JP4160235B2 - 金属防錆用ポリマー組成物及び金属の防錆方法 - Google Patents
金属防錆用ポリマー組成物及び金属の防錆方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、鉄や鉄製品等の金属が保管中や輸送中に錆ることを防止するために使用されるフィルム等の成形体を製造するための防錆用ポリマー組成物及び金属の防錆方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
錆が発生する原因はいろいろあるが、最も一般的なのは、例えば、鉄や鉄製品が湿気を含む空気と接触し、これらの表面に付着した水分に空気、二酸化炭素が溶け込み、それらの作用で表面が酸化されて鉄錆(黒錆(水酸化第一鉄)及び赤錆(水酸化第二鉄))が生じる場合である。錆は表面から次第に内部へ進行し腐蝕が生じる。
【0003】
錆の発生や腐蝕を防止するために、鉄製品の場合には、通常、表面をメッキしたり、防錆塗料の塗布等が行われる。
又、鋼材等の金属材料を保管したり輸送する場合には、その表面に油を塗布したり、防錆紙等で包む等の防錆処理が行われる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
防錆紙の一種としてポリマーに防錆剤として気化性の強いジシクロヘキシルアミンの亜硝酸塩等の特殊な有機アミンやその塩を配合した組成物からなるフィルムあるいはシートを使用することも行われている。この場合には、上記組成物からなるフィルム等で形成した袋等に鋼材等を入れ、開封部をヒートシールすることで外気との接触が遮断されると共に、有機アミン等が袋内で徐々に気化し(当然大気中にも気化する)金属表面に吸着されることで防錆作用が発現される。
この方法は、防錆効果という観点からは好ましいが、防錆剤としての有機アミンは毒性がある場合が多く、気化性が強いために、ポリマーに配合して加工する際及び加工製品の使用時に安全衛生上取扱が困難であり、更に高価であることから、無害で、取扱が容易で、且つ安価な防錆剤が要望されている。
【0005】
従って、本発明の目的は、防錆剤自体が無毒で、取り扱いが容易であり、金属の防錆が可能な、この防錆剤を含むポリマーフィルム等の成形体の製造に使用される金属防錆ポリマー組成物及び金属の防錆方法を提供することである。
本発明者は上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、食品添加物リストに記載された安全な物質であり、加工時や成形品の使用時に有害ガスの発生もない、又、わが国では天然に多く産することから安価な材料である消石灰がポリマーに配合した状態で優れた防錆効果を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
【課題を解決するための手段】
かかる本発明によれば、ポリマー100重量部当り消石灰を0.02〜50重量部の割合で配合し、さらに消石灰100重量部当たり生石灰を0.1〜40重量部の割合で配合してなることを特徴とする金属防錆用ポリマー組成物及び上記のポリマー組成物からなる成形体で金属を覆うことを特徴とする金属の防錆方法が提供される。
【0007】
【発明の実施の形態】
次に発明の実施の形態を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
本発明の金属防錆用ポリマー組成物は、その使用によって金属の防錆が可能となるフィルム等の成形体の製造に使用されるものであり、ポリマーマトリックスに防錆剤として前記の如き消石灰が分散してなるものである。
本発明でポリマーマトリックスを形成するポリマーは、消石灰が分散可能で、消石灰が分散した組成物をシート状あるいはフィルム状等の種々の成形体に成形加工ができるポリマーであればいずれのポリマーも使用でき、特に限定されない。例えば、塩化ビニル系樹脂、ポリビニルアルコール等のビニル系ポリマー;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、EVA、ポリ(4−メチルペンテン−1)、エチレン・テトラシクロドデセンコポリマー、ポリブテン−1等のオレフィン系ポリマー;1,2−ポリブタジエン;AS樹脂、ABS樹脂、メタクリレート・スチレンコポリマー樹脂等のスチレン系樹脂;ポリメチルメタクリレート等のメタクリレート系樹脂;ポリアセタール、PET、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリアリレート、ポリシクロヘキシレンジメチルテレフタレート、ヒドロキシ安息香酸ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエーテルカーボネート等のポリエステル;ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド;三フッ化塩化エチレン樹脂、六フッ化エチレンプロピレン樹脂、エチレン・四フッ化エチレンコポリマー等のフッ素系樹脂;ポリアリルスルホン、ポリエーテルイミド等の熱可塑性ポリマーが挙げられる。
