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JP4163777B2 - リング状ベルトの搬送・着脱装置 - Google Patents

リング状ベルトの搬送・着脱装置 Download PDF

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JP4163777B2
JP4163777B2 JP01567798A JP1567798A JP4163777B2 JP 4163777 B2 JP4163777 B2 JP 4163777B2 JP 01567798 A JP01567798 A JP 01567798A JP 1567798 A JP1567798 A JP 1567798A JP 4163777 B2 JP4163777 B2 JP 4163777B2
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    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16HGEARING
    • F16H7/00Gearings for conveying rotary motion by endless flexible members
    • F16H7/24Equipment for mounting belts, ropes, or chains

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  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明リング状ベルトの製造装置に関するもので、詳しくは、ゴム伝動ベルトの製造工程において、スラブ(後述)を輪切りした後の処理加工(例えば、2軸間に懸回して行うスカイビング加工)を実施するために、リング状ベルトを各工程間を搬送し着脱する装置に関する。 ゴム伝動ベルトの製造工程は、心体、底ゴム等を円筒状に積層したもの(スラブともいう)を、ベルトのサイズに応じて輪切りした後(この状態の物をリング状ベルトという)、スカイビング(リング状ベルトを断面台形にカットすることをいう)、カバーリング(心体等をカバー材で覆うことをいう)、加硫等の工程を経て最終製品としてのゴム伝動ベルトが得られる。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば、一本ごとリング状にカットされた未加硫のリング状ベルトを、スカイビング、カバーリング等の工程を機械的に搬送し着脱するために、搬送と着脱とを別の装置の組み合わせた装置によることが通常である。従来の工程間移動(主として、リング状ベルトの受け渡し)の方法を、図6に示す工程図により説明する。(イ)前工程s-1からの受取り(「受取り」を△で示す)→(ロ)搬送手段H-1への受け渡し(「渡し」を▲で示す)→(ハ)自工程前ハンドリング装置への受け渡し→(ニ)ハンドリング装置から自工程への渡し→(自工程加工s-2)→(ホ)ハンドリング装置への受取り→(ヘ)搬送手段H-2への受け渡し→(ト)後工程前ハンドリング装置へ受け渡し→(チ)後工程に渡しという工程による。即ち、搬送手段、ハンドリング手段、加工手段(各工程)のそれぞれの間において受け渡しすることにより行われる(この例では8回)。
【0003】
詳しくは、搬送手段として図7に一例を示すように図示しない搬送コンベヤに吊着された組をなす2本の搬送用フック51に、前工程(仮想線)より引き渡されたリング状ベルト2を懸吊して搬送している。搬送用フック51よりこのリング状ベルト2を自工程の加工プーリ1に掛け替える装置を図8に示す。図8(a)はハンドリングアーム53の正面図を示し、図8(b)はその側面図を示す。図8(a)に示すハンドリングアーム53は、図示しない前後移動手段(前後とは、加工プーリ1に近づく方向を「前」とする)に吊着され、その下部に取り付けられた2本のアーム54によりリング状ベルト2を挟持し、前後移動手段により加工プーリ1の上方に移動して、アーム54を開いてリング状ベルト2を加工プーリ1に懸吊する。仮想線は開かれたアーム54を示し、実線のアーム54は閉ざされてリング状ベルト2を挟持した状態を示す。アーム54の内面にはスリップ防止のための凹凸を設けることが好ましい。図8(c)はリング状ベルト2を挟持したハンドリングアーム53を加工プーリ1の位置に移動した状態を説明する側面図である。ハンドリングアーム53,アーム54を仮想線で示し、その内側に位置する加工プーリ1及びテンションプーリ60を実線で示す。リング状ベルト2は、加工プーリ1に懸吊され、テンションプーリ60を下降させてそれらの間に懸回される。
