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JP4161468B2 - X線ct装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、患者や物体などの被射体にX線を外拡がりのコーン状に照射して撮像するコーンビーム型のX線CT装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来において、被射体の断層像を撮像する場合、撮像対象に応じ、事前に撮像した被射体の透視像を基にして、撮像範囲や撮像すべき断層像の位置、ならびに、例えば、10mm間隔などの断層像の撮像ピッチを設定する、いわゆるスキャン計画を立て、そのスキャン計画に基づいて、撮像開始位置に合うように被射体と装置との相対位置を決め、しかる後に、装置を作動させている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の場合、スキャン計画の際に、被射体の透視像を基にしているものの、実際の撮像開始位置の決定の際には、透視像ではなく、そのときの被射体を基準にしている。そのため、装置に対する被射体の位置に誤差が有ると、撮像範囲にズレを生じて所望の断層像が得られない問題があった。
【0004】
また、例えば、被射体が患者のような場合には、胃全体や腹部全体などのように撮像範囲が体の幅方向に広い場合、食道や脊髄などのように撮像範囲が体の幅方向に狭いが体軸方向には広い場合、更には、肝臓などのように撮像範囲が体の幅方向および体軸方向のいずれにも狭い場合など、撮像対象も様々である。
【0005】
そのために、X線CT装置では、X線源において絞りなどを備え、被射体に照射するX線の視野の大きさを変更できるようにしている。
ところが、従来の場合、このようなX線の視野は、スキャン計画の際に撮像対象に応じて一義的に決定され、殊に視野の大きさが小さい場合に、実際の撮像時の被射体とX線の視野との相対位置に誤差を生じやすく、所望の断層像が得られない問題があった。
【0006】
この発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、実際の撮像時の被射体の透視像に基づき、被射体に対する撮像範囲、ならびに、再構成すべき断層像の位置を適切に設定できるようにして、所望の断層像を適切に得ることができるようにすることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明のX線CT装置は、前述のような目的を達成するために、被射体にX線を外拡がりのコーン状に照射するX線源と、被射体に照射するX線の視野の大きさを変更する照射野変更手段と、被射体を通った外拡がりのコーン状のX線を入射する面検出器と、前記X線源を被射体と相対的に回転する回転手段と、前記X線源および前記面検出器を前記被射体と相対的に前記X線源の回転軸芯方向に移動する移動手段と、前記面検出器で検出したX線の投影データを収集するデータ収集ユニットと、前記データ収集ユニットで収集された投影データに基づいて透視像および断層像を再構成する再構成処理部と、前記再構成処理部で再構成された透視像または断層像の少なくとも一方を選択して表示する表示手段と、被射体に照射するX線の視野を透視像と重複して表示するX線視野表示手段と、前記表示手段で表示された透視像に基づいて被射体に対する撮像範囲を設定する撮像範囲設定手段と、前記表示手段で表示された透視像に基づいて再構成すべき断層像の位置を設定する再構成画像位置設定手段と、前記再構成画像位置設定手段で設定された断層像の位置に基づいて、その位置に対応する断層像を前記再構成処理部で再構成させて前記表示手段に表示させる設定断層像抽出手段とを備えて構成する。
【0008】
〔作用〕
この発明の作用は次のとおりである。
この発明のX線CT装置の構成によれば、実際の撮像時において、先ず、被射体に対してX線を照射し、そのX線の投影データを面検出器で検出してデータ収集ユニットに収集し、その収集された投影データに基づいて再構成処理部で透視像を再構成する。その再構成された透視像を表示手段に表示するとともに、X線視野表示手段によりX線の視野を透視像と重複して表示し、その表示された透視像を視覚的に確認しながら、被射体に対する撮像範囲、ならびに、再構成すべき断層像の位置を設定することができ、その設定された位置の断層像を、設定断層像抽出手段によって表示手段に表示することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
