JP4169620B2 - 冷媒サイクル装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ロータリコンプレッサから吐出された冷媒中のオイルを分離して密閉容器内に戻すためのオイル分離器を備えた冷媒サイクル装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年地球環境問題に対応するためにカーエアコンなどの空調機器の冷媒サイクル装置に冷媒として二酸化炭素(CO2)が用いられてきている(特許文献1参照)。そして、係る冷媒サイクル装置では例えば内部中間圧型多段(二段)圧縮式のロータリコンプレッサが使用される。このロータリコンプレッサは、密閉容器内に駆動要素と回転圧縮機構部を備え、この回転圧縮機構部を構成する第1の回転圧縮要素の吸込ポートからガス冷媒がシリンダの低圧室側に吸入され、ローラとベーンの動作により圧縮されて中間圧となり、シリンダの高圧室側より吐出ポート、吐出消音室を経て密閉容器内に吐出される。
【0003】
そして、この密閉容器内の中間圧のガス冷媒は第2の回転圧縮要素の吸込ポートからシリンダの低圧室側に吸入され、ローラとベーンの動作により2段目の圧縮が行われて高温高圧のガス冷媒となり、高圧室側より吐出ポート、吐出消音室を経て冷媒吐出管より外部に吐出されるものであった。
【0004】
このロータリコンプレッサから吐出されたガス冷媒は冷媒回路のガスクーラに流入して放熱した後、膨張弁で絞られて蒸発器(エバポレータ)で蒸発し、ロータリコンプレッサの第1の回転圧縮要素に吸入される冷媒サイクルを繰り返す。
【0005】
【特許文献1】
特開平2−294587号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ここで、このようなロータリコンプレッサを備えた冷媒サイクル装置では第2の回転圧縮要素から吐出されたガス冷媒はそのまま外部の熱交換器に吐出されるため、冷媒回路へのオイルの流出が多くなる。係るオイル吐出量が多くなると、冷媒回路の冷媒循環に支障を来すと共に、ロータリコンプレッサ内のオイルレベルも低下し、摺動性能やシール性が低下してしまう問題がある。また、この問題は係る内部中間圧型のロータリコンプレッサに限らず、密閉容器内に吸い込んだ冷媒を回転圧縮要素で圧縮し、外部に吐出する内部低圧型のロータリコンプレッサでも同様に生じる。
【0007】
そこで、従来よりロータリコンプレッサから出た冷媒吐出管にオイル分離器を接続して吐出ガス冷媒からオイルを分離し、オイル戻し管を介して密閉容器内に戻す工夫が成されているが、オイル分離器内は高圧となるため、それより低い中間圧或いは低圧の密閉容器内にオイルを戻すために圧力調整が必要となる。そのため、従来ではオイル戻し管に通常キャピラリチューブを設けていたが、駆動要素の回転数が低くなってオイル吐出量が少なくなると、オイル戻し管内にオイルが無くなり、このオイル戻し管を介して冷媒サイクル装置の高圧側と中間圧側(低圧側)とが連通され、バイパスされてしまう。これによって著しい効率の低下が発生する。
【0008】
一方、駆動要素の回転数が高くなってオイル吐出量が多くなると、今度はオイル戻り量が不足してオイルレベルが低下し、オイル枯渇が生じて摺動性能やシール性の低下が生じる問題があった。
【0009】
本発明は、係る従来の技術的課題を解決するために成されたものであり、ロータリコンプレッサへのオイル戻しを的確に行うことができる冷媒サイクル装置を提供するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明では、密閉容器内に駆動要素と該駆動要素にて駆動される回転圧縮機構部とを備えたロータリコンプレッサと、該ロータリコンプレッサから吐出された冷媒中のオイルを分離し、オイル戻し管を介して密閉容器内に戻すためのオイル分離器とを備えた冷媒サイクル装置において、オイル戻し管に設けられた電動膨張弁と、この電動膨張弁の開度を制御する制御装置を備え、制御装置は、電動膨張弁の開度を駆動要素の回転数の二乗に比例して制御すると共に、回転数が低くなると、オイル戻し管から密閉容器内に帰還するオイル量を少なくし、回転数が高くなると、オイル戻し管から密閉容器内に帰還するオイル量を多くするので、駆動要素の回転数が高い状態における密閉容器内のオイル枯渇を防止できるようになる。
【0011】