【0004】
他の搬送手段は図9に斜視図を示すように、図示しない左右移動手段(左右とは、加工プーリ52の回転軸の軸心方向に垂直で水平な方向をいう)に吊着されたヨコ搬送用フック55により、前工程で処理又は加工を終了したリング状ベルト2を受け取り、自工程の前まで搬送する。自工程の前におけるヨコ移動用ハンドリングアーム56は、図10(a)に正面図を、図10(b)に側面図を示すように、図示しない前後移動手段に取り付けられた支持部59に支持されたエアシリンダ57の下部に、前後に開閉する把持部58を昇降可能に支持する。把持部58はその下部に開閉する一対の爪61を有して、リング状ベルト2を支持し、開放する。搬送用フック55により搬送されたリング状ベルト2が自工程前に停止すると、エアシリンダ57により、開放された把持部58をその爪61がリング状ベルト2の上部下側となるまで下降させ、その把持部58を閉じて(仮想線61’)リング状ベルト2を吊り上げる。図10(c)にリング状ベルト2を自工程の加工プーリ1上方に移動させた状態を示す側面図である。この位置で把持部58を下降させて加工プーリ1に接近させて把持部58を開放し、リング状ベルト2を加工プーリ1に懸吊した後、上昇させる。自工程による加工を終了した後、再度ハンドリングアーム56を下降させてリング状ベルト2を吊り上げて後方に移動してヨコ搬送用フック55に掛け替えて次工程に移動している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような搬送・着脱装置では、リング状ベルトを掛け渡す回数が多く掛け渡しによるエラーを生じることがあり、加工プーリに懸回したときのリング状ベルトの位置決めが不安定となることがある。即ち、先に図6により説明したように、各工程間を搬送するために搬送用フックとハンドリング装置との間、ハンドリング装置と加工プーリとの間においてリング状ベルトの受け渡しの必要を生じ、それぞれの受け渡しにおいてエラーを生じる危険性を含んでいる。又、ハンドリング装置により加工プーリに懸吊する際には、ベルトの種類、プーリの形状などによりベルトを懸吊する位置が変化し、その位置精度が加工精度に大きく影響するので、単に加工プーリの上部の一定位置でベルトを開放することではその加工精度を確保することができない。
【0006】
他の見方をすれば各ステップにおいて、受け渡しに所定の信頼性が要求され、位置精度にも所定の精度が要求され、これらが満足されない場合は作業全体の信頼性(直行率)を落とすこととなった。又、混合生産(品種(幅、厚み、周長方向剛性等)及びサイズ(心体周長等)が一定しない生産方式)によって一連の搬送・自動着脱が行われる場合は、これらの要件を満たすことが一層困難となる。例えば、心体幅の変更時には、加工プーリの加工中心とリング状ベルトの中心が一致しないこと(心体位置ずれという)がある。心体厚さ(心体周長方向剛性)変更時には、リング状ベルトの上部の曲がり(R形状)がベルト加工プーリのR形状に一致しないことによる装着の信頼性の低下がある。更にサイズ(心体周長)の変更時にも同様な問題がある。
【0007】
この発明は、上述の点に鑑みなされたもので、リング状ベルトを工程間において搬送・着脱する回数を低減してその工程の信頼性を向上し、更に加工プーリに懸回されたリング状ベルトの加工精度を向上させるリング状ベルトの搬送・着脱装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
【0014】
請求項1に記載の搬送・着脱装置は、伝動ベルトの製造工程において、前工程から自工程に、自工程から工程に至る工程間にリング状ベルトを搬送し加工プーリに着脱する装置であって、工程間搬送手段と装着手段とを一体としている。この装置は、従来のように搬送手段と着脱手段との間にリング状ベルトの受け渡し作業を必要とせず、この受け渡し作業による信頼性の低下を大幅に防止する。なお、加工プーリに替えて他の同様の形状を有する加工治具であってもよい。
【0015】
