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JP4163887B2 - 流量計 - Google Patents

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JP4163887B2
JP4163887B2 JP2002093604A JP2002093604A JP4163887B2 JP 4163887 B2 JP4163887 B2 JP 4163887B2 JP 2002093604 A JP2002093604 A JP 2002093604A JP 2002093604 A JP2002093604 A JP 2002093604A JP 4163887 B2 JP4163887 B2 JP 4163887B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、流量計に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、ガスメータにおいてガスの使用量を計測するために超音波流量計を採用することが考えられている。超音波流量計は、図2に示すように、ガス流路上に設けた計測管11の上流側と下流側とにそれぞれ超音波の送受波を行うための送受波器12a,12bを配置した瞬間流量計測部4を備える。流量の計測には、上流側の送受波器12aから下流側の送受波器12bに向かって超音波を送波したときの超音波の伝播時間t1と、下流側の送受波器12bから上流側の送受波12aに向かって超音波を送波したときの超音波の伝播時間t2とを計測し、両伝播時間t1,t2に基づいて流速を求める。流速が求まれば計測管11の断面積と流速とを乗じた値が瞬間流量になる。
【0003】
いま、送受波器12a,12bの間で送受される超音波の進行方向が計測管11を通過するガスの流れる方向に一致しているものとする。送受波器12a,12bの間の距離をd、ガスの流速をV、音速をCとすれば、伝播時間t1,t2はそれぞれ以下のように表すことができる。
t1=d/(C+V)
t2=d/(C−V)
したがって、流速Vは以下のように表される。
V=(d/2){(1/t1)−(1/t2)}
この計測技術では超音波の伝播時間t1,t2を求めるために、送信器12a,12bから超音波を間欠的に発生させる。ガスメータにおいては電池を電源としていることが多く超音波流量計を用いると電力を消費するから、超音波流量計を用いる場合には消費電力が増加しないように2〜3secの一定の計測周期で瞬間流量を計測する。
【0004】
ところで、最近では都市ガスのような燃料ガスを用いてガスエンジンを駆動するガス使用機器がガスヒートポンプや発電機などの分野において普及してきている。この種のガスエンジンは吸気と排気とを繰り返しているから、燃料ガスの供給路の圧力に脈動(以下では、「圧力脈動」という)をもたらすことになる。また、一般にガスメータにおいて普及している膜式メータの動作によっても圧力脈動が生じることが知られている。このような圧力脈動があると流速Vにも脈動が生じる。一般に膜式メータでの圧力脈動の周波数は3〜6Hz程度であり、ガスエンジンによる圧力脈動の周波数は10〜60Hz程度になり、ガス使用機器の近傍では最大で200Pa(ピーク−ピークは400Pa)の振幅を有することが知られている。
【0005】
ガスメータにおいてガスの使用量を計測するには瞬間流量を積算することになるから、上述のような圧力脈動が生じる環境下であっても多数個の瞬間流量を積算することによって脈動成分が相殺されれば、計測値に圧力脈動の影響が生じないと考えられる。つまり、多数個の瞬間流量の平均値は脈動成分を含まない値に収束すると考えられる。しかし、実際には計測周期が圧力脈動の脈動周期の整数倍にほぼ一致してしまう場合があり、このような場合に計測周期毎に得られる瞬時流量を積算しても脈動成分を相殺することができず、大きな計測誤差を生じることになる。
【0006】