請求項2の発明では、密閉容器内に駆動要素と該駆動要素にて駆動される回転圧縮機構部とを備えたロータリコンプレッサと、該ロータリコンプレッサから吐出された冷媒中のオイルを分離し、オイル戻し管を介して密閉容器内に戻すためのオイル分離器とを備えた冷媒サイクル装置において、オイル戻し管に設けられた電磁弁と、この電磁弁の開時間若しくは開回数を制御する制御装置を備え、制御装置は、電磁弁の開時間若しくは開回数を駆動要素の回転数の二乗に比例して制御すると共に、回転数が低くなると、オイル戻し管から密閉容器内に帰還するオイル量を少なくし、回転数が高くなると、オイル戻し管から前記密閉容器内に帰還するオイル量を多くするので、駆動要素の回転数が高い状態における密閉容器内のオイル枯渇を防止できるようになる。
【0012】
これらにより、常時最適なオイル戻しを実現できるようになり、ロータリコンプレッサの信頼性の向上と性能及び効率の著しい改善を図ることが可能となるものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
次に、図面に基づき本発明の実施形態を詳述する。図1は本発明を適用した冷媒サイクル装置1に使用されるロータリコンプレッサの実施例としての内部中間圧型多段(二段)圧縮式のロータリコンプレッサ10の縦断面図、図2は本発明の冷媒サイクル装置1の冷媒回路図をそれぞれ示している。尚、実施例の冷媒サイクル装置1は高圧側が超臨界となる遷臨界冷媒サイクルである。
【0014】
図中10は二酸化炭素(CO2)を冷媒として使用する内部中間圧型多段(二段)圧縮式のロータリコンプレッサで、このロータリコンプレッサ10は鋼板からなる円筒状の密閉容器12と、この密閉容器12の内部空間の上側に配置収納された駆動要素14及びこの駆動要素14の下側に配置され、駆動要素14の回転軸16により駆動される第1の回転圧縮要素32(1段目)及び第2の回転圧縮要素34(2段目)からなる回転圧縮機構部18にて構成されている。
【0015】
密閉容器12は、底部をオイル溜めTとし、駆動要素14と回転圧縮機構部18を収納する容器本体12Aと、この容器本体12Aの上部開口を閉塞する略椀状のエンドキャップ(蓋体)12Bとで構成されている。このエンドキャップ12Bの上面中心には円形の取付孔12Dが形成されており、この取付孔12Dには駆動要素14に電力を供給するためのターミナル(配線を省略)20が取り付けられている。
【0016】
エンドキャップ12Bのターミナル20周囲には、座押成形によって所定曲率の段差部12Cが環状に形成されている。また、ターミナル20は端子139、139が貫通して取り付けられた円形のガラス部20Aと、このガラス部20Aの周囲に形成され、斜め外下方に鍔状に張り出した金属製の取付部20Bとから構成されている。そして、ターミナル20は、そのガラス部20Aを下側から取付孔12Dに挿入して上側に臨ませ、取付部20Bを取付孔12Dの周縁に当接させた状態でエンドキャップ12Bの取付孔12D周縁に取付部20Bを溶接することで、エンドキャップ12Bに固定されている。
【0017】
駆動要素14は、密閉容器12の上部空間の内周面に沿って環状に取り付けられたステータ22と、このステータ22の内側に若干の間隙を設けて挿入配置されたロータ24とから構成されている。このロータ24は中心を通り鉛直方向に延びる回転軸16に固定されている。
【0018】
ステータ22は、ドーナッツ状の電磁鋼板を積層した積層体26と、この積層体26に形成された図示しない歯部に直巻き(集中巻き)方式により巻装されたステータコイル28を有している。また、ロータ24もステータ22と同様に電磁鋼板の積層体30で形成され、この積層体30内に永久磁石MGを挿入して構成されている。
【0019】
前記第1の回転圧縮要素32と第2の回転圧縮要素34との間には中間仕切板36が挟持されている。即ち、第2の回転圧縮要素34と第1の回転圧縮要素34は、中間仕切板36と、この中間仕切板36の上下に配置されたシリンダ38、シリンダ40と、この上下シリンダ38、40内を180度の位相差を有して回転軸16に設けられた上下偏心部42、44に嵌合されて偏心回転する上下ローラ46、48と、この上下ローラ46、48に当接して上下シリンダ38、40内をそれぞれ低圧室側と高圧室側に区画する後述する上下ベーン(図示せず)と、上シリンダ38の上側(駆動要素14側)の開口面及び下シリンダ40の下側(駆動要素14とは反対側)の開口面を閉塞して回転軸16の軸受けを兼用する支持部材としての上部支持部材54及び下部支持部材56にて構成される。
