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JP4159895B2 - 静電容量型圧力センサ及びその製造方法 - Google Patents

静電容量型圧力センサ及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は静電容量型圧力センサ及びその製造方法に係り、特に、製造工程を簡略化し、歩留まりの向上を可能とする静電容量型圧力センサに関する。
【0002】
【従来の技術】
電子部品や半導体製品を製造する過程においては、真空装置内で薄膜を形成したり或いはエッチングするプロセスは不可欠である。この際に、真空装置内圧力は一定に保たれながらプロセスが進められるのが普通であり、真空装置内の圧力測定手段としては静電容量型真空センサがしばしば用いられる。現在市販されている静電容量型真空センサの大半は機械加工によって製造されているが、マイクロマシン技術を用いて製造すればセンサの小型化、量産化、さらには製造コストの低減が可能であることから、この技術を用いた圧力センサ及びその製造方法が提案されている(特開2002−55008,特開2001−201417,特開2000−19044等)。マイクロマシン技術は、フォトリソグラフイ技術や成膜技術、エッチング技術などの半導体製造技術を応用したものであり、材料もシリコンウェハやガラス基板など一般に流通しているものが用いられる。
【0003】
マイクロマシン技術によって製造した従来の静電容量型真空センサの一例を図4に示す。図4Aは圧力センサの構成を説明する概略斜視図であり、図4Bは、圧力センサに電気回路を接続してケース内に収納した実用形態を示す概略断面図である。
【0004】
圧力センサは、ガラス基板1、シリコン層4、埋込酸化層5及びベースシリコン層6からなるSOI(Silicon On Insulator)基板2、ガラス基板3から成り、これらの基板は接合技術によって密着固定される。シリコン層4の一部には真空室溝7が形成されており、ガラス基板1によって封止されたその空間内部は真空状態になっている。ガラス基板1の真空室溝7側の面には容量電極8及び参照電極9が形成されており、これらはガラス基板1を貫通して形成された容量電極端子10及び参照電極端子11とそれぞれ電気的に結合している。
【0005】
容量電極8に対向する位置のベースシリコン6及び埋込酸化層5は取り除かれ、圧力被測定室溝12が形成されており、その結果容量電極8に対向した部分のシリコン層4はダイヤフラム電極13となる。このダイヤフラム電極13はガラス基板1上のダイヤフラム電極端子14と電気的に結合している。
【0006】
ところで、真空室溝7は常に高真空状態に保つ必要があるため、ガラス基板1の一部に溝27’を形成してその内部に例えば非蒸発型のゲッタ15を配置して真空室7内部の残留ガスを吸収させている。また、圧力センサは、ガラス基板3の周縁部がその上部からセンサ押さえ板16によってOリング17上に押さえつけられ、これによってセンサ固定台18に真空シールで固定される。
【0007】
ガラス基板3の中心部には通気口19が形成されており、被圧力測定空間20の圧力は圧力被測定室12の圧力と等しくなる。従って、真空室7内部と被圧力測定空間20の間の圧力差に応じてダイヤフラム電極13は変位し、その変位量は容量電極端子10とダイヤフラム電極端子14との間の静電容量の変化量から求めることができる。なお、センサ構成部品の熱膨張率の違い(環境温度変化)に起因する機械的歪みによる誤差を補正するために参照電極9が容量電極8の近傍に設けられている。
【0008】
なお、ダイヤフラム電極13上には複数の微細な突起構造23が形成されている。被圧力測定空間20の圧力が高くなってダイヤフラム電極13が容量電極8に接触したときに、吸着してしまうのを防止するためである。
【0009】
次に、図5を参照して、図4Aに示した圧力センサの製造プロセスを説明する。