そこで、複数種類の計測周期を用意しておき、脈動周期の整数倍にほぼ一致するような計測周期が選択されているときには他の計測周期に切り換えることによって、計測誤差の発生を軽減する技術を先に提案した。実験結果によれば、計測周期を約3secとし、1/512sec単位で計測周期を変更可能であるものとし、以下の7種類のいずれかの計測周期を用意しておけば、計測周期が脈動周期の整数倍にほぼ一致するという事態を回避することができることがわかっている。すなわち、計測周期を(3+n/512)secと表すとき、n=37,19,45,10,−11,−30,53から選択すればよい。また、計測周期を選択するにあたっては、まずすべての計測周期でそれぞれ一定回数ずつの計測を行い、各計測周期において得られる瞬間流量の最大値と最小値との間の計測回数が一定回数以下であるときに、当該計測周期を選択することが考えられている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述のように各計測周期で一定回数ずつ瞬間流量を計測した後に、どの計測周期を用いるかを判断すると計測周期の決定までに要する時間が長くなる。
【0008】
本発明は上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、圧力脈動が生じている環境下において脈動周期の整数倍ではない計測周期を比較的短時間で選択できる流量計を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、流体の流路に配設され通過する流体の瞬間流量を計測する瞬間流量計測部と、複数種類の計測周期を備え前記複数種類の計測周期から計測周期を択一的に選択し選択した計測周期で前記瞬間流量計測部に瞬間流量の計測を指示する計測タイミング生成部と、計測タイミング生成部に計測周期の変更を指示する同期判定部とを備え、前記同期判定部は、瞬間流量計測部で計測される瞬間流量の時系列から上側ピーク値と下側ピーク値とを求めるピーク検知手段と、前記上側ピーク値と前記下側ピーク値との間で中間値を設定する中間値設定手段と、瞬間流量の計測毎に計測した瞬間流量と中間値とを比較し連続した規定の複数回の計測を行う間において瞬間流量中間値との大小関係が逆転しないときに計測周期を変更するように計測タイミング生成部に指示する計測周期変更手段とを備えることを特徴とする。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記ピーク検知手段は、前回計測時の瞬間流量が中間値よりも小さい場合に、今回計測した瞬間流量が中間値より大きければこの瞬間流量を上側ピーク値とし、今回計測した瞬間流量が下側ピーク値よりも小さければこの瞬間流量を下側ピーク値とする第1のピーク検知手段と、前回計測時の瞬間流量が中間値よりも大きい場合に、今回計測した瞬間流量が上側ピーク値より大きければこの瞬間流量を上側ピーク値とし、今回計測した瞬間流量が中間値よりも小さければこの瞬間流量を下側ピーク値とする第2のピーク検知手段とを備えることを特徴とする。
【0011】
請求項3の発明は、請求項1の発明において、前記ピーク検知手段は、設定された所定時間毎に計測された複数個の瞬間流量の最大値を上側ピーク値とするとともに最小値を下側ピーク値とすることを特徴とする。
【0012】
請求項4の発明は、請求項1ないし請求項3の発明において、前記中間値設定手段は、前記上側ピーク値と前記下側ピーク値との平均値を中間値として設定することを特徴とする。
【0013】
請求項5の発明は、流体の流路に配設され通過する流体の瞬間流量を計測する瞬間流量計測部と、複数種類の計測周期を備え前記複数種類の計測周期から計測周期を択一的に選択し選択した計測周期で前記瞬間流量計測部に瞬間流量の計測を指示する計測タイミング生成部と、計測タイミング生成部に計測周期の変更を指示する同期判定部とを備え、前記同期判定部は、設定された所定時間毎の瞬間流量の移動平均を中間値として設定する中間値設定手段と、瞬間流量の計測毎に計測した瞬間流量と中間値とを比較し連続した規定の複数回の計測を行う間において瞬間流量中間値との大小関係が逆転しないときに計測周期を変更するように計測タイミング生成部に指示する計測周期変更手段とを備えることを特徴とする。
【0014】
請求項6の発明は、請求項1ないし請求項5の発明において、前記瞬時流量と前記計測周期とから積算流量を求める積算手段を備え、前記流体はガスであることを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】