また、請求項1に記載の搬送・着脱装置は、前記工程間搬送手段が、前記工程間の上方に掛け渡された前記工程間フレームと、その工程間フレームに沿って移動可能に取り付けられた移動ベースとを備え、前記装着手段として、前記移動ベースの下部に取り付けられ前記加工プーリに近接又は離間する方向に移動可能な装着ベースと、その装着ベースの下部に取り付けられたハンガーアームと、そのハンガーアームの下部に取り付けられたハンガーガイドに前後に移動可能に取り付けられ、絶えず前方向に付勢されている上部半円筒状の装着ハンガーと、前記ハンガーアームの下部に支持され、前記装着ハンガーの上面に近接して取り付けられた半円形の装着プッシャとを備える。
【0016】
前記工程間の上方に工程間フレームを設け、その工程間フレームの下部に駆動手段により移動可能な前記移動ベースを取り付けて、その移動ベースに取り付けられた前記装着手段を、一の工程の前記加工プーリから次の工程の加工治具まで移動させる。その装着手段は、装着ベース、ハンガーアーム、装着プッシャ及び装着ハンガーを備え、前記装着ベースは前記装着プッシャと前記装着ハンガーを前後方向(前記加工プーリの方向を前とする)に移動する機能を有する。前記装着ベースは前記移動ベースに前後方向に移動可能に吊着され、その下部に前記ハンガーアームを取付け、更に、そのハンガーアームの下部に前記装着プッシャと前記ハンガーガイドとを備えている。前記装着プッシャは後述の前記装着ハンガーの上面に近接して取り付けられた半円形の平板であって、前記装着ハンガーに懸吊された前記リング状ベルトを、その上部を押して前記加工プーリに移動させ装着する。
【0017】
前記装着ハンガーは、その上面が前記加工プーリの上部形状(半円形)に対応する形状を有する伏せられた半円筒状であって、前記ハンガーアームの下部に取り付けられた前記ハンガーガイドの上部に前後に移動可能に取り付けられ、引きバネ等により絶えず前方向に付勢され、且つ、前記装着プッシャより前方向に突出している。前記加工プーリの形状に対応する半円筒状であるため、掛け渡し時に前記リング状ベルトの揺れが少なく、移動後の前記加工プーリへの装着位置も安定する。
【0018】
前記装着ベースを前記加工プーリの方向に接近させると、先ず、前記リング状ベルトを懸吊した前記装着ハンガーの先端が前記加工プーリの先端に当接し停止する。更に、前記装着ベースを前進させると前記装着ハンガーは前記ハンガーガイド上を摺動して前記装着ベースのみが前進する。前記装着ベースに取り付けられた前記装着プッシャも同時に前進して前記装着ハンガーに懸吊されていた前記リング状ベルトを前記加工プーリの所定の位置に移送する。前記リング状ベルトの掛け渡しを終了して前記装着ベースを後退する際には、前記装着ハンガーが所定長さ突き出すまで前記装着ベース(前記装着プッシャと共に)のみが後退し、前記装着ハンガーが所定長さ突き出した後は一体となって後退する。
さらに詳述すると、前記前工程において加工を終了した前記リング状ベルトを前記装着ハンガーに懸吊する。そのリング状ベルトを懸吊した前記装着ハンガーを前記自工程に移動して、前記装着ハンガーの先端(前記加工プーリに向かい合う端部をいう)を前記自工程の前記加工プーリに当接することにより、前記リング状ベルトを滑らせて容易に移動できる。なお、前記装着ハンガーの先端上面と前記加工プーリの先端上面の高さを同じとすることにより、前記リング状ベルトをよりスムーズに移動できる。この移動は、前記移動ベースに取り付けられた前記装着プッシャにより、前記装着ハンガーに懸吊された前記リング状ベルトを前記自工程の前記加工プーリの方向に押して移動する。移動終了後、前記装着ハンガーを後退させる。これにより、続く前記自工程に於ける加工を容易とする。
前記リング状ベルトの加工を終了した後、前記装着ハンガーの先端を前記自工程の前記加工プーリに当接する。前記装着ハンガーは前記前工程より前記リング状ベルトを搬送した前記装着ハンガーであっても、前記自工程と前記後工程間に使用されるものでも、又、別の装着ハンガーであってもよい。前記リング状ベルトの移動は、例えば、前記加工プーリの後方(加工プーリの軸側の方向をいう)に取り付けられた後述の脱荷プッシャによって、加工された前記リング状ベルトを前記装着ハンガーに移し替える。前記装着ハンガーに懸吊された前記リング状ベルトは、前記装着ハンガーにより前記後工程に移送されて1サイクルを終わる。
また、前記自工程の前記加工プーリが前記駆動軸に回転可能に支持され、前記加工プーリの上部に沿って所定の間隔を保って前後に移動可能に取り付けられた半円形の脱荷プッシャと、前記加工プーリの下方に近接して前記加工プーリに沿って旋回可能に取り付けられた脱荷ロータとを備えている。
