JP4168675B2 - プラズマディスプレイパネル用透明導電性基材およびプラズマディスプレイパネル用透明導電性基材の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、表面に透明導電膜が形成されて、特に、プラズマディスプレイパネルに用いられるプラズマディスプレイパネル用透明導電性基材およびプラズマディスプレイパネル用透明導電性基材の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、大型の薄型平板型カラー表示装置として、ガス放電表示パネルの1種であるプラズマディスプレイパネル(PDP)が注目を集めている。このプラズマディスプレイパネルにおけるディスプレイ用電極として各種透明導電膜が開発されている。透明導電膜は低抵抗であることが望まれ、PDP用電極に用いられる透明導電膜としては、酸化スズを含有する酸化インジウム(ITO)が透明性、導電性及びパターニング性に優れており多用されている。この透明導電膜は、ガラスなどの基板上に作成される。
【0003】
しかしながら、PDP表示装置は表示部分が大面積であるためガラス基板も大面積となり、高価である。
また、ガラス基板上に形成される透明導電膜は、例えばスパッタリング法によって製膜されている。このスパッタリング法は、真空製膜技術であるため低抵抗な透明導電膜が得られるが、ガラス基板が大きくなると装置が非常に大型化し、値段も高額になる他、真空排気にも膨大に時間を費やし、生産性を上げられないというデメリットが大きい。また、ターゲットが高価であり、さらには、数10%使用したら交換が必要であるため使用効率が低いという問題があった。
【0004】
そこで、スパッタリングを用いて作成されたPDP用透明導電膜が低生産性及び高額となるデメリットを克服するために、大気圧又は大気圧近傍の圧力下で放電し、反応性ガスをプラズマ励起し、基材上に透明導電膜を形成する方法(大気圧プラズマ法)が、例えば、特開2000−303175号、特開2001−74906号公報に記載されている。これら公報に開示される大気圧プラズマ法は、対向する電極間に、周波数が0.5kHz〜100kHzであり、かつ、電界の強さが1〜100kV/cmの電界を印加し放電プラズマを発生させるというものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記大気圧プラズマ法は、大気圧の下で透明導電膜を形成するので、生産性に優れ安価で、大面積な透明導電膜が得られるが、導電性が低いため、低抵抗でかつ光透過性が要求されるプラズマディスプレイパネルの用途としては不十分であった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、低抵抗でかつ、光透過性に優れ、また、プラズマディスプレイパネル表示装置を形成したときに良好に表示できるプラズマディスプレイパネル用透明導電性基材およびプラズマディスプレイパネル用透明導電性基材の製造方法を提供することを課題としている。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、基材上に透明導電膜が形成されたプラズマディスプレイパネル用透明導電性基材であって、
前記透明導電膜は、インジウムを主金属成分として錫を含む金属酸化物系透明導電膜であり、大気圧又は大気圧近傍の圧力下で、反応性ガスを放電空間に導入してプラズマ状態とし、前記基材を前記プラズマ状態の反応性ガスに晒すことによって、前記基材上に形成されるもので、前記反応性ガスが、水素、硫化水素及び水から選ばれる還元ガスを含有しており、
さらに、前記透明導電膜は、ダイナミックSIMS測定による水素イオンとインジウム元素イオンのピーク強度比H/Mの深さ方向におけるばらつきが変動係数5%以内であることを特徴とする。
【0016】
ここで、Hは水素イオンのピーク強度であり、Mは主金属元素イオンのピーク強度を示す。
【0019】
請求項2の発明は、請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル用透明導電性基材において、
前記放電空間に印加する電界が、周波数100kHzを越えており、かつ、出力密度が1W/cm2以上であることを特徴とする。
請求項3の発明は、基材上に透明導電膜が形成されたプラズマディスプレイパネル用透明導電性基材の製造方法であって、
大気圧又は大気圧近傍の圧力下で、反応性ガスを放電空間に導入してプラズマ状態とし、前記基材を前記プラズマ状態の反応性ガスに晒すことによって、前記基材上にインジウムを主金属成分として錫を含む金属酸化物系透明導電膜を形成し、
前記反応性ガスが、水素、硫化水素及び水から選ばれる還元ガスを含有しており、
さらに、前記透明導電膜は、ダイナミックSIMS測定による水素イオンとインジウム元素イオンのピーク強度比H/Mの深さ方向におけるばらつきが変動係数5%以内であることを特徴とする。
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
本発明のプラズマディスプレイパネル用透明導電性基材は、基材上に透明導電膜が形成されてなるもので、透明導電膜は、大気圧又は大気圧近傍の圧力下において、対向する電極間に100kHzを越えた高周波電圧で、かつ、1W/cm2以上の電力(出力密度)を供給して放電させることにより、反応性ガスを励起してプラズマ状態とし、基材を、前記プラズマ状態の反応性ガスに晒すことによって形成される。
【0020】
本発明において、透明導電膜とは、一般に工業材料としてよく知られているものであり、可視光(400〜700nm)をほとんど吸収せず透明で、しかも良導体の膜のことである。電気を運ぶ自由荷電体の透過特性が可視光域で高く、透明であり、しかも電気伝導性が高いため、プラズマディスプレイパネル等の透明電極として用いられる。本発明のように、透明導電膜をプラズマディスプレイパネル用として使用する場合には、透明導電膜の膜厚を約100〜130nmとすることが好ましい。
【0021】
透明導電膜としては、SnO2、In2O3、CdO、ZnO2、SnO2:Sb、SnO2:F、ZnO:AL、In2O3:Snなどの金属酸化物膜及びドーパントによる複合酸化物膜がある。
ドーパントによる複合酸化物膜としては、例えば、酸化インジウムにスズをドーピングして得られるITO膜、酸化錫にフッ素をドーピングして得られるFTO膜、In2O3−ZnO系アモルファスからなるIZO膜等が挙げられる。
【0022】
また、基材と透明導電膜との間には、少なくとも1層の中間層が介在していることが好ましい。中間層としては、紫外線硬化性樹脂層や無機酸化物であるシリカ層等が挙げられる。この中間層は、例えば、基材がガラスである場合には、ガラスからアルカリ金属が拡散するのを防止するアルカリバリア層としての作用を持つ。このように、中間層を設けることによって、基材上に直接、透明導電膜を形成する場合に比して透明導電膜の特性を上げることができる。また、この中間層によって基材と透明導電膜との間の密着性を向上させることができる。
中間層には、基材及び透明導電膜と格子定数が近い材料を用いるのが好ましく、基材がガラスであるときには、中間層としてシリカ層を用いると好適である。なお、基材に無アルカリガラスを使用した場合には、上述したアルカリ金属の拡散は生じにくいので中間層を設けなくても良い。
【0023】