本実施形態では図2に示す構成のガスメータ1を想定する。ガスメータ1は、都市ガスのような燃料ガスの供給路(ガス流路)に配置された遮断弁2と、ガス流路において遮断弁の下流側に配置された圧力センサ3および瞬間流量計測部4とを備える。また、圧力センサ3および瞬間流量計測部4は、1チップマイクロコンピュータ(以下、「マイコン」と略称する)を主構成要素とする信号処理回路5に接続され、信号処理回路5では、圧力センサ3および瞬間流量計測部4の動作の制御、圧力センサ3および瞬間流量計測部4の出力による遮断弁2の制御、燃料ガスの流量の計測などを行う。燃料ガスの流量は図示しないカウンタにより表示される。瞬間流量計測部4には超音波流量計を用いており、従来の技術としても説明したように、ガス流路上に挿入した計測管11と、計測管11の上流側と下流側とにそれぞれ配置した送受波器12a,12bとを備える。
【0016】
信号処理回路5は図1に示す構成を有し、送受波器12a,12bがそれぞれ接続される2個の送受信回路21a,21bを備え、送受信回路21a,21bは集積回路からなる計測制御回路22に接続される。計測制御回路22はマイコン20により制御され、マイコン20では計測制御回路22から取得した情報に基づいてガス流量を計測する。また、マイコン20の内部クロックを発生させるためにマイコン20には水晶発振子のような発振子23が接続される。信号処理回路5の電源はリチウム電池のような電池24により供給される。
【0017】
送受信回路21a,21bは送受波器12a,12bと計測制御回路22との間の整合回路であって、計測制御回路22は、各送受波器12a,12bを送波用と受波用とに切り換える機能と、送受波器12a,12bを駆動して超音波を間欠的に発生させるための高周波信号を生成する機能と、送受波器12a,12bにより受信した超音波に対応する信号を波形整形して出力する機能とを備える。
【0018】
超音波の送波から受波までの伝播時間の計測はマイコン20が行っている。すなわち、マイコン20では以下に説明する機能がプログラムによって実現されている。マイコン20には、流量計測のタイミングを指示する計測タイミング生成部20aが設けられ、計測タイミング生成部20aによって流量計測が指示されるとマイコン20に設けられた瞬間流量演算部20bから計測制御回路22に対して計測が指示される。計測のタイミングについては後述する。計測制御回路22は、上述したように、両送受波器12a,12bの一方から超音波を送波させ、他方での超音波の受信タイミングに対応する信号を出力する。したがって、瞬間流量演算部20bは、超音波の送波から受波が予測される時間程度のゲート期間を設定し、ゲート期間内において超音波の受波に相当する信号が計測制御回路22から入力されたタイミングを超音波の受波のタイミングとみなし、超音波の送波から受波までの伝播時間を計測する。ここに、ゲート期間の時限および超音波の送波から受波までの伝播時間の計測には、発振子23により生成した高周波のクロック信号を用いる。つまり、クロック信号を瞬間流量演算部20bの内蔵カウンタで計数することによって計時する。瞬間流量演算部20bでは、100〜200μsecの残響時間を考慮した適宜の時間間隔で各送受波器12a,12bから超音波を送波し、超音波の送波毎に得られた超音波の伝播時間を瞬間流量に換算する。瞬間流量演算部20bによって瞬間流量を求める処理が1回の流量計測であって、計測タイミング生成部20aが瞬間流量演算部20bに対して流量計測を指示する時間間隔が計測周期になる。このように、瞬間流量演算部20bによる流量計測は計測周期で間欠的に行われる。
【0019】
マイコン20には、瞬間流量演算部20bで求めた瞬間流量を積算して積算流量を求める積算流量演算部20cも設けられる。積算流量演算部20cでは、瞬間流量演算部20bで求めた瞬間流量に計測周期を乗じた値を当該時間の積算流量として求め、バッファ20dに入力する。バッファ20dは前記当該時間の積算流量を積算し、図示しないカウンタに表示させる。この動作によってガスメータとしてガスの使用量を計測することができる。すなわち、積算流量演算部20cとバッファ20dとにより積算手段が構成される。
【0020】
ところで、従来構成において説明したように計測周期は複数種類から択一的に選択される。すなわち、計測タイミング生成部20aには複数種類の計測周期が用意されており、瞬間流量演算部20bで求めた瞬間流量の変化を監視する同期判定部25からの指示によって計測周期が選択される。計測周期を選択する処理手順を簡単に説明すると、図3に示すように、まず計測タイミング生成部20aでは選択されている計測周期から計測タイミングを決定し、瞬間流量演算部20bに流量計測を指示する(S1)。瞬間流量演算部20bでは瞬間流量を計測し(S2)、求めた瞬間流量に基づいて瞬間流量計測部4を通過するガスの圧力の脈動成分に関する脈動周期の整数倍と計測周期とが一致しているか否かを判定する(S3)。