【0020】
上部支持部材54および下部支持部材56には、吸込ポート161、162にて上下シリンダ38、40の内部とそれぞれ連通する吸込通路58、60と、凹陥した吐出消音室62、64が形成されると共に、これら両吐出消音室62、64の開口部はそれぞれカバーにより閉塞される。即ち、吐出消音室62はカバーとしての上部カバー66、吐出消音室64はカバーとしての下部カバー68にて閉塞される。
【0021】
この場合、上部支持部材54の中央には駆動要素14方向に突出する長軸受けとなる軸受け54Aが起立形成されており、この軸受け54A内面には筒状のブッシュ122が装着されている。このブッシュ122は、回転軸16と軸受け54A間に介在し、当該ブッシュ122の内面が回転軸16に摺動自在に接触している。ブッシュ122は給油が不十分な状況でも良好な摺動性を保持できる耐摩耗性の高いカーボン材料にて構成されている。
【0022】
また、下部支持部材56の中央には軸受け54Aと比較して短軸受けとなる軸受け56Aが貫通形成されており、この軸受け56A内面にもブッシュ122同様のブッシュ124が装着されている。このブッシュ124も、回転軸16と軸受け56A間に介在し、当該ブッシュ124の内面が回転軸16に摺動自在に接触している。これにより、回転軸16は、回転圧縮機構部18の駆動要素14側(上側)ではブッシュ122を介して上部支持部材54の軸受け54Aに保持され、駆動要素14と反対側(下側)はブッシュ124を介して下部支持部材56の軸受け56Aに保持される。
【0023】
下部カバー68は、ドーナッツ状の円形鋼板から構成されており、周辺部の4カ所を主ボルト129・・・によって下から下部支持部材56に固定され、第1の回転圧縮要素32の下シリンダ40内部と連通する吐出消音室64の下面開口部を閉塞する。この主ボルト129・・・の先端は上部支持部材54に螺合する。
【0024】
尚、吐出消音室64と密閉容器12内における上部カバー66の駆動要素14側は、上下シリンダ38、40や中間仕切板36を貫通する孔である図示しない連通路にて連通されている。この連通路の上端には中間吐出管121が立設されており、この中間吐出管121は上方の駆動要素14のステータ22に巻装された相隣接するステータコイル28、28間の隙間に指向している。
【0025】
また、上部カバー66は第2の回転圧縮要素34の上シリンダ38内部と連通する吐出消音室62の上面開口部を閉塞し、密閉容器12内を吐出消音室62と駆動要素14側とに仕切る。この上部カバー66は周辺部が4本の主ボルト78・・・により、上から上部支持部材54に固定されている。この主ボルト78・・・の先端は下部支持部材56に螺合する。
【0026】
次に、上シリンダ38の下側の開口面及び下シリンダ40の上側の開口面を閉塞する中間仕切板36内には、上シリンダ38内の吸込側に対応する位置に、外周面から内周面に至り、外周面と内周面とを連通して給油路を構成する貫通孔131が穿設されており、この貫通孔131の外周面側に封止材132を圧入して外周面側の開口を封止している。また、この貫通孔131の中途部には上側に延在する連通孔133が穿設されている。
【0027】
一方、上シリンダ38の吸込ポート161(吸込側)には中間仕切板36の連通孔133に連通する連通孔134が穿設されている。また、回転軸16内には軸中心に鉛直方向に設けられたオイル孔(図示せず)と、このオイル孔に連通する横方向の給油孔82、84が形成されており(図示しないが回転軸16の上下偏心部42、44にも給油孔が形成されている)、中間仕切板36の貫通孔131の内周面側の開口は、これらの給油孔82、84を介して前記オイル孔に連通している。
【0028】
そして、密閉容器12内は後述する如く中間圧となるため、2段目で高圧となる上シリンダ38内にはオイルの供給が困難となるが、中間仕切板36を係る構成としたことにより、密閉容器12内底部のオイル溜めTから汲み上げられたオイルは、前記オイル孔を上昇して給油孔82、84から出て中間仕切板36の貫通孔131に入り、連通孔133、134から上シリンダ38の吸込側(吸込ポート161)に供給される。
【0029】