本発明において、電極間に印加する高周波電圧の周波数の上限値は、好ましくは150MHz以下である。また、高周波電圧の周波数の下限値としては、好ましくは200kHz以上、さらに好ましくは800kHz以上である。
また、電極間に供給する電力の下限値は、好ましくは1.2W/cm2以上であり、上限値としては、好ましくは50W/cm2以下、さらに好ましくは20W/cm2以下である。なお、放電面積(/cm2)とは、電極において放電が起こる範囲の面積のことを指す。本発明のように、高い周波数で、且つ、高い出力密度でハイパワーの電圧を印加する場合には、片側の電極の放電面の総面積に相当する。この総面積で、前記電極に接続した電源から供給されるトータル電力(W)を割り算すると、出力密度を算出することができる。
【0024】
また、特に大面積において均一な膜厚を得るには、一組の対向する電極に印加するトータル電力は、15kWを越えることが好ましく、より好ましくは30kW以上、さらに好ましくは50kW以上である。発熱の観点からは、300kW以下であることが好ましい。なお、トータル電力は、前記一組の電極に接続された電源から供給される電力(W)に相当する。前記一組の電極に対し、電源が2以上接続されている場合には、これら電源全ての供給電力を足し算した値である。
【0025】
具体的には、後述する図6のプラズマ放電処理装置において、ロール電極21と角柱型の電極群29を一組の対向する電極とし、それに接続された電源50から供給される電力のことになる。なお、図6においては、角柱型の電極29のロール電極21と対向する面を、印加電極側の放電面とすると、この放電面の面積の総和が放電面積となる。電極が図1のような円柱型の電極22のような場合には、円柱型の電極22のロール電極21への投影面積の総和が放電面積となる。
【0026】
また、電極間に印加する高周波電圧は、断続的なパルス波であっても、連続したサイン波であっても構わないが、本発明の効果を高く得るためには、連続したサイン波であることが好ましい。
【0027】
上記述べたようなハイパワーの電界を、大面積に印加することによって、緻密で、膜厚均一性が高く、ムラのない高性能な透明導電膜を、生産効率高く得ることが可能であることを本発明者らは見いだしたものである。本発明者らは、この優れた効果は、上記放電方法をとることにより、高密度プラズマを、大面積にわたって均一に発生させることが可能となったことに起因していると推定している。
本発明においては、大気圧又は大気圧近傍の圧力下において、このようなハイパワーの電界を、大面積の電極に印加しても、均一な放電状態を保つことができる高耐久電極をプラズマ放電処理装置に採用する必要がある。
【0028】
このような電極としては、金属等の導電性母材上の少なくとも放電面に誘電体を被覆したものであることが好ましい。少なくとも対向する印加電極とアース電極のどちらか片側に誘電体を被覆すること、好ましくは、印加電極とアース電極の両方に誘電体を被覆することである。
【0029】
誘電体被覆電極は、金属等の導電性母材と、セラミックスやガラス等の誘電体素材の複合部品であり、供給する電力、特にトータル電力が大きい場合には、誘電体の脆弱な部分から破壊されやすく、安定したプラズマ放電を維持することが難しい。特に、大きい放電面積を有する誘電体被覆電極においては、それが顕著であり、本発明にかかるハイパワーを用いる透明導電膜を形成するためには、それに耐えうる誘電体被覆電極が必要となる。
【0030】
本発明にかかる誘電体被覆電極に用いられる誘電体としては、具体的には、比誘電率が6〜45の無機化合物であることが好ましく、また、このような誘電体としては、アルミナ、窒化珪素等のセラミックス、あるいは、ケイ酸塩系ガラス、ホウ酸塩系ガラス等のガラスライニング材等がある。この中では、後述のセラミックスを溶射したものやガラスライニングにより設けたものが好ましい。特にアルミナを溶射して設けた誘電体が好ましい。
【0031】
誘電体被覆電極において、上述のような大電力に耐える仕様の一つとして、誘電体の空隙率が10体積%以下、好ましくは8体積%以下であることが良い。好ましくは0体積%を越えて5体積%以下である。なお、誘電体の空隙率は、誘電体の厚み方向に貫通性のある空隙率を意味し、水銀ポロシメーターにより測定することができる。誘電体が、低い空隙率を有することにより、高耐久性が達成される。このような空隙を有しつつも空隙率が低い誘電体としては、後述の大気プラズマ法等による高密度、高密着のセラミックス溶射被膜等を挙げることができる。さらに空隙率を下げるためには、封孔処理を行うことが好ましい。
【0032】
また、誘電体被覆電極の他の好ましい仕様としては、誘電体を、溶融法により得られるガラスを用いてガラスライニング法で形成したものである。このときの誘電体は、泡混入量の異なる2層以上の層からなることがより耐久性を高める。前記泡混入量としては、導電性母材に接する最下層が20〜30vol%であり、次層以降が5vol%以下であることが好ましい。泡混入量は、ガラス自体の固有密度と、ガラスライニング層の密度との関係から算出することができる。ガラスへの泡混入量の制御方法としては、もともとガラスの溶融物には泡が混入しているため、脱気を行うが、該脱気度合いを変化させることによって所望の値とできる。このような泡混入量をコントロールし、層状に設けたガラスライニング法による誘電体も、耐久性の高い電極が得られる。また、このときの誘電体層のトータル厚みは0.5mm以上2.0mm以下であり、更に最下層の膜厚が、0.1mm以上あり次層以降のトータル膜厚が0.3mm以上あることが好ましい。
【0033】
また、本発明にかかる誘電体被覆電極において、大電力に耐える他の好ましい仕様としては、耐熱温度が100℃以上であることである。更に好ましくは120℃以上、特に好ましくは150℃以上である。なお、耐熱温度とは、絶縁破壊が発生せず、正常に放電できる状態において耐えられる最も高い温度のことを指す。このような耐熱温度は、上記のセラミックス溶射や、泡混入量の異なる層状のガラスライニングで設けた誘電体を適用したり、下記導電性母材と誘電体の線熱膨張係数の差の範囲内の材料を適宜選択する手段を適宜組み合わせることによって達成可能である。
【0034】
また、本発明にかかる誘電体被覆電極において、別の好ましい仕様としては、誘電体と導電性母材との線熱膨張係数の差が10×10-6/℃以下となる組み合わせのものである。好ましくは8×10-6/℃以下、さらに好ましくは5×10-6/℃以下、さらに好ましくは2×10-6/℃以下である。なお、線熱膨張係数とは、周知の材料特有の物性値である。
線熱膨張係数の差が、この範囲にある導電性母材と誘電体との組み合わせとしては、
(1)導電性母材が純チタンで、誘電体がセラミックス溶射被膜
(2)導電性母材が純チタンで、誘電体がガラスライニング
(3)導電性母材がチタン合金で、誘電体がセラミックス溶射被膜
(4)導電性母材がチタン合金で、誘電体がガラスライニング
(5)導電性母材がステンレスで、誘電体がセラミックス溶射被膜
(6)導電性母材がステンレスで、誘電体がガラスライニング
(7)導電性母材がセラミックス及び鉄の複合材料で、誘電体がセラミックス溶射被膜
(8)導電性母材がセラミックス及び鉄の複合材料で、誘電体がガラスライニング
(9)導電性母材がセラミックス及びアルミの複合材料で、誘電体がセラミックス溶射皮膜