以下では、計測周期と脈動周期の整数倍とが一致する状態を計測周期の脈動周期に対する「同期」と呼び、脈動周期の整数倍と計測周期とが一致しているか否かを判定する処理を「同期判定ルーチン」と呼ぶ。ステップS3の同期判定ルーチンにおいて同期が検出されると、同期判定部25では計測タイミング生成部20aに対して計測周期の変更を指示する(S4)。計測周期の変更が指示された場合には、計測タイミング生成部20aは他の計測周期を選択し(S5)、計測周期の変更が指示されなければ同じ計測周期を維持する。計測周期には適宜に優先順位が設定されており、優先順位に従って計測周期が順に選択される。計測周期が決定されると、先に瞬間流量演算部20bで求めた瞬間流量から積算流量演算部20cにおいて求めた積算流量をバッファ20dに格納されている積算流量に積算する(S6)。以上の動作を繰り返すことによって、瞬間流量の計測を繰り返す間に、計測周期の脈動周期に対する同期の有無を判定するとともにガスの使用量を求めるのである。
【0021】
次に、同期判定部25における同期判定ルーチンについて説明する。同期判定部25は、基本的には、瞬間流量の時系列から求められる上側ピーク値と下側ピーク値との平均値を中間値とする中間値設定手段25aと、1回前の計測時の瞬間流量が中間値よりも小さい場合に、今回計測した瞬間流量が中間値より大きければこの瞬間流量を上側ピーク値とし、今回計測した瞬間流量が下側ピーク値よりも小さければこの瞬間流量を下側ピーク値とする第1のピーク検知手段25bと、1回前の計測時の瞬間流量が中間値よりも大きい場合に、今回計測した瞬間流量が上側ピーク値より大きければこの瞬間流量を上側ピーク値とし、今回計測した瞬間流量が中間値よりも小さければこの瞬間流量を下側ピーク値とする第2のピーク検知手段25cと、連続した複数回(たとえば、4回)の計測において瞬間流量が中間値を横切らないときに計測周期を変更するように計測タイミング生成部20aに指示する計測周期変更手段25dとからなる。
【0022】
同期判定部25の動作を、図4を用いて説明する。ここでは、過去の瞬間流量(つまり、瞬間流量の時系列)から後述する手順によって上側ピーク値Ps0と下側ピーク値Pi0とがすでに求められ、1回前の計測時における瞬間流量は中間値よりも小さいものとする。つまり、第1のピーク検知手段25bを用い、第2のピーク検知手段25cは用いない。また、瞬時流量の計測タイミングをr1,r2,r3とする。
【0023】
計測タイミングr1において瞬時流量q1を求めた時点では、中間値設定手段25aでは上側ピーク値Ps0と下側ピーク値Pi0との平均値を中間値m1としており、瞬時流量q1は中間値m1よりも小さく、下側ピーク値Pi0よりも大きいから、第1のピーク検知手段25bでは中間値m1は変更しない。また、瞬時流量q1が中間値m1よりも小さいから依然として第1のピーク検知手段25bを用いる。
【0024】
次に、計測タイミングr2において得られる瞬間流量q2は、下側ピーク値Pi0よりも小さいから下側ピーク値を瞬間流量q2に変更する。つまり、下側ピーク値がPi0からPi2(=q2)に変更される。また、下側ピーク値Pi2の変更に伴って中間値設定手段25aでは中間値m2(<m1)の変更を行う。ただし、瞬時流量q2は中間値m1よりも小さいから次の計測タイミングr3においても第1のピーク検知手段25bを用いる。
【0025】
図示例では計測タイミングr3で得られる瞬時流量q3が中間値m2よりも大きくなっているから、この場合には上側ピーク値を瞬時流量q3に変更し、上側ピーク値がPs0からPs3(=q3)になる。また、上側ピーク値Ps3の変更に伴って中間値設定手段25aでは中間値m3(<m2)の変更を行う。ここで、瞬時流量q3は中間値m2よりも大きいから次回の計測タイミングでは第1のピーク検知手段25bではなく第2のピーク検知手段25cを用いることになる。
【0026】
以上説明した動作によって、上側ピーク値および下側ピーク値と中間値とを瞬時流量に応じて変化させることになる。図5は瞬間流量(各黒丸が瞬時流量を示す)と上側ピーク値Psおよび下側ピーク値Piと中間値mとの関係を示している。ここで、図5の左端部を除く部分では瞬時流量の1〜3回の計測毎に瞬時流量が中間値mを横切っており、このような状態であれば計測周期が脈動周期に同期していないと判断してよいという知見に基づいて本発明はなされている。一方、瞬時流量が4回連続して中間値を横切らない場合には計測周期が脈動周期に同期している可能性があるものとして、計測タイミング生成部20aに対して計測周期の変更を指示するのである。
