され、この緩衝材が保持部材によって車室側から押圧されるので、凹所の開口部分に保持部材が存在し、スピーカボックスを確実に保持することができる。
【0027】
また本発明によれば、中音や高音の再生を高音質で行うことができ、緩衝材の使用量を少なくし、保持部材を小型にして、コスト低減を図ることができる。
さらに本発明によれば、スピーカボックスがスピーカユニットの音響放射部分を除いて緩衝材で覆われるので、スピーカボックスが空気に対して音響再生する際の反力が与えられて振動等が生じても、振動等による音響出力を緩衝材で減衰させ、車載用スピーカから再生される音響出力には含まれなくして、再生音の音質を向上させることができる。
また本発明によれば、音声の主要部分が含まれる中音や高音の再生を高音質で行うことができ、緩衝材の使用量を少なくし、保持部材を小型にして、コスト低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態である車載用スピーカ21の取付構造の概要を示す簡略化した断面図である。
【図2】本発明の実施の他の形態である車載用スピーカ31の取付構造の概要を示す簡略化した断面図である。
【図3】本発明の実施のさらに他の形態である車載用スピーカ41の取付構造の概要を示す簡略化した断面図である。
【図4】従来からの車載用スピーカの車両への配置を示す簡略化した平面図である。
【図5】従来からの車載用スピーカの取付構造を示す簡略化した断面図である。
【符号の説明】
21,31,41 車載用スピーカ
22 スピーカユニット
23 スピーカボックス
24,34,44 壁面材
25,35,45 緩衝材
26,36,46 保持部材
27 車室
28,38,48 開口部
29 ボルト
34a 凹所

Claims (5)

  1. 音響を発生する音響出力部分を有するスピーカユニットと、
    前記スピーカユニットを保持するスピーカボックスと、
    前記スピーカボックスの周囲に介在し、前記音響出力部分を除いて前記スピーカユニットを覆う緩衝材と、
    前記緩衝材を押圧して、前記スピーカボックスを車体の壁面材に前記音響出力部分が車室に臨んだ状態で保持する保持部材とを含み、
    前記スピーカボックスは、前記壁面材または保持部材に形成された開口部に前記音響出力部分が臨むように、前記壁面材に保持されることを特徴とする車載用スピーカの取付構造。
  2. 前記スピーカボックスの少なくとも一部は、壁面材に車室に臨んで開口して設けられる凹所に収納され、
    前記緩衝材は、前記凹所内でスピーカボックスの周囲に充填され、
    前記保持部材は、車室側から前記緩衝材を押圧することを特徴とする請求項1記載の車載用スピーカの取付構造。
  3. 前記スピーカユニットの音響出力部分による音響再生は、音声の主要成分が含まれる中音域の周波数帯、または該中音域の周波数帯よりも高い高音域の周波数帯で行うことを特徴とする請求項1または2記載の車載用スピーカの取付構造。
  4. 音響を発生する音響出力部分を有するスピーカユニットと、
    前記スピーカユニットが装着されたスピーカボックスと、
    前記スピーカユニットの音響出力部分を除いて前記スピーカボックスの周囲を覆う緩衝材と、
    前記緩衝材を押圧して、前記スピーカボックスを車体の壁面材に保持する保持部材とを含み、
    前記スピーカボックスは、前記壁面材または保持部材に形成された開口部に前記音響出力部分が臨むように、前記壁面材に保持されることを特徴とする車載用スピーカ。
  5. 前記スピーカユニットの音響出力部分による音響再生は、音声の主要部分が含まれる中音域の周波数帯、または該中音域の周波数帯よりも高い高音域の周波数帯で行うことを特徴とする請求項4記載の車載用スピーカ。
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