JP4164645B2 - Dgat阻害剤 - Google Patents
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- Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ホスホン酸ジエステル誘導体を含有するDGAT阻害剤(ジアシルグリセリドアシルトランスフェラーゼ(diacylglycerol acyltransferase)阻害剤)に関する。
【0002】
【従来の技術】
DGATは、トリグリセリド合成の最終段階であるジアシルグリセリドからトリグリセリドへの反応を触媒する酵素(EG 2.3.1.20)であり、生体の各種組織に存在するグリセロリン酸経路および小腸に認められるモノグリセリド経路において、食餌由来の脂肪酸からトリグリセリドを再構成する役割を果たしている。
【0003】
最近、DGATノックアウトマウス(DGAT欠損マウス)を利用した実験において、該マウスは高脂肪食によっても、通常食と殆ど変わらない体重変化を示すこと、即ち肥満に対する抵抗性を示すことが明らかにされた。
【0004】
このことから、DGATの機能を調節(抑制乃至阻害)できれば、肥満、糖尿病などの病態の改善が可能であると考えられるが、現在、このようなDGATの機能に着目した薬剤の研究、開発は皆無であり、DGAT阻害活性を有する薬物の研究も報告された例はない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記DGAT活性を阻害する作用を奏する物質およびこれを有効成分とするDGAT阻害剤を提供することを目的とする。
【0006】
本出願人は、医薬品分野で利用できる有効成分化合物につき鋭意研究、開発を続ける過程において、先に、脂質低下作用、白内障予防および治療作用、血糖降下作用などを有する新規な一連のホスホン酸ジエステル誘導体を開発した(特許2787407)。
【0007】
引き続く研究の結果、本出願人は上記ホスホン酸ジエステル誘導体中に、目的に合致するDGAT阻害活性を有する化合物が存在することを見出すと共に、新たにDGAT阻害活性を有する誘導体の合成に成功し、ここに本発明を完成するに至った。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、下記一般式(1)で表されるホスホン酸ジエステル誘導体を有効成分として含有することを特徴とするDGAT阻害剤を提供する。
一般式(1):
【0009】
【化2】
【0010】
〔式中、R1はフェニル基またはハロゲン置換フェニル基を示し、R2は水素原子、低級アルキル基、カルボキシル基、低級アルコキシカルボニル基、シアノ基、低級アルキルカルバモイル基、N,N-ジ低級アルキルカルバモイル基またはピロリジノカルボニル基を示し、R3は低級アルキル基を示す。〕
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明DGAT阻害剤の有効成分であるホスホン酸ジエステル誘導体を表す前記一般式(1)およびその他の本明細書中に用いられている各基は、具体的にはそれぞれ次の通りである。本明細書において炭素を含む各基につき用いられる「低級」なる語は、「炭素数1-6の」なる意味で用いられるものとする。
【0012】
ハロゲン置換フェニル基としては、4-クロロフェニル、4-ブロモフェニル、2-クロロフェニル、3-クロロフェニル、3-ブロモフェニル、2-フルオロフェニル、4-フルオロフェニル、4-ヨードフェニル、2,3-ジクロロフェニル、3,4-ジクロロフェニル、2,4-ジクロロフェニル、2,4,6-トリクロロフェニルなどを例示することができる。
【0013】
ハロゲン原子としては、弗素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を例示することができる。
【0014】
低級アルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ペンチル、ヘキシル基などの炭素数1-6の直鎖または分枝鎖状のアルキル基を例示することができる。