【0027】
同期判定部25の具体的な処理は図6、図7のようになる。上述のように同期判定部25は、前回の計測時に得られた瞬間流量と中間値との関係によって、第1のピーク検知手段25bと第2のピーク検知手段25cとのどちらを用いるかを選択するから、第1のピーク検知手段25bと第2のピーク検知手段25cとを選択するための状態フラグ(図示せず)を備えている。状態フラグが1であれば第1のピーク検知手段25bを用い、状態フラグが2であれば第2のピーク検知手段25cを用いる。そこで、まず状態フラグが1か2かが判定され(S1)、状態フラグが1であれば第1のピーク検知手段25bを用いる図6の処理が行われる。また、瞬時流量が中間値を横切らない連続回数を計数するために同期判断カウンタ(図示せず)を備える。
【0028】
すなわち、図6は前回の計測時の瞬間流量が中間値よりも小さかった場合であって、まず図3に示したステップS2で得られた瞬間流量を中間値と比較する(S2)。瞬間流量が中間値以下であれば、同期判断カウンタの計数値を1増加させる(S3)。また、瞬間流量と下ピーク値との大小を比較し(S4)、瞬間流量が下ピーク値よりも小さい場合には下ピーク値を瞬間流量に変更する(S5)。ここで、同期判断カウンタの計数値が閾値(たとえば3)を越えていれば(S6)、同期が生じているものと判断して計測周期の変更を指示し(S7)、瞬時流量を上側ピーク値として中間値を再度求める(S8)。さらに、状態フラグを2に設定して第2のピーク検知手段25cを選択する(S9)とともに、同期判断カウンタの計数値をリセットする(S10)。
【0029】
ステップS2において瞬間流量が中間値よりも大きいときには、瞬間流量が中間値を横切ったことになるから、上ピーク値を瞬間流量に変更し(S11)、同期判断カウンタの計数値をリセットする(S12)。さらに、第2のピーク検知手段25cを選択するために状態フラグを2にセットし(S13)、現状の計測周期が維持されるように指示する(S14)。また、ステップS6において同期判断カウンタの計数値が閾値以下である場合も現状の計測周期が維持されるように指示する(S15)。
【0030】
ステップS1において状態フラグが2である場合には第2のピーク検知手段25cが用いられるほかは図6に示した動作と同様の動作になる。つまり、図7は前回の計測時の瞬間流量が中間値よりも大きかった場合であって、まず図3に示したステップS2で得られた瞬間流量を中間値と比較する(S16)。瞬間流量が中間値以上であれば、同期判断カウンタの計数値を1増加させる(S17)。また、瞬間流量と上ピーク値との大小を比較し(S18)、瞬間流量が上ピーク値よりも大きい場合には上ピーク値を瞬間流量に変更する(S19)。ここで、同期判断カウンタの計数値が閾値を越えていれば(S20)、同期が生じているものと判断して計測周期の変更を指示し(S21)、瞬時流量を上側ピーク値として中間値を再度求める(S22)。さらに、状態フラグを1に設定して第1のピーク検知手段25bを選択する(S23)とともに、同期判断カウンタの計数値をリセットする(S24)。
【0031】
ステップS16において瞬間流量が中間値よりも小さいときには、瞬間流量が中間値を横切ったことになるから、下ピーク値を瞬間流量に変更し(S25)、同期判断カウンタの計数値をリセットする(S26)。さらに、第1のピーク検知手段25bを選択するために状態フラグを1にセットし(S27)、現状の計測周期が維持されるように指示する(S28)。また、ステップS20において同期判断カウンタの計数値が閾値以下である場合も現状の計測周期が維持されるように指示する(S29)。
【0032】
図6および図7に示した処理手順での状態フラグおよび同期判断カウンタの計数値の推移の一例を図8に示す。図8は図5の動作に対応するものであって、破線が状態フラグの変化を示し、図の右側に状態フラグの値を示してある。また、図8の実線は同期判断カウンタの計数値の変化を示し、図の左側に計数値を示してある。図示例では左端部において状態フラグが4回連続して「1」であって、同期判断カウンタの計数値が閾値である3を越えて4になっているから、瞬間流量が4回連続して中間値を横切らなかったことを意味する。したがって、この時点で別の計測周期が選択されることになる。計測周期が変更された後は、同期判断カウンタの計数値が3を越えることがないから、計測周期が脈動周期に同期していないものとみなすことができる。つまり、積算流量演算部20cの出力をバッファ20dで積算することにより得られるガスの使用量から圧力脈動の影響を除去でき、ガスの使用量の計測誤差を抑制することができる。言い換えると、瞬間流量計測部4を通過するガスの圧力が周期的な脈動成分を含むときに脈動周期の非整数倍になる計測周期であって瞬間流量計測部4で計測される瞬間流量の平均値が時間経過に伴って収束する計測周期を選択したことになる。