前記脱荷プッシャとは、前記リング状ベルトを前記加工プーリより前記装着ハンガーに押し出す装置をいい(なお、この明細書ではプーリよりベルトを外すことを脱荷という)、前記加工プーリの上部形状に対応する半月形の板状である。加工工程は通常、駆動軸により回転される前記加工プーリとその下方にあって、昇降可能なテンションプーリとの間に前記リング状ベルトを懸回し、回転しながらカッティング等の加工を行う。本発明においては前記加工プーリの上部面に沿って前後(前記駆動軸の先端方向を前という)に移動できる前記脱荷プッシャを備え、当工程において加工を終了した前記リング状ベルトを前記装着ハンガーに移動させる機能を有する。即ち、加工を終了すると前記テンションプーリを上昇させ前記リング状ベルトを緩め、前記装着ハンガーの先端部を前記加工プーリの先端部に当接し、前記リング状ベルトの後方より前記脱荷プッシャを押し出して前記リング状ベルトを前記装着ハンガーに移動する。
前記加工プーリが溝部を有するプーリである場合等には、懸回された前記リング状ベルトを前記脱荷プッシャで前方に押しても移動できないので、前記加工プーリの下方に近接して準備された前記脱荷ロータを前記加工プーリの外周に沿って旋回させ、その上部まで移動させる。前記脱荷ロータは、前記加工プーリの外周面に合わせて曲面を形成した板状であって、前記加工プーリの外周に沿ってその上部まで旋回することにより、リング状ベルトを前記加工プーリより離間させ浮いた状態で支持する。これによって前記脱荷プッシャが前記リング状ベルトを前記装着ハンガーにスムーズに移送可能となる。
【0019】
請求項2に記載のリング状ベルトの搬送・着脱装置は、前記装着プッシャの下方にあって前記装着ベースの下部に水平に取り付けられ、前記加工プーリのサイズに合わせて前記装着プッシャの移動距離を調整する装着ストッパを備えている。この装着ストッパは、前記装着プッシャと前記加工プーリの間隔を制御するものであって、前記ハンガーアームの下部に取付けられ、前記装着プッシャ(前記装着ベース)を前進させ前記リング状ベルトを前記加工プーリ上の所定の位置に押し出したとき、その先端が前記加工プーリに当接する長さに設計されている。即ち、前記装着ストッパが前記加工プーリに当接する位置において前記リング状ベルトが前記加工プーリの適正な位置に装着され、ベルト幅の変更に当たって、前記装着ストッパの長さを変更することにより懸吊する位置を正確に定めることができる。
【0020】
請求項3に記載のリング状ベルトの搬送・着脱装置は、前記加工プーリが駆動軸に着脱可能であって、前記装着ストッパが当接する側のフランジ部の厚さが所定の厚さに形成されている。
【0021】
前記加工プーリが前記駆動軸に着脱可能であるので、前記リング状ベルトの幅に応じて前記加工プーリを交換する。そこで前記加工プーリの前記装着ストッパが当接する側の前記フランジ部の厚さを所定の厚さに形成することにより、所定範囲の幅を有する前記リング状ベルトを加工するとき、前記加工プーリを交換することのみで段取り替えできる。即ち、幅の違う前記リング状ベルトを加工する際には、そのベルト幅に対応するベルト取付け部を有し、前記装着ストッパを当接する前記フランジ部が所定の厚さに形成された前記加工プーリを前記駆動軸に取り付けて、前記リング状ベルトを懸吊した前記装着ハンガーを前記加工プーリの側面に当接した後、前記装着プッシャを前記装着ストッパが前記加工プーリに当接するまで前進させると、前記リング状ベルトは前記加工プーリの所定の位置に懸吊される。前記加工プーリの前記装着ストッパが当接する側の前記フランジ部を所定の厚さに形成することにより、前記装着ハンガーが前記加工プーリに当接した後、前記装着プッシャの移動距離が一定となるので、前記装着ストッパを調節することなく、前記加工プーリを取り替えるのみでワンタッチで段取り替えできる。
【0024】
請求項4に記載のリング状ベルトの搬送・着脱装置は、前記前工程と前記自工程、同自工程と前記後工程との間隔が同じであって、その間隔と同じ間隔に連結された2基の前記移動ベースを取り付けている。各工程間の前記リング状ベルトの移動を各工程のタクトに合わせる場合(各工程の加工時間を近似する設計とする)、前記移動ベースを複数個準備し、それらの間隔を各工程間の距離を同じにすることにより、各工程において同時に前記装着ハンガーを前記加工プーリに当接し、前記リング状ベルトの装着又は脱荷操作を同時に行うことができる。この操作を終了後、前記移動ベースは一体として移動前の位置に復帰する。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る搬送・着脱方法及び装置について各実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0026】