次に、この発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【0010】
図1は、この発明に係るX線CT装置の全体概略断面図であり、この図において、1は、被射体としての患者Hを載せる上下動可能なベッドを示し,モータなどの昇降装置2(図2参照)によって昇降可能に設けられたベッド基台3に、移動手段としての正逆転可能な移動モータ4を介して、患者Hを搭載した天板5を水平方向に移動可能に設けて構成されている。上記移動手段としてはエアシリンダなどを用いて構成するものでも良い。
【0011】
また、図中6はガントリを示し、このガントリ6に、患者Hを搭載した天板5を挿抜する挿通孔7が貫通形成されるとともに、その挿通孔7を囲むようにX線源8と面検出器9とが設けられている。
【0012】
ガントリ6には、ボールベアリング10を介して回転自在に環状の架台11が設けられ、この架台11と回転手段としての回転モータ12とがベルト13を介して連動連結され、架台11に、水平方向の軸芯P周りで互いに対向して一体的に回転するようにX線源8と面検出器9とが設けられ、更に、面検出器9には、その面検出器9で検出したX線の投影データを収集するデータ収集ユニット(DAS)14が付設されている。
【0013】
図2は、この発明に係るX線CT装置の概略構成を示すブロック図であり、X線源8が、X線を照射するX線管15と、X線管15から照射されるX線の視野を絞るコリメータ16とから構成され、四角形状の面検出器9に対して、外拡がりのコーン状(円錐状)のX線を照射できるように構成されている。
【0014】
ガントリ6の上部に、投光器17と受光器18とから成る光センサ19の二組が設けられ、X線管15の位置を検出できるように構成されている。また、移動モータ4に、その回転量を検出するロータリーエンコーダ20が付設され、天板5の移動量を検出できるように構成されている。
【0015】
図2に示すように、データ収集ユニット14には、そこで収集された投影データに基づいて透視像および断層像を再構成する再構成処理部21が接続され、その再構成処理部21に、表示手段としての画像表示装置22が接続され、再構成処理部21で再構成された透視像や断層像を表示するように構成されている。
【0016】
コリメータ16には、X線管15から患者Hに照射するX線の視野の大きさを変更する照射野変更手段としての絞り用モータ23が付設され、撮像対象の大きさや患者Hの大きさなどに合わせてX線の視野の大きさを変更できるように構成されている。上記照射野変更手段としては、電圧の印加によって非透過状態から透過状態に切り替わる素子の集合体によって構成するものでも良い。
【0017】
昇降装置2、移動モータ4、回転モータ12、データ収集ユニット14、X線管15、再構成処理部21および絞り用モータ23が制御装置24に接続され、その制御装置24に操作部25が接続されている。図示していないが、光センサ19およびロータリーエンコーダ20も制御装置24に接続されている。
【0018】
操作部25には、絞り用モータ23を駆動して絞りを調節する絞り用ダイアル26と、それぞれ設定キーと終了キーなどによって構成される撮像範囲設定手段27および再構成画像位置設定手段28が備えられている。
【0019】
また、制御装置24にはX線視野表示手段29が接続され、そのX線視野表示手段29と画像表示装置22が接続され、画像表示装置22に透視像が表示されている状態で、その透視像と重複して患者Hに照射するX線の視野を表示できるように構成されている。
【0020】
そして、表示された透視像に対して視野を移動し、透視像に基づいて視野の位置を視覚的に確認しながら、撮像範囲設定手段27により、撮像開始位置と撮像終了位置とを設定できるようになっている。また、同様に、透視像に基づいて視野の位置を視覚的に確認しながら、再構成画像位置設定手段28により、再構成すべき断層像の位置を設定できるようになっている。
【0021】
更に、制御装置24には設定断層像抽出手段30が接続され、その設定断層像抽出手段30と再構成処理部21が接続され、再構成画像位置設定手段28で設定された断層像の位置に基づいて、その位置に対応する断層像を再構成処理部21で再構成させ、画像表示装置22に表示できるようになっている。
【0022】
次に、上記構成による断層像の撮像手順について説明する。
▲1▼X線管15を最上方位置にした状態で固定するとともに、絞り用ダイアル26により、コリメータ16によるX線の視野の大きさを最大にしておく。患者Hが小さいなどの場合には、胸部や腹部の全幅にわたる視野が確保できる限りにおいて、適宜絞っても良い。
【0023】