ところで、回転軸16と一体に180度の位相差を持って形成される上下偏心部42、44の相互間を連結する連結部90は、その断面形状を回転軸16の円形断面より断面積を大きくして剛性を持たせるために非円形状の例えばラグビーボール状とされている。即ち、回転軸16に設けた上下偏心部42、44を連結する連結部90の断面形状は上下偏心部42、44の偏心方向に直交する方向でその肉厚を大きくしている。
【0030】
これにより、回転軸16に一体に設けられた上下偏心部42、44を連結する連結部90の断面積を大きくし、断面2次モーメントを増加させて強度(剛性)を増し、耐久性と信頼性を向上させている。特に、使用圧力の高い冷媒を2段圧縮する場合、高低圧の圧力差が大きくなるために回転軸16にかかる荷重も大きくなるが、連結部90の断面積を大きくしてその強度(剛性)を増しているので、回転軸16が弾性変形してしまうのを防止できる。
【0031】
そして、このロータリコンプレッサ10には冷媒としては地球環境にやさしく、可燃性および毒性等を考慮して自然冷媒である前記二酸化炭素(CO2)を使用し、潤滑油としてのオイルは、例えば鉱物油(ミネラルオイル)、アルキルベンゼン油、エーテル油、エステル油等既存のオイルが使用される。
【0032】
密閉容器12の側面(容器本体12Aの側面)には、上部支持部材54と下部支持部材56の吸込通路58、60、吐出消音室62及び上部カバー66の上側(駆動要素14の下端に略対応する位置)に対応する位置に、スリーブ141、142、143及び144がそれぞれ溶接固定されている。スリーブ141と142は上下に隣接すると共に、スリーブ143はスリーブ141の略対角線上にある。また、スリーブ144はスリーブ141と略90度ずれた位置にある。
【0033】
そして、スリーブ141内には上シリンダ38にガス冷媒を導入するための冷媒導入管92の一端が挿入接続され、この冷媒導入管92の一端は上シリンダ38の吸込通路58に連通される。この冷媒導入管92は密閉容器12の外側を通過してスリーブ144に至り、他端はスリーブ144内に挿入接続されて密閉容器12内に連通する。
【0034】
また、スリーブ142内には下シリンダ40にガス冷媒を導入するための冷媒導入管94の一端が挿入接続され、この冷媒導入管94の一端は下シリンダ40の吸込通路60に連通される。また、スリーブ143内には冷媒吐出管96が挿入接続され、この冷媒吐出管96の一端は吐出消音室62に連通される。容器本体12Aの側面となる冷媒吐出管96と駆動要素14との間には後述するオイル戻し管190の一端が溶接固定されて密閉容器12内に開口し、他端は後述するオイル冷却通路184出口に溶接固定され、連通している。
【0035】
また、スリーブ141、143、144の外面周囲には配管接続用のカプラが係合可能な鍔部151(スリーブ144の鍔部は図示せず)が形成されており、スリーブ142の外面には配管接続用のネジ溝152が形成されている。これにより、スリーブ141、143、144にはロータリコンプレッサ10の製造工程における完成検査で気密試験を行う場合に試験用配管の図示しないカプラを鍔部151に容易に接続できるようになると共に、スリーブ142にはネジ溝152を使用して試験用配管を容易にネジ止めできるようになる。特に、上下で隣接するスリーブ141と142は、一方のスリーブ141に鍔部151が、他方のスリーブ142にネジ溝152が形成されていることで、狭い空間で試験用配管を各スリーブ141、142に接続可能となる。
【0036】
そして、上記ロータリコンプレッサ10は、例えば図2に示すような冷蔵庫、ルームエアコン、カーエアコン、パッケージエアコンなどの冷媒サイクル装置1の冷媒回路の一部を構成する。即ち、ロータリコンプレッサ10の冷媒吐出管96はオイル分離器170に接続され、このオイル分離器170の冷媒出口はガスクーラ154の入口に接続される。このガスクーラ154の出口側の配管153は減圧装置としての膨張弁156を経て蒸発器(エバポレータ)157の入口に至り、蒸発器157の出口は冷媒導入管94に接続される。
【0037】
オイル分離器170のオイル出口にはオイル戻し管190の一端が接続されている。このオイル戻し管190には流路制御装置としての電動膨張弁172が接続されており、オイル戻し管190の他端は密閉容器12内に連通接続されている。また、171は制御装置としてインバータを有するコントローラであり、このコントローラ171はインバータを用いてロータリコンプレッサ10の駆動要素14の回転数(運転周波数)を制御する。また、コントローラ171はこの駆動要素14の回転数(運転周波数)を用いて後述する如く電動膨張弁172の弁開度を制御する。
