JP4161151B2 - 減衰力調整式油圧緩衝器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車等の車両の懸架装置に装着され、路面状況、走行状況等に応じて乗り心地や操縦安定性を向上させるために減衰力を適宜調整可能とした減衰力調整式油圧緩衝器に関するものである。
【0002】
減衰力調整式油圧緩衝器は、一般に、油液を封入したシリンダ内にピストンロッドを連結したピストンを摺動可能に嵌装してシリンダ内を2室に画成し、これらのシリンダ室間を連通する油路に減衰力調整弁(流量制御弁)を設け、ピストンの移動によって生じる油液の流動を減衰力調整弁によって制御して減衰力を発生させるとともに、油路の流路面積を調整することによって減衰力を適宜調整可能としている。そして、車両の通常の走行時には、減衰力を低くして路面の凹凸による振動を吸収して乗り心地を向上させ、また、旋回時、加速時、制動時および高速走行時等においては、減衰力を高め、車体の姿勢変化を抑えて操縦安定性を向上させることができる。
【0003】
また、減衰力調整式油圧緩衝器の減衰力を切り換えるアクチュエータ、車両の走行状況を検出する加速度センサ等の各種センサおよびこれらのセンサの検出に基づいてアクチュエータを制御するコントローラ等を用いて、路面状況、走行状況等に応じてリアルタイムに減衰力を制御して、乗り心地および操縦安定性を向上させるようにしたサスペンション制御装置が知られている。
【0004】
減衰力調整弁として流量制御弁を用いた上記減衰力調整式油圧緩衝器では、流路面積を決定することによって減衰力を調整するため、油液の流量すなわちピストン速度によって減衰力が変化することになる。このため、減衰力の調整は、ピストン速度を変数とした減衰係数を調整するものとなっている。したがって、上記サスペンション制御装置において減衰力を制御するためには、ピストン速度を検出し、そのピストン速度の入力に対して所望の減衰力が生じる減衰係数(減衰力調整弁の流路面積)を計算し、さらに、その減衰係数が得られるようにアクチュエータを駆動するという手順をとる必要があり、コントローラの負担が大きくなっている。
【0005】
そこで、従来、減衰力調整弁として圧力制御弁を用いて、ピストンの移動によって生じる油液の圧力と比例ソレノイドの推力とバランスによって圧力制御弁の開度を調整することにより、減衰力を直接制御することができる減衰力調整式油圧緩衝器が提案されている(特開平6−330977号、特開平10−196783号等参照)。このように、減衰力を直接制御することができる減衰力調整式油圧緩衝器をサスペンション装置に適用することにより、コントローラの負担を軽減することができ、迅速に適切な減衰力を得ることができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の圧力制御弁を用いた減衰力調整式油圧緩衝器では、次のような問題がある。減衰力調整弁である圧力制御弁の開弁前においては、減衰力を低く調整している場合でも、圧力制御弁によって油路が遮断されており、油液の圧力が開弁圧力に達したとき、油路が急激に連通されるため、減衰力が急激に立ち上って乗り心地を悪化させる。また、ピストンロッドのストローク方向が切り換わるとき(ピストン速度が0)、油液の圧縮やシールの変形等によって圧力変動が大きくなるため、伸び側から縮み側への切り換わりと縮み側から伸び側への切り換わりとで発生する減衰力の差異、すなわち、ヒステリシスが大きくなり、安定した減衰力が得にくいという問題がある。
【0007】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、ピストン速度にかかわらず減衰力を直接制御し、かつ、減衰力の立ち上りを緩やかにして、減衰力のヒステリシスを小さくすることができる減衰力調整式油圧緩衝器を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、請求項1の発明は、油液が封入されたシリンダと、該シリンダ内に摺動可能に嵌装されたピストンと、一端が前記ピストンに連結され他端が前記シリンダの外部へ延出されたピストンロッドと、前記シリンダに接続され前記ピストンの摺動によって油液を流通させる主油液通路および副油液通路と、前記主油液通路に設けられたパイロット型減衰弁と、前記副油液通路に設けられた固定オリフィスおよび圧力制御弁とを備え、前記副油液通路の前記固定オリフィスと前記圧力制御弁との間の圧力を前記パイロット型減衰弁のパイロット圧力とする減衰力調整式油圧緩衝器において、