【0015】
低級アルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、イソブトキシカルボニル、tert-ブトキシカルボニル、ペンチルオキシカルボニル、ヘキシルオキシカルボニル基などの炭素数1-6の直鎖状または分岐鎖状のアルコキシ基を有するカルボニル基を例示することができる。
【0016】
低級アルキルカルバモイル基としては、メチルカルバモイル、エチルカルバモイル、プロピルカルバモイル、イソプロピルカルバモイル、ブチルカルバモイル、イソブチルカルバモイル、tert-ブチルカルバモイル、ペンチルカルバモイル、ヘキシルカルバモイル基などの炭素数1-6の直鎖または分枝鎖状のアルキル基を有するカルバモイル基を例示することができる。
【0017】
N,N-ジ低級アルキルカルバモイル基としては、N,N-ジメチルカルバモイル、N,N-ジエチルカルバモイル、N,N-ジプロピルカルバモイル、N,N-ジブチルカルバモイル、N,N-ジペンチルカルバモイル、N,N-ジヘキシルカルバモイル基などの炭素数1-6の直鎖または分枝鎖状のアルキル基の2個を有するカルバモイル基を例示することができる。
【0018】
本発明DGAT阻害剤有効成分化合物として特に好適な一般式(1)で表される誘導体としては、以下の各群に属する化合物を挙げることができる。
(a):一般式(1)中、R1がp-ハロゲン置換フェニル基で且つR2が低級アルキル基である化合物
(b):一般式(1)中、R1がp-ハロゲン置換フェニル基で且つR2が水素原子である化合物
(c):一般式(1)中、R1がp-ハロゲン置換フェニル基で且つR2が低級アルコキシカルボニル基である化合物
尚、上記p-ハロゲン置換フェニル基とは、4-位にハロゲン原子を置換基として有するフェニル基をいう。
【0019】
一般式(1)で表される本発明有効成分化合物(以下、本発明化合物ということがある)は、新規化合物および公知化合物の両者を包含する。これらの内の一群は、例えば本出願人の先の特許(特許第2787407)に記載の方法に従い、適当なアミン類とカルボン酸ハライド誘導体とを反応させることにより製造することができる。この方法の詳細を反応工程式-1を挙げて以下に説明する。また、他の群に属する本発明化合物は、後記反応工程式-2および-3に示す反応を利用して製造することができる。
【0020】
【化3】
【0021】
〔各式中、R1およびR3は一般式(1)に同じ。R2'は水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシカルボニル基またはシアノ基を示し、Xはハロゲン原子を示す。〕反応工程式-1に示す方法によれば、一部新規化合物を含むアミン類(2)と公知のカルボン酸ハロゲン化物誘導体(3)とを反応させることにより、本発明化合物(1a)を得ることができる。尚、アミン類(2)中に含まれる一部の新規な化合物は、類似の公知化合物の製造法と同様にして製造することができる。その詳細は、後記参考例に詳述する。
【0022】
反応工程式-1に示すアミン類(2)とカルボン酸ハロゲン化物誘導体(3)との反応は、一般に脱酸剤の存在下に、適当な溶媒中で実施される。ここで脱酸剤としては、反応に悪影響を与えない公知の各種のものをいずれも使用できる。その具体例としては、例えばトリエチルアミン、N,N-ジエチルアニリン、N-メチルモルホリン、ピリジン、4-ジメチルアミノピリジンなどの第三級アミン類を好ましく例示できる。これらは1種単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。また溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、石油エーテルなどの芳香族ないし脂肪族炭化水素類;ジエチルエーテル、1,2-ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン(THF)、1,4-ジオキサンなどの鎖状ないし環状エーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、アセトフェノンなどのケトン類;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2-ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素類など;及びこれらの組合せを例示できる。