【0038】
以上の構成で、次に冷媒サイクル装置1の動作を説明する。コントローラ171によりロータリコンプレッサ2の駆動要素14に通電され、それによって第1及び第2の回転圧縮要素52、53が駆動されると、ロータリコンプレッサ10からは前述した如く二段圧縮され、超臨界圧力となったガス冷媒(CO2)が冷媒吐出管96内に吐出される。吐出されたガス冷媒は冷媒吐出管96からオイル分離器170に入り、そこで冷媒中に混入したオイルが分離され、オイル分離器170内底部に溜まる。
【0039】
このオイル分離器170でオイルが分離された高温高圧のガス冷媒は、ガスクーラ154に流入して空冷される(ここで加熱作用を発揮)がこの時点では冷媒は依然超臨界域にあり、凝縮しない。ガスクーラ154内で所定の温度に冷却された冷媒は、配管153から膨張弁156に入り、そこで減圧される過程で凝縮する。液化した冷媒はその後蒸発器157に入り、そこで蒸発して冷却作用を発揮する。蒸発器157を出た冷媒はその後、ロータリコンプレッサ10の第1の回転圧縮要素32に吸入されるサイクルを繰り返す。
【0040】
一方、オイル分離器170で分離されたオイルはオイル戻し管190に入り、電動膨張弁172を経て密閉容器12内に帰還する。ここで、コントローラ171による電動膨張弁172の弁開度制御を図3に基づいて説明する。
【0041】
コントローラ171は前記蒸発器157にて要求される冷却能力或いはガスクーラ154にて要求される加熱能力などに基づいてロータリコンプレッサ10の駆動要素14の回転数(運転周波数)を制御している。そして、コントローラ171はこの駆動要素14の回転数(運転周波数)の二乗に比例して電動膨張弁172の弁開度を制御する。図3において横軸Xは駆動要素14の運転周波数(回転数)、縦軸Yは電動膨張弁172の弁開度を示しており、制御に用いる関数はY=F(X2)で表される。
【0042】
これにより、オイル分離器170からオイル戻し管190を介して密閉容器12内に帰還するオイル量は駆動要素14の回転数(運転周波数)の二乗に比例して変化することになる。即ち、駆動要素14の回転数が2倍となると電動膨張弁172の弁開度は2の二乗に比例して拡大され、それによってオイル戻し管190から帰還するオイル量は増量される。また、駆動要素14の回転数が1/2となると電動膨張弁172の弁開度は1/2の二乗に比例して狭められ、それによって帰還オイル量は減少される。
【0043】
ここで、第2の回転圧縮要素34から冷媒吐出管96に吐出されるオイル量は駆動要素14の回転数の二乗に比例して増大することが分かっているが、本発明によれば、駆動要素14の回転数が高いときに多量のオイルを密閉容器12に帰還させることができるので、オイル枯渇が生じなくなる。これにより、係る高回転時における回転圧縮機構部18におけるシール性や摺動性が低下する不都合も回避される。
【0044】
また、駆動要素14の回転数が低くなると第2の回転圧縮要素34からのオイル吐出量もその二乗に比例して少なくなるので、オイル分離器170内に溜まるオイル量も減る。従って、オイル分離器170からオイル戻し管190に入るオイル量も減少する。そして、オイル戻し管190内にオイルが存在しなくなると、オイル分離器170内と密閉容器12内とが連通され、冷媒回路の高圧側と中間圧側とがバイパスされてしまうが、本発明ではコントローラ171が電動膨張弁172の弁開度を狭めて係るバイパス現象の発生を回避する。これにより、冷媒サイクル装置1の効率悪化を防止する。
【0045】
尚、実施例では電動膨張弁172をオイル戻し管190の流路制御装置として用いたが、それに限らず、通常の電磁弁を用いてもよい。その場合には、単位時間当たりに電磁弁が開いている時間や、単位時間当たりに開く回数(一回の開時間は固定)を駆動要素14の回転数の二乗に比例してコントローラ171により制御することになる。
【0046】
また、実施例では内部中間圧型の2段圧縮式ロータリコンプレッサを例にとって説明したが、それに限らず、蒸発器157からの冷媒を密閉容器内に吸い込み、この密閉容器内の低圧冷媒を回転圧縮要素で圧縮して外部に吐出する所謂内部低圧型のロータリコンプレッサにも本発明は有効である。係る内部低圧型のロータリコンプレッサも回転圧縮要素からのオイル吐出が多くなるので、ロータリコンプレッサのオイル枯渇を確実に防止できると共に、高圧となるオイル分離器170内と低圧の密閉容器内とのバイパスを防止して効率の改善も実現できるようになる。