前記圧力制御弁は、ソレノイドの推力によって開弁圧力を調整する制御弁であって、さらに、前記ソレノイドの推力によって前記開弁圧力を低く調整したときに前記副油液通路を開いて当該圧力制御弁をバイパスし、高く調整したときに前記副油液通路を閉じる可変オリフィスが設けられていることを特徴とする。
【0009】
このように構成したことにより、圧力制御弁の開弁圧力を低く調整した場合、可変オリフィスによって圧力制御弁がバイパスされるので、減衰力の立ち上りが緩やかになり、また、ピストンロッドのストロークが切り換わる際の油液の圧力の変動が緩和される。
【0010】
請求項2の発明は、上記請求項1の構成において、前記圧力制御弁は、開閉する弁部分がディスクバルブであることを特徴とする。
【0011】
このように構成したことにより、ディスクバルブの撓みによって油液の急激な圧力上昇をリリーフすることができる。
【0012】
また、請求項3の発明は、上記請求項2の構成において、前記可変オリフィスは、前記ディスクバルブとその背部に配置されたシート部材との隙間によって流路を形成し、前記圧力制御弁の弁座に押圧される前記ディスクバルブの撓みによって流路面積を調整することを特徴とする。
【0013】
このように構成したことにより、ディスクバルブの弁座への押圧力を大きくしてその開弁圧力を高めると、ディスクバルブが撓んでシート部材との隙間が小さくなり、可変オリフィスの流路が閉じる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図2に示すように、本実施形態の減衰力調整式油圧緩衝器1は、シリンダ2の外側に外筒3を設けた二重筒構造となっており、シリンダ2と外筒3との間にリザーバ4が形成されている。シリンダ2内には、ピストン5が摺動可能に嵌装されており、このピストン5によってシリンダ2内がシリンダ上室2aとシリンダ下室2bとの2室に画成されている。ピストン5には、ピストンロッド6の一端がナット7によって連結されており、ピストンロッド6の他端側は、シリンダ上室2aを通り、シリンダ2および外筒3の上端部に装着されたロッドガイド8およびオイルシール9に挿通されて、シリンダ2の外部へ延出されている。シリンダ2の下端部には、シリンダ下室2bとリザーバ4とを区画するベースバルブ10が設けられている。
【0015】
ピストン5には、シリンダ上下室2a,2b間を連通させる油路11およびこの油路11のシリンダ下室2b側からシリンダ上室2a側への油液の流通のみを許容する逆止弁12が設けられている。また、ベースバルブ10には、シリンダ下室2bとリザーバ4とを連通させる油路13およびこの油路13のリザーバ4側からシリンダ下室2b側への油液の流通のみを許容する逆止弁14が設けられている。そして、シリンダ2内には油液が封入されており、リザーバ4内には油液および所定圧力のガスが封入されている。
【0016】
シリンダ2には、アウタチューブ15が外嵌され、シリンダ2とアウタチューブ15との間に環状油路16が形成されている。環状油路16は、シリンダ2の上端部付近の側壁に設けられた油路17によってシリンダ上室2aに連通されている。アウタチューブ15の側壁には、開口18が形成されている。外筒3の側面部には、減衰力発生機構19が取付けられている。
【0017】
図1を参照して、減衰力発生機構19について説明する。
図1に示すように、円筒状のケース20のフランジ部21を有する一端側開口部が外筒3の側壁に溶接されている。ケース20内には、フランジ部21側から順に、通路部材22、バルブ部材23、円筒部材24およびパイロット弁部材25が互いに当接するように挿入されている。そして、比例ソレノイド制御部26が、ナット27によってケース20の他端部に取付けられ、パイロット弁部材25に当接して、通路部材22、バルブ部材23、円筒部材24およびパイロット弁部材25を固定している。通路部材22、バルブ部材23、円筒部材24およびパイロット弁部材25の外周部とケース20との間には、環状油室28が形成されている。環状油室28は、ケース20のフランジ部21に設けられた油路29によってリザーバ4に連通されている。
【0018】