【0008】
本発明の金属防錆用ポリマー組成物は、上記の如きポリマーと消石灰を、例えば、ミキシングロール、バンバリミキサー、ニーダー又はヘンシェルミキサー等の混合機を用いて混合し、2軸押出機等によりポリマーを溶融状態で消石灰と混練し、ペレット状に造粒加工して製造されるが、組成物の製造方法は特に限定されない。消石灰は、ポリマー100重量部当り0.02〜50重量部の割合で使用される。少な過ぎると防錆効果は得られず、多過ぎても防錆効果は飽和し、不経済である。好ましくは1〜20重量部である。
【0009】
尚、消石灰は混合又は混練の温度が100℃以上になると水を発生し、得られる組成物を用いた成形体が発泡し、良好な成形体が得られなくなる恐れがあるので、消石灰(Ca(OH)2)と共に生石灰(CaO)を併用する。生石灰は消石灰から生じる水分を吸収し消石灰になる。この場合、生石灰は消石灰100重量部当り0.1〜40重量部、好ましくは1〜10重量部の割合で使用される。又、上記組成物には、必要により、充填剤、滑剤等の加工助剤、着色剤、安定剤等を適宜添加することができる。
【0010】
本発明の金属防錆用ポリマー組成物を用いて金属の防錆を行うには、該組成物を用いて成形体を形成し、この成形体で金属を覆う。該成形体の種類及び該成形体で金属を覆う方法は、特に限定されず、金属が該成形体で覆われる方法であれば如何なる方法でもよい。又、金属と該成形体とは必ずしも密着している必要はない。例えば、成形体としてフィルム又はシートで作製した袋に金属を入れ、開封部をヒートシールする方法(フィルム又はシートを1軸又は2軸延伸させれば、熱収縮させることもできる。);成形体としてのフィルム又はシートで金属を包み、開封部をヒートシールあるいは粘着テープ等でシールする方法;該成形体として金属が収納可能な蓋付き容器(形状は任意)を形成し、これに金属を入れて蓋と容器本体部とを粘着テープ等でシールする方法;本発明の組成物以外の材料で形成した蓋付き容器の内面を本発明の組成物で形成したシートで被覆し、この容器に金属を入れて粘着テープ等でシールする方法等が挙げられる。又、金属防錆用ポリマー組成物を用いた塗料を金属表面に塗布し、塗膜を直接金属表面に形成させる方法も用いられる。
【0011】
本発明における金属には、鋼材等の金属材料、金属材料の加工品(例えば、メッキや塗装前等のパイプ等の製品、各種部品及びその組立体等)が含まれる。金属材料には、鉄、銅、アルミニウム等その他の金属も含まれる。
【0012】
【実施例】
次に実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明する。以下の文中の部及び比率は重量基準である。
【0013】
実施例1、比較例1
下記の配合処方(表1)に従い、各成分を45mm2軸押出機で混練及びペレット化した。
このペレットと低密度ポリエチレンを20:80の比率でタンブラーを用いて混合、混練し、得られた本発明の組成物をインフレーション押出機により厚み0.05mmのフィルムに成形した。
【0014】
【0015】
上記フィルムをヒートシールして20cm×40cmの袋を作製した。又、比較のため、低密度ポリエチレンのみで袋を作製した。
これらの袋に金属材料として、機械構造用炭素鋼(5cm×10cm×0.5cmの板状片をアセトンで洗浄及び脱脂した)を入れ、ヒートシールして密封した。又、別の袋には錫メッキ板を入れた。これらの袋を50℃、95%RHの恒温恒湿器に入れ、錆が発生するまでの日数をを観察した。観察結果を表2に示す。
【0016】
表1の結果から、消石灰を配合した低密度ポリエチレン製袋により顕著な防錆効果が得られることがわかる。
【0017】
【発明の効果】
以上の本発明によれば、無毒で、非気化性であって取り扱いが容易、且つ安価である防錆剤を含むポリマー組成物で形成した袋等に金属を収納することによって金属の防錆が著しく抑制される金属防錆用ポリマー組成物が提供される。
Claims (2)
- ポリマー100重量部当り消石灰を0.02〜50重量部の割合で配合し、さらに消石灰100重量部当たり生石灰を0.1〜40重量部の割合で配合してなることを特徴とする金属防錆用ポリマー組成物。
- 請求項1に記載のポリマー組成物からなる成形体で金属を覆うことを特徴とする金属の防錆方法。
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