図1はこの実施例にかかる装置の装着ハンガー3の支持機構を示し、図1(a)はその正面図であり、図1(b)はその側面図を示す。図2は、図1に示す装置の装着ハンガー3部分の背面図である。図3は装着ストッパ33の作用を説明する側面図を示し、図3(a)は装着作業開始前の状態を示し、図3(b)は装着作業終了時の状態を示す。図4は加工プーリ1と脱荷プッシャ4の位置関係を示し、図4(a)はその側面図を示し、図4(b)はその正面図を示す。図5は本発明のリング状ベルトの工程間移動を表す工程図を示す。
【0027】
本発明にかかる搬送・着脱装置による搬送・着脱方法は図5に示すように、従来の方法(前述、図6)に対してリング状ベルトを押出し又は渡す作業(▲印で示す、脱荷作業ともいう)とリング状ベルトを受け取る作業(△印で示す)の回数を大幅に減少させることができる特徴がある。即ち、従来は、搬送・装着装置として工程間搬送手段と着脱手段とを別々の装置としていたため各工程において、これらの装置間及び装着装置と加工プーリとの間で受け渡しが必要であったが、本発明の搬送・着脱装置によれば搬送及び装着が、同一の装着ハンガーにより可能となることにより、受け渡し回数が半減し(8回→4回)、受け渡しによるエラーが減少することにより搬送・装着作業の信頼性が大きく改善された。
【0028】
本発明に係る装置は図1に示すように、前記工程間搬送手段として、工程間の上方に掛け渡された工程間フレーム20と、その工程間フレーム20の下部に取り付けられた搬送レール8’と、駆動手段(駆動ベルト7等)により搬送レール8’に沿って移動可能に取り付けられた移動ベース13とを備える。この移動ベース13は、その下部にハンガーアーム12を介して後述の装着ハンガー3を支持して工程間を移動させる。
【0029】
この移動ベース13の動きは、図11に示すように前工程s-1と自工程s-2との間隔(矢印p-1)と、自工程s-2と後工程s-3との間隔(矢印p-2)とを等間隔とし、これらの間隔(矢印p-1,p-2)と同じ間隔を有して2基の装着ハンガー3をセットとして移動ベース13に取り付けて同時に移動する(この実施例では移動ベースを2基とし、これらが連結されて一体として動く)。よって、次の(a)及び(b)の作業を同時に行うことができる。(a)前工程 s-1 においてリング状ベルト2を第1の装着ハンガー3に懸吊した後、その第1の装着ハンガー3を自工程 s-2 に移動してその先端を自工程 s-2 の加工プーリ1に当接して、リング状ベルト2を自工程 s-2 の加工プーリ1に移し替える。(b)第2の装着ハンガー3の先端を自工程 s-2 の加工プーリ1の先端に当接して自工程 s-2 において加工されたリング状ベルト2を第2の装着ハンガー3に移し替えた後、そのリング状ベルト2を後工程 s-3 に搬送し、後工程 s-3 の加工治具(加工プーリ)に移し替える。
これによって、前工程s-1のリング状ベルト2(ワークともいう)を自工程s-2に、自工程s-2のワークを後工程s-3に移動する作業を同時に行うことができる。また、各工程において同時に装着ハンガー3を加工プーリ(図示せず)に当接し、リング状ベルト2の装着又は脱荷操作を同時に行うことができる。
このような作業は、各工程の加工時間を近似させ、工程間距離を同じにすることにより実現できる。複数工程間でワークの移動を同時に行うことにより、工程管理が容易になり、また、作業エラーの多い移動時の確認作業も容易になる。つまり、リング状ベルトを移動させるときのエラーが発生し易いため移動時には作業者が監視することが通常であるが、各工程の加工時間が近似する複数工程間を移動する場合に、複数工程に於ける搬送・着脱作業を同時に行うことで、工程の停止時間を減少し、また、監視、管理の作業を容易とする。
【0030】
図1(a)、図1(b)に示すように、移動ベース13の下部には、着脱手段として、(イ)前後移動手段10により加工プーリ1に接近(前)又は離間する(後)方向に移動される装着ベース11と、(ロ)その装着ベース11の下部に取り付けられたハンガーアーム12と、(ハ)ハンガーアーム12の下部に取り付けられたハンガーガイド5に前後に移動可能に載置され、絶えず前方向に付勢されている半円筒状の装着ハンガー3と、(ニ)ハンガーアーム12に支持され、装着ハンガー3の上面に近接して取り付けられた半円形の装着プッシャ4とを備えている。