▲2▼患者Hを載せた状態で昇降装置2を駆動し、回転軸芯Pよりも低い位置までベッド基台3を上昇させ、その後に、移動モータ4を駆動して天板5をガントリ6側に移動し、頭部からとか胸部からなど、予め撮像を予定していた箇所を照射開始位置としてX線管15からX線を照射し、そのX線を面検出器9で検出し、その検出したX線の投影データをデータ収集ユニット14で収集し、その収集された投影データに基づいて再構成処理部21で透視像を再構成し、その透視像HZを、図3の(a)の画像表示例の正面図に示すように、画像表示装置22に表示する。ここで、ベッド基台3を回転軸芯Pよりも低い位置までしか上昇させないのは、天板5を極力面検出器9に近づけ、患者Hに対するX線源8の照射範囲が広くなるようにするためである。
【0024】
▲3▼次いで、移動モータ4を逆転駆動して、X線照射開始箇所まで天板5を戻すとともに、昇降装置2を駆動して、患者Hの体軸が回転軸芯P相当箇所になるように、すなわち、断層像の撮像時と同じ位置になるように天板5を上昇させ、その状態で、X線視野表示手段29により、透視像HZに重複してX線の視野Sを表示し、更に、透視像HZとの相対位置を確認しながら、絞り用ダイアル26により、撮像対象に合うように視野Sの大きさを設定調整する[図3の(b)参照]。
【0025】
▲4▼しかる後、透視像HZとの相対位置を確認しながら、視野Sを移動し、撮像を開始しようとする位置で停止させて設定キーを操作し、更に、視野Sを移動し、撮像を終了しようとする位置で停止させて終了キーを操作し、撮像範囲設定手段27により、撮像開始位置L1と撮像終了位置L2とを設定し、その位置L1,L2を画像表示装置22に表示させる[図3の(b)参照]。
【0026】
▲5▼次いで、画像を切り替え、前述の撮像開始位置L1と撮像終了位置L2とに基づいて定まる再構成エリアAを画像表示装置22に表示させ、その再構成エリアAを視覚的に確認しながら、断層像を撮像したい領域の撮像開始箇所に円形の視野Sの中心が位置する状態で設定キーを操作するとともに終了キーを操作し、再構成画像位置設定手段28により、再構成すべき断層像の位置を設定し、その位置Dを画像表示装置22に表示させる[図3の(c)参照]。ここで、断層像を撮像したい領域の撮像開始箇所のみ設定するのは、スキャン計画により、撮像対象に応じて断層像の撮像ピッチが予め設定されており、自ずと再構成すべき断層像の終了位置が決まるからである。
【0027】
▲6▼以上の設定の後、患者HとX線源8の位置が撮像開始箇所になるように、移動モータ4により天板5を水平方向に移動する。
【0028】
▲7▼しかる後、移動モータ4および回転モータ12を駆動するとともにX線源8からX線を照射して、いわゆるスパイラルスキャンを行い、設定された位置の断層像を自ずと再構成して画像表示装置22に表示させる。ここで、患者Hの体軸方向における視野Sの大きさが撮像範囲よりも大きくて撮像範囲全体をカバーできている場合には、移動モータ4を停止した状態で回転モータ12のみを駆動するとともにX線源8からX線を照射する、いわゆるシングルスキャンを行えば良い。
【0029】
以上の構成により、画像表示装置22に、撮像時の患者Hの透視像HZと視野Sとを重複表示させ、その相対位置を確認しながら、撮像範囲と再構成すべき断層像の位置とを設定できるから、その設定操作を容易適切に行えるのである。
【0030】
図4は、応用例を示す要部のブロック図であり、絞り用ダイアル26によって設定される視野Sの大きさと撮像範囲設定手段27によって設定される撮像範囲がスキャン状態選択手段31に入力されるようになっている。
【0031】
スキャン状態選択手段31では、視野Sの大きさと撮像範囲との関係から、視野Sの大きさが撮像範囲全体をカバーしているかどうかに基づき、移動モータ4を停止した状態で回転モータ12のみを駆動するとともにX線源8からX線を照射する、いわゆるシングルスキャンを行う状態か、あるいは、移動モータ4および回転モータ12を駆動するとともにX線源8からX線を照射する、いわゆるスパイラルスキャンを行う状態かを自動的に判別して選択し、それに応じた指令信号を制御装置24に入力し、移動モータ4および回転モータ12の駆動を制御するように構成されている。
【0032】
すなわち、図5のスキャン状態選択の説明に供する図に示すように、撮像範囲Rが広いとともに患者Hの体軸方向における視野Sの大きさが大きい場合[図5の(a)参照]、ならびに、撮像範囲Rが狭いとともに患者Hの体軸方向における視野Sの大きさが小さい場合[図5の(b)参照]それぞれにおいて、患者Hの体軸方向における視野Sの大きさが撮像範囲Rよりも大きく、視野Sの大きさが撮像範囲R全体をカバーしているときには、シングルスキャンを自動的に選択する。