まず、容量電極及び参照電極形成用SOI基板24を用意して(図5A)その表面に酸化膜25を形成後パターニングし(図5B)、露出した電極形成用SOI基板24のシリコン層4及び埋込酸化層5を除去する(図5C)。ここで、各電極端子用溝穴26及びゲッタ室溝27’を形成したガラス基板1に電極形成用SOI基板24を接合し(図5D)、その後ベースシリコン層6のみをエッチング除去する(図5E)。
【0010】
次に、SOI基板2に酸化膜25を形成、パターニング後(図5F)、シリコン層4の一部をエッチングする(図5G)。その後、更に上部の酸化膜25をパターニングしてダイヤフラム電極の厚さを残してシリコン層4のエッチングを行う(図5H)。続いて、ベースシリコン層6下面の酸化膜をパターニングした後、ダイヤフラム電極となる場所の上にアルミニウムなどの金属材やシリコン酸化膜などで微細な突起構造23を形成する(図5I)。
【0011】
次に、ガラス基板1に形成されたゲッタ室溝27’の位置にゲッタ15を収納するようにガラス基板1とSOI基板2とを位置調整(アライメント)しながら真空中で陽極接合する(図5J)。その後に、ベースシリコン層6の一部を埋込酸化層5が露出するまで下面からエッチングし(図5K)、続いてフッ化水素酸などを用いて、ガラス基板1の電極端子用溝穴26をエッチングして容量電極8や参照電極9を露出させるとともに、ダイヤフラム電極13の下面の埋込酸化層5やベースシリコン層6の下面にある酸化膜25を除去する。この後、金属材電極28を電極端子用溝穴内部に形成して容量電極8や参照電極9、シリコン層4に電気的に直結する端子28をガラス基板1の上面に出す(図5L)。続いて、通気口19が形成されたガラス基板3をSOI基板2のベースシリコン層6に接合し、容量電極端子10、参照電極端子11及びダイヤフラム電極端子14を導電性接着剤29と端子ピン30で形成して圧力センサを完成する(図5M)。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
マイクロマシン技術は半導体製造技術を応用した技術であるためにμmオーダの加工を容易に行うことができ、機械加工による方法と比較すれば加工精度や量産性、低コスト化の面で大きな利点がある。その一方で、マイクロマシン技術によって静電容量型圧力センサを製造する場合においては、底面に容量電極や参照電極を有するガラス基板1とSOI基板2との相対位置関係は機械的操作によって調整する必要があり、しかも圧力センサの大きさや要求される性能等にもよるがその位置合わせ(アライメント)精度は100μm以内に抑える必要がある。通常、100μm程度の精度のアライメントは問題なく達成できるが、圧力センサは内部を真空状態として封止する必要があるため事情は異なってくる。即ち、ガラス基板とSOI基板のアライメントする際、真空室溝内部を排気するために厚みのあるスペーサを挟んだ状態でアライメントする必要がある。大気中で両基板間をアライメントした後、真空陽極接合装置内にセットして基板加熱して真空排気を行う。この状態でスペーサを引き抜き両基板を陽極接合する。
【0013】
この際、厚さ300μm程度の非蒸発型ゲッタ15をガラス基板1に形成された溝27’内に入るよう配置するが、ガラス基板1の厚さや強度確保による制限から、溝27’の深さは通常350μm程度に制限される。従って、スペーサを引き抜く際に基板のアライメントがずれてしまったり、あるいは非蒸発型ゲッタが本来の位置からはずれてガラス基板1とSOI基板2間に挟まって圧力センサ内部の真空封止ができなくなる等の事故が起こり易く、製品歩留まり及び生産性が低いという問題があった。
即ち、従来は、ガラス基板とSOI基板とは高真空中で陽極接合を行う必要があり、その際に、ガラス基板とSOI基板のアライメント、圧力センサの内部封止真空度、ゲッタの配置などを全て同時に注意を払いながら作業を行う必要があり、これらのうちの一つにでも問題があると製品歩留まりの著しい低下を招くという問題があった。
【0014】