【0031】
前後移動手段10は、通常、エアシリンダ、送りねじ等が使用され、装着ベース11、ハンガーアーム12を介して装着プッシャ4,装着ハンガー3をベルト加工プーリ1に近接・離間する機能を果たす。装着ベース11は、装着ガイド9を介して移動ベース13に前後方向に移動可能に吊着され、その下部に装着プッシャ4等を支持するハンガーアーム12を取り付けている。ハンガーアーム12の下部には、装着ハンガー3を支持するハンガーガイド5、装着プッシャ4を取り付けている。ハンガーガイド5には、ハンガーレール5’を介して、伏せた半円筒形である装着ハンガー3を前後に摺動可能に取り付けている。その装着ハンガー3は、ハンガーアーム12に一端を取り付けたスプリング6により常時前方向に付勢されている(図3(a)参照)。装着プッシャ4は、装着ハンガー3の上面形状に対応する下面形状を有し、ハンガーアーム12の下部に装着ハンガー3の上面に接近して取り付けられている。
【0032】
装着ベース11がベルト加工プーリ1より離間しているときは、装着ハンガー3はスプリング6(詳細後述、図3参照)により常時前方向に付勢され、装着プッシャ4より前方に突き出している(図1(b))。装着ベース11が加工プーリ1の方向に移動すると、先ず、装着ハンガー3の先端がベルト加工プーリ1に当接・停止し、更に移動するとスプリング6が伸張され装着ハンガー3はその位置に停止して装着プッシャ4のみが前進する(図3参照)。これによって図1(b)に側面図、図2に背面図で示すように、装着ハンガー3に懸吊されたリング状ベルト2は、加工プーリ1の上部に送り出され懸吊される。その後、装着ベース11を後退させ、プリング6が収縮終了すると装着ハンガー3も一体となって後退する。
【0033】
図2には図1(a)に示す装着ハンガー3の部分の背面図を示す。詳しくは、ハンガーガイド5の上に、スプリング6に付勢された装着ハンガー3の上面にリング状ベルト2が懸吊され、そのリング状ベルト2の後方に装着用プッシャ4が備えられていることを示す。
【0034】
本実施例では図3に示すように、装着プッシャ4の下方にあってハンガーアーム12の下部に水平かつ前後方向に向けて取り付けられた棒状または円弧状の装着ストッパ33を備える。装着ストッパ33は、装着プッシャ4と加工プーリ1の間隔を調整するものであって、装着プッシャ4を前進させリング状ベルト2が加工プーリ1の所定の位置に押し出されたとき、装着ストッパ33の先端が加工プーリ1の側面に当接する長さに設計されている。図3(a)は装着ベース11を加工プーリ1の方向に移動して装着ハンガー3の先端が加工プーリ1に当接した状態を示し、図3(b)は更に装着ベース11を前進させ装着プッシャ4によりリング状ベルト2を前方に押して加工プーリ1に懸吊した状態を示す。装着ハンガー3が加工プーリ1に当接した後は、スプリング6が伸張され、装着ハンガー3は後方に残され、装着ストッパ33が加工プーリ1に当接するまで装着プッシャ4のみを移動してリング状ベルト2を加工プーリ1に押し出す。
【0035】
装着ストッパ33は、装着ベース11の移動距離を制限し、ベルト幅の変更に当たって、この装着ストッパ33の長さを変更することより、リング状ベルト2を懸吊する位置を正確に定めることができる。なお、装着ハンガー3の先端がベルト加工プーリ1に当接したとき、それぞれの上端面高さが同じになるように設計され、リング状ベルト2を受け渡しするときスムーズに移動できる。
【0036】
なお、加工プーリ1は回転軸41にワンタッチで着脱可能に取り付けられ、加工されるリング状ベルト2の品種、特にベルト幅を変更するときにはこの加工プーリ1を交換する。図12によりリング状ベルトの幅をaよりbに変更する場合を説明する。図12(a)はリング状ベルト2の幅の応じて加工プーリ1のベルト取付け部40の幅をaに設定している。このときの装着ストッパ33の当接する側のフランジ部42の厚さをfとしている。リング状ベルト2の幅をbとすると図12(b)に示すように、加工プーリ1’のベルト取付け部40’の幅をbとする。このときフランジ42’の厚さを、ベルト幅がaである加工プーリ1のフランジ部42の厚さと同じfとすることにより、装着プッシャ4の移動距離を変更することなく、即ち、装着ストッパ33を調整することなくリング状ベルト2を所定の位置に装着できる。
【0037】