(10)導電性母材がセラミックス及びアルミの複合材料で、誘電体がガラスライニング等がある。線熱膨張係数の差という観点では、上記(1)〜(4)及び(7)〜(10)が好ましい。
【0035】
また、本発明にかかる誘電体被覆電極において、大電力に耐える別の好ましい仕様としては、誘電体の厚みが0.5〜2mmであることである。この膜厚変動は、5%以下であることが望ましく、好ましくは3%以下、さらに好ましくは1%以下である。
上記、導電性母材に対し、セラミックスを誘電体として高密度に、高密着に溶射する方法としては、大気プラズマ溶射法が挙げられる。大気プラズマ溶射法は、セラミックス等の微粉末、ワイヤ等をプラズマ熱源中に投入し、溶融又は半溶融状態の微粒子として被覆対象の母材に吹き付け、皮膜を形成させる技術である。プラズマ熱源とは、分子ガスを高温にし、原子に解離させ、さらにエネルギーを与えて電子を放出させた高温のプラズマガスである。このプラズマガスの噴射速度は大きく、従来のアーク溶射やフレーム溶射に比べて、溶射材料が高速で母材に衝突するため、密着強度が高く、高密度な被膜を得ることができる。詳しくは、特開2000−301655号公報に記載の高温被曝部材に熱遮蔽皮膜を形成する溶射方法を参照することができる。この方法によれば、被覆する誘電体(セラミック溶射膜)の空隙率を10体積%以下、さらには8体積%以下とすることが可能である。
【0036】
誘電体の空隙率をより低減させるためには、セラミックス等の溶射膜に、更に、無機化合物で封孔処理を行うことが好ましい。前記無機化合物としては、金属酸化物が好ましく、この中では特に酸化ケイ素(SiOx)を主成分として含有するものが好ましい。
【0037】
封孔処理の無機化合物は、ゾルゲル反応により硬化して形成したものであることが好ましい。封孔処理の無機化合物が金属酸化物を主成分とするものである場合には、金属アルコキシド等を封孔液として前記セラミック溶射膜上に塗布し、ゾルゲル反応により硬化する。無機化合物がシリカを主成分とするものの場合には、アルコキシシランを封孔液として用いることが好ましい。
ここでゾルゲル反応の促進には、エネルギー処理を用いることが好ましい。エネルギー処理としては、熱硬化(好ましくは200℃以下)や、UV照射などがある。更に封孔処理の仕方として、封孔液を希釈し、コーティングと硬化を逐次で数回繰り返すと、よりいっそう無機質化が向上し、劣化の無い緻密な電極ができる。
【0038】
誘電体被覆電極の金属アルコキシド等を封孔液として、セラミックス溶射膜にコーティングした後、ゾルゲル反応で硬化する封孔処理を行う場合、硬化した後の金属酸化物の含有量は60モル%以上であることが好ましい。封孔液の金属アルコキシドとしてアルコキシシランを用いた場合には、硬化後のSiOx(xは2以下)含有量が60モル%以上であることが好ましい。硬化後のSiOx含有量は、XPSにより誘電体層の断層を分析することにより測定する。
【0039】
また、誘電体被覆電極の誘電体表面を研磨仕上げする等の方法により、電極の表面粗さRmax(JIS B 0601)を10μm以下にすることで、誘電体の厚み及び電極間のギャップを一定に保つことができ、放電状態を安定化できること、更に熱収縮差や残留応力による歪やひび割れを無くし、かつ、高精度で、耐久性を大きく向上させることができる。誘電体表面の研磨仕上げは、少なくとも基材と接する側の誘電体において行われることが好ましい。
【0040】
次に、このような電極を用いたプラズマ放電処理装置について、図1〜図6を参照しながら説明する。図1〜図6のプラズマ放電処理装置は、アース電極であるロール電極と、対向する位置に配置された印加電極である複数の固定電極との間で放電させ、当該電極間に反応性ガスを導入してプラズマ状態とし、前記ロール電極に巻回された長尺フィルム状の基材を前記プラズマ状態の反応性ガスに晒すことによって、薄膜(透明導電膜)を形成するものである。ここでは、基材搬送方向と直交する幅手方向において、電極の長さは、長尺フィルムの長さと同じである。薄膜形成後、長尺フィルムの幅手方向の端部を裁断することを前提として、薄膜を形成する領域が長尺フィルムの幅手の長さより内側で短い場合には、この薄膜を形成する領域の長さを基準として、電極の放電面の同長さが同じか、それ以上であればよい。
【0041】
本発明の透明導電膜を形成するプラズマ放電処理装置としては、これに限定されるものではなく、グロー放電を安定に維持し、透明導電膜を形成するために反応性ガスを励起してプラズマ状態とするものであればよいが、このように基材を電極間に載置し、該電極間に反応性ガスを導入する方法が、放電面積を大きくとることができ、膜厚を均一に、且つ、高性能な透明導電膜を形成することができて好ましい。
【0042】
図1は、本発明の透明導電膜を形成する際に用いられるプラズマ放電処理装置10のプラズマ放電処理容器20の一例を示す概略図であり、本実施の形態においては図2に示すプラズマ放電処理容器20を用いている。
図1において、長尺フィルム状の基材Fは搬送方向(図中、時計回り)に回転するロール電極21に巻回されながら搬送される。固定されている電極22は複数の円筒から構成され、ロール電極21に対向させて設置される。ロール電極21に巻回された基材Fは、ニップローラ23a、23bで押圧され、ガイドローラ24で規制されてプラズマ放電処理容器20によって確保された放電処理空間に搬送され、放電プラズマ処理され、次いで、ガイドローラ25を介して次工程に搬送される。また、仕切板26は前記ニップローラ23bに近接して配置され、基材Fに同伴する空気がプラズマ放電処理容器20内に進入するのを抑制する。
【0043】
この同伴される空気は、プラズマ放電処理容器20内の気体の全体積に対し、1体積%以下に抑えることが好ましく、0.1体積%以下に抑えることがより好ましい。前記ニップローラ23bにより、それを達成することが可能である。
なお、放電プラズマ処理に用いられる混合ガス(放電ガスと反応性ガス)は、給気口27からプラズマ放電処理容器20に導入され、処理後のガスは排気口28から排気される。
【0044】
図2は、上述のように、プラズマ放電処理容器20の他の例を示す概略図であり、図1のプラズマ放電処理容器20では円柱型の固定電極22を用いているのに対し、図2に示すプラズマ放電処理容器20では角柱型電極29を用いている。
図1に示した円柱型の電極22に比べて、図2に示した角柱型の電極29は、放電範囲(放電面積)を広げる効果があるので、本発明の透明導電膜を形成するのに好ましく用いられる。
【0045】
図3は、上述の円筒型のロール電極21の一例を示す概略図、図4は、円筒型の固定電極22の一例を示す概略図、図5は、角柱型の固定電極29の一例を示す概略図である。
【0046】
図3において、アース電極であるロール電極21は、金属等の導電性母材21aに対し、誘電体被覆層として、セラミックスを溶射後、無機化合物の封孔材料を用いて封孔処理したセラミックス被覆処理誘電体21bを被覆した組み合わせで構成されているものである。セラミックス被覆処理誘電体21bを片肉で1mm被覆し、アースに接地してある。また、溶射に用いるセラミックス材としては、アルミナ・窒化珪素等が好ましく用いられるが、この中でもアルミナが加工し易いので、更に好ましく用いられる。
【0047】
又は、誘電体層として、ライニングにより無機材料を設けたライニング処理誘電体であってもよい。ライニング材としては、ケイ酸塩系ガラス、ホウ酸塩系ガラス、リン酸塩系ガラス、ゲルマン酸塩系ガラス、亜テルル酸塩ガラス、アルミン酸塩ガラス、バナジン酸塩ガラス等が好ましく用いられるが、この中でもホウ酸塩系ガラスが加工しやすく特に好ましい。