上記反応におけるカルボン酸ハロゲン化物誘導体(2)とアミン類(3)との使用割合は、特に限定されないが、通常後者に対して前者を等モル量-過剰量用いるのがよい。また、脱酸剤は、通常カルボン酸ハロゲン化物誘導体(2)に対して等モル-過剰量用いられるのが好適である。反応は、冷却下、室温下および加熱下のいずれでも進行するが、通常室温付近-溶媒の還流温度範囲の温度条件を採用して行われるのがよく、一般に約0.5-24時間程度で終了する。
【0023】
【化4】
【0024】
〔各式中、R1およびR3は一般式(1)に同じ。R4は低級アルキル基を示す。〕
反応工程式-2に示す方法によれば、前記反応工程式-1で得られる、R2'が低級アルコキシカルボニル基であるホスホン酸ジエステル誘導体(1a')をアルカリ加水分解することにより、対応する基としてカルボキシル基を有する本発明化合物(1b)を得ることができる。
【0025】
上記反応は、一般に塩基の存在下に、適当な溶媒中で実施される。ここで塩基としては、好ましくは、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属水酸化物を1種単独でまたは2種以上組み合わせて使用できる。溶媒としては、水、ジエチルエーテル、1,2-ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン(THF)、1,4-ジオキサンなどの鎖状ないし環状エーテル類;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール類;これらの組合せなどを例示できる。上記反応におけるエステル誘導体(1a')と塩基との使用割合は、特に限定されないが、通常前者に対して後者を等モル-3倍モル量用いるのがよい。反応は、冷却下、室温下および加熱下のいずれでも進行するが、通常氷冷下-室温付近の温度条件を採用して行われるのがよく、一般に約12-24時間程度で終了する。
【0026】
【化5】
【0027】
〔各式中、R1およびR3は一般式(1)に同じ。R5およびR6は同一または異なって水素原子または低級アルキル基を示すかあるいは両者が結合して基-CH2CH2CH2CH2-を示す。〕
反応工程式-3に示す方法によれば、本発明化合物(1b)と公知のアミン類(4)とを縮合させることにより、本発明化合物(1c)を得ることができる。上記縮合反応は、一般に縮合剤の存在下に、適当な溶媒中で実施される。縮合剤としては、従来公知の各種のものをいずれも使用できる。その具体例としては、N,N'-ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール、N-ヒドロキシコハク酸イミド、ジエチルリン酸シアニド、ジフェニルリン酸アジドなどを例示できる。これらは一種単独で用いることもでき、2種以上を併用することもできる。特に、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミドと1-ヒドロキシベンゾトリアゾールとの併用が有利である。溶媒としては、公知の非プロトン性溶媒をいずれも用い得る。特に好ましい溶媒としては、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)を例示できる。上記反応における本発明化合物(1b)とアミン類(4)との使用割合は、特に限定されないが、通常前者に対して後者を等モル-3倍モル量用いるのがよい。縮合剤は本発明化合物(1b)に対して等モル量-過剰量、好ましくは少過剰量用いるのが望ましい。反応温度としては、氷冷下-室温付近の温度条件を採用でき、通常約12-24時間程度で反応は終了する。
【0028】