加工手段との関係、加工プーリの取付け方法との関係などにより、加工プーリ1の総厚さと加工プーリ1’の総厚さとを同じにする必要があり、且つ、リング状ベルト2の中心線をベルト品種に関わらず同じにする必要がある(加工機のセンターを合わせる)とき、リング状ベルト2の幅が広くなるに従ってフランジ部の厚さが薄くなるので、図12(b)に示すようにフランジ部42’の外側に厚さがcである補助円板43を取り付ける。cの厚さは計算式(a+b)/2により計算される。
【0038】
加工プーリ1に懸吊されたリング状ベルト2は、図示しないテンションロールとの間に懸回され、所定の加工が行われ、その加工が終了すると上記テンションロールが緩められ、加工プーリ1の先端に装着ハンガー3の先端が再び当接される。本実施例では図4に示すように、加工後のリング状ベルト2を装着ハンガー3に引き取るために、その加工プーリ1の上部面に沿って前後に移動可能に取り付けられた半円形の脱荷プッシャ31と、懸回されたリング状ベルト2の内側にあって、加工プーリ1の外周に沿って上方に旋回可能な板状の脱荷ロータ32を備えている。
【0039】
加工工程は通常、駆動軸により回転される加工プーリ1とその下方にあって、昇降可能なテンションプーリ(図示せず)との間にリング状ベルト2を懸回し、回転しながらカッティング等(図示せず)の加工を行う。本実施例においては図4(a)に側面図を、図4(b)に正面図を示すように、加工プーリ1の上部面に沿って前後(回転軸の先端方向を前という)に移動できる脱荷プッシャ31を備えている。脱荷プッシャ31は、その形状が図4(b)に示すような加工プーリ1の上面の曲面に沿った下面形状を有する板状体であり、図4(a)に示すようにリング状ベルト2の後方に図示しない前後移動手段により支持されている。リング状ベルト2の加工を終了するとテンションプーリを上昇させてリング状ベルト2を緩め、加工プーリ1の先端部に装着ハンガー3の先端部を当接して、脱荷プッシャ31を前方に押し出してリング状ベルト2を装着ハンガー3に移動する(仮想線31’、2’の位置)。
【0040】
また、本実施例では、ベルト加工プーリ1がV型プーリであり、リング状ベルト2の内側にあって加工プーリ1の下方に近接し(仮想線32’の位置)、加工プーリ1の外周に沿って(矢印xの方向に)旋回可能に取り付けられた脱荷ロータ32とを備える。脱荷作業は、脱荷プッシャ31を押し出す前に脱荷ロータ32を旋回させて加工プーリ1の上部(実線で示す脱荷ロータ32の位置)に移動させてリング状ベルト2をその加工プーリ1の上面より高い位置に支持し、脱荷プッシャ31を仮想線31’の位置まで前進させてリング状ベルト2をスムーズに装着ハンガー3に移送される。なお、加工プーリ1が平型プーリの場合は、脱荷プッシャ31は省略することができることがある。
【0041】
【発明の効果】
以上説明したことから明らかなように、本発明のリング 状ベルトの搬送・着脱装置は、次のような優れた効果がある。
【0044】
請求項1の搬送・着脱装置では、搬送手段と装着手段とを同一の装着ハンガーによることで、受け渡し作業が減少し、受け渡しによるエラーが少なくなる。つまり、各工程間においてリング状ベルトを搬送する場合、搬送手段と装着手段の間の受け渡し作業が無くなり、その作業に係る受け渡しミスによる信頼性の低下が避けられる。
【0045】
また、リング状ベルトを加工プーリに装着する際に、装着プッシャによりリング状ベルトを、装着ハンガーに沿って水平方向に摺動させて移動することにより、リング状ベルトが揺動することが無く、加工プーリの正確な位置に装着できる。
一方、脱荷ロータによりリング状ベルトを加工プーリより浮き上がらせることにより、脱荷プッシャにより加工済みリング状ベルトを加工プーリより脱荷し、装着ハンガーに容易に懸吊できる。
請求項2の搬送・着脱装置では、装着ストッパにより装着プッシャの送り出し量を調整することができる。リング状ベルトのサイズ変更時にも容易に押しだし量を調整できるので加工プーリ上でのリング状ベルトの位置精度が向上する。
【0046】
請求項3の搬送・着脱装置では、加工プーリの装着ストッパの当接する側のフランジ部を所定の厚さに形成することにより、装着ストッパの調整を必要とせず、リング状ベルトの幅に応じてベルト取付け部の幅を調整した加工プーリを取り付けることによって段取り替えを終了する。
【0047】