【0048】
金属等の導電性母材21aとしては、チタン、銀、白金、ステンレス、アルミニウム、鉄等の金属等や、鉄とセラミックスとの複合材料又はアルミニウムとセラミックスとの複合材料が挙げられるが、加工の観点からはステンレスが好ましい。
なお、本実施の形態においては、ロール電極の母材は、冷却水による冷却手段を有するステンレス製ジャケットロール母材を使用している(不図示)。
【0049】
図4及び図5は、印加電極である固定の電極22、電極29であり、上記記載のロール電極21と同様な組み合わせで構成されている。すなわち、中空のステンレスパイプに対し、上記同様の誘電体を被覆し、放電中は冷却水による冷却が行えるようになっている。
【0050】
印加電極に電圧を印加する電源としては、特に限定はないが、パール工業製高周波電源(200kHz)、パール工業製高周波電源(800kHz)、日本電子製高周波電源(13.56MHz)、パール工業製高周波電源(150MHz)等が使用できる。
【0051】
図6は、本発明に用いられるプラズマ放電処理装置10の一例を示す概念図である。
図6において、プラズマ放電処理容器20の部分は図2の記載と同様であるが、更に、ガス発生装置40、電源50、電極冷却ユニット70等が装置構成として配置されている。電極冷却ユニット70の冷却剤としては、蒸留水、油等の絶縁性材料が用いられる。
【0052】
図6に記載の電極21、29は、図3、4、5等に示したものと同様であり、対向する電極間のギャップは、例えば1mm程度に設定される。
上記電極間の距離は、電極の導電性母材に設けた固体誘電体の厚さ、印加電圧の大きさ、プラズマを利用する目的等を考慮して決定される。上記電極の一方に固体誘電体を設けた場合の固体誘電体と電極の最短距離、上記電極の双方に固体誘電体を設けた場合の固体誘電体同士の距離としては、いずれの場合も均一な放電を行う観点から0.5mm〜20mmが好ましく、特に好ましくは1mm±0.5mmである。
前記プラズマ放電処理容器20内にロール電極21、固定電極29を所定位置に配置し、ガス発生装置40で発生させた混合ガスを流量制御して、ガス充填手段41を介して給気口27よりプラズマ放電処理容器20内に入れ、前記プラズマ放電処理容器20内をプラズマ処理に用いる混合ガスで充填し排気口28より排気する。次に電源50により電極21、29に電圧を印加し、ロール電極21はアースに接地し、放電プラズマを発生させる。ここでロール状の元巻き基材60より基材Fを供給し、ガイドローラ24を介して、プラズマ放電処理容器20内の電極間を片面接触(ロール電極21に接触している)の状態で搬送され、基材Fは搬送中に放電プラズマにより表面が製膜され(CVD)、その後にガイドローラ25を介して、次工程に搬送される。ここで、基材Fはロール電極21に接触していない面のみ製膜がなされる。
【0053】
電源50より固定されている電極29に印加される電圧の値は適宜決定されるが、例えば、電圧が10V〜10kV程度で、電源周波数は100kHzを越えて150MHz以下に調整される。ここで電源の印加法に関しては、連続モードと呼ばれる連続サイン波状の連続発振モードとパルスモードと呼ばれるON/OFFを断続的に行う断続発振モードのどちらを採用しても良いが連続モードの方がより緻密で良質な膜が得られる。
【0054】
プラズマ放電処理容器20はパイレックス(R)ガラス製の処理容器等が好ましく用いられるが、電極との絶縁がとれれば金属製を用いることも可能である。例えば、アルミニウム又はステンレスのフレームの内面にポリイミド樹脂等を張り付けても良く、該金属フレームにセラミックス溶射を行い絶縁性をとっても良い。
また、基材が樹脂製である場合、放電プラズマ処理時の基材への影響を最小限に抑制するために、放電プラズマ処理時の基材の温度を常温(15℃〜25℃)〜200℃未満の温度に調整することが好ましく、更に好ましくは常温〜100℃に調整することである。上記の温度範囲に調整する為、必要に応じて電極、基材は冷却手段で冷却しながら放電プラズマ処理される。
【0055】
本発明においては、上記の放電プラズマ処理が大気圧又は大気圧近傍で行われるが、ここで大気圧近傍とは、20kPa〜110kPaの圧力を表すが、本発明に記載の効果を好ましく得るためには、93kPa〜104kPaが好ましい。
【0056】
また、本発明にかかる放電用電極においては、電極の少なくとも基材と接する側のJIS B 0601で規定される表面粗さの最大高さ(Rmax)が10μm以下になるように調整されることが、本発明に記載の効果を得る観点から好ましいが、更に好ましくは、表面粗さの最大値が8μm以下であり、特に好ましくは、7μm以下に調整することであり、このような範囲のRmaxとするためには、表面を研磨処理することが好ましい。
また、JIS B 0601で規定される中心線平均表面粗さ(Ra)は0.5μm以下が好ましく、更に好ましくは0.1μm以下である。
【0057】
なお、上述した図1〜図6に示すプラズマ放電処理装置10は、基材Fがフィルム等のように曲げられることのできる場合に使用される装置であったが、ある程度厚みのある基材L又は硬い基材L、例えばガラスやレンズ等、基材をロール電極に巻回すことが困難な場合には、図7に示すような平行平板型のプラズマ放電処理装置100を使用する。なお、曲げられることのできる基材であっても平行平板型のプラズマ放電処理装置100を使用できる。図7は、平行平板型のプラズマ放電処理装置例を示す概略図である。
【0058】
プラズマ放電処理装置100は、電源110、電極120等から概略構成されており、電極120は、上側平板電極121と下側平板電極122とを備えており、上側平板電極121と下側平板電極122とは上下に対向して配置されている。
上側平板電極121は、複数の略矩形状の平板電極121a,…が左右に対向して配置されて構成されたもので、これら複数の電極121a,…間の隙間がそれぞれガス流路部123,…とされている。つまり、上側平板電極121の上方には、ガス供給部124が設けられており、このガス供給部124から反応性ガスや放電ガスがそれぞれのガス流路部123,…内に送給されて、下側平板電極122との間で噴出される。
下側平板電極122は、アースに接地してあり、基材Lをその表面に装着し、かつ、基材Lをガス流路部123に対して前後方向に往復移動させる。したがって、この下側平板電極122が移動することによって、上側平板電極121と下側平板電極122との間でプラズマ状態とされ、基材Lに製膜が行われる。このように、基材Lが移動することによって、放電面積より大面積の基材Lに対しても、製膜を行うことができる。
【0059】
次に、本発明の透明導電膜を形成するために用いられるガスについて説明する。
本発明の透明導電膜を形成するにあたり、使用するガスは、基本的に、放電ガスと、透明導電膜を形成するためにプラズマ状態となる反応性ガスである。それぞれ混合しても別々に供給しても良い。
【0060】
本発明で用いる反応性ガスには還元ガスが含有されることが好ましい。還元ガスとしては分子内に酸素を含まない、化学的還元性を有する無機ガスである。具体的な例として、水素、及び硫化水素、水などを挙げることができる。特に好ましいのは水素ガスである。還元ガスの量は混合ガスに対して、0.0001〜5.0体積%の範囲で用いることができる。好ましい範囲は、0.001〜3.0体積%である。