前記各反応工程式に示す反応により得られる目的化合物は、通常の分離、精製手段、例えば、吸着クロマトグラフィー、プレパラティブ薄層クロマトグラフィー、再結晶、溶媒抽出などにより容易に単離、精製できる。
【0029】
本発明DGAT阻害剤は、一般式(1)で表される化合物とともに、製剤学的に許容される担体を用いて、一般的な医薬組成物の形態に調製されて実用される。
【0030】
本発明医薬組成物に利用される製剤学的に許容される担体としては、製剤の使用形態に応じて通常使用される希釈剤または賦形剤、例えば充填剤、増量剤、結合剤、付湿剤、崩壊剤、表面活性剤、滑沢剤などを例示できる。これらは調整される医薬製剤の投与単位形態に応じて適宜選択使用される。
【0031】
医薬製剤の投与単位形態としては、各種の形態が治療目的に応じて適宜選択できる。その代表的なものとしては、錠剤、丸剤、散剤、液剤、懸濁剤、乳剤、顆粒剤、カプセル剤、坐剤、注射剤(液剤、懸濁剤など)、軟膏剤などが挙げられる。
【0032】
錠剤の形態に成形するに際しては、製剤学的に許容される担体として、例えば、乳糖、白糖、塩化ナトリウム、ブドウ糖、尿素、デンプン、炭酸カルシウム、カオリン、結晶セルロース、ケイ酸、リン酸カリウムなどの賦形剤;水、エタノール、プロパノール、単シロップ、ブドウ糖液、デンプン液、ゼラチン溶液、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルピロリドンなどの結合剤;カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、乾燥デンプン、アルギン酸ナトリウム、カンテン末、ナミナラン末、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウムなどの崩壊剤;ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸モノグリセリドなどの界面活性剤;白糖、ステアリン、カカオバター、水素添加油などの崩壊抑制剤;第4級アンモニウム塩基、ラウリル硫酸ナトリウムなどの吸収促進剤;グリセリン、デンプンなどの保湿剤;デンプン、乳糖、カオリン、ベンナイト、コロイド状ケイ酸などの吸着剤;精製タルク、ステアリン酸塩、ホウ酸末、ポリエチレングリコールなどの滑沢剤などを使用できる。更に、錠剤は、必要に応じ通常の剤皮を施した錠剤、例えば糖衣錠、ゼラチン被包錠、腸溶被錠、フィルムコーティング錠または二重錠、多層錠とすることができる。
【0033】
丸剤の形態に成形するに際しては、製剤学的に許容される担体として、例えば、ブドウ糖、乳糖、デンプン、カカオ脂、硬化植物油、カオリン、タルクなどの賦形剤;アラビアゴム末、トラガント末、ゼラチン、エタノールなどの結合剤;ラミナラン、カンテンなどの崩壊剤などを使用できる。
【0034】
坐剤の形態に形成するに際しては、製剤学的に許容される担体として、例えば、ポリエチレングリコール、カカオ脂、高級アルコール、高級アルコールのエステル類、ゼラチン、半合成グリセライドなどを使用できる。
【0035】
カプセル剤は、常法に従い、通常本発明化合物を上記で例示した各種の製剤学的に許容される担体と混合して、硬質ゼラチンカプセル、軟質ゼラチンカプセルなどの充填して調製される。
【0036】
液剤、乳剤、懸濁剤などの注射剤として調製される場合、これらは殺菌され且つ血液と等張であるのが好ましい。これらの形態にするに際しては、希釈剤として、例えば、水、エタノール、マクロゴール、プロピレングリコール、エトキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなどを使用できる。尚、この場合、等張性の溶液を調製するに充分な量の食塩、ブドウ糖またはグリセリンを医薬製剤中に含有させてもよく、また通常の溶解補助剤、緩衝剤、無痛化剤などを添加してもよい。
【0037】
ペースト、クリーム、ゲルなどの軟膏剤の形態に調製するに際しては、希釈剤として、例えば、白色ワセリン、パラフィン、グリセリン、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベンナイトなどを使用できる。