請求項4の搬送・着脱装置では、各工程の間隔と装着ハンガーの間隔を同じにすることにより、複数工程間のリング状ベルトの移動のタイミングを同時とすることができ、加工機の停止時間を減少し、管理作業を単純にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例にかかる装置の主要部を示し、図1(a)は正面図を示し、図1(b)は図1の装置の側面図を示す。
【図2】図1に示す装置の一部(装着ハンガー部)の背面図である。
【図3】本実施例に係る装着ストッパの作用を説明する側面図を示し、図3(a)は装着作業開始前の状態を表す側面図を示し、図3(b)は装着作業終了時の状態を表す側面図である。
【図4】本実施例の加工プーリと脱荷プッシャの位置関係を示し、図4(a)はその側面図で、図4(b)はその正面図である。
【図5】本発明の実施例におけるリング状ベルトの工程間移動を表す概念図である。
【図6】従来の搬送・着脱方法によるリング状ベルトの工程間移動を表す概念図である。
【図7】従来の搬送方法の前後移動方式に使用された搬送用フックを表す斜視図である。
【図8】従来の装着方法に使用された前後移動方式によるハンドリングアームを表し、図8(a)はその正面図を示し、図8(b)はその側面図を示し、図8(c)はリング状ベルト2をベルト加工プーリ1に懸吊した状態を説明する側面図を示す。
【図9】従来の搬送方法のヨコ移動方式に使用された搬送用フックを表す斜視図である。
【図10】従来の装着方法に使用されたヨコ移動方式によるハンドリングアームの動きを表し、図10(a)はその正面図を示し、図10(b)はその側面図を示し、図10(c)はリング状ベルト2をベルト加工プーリ1の上方に移動した状態を表す側面図である。
【図11】本発明の搬送装置のレイアウトの概要を表す正面図である。
【図12】加工プーリのフランジ部を説明するための図で、図12(a)はリング状ベルトの幅が狭い場合を示す側面図、図12(b)はリング状ベルトの幅が広い場合を示す側面図である。
【符号の説明】
1:ベルト加工プーリ
2:リング状ベルト
3:装着ハンガー
4:装着プッシャ
6:プッシュスプリング
7:駆動ベルト
8:搬送ガイド
9:装着ガイド
10:前後移動手段
11:装着ベース
12:ハンガーアーム
13:移動ベース
20:工程間フレーム
31:脱荷プッシャ
32:脱荷ロータ
33:装着ストッパ
51、55:搬送用フック
53:ハンドリングアーム

Claims (4)

  1. 伝動ベルトの製造工程において、前工程から自工程に、自工程から後工程に至る工程間にリング状ベルトを搬送し加工プーリに着脱する装置であって、工程間搬送手段と装着手段とを一体としたリング状ベルトの搬送・着脱装置において
    前記工程間搬送手段が、前記工程間の上方に掛け渡された工程間フレームと、その工程間フレームに沿って移動可能に取り付けられた移動ベースとを備え、前記装着手段として、前記移動ベースの下部に取り付けられ前記加工プーリに近接又は離間する方向に移動可能な装着ベースと、その装着ベースの下部に取り付けられたハンガーアームと、そのハンガーアームの下部に取り付けられたハンガーガイドに前後に移動可能に取り付けられ、絶えず前方向に付勢されている上部半円筒状の装着ハンガーと、前記ハンガーアームの下部に支持され、前記装着ハンガーの上面に近接して取り付けられた半円形の装着プッシャとを備え、前記加工プーリが駆動軸に回転可能に支持されており、その加工プーリの上部に沿って所定の間隔を保って前後に移動可能に取り付けられた半円形の脱荷プッシャと、前記加工プーリの下方に近接して前記加工プーリに沿って旋回可能に取り付けられた脱荷ロータとを備えていることを特徴とするリング状ベルトの搬送・着脱装置。
  2. 前記装着プッシャの下方にあって前記ハンガーアームの下部に水平に取り付けられ、前記加工プーリのサイズに合わせて前記装着プッシャの移動距離を調整する装着ストッパを備えていることを特徴とする請求項1に記載のリング状ベルトの搬送・着脱装置。
  3. 前記加工プーリが前記駆動軸に着脱可能であって、前記装着ストッパが当接する側のフランジ部が所定の厚さに形成されていることを特徴とする請求項2に記載のリング状ベルトの搬送・着脱装置。
  4. 前記前工程と前記自工程、同自工程と前記後工程との間隔が同じであって、その間隔と同じ間隔に連結された2基の前記移動ベースを備えていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のリング状ベルトの搬送・着脱装置。
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