かかる状況に鑑み、本発明は、アライメント及び真空状態での接合作業を簡略化でき、安定した接合工程を行うことが可能な静電容量型圧力センサ及びその製造方法を提供することを目的とする。さらに、アライメントの精度自体を低くすることが可能な構造の静電容量型圧力センサを提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明の静電容量型圧力センサは、容量電極が形成された絶縁性の第一の基板と、ダイヤフラム電極を挟むように一方の面に真空室溝、他方の面に圧力被測定室溝が形成された第二の基板と、通気口が形成された絶縁性の第三の基板とが、前記容量電極及び前記ダイヤフラム電極が対向し、かつ前記圧力被測定室溝と前記通気口が連通するように接合された静電容量型圧力センサであって、前記第二の基板の他方の面側に、ゲッタを収納するゲッタ室溝が形成され、ゲッタ室が真空室と連通していることを特徴とする。
このような構造とすることにより、ゲッタ室溝を余裕を持って形成することができ、高精度のアライメントが不要となるため、真空状態での接合作業が容易となり歩留まりが大きく改善されて生産性が向上する。
【0016】
前記第二の基板は、シリコン層、埋込酸化層及びベースシリコン層とからなるSOI(Silicon On Insulator)基板であって、前記真空室溝を該シリコン層に形成し、前記圧力被測定室溝及び前記ゲッタ室溝を該ベースシリコン層に形成したことを特徴とする。
SOI基板を用いることにより、真空室溝、圧力被測定室溝及びゲッタ室溝の形成が従来に比べ少ない工数で、しかも高精度にかつ再現性良く形成することが可能となる。
【0017】
なお、前記容量電極の表面には、シリコン酸化膜からなる複数の微細な突起構造を形成するのが好ましい。また、従来の圧力センサでは第一の基板にゲッタ室溝が形成されているため、容量電極に突起構造を形成するは実際上困難であったが、本発明においては、第一の基板からゲッタ室溝を取り除く構成としたことにより、容量電極上の酸化膜のパターニングが可能となり、ダイヤフラム電極と容量電極との吸着固定を防止する突起構造を少ない工数で形成することが可能となる。これにより、圧力センサを大気圧等の高い圧力に曝しても、その後、真空にすることによりダイヤフラム電極と容量電極が容易に分離し、安定した動作を確保することができる。
【0018】
本発明の静電容量型圧力センサの製造方法は、容量電極が形成された絶縁性の第一の基板と、シリコン層、埋込酸化層及びベースシリコン層とからなるSOI基板の該シリコン層に真空室溝を形成し、該ベースシリコン層に圧力被測定室溝及びゲッタ室溝を形成して前記真空室溝と前記圧力被測定室溝の間にシリコンからなるダイヤフラム電極が形成された第二の基板と、通気口が形成された第三の基板とが、前記容量電極及び前記ダイヤフラム電極が対向し、かつ前記圧力被測定室溝と前記通気口とが連通するように接合して作製する静電容量型圧力センサの製造方法であって、前記容量電極を形成した第一の基板と、前記真空室溝を形成した第二の基板を陽極接合法により接合する工程と、前記ベースシリコン層をエッチングして前記圧力被測定室溝及び前記ゲッタ室溝を形成する工程と、前記圧力被測定室溝及び前記ゲッタ室溝内の前記埋込酸化層をエッチングにより除去する工程と、前記真空室溝と前記ゲッタ室溝との間のシリコン層の少なくとも一部を除去し、両溝間を連通させる工程と、ゲッタを前記ゲッタ室溝に収納した後、該ゲッタ室溝内部を真空にした状態で、前記ベースシリコン層と前記第三の基板とを陽極接合法により接合する工程と、からなることを特徴とする。
【0019】
従って、上述したようにアライメント精度を低くできるうえに、第一の基板(ガラス基板)と第二の基板(SOI基板)の接合の際には基板間にゲッタを挟む必要がなくなり、また両基板に挟まれた空間内部の真空封止圧力には特に注力する必要がないため(即ち、大気中で接合可能となるため)、基板のアライメント精度を確保することができる。即ち、より高精度のアライメントで接合することができ、より小型の圧力センサを実現することができる。
【0020】