バルブ部材23には、通路部材22と環状油室28とを連通させる油路30,31および環状溝32が設けられている。また、バルブ部材23には、主ディスクバルブ34(パイロット型減衰弁)、スペーサディスク35、シールリング36および円板状の板ばね37がピン38およびナット39によって取付けられている。主ディスクバルブ34は、その外周部がリフトして開弁し、その開度に応じて油路30側から環状溝32側への油液の流動を制御して減衰力を発生させるようになっている。また、スペーサディスク35およびシールリング36は、板ばね37によって主ディスクバルブ34の背面部に押圧され、パイロット弁部材25との間に、背圧室40を形成しており、背圧室40の内圧が主ディスクバルブ34に閉弁方向に作用するようになっている。主ディスクバルブ34には、固定オリフィス34a が設けられており、固定オリフィス34a は、スペーサディスク35の油路35a および板ばね37の外周部に形成された切欠37a を介して背圧室40に連通されている。
【0019】
パイロット弁部材25には、背圧室40を比例ソレノイド制御部26との間に形成された油室41とを連通させる油路42が設けられている。油室41は、油路43によって環状油室28に連通されている。パイロット弁部材25には、油路42の周囲に環状の弁座45が突出されており、弁座45に対向させて、比例ソレノイド制御部26のプランジャ46がガイド47によって進退動可能に案内されている。プランジャ46の先端の凸部48には、その先端側から順に、ディスクバルブ49、副ディスクバルブ50、リテーナ51およびワッシャ52(シート部材)が、軸方向に沿って摺動可能に嵌合されている。
【0020】
図3に示すように、ディスクバルブ49は、弁座45に着座し、背圧室40側の油液の圧力を受け、撓んでその外周部が弁座45からリフトするようになっている。また、凸部48を挿通させるディスクバルブ49の開口部の周縁には、切欠が設けられて凸部48との間に油路53が形成されている。副ディスクバルブ50は、ディスクバルブ49よりも小径で、ディスクバルブ49の背部に当接され、油路53に連通する切欠54が設けられている。リテーナ51は、副ディスクバルブ50の切欠54よりも小径で、切欠54を油室41へ連通させるとともに、その外周部を支点としてディスクバルブ49および副ディスクバルブ50を撓ませるようになっている。ワッシャ52は、副ディスクバルブ50よりも大径で、副ディスクバルブ50と共に可変オリフィスBを形成しており、副ディスクバルブ50を当接させて、切欠54の油室41への連通を遮断するとともに、ディスクバルブ49および副ディスクバルブ50の最大撓み量を規制している。
【0021】
プランジャ46は、コイルばね55によって弁座45側へ付勢されており、これにより、ディスクバルブ49がばね55の弾性力によって所定の初期荷重をもって弁座45に押しつけられ、ディスクバルブ49および副ディスクバルブ50がリテーナ51を支点として撓んで副ディスクバルブ50がワッシャ52に当接して切欠54の油室41への連通が遮断されるようになっている(図4参照)。プランジャ46には、その背部に形成された油室56と油路42とを連通させる絞り通路57が形成されており、プランジャ46の両端部に作用する圧力をバランスさせるとともに、プランジャ46の移動に適度な減衰力を作用させるようになっている。そして、弁座45、プランジャ46およびディスクバルブ49によって、圧力制御弁Aが構成されており、リード線58によってコイル59(ソレノイド)に通電すると、プランジャ46にディスクバルブ49を弁座45から離間させる方向の推力が発生し、この推力とばね55による初期荷重とのバランスによって、ディスクバルブ49の開弁圧力が決定され、これによって、コイル59への通電電流に応じて圧力制御弁Aの制御圧力(リリーフ圧力)を調整することができるようになっている。
【0022】
なお、上記の構成において、油路17、環状油路16、開口18、通路部材22、油路30、環状溝32、油路31、環状油室28および油路29によって、シリンダ上室2aとリザーバ4とを連通させる主油液通路を構成しており、また、固定オリフィス34a 、油路35a 、切欠37a 、背圧室40、油路42、油室41および油路43によって、パイロット型減衰弁である主ディスクバルブ34をバイパスする副油液通路を構成している。
【0023】
以上の構成した本実施形態の作用について次に説明する。
ピストンロッド6の伸び行程時には、ピストン5の移動によって、ピストン5の油路11の逆止弁12が閉じて、シリンダ上室2a側の油液が加圧され、油路17、環状油路16および開口18を通って減衰力発生機構19の通路部材22へ流れ、油路30、主ディスクバルブ34の固定オリフィス34a 、スペーサディスク35の油路35a および板ばね37の切欠37a を通って背圧室40へ流れ、さらに、圧力制御弁Aを介して油室41、油路43、環状油室28および油路29を通ってリザーバ4へ流れる。また、油路30を流通した油液は、その圧力が主ディスクバルブ34の開弁圧力に達すると、主ディスクバルブ34を開弁させて、環状溝32へ流れ、油路31を介して環状油室28へ直接流入する。このとき、ピストン5が移動した分の油液がリザーバ4からベースバルブ10の油路13の逆止弁14を開いてシリンダ下室2bへ流入する。