【0038】
更に、本発明医薬組成物中には、必要に応じて着色剤、保存剤、香料、風味剤、甘味剤などや他の医薬品を含有させることもできる。
【0039】
本発明医薬組成物中に配合される本発明化合物の量は、特に限定されず広範囲より適宜選択される。通常医薬組成物中に、約0.5-90重量%、好ましくは約1-85重量%程度配合されるのがよい。
【0040】
本発明医薬製剤の投与方法は特に制限がなく、各種製剤形態、患者の年齢、性別その他の条件、疾患の程度などに応じて決定される。例えば、錠剤、丸剤、液剤、懸濁剤、乳剤、顆粒剤およびカプセル剤は経口投与され、注射剤は単独でまたはブドウ糖、アミノ酸などの通常の補液と混合して静脈内に、或いは筋肉内、皮内、皮下または腹腔内に投与され、坐剤は直腸内投与される。
【0041】
本発明医薬製剤の投与量は、その用法、患者の年齢、性別その他の条件、疾患の程度などにより適宜選択される。通常有効成分である本発明化合物の量が1日成人1人当たり体重1kg当たり約0.5-20mg程度、好ましくは1-10mg程度とするのがよい。該製剤は1日に1回または2-4回に分けて投与することができる。
【0042】
【実施例】
以下、本発明を更に詳しく説明するため、本発明化合物の製造例を参考例として挙げ、次いで本発明化合物につき行われた薬理試験例および本発明化合物を有効成分とする医薬の製剤例を挙げる。
【0043】
【参考例1】
ジイソプロピル 4-[(4-(4-フルオロフェニル)-5-メチルチアゾール-2-イル)カルバモイル]ベンジルホスホナートの製造
(1) 2-アミノ-4-(4-フルオロフェニル)-5-メチルチアゾールの製造
4-フルオロプロピオフェノン179gと塩化アルミニウム(III)1gとをクロロホルム1000mLに溶解させ、氷冷撹拌下にこの混合物中に臭素197gをゆっくりと滴下した。氷冷下で1時間撹拌後、反応混合物を氷水500mL中に注ぎ込んだ。クロロホルム層を分液し、飽和重曹水500mLおよび飽和食塩水500mLで順次洗浄した後、硫酸マグネシウム上で乾燥した。溶媒を減圧留去して、4'-フルオロ-2-ブロモプロピオフェノンを得た。このものを精製することなく、エタノール600mLとチオ尿素86gを加え、70℃で12時間撹拌した。溶媒を減圧留去後、得られた反応混合物中に酢酸エチル1000mLと2N水酸化ナトリウム水溶液800mLを加えて分液した。酢酸エチル層を硫酸マグネシウム上で乾燥し減圧下に溶媒を留去し、得られた粗結晶を酢酸エチル-n-ヘキサンより再結晶して、表1に示す化合物番号1の化合物の製造のための原料である標記化合物172gを得た。
【0044】
同様にして、表1に示す化合物番号2-11の各化合物の製造原料であるアミン類を製造した。
(2) ジイソプロピル 4-[(4-(4-フルオロフェニル)-5-メチルチアゾール-2-イル)カルバモイル]ベンジルホスホナートの製造
4-[(ジイソプロポキシホスホリル)メチル]ベンゾイル クロリド111.6gの塩化メチレン350mL溶液を氷冷撹拌し、このものに、上記(1)で得た2-アミノ-4-(4-フルオロフェニル)-5-メチルチアゾール72.9gのピリジン溶液400mLをゆっくりと滴下した。混合物を室温で12時間撹拌後、これに水500mLを加え、減圧下に塩化メチレンを留去した。得られた粗結晶をエタノール-水より再結晶して、標記化合物の無色結晶146gを得た。得られた化合物の構造および物性を表1に「化合物番号1」として示す。
【0045】
【参考例2−11】
参考例1の(1)と同様にして得た原料アミン類を用いて、参考例1の(2)と同様にして、表1-2に化合物番号2-11として示す各化合物を製造した。得られた化合物の構造および物性を表1-2に並記する。
【0046】
【参考例12】
ジイソプロピル 4-[(5-カルボキシ-4-フェニルチアゾール-2-イル)カルバモイル]ベンジルホスホナートの製造