【0061】
還元ガスは透明導電膜を形成する反応性ガスに作用し、良好な電気特性を有する透明導電膜を形成させる効果があると考えられる。
【0062】
本発明におけるプラスマ放電空間に導入するガスは実質的に酸素ガスを含まないことが好ましい。実質的に酸素ガスを含まないとは、上記述べたような還元ガスによる良好な電気特性を付与する作用を阻害しないことを意味する。本発明の透明導電膜を形成する方法において酸素ガスの存在は、透明導電膜の電気特性を劣化させる傾向があり、劣化させなければ若干の含有は許容される。実質的に酸素ガスを含まない雰囲気を形成するためには本発明において用いる放電ガスとして高純度ガスを用いることが好適である。
【0063】
反応性ガスは、放電空間に供給されるガスの全量に対し、0.01〜10体積%含有させることが好ましい。透明導電膜の膜厚としては、0.1nm〜1000nmの範囲の透明導電膜が得られる。
【0064】
上記放電ガスとは、周期表の第18属元素、具体的には、ヘリウム、ネオン
、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドン、窒素等が挙げられるが、本発明に記載の効果を得るためには、アルゴン、ヘリウム又は窒素が特に好ましく用いられる。
【0065】
反応性ガスは、放電空間でプラズマ状態となり、透明導電膜を形成する成分を含有するものであり、βジケトン金属錯体、金属アルコキシド、アルキル金属等の有機金属化合物が用いられる。反応性ガスには透明導電膜主成分となる反応性ガスとドーピングを目的に少量用いられる反応性ガスがある。更に、透明導電膜の抵抗値を調整する為に用いる反応性ガスがある。
【0066】
本発明の透明導電膜は高いキャリア移動度を有する特徴をもつ。よく知られているように透明導電膜の電気伝導率は以下の(1)式で表される。
【0067】
σ=neμ (1)
ここで、σは電気伝導率、nはキャリア密度、eは電子の電気量、そしてμはキャリアの移動度である。電気伝導度をあげるためにはキャリア密度あるいはキャリア移動度を向上させる必要があるが、キャリア密度を向上させていくと2×1021cm-3付近から反射率が大きくなるため透明性が失われる。そのため、電気伝導率を向上させるためにはキャリア移動度を向上させる必要がある。市販されているDCマグネトロンスパッタリング法により作成された透明導電膜のキャリア移動度は30cm2/sec・V程度であるが、本発明にかかる透明導電膜の形成方法によれば条件を最適化することによりDCマグネトロンスパッタリング法により形成された透明導電膜を超えるキャリア移動度を有する透明導電膜を形成することが可能であることが判明した。
【0068】
本発明にかかる透明導電膜の形成方法は高いキャリア移動度を有する為、ドーピングなしでも比抵抗値で1×10-3Ω・cm以下の低抵抗な透明導電膜を得ることができる。ドーピングを行いキャリア密度を増加させることで更に抵抗を下げることが可能である。また、必要に応じて抵抗値を上げる反応性ガスを用いることで比抵抗で1×10-2以上の高抵抗の透明導電膜を得ることもできる。
【0069】
本発明の透明導電膜は、キャリア移動度が、10cm2/V・sec以上のものである。
【0070】
また、本発明の透明導電膜は、キャリア密度が、1×1019cm-3以上、より好ましい条件下においては、1×1020cm-3以上となる。
【0071】
また、本発明の透明導電膜は、反応性ガスとして有機金属化合物を用いるため、微量の炭素を含有する場合がある。その場合の炭素含有率は、0〜5.0原子数濃度であることが好ましい。特に好ましくは0.01〜3原子数濃度の範囲内にあることが好ましい。
【0072】
本発明において透明導電膜の主成分に用いられる反応性ガスは、分子内に酸素原子を有する有機金属化合物が好ましい。例えば、インジウムヘキサフルオロペンタンジオネート、インジウムメチル(トリメチル)アセチルアセテート、インジウムアセチルアセトナート、インジウムイソポロポキシド、インジウムトリフルオロペンタンジオネート、トリス(2,2,6,6−テトラメチル3,5−ヘプタンジオネート)インジウム、ジ−n−ブチルビス(2,4−ペンタンジオネート)スズ、ジ−n−ブチルジアセトキシスズ、ジ−t−ブチルジアセトキシスズ、テトライソプロポキシスズ、テトラブトキシスズ、ジンクアセチルアセトナート等を挙げることができる。この中で特に、好ましいのはインジウムアセチルアセトナート、トリス(2,2,6,6−テトラメチル3,5−ヘプタンジオネート)インジウム、ジンクアセチルアセトナート、ジ−n−ブチルジアセトキシスズである。
【0073】
ドーピングに用いられる反応性ガスとしては、例えば、アルミニウムイソプロポキシド、ニッケルアセチルアセトナート、マンガンアセチルアセトナート、ボロンイソプロポキシド、n−ブトキシアンチモン、トリ−n−ブチルアンチモン、ジ−n−ブチルビス(2,4−ペンタンジオネート)スズ、ジ−n−ブチルジアセトキシスズ、ジ−t−ブチルジアセトキシスズ、テトライソプロポキシスズ、テトラブトキシスズ、テトラブチルスズ、ジンクアセチルアセトナート、6フッ化プロピレン、8フッ化シクロブタン、4フッ化メタン等を挙げることができる。
【0074】
透明導電膜の抵抗値を調整する為に用いる反応性ガスとしては、例えば、チタントリイソプロポキシド、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン等を挙げることができる。
【0075】
透明導電膜主成分として用いられる反応性ガスとドーピングを目的に少量用いられる反応性ガスの量比は、成膜する透明導電膜の種類により異なる。例えば、酸化インジウムにスズをドーピングして得られるITO膜においては得られるITO膜のIn/Snの原子数比が100/0.1〜100/15の範囲になるように反応性ガス量を調整する。好ましくは、100/0.5〜100/10の範囲になるよう調整する。In/Snの原子数比はXPS測定により求めることができる。
【0076】
酸化錫にフッ素をドーピングして得られる透明導電膜(FTO膜という)においては、得られたFTO膜のSn/Fの原子数比が100/0.01〜100/50の範囲になるよう反応性ガスの量比を調整する。Sn/Fの原子数比はXPS測定により求めることができる。
【0077】
In2O3−ZnO系アモルファス透明導電膜(IZO膜)においては、In/Znの原子数比が100/50〜100/5の範囲になるよう反応性ガスの量比を調整する。In/Znの原子数比はXPS測定で求めることができる。
【0078】
さらに、上述したように本発明の透明導電膜は、透明導電膜の動的二次イオン質量分析測定を行った場合、透明導電膜中の水素イオンと金属元素イオンのピーク強度比H/Mの深さ方向におけるばらつきが一定以下であることが好ましい。ばらつきは変動係数で表すことが好ましく、変動係数は好ましくは5%以内、より好ましくは3%以内、さらに好ましくは1%以内である。動的二次イオン質量分析(以下装置を含めダイナミックSIMSという)に関しては表面科学会編実用表面分析二次イオン質量分析(2001年、丸善)を参照すれば良い。
【0079】
本発明において好ましいダイナミックSIMS測定の条件は以下の通りである。
装置:Phisical Electronics 社製 ADEPT1010あるいは6300型2次イオン質量分析装置