【0033】
図5の(c)に示すように、撮像範囲Rに比べて視野Sの大きさが小さく、患者Hの体軸方向における視野Sの大きさが撮像範囲Rよりも小さく、視野Sの大きさが撮像範囲R全体をカバーできないときには、スパイラルスキャンを自動的に選択する。他の構成は、上述実施例と同じであり、図示ならびに説明は省略する。
【0034】
この応用例の構成によれば、シングルスキャンかスパイラルスキャンかの選択操作を撮像範囲Rと視野Sの大きさとの相対関係に基づいて自動的に行えるため、撮像範囲R全体を適切に撮像できるとともに、不必要なX線の照射を無くすことができ、患者Hに対する被爆の負担を低減できる。
【0035】
上述実施例では、X線源8からX線を外拡がりの円錐状に照射しているが、この発明としては、例えば、外拡がりの四角錐状に照射するなど、要するに、X線を外拡がりのコーン状に照射するように構成するものであれば良い。
【0036】
この発明のX線CT装置としては、上述実施例のように、ガントリ6にX線源8および面検出器9を一体的に回転するように設けるものに限らず、例えば、 180°よりも大きい角度回転可能に設けたC字状のアームの一端側にX線源8を、そして、他端側に面検出器9をそれぞれ設けたものとか、あるいは、X線源8のみを回転可能に設け、その回転軸芯方向に長い幅(例えば、50cm以上など)で、全周にわたるように環状に固定の面検出器9を設けたものなど各種の変形が可能である。
【0037】
また、この発明のX線CT装置は、患者Hを撮像する医療用に限らず、物体を撮像して探傷するといった非破壊検査用などの用途にも適用でき、患者Hや物体などをして被射体と総称する。
【0038】
また、この発明のX線CT装置としては、X線源8および面検出器9に対して被射体を回転するように構成するものでも良く、更には、X線源8および面検出器9を被射体に対して回転軸芯方向に移動するように構成するものでも良い。
上記被射体をX線源8および面検出器9に対して回転する場合の回転軸芯をもX線源の回転軸芯と称する。
【0039】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明のX線CT装置によれば、実際の撮像時の被射体の透視像に基づき、そこに重複表示されたX線の視野との相対位置を視覚的に確認しながら、被射体に対する撮像範囲、ならびに、再構成すべき断層像の位置を適切に設定することができるから、撮像対象のいかんにかかわらず、所望の断層像を適切に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係るX線CT装置の全体概略断面図である。
【図2】この発明に係るX線CT装置の概略構成を示すブロック図である。
【図3】画像表示例の正面図である。
【図4】応用例を示す要部のブロック図である。
【図5】スキャン状態選択の説明に供する図である。
【符号の説明】
4…移動モータ(移動手段)
8…X線源
9…面検出器
12…回転モータ(回転手段)
14…データ収集ユニット
21…再構成処理部
22…画像表示装置(表示手段)
23…絞り用モータ(照射野変更手段)
27…撮像範囲設定手段
28…再構成画像位置設定手段
29…X線視野表示手段
30…設定断層像抽出手段
H…患者(被射体)
HZ…透視像
P…回転軸芯
S…視野

Claims (1)

  1. 被射体にX線を外拡がりのコーン状に照射するX線源と、被射体に照射するX線の視野の大きさを変更する照射野変更手段と、被射体を通った外拡がりのコーン状のX線を入射する面検出器と、前記X線源を被射体と相対的に回転する回転手段と、前記X線源および前記面検出器を前記被射体と相対的に前記X線源の回転軸芯方向に移動する移動手段と、前記面検出器で検出したX線の投影データを収集するデータ収集ユニットと、前記データ収集ユニットで収集された投影データに基づいて透視像および断層像を再構成する再構成処理部と、前記再構成処理部で再構成された透視像または断層像の少なくとも一方を選択して表示する表示手段と、被射体に照射するX線の視野を透視像と重複して表示するX線視野表示手段と、前記表示手段で表示された透視像に基づいて被射体に対する撮像範囲を設定する撮像範囲設定手段と、前記表示手段で表示された透視像に基づいて再構成すべき断層像の位置を設定する再構成画像位置設定手段と、前記再構成画像位置設定手段で設定された断層像の位置に基づいて、その位置に対応する断層像を前記再構成処理部で再構成させて前記表示手段に表示させる設定断層像抽出手段とを備えたことを特徴とするX線CT装置。
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