また、SOI基板にダイヤフラムを形成する工程において同時にゲッタ室溝をSOI基板上に形成するため、製造工数が減少する。さらに、第二の基板(SOI基板)と第三の基板との接合は高い精度のアライメントを必要としないため、両基板間に厚いスペーサを挟んで真空陽極接合を行うことが従来に比べて容易となり、その結果、確実にセンサ内部を高真空で封止することができる。また、ゲッタ室溝もSOI基板の厚さ程度(例えば600μm程度)の深さにすることが可能となるため、非蒸発型ゲッタが本来の位置からずれて両基板の間に挟まって圧力センサ内部の真空封止ができなくなる等の問題も回避することができる。
【0021】
さらに、前記容量電極は表面にシリコン酸化膜の微細突起構造が形成されたシリコンからなり、シリコン層、埋込酸化層及びベースシリコン層とからなるSOI基板の該シリコン層及び埋込酸化層の該容量電極に対応する部分を残してエッチングした後、該シリコン層と絶縁性の基板とを接合し、続いてベースシリコン層をエッチングにより除去した後、前記埋込酸化層をパターニングして前記微細突起構造を形成したことを特徴とする。ガラス基板にゲッタ収納用の溝を形成する必要がなくなり、容量電極上にフォトリソグラフィによる微細突起構造のパターニングがより少ない工数で可能となる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1は、本発明の静電容量型圧力センサの基本的な構成を示す概略断面図である。図に示すように、静電容量型圧力センサは、容量電極8が形成された絶縁性の第一の基板1と、ダイヤフラム電極13を挟むように一方の面に真空室溝7、他方の面に圧力被測定室溝12が形成し、さらに他方の面側にゲッタ室溝27が形成された導電性の第二の基板と、通気口19が形成された絶縁性の第三の基板3と、が接合され、ゲッタ室27が貫通口31を介して真空室7と連通させた構成としたものである。なお、ゲッタとしては非蒸発型ゲッタが好適に用いられ、例えばTi,Zr、Hf及びそれらの合金等が用いられる。
この圧力センサは、測定する空間の圧力を圧力被測定室12に導入するようにして取り付けられ、2つの端子10,14間の静電容量を測定することにより圧力が求められる。
【0023】
絶縁性の第一及び第三基板には、パイレックス(登録商標)ガラス(コーニング社製),SD2ガラス(HOYA製)等のガラス基板が用いられ、第二基板にはシリコン基板が好適に用いられる。特に、第二の基板としてSOI基板を用いるのが好ましく、これにより製造工程が簡略化し、圧力センサの生産性、歩留まりを大きく向上させることができる。以下に、第二の基板としてSOI基板を用いた静電容量型圧力センサ及びその製造方法を図2及び3に基づいて説明する。
【0024】
図2はマイクロマシン技術によって製造した本実施形態の静電容量型真空センサの一例を示した概略斜視図であり、図2Aは圧力センサの構成を説明するための概略斜視図、図2Bはその圧力センサに電気回路を接続してケース内に収納した構造を示す概略断面図である。
図2に示したように、圧力センサはガラス基板(第一の基板)1、SOI基板(第二の基板)2、ガラス基板(第三の基板)3からなり、これらの基板は接合技術によって密着固定されている。
【0025】
ガラス基板1にはダイヤフラム電極13との間の静電容量を測定するための容量電極8と、温度変化に伴う静電容量変化を補正するための参照電極9が形成されており、これらはガラス基板1を貫通して形成された容量電極端子10、参照電極端子11とそれぞれ電気的に結合している。
【0026】
SOI基板2はシリコン層4、埋込酸化層5及びベースシリコン層6からなる三層構造基板であり、シリコン層4の一部には真空室溝7が形成され、真空室溝7に対応する部分のベースシリコン層6には圧力被測定室溝12が形成されている。従って、真空室溝7と圧力被測定室溝12の間のシリコン層は、ダイヤフラム電極として機能する。また、ダイヤフラム電極13はガラス基板1上のダイヤフラム電極端子14と電気的に結合している。さらに、ベースシリコン層6には、ゲッタ室溝27が形成され、貫通口31を介して真空室溝7と連通している。ゲッタ室27に例えば非蒸発型ゲッタ15を配置することにより、ゲッタが真空室7内部の残留ガスを吸収し高真空状態に維持することができる。