参考例10で製造したエステル(化合物番号10)3.2gをエタノール25mLに溶解させ、氷冷撹拌下、このものに2N水酸化ナトリウム水溶液6mLをゆっくりと滴下した。混合物を室温で12時間撹拌後、これに10%塩酸水溶液を加えてpHを2とし、析出した結晶を濾取して、標記化合物の無色結晶2.0gを得た。得られた化合物の構造および物性を表2に「化合物番号12」として示す。
【0047】
【参考例13】
ジイソプロピル 4-[(5-ブチルカルバモイル-4-フェニルチアゾール-2-イル)カルバモイル]ベンジルホスホナートの製造
参考例12で製造したカルボン酸(化合物番号12)2.0g、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミドの塩酸塩1.3gおよび1-ヒドロキシベンゾトリアゾール0.54gをDMF 10mLに懸濁させ、室温で1時間撹拌した。続いて、ブチルアミン0.59gを加えて更に室温で20時間撹拌した。
【0048】
反応混合物に水を加えて析出した結晶を濾取し、得られた粗結晶を酢酸エチル-n-ヘキサン再結晶して、標記化合物の無色結晶1.0gを得た。得られた化合物の構造および物性を表2に「化合物番号13」として示す。
【0049】
【参考例14−18】
参考例13と同様にして、表2に化合物番号14-18として示す各化合物を得た。得られた化合物の構造および物性を表2に併記する。
【0050】
尚、表中、略号による基の表示は次のことを示す。
Me:メチル基、Et:エチル基、i-Pr:イソプロピル基
【0051】
【表1】
【0052】
【表2】
【0053】
尚、表中、参考例12の物性におけるNMR(1)は、次の通りである。
NMR(1):(δ:ppm, DMSO-d6, 内部標準=TMS)
1.14(d, J=6.2Hz, 6H), 1.22(d, J=6.2Hz, 6H), 3.30(d, J=22.0Hz, 2H), 4.48-4.56(m, 2H), 7.45(m, 5H), 7.75(m, 2H), 8.08(d, J=7.9Hz, 2H), 13.02(brs, 1H)
以下、上記参考例1-18で得た各化合物(表1および2参照、参考例に対応させて化合物番号1-18という)および下記表3に記載の各化合物を被験物質として、それらのDGAT阻害活性を試験した例を挙げる。
【0054】
【表3】
【0055】
【薬理試験例1】
ラットDGAT阻害作用試験
(1) 試薬
DGAT酵素活性の測定には、以下の試薬を用いた。
・ホモゲナイゼーションバッファー:10mM HEPES(pH7.4), 250mMシュークロースおよび1mM EDTAを含む
・アッセイバッファー:150mM リン酸カリウム緩衝液(pH7.0), 6mg/mL BSA (FFA
不含)および2mM DTTを含む
・DGAT基質液:0.1mM [1-14C]オレオイル補酵素A ([1-14C]Oleoyl-coenzyme A, 比活性:4.0Ci/mol)を含むアッセイバッファー
(2) DGAT酵素液の調製
SD系雄性ラット(60頭)より副腎を摘出し、摘出した副腎(ca.4g)にホモゲナイゼーションバッファー20mLを加え、ガラステフロン(登録商標)ホモジナイザーでホモジナイズした。得られたホモジネートを800×gで10分間、4℃下に遠心し、上清を採取した。これを次に10,000×gで10分間、4℃下に遠心し、ペレットを除去した。上清をさらに、105,000×gで60分間、4℃下で遠心し、ペレット(microsomal fraction)を得た。これを20mLのホモゲナイゼーションバッファーで洗浄後、10mLの10mM HEPES(pH7.4)、250mMシュークロースおよび2mM DDTに懸濁させた。この懸濁液の蛋白量を定量した後、-80℃で保存した。使用直前に1 Assay( 200μL)あたり75μg蛋白の濃度になるようにアッセイバッファーを用いて調製して、この調製液をDGAT酵素液とした。
(3) DGAT阻害活性の測定
被験物質は、1×10-2mol/Lの濃度となるようDMSOで溶解した。
【0056】