【0033】
ところで、上側ピーク値と下側ピーク値とは上述の方法以外の方法で設定してもよい。たとえば、設定された所定時間(たとえば、30sec)毎に計測された複数個(たとえば、10個)の瞬間流量の最大値を上側ピーク値とするとともに最小値を下側ピーク値として採用してもよい。この場合には上述したように第1のピーク検知手段25bと第2のピーク検知手段25cとを設ける代わりに、瞬間流量の最大値と最小値とを求めるピーク検知手段を設ければよい。ここに、上述した所定時間とは、中間値を求めることができる個数の瞬間流量を取得する時間であれば十分であり、瞬間流量のサンプリング数は10〜20個でよい。サンプリング間隔である測定周期は通常は1〜5sec程度であるから、上述した所定時間は10〜100秒の間の値になる。好ましい例としては測定周期は約3秒であるから、この場合には上述した所定時間は30〜60秒程度になる。
【0034】
さらに、上述の実施形態では中間値を上側ピーク値と下側ピーク値との平均値と設定したが、設定された所定時間毎の瞬間流量の移動平均を中間値に用いてもよい。この場合の所定時間は、瞬間流量の最大値および最小値をそれぞれ上側ピーク値および下側ピーク値とする場合の所定時間と同程度に設定すればよい。また、移動平均を用いるから上側ピーク値および下側ピーク値を求める処理は不要になる。
【0035】
なお、上述した実施形態において瞬間流量計測部4を超音波流量計で構成しているが、瞬間流量を計測することができるものであれば測定原理についてはとくに制限はない。また、超音波流量計を用いて瞬間流量を計測するにあたり、シングアラウンド法を用いてもよい。また、上述の実施形態ではガスの流量を計測する例を示したがガス以外の他の流体に本発明の技術を適用することも可能である。
【0036】
【発明の効果】
請求項1の発明の構成によれば、同期判定部では間欠的に計測される瞬間流量が規定の複数回の計測を行う間に中間値と瞬間流量との大小関係が逆転するか否かによって、瞬間流量の積算による圧力脈動の影響の除去が可能か否かを判断することができ、圧力脈動が生じている環境下において、複数種類の計測周期の中から脈動周期の整数倍ではない計測周期を瞬間流量が複数回計測される程度の比較的短い時間で選択することができるという利点を有する。すなわち、瞬間流量の計測毎に計測した瞬間流量と中間値とを比較し、連続した規定の複数回の計測を行う間において瞬間流量と中間値との大小関係が逆転しない場合は、計測周期が脈動周期に同期している可能性があるものと判断し、計測周期を変更することができる。しかも、実施形態で説明しているように瞬間流量を4回程度計測するだけで、計測周期と脈動周期との同期の可能性を判断することができるから、脈動周期に同期しない計測周期を短時間で選択することができる。
【0037】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記ピーク検知手段は、前回計測時の瞬間流量が中間値よりも小さい場合に、今回計測した瞬間流量が中間値より大きければこの瞬間流量を上側ピーク値とし、今回計測した瞬間流量が下側ピーク値よりも小さければこの瞬間流量を下側ピーク値とする第1のピーク検知手段と、前回計測時の瞬間流量が中間値よりも大きい場合に、今回計測した瞬間流量が上側ピーク値より大きければこの瞬間流量を上側ピーク値とし、今回計測した瞬間流量が中間値よりも小さければこの瞬間流量を下側ピーク値とする第2のピーク検知手段とを備えるものであり、この構成によって上側ピーク値と下側ピーク値とを求めることによって、上側ピーク値と下側ピーク値との間で求める中間値が流量変動の中心付近の適正な値になる。要するに、このようにして求めた中間値に対する瞬間流量の変化を求めることによって、瞬間流量の積算による圧力脈動の影響の除去が可能か否かを正確に判断することができる。
【0038】
請求項3の発明は、請求項1の発明において、前記ピーク検知手段は、設定された所定時間毎に計測された複数個の瞬間流量の最大値を上側ピーク値とするとともに最小値を下側ピーク値とするものであり、所定時間毎の瞬時流量の最大値と最小値とを求めるだけの簡単な処理で上側ピーク値と下側ピーク値とを決定することができる。