【0027】
第二の基板(SOI基板)のシリコン層4及びベースシリコン層6の厚さについては、測定する圧力範囲やゲッタ材の大きさと等によって適宜選択されるが、通常、30〜100μm及び500μm〜1mm程度である。また、ベースシリコン層の比抵抗は特に限定はないが、シリコン層の比抵抗としては、例えば0.001〜0.02Ω・cmのものが好適に用いられる。第三の基板(ガラス基板3)には、ガス導入のための通気口19が形成されている。
これらの基板は、特に、例えば特開2002−43585等に記載の陽極接合法によって接合するのが好ましく、強固でリークのないより確実な接合を行うことができる。
【0028】
圧力センサのガラス基板3の周縁部は、その上部から押さえ板16によってOリング17に押さえつけられ、これによってセンサ固定台18に気密性よく固定される。ガラス基板3に形成された通気口19を通して、被圧力測定空間20の圧力は圧力被測定室溝12の圧力と等しくなる。
【0029】
このようにして、真空室7内部と被圧力測定空間20の間の圧力差に応じてダイヤフラム電極13は変位し、その変位量は容量電極端子10とダイヤフラム電極端子14との間の静電容量の変化量から求めることができる。また、容量電極端子10とダイヤフラム電極端子14との間の静電容量は、センサ構成部品の熱膨張率の違い(環境温度変化)に起因する機械的歪みによっても変化することから、その誤差分を補正するために参照電極9が容量電極8近傍に設けられ、検出回路21で誤差を検出して補正が行われる。この結果、被圧力測定空間20の圧力は確実に精度良く測定され、出力端子22から電気信号として出力される。
【0030】
被圧力測定空間20の圧力が高い場合にはダイヤフラム電極13は容量電極8に密着した状態になり、圧力が低下してもダイヤフラム電極13と容量電極8とが分離できなくなる場合がある。これを防止するために、容量電極8及び参照電極9上に複数の微細な突起構造23が形成されている。この突起構造としては、例えば、1μm厚、20〜25μm角程度の突起を200〜250μmピッチで形成すれば良い。
【0031】
次に、図3を参照してに圧力センサの製造方法を説明する。
まず、例えば、20μm程度のシリコン層4、埋込酸化層5及びベースシリコン層6からなる電極形成用SOI基板24を用意して(図3A)、その表面に酸化膜25を形成後パターニングし(図3B)、露出した電極形成用SOI基板24のシリコン層4、続いて埋込酸化層5をエッチングして除去する(図3C)。ここで、電極端子用溝穴26を形成したガラス基板1に電極形成用SOI基板24を接合し(図3D)、その後ベースシリコン層6のみをエッチング除去する(図3E)。
【0032】
この時点で、ガラス基板1に容量電極及び参照電極となるシリコン層4と埋込酸化層5がパターン状に加工された基板が得られるが、ここで埋込酸化層5を微細パターン状に加工して微細な突起構造23を形成する(図3F)。従来の圧力センサの製造方法ではこの時点でガラス基板1上には深いゲッタ室溝27’が形成されているため(350μm程度)、レジスト塗布が行えず、したがって埋込酸化膜5のパターニングを行うことができないが、本実施形態ではガラス基板1上にゲッタ室溝を形成する必要がないためレジスト塗布ならびに埋込酸化層5のパターニングが可能となる。その結果、埋込酸化層をパターニングして微細な突起構造23にすることが可能となり、従来法において、後工程でダイヤフラム上に他の膜を成膜してパターニング加工するという手間が必要であったが、本発明はこれらのを工程を省くことができ、生産性を上げることができる。
【0033】
一方、第二の基板としてのSOI基板2に酸化膜25を形成、パターニング後(図3G)、シリコン層4の一部をエッチングし(図3H)、その後更に上部の酸化膜25をパターニングしてダイヤフラム電極13の厚さを残してシリコン層4のエッチングを行ってから(図3I)、今度はベースシリコン層6下面の酸化膜25をパターニングする(図3J)。