【0024】
ピストンロッド6の縮み行程時には、ピストン5の移動によって、ピストン5の油路11の逆止弁12が開き、ベースバルブ10の油路13の逆止弁14が閉じて、ピストン下室2bの油液がシリンダ上室2aへ流入し、ピストンロッド6がシリンダ2内に侵入した分の油液がシリンダ上室2aから、上記伸び行程時と同様の経路を通ってリザーバ4へ流れる。
【0025】
したがって、ピストンロッド6の伸縮行程時共に、主ディスクバルブ34の開弁前(ピストン速度の低速域)においては、固定オリフィス34a および圧力制御弁Aによって減衰力が発生し、比例ソレノイド制御部26のコイル59への通電電流に応じて圧力制御弁Aの制御圧力(リリーフ圧力)を制御することにより、ピストン速度にかかわらず、背圧室40の圧力、すなわち、減衰力を直接制御することができる。このとき、背圧室40の内圧は、主ディスクバルブ34の閉弁方向に作用するので、主ディスクバルブ34の開弁圧力が圧力制御弁Aの制御圧力とともに調整されることになり、主ディスクバルブ34の開弁特性による減衰力(ピストン速度の高速域の減衰力)を同時に調整することができる。
【0026】
このようにして、ピストン速度の低速域から高速域にわたって減衰力を調整することができ、その調整範囲を広くすることができる。圧力制御弁Aによって、ピストン速度の低速域においてもバルブ特性による適度な減衰力を得ることができるので、ピストン速度の低速域における減衰力の不足および高速域における減衰力の過度の上昇を防止することができる。圧力制御弁Aは、流量制御弁に比して、油液の粘度変化による流通抵抗への影響が小さいので、温度変化に対して安定した減衰力を得ることができる。また、路面からの突上げ等による急激な入力によって、背圧室40の圧力が急激に上昇した場合、圧力制御弁Aのディスクバルブ49が撓んでその外周部が弁座45からリフトすることにより、背圧室40の圧力を油室41へ迅速にリリーフすることができるので、減衰力の急激な上昇を抑制することができ、車両の乗り心地を向上させることができる。ディスクバルブ49は、従来のポペット弁に比して、そのリフト量に対する開口面積が大きいため、プランジャ46の移動量が小さくてすむので、応答性に優れ、また、摩擦抵抗による影響を受けにくい。ディスクバルブ49と副ディスクバルブ50とを重ねたことにより、これらの間の摩擦によって、圧力変動による振動を緩衝することができ、騒音の発生を抑制することができる。また、ディスクバルブ49および副ディスクバルブ50は、プランジャ46の凸部48に軸方向に沿って摺動可能に嵌合されており、ナット等よってその内周側が固定されていないので、プランジャ46の弁座45への押圧力に対して、図4に示すように容易に傾斜させることができるので(低剛性)、ディスクバルブ49の径を小さくでき、ひいては減衰力発生機構19の径方向の寸法の小型化を図ることができる。
【0027】
減衰力をソフト側に調整する場合には、コイル59への通電電流を大きくし、プランジャ46をばね55のばね力に抗して後退させて、ディスクバルブ49の弁座45への押圧力小さくして、その開弁圧力を低くする。このとき、図3に示すように、背圧室40は、油路53および切欠54を介して油室41に常時連通されているため、ピストン5の移動と同時に瞬時に油液の流れが生じるので、減衰力を円滑に立ち上げることができ、ディスクバルブ49の開弁前後の圧力の変動を緩和して乗り心地を向上させることができる。また、ピストンロッド6の伸縮にともなう減衰力のヒステリシスを小さくして、安定した減衰力を得ることができる。
【0028】
減衰力をハード側に調整する場合には、コイル59への通電電流を小さくし、プランジャ46をばね55のばね力によって前進させて、ディスクバルブ49の弁座45への押圧力を大きくして、その開弁圧力を高くする。このとき、図4に示すように、ディスクバルブ49および副ディスクバルブ50がリテーナ51を支点として撓んで、副ディスクバルブ50がワッシャ52に当接して切欠54の油室41への連通を遮断する。これにより、ディスクバルブ49が開弁圧力に達して開くまで、油液の圧力は上昇することになり、減衰力が急激に立ち上がることになるので、ピストン速度の低速域においても、充分大きな減衰力を発生させることができ、車体の姿勢制御を効果的に行うことができる。
【0029】