【0047】
【発明の効果】
以上詳述した如く請求項1の発明によれば、密閉容器内に駆動要素と該駆動要素にて駆動される回転圧縮機構部とを備えたロータリコンプレッサと、該ロータリコンプレッサから吐出された冷媒中のオイルを分離し、オイル戻し管を介して密閉容器内に戻すためのオイル分離器とを備えた冷媒サイクル装置において、オイル戻し管に設けられた電動膨張弁と、この電動膨張弁の開度を制御する制御装置を備え、制御装置は、電動膨張弁の開度を駆動要素の回転数の二乗に比例して制御すると共に、回転数が低くなると、オイル戻し管から密閉容器内に帰還するオイル量を少なくし、回転数が高くなると、オイル戻し管から密閉容器内に帰還するオイル量を多くするので、駆動要素の回転数が高い状態における密閉容器内のオイル枯渇を防止できるようになる。
【0048】
請求項2の発明によれば、密閉容器内に駆動要素と該駆動要素にて駆動される回転圧縮機構部とを備えたロータリコンプレッサと、該ロータリコンプレッサから吐出された冷媒中のオイルを分離し、オイル戻し管を介して密閉容器内に戻すためのオイル分離器とを備えた冷媒サイクル装置において、オイル戻し管に設けられた電磁弁と、この電磁弁の開時間若しくは開回数を制御する制御装置を備え、制御装置は、電磁弁の開時間若しくは開回数を駆動要素の回転数の二乗に比例して制御すると共に、回転数が低くなると、オイル戻し管から密閉容器内に帰還するオイル量を少なくし、回転数が高くなると、オイル戻し管から前記密閉容器内に帰還するオイル量を多くするので、駆動要素の回転数が高い状態における密閉容器内のオイル枯渇を防止できるようになる。
【0049】
これらにより、常時最適なオイル戻しを実現できるようになり、ロータリコンプレッサの信頼性の向上と性能及び効率の著しい改善を図ることが可能となるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明を適用した冷媒サイクル装置の一実施例の冷媒回路に使用される内部中間圧型多段(二段)圧縮式のロータリコンプレッサの縦断面図である。
【図2】 本発明の冷媒サイクル装置の一実施例の冷媒回路図である。
【図3】 図2の電動膨張弁の弁開度制御を説明する図である。
【符号の説明】
1 冷媒サイクル装置
10 ロータリコンプレッサ
12 密閉容器
14 駆動要素
18 回転圧縮機構部
32 第1の回転圧縮要素
34 第2の回転圧縮要素
36 中間仕切板
96 冷媒吐出管
154 ガスクーラ
156 膨張弁
157 蒸発器
170 オイル分離器
171 コントローラ(制御装置)
172 電動膨張弁
190 オイル戻し管
Claims (2)
- 密閉容器内に駆動要素と該駆動要素にて駆動される回転圧縮機構部とを備えたロータリコンプレッサと、該ロータリコンプレッサから吐出された冷媒中のオイルを分離し、オイル戻し管を介して前記密閉容器内に戻すためのオイル分離器とを備えた冷媒サイクル装置において、
前記オイル戻し管に設けられた電動膨張弁と、該電動膨張弁の開度を制御する制御装置を備え、
該制御装置は、前記電動膨張弁の開度を前記駆動要素の回転数の二乗に比例して制御すると共に、
該回転数が低くなると、前記オイル戻し管から前記密閉容器内に帰還するオイル量を少なくし、前記回転数が高くなると、該オイル戻し管から前記密閉容器内に帰還するオイル量を多くすることを特徴とする冷媒サイクル装置。 - 密閉容器内に駆動要素と該駆動要素にて駆動される回転圧縮機構部とを備えたロータリコンプレッサと、該ロータリコンプレッサから吐出された冷媒中のオイルを分離し、オイル戻し管を介して前記密閉容器内に戻すためのオイル分離器とを備えた冷媒サイクル装置において、
前記オイル戻し管に設けられた電磁弁と、該電磁弁の開時間若しくは開回数を制御する制御装置を備え、
該制御装置は、前記電磁弁の開時間若しくは開回数を前記駆動要素の回転数の二乗に比例して制御すると共に、
該回転数が低くなると、前記オイル戻し管から前記密閉容器内に帰還するオイル量を少なくし、前記回転数が高くなると、該オイル戻し管から前記密閉容器内に帰還するオイル量を多くすることを特徴とする冷媒サイクル装置。
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