【0034】
ここで、ガラス基板1(図3F)とSOI基板2(図3J)を、基板の位置を調整(アライメント)しながら陽極接合するが、この時点では必ずしも真空中で行う必要はなく、また非蒸発型ゲッタを挿入する必要もないので、基板のアライメント精度にのみ気を付けながら作業を行うことができる。逆に言うと、より高精度のアライメントで接合することができる(図3K)。
【0035】
次いで、ベースシリコン層6を埋込酸化層5が露出するまで下面からエッチングする(図3L)。フッ化水素酸などでガラス基板1の電極端子用溝穴26をエッチングして容量電極8や参照電極8を露出させるとともに、露出している埋込酸化層5やベースシリコン層6の下面にある酸化膜25を除去する。その後、金属材電極を電極端子用溝穴内部に形成して容量電極や参照電極、シリコン層に電気的に直結した端子28をガラス基板1の上面に形成する(図3M)。
【0036】
ベースシリコン層6に形成されたゲッタ室溝27と真空室溝7を隔てているシリコン層に貫通口31を開け、これらの溝を連通させる。ここで、貫通口は例えばフェムト秒レーザ等のレーザを用いたり、あるいは微小の針でつつく等、機械的操作によって形成することができる。ここで、貫通口31の大きさは、通常200μm〜1mm程度であり、複数形成しても良い。さらに、貫通口はしっかりした穴である必要はなく、例えば、亀裂状に膜が避けているような形態であって機能としては問題ない。
【0037】
ゲッタ室溝27に、例えば、非蒸発型のゲッタ15を配置して、ベースシリコン層6とガラス基板3を真空中で接合する(図3N)。この際に圧力センサ内部の圧力が高真空状態になるようにして接合する必要があるが、基板のアライメントに関しては圧力被測定室溝12と通気口19とが連通していれば良く、数mm程度のアライメントずれがあっても許容できる。また、ベースシリコン層6の厚さは通常600μm前後あるため、ゲッタ室溝の深さも600μm前後となる。この溝に厚さ300μm程度の非蒸発型ゲッタ15を配置しても、これがベースシリコン層6とのガラス基板3の間に挟まって陽極接合に不具合が生ずることは殆ど無い。
最後に、容量電極端子10、参照電極端子11、ダイヤフラム電極端子14を導電性接着剤29と端子ピン30で形成して圧力センサは完成する。
【0038】
なお、本実施形態では、第一の基板(ガラス基板1)と第二の基板(SOI基板)と接合した後に、真空室溝7とゲッタ室溝27との間の貫通口31を形成する構成としたが、貫通口の大きさを、ゲッタ室溝の埋込酸化層をエッチングする際のエッチング液が真空室溝側に入り込まない程度に十分小さくすることにより、第一の基板(ガラス基板1)と第二の基板(SOI基板)の接合前に貫通口部のシリコン層又はシリコン層及び埋込酸化層を除去しておいても良い。
【0039】
【発明の効果】
本発明により、即ち、ゲッタ室溝を第一の基板ではなく、SOI基板のベースシリコン層側に形成する構成とすることにより、第一の基板とSOI基板を接合する際に、センサ内部の封止圧や非蒸発型ゲッタの配置に惑わされることなく、基板のアライメントにのみ集中して作業を行うことができるために製品品質や歩留まりの向上を図ることが可能となる。また、圧力センサ内部を真空封止する際アライメントの精度を低くできるため、歩留まりの向上と作業時間の短縮を図ることができる。
【0040】
一方、ゲッタ室溝は、圧力センサのダイヤフラムを形成する工程で同時に形成することができ、圧力センサの製造工程数を減少させて、製造コストの低減と製造プロセスの簡略化を図ることができる。また、ダイヤフラムの吸着を防ぐ目的で形成する微細な突起構造についても、従来はそれを形成するために成膜及びパターニング工程が必要であったが、本発明ではSOI基板の埋込酸化層をそのまま利用してパターニングするだけで良く、プロセスの簡略化が可能となり、より一層の生産性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の静電容量型圧力センサの基本構造示す概略断面図である。