【0039】
請求項4の発明は、請求項1ないし請求項3の発明において、前記中間値設定手段は、前記上側ピーク値と前記下側ピーク値との平均値を中間値として設定するものであり、中間値を設定する演算が容易である。
【0040】
請求項5の発明の構成によれば、所定時間毎の瞬間流量の移動平均を中間値として設定するから、請求項1の発明と同様の効果に加えて、移動平均を用いることにより瞬間流量の突発的な変動による中間値の変動が防止される。
【0041】
請求項6の発明は、請求項1ないし請求項5の発明において、前記瞬時流量と前記計測周期とから積算流量を求める積算手段を備え、前記流体はガスであって、ガスメータに適用可能な構成を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示す要部ブロック図である。
【図2】同上を用いたガスメータを示すブロック図である。
【図3】同上の動作説明図である。
【図4】同上の動作説明図である。
【図5】同上の動作説明図である。
【図6】同上の動作説明図である。
【図7】同上の動作説明図である。
【図8】同上の動作説明図である。
【符号の説明】
4 瞬間流量計測部
20a 計測タイミング生成部
25 同期判定部
25a 中間値設定手段
25b 第1のピーク検知手段
25c 第2のピーク検知手段
25d 計測周期変更手段

Claims (6)

  1. 流体の流路に配設され通過する流体の瞬間流量を計測する瞬間流量計測部と、複数種類の計測周期を備え前記複数種類の計測周期から計測周期を択一的に選択し選択した計測周期で前記瞬間流量計測部に瞬間流量の計測を指示する計測タイミング生成部と、計測タイミング生成部に計測周期の変更を指示する同期判定部とを備え、
    前記同期判定部は、瞬間流量計測部で計測される瞬間流量の時系列から上側ピーク値と下側ピーク値とを求めるピーク検知手段と、前記上側ピーク値と前記下側ピーク値との間で中間値を設定する中間値設定手段と、瞬間流量の計測毎に計測した瞬間流量と中間値とを比較し連続した規定の複数回の計測を行う間において瞬間流量中間値との大小関係が逆転しないときに計測周期を変更するように計測タイミング生成部に指示する計測周期変更手段とを備えることを特徴とする流量計。
  2. 前記ピーク検知手段は、前回計測時の瞬間流量が中間値よりも小さい場合に、今回計測した瞬間流量が中間値より大きければこの瞬間流量を上側ピーク値とし、今回計測した瞬間流量が下側ピーク値よりも小さければこの瞬間流量を下側ピーク値とする第1のピーク検知手段と、前回計測時の瞬間流量が中間値よりも大きい場合に、今回計測した瞬間流量が上側ピーク値より大きければこの瞬間流量を上側ピーク値とし、今回計測した瞬間流量が中間値よりも小さければこの瞬間流量を下側ピーク値とする第2のピーク検知手段とを備えることを特徴とする請求項1記載の流量計。
  3. 前記ピーク検知手段は、設定された所定時間毎に計測された複数個の瞬間流量の最大値を上側ピーク値とするとともに最小値を下側ピーク値とすることを特徴とする請求項1記載の流量計。
  4. 前記中間値設定手段は、前記上側ピーク値と前記下側ピーク値との平均値を中間値として設定することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の流量計。
  5. 流体の流路に配設され通過する流体の瞬間流量を計測する瞬間流量計測部と、複数種類の計測周期を備え前記複数種類の計測周期から計測周期を択一的に選択し選択した計測周期で前記瞬間流量計測部に瞬間流量の計測を指示する計測タイミング生成部と、計測タイミング生成部に計測周期の変更を指示する同期判定部とを備え、前記同期判定部は、設定された所定時間毎の瞬間流量の移動平均を中間値として設定する中間値設定手段と、瞬間流量の計測毎に計測した瞬間流量と中間値とを比較し連続した規定の複数回の計測を行う間において瞬間流量中間値との大小関係が逆転しないときに計測周期を変更するように計測タイミング生成部に指示する計測周期変更手段とを備えることを特徴とする流量計。
  6. 前記瞬時流量と前記計測周期とから積算流量を求める積算手段を備え、前記流体はガスであることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の流量計。
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