減衰力調整式油圧緩衝器1の減衰力特性を図5に示す。図5に示すように、減衰力をソフト側に調整した場合(電流I1〜I2)には、減衰力の立ち上がりは、オリフィス特性を呈して緩やかになり、また、ハード側に調整した場合(電流I3〜I5)には、減衰力の立ち上がりは、オリフィス特性がほとんど見られず、急激に上昇している。ピストンロッド6を一定周期で伸縮させた場合の減衰力特性を図6および図7に示す。図6は、減衰力をソフト側に調整した場合を示しており、ストロークが伸び側から縮み側へ移行したときと、縮み側から伸び側へ移行したときとで、ほぼ同様の減衰力が発生され、減衰力のヒステリシスが小さくなっている。これに対して、図7は、減衰力をハード側に調整した場合を示しており、ストロークが伸び側から縮み側へ移行したときと、縮み側から伸び側へ移行したときとで、発生する減衰力が異なり、ヒステリシスが大きくなっている。
【0030】
【発明の効果】
以上詳述したように、請求項1に係る減衰力調整式油圧緩衝器によれば、圧力制御弁の開弁圧力を低く調整した場合、可変オリフィスによって圧力制御弁がバイパスされるので、減衰力の立ち上りが緩やかになり、また、ピストンロッドのストロークが切り換わる際の油液の圧力の変動が緩和される。その結果、減衰力の応答性が向上し、ヒステリシスが小さくなって車両の乗り心地を向上させることができる。
【0031】
請求項2に係る減衰力調整式油圧緩衝器によれば、ディスクバルブの撓みによって油液の圧力急激な上昇をリリーフすることができるので、路面からの突上げ等による急激な入力を吸収して、車両の乗り心地を向上させることができる。
【0032】
また、請求項3に係る減衰力調整式油圧緩衝器によれば、ソレノイドによるディスクバルブの弁座への押圧力に応じて、ディスクバルブが撓んでシート部材との隙間が変化して、可変オリフィスの流路面積が調整される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の減衰力調整式油圧緩衝器の減衰力発生機構の拡大縦断面図である。
【図2】本発明の一実施形態の減衰力調整式油圧緩衝器の縦断面図である。
【図3】図1の減衰力発生機構の圧力制御弁の可変オリフィスが開いた状態を示す拡大図である。
【図4】図1の減衰力発生機構の圧力制御弁の可変オリフィスが閉じた状態を示す拡大図である。
【図5】図2に示す減衰力調整式油圧緩衝器の減衰力特性を示す図である。
【図6】図2に示す減衰力調整式油圧緩衝器において、減衰力を低く調整してピストンロッドを一定周期で伸縮させた場合の減衰力特性を示す図である。
【図7】図2に示す減衰力調整式油圧緩衝器において、減衰力を高く調整してピストンロッドを一定周期で伸縮させた場合の減衰力特性を示す図である。
【符号の説明】
1 減衰力調整式油圧緩衝器
2 シリンダ
5 ピストン
6 ピストンロッド
34 主ディスクバルブ(パイロット型減衰弁)
34a 固定オリフィス
45 弁座
49 ディスクバルブ
50 副ディスクバルブ(可変オリフィス)
52 ワッシャ(シート部材、可変オリフィス)
59 コイル(ソレノイド)
A 圧力制御弁
B 可変オリフィス
Claims (3)
- 油液が封入されたシリンダと、該シリンダ内に摺動可能に嵌装されたピストンと、一端が前記ピストンに連結され他端が前記シリンダの外部へ延出されたピストンロッドと、前記シリンダに接続され前記ピストンの摺動によって油液を流通させる主油液通路および副油液通路と、前記主油液通路に設けられたパイロット型減衰弁と、前記副油液通路に設けられた固定オリフィスおよび圧力制御弁とを備え、前記副油液通路の前記固定オリフィスと前記圧力制御弁との間の圧力を前記パイロット型減衰弁のパイロット圧力とする減衰力調整式油圧緩衝器において、
前記圧力制御弁は、ソレノイドの推力によって開弁圧力を調整する制御弁であって、さらに、前記ソレノイドの推力によって前記開弁圧力を低く調整したときに前記副油液通路を開いて当該圧力制御弁をバイパスし、高く調整したときに前記副油液通路を閉じる可変オリフィスが設けられていることを特徴とする減衰力調整式油圧緩衝器。 - 前記圧力制御弁は、開閉する弁部分がディスクバルブであることを特徴とする請求項1に記載の減衰力調整式油圧緩衝器。
- 前記可変オリフィスは、前記ディスクバルブとその背部に配置されたシート部材との隙間によって流路を形成し、前記圧力制御弁の弁座に押圧される前記ディスクバルブの撓みによって流路面積を調整することを特徴とする請求項2に記載の減衰力調整式油圧緩衝器。
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