一次イオン:CS
一次イオンエネルギー:5.0KeV
一次イオン電流:200nA
一次イオン照射面積:600μm角
二次イオン取り込み割合:25%
二次イオン極性:Negative
検出二次イオン種:H−、及び、M−
上記条件で透明導電膜の深さ方向に関してスパッタリングを行いつつ質量分析を行う。得られたデプスプロファイルから水素イオンと主金属元素イオンのピーク強度比H/Mを求める。なお、測定点は100nmに対してH/M比を求めた後、深さ方向の15〜85%についてH/M比の平均と相対標準偏差を求め、相対標準偏差を平均して除して100倍し、H/M比の変動係数すなわちばらつきを求める。
【0080】
なお、本発明におけるH/M比の絶対値は、0.001〜50の間であることが好ましい。より好ましくは0.01〜20の間である。この場合もダイナミックSIMSを用いて深さ方向に関して上記条件で測定した結果を基にH/M比を求め、深さ方向の15〜85%についてH/M比の平均をH/M比と定義する。
【0081】
さらに、本発明における透明導電膜中の水素濃度は0.001〜10原子%が好ましく、より好ましくは0.01〜5原子%が好ましく、より好ましくは0.5〜1原子%が好ましい。水素濃度の評価もダイナミックSIMSで行うことが好ましい。
測定条件は上記の通りである。実際にはまず、基準となる透明導電膜中の水素濃度をラザフォード後方散乱分光法により求め、この基準品のダイナミックSIMS測定を行い、検出される水素イオンの強度を基に相対感度係数を決定し、次いで実際に用いる透明導電膜についてダイナミックSIMS測定を行い、その測定から得られた信号強度と先に求めた相対感度係数を用いて、試料中の水素濃度を算出する。なお、本発明における水素濃度は透明導電膜の全厚さ方向にわたって水素濃度を求める、いわゆるデプスプロファイルを行い、透明導電膜の15〜85%深さの水素濃度の平均を水素濃度と規定する。
【0082】
本発明のダイナミックSIMS測定による水素イオンと主金属元素イオンのピーク強度比H/Mの深さ方向におけるばらつきが変動係数5%以下の透明導電膜を得る方法は、特に限定はされないが、上述したような大気圧プラズマ放電処理による製膜方法をとることができる。すなわち、大気圧又は大気圧近傍の圧力下で、反応性ガスを放電空間に導入してプラズマ状態とし、基材を前記プラズマ状態の反応性ガスに晒すことによって、前記基材上に透明導電膜を形成する透明導電膜形成方法である。好ましくは、前記反応性ガスが、還元ガスを含有すると前記変動係数を5%以下としやすい。また、さらに好ましくは、前記放電空間に印加する電界が、周波数100kHzを越えており、かつ、出力密度が1W/cm2以上とすると、同様に前記変動係数を5%以下としやすい。詳細不明であるが、おそらくこのような還元雰囲気で、かつ、ハイパワーの電界条件が、透明導電膜の均質な製膜に適した条件であって、よって膜厚方向の水素イオンと主金属元素イオンのピーク強度のばらつきを押さえることができているのであろうと推定している。
【0083】
次に、本発明に用いることのできる基材について説明する。
プラズマディスプレイパネル表示装置に使用する基材としては、大面積のものが好ましく、特に、透明導電度を有する主表面が0.1m2以上の面積を有していると、好適にプラズマディスプレイパネル表示装置に使用できる。
また、本発明に用いることができる基材としては、平板状のもの、フィルム状のもの、レンズ状等の立体形状のもの等、透明導電膜をその表面に形成できるものであれば特に限定はない。基材が電極間に載置できるものであれば、電極間に載置することによって、基材が電極間に載置できないものであれば、発生したプラズマを当該基材に吹き付けることによって透明導電膜を形成すればよい。
本発明のプラズマディスプレイパネルに使用する基材としては、例えば、ガラスが好適である。ガラスとしては、高歪点ガラス、無アルカリガラスやソーダライムガラスを用いることができる。特に、高歪点ガラスが好ましく、これは特開平3−40933号、特開平7−257937号、特開平8−165138号公報等に開示されている。
【0084】
また、基材としては、特に限定はないが、大気圧又は大気圧近傍の圧力下であることと、低温のグロー放電であることから、樹脂を好ましく用いることができる。
例えば、本発明のように透明導電膜である場合、基材として好ましくはフィルム状のセルローストリアセテート等のセルロースエステル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスチレン、更にこれらの上にゼラチン、ポリビニルアルコール(PVA)、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、セルロース系樹脂等を塗設したもの等を使用することができる。
【0085】
上記基材としては、具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、セロファン、セルロースジアセテートフィルム、セルロースアセテートブチレートフィルム、セルロースアセテートプロピオネートフィルム、セルロースアセテートフタレートフィルム、セルローストリアセテート、セルロースナイトレート等のセルロースエステル類又はそれらの誘導体からなるフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレンビニルアルコールフィルム、シンジオタクティックポリスチレン系フィルム、ポリカーボネートフィルム、ノルボルネン樹脂系フィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、ポリイミドフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリスルホン系フィルム、ポリエーテルケトンイミドフィルム、ポリアミドフィルム、フッ素樹脂フィルム、ナイロンフィルム、ポリメチルメタクリレートフィルム、アクリルフィルムあるいはポリアリレート系フィルム等を挙げることができる。
【0086】
これらの素材は単独で、あるいは適宜混合されて使用することもできる。中でも、セルローストリアセテート(TAC)を好ましく使用できる。また、特開平3−14882号や特開平3−122137号などで公知のノルボルネン系樹脂(非晶質シクロポリオレフィン樹脂)を含有したゼオノア(日本ゼオン(株)製)、ARTON(JSR(株)製)などの市販品を好ましく使用することができる。ノルボルネン系樹脂は、具体的にはノルボルネン系単量体の開環重合体、その水素添加物、ノルボルネン系単量体の付加型重合体、ノルボルネン系単量体(上記公報、特開平2−227424号、特開平2−276842号に記載)とオレフィンの付加型重合体などが挙げられる。ノルボルネン系単量体の重合は公知の方法でよく、必要に応じて、水素添加することにより、熱可塑性ノルボルネン系樹脂水素添加物、具体的には上述したゼオノア、ARTON等を得ることができる。
【0087】
更に、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスルフォン及びポリエーテルスルフォン(PES:例えば、住友ベークライト(株)製 スミライト FS−1300)などの固有複屈折率の大きい素材であっても、溶液流延、溶融押し出し等の条件、更には縦、横方向に延伸条件等を適宜設定することにより、得ることができ、ポリエーテルスルフォンは好適に使用できる。