10mLネジ口試験管に被験物質溶液2.5μLをとり、これにDGAT酵素液200μLおよびDGAT酵素基質液50μLを加え、37℃で10分間インキュベーションした。n-ヘキサン4.0mLおよびエタノール1.0mLを加えて反応を停止させた。5分間振盪後、遠心(3000rpm、10分間)し、上層のヘキサン層2mLをガラス試験管に移した。窒素ガス気流下でn-ヘキサンを除去し、得られた脂質抽出物をクロロホルム/メタノール(2:1)100μLで再溶解し、TLCプレートへスポットした。TLCプレートを、n-ヘキサン/ジエチルエーテル/酢酸(73:25:2)で展開し、オートラジオグラフィーによりトリグリセリド画分の14Cを定量した。
【0057】
被験物質無添加のコントロールの場合に比べて、被験物質添加時に減少するトリグリセライド量を、パーセント表示したものを、DGAT阻害率として求めた。
(4) 結果
得られた結果を表4に示す。
【0058】
【表4】
【0059】
(5) 考察
表4に示される結果より、本発明において有効成分とする一般式(1)に属する各化合物は、いずれもDGAT阻害活性を有することが明らかである。
【0060】
【薬理試験例2】
ヒト白色脂肪細胞DGAT阻害作用試験
(1)試験方法
ヒト皮下脂肪組織由来白色脂肪培養細胞(24ウエルプレート、Zen-Bio社)を17日間分化させた。18日目に、[1-14C]oleate-BSA complexおよび終濃度1×10-5mol/Lの被験物質を加えた培地に交換し、更に18時間CO2インキュベーター内(5%CO2、37℃)で培養した。培養後、培地を抜き、細胞をPBS(-)で3回洗浄後、これにn-ヘキサン/イソプロパノール(3:2)混液0.6mlを加えて、室温で30分間放置して抽出を行った。その後、抽出液をガラス試験管へ回収し、n-ヘキサン/イソプロパノール(3:2)混液0.4mlを加え、更に室温で30分間抽出し、抽出液を再度同じガラス試験管に回収した。窒素ガス気流下で溶媒を除去し、得られた脂質抽出物をクロロホルム/メタノール(2:1)100μLで再溶解し、TLCプレートへスポットした。TLCプレートを、n-ヘキサン/ジエチルエーテル/酢酸(73:25:2)で展開し、オートラジオグラフィーによりトリグリセリド画分の14Cを定量した。
【0061】
被験物質無添加のコントロールの場合に比べて、被験物質添加時に減少するトリグリセライド量を、パーセント表示したものを、DGAT阻害率として求めた。
(2) 結果
得られた結果を、表5に示す。
【0062】
【表5】
【0063】
(3) 考察
表5に示される結果より、本発明において有効成分とする一般式(1)に属する各化合物は、いずれもDGAT阻害活性を有することが明らかである。
【0064】
【製剤例1】
有効成分として、参考例1で得た本発明化合物を用いて、1錠当りその300mgを含有する錠剤(2000錠)を、次の処方により調製した。
参考例1で得た本発明化合物 600g
乳糖(日本薬局方品) 67g
コーンスターチ(日本薬局方品) 33g
カルボキシメチルセルロースカルシウム(日本薬局方品) 25g
メチルセルロース(日本薬局方品) 12g
ステアリン酸マグネシウム(日本薬局方品) 3g
即ち、上記処方に従い、参考例1で得た本発明化合物、乳糖、コーンスターチおよびカルボキシメチルセルロースカルシウムを充分混合し、メチルセルロース水溶液を用いて混合物を顆粒化し、24メッシュの篩を通し、これをステアリン酸マグネシウムと混合して、錠剤にプレスして、目的の錠剤を得た。
【0065】
【製剤例2】
有効成分として、参考例1で得た本発明化合物を用いて、1カプセル当りその200mgを含有する硬質ゼラチンカプセル剤(2000カプセル)を、次の処方により調製した。
参考例1で得た本発明化合物 400g
結晶セルロース(日本薬局方品) 60g
コーンスターチ(日本薬局方品) 34g
タルク(日本薬局方品) 4g
ステアリン酸マグネシウム(日本薬局方品) 2g
即ち、上記処方に従い、各成分を細かく粉末にし、均一な混合物となるように混和した後、所望の寸法を有する経口投与用ゼラチンカプセルに充填して、目的のカプセル剤を得た。
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