【図2】SOI基板を用いた静電容量型圧力センサの構造例を示す概略図である。
【図3】図3の圧力センサの製造方法を示す概略断面図である。
【図4】従来のSOI基板を用いた静電容量型圧力センサ構造例を示す概略図である。
【図5】図5の圧力センサの製造方法を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1 第一の基板(ガラス基板)、
2 第二の基板(SOI基板)、
3 第三の基板(ガラス基板)、
4 シリコン層、
5 埋込酸化層、
6 ベースシリコン層、
7 真空室溝(真空室)、
8 容量電極、
9 参照電極、
10 容量電極端子、
11 参照電極端子、
12 圧力被測定室溝(圧力被測定室)、
13 ダイヤフラム電極、
14 ダイヤフラム電極端子、
15 非蒸発型ゲッタ、
16 押え板、
17 Oリング、
18 センサチップ固定台、
19 通気口、
20 被圧力測定空間、
21 検出回路、
22 出力端子、
23 突起構造、
24 電極形成用SOI基板、
25 酸化膜、
26 電極端子用溝穴、
27、27’ 非蒸発型ゲッタ室溝(非蒸発型ゲッタ室)、
28 金属材電極、
29 導電性接着剤、
30 端子ピン、
31 貫通口。

Claims (3)

  1. 容量電極が形成された絶縁性の第一の基板と、ダイヤフラム電極を挟んで一方の面に真空室溝、他方の面に圧力被測定室溝が形成された第二の基板と、通気口が形成された絶縁性の第三の基板とが、前記容量電極及び前記ダイヤフラム電極が対向し前記圧力被測定室溝と前記通気口が連通するように接合され、前記第二の基板の他方の面側ゲッタを収納するゲッタ室溝が形成され、かつ前記ゲッタ室前記真空室と連通している静電容量型圧力センサであって、
    前記第二の基板は、シリコン層、埋込酸化層及びベースシリコン層とからなるSOI(Silicon On Insulator)基板であって、前記真空室溝を該シリコン層に形成し、前記圧力被測定室溝及び前記ゲッタ室溝を該ベースシリコン層に形成したことを特徴とする静電容量型圧力センサ。
  2. 容量電極が形成された絶縁性の第一の基板と、シリコン層、埋込酸化層及びベースシリコン層とからなるSOI基板の該シリコン層に真空室溝を形成し、該ベースシリコン層に圧力被測定室溝及びゲッタ室溝を形成して前記真空室溝と前記圧力被測定室溝の間にシリコンからなるダイヤフラム電極が形成された第二の基板と、通気口が形成された第三の基板とが、前記容量電極及び前記ダイヤフラム電極が対向し、かつ前記圧力被測定室溝と前記通気口とが連通するように接合して作製する静電容量型圧力センサの製造方法であって、
    前記容量電極を形成した第一の基板と、前記真空室溝を形成した第二の基板を陽極接合法により接合する工程と、前記ベースシリコン層をエッチングして前記圧力被測定室溝及び前記ゲッタ室溝を形成する工程と、前記圧力被測定室溝及び前記ゲッタ室溝内の前記埋込酸化層をエッチングにより除去する工程と、前記真空室溝と前記ゲッタ室溝との間のシリコン層の少なくとも一部を除去し、両溝間を連通させる工程と、ゲッタを前記ゲッタ室溝に収納した後、該ゲッタ室溝内部を真空にした状態で、前記ベースシリコン層と前記第三の基板とを陽極接合法により接合する工程と、からなることを特徴とする静電容量型圧力センサの製造方法。
  3. 前記容量電極は表面にシリコン酸化膜の微細突起構造が形成されたシリコンからなり、シリコン層、埋込酸化層及びベースシリコン層とからなるSOI基板の該シリコン層及び埋込酸化層の該容量電極に対応する部分を残してエッチングした後、該シリコン層と絶縁性の基板とを接合し、続いてベースシリコン層をエッチングにより除去した後、前記埋込酸化層をパターニングして前記微細突起構造を形成したことを特徴とする請求項に記載の静電容量型圧力センサの製造方法。
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