【0088】
また、基材には、有機無機ハイブリッド基材を使用することもできる。有機無機ハイブリッド基材とは、水素結合受容基を有するポリマーあるいは重合性モノマーと、金属アルコキシド等の反応性金属化合物とを加水分解重縮合させて得られるものである。
ポリマーとしては、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルピロリドン、ポリイミド、ポリアミド、ポリカーボネイト、ポリ尿素、ポリエステル、ポリウレタン、ポリ(2−メチル−2−オキサゾリン)、ポリアクリルアミド、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)、ポリ(ジメチルアクリルアミド)、ポリエーテルイミド、セルロースエステルなどが挙げられるが、この中ではセルロースエステルが好ましい。
重合ポリマーとしては、イソプレン、1,3−ブタジエン、p−シアノスチレン、p−メトキシスチレン、メタクリロニトリル、p−クロロスチレン、スチレン、α−メチルスチレン、メチルメタクリレート、メチルビニルケトン、アクリロニトリル、メチルアクリレート、酢酸ビニル、エチレン、イソブテン、塩化ビニリデン、塩化ビニル、イソブチルエーテル、ジメチルアクリルアミドなどが挙げられる。
前記金属アルコキシドとしては、金属種が、珪素、ジルコニウム、チタン、ゲルマニウム等のアルコキシドが挙げられるが、この中では珪素やチタンのアルコキシドが好ましい。
具体的な製法としては、特開2000−122038号公報を参考にして合成することが可能である。
【0089】
なお、上記樹脂フィルムの材料においては、耐熱性の観点から、熱硬化性シリコーン樹脂、熱硬化性エポキシ樹脂、PES、ポリアリレート樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエステルイミド樹脂、耐熱性ノルボルネン系樹脂、有機無機ハイブリッド材料を好ましく用いることができる。
【0090】
これら基材の膜厚としては0,3mm〜3.0mmが好ましい。
【0091】
以上のようにして、プラズマ放電処理装置によって大気圧プラズマ処理を施すことで、基材表面に透明導電膜を形成し、本発明のプラズマディスプレイパネル用透明導電性基材とする。
【0092】
また、基材表面に透明導電膜を形成した後に、透明導電膜が形成された後に、例えばフォトレジスト等によって、透明導電膜をパターニングしてプラズマディスプレイパネル用の電極を形成した後に、この電極を覆うように透明誘電体層を形成するのが良い。透明誘電体層としては、例えば、低融点誘電体フリット(酸化ケイ素と酸化鉛を主成分とする600℃以下で軟化する誘電体フリット)を使用すればよい。この透明誘電体層を備えることによって、後述するプラズマディスプレイパネル表示装置を形成したときに、電極間の絶縁を確保し、プラズマを安定に発生させるために、また電極がプラズマに侵食されるのを防ぐことができる。
また、透明誘電体層上に、さらに、保護層を形成すると、電極がプラズマに侵食されるのをさらに好適に防ぐことができる。
【0093】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。まず、以下に示す実施例1〜4、比較例1、2の透明導電膜を作成した。
[本発明の実施例1]
(基材)
主表面の面積が0.6m2の(株)旭硝子製高歪点ガラスPD200(60cm×100cm×2.1mm)を使用し、図7に示す平行平板型プラズマ放電装置100を使用する。そして、下側平板電極板122の表面に前記基材を載置し、下記に示すプラズマ処理条件下により透明導電膜であるITO膜の形成を行った。
(プラズマ電源周波数とメーカー)
13.56MHz(日本電子(株)製高周波電源JRF−10000)
(放電出力条件)
8W/cm2
(ガス条件)
放電ガス:ヘリウム…98.5体積%
反応性ガス1:水素…0.25体積%
反応性ガス2:トリス(2,4−ペンタンジオナト)インジウム…1.2体積%
反応性ガス3:ジブチル錫ジアセテート…0.05体積%
(電極)
アース電極としては、75cm×130cm×5mmのステンレス板に高密度、高密着性のアルミナ溶射膜を被覆し、その後テトラメトキシシランを酢酸エチルで希釈した溶液を塗布乾燥後、紫外線照射により硬化させ封孔処理を行い、さらに、このように被覆した誘電体表面を研磨し、平滑にしてRmax5μmとなるように加工したものを使用した。
一方、印加電極としては、中空の角型の純チタンパイプに対し、上記同様の誘電体を同条件にて被覆したものを複数作成し、対向する電極群とした。
【0094】
[本発明の実施例2]
(放電出力条件)
12W/cm2
なお、その他、実施例1と同様の条件下で大気圧プラズマ処理を行い、基材上にITO膜を形成した。
【0095】
[本発明の実施例3]
(プラズマ電源周波数とメーカー)
2MHz(パール工業(株)製高周波電源LP−1000−2M)
(放電出力条件)
10W/cm2
なお、その他、実施例1と同様の条件下で大気圧プラズマ処理を行い、基材上にITO膜を形成した。
【0096】
[本発明の実施例4]
(プラズマ電源周波数とメーカー)
800KHz(パール工業(株)製高周波電源LP−1000−800K)
(放電出力条件)
12W/cm2
なお、その他、実施例1と同様の条件下で大気圧プラズマ処理を行い、基材上にITO膜を形成した。
【0097】
[比較例1]
特開2000−303175号公報の実施の方法を用いて以下のように透明導電膜であるITO膜の形成を行った。
(基材)
主表面の面積が0.6m2の(株)旭硝子製高歪点ガラスPD200(60cm×100cm×2.1mm)を使用する。
(プラズマ電源周波数とメーカー)
10KHz(ハイデン研究所製PHF−4K)
(放電出力条件)
0.8W/cm2
(ガス条件)
放電ガス:ヘリウム…98.5体積%
反応性ガス1:酸素…0.25体積%
反応性ガス2:トリス(2,4−ペンタンジオナト)インジウム…1.2体積%
反応性ガス3:ジブチル錫ジアセテート…0.05体積%
なお、(電極)としては、実施例1と同様のものを使用した。
【0098】
[比較例2]
特開2001−74906号公報の実施例1記載の放電プラズマ処理装置を用いて波高値10kV、放電電流密度100mA/cm2、周波数6kHzのパルス電界を印加し、1分間製膜した。
なお、(基材)、(ガス条件)としては比較例1と同様の条件下で、(電極)としては実施例1と同様のものを使用して大気圧プラズマ処理を行い、基材上にITO膜を作成した。
【0099】
そして、上述した本発明の実施例1〜4、比較例1、2によって作成した透明導電膜に対して抵抗率、光透過率及び透明導電膜の主表面内のシート抵抗変動の測定を行い、その結果を表1に示した。
《抵抗率》
JIS−R−1637に従い、四端子法により求めた。なお、測定には三菱化学製ロレスターGP、MCP−T600を用いた。
《光透過率》
JIS−R−1635に従い、日立製作所製分光光度計1U−4000型を用いた測定を行った。試験光の波長は550nmとした。
《主表面内の抵抗変動》
抵抗率の測定と同じ方法により、透明導電膜の主表面を内のシート抵抗変動を50カ所測定しCV%を求め、CV%の数値により以下のように示した。
◎:3%未満
▲:3%以上〜5%未満
×:5%以上
【0100】
【表1】
表1の結果より、本発明にかかる透明導電膜は、大気圧又は大気圧近傍の圧力下において、ハイパワー(100kHZを越える高周波電圧、1W/cm2以上の電力)で形成されるので、比較例1及び2のローパワーで形成する場合に比して、低抵抗で、光透過率に優れ、また、主表面内の抵抗変動が小さいことが確認された。
【0101】
次に、以下に示す実施例5、6、比較例3の透明導電膜を作成した。
【0102】
[本発明の実施例5]
(基材)
アルカリバリアコート層として膜厚約50nmのシリカ膜が形成されたガラス基板(50mm×50mm×1mm)。
(放電出力条件)
5W/cm2
(ガス条件)
放電ガス:ヘリウム…98.74体積%
反応性ガス1:水…0.01体積%
反応性ガス2:インジウムアセチルアセトナト…1.2体積%
反応性ガス3:ジブチル錫ジアセテート…0.05体積%
なお、(プラズマ電源周波数とメーカー)、(電極)としては、実施例1と同様の条件で、大気圧プラズマ処理を行い、基材上にITO膜を作成した。
【0103】
[本発明の実施例6]
(ガス条件)
放電ガス:ヘリウム…98.60体積%
反応性ガス1:水素…0.15体積%
反応性ガス2:インジウムアセチルアセトナト…1.2体積%
反応性ガス3:ジブチル錫ジアセテート…0.05体積%
なお、(基材)、(電極)、(プラズマ電源周波数とメーカー)、(放電出力条件)としては、実施例5と同様の条件で大気圧プラズマ処理を行い、基材上にITO膜を作成した。
【0104】
[比較例3]
特開2000−303175号公報の実施例3記載の方法を用いて以下のように透明導電膜を形成した。
(ガス条件)
放電ガス:ヘリウム…98.75体積%
反応性ガス1:水素…0.5体積%
反応性ガス2:インジウムアセチルアセトナト…1.2体積%
反応性ガス3:ジブチル錫ジアセテート…0.05体積%
なお、(基材)としては実施例5と同様の条件で、(プラズマ電源周波数とメーカー)、(放電出力条件)としては比較例1と同様の条件で、(電極)としては、実施例1と同様のものを使用し、大気圧プラズマ処理を行い、基材上にITO膜を作成した。
【0105】
そして、これら本発明の実施例5、6、比較例3によって作成した透明導電膜に対して、上述したダイナミックSIMS測定により水素イオンと主金属元素イオンのピーク強度比H/Mの深さ方向における変動係数を求め、その結果を表2に示した。また、抵抗率、光透過率の評価についても表2に示した。
【0106】
【表2】
表2の結果より、本発明のプラズマディスプレイパネル用透明導電性基材の透明導電膜のピーク強度比H/Mの変動係数5%以内とすることによって、透明導電膜の性能がさらに向上することが認められた。
【0107】
また、上述した本発明の実施例1〜6、比較例1〜3によって作成した透明導電膜が形成された基材を用いて、特開2000−112400号に記載の以下に示す方法でプラズマディスプレイパネル表示装置を作成した。
(プラズマディスプレイパネル表示装置の作成方法)
前面ガラス基板201上に、透明導電膜が形成済の透明導電性基材を、図8に示すように、例えば、フォトレジスト法によってパターニングして、透明導電膜の電極205を形成する。そして、電極205上に金属バス電極206を形成し、PDP用電極を得る。次に、PDP用電極を、例えば、低融点誘電体フリット(酸化ケイ素と酸化鉛を主成分とする600℃以下で軟化する誘電体フリット)等の誘電体層208で覆う。次に、誘電体層208の表面に、例えば酸化マグネシウムで保護膜209を形成して、PDP用前面基板を得る。
一方、背面ガラス基板202には、アドレス電極207と隔壁203とを形成し、さらに蛍光体210を塗布してPDP用背面基板を得る。
最後に、前面ガラス基板201及び背面ガラス基板202を組み立て、封着、排気し、最後にプラズマ放電させるためのガスを封入してPDP表示装置を完成する。
この表示装置によれば、前面ガラス基板201及び背面ガラス基板202に形成された隔壁203によりセル(空間)204が区画形成され、セル204中でプラズマ放電を発生させることにより、セル内壁の蛍光体層210が発光し画像を形成する。
【0108】
このようにして作成したPDP表示装置において、輝度ムラを目視評価したところ、実施例1〜6はほとんど輝度ムラはみとめられなかった。これに対し、比較例1〜3は輝度ムラが顕著であった。
【0109】
【発明の効果】
本発明のプラズマディスプレイパネル用透明導電性基材によれば、低抵抗でかつ、光透過性に優れ、また、プラズマディスプレイパネル表示装置を形成したときに良好に表示できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の透明導電膜を形成するために用いられるプラズマ放電処理装置に設置されるプラズマ放電処理容器の一例を示す概略図である。
【図2】プラズマ放電処理容器の他の一例を示す概略図である。
【図3】円筒型のロール電極の一例を示す斜視図である。
【図4】固定型の円筒型電極の一例を示す斜視図である。
【図5】固定型の角柱型電極の一例を示す斜視図である。
【図6】プラズマ放電処理装置の一例を示す概略図である。
【図7】プラズマ放電処理装置の他の一例を示す概略図である。
【図8】プラズマディスプレイパネルを説明するためのもので、プラズマディスプレイパネル表示装置の断面図である。
【符号の説明】
F フィルム(基材)
L レンズ(基材)
10、100 プラズマ放電処理装置
21、22 電極(ロール電極)
29 電極(固定電極)
50、110 電源
120 電極
121 上側平板電極
122 下側平板電極
Claims (3)
- 基材上に透明導電膜が形成されたプラズマディスプレイパネル用透明導電性基材であって、
前記透明導電膜は、インジウムを主金属成分として錫を含む金属酸化物系透明導電膜であり、大気圧又は大気圧近傍の圧力下で、反応性ガスを放電空間に導入してプラズマ状態とし、前記基材を前記プラズマ状態の反応性ガスに晒すことによって、前記基材上に形成されるもので、前記反応性ガスが、水素、硫化水素及び水から選ばれる還元ガスを含有しており、
さらに、前記透明導電膜は、ダイナミックSIMS測定による水素イオンとインジウム元素イオンのピーク強度比H/Mの深さ方向におけるばらつきが変動係数5%以内であることを特徴とするプラズマディスプレイパネル用透明導電性基材。 - 請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル用透明導電性基材において、
前記放電空間に印加する電界が、周波数100kHzを越えており、かつ、出力密度が1W/cm2以上であることを特徴とするプラズマディスプレイパネル用透明導電性基材。 - 基材上に透明導電膜が形成されたプラズマディスプレイパネル用透明導電性基材の製造方法であって、
大気圧又は大気圧近傍の圧力下で、反応性ガスを放電空間に導入してプラズマ状態とし、前記基材を前記プラズマ状態の反応性ガスに晒すことによって、前記基材上にインジウムを主金属成分として錫を含む金属酸化物系透明導電膜を形成し、
前記反応性ガスが、水素、硫化水素及び水から選ばれる還元ガスを含有しており、
さらに、前記透明導電膜は、ダイナミックSIMS測定による水素イオンとインジウム元素イオンのピーク強度比H/Mの深さ方向におけるばらつきが変動係数5%以内であることを特徴とするプラズマディスプレイパネル用透明導電性